【発明の詳細な説明】
紙コーティング顔料
本発明は、紙コーティング組成物用の顔料に関する。本明細書中、『紙コーテ
ィング組成物』という表現及びそのような『紙コーティング組成物』に関連する
表現は、例えばボードを含むすべての繊維基礎材料のコーティングに用いる組成
物を広くカバーすることを意図するものである。
紙コーティング組成物は一般に、水性媒体の懸濁液中に1以上の顔料及び接着
剤材料を含有し、流動改質剤(rheology modifier)のような他の添加剤を任意に
含有していてもよい。最も普通に用いられる顔料は一般に、白色かつ微粒径の天
然又は合成無機材料であり、一般に粒子の少なくとも約40重量%が2μmより小
さい等価球径(equivalent spherical diameter(esd))を有するようなものである
。等価球径は、沈降によって測定される。紙コーティング組成物に普通用いられ
る顔料の例として、カオリン又はチャイナクレー、天然又は沈降炭酸カルシウム
、サテンホワイト、硫酸カルシウム及びタルクが挙げられる。
コーテッド紙の大量のリールが高速に巻かれたり、解かれたりするとき、コー
テッド紙のウェブにしばしば破断が生じることが、紙コーティング工業において
見出されている。この1つの原因として、あるタイプのコーテッド紙の被覆表面
が比較的高い摩擦係数であり、次の回転に関して紙の1巻きの自由運動を阻害す
るからと考えられている。
この問題を解決するために、オペレーターは、用いる紙コーティング組成物内
に、タルク組成内に乾燥顔料の全重量の10%〜40%含めている。これによって、
この組成物を用いて調製されたコーテッド紙の表面の摩擦係数が低下し、『すべ
りのよい』感覚を得られる。しかし、必要なタルク量は高価であり、あるケース
では、紙のすべりやすい表面によって、その紙が用いられる印刷方法において問
題を引き起こす場合がある。
WO93/09289は、グラビア印刷方法用のコーテッド紙を調製する紙コーティング
組成物に関し、その紙コーティング組成物は、顔料表面を疎水性にするか又はそ
の疎水性を増大させる処理剤での処理によって改質されている粒状無機紙コーテ
ィング顔料を含んでいる。この参考文献のコーティング組成物を用いることによ
り、改良されたグラビア印刷の結果、特に改良されたグラビア印刷の質、又は印
刷像の単位面積当たりのミスドットの数の減少、及び印刷光沢が得られるコーテ
ッド紙を調製することができると述べられている。参考文献の『背景』の項目に
、タルクは天然疎水表面を有し、それを含む組成物で被覆された紙の表面は、低
下した摩擦係数を有していると記載されている。しかし、タルクの『すべりのよ
さ』は、表面の疎水特性というよりもむしろ被覆しやすいことによるものである
と以前考えられていた(例えば、『紙用顔料(“Pigments for Paper”)』、ヘー
グメイヤー(R.W.Hagemeyer)編(10章(ギル(G.J.Gill)))、TAPPI、アトランタ、
ジョージア、USA(1984年)による出版物を参照のこと)。
EP-A-0026091は、サイジングのためにワックス、好ましくはパラフィンワック
スで充填粒子を被覆することによる疎水性製紙用充填剤の製造方法を開示してい
る。サイジング技術は、コーティング、含水インクでの書込み又は印刷の際に水
が紙に過剰にしみ込まないようにするためのものである。
本発明の第1の面によると、顔料表面に疎水性を付与するか又は疎水特性を増
大させるために、疎水性部分を有する処理剤で顔料表面が改質されている紙コー
ティング顔料の紙コーティング法での使用であって、該紙コーティング法から調
製されたコーテッド紙のウェブの摩擦係数を低下させるための紙コーティング顔
料の使用を提供することにある。
本発明の第2の面によると、(a)接着剤;(b)(i)紙コーティング組成物に入れ
る前に、炭素原子8〜30個の鎖長を有する少なくとも1つの炭化水素基を有する
非極性疎水性部分、及び顔料粒子の表面部位に結合可能な極性部分を有し、かつ
無機材料の粒子を処理するのに使用される処理剤での処理によって改質されてい
る第1の粒状無機材料;及び(ii)第2の未改質粒状無機材料を含有する紙コーテ
ィング顔料;並びに(c)(i)改質された第1の粒状無機材料での使用に好適な第1
の分散剤及び(ii)第2の未改質粒状無機材料での使用に好適な第2の分散剤を含
有する分散剤ブレンドの水性懸濁液を含有する紙コーティング組成物を提供する
ことにある。
好ましくは、紙コーティング組成物は、顔料を含有し、該顔料の少なくとも15
重量%が改質粒状無機材料から成るのがよい。
本発明の紙コーティング組成物から、又は本発明の方法によって製造したコー
テッド紙から製造された紙ウェブは、破断のおそれを低減して高速で巻き取るか
又は解くことができる。
WO93/09289から、紙コーティング組成物中の顔料を上記のタイプの処理剤で処
理することによって、顔料の表面を疎水性にし、かつ該組成物から調製したコー
テッド紙のあるグラビア印刷特性を向上させることが知られているが、我々は今
や、驚くべきことに、処理された顔料が、処理された顔料を含む組成物から調製
されたコーテッド紙の表面の摩擦係数も低下させることを見出した。
本発明の紙コーティング組成物は通常顔料を含有し、該顔料の少なくとも15重
量%が、処理剤での処理により改質されている粒状無機材料から構成されており
、もし存在するならば、残りがそれほど改質されていない粒状無機材料である。
より好ましくは、顔料の少なくとも20重量%が、最も好ましくは40重量%が、処
理剤での処理によって改質されている粒状無機材料から構成される。本発明のあ
る態様において、処理された無機材料は、用いられる唯一の顔料であるが、顔料
の85重量%以下、より好ましくは80重量%以下が、処理剤での処理によって改質
されている粒状無機材料で構成されるのが一般に好ましい。第1の改質粒状無機
材料と第2の未改質粒状無機材料との混合物を用いるとき、改質無機材料は、未
改質無機材料より粗い粒径分布を有している、すなわち、改質無機材料は、2μ
m以下の等価球径を有する粒子のパーセンテージが少ないのがよい。
本発明で処理される粒状無機材料は、例えばカオリン又はチャイナクレー、天
然又は沈降炭酸カルシウム、サテンホワイト、硫酸カルシウム、もしくはタルク
である。粒状無機材料は、好ましくは高アスペクト比を有し(英国特許明細書第
2274337に記載されている方法によって測定した)、カオリン又はチャイナクレ
ーが用いられる場合、アスペクト比が少なくとも15である材料を用いるのが好ま
しい。
得られたコーティングの光沢の観点から、改質無機材料の粒径分布は、粒子の
少なくとも30%が2μm未満の等価球径を有するものであるのが好ましい。しか
し、超微細顔料、例えば2μm未満の等価球径を有する粒子を95%越えて有する
ものは、顔料が一般に高価であり、低い被覆重量で劣ったグラビア印刷特性しか
有さないであろうものとなるので、好ましくはない。粒子の70重量%以下が等価
球径2μm未満の粒子から成るような粒径分布を有する粒状無機材料を用いるの
が好ましい。
未処理無機材料は、白色かつ微粒径の従来の天然又は合成無機材料であっても
よい。
粒状無機材料を処理するのに用いられる処理剤は、無機材料の粒子が炭素原子
8〜30個の鎖長を有する複数の炭化水素基を有して提供されるように改質される
、炭素原子8〜30個の鎖長を有する少なくとも1つの炭化水素基を含有する非極
性部分を有するのが好ましく、かつ未処理無機材料の表面に結合可能な極性基を
少なくとも1つ有するのが好ましい。
無機粒子表面部位に結合可能な極性部分は、例えば粒子表面の部位を処理剤の
極性部分と結合する介在材料と直接又は間接的に結合してもよい。処理剤は、水
性懸濁液又は材料の乾燥混合物のいずれの無機粒子の部位にも結合可能であるの
がよい。処理剤の極性部分の正確な性質は、普通経験的に測定されている。しか
し、ある場合において、材料の表面化学の知識から適当な表面処理剤を推論する
ことができる。
用いられる処理剤の量は、処理される無機材料の重量をベースとして0.05重量
%〜5.0重量%であるのが好ましい。用いられる処理剤の量は、処理される無機
材料の重量をベースとして0.1重量%〜2.0重量%であるのが最も好ましい。
紙コーティング組成物の顔料として用いられる材料は典型的には、天然又は合
成ケイ酸塩であり、特にカオリンが多くの酸性部位を有する表面を有する点でよ
い。本発明により、これらの材料を、炭素原子8〜30個の鎖長を有する炭化水素
基を少なくとも1つ有する第一、第二、又は第三アミンで処理するのが好ましい
。しかし、炭素原子8〜30個の鎖長を有する炭化水素基を少なくとも1つ有する
第四アンモニウム化合物を用いて天然又は合成ケイ酸塩及びアルミノシリケート
を処理することができる。好適なアミン及び第四アンモニウム化合物の例として
、第1オクタデシルアミン、第1水素化牛脂アミン、トリメチル水素化牛脂アン
モ
ニウムクロライド、及びジメチルジ(水素化牛脂)アンモニウムクロライド、並
びにこれらの2以上の混合物が挙げられる。
一方、紙コーティング顔料として普通用いられる他の材料である、炭酸カルシ
ウムは、炭素原子8〜30個の鎖長の炭化水素基を少なくとも1つ有する飽和又は
不飽和脂肪酸のような処理剤で処理されるのが好ましい。このような脂肪酸には
、ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸、並びにこれらの2以上の混合
物が挙げられる。
本発明の紙コーティング組成物において、接着剤は、例えばスチレン−ブタジ
エンラテックス又はアクリルラテックスなどのラテックスであるのが好ましく、
アルカリ膨張タイプである必要はないが、そうであるのがよい。用いられるラテ
ックスの量は、表面処理した顔料の乾燥重量をベースとしてラテックス固形分3
重量%〜6重量%の範囲であるのが好ましい。
分散剤ブレンドを用いるとき、改質無機材料が炭酸カルシウムの場合、改質無
機材料での使用のための好ましい第1の分散剤として、次の一般化学式によって
表される直鎖アルコールエトキシレートの群が挙げられる:
RO−(CH2 −CH2 −O)n H
(式中、Rは炭素原子8〜24個有するアルキル基であり、nは1〜20の範囲であ
り、炭素原子10〜30個有する化合物が最も好ましく、改質無機材料がカオリンの
ようなアルミノシリケート又はケイ酸塩のとき、改質無機材料での使用には、炭
素原子8〜20個の鎖長を有するアルキル基であるアルキルスルフェート又はアル
キルスルホネートの群であり、ドデシルスルフェートの水溶性塩であるのが最も
好ましい。)。
好ましい第2の分散剤は、例えばポリリン酸の水溶性塩、ポリケイ酸の水溶性
塩、ポリ(アクリル酸)又はポリ(メタクリル酸)の水溶性塩から選択される。
改質無機材料が改質炭酸カルシウム顔料であるとき、使用のための好ましいブ
レンドとして、直鎖アルコールエトキシレートと水溶性ポリアクリレート塩との
ブレンドが挙げられる。改質無機材料がカオリンクレーであるとき、アルキルス
ルフェート又はアルキルスルホネート(主な成分として、例えば70%)と水溶性
ポリアクリレート塩とのブレンドであるのが現に好ましい。分散剤は特定の表面
処理顔料と共に選択されて最大の性能をあげる。
用いられる分散剤の量は、乾燥顔料の重量をベースとして0.05重量%〜2.5重
量%の範囲であるのが好ましい。
本発明に第3の面によると、コーテッド紙から製造される紙ウェブの摩擦係数
を低下させるために、製紙法での紙コーティング組成物の使用を提供するもので
あり、該組成物は、(a)接着剤;(b)紙コーティング組成物に入れる前に、処理剤
での処理によって改質されている粒状無機材料を含有する紙コーティング顔料で
あって、無機材料の粒子を処理するのに使用される処理剤が炭素原子8〜30個の
鎖長を有する炭化水素基を少なくとも1つ含有する非極性疎水性部分、及び無機
材料の粒子表面の部位と結合可能な極性部分を含有する紙コーティング顔料;及
び(c)無機材料の改質粒子のための分散剤の水性懸濁液を含有する。
以下の実施例によって、本発明を具体的に説明する。
実施例1
次の配合にしたがって、6つの紙コーティング組成物を調製した:
ラテックス接着剤は、印刷法のコーテッド紙の調製に際し接着剤として普通に
用いられるタイプのスチレン−ブタジエン共重合体の粒子の50重量%水性懸濁液
であった。用いたラテックス接着剤の量は、固形顔料の固形ラテックスの重量部
で上記した量であった。
各組成物において、以下に示す、それぞれ異なる顔料を用いた;
顔料Aは、平板状粒子形状(アスペクト比60)及び粒子の57.6重量%が等価
球径2μmより小さく、37.0重量%が等価球径1μmより小さく、かつ11.1重量
%が等価球径0.25μmより小さい粒子からなるような粒径分布を有するカオリン
クレーであった。数平均分子量約6500であるポリアクリレートナトリウム分散剤
を乾燥顔料の重量をベースとして0.3重量%含有する水に、顔料Aを懸濁し、乾
燥顔料固形分を62重量%含有する懸濁液を形成した。
顔料Bは、上記のように調製した懸濁液の形態の顔料Aを70重量%と乾燥タル
ク(アスペクト比22)を65重量%で含有する商品として調製されている懸濁液
形態のタルク30重量%との混合物から成っていた。該タルクは、粒子の40重量%
が等価球径2μmより小さい粒子から成るような粒径分布を有した。
顔料Cは、乾燥顔料Aを50重量%提供するように上記の顔料Aの懸濁液を十分
に含み、かつ他の50重量%を、乾燥表面処理カオリンクレー65重量%含有する懸
濁液によって提供される混合物の形態で用いた。混合物の他の50重量%を構成す
るこのカオリンクレーは、粒子の80重量%が等価球径2μmより小さい粒子から
成り、65重量%が等価球径1μmより小さい粒子から成り、かつ15重量%が等価
球径0.25μmより小さい粒子から成り、かつアスペクト比が25であるような粒径
分布を有していた。高速ミキサー内でカオリンに、アルキル成分が水素化牛脂か
ら誘導された第一アルキルアミンを、乾燥カオリンの重量をベースとして、1重
量%加えることによって、カオリンを表面処理した。カオリン及び第一アルキル
アミンを90℃で5分間共に混合して、カオリン粒子に第一アルキルアミンの実質
的に均一なコーティングを形成した。ドデシル硫酸ナトリウム分散剤を、乾燥表
面処理クレーの重量をベースとして1.8重量%含む水に、表面処理カオリンクレ
ーを懸濁し、顔料Aの懸濁液との混合物として表面処理クレーを65重量%含む懸
濁液を形成した。
顔料Dは、顔料Cで既述したように調製した乾燥表面クレー懸濁液65重量%か
ら完全に成っていた。
顔料Eは、未処理紙コーティンググレードカオリンクレーであり、これを用い
て顔料Cで記載したようなアルキルアミンで被覆されたクレーを調製した。顔料
Aに用いたのと同じポリアクリレートナトリウム分散剤を0.3重量%含む水に、
このクレーを懸濁し、乾燥クレーを68重量%含む懸濁液を形成した。
顔料Fは、顔料Aを、顔料Cで記載したのと同じ方法を用いて同じ第一アルキ
ルアミン1重量%(乾燥カオリンをベースとして)で処理することによって調製
した乾燥表面処理平板カオリンクレー58重量%含む懸濁液と上記の顔料Eの懸濁
液との混合物の形態で用いた。乾燥表面処理クレー50重量%及び乾燥未処理クレ
ー50重量%を提供するような比率で2つの懸濁液を組み合わせた。
各々のケースにおいて、英国特許明細書第2225261号に記載されたタイプの実
験室用紙コーティング機を用いて、紙速度400m/分及びブレード角度45°で、
紙コーティング組成物を重量38.4g・m-2の基礎紙上に被覆した。各組成物につ
いて、異なるブレード圧でさまざまな作業を行い、約6g・m-2〜約10g・m-2
の間の異なる被覆重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを、速
度36m/分、温度65℃、及び圧力1000psi(6.89MPa)で、実験室用スーパーカレン
ダーのニップに10回通すことによりスーパーカレンダーに掛けた。
コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係数を測定し、被覆重量に対して図に
プロットした。各組成物について、被覆重量8g・m-2に対応する摩擦係数を内
挿によって見出した。
分銅ステンレス鋼ブロックのよく研磨した面に、コーテッド紙のサンプルを付
けて、モンサント(Monsanto)張力計で摩擦係数を測定した。この分銅ステンレス
鋼ブロックは、ベッドプレート上にしっかりと配置されているガラスベッドプレ
ートに付いているコーテッド紙の第2のサンプル上を引き擦られる。実質的な摩
擦プーリーの周りを通っており、張力計のクロスヘッドにさらなる末端で結合し
ている可撓性スチールワイヤーで第2コーテッド紙サンプルの表面を、ステンレ
ス鋼ブロックは引き擦られる。ブロックの寸法は60mm×45mm×6mmであり、ブロ
ック及びワイヤーの重量はあわせて128グラムである。ブロックの上に1kgの
重りの載せてブロックを荷重する。クロスヘッドは25mm/分の一定速度で上昇し
、荷重ブロックは同じ速度で紙サンプルの表面を引き擦られる。クロスヘッドに
配置された荷重セルは、ニュートン単位でワイヤーの張力の連続的な表示を示す
。第2のデジタル表示は、ブロックの移動距離を示す。ワイヤーの張力の読み取
りを、ブロック移動距離5mm毎に取り込む。コーテッド紙のサンプル毎にこのよ
うな方法で全部で12個の読み取りを得て、平均張力を決定した。この平均値から
コーテッド紙の表面の摩擦係数を次の式によって計算した。
μ=F/Mg
式中、μは摩擦係数であり、Fはワイヤーの張力であり、Mはコーテッド紙への
全荷重(1.128kg)であり、gは重力加速度(9.81m・s-2)である。
得られた結果を以下の表に示す。
顔料が、第一アルキルアミンで表面処理されているカオリンクレーからすべて
成るとき、コーテッド紙の摩擦係数は、その30重量%をタルクで構成される顔料
で得られた値以下に低下することが、これらの結果からわかる。顔料が表面処理
カオリンクレー50重量%及び未処理カオリンクレー50重量%から成るとき、表面
処理カオリンクレーが比較的粗い粒径分布を有すると、より低い摩擦係数が得ら
れる。
実施例2
2つの紙コーティング組成物を次の配合にしたがって調製した。
ラテックス接着剤は、実施例1で用いたのと同じタイプのものであった。
2つの組成物中に用いた顔料は、それぞれ顔料G、及び顔料Hであった。
顔料Gは、粒子の85重量%が等価球径2μmより小さな粒子から成り、51重量
%が等価球径1μmより小さな粒子から成り、6重量%が等価球径0.25μmより
小さな粒子から成るような粒径分布を有する粉砕天然白亜であった。この材料の
アスペクト比は4であった。
顔料Hは、顔料Gと同じ粒径分布に粉砕し、かつ同じアスペクト比を有する天
然白亜と、ステアリン酸1重量%(乾燥白亜重量をベースとする)とを混合する
ことによって調製した表面処理顔料であった。
数平均分子量3200のポリアクリレートナトリウム分散剤0.5重量%(乾燥炭酸
カルシウム重量をベースとする)を含む水に、顔料Gを懸濁した。直鎖アルコー
ルエトキシレート分散剤を乾燥白亜重量をベースとして1重量%及び顔料Gに用
いたのと同じポリアクリレートナトリウム分散剤を乾燥白亜重量をベースとして
0.2重量%を含む水に、顔料Hを懸濁した。
各々のケースについて、実施例1で用いたのと同じタイプの実験室用紙コーテ
ィング機を用いて、紙速度400m/分、ブレード角度45°で、紙コーティング組
成物を重量95g・m-2の前被覆した木質なしの基礎紙上に被覆した。各組成物に
ついて、異なるブレード圧でさまざまな作業を行い、約6g・m-2〜約10g・m-2
の間の異なる被覆重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを実
施例1記載の手順を用いてスーパーカレンダーに掛けた。
実施例1に記載した手順によって、コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係
数を測定し、被覆重量に対して図にプロットした。各組成物について、被覆重量
8g・m-2に対応する摩擦係数を内挿によって見出した。
この結果を以下の表2に示す。
実施例3
2つの紙コーティング組成物を次の配合にしたがって調製した。
ラテックス接着剤は、実施例1で用いたのと同じタイプのものであった。
2つの組成物中に用いた顔料は、次の成分顔料の2種以上を含有する混合物で
あった:
顔料Iは、粒子の65重量%が等価球径2μmより小さな粒子から成り、43重量
%が等価球径1μmより小さな粒子から成り、13重量%が等価球径0.25μmより
小さな粒子から成り、かつアスペクト比が57であるような粒径分布を有するカオ
リンクレーであった。
顔料Jは、粒子の40重量%が等価球径2μmより小さな粒子から成り、アスペ
クト比が22であるような粒径分布を有する紙コーティンググレードのタルクであ
った。
顔料Kは、高速ミキサー内でカオリンに、アルキル成分が水素化牛脂から誘導
された第一アルキルアミンを乾燥カオリンの重量をベースとして1重量%加える
ことによって調製された表面処理カオリンであった。カオリン及び第一アルキル
アミンを、90℃で5分間共に混合し、カオリン粒子に第一アルキルアミンの実質
的に均一なコーティングを形成した。表面処理前、カオリンは、粒子の80重量%
が等価球径2μmより小さな粒子から成り、65重量%が等価球径1μmより小さ
な粒子から成り、15重量%が等価球径0.25μmより小さな粒子から成り、かつア
スペクト比が25であるような粒径分布を有していた。
顔料Lは、顔料Kに記載したのと全く同じ方法で表面処理することにより調製
した表面処理カオリンであった。但し、カオリンは、粒子の62重量%が等価球径
2μmより小さな粒子から成り、42重量%が等価球径1μmより小さな粒子から
成り、11重量%が等価球径0.25μmより小さな粒子から成り、かつアスペクト比
が55であるような粒径分布を有していた。
顔料Mは、粒子の79重量%が等価球径2μmより小さな粒子から成り、64重量
%が等価球径1μmより小さな粒子から成り、20重量%が等価球径0.25μmより
小さな粒子から成り、かつアスペクト比が25であるような粒径分布を有する未処
理カオリンであった。
各々成分顔料を別々に水に懸濁した。実施例1に用いたのと同じドデシル硫酸
ナトリウム分散剤を乾燥表面処理カオリンの重量をベースとして1.8重量%の助
剤と共に、処理カオリン顔料を分散させた。顔料Gに用いたのと同じポリアクリ
レート分散剤0.3重量%の助剤と共に、未処理カオリン顔料を分散させた。以下
の表3に示した乾燥成分顔料の重量比となるような比率で成分顔料の懸濁液を混
合した。
各々のケースについて、ロールアプリケーター及び角度45°、紙速度1400m/
分のドクターブレードを有するパイロットスケールの紙コーティング機を用いて
、紙コーティング組成物を重量34g・m-2の基礎紙上に被覆した。各組成物につ
いて、異なるブレード圧でさまざまな作業を行い、約8g・m-2〜約12g・m-2
の間の異なる被覆重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを実施
例1記載の手順を用いてスーパーカレンダーに掛けた。
実施例1に記載した手順によって、コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係
数を測定し、被覆重量に対して図にプロットした。各組成物について、被覆重量
10g・m-2に対応する摩擦係数を内挿によって見出した。
この結果を以下の表3に示す。
上記の配合に示した成分に加えて、比較例の組成物は、水溶性粘性ポリマーを
0.15重量部、及び本発明の組成物は、水溶性粘性ポリマーを0.05重量部含んでい
た。
本発明により、コーテッド紙の摩擦係数に不所望な増加が生じることなく、紙
コーティング組成物にタルクを用いる必要性を避けられることが、これらの結果
からわかる。
実施例4
2つの紙コーティング組成物を次の配合にしたがって調製した。
ラテックス接着剤は、アルカリ膨張アクリルラテックス粒子の50重量%水性懸
濁液であった。
2つの組成物中に用いた顔料は、それぞれ顔料K、及び顔料N(顔料Kが調製
されたのと同じ粒径分布の未処理カオリンであった)であった。
顔料Kを、乾燥表面カオリン顔料の重量をベースとして1.8重量%の、実施例
1に用いたのと同じドデシル硫酸ナトリウムの助剤と共に、分散させた。顔料N
を、顔料Gに用いたのと同じポリアクリレート分散剤0.3重量%の助剤と共に分
散させた。
各々のケースについて、実施例1に記載したのと同じタイプの実験室用紙コー
ティング機を用いて、紙速度400m/分、ブレード角度45°で、紙コーティング
組成物を重量39g・m-2の基礎紙上に被覆した。各組成物について、異なるブレ
ード圧でさまざまな作業を行い、約6g・m-2〜約10g・m-2の間の異なる被覆
重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを実施例1記載の手順を
用いてスーパーカレンダーに掛けた。
実施例1に記載した手順によって、コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係
数を測定し、被覆重量に対して図にプロットした。各組成物について、被覆重量
8g・m-2に対応する摩擦係数を内挿によって見出した。
この結果を以下の表4に示す。
実施例5
3つの紙コーティング組成物を次の配合にしたがって調製した。
さらに、これらの組成物は、実施例3で用いたのと同じ粘性ポリマーを少量(
0.15重量部まで)含んでいた。
ラテックス接着剤は、実施例1で用いたのと同じタイプのものであった。
組成物中に用いた顔料は、顔料K及び/又は顔料Oを含有しており、顔料Oは
、粒子の58重量%が等価球径2μmより小さな粒子から成り、37重量%が等価球
径1μmより小さな粒子から成り、11重量%が等価球径0.25μmより小さな粒子
から成り、かつアスペクト比が60であるような粒径分布を有する未処理カオリン
であった。顔料は、それのみで用いるか、又は表5に示す重量比の混合物で用い
た。
各成分顔料を別々に水に懸濁させた。乾燥表面カオリン顔料の重量をベースと
して1.8重量%の実施例1に用いたのと同じドデシル硫酸ナトリウムの助剤と共
に、処理したカオリン顔料を分散させた。未処理カオリン顔料を、顔料Gに用い
たのと同じポリアクリレート分散剤0.3重量%の助剤と共に分散させた。
各々のケースについて、ロールアプリケーター及び角度45°、紙速度1300m/
分のドクターブレードを有するパイロットスケールの紙コーティング機を用いて
、紙コーティング組成物を重量33g・m-2の基礎紙上に被覆した。各組成物につ
いて、異なるブレード圧でさまざまな作業を行い、約6g・m-2〜約10g・m-2
の間の異なる被覆重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを実施
例1記載の手順を用いてスーパーカレンダーに掛けた。
実施例1に記載した手順によって、コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係
数を測定し、被覆重量に対して図にプロットした。各組成物について、被覆重量
8g・m-2に対応する摩擦係数を内挿によって見出した。
この結果を以下の表5に示す。
実施例6
2つの紙コーティング組成物を次の配合にしたがって調製した。
ラテックス接着剤は、実施例1で用いたのと同じタイプのものであった。
組成物中に用いた顔料は、それぞれ顔料N、及び顔料N50重量%と顔料K50重
量%とからなる混合物を含有していた。
各々の成分顔料を別々に水に懸濁させた。乾燥表面カオリン顔料の重量をベー
スとして1.8重量%の実施例1に用いたのと同じドデシル硫酸ナトリウムの助剤
と共に、処理したカオリン顔料を分散させた。未処理カオリン顔料を、顔料Gに
用いたのと同じポリアクリレート分散剤0.3重量%の助剤と共に分散させた。
各々のケースについて、ロールアプリケーター及び角度45°、紙速度1400m/
分のドクターブレードを有するパイロットスケールの紙コーティング機を用いて
、紙コーティング組成物を重量37g・m-2の基礎紙上に被覆した。各組成物につ
いて、異なるブレード圧でさまざまな作業を行い、約6g・m-2〜約10g・m-2
の間の異なる被覆重量の範囲とした。乾燥後、コーテッド紙の各サンプルを実施
例1記載の手順を用いてスーパーカレンダーに掛けた。
実施例1に記載した手順によって、コーテッド紙の各サンプルについて摩擦係
数を測定し、被覆重量に対して図にプロットした。各組成物について、被覆重量
8g・m 2に対応する摩擦係数を内挿によって見出した。
この結果を以下の表6に示す。
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(72)発明者 プレストン ジャネット スーザン
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