JPH09501216A - 一対のかみ合いロータ - Google Patents
一対のかみ合いロータInfo
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- JPH09501216A JPH09501216A JP7509475A JP50947594A JPH09501216A JP H09501216 A JPH09501216 A JP H09501216A JP 7509475 A JP7509475 A JP 7509475A JP 50947594 A JP50947594 A JP 50947594A JP H09501216 A JPH09501216 A JP H09501216A
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Abstract
(57)【要約】
本発明はインボリュート歯を有する一対のロータに関するものであり、かみ合う一対のインボリュート歯車の一方は、作動歯を有し、これら作動歯の歯先円は、他方のインボリュート歯車の歯先円よりも大きい。他方のインボリュート歯車は、作動歯とかみ合う溝を有している。作動歯及び溝は、上記インボリュート歯車と同じかみ合い及び回転の周囲特性を有している。”かみ合い型のロータ”と称されるこの複合された構造は、内燃機関、流体(液体又は気体)用のポンプ及びモータ、真空ポンプ、調節器/冷蔵庫/コンプレッサ並びに流体変換器に使用することができる。
Description
【発明の詳細な説明】
一対のかみ合いロータ
技術分野
本発明は、一対のかみ合いロータに関する。各々のロータは、それぞれ他方の
ロータのインボリュート歯にかみ合って回転することのできるインボリュート歯
を有している。一方のロータには、インボリュート歯の高さよりも高い作動歯が
設けられ、他方のロータには、上記作動歯の形状に対応する形状を有するかみ合
い歯が設けられており、これにより、上記作動歯及びかみ合い歯は回転の間に互
いにかみ合うことができる。上記作動歯の形状、並びに、その対応する溝の形状
は、特殊な曲線によって形成される。そのような対のロータは、流体ポンプのロ
ータ、真空ポンプのロータ、及び/又は、流体モータ(液体モータ又は気体モー
タ)のロータとして、また、特殊なロータリ内燃機関のロータとして応用するこ
とができる。
背景技術
既存の歯車ポンプは、ロータと呼ばれる一対の歯付きのホイールとして構成さ
れ、そのようなロータは、互いにかみ合ってケーシングの中で回転する。そのよ
うな種類のポンプは、歯の間の空所によって流体を吸入又は排出する。ポンプの
上述の空所は、連続しておらず、その容積は十分に大きくなく、また、上述のか
み合った歯の間には常に幾分かの圧縮流体が残るので、歯車ポンプは、気体すな
わちガスを圧送するのには適していない。
ロータリ内燃機関(”Rotatory Internal Combust
ion Engine”)と題するPCT出願(国際出願番号:PCT/BR9
0/00008、国際出願日:1990年8月16日、国際出願番号:WO90
/02888、国際公開日:1991年3月7日)は、ロータリ内燃機関に使用
される一種のロータを開示している。しかしながら、そのようなロータは、かみ
合って回転するインボリュート歯を有しておらず、その出願自体は、作動歯及び
その対応する歯溝の形状を表す関数式を何等開示していない。
ドイツ特許出願(出願番号:DT330992)は、かみ合って回転するイン
ボリュート歯、作動歯及びかみ合い歯を有する一種のロータを開示している。し
かしながら、上記ドイツ特許出願は、上述のPCT出願と同様に、作動歯及びそ
の対応する歯溝の形状を表す関数式を何等開示していない。また、作動歯及び歯
溝の構造に関する詳細な情報も何等開示していない。更に、そのようなロータは
、互いにかみ合った時に、均一な回転速度を得ることができない。
発明の開示
本発明は、一対のかみ合いロータを提供しようとするものである。ロータの傍
接円の外周に沿って、インボリュート歯、並びに、互いにかみ合って回転する作
動歯及びこれに対応する歯溝が設けられる。上記作動歯及び歯溝の形状は、特殊
な関数式によって決定され、上記作動歯がかみ合い歯の溝とかみ合って回転する
時には、作動歯及びかみ合い歯は、インボリュート歯と等しい周回転特性を有す
る。
本発明は、かみ合いホイール及び作動ホイールから構成される一対のかみ合い
ロータを提供する。かみ合いホイールの傍接円の周囲に沿って、インボリュート
歯及びかみ合い歯溝が設けられ、また、作動ホイールの傍接円の周囲に沿って、
インボリュート歯及び作動歯が設けられる。上記作動歯の高さは、インボリュー
ト歯の高さよりも大きく、上記かみ合い歯溝の深さは、各インボリュート歯の間
の間隔よりも大きい。互いにかみ合ってケーシングの中で回転することのできる
上記対のロータは、以下の特徴を有している。
作動ホイールの作動歯の形状は、下式によって決定される。
Xn=(Ra+Rb)Cos(α−Ψ−nθ)−Rb1Cos[α+β−Ψ−n(
iθ+θ)]、
Yn=Rb1Sin[α+β−Ψ−n(iθ+θ)]−(Ra+Rb)Sin(α
−Ψ−nθ)。
作動歯の歯先円の厚みの曲線は、作動ホイールの円中心を中心とし、R2を半
径とした場合に、刃先角2Ψに相当する弧によって形成される。その式は以下に
示す通りである。
X=R2CosΨ、
Y=R2SinΨ (Ψ→−Ψ)。
かみ合いホイールの上記かみ合い溝の形態は、以下の関数式で決定される。
Xn=(Ra+Rb)Cos[i(α−Ψ−nθ)]−R2Cos[(α−nθ)
+i(α−Ψ−nθ)]、
Yn=R2Sin[(α−nθ)+i(α−Ψ−nθ)]−(Ra+Rb)Sin
[i(α−Ψ−nθ)]。
かみ合い溝の歯底の曲線は、かみ合いホイールの円中心が円中心であり、半径
(Ra+Rb−R2)を半径とすると、歯先厚の刃先角2Ψに相当する角度(2i
Ψ)によって形成される弧によって決定される。式は以下の通りである。
X=(Ra+Rb−R2)Cos(iΨ)、
Y=(Ra+Rb−R2)Sin(iΨ) (Ψ→−Ψ)。
上記かみ合いホイールの円周に沿って、”nb”の溝が均一に分布され、また
、作動ホイールの円周に沿って、”na”の作動歯が均一に分布される。角度”
ωna”(作動歯の間の角度)と作動ホイールのインボリュート歯の基準ピッチ円
の半径”Ra”とによって決定される弧は、角度”ωnb”(かみ合い歯溝の間の
角度)とかみ合いホイールのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径”Rb”と
によって決定される弧に等しい。この場合には、以下の条件を満足しなければな
らない。
上述のように、
”na,nb”は、正の整数であり、
”Ra”は、ホイールAのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径を表し、
”Rb”は、ホイールBのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径を表し、
”R2”は、ホイールAの作動歯の歯先円の半径を表し、
”Rb1”は、ホイールBのインボリュート歯の歯先円の半径を表し、
”a”は、点”Rd”を通る線及びその直交する線OO’の交点と円Ra及び円
Rbの接触点との間の距離を表し、
”i”は、歯数比を表し、
”Ψ”は、作動歯の歯先厚の半角を表し、
”γ”は、かみ合い歯の溝の主半角を表し、
”θ”は、設定定数を表し、
”n”は、n=0,1,2・・・k(”k”は自然数)を表し、
”α”は、
を表し、
”β”は、
を表している。
i=1であれば、na=nbであることに注意する必要がある。
図面の簡単な説明
図1は、かみ合い溝の曲線を形成する手順を示す概略図である。
図2は、かみ合い溝の曲線の概略図である。
図3は、作動歯の曲線を形成する手順を示す概略図である。
図4は、作動歯の曲線の概略図である。
図5は、作動歯の曲線の歯先厚を示す概略図である。
図6Aは、かみ合いロータ機構(ERM)の基本構造の一例(1:かみ合いホ
イール、2:作動ホイール、3:かみ合い歯の溝、4:作動歯、5:インボリュ
ート歯)を示している。
図6Bは、ERMの基本構造の別の例(3:かみ合い歯の溝、4:作動歯、5
:インボリュート歯)を示している。
図7Aは、i>1の場合に、作動歯がかみ合い歯の溝にかみ合って回転する際
に生ずる各パラメータの関係を示す概略図である。
図7Bは、i<1の場合に、作動歯がかみ合い歯の溝にかみ合って回転する際
に生ずる各パラメータの関係を示す概略図である。
図8は、H、R、Rf及びaの関係を示す概略図である。
図9Aは、かみ合いホイールの構造及び寸法の実施例を示す。
図9Bは、作動ホイールの構造及び寸法の実施例を示している。
発明の実施するための最良の形態
最初に、かみ合い溝及び作動歯の曲線の形状の原点及び数学的な式を明らかに
する必要がある。かみ合って回転する一対のホイール(A及びB)があり、これ
らホイールのモジュール及び歯数が等しく、ホイールの歯車比”i”が1である
と仮定する。式の推定の便宜を図るために、一対のホイールの一方は、点Oがそ
の中心点となっている直交座標系に固定され、他方のホイールは、その固定され
たホイールの周囲でそれ自身の軸線の回りで回転するものと単純化する。
図1に示す直交座標系においては、点Oが、ホイールBの中心である。
”R”は、インボリュート歯を有するホイールの基準ピッチ円の半径を表し、
”R2”は、ホイールAの作動歯の歯先円の半径を表し、
”R1”は、インボリュート歯の歯先円の半径を表し、
”γ”は、かみ合い歯の溝の主半角を表している。
R1よりも大きいホイールAの線R2は、点Rdにおいて、ホイールBのインボ
リュート歯の歯先円と交差する。
線O’Rd及び軸線Xにて挟まれた角度をωとすると、以下の式が得られる。
ω=β−γ+α=2α。
ホイールA及びホイールBの中心を結ぶ線”OO’”は、”2R”に等しく、
線OO’及び軸線Xの挟角は、β−γ=αである。
ホイールAが、ホイールBの回りで角度”θ”だけ反時計方向に回転すると、
線OO’及び軸線Xの挟角は、”α−θ”であり、その間に、ホイールAは、そ
れ自身の軸線の回りで角度”θ”だけ回転する。
∠OO’ Rd=α−θ
及び、ω’=2(α−θ)である。
ホイールAがホイールBの回りでそれ自身の軸線の周囲で角度”nθ”だけ回
転すると、ホイールAの線R2の頂点である点RdがホイールBの平面を分割す
るときに決定される幾何学的な軌跡”L”は、以下の式に一致しなければならな
い。
Xn=2RCos(α−nθ)−R2Cos[2(α−nθ)]、
Yn=R2Sin[2(α−nθ)]−2RSin(α−nθ)・・・(1)。
上式において、
”R2”は、作動歯の歯先円の半径を意味し、
”R1”は、インボリュート歯を有するホイールの歯先円の半径を意味し、
”R”は、インボリュート歯を有するホイールの基準ピッチ円の半径を表し、
”θ”は、設定可能な定数であり、
(n=0,1,2,・・・k)であり、”k”は、自然数である)。
式(1)において、n=0、nθ=0であれば、
ホイールAの線R2の点Rdは、ホイールBの軌跡”L”の始点”La”と一
致する。
nθ=αであれば、線R2は、軸線Xと一致し、点Rdは、軌跡Lの中点になる
。
nθ=−αであれば、ホイールAの線R2の点Rdは、軌跡Lの終点”Lb”と
一致し、線R2は、ホイールBの平面との交差を完了する(図2参照)。
図3に示すように、ホイールAが、点”O”をその中心として、直交座標系に
固定されていると考えると、線R2(RdO’=R2)は、軸線Xに一致し、線O
O’及び軸線Xの挟角はαである。点Rdは、点La(ホイールBの歯先円の半
径”R1”上の点)に一致し、OLa及び軸線Xの挟角はω(ω=α+β)であ
り、ホイールBが、ホイールAの回りでそれ自身の軸線の周囲で”nθ”だけ回
転した後には、ω’=α−nθ+β−nθ=α+β−2nθとなり、下式が得ら
れる。
ホイールBが、ホイールAの回りでそれ自身の軸線の周囲で回転する間に、線
R2は、ホイールBの平面を分割し、ホイールBの軌跡L(La及びLbをそれ
ぞれその始点及び終点とする)は、ホイールAの平面に2つの幾何学的軌跡”J
”及び”J’”(図4に示す)を投影し始め、これら軌跡は下式で説明される。
Xn=2RCos(α−nθ)−R1Cos(α+β−2nθ)、
Yn=R1Sin(α+β−2nθ)−2RSin(α−nθ) ・・・(2)
。
上式において、
”R1”は、インボリュート歯を有するホイールの歯先円の半径を表し、
”R”は、インボリュート歯を有するホイールの基準ピッチ円の半径を表し、
”θ”は、設定定数であり、
式(2)において、n=0、nθ=0であれば、点Rdは、ホイールBの軌跡
Lの始点”La”と一致し、また、nθ=αであれば、軌跡Lの中点は、線R2
の上、すなわち軸線Xの上にある。
α=β−γ(γは、かみ合い溝の主半角である)の場合には、
式(2)は、下式のようになる。
X=2RCos0°−R1Cosγ
Y=R1Sinγ−2RSin0° ・・・ (3)。
軌跡Lの始点”La”が、ホイールAの歯先円R1に完全に一致し、nθ=β
である場合には、式(2)は下式のようになる。
X=2RCos(−γ)−R1Cos(−γ)
Y=R1Sin(−γ)−2RSin(−γ) ・・・ (4)。
この段階において、ホイールBの軌跡は、ホイールAの平面上への投影を完了
する。
簡単に言えば、ERM(かみ合いロータ機構)は、ホイールA及びホイールB
の2つのホイールに基づいている。ホイールAが、ホイールB及びそれ自身の軸
線の回りで回転すると、ホイールAの線R2の頂点”点Rd”が、ホイールBの
平面を分割し、「かみ合い溝の曲線(式(1)参照)」と呼ばれる幾何学的な軌
跡”L”を形成し、これに対応して、ホイールBが、ホイールA及びそれ自身の
軸線の回りで回転すると、Laを始点としまたLbを終点とするかみ合い溝の曲
線”L”によって、ホイールAの平面に2つの曲線が投影され、これら2つの投
影された曲線”J”,”J’”は、作動歯の曲線(式(2)参照)を形成する。
式(2)においては、歯先厚”S”がゼロに近づくと、”J”、”J’”が点
Rd(図4に示す)で交差すると仮定する。ERMは主として、気体及び液体を
圧縮するために、あるいは、圧縮エネルギをトルクに変換するために応用される
の
で、ケーシングに対して相対的に摺動する厚みのある歯先面が、良好なシール効
果をもたらすことになる。そのために、”J”、”J’”が、別個に角度”Ψ”
だけ戻ると仮定すると、弦歯厚S=2R2SinΨ(R2は、作動歯の歯先とホイ
ール中心との間の距離である)を得ることができる。同時に、角度”Ψ”が、か
み合い溝の対応する主半角”γ”に加えられる。図5の直交座標系を参照すると
、ホイールAがホイールBの回りで角度”Ψ”だけ回転すると、ホイールAの線
R2の点Rdは、Rd’へ移動し、線OO’及び軸線Xの挟角がα−Ψである場合
には、∠OO’Rd=α−Ψ、∠OO’Rd’=α−Ψ+Ψ=αとなり、線O’Rd
’及び軸線Xの挟角は、ω=α+α−Ψ=2α−Ψである。これらの値を式(
1)に代入すると、かみ合い溝の曲線に関する式が次のように得られる。
Xn=2RCos(α−Ψ−nθ)−R2Cos[2(α−nθ)−Ψ]、
Yn=R2Sin[2(α−nθ)−Ψ]−2RSin(α−Ψ−nθ)
・・・ (5A)。
かみ合い溝の歯底の曲線、すなわち、かみ合いホイールの円中心を円中心とし
、2R−R2を半径とする、歯先厚の刃先角2Ψに相当するΨに対応する弧は、
下式によって決定される。
X=(2R−R2)CosΨ、
Y=(2R−R2)SinΨ (Ψ→−Ψ) ・・・ (5B)
。
作動歯の曲線に関する式は、式2から以下のように誘導される。
Xn=2RCos(α−Ψ−nθ)−R1Cos(α+β−Ψ−2nθ)
Yn=R1Sin(α+β−Ψ−2nθ)−2RCos(α−Ψ−nθ)
・・・ (6A)。
作動歯の歯先厚の曲線、すなわち、作動ホイールの円中心を円中心とし、R2
を半径とする、刃先角2Ψに対応する弧は、下式によって決定される。
X=R2CosΨ、
Y=R2SinΨ (Ψ→−Ψ) ・・・ (6B)。
従って、かみ合い溝(式(5A)及び(5B))、及び、作動歯(式(6A)
及び(6B))に関する数学的なモデルが得られ、これらモデルにおいては、か
み合い溝の深さは、(R2−R)であり、作動歯の高さは(R2−R)であり、作
動歯の歯先厚は、S=2R2SinΨである。互いにかみ合って等しい円周2R
πだけ回転する、上述のかみ合い溝及び作動歯は、インボリュート歯と組み合わ
され、一種の実際的な機械(図6A及び図6Bに示す)を構成する。
ERMは、一種の回転機構である。その質量をバランスさせるために、完全に
中心対称的に、すなわち、周囲の間隔が均一であるように、設計するのが好まし
い。(その基本的な構造が、図6A及び図6Bに示されている。)
歯車比iが1でない場合には、ホイールAをホイールBの回りで歯がかみ合っ
たホイールが同じ周回転で回転させるためには、下式を満足しなければならない
。
上式から、以下の式が誘導される(図7A及び図7B参照)。
Raα=Rb(β−γ)。
回転角度β−γ=0であり、ホイールAのその軸線の周囲の回転角度α=0で
ある場合には、ホイールAの線R2が軸線Xと一致する。
とすると、
iα=β−γ、すなわち、
である。
図7A及び図7Bに示すように、iが1でない場合には、作動歯の歯先厚S=
2R2SinΨを得るために、ホイールAは、ホイールBの回りで、角度iΨだ
け回転しなければならず、また、かみ合い歯溝の主角度”γ”を角度iΨだけ増
大させて、Rd’がホイールBの外側半径”Rb1”と交差させなければならない
。この時に、線OO’及び軸線Xの挟角は、iα−iΨ=i(α−Ψ)である。
∠ZO
O’Rd=α−Ψであるので、∠ZOO’Rd’=ZOO’Rd+Ψ=αであり、
線O’Rd’及び軸線Xの挟角は、ω=α+i(α−Ψ)である。
すなわち、
上式において、
”Ra”は、ホイールAのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径であり、
”Rb”は、ホイールBのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径であり、
”γ”は、かみ合い溝の主半角であり、
”iΨ”は、作動歯の歯先厚の半角に対応するかみ合い溝の半角であり、
”Ψ”は、作動歯の歯先厚の半角である。
ホイールAがホイールBの回りで角度iθだけ回転すると、線OO’及び軸線
Xの挟角は、i(α−Ψ−θ)であり、ホイールAがその軸線の回りを角度θだ
け回転すると、∠OO’Rd’=α−θであり、線O’Rd’は、ω’=(α−θ
)+i(α−Ψ−θ)だけ軸線Xを含む。従って、iは1ではないので、かみ合
い溝の曲線に関する式は、式(5A)から以下のように誘導される。
Xn=(Ra+Rb)CoS[i(α−Ψ−nθ)]−R2[Cos(α−nθ)
+i(α一Ψ−nθ)]、
Yn=R2Sin[(α−nθ)+i(α一Ψ−nθ)]−(Ra+Rb)Sin
[i(α−Ψ−nθ)] ・・・ (7A)
かみ合い溝の歯底曲線は、下の式(7B)に一致する。
X=(Ra+Rb−R2)Cos(iΨ)
Y=(Ra+Rb−R2)Sin(iΨ) (Ψ→一Ψ) ・・・(7B)
作動歯の曲線座標は、式(6A)から以下のように誘導することができる。
Xn=(Ra+Rb)Cos(α−Ψ−nθ)−Rb1Cos[α+β−Ψ−n(
iθ+θ)]、
Yn=Rb1Sin[α+β−Ψ−n(iθ+θ)]−(Ra+Rb)Sin(α
−
Ψ−nθ) ・・・ (8A)。
作動歯の歯先厚の曲線は、下の式(8B)に一致する。
X=R2CosΨ、
Y=R2SinΨ (Ψ→−Ψ) ・・・ (8B)。
図7A及び図7B、並びに、式(7A)及び(8A)に示すi>1又はi<1
の歯車比は、以下の要件を満たさなければならない。
一方のインボリュートホイール(ホイールA)の円周に沿って、”na”の作
動歯が均一に分布され、また、他方のインボリュートホイール(ホイールB)の
周囲に沿って、”nb”のかみ合い溝が均一に分布されなければならない。
作動歯とホイールAのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径”Ra”との間
の挟角”ωna”によって決定される弧長は、かみ合い溝とホイールBのインボリ
ュート歯の基準ピッチ円の半径”Rb”との間の挟角”ωnb”によって決定され
る弧長に等しくなければならない。
例えば、冷蔵庫のコンプレッサに応用することのできるER(かみ合いロータ
)の実施例を以下に詳細に説明する。
作動ホイールA及び作動ホイールBが、同じ歯数、並びに、等しいモジュール
及び圧縮角度を有しており、歯車比i=1であると仮定する。
インボリュート歯を有するホイールは、以下のように設計することができる。
歯数Z=40、
モジュールm=0.5、
圧力角α=20°、
歯の間の許容体積を減少させるために、ここでは歯先すきまCを無視し、
作動歯の歯先円半径R2=13.6。
ホイールBのインボリュート歯の強度及び完全性に関して、かみ合い溝の曲線
は、4つの歯を許容するように設計され、作動歯の歯先円は、その半径がインボ
リュート歯Rb1の歯先円の半径を取り囲み、ホイールBの歯底円の半径Rfを分
割するように設計される(図9A参照)。
R2(作動歯の歯先円の半径)が交差する交差点”D”から、線OO’に直交
しこの線と交差する線を引き、Rf(ホイールBの歯底円の半径)、及び、”H
”を上記点Dから線OO’までの高さとすると、下式が得られる。
H2=R2−(R+a)2、
H2=Rf−(R−a)2、
R2 2−(R+a)2=Rf 2−(R−a)2。
上の解は、a=2.36775である。
であるので、
α=24°34’42.04”である。
であるので、
β=36°32’40.17”である。
θ=4°5’47.01”とすると、
K=6、
n=0,1,2・・・k、
γ=β−α、
γ=11°57’58.13”である。
作動歯の歯先厚の刃先角Ψ=4°2’1.87”とすると、かみ合い溝の半角
γ+Ψ=11°57’58.13”+4°2’1.87”=16°である。
上述のデータを、かみ合い溝の曲線に関する式(7A)である下式に代入する
と、
Xn=(Ra+Rb)Cos[i(α−Ψ−nθ)]−R2Cos[(α−nθ)
+i(α−Ψ−nθ)]
Yn=R2Sin[(α−nθ)+i(α−Ψ−nθ)]−(Ra+Rb)Sin
[i(α−Ψ−nθ)]、
Xn=20Cos(24°34’42.04”−4°2’1.87”−n4°
5’47.01”)−13.6Cos[2(24°34’42.04”−n4°
5’47.01”)−4°2’1.87”]、
Yn=13.6Sin[2(24°34’42.04”−n4°5’47.0
1”)−4°2’1.87”]−20Sin(24°34’42.04”−4°
2’1.87”−n4°5’47.01”)となる。
n=0であれば、
X0=20Cos(20°32’40.17”)−13.6Cos(45°7
’22.21”)
Y0=13.6Sin(45°7’22.21”)−20Sin(20°32
’40.17”)となる。
n=1であれば、
X1=20Cos(16°26’53.16”)−13.6Cos(36°5
5’48.2”)、
Y1=13.6Sin(36°55’48.2”)−20Sin(16°26
’53.16”)となる。
・・・(省略)。
n=6であれば、
X6=20Cos(−4°2’1.87”)−13.6Cos(−4°2’1
.87”)、
Y6=13.6Sin(−4°2’1.87”)−20Sin(−4°2’1
.87”)となる。
歯先厚の刃先角Ψに対応する角度Ψの残りの座標は、その中心が点Oであり、
半径2R−R2=6.4である円に基づくものであり、下に列挙する。
かみ合い溝の曲線”L”は、軸線Xと絶対的に対称な点から形成されるので、
上述の点をつないで対称的な曲線を引くことにより、溝全体を得ることができる
。
溝をインボリュート歯を有するホイールに形成すると、図9Aに示すいわゆるか
み合いホイールを得ることができる。
次に、作動歯の曲線を考える。
式(8A)において、
n=1、2・・・k(k=6)の場合には、θ=6°5’26.69”であり
、Rb1をRfで置換する。
Xn=(Ra+Rb)Cos(α−Ψ−nθ)−Rb1Cos[α+β−Ψ−n(
iθ+θ)]、
Yn=Rb1Sin[α+β−Ψ−n(iθ+θ)]−(Ra+Rb)Sin(α
−Ψ−nθ)。
上述のデータを式(8A)に代入すると、以下の式が得られる。
Xn=20Cos(24°34’42.04”−4°2’1.87”−n6°
5’26.69”)−9.5Cos(24°34’42.04”+36°32’
40.17”−4°2’1.87”−2n6°5’26.69”)、
Yn=9.5Sin(24°34’42.04”+36°32’40.17”
−4°2’1.87”−2n6°5’26.69”)−20Sin(24°34
’42.04”−4°2’1.87”−n6°5’26.69”)。
n=0であれば、
X0=20Cos(20°32’40.17”)−9.5Cos57°5’2
0.34”)、
Y0=9.5Sin(57°5’20.34”)−20Cos(20°32’
40.17”)である。
n=1であれば、
X1=20Cos(14°27’13.48”)−9.5Cos(44°54
’26.96”)、
Y1=9.5Sin(44°54’26.96”)−20Sin(14°27
’13.48”)である。
・・・(省略)。
n=6であれば、
X6=20Cos(−16°)−9.5Cos(−16°)、
Y6=9.5Sin(−16°)−20Sin(−16°)である。
歯先厚S=2R2SinΨの座標は、その中心がOであり、半径が13.6で
ある円によって表され、以下の通りである。
作動歯の曲線”J”及び”J”’は、軸線Xと絶対的に対称であるので、上述
の点をつなぎ、その対称曲線を引くことにより、作動歯を得ることができる。そ
のような作動歯をインボリュート歯を有するホイールに形成することにより、作
動ホイールが得られる。
インボリュート歯を有するホイールの形状は、伝統的な技術によって形成する
ことができるので、ここではその説明を省略する。設定定数”θ”の値は、機械
加工の精度に依存する。より正確な機械加工が必要とされると、より多くの点が
必要となり、”θ”の値が小さくなると、自然数である”k”の値が大きくなる
。
産業上の利用の可能性
かみ合いロータ機構(ERM)は、ケーシングと、2つの側部プレートと、か
み合いホイール及び作動ホイールによって形成される、閉鎖された円弧状の空所
とを備え、かみ合いホイールの円周平面は、支持面として作用する。作動ホイー
ルが、回転し始めると、作動歯によって分離されている2つの円弧状の空所の体
積が、大きい体積から小さい体積へと周期的に変化し、従って、ポンプ、モータ
及び内燃機関を形成する実質的な要件を満足する。
本発明の一対のロータを、入口及び出口並びにエンドカバーを有するケーシン
グと組み合わせることにより、液体ポンプ、気体ポンプ、並びに、真空ポンプ及
び測定ポンプの如き、種々の流体ポンプを製造することができる。本発明のロー
タの作動歯及びかみ合い溝の形状は、インボリュート歯を有するホイールのかみ
合い回転から生ずる、特殊な式によって決定されるので、インボリュート歯の特
性は、かみ合い回転を行う間に、真の作動歯及びかみ合い溝となる。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年3月20日
【補正内容】
H2=R2 2−(R+a)2、
H2=Rf 2−(R−a)2、
R2 2−(R+a)2=Rf 2−(R−a)2。
上の解は、a=2.36775である。
であるので、
α=24°34’42.04”である。
であるので、
β=36°32’40.17”である。
θ=4°5’47.01”とすると、
K=6、
n=0,1,2・・・k、
γ=β−α、
γ=11°57’58.13”である。
作動歯の歯先厚の刃先角Ψ=4°2’1.87”とすると、かみ合い溝の半角
γ+Ψ=11°57’58.13”+4°2’1.87”=16°である。
上述のデータを、かみ合い溝の曲線に関する式(7A)である下式に代入する
と、
Xn=(Ra+Rb)Cos[i(α−Ψ−nθ)]−R2Cos[(α−nθ)
+i(α−Ψ−nθ)]
Yn=R2Sin[(α−nθ)+i(α−Ψ−nθ)]−(Ra+Rb)Sin
[i(α−Ψ−nθ)]、
Xn=20Cos(24°34’42.04”−4°2’1.87”−n4°
5’47.01”)−13.6Cos[2(24°34’42.04”−n4°
5
’47.01”)−4°2’1.87”]、
Yn=13.6Sin[2(24°34’42.04”−n4°5’47.0
1”)−4°2’1.87”]−20Sin(24°34’42.04”−4°
2’1.87”−n4°5’47.01”)となる。
n=0であれば、
X0=20Cos(20°32’40.17”)−13.6Cos(45°7
’22.21”)
Y0=13.6Sin(45°7’22.21”)−20Sin(20°32
’40.17”)となる。
n=1であれば、
X1=20Cos(16°26’53.16”)−13.6Cos(36°5
5’48.2”)、
Y1=13.6Sin(36°55’48.2”)−20Sin(16°26
’53.16”)となる。
・・・(省略)。
n=6であれば、
X6=20Cos(−4°2’1.87”)−13.6Cos(−4°2’1
.87”)、
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CZ,D
E,DK,ES,FI,GB,GE,HU,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LK,LT,LU,LV,
MD,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,P
T,RO,RU,SD,SE,SI,SK,TJ,TT
,UA,US,UZ,VN
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. かみ合いホイールと、作動ホイールとを備え、前記かみ合いホイールの外 周に沿って、インボリュート歯及びかみ合い歯溝が設けられ、また、前記作動ホ イールの外周に沿って、インボリュート歯及び作動歯が設けられており、前記作 動歯の高さは、前記インボリュート歯の高さよりも大きく、前記かみ合い歯溝の 深さも、前記インボリュート歯の間の間隔よりも大きく構成され、互いにかみ合 ってケーシングの中で回転することができる一対のかみ合いロータであって、 前記作動ホイールの作動歯の形状は、下式によって決定され、 Xn=(Ra+Rb)Cos(α−Ψ−nθ)−Rb1Cos[α+β−Ψ−n( iθ+θ)]、 Yn=Rb1Sin[α+β−Ψ−n(iθ+θ)]−(Ra+Rb)Sin(α −Ψ−nθ)、 作動歯の歯先円の厚みの曲線は、作動ホイールの円中心を中心とし、R2を半 径とした場合に、刃先角2Ψに相当する円弧によって、下式のように決定され、 X=R2CosΨ、 Y=R2SinΨ (Ψ→−Ψ)、 前記かみ合いホイールの前記かみ合い歯溝の形態は、以下の関数式で決定され 、 Xn=(Ra+Rb)Cos[i(α−Ψ−nθ)]−R2Cos[(α−nθ) +i(α−Ψ−nθ)]、 Yn=R2Sin[(α−nθ)+i(α−Ψ−nθ)]−(Ra+Rb)Sin [i(α−Ψ−nθ)]、 前記かみ合い歯溝の歯底の曲線は、円中心(前記かみ合いホイールの)が円中 心であり、半径(Ra+Rb−R2)を半径とすると、歯先厚の刃先角2Ψに相 当する角度(2iΨ)によって形成される円弧によって、下式のように決定され 、 X=(Ra+Rb−R2)Cos(iΨ)、 Y=(Ra+Rb−R2)Sin(iΨ) (Ψ→−Ψ)、 前記かみ合いホイールの円周に沿って、”nb”の溝が均一に分布され、また 、 前記作動ホイールの円周に沿って、”na”の作動歯が均一に分布されており、 角度”ωna”(作動歯の間の角度)と前記作動ホイールのインボリュート歯の基 準ピッチ円の半径”Ra”とによって決定される弧は、角度”ωnb”(かみ合い 歯溝の間の角度)とかみ合いホイールのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径 ”Rb”とによって決定される円弧に等しく、この場合には、以下の条件を満足 し、 ”na,nb”は、正の整数であり、 ”Ra”は、ホイールAのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径を表し、 ”Rb”は、ホイールBのインボリュート歯の基準ピッチ円の半径を表し、 ”R2”は、ホイールAの作動歯の歯先円の半径を表し、 ”Rb1”は、ホイールBのインボリュート歯の歯先円の半径を表し、 ”a”は、点”Rd”を通る線及びその直交する線OO’の交点と円Ra及び 円Rbの接触点との間の距離を表し、 ”i”は、歯数比を表し、 ”Ψ”は、作動歯の歯先厚の半角を表し、 ”γ”は、かみ合い歯の溝の主半角を表し、 ”θ”は、設定定数を表し、 ”n”は、n=0,1,2・・・k(”k”は自然数)を表し、 ”α”は、 を表し、 ”β”は、 を表すことを特徴とする一対のかみ合いロータ。
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