JPH09500894A - 安定化された免疫グロブリンの調製物と、その調製方法 - Google Patents
安定化された免疫グロブリンの調製物と、その調製方法Info
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- JPH09500894A JPH09500894A JP7505621A JP50562194A JPH09500894A JP H09500894 A JPH09500894 A JP H09500894A JP 7505621 A JP7505621 A JP 7505621A JP 50562194 A JP50562194 A JP 50562194A JP H09500894 A JPH09500894 A JP H09500894A
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Abstract
(57)【要約】
液体状態を維持するための安定剤として非イオン性界面活性剤を0.1 g/l 以下の濃度で含み、アルブミンを実質的に含まないヒトまたは動物の免疫グロブリン、特にポリクローン性免疫グロブリン調製物。
Description
【発明の詳細な説明】
安定化された免疫グロブリンの調製物と、その調製方法
本発明はヒトまたは動物の免疫グロブリン(Ig)、特に、血液のポリクローン性
免疫グロブリン調製物に関するものである。本発明は、さらに、免疫グロブリン
の安定化方法に関するものである。
免疫グロブリンは予防と治療で広く利用されているが、それを静脈注射投与す
る場合にはその抗補体活性(Igを変性して集塊およびポリマーを形成させる)を
できる限り抑制する必要がある。
ファルマヨーロッパ(Pharmeuropa (3 (4),1991年12月,259-268))で公開
された欧州規格では、静脈注射で投与するためのイムノグロブリン溶液は集塊お
よびポリマーの含有率が全蛋白質の3%以下で、抗補体活性がIg 1mg当たり1CH
50単位以下であることが要求される。
集塊の形成は免疫グロブリン溶液の調製時のみに生じるのではなく、それを液
体で保存する間、特に、その操作中にも生じる。すなわち、免疫グロブリンは液
体/気体界面および液体/固体界面で変性する傾向があり、その結果、可溶性ま
たは不溶性の集塊を生じて抗補体活性が上昇する。
フランス国特許第 2,301,266号に記載の医薬としての静脈注射可能なγグロブ
リンはγグロブリンをグリシンとアルブミンとを含む緩衝剤水溶液に溶かして調
製される。また、この特許では表面変性(液体/空気界面または液体/固体界面
での)を防止または軽減するために、得られた薬剤調製物に非イオン性
界面活性剤を添加することを提案している。この特許で提案されている界面活性
剤はトゥイーン(Tween) 化合物またはプルロニック(Pluronic) 68 である。明細
書に記載された唯一の実施例では Tween 80 を 0.1%すなわち1g/l の濃度で使
用することが推奨されている。従って、γグロブリン製剤ではグリシンと、アル
ブミンと、濃度1g/l 程度の非イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用する必
要がある。
欧州特許第 448 075号にはメンブレン濾過によって静脈注射用 Ig 調製物を製
造する方法が記載されている。この方法では界面活性剤の安定剤、例えばプルロ
ニック(Pluronic)等の非イオン性界面活性剤を用いて濾過中のIgの変性を防いで
いる。推奨されている安定剤の濃度は 0.5〜50g/l であり、最終生成物中には非
常に高濃度な界面活性が含有されることになる。
レビン(H.L.Levin) 達の「J.of Parenteral Science and Technology」、
第45巻、(3) 1991年 5−6 月、第 160〜165頁には攪拌試験で低濃縮のモノクロ
ーナル抗体溶液の表面変性を防止するための非イオン性界面活性剤の効果に関す
る研究が報告されたいる。著者達は 0.1%程度すなわち1g/l に対応する濃度が
効果的な濃度であると報告しているが、0.1g/l の濃度では保護効果は全く得ら
れない。
このような高濃度の表面活性剤は静脈注射の場合には深刻な問題を消磁させる
ということが分かっている。事実、米国特許第 4,439,421号には、血液細胞に対
する安全上の理由から上記フランス国特許に対応する米国特許第 4,093,606号に
記載のような非イオン性界面活性剤は用いるべきでないと記載されている。この
ことはクランツ(J.C.Krants)達が「J.Pharmacol Exp.Ther.」、93、1948、
第188〜195頁で行ったトゥイーン 20
(Tween 20)の濃度1g/lでの溶血力に関する研究と一致する。
上記米国特許は数種類の安定剤、高分子、タンパク質および低分子量ポリオー
ルを組み合わせて、凍結乾燥用Ig溶液を安定化する方法を提案している。ポリエ
チレングリコールをヒトアルブミンおよびグルコースと組み合わせるのが好まし
い。
事実、アルブミンは免疫グロブリン用の効果的な安定剤となることは知られて
いる。しかし、現在の医薬の流れは、ウィルス汚染の危険のあるヒトや動物由来
の物質の使用はできるだけ避けるのが望ましいとされている。
本出願人は、驚くべきことに、非イオン性界面活性剤を非常に低濃度で用いる
ことによって、アルブミンのような従来の安定剤を用いずに安定化された液体状
の免疫グロブリン溶液を調製することができるということを見出した。
従って、本発明の対象は、液体状で保存するための安定剤として非イオン性の
界面活性剤を 0.1g/l以下の濃度で含み、実質的にアルブミンを含まない、ヒト
または動物の免疫グロブリン、特にポリクローン性免疫グロブリン、特にポリク
ロナール性 IgG の調製物にある。
「実質的にアルブミンを含まない」とは、セルロールアセテート電気泳動を用
いたファーマヨーロッパ(Pharmeuropa) の方法でアルブミンが全く検出されない
ことを意味する。これはアルブミンの量でIgG の1%以下に相当する。
非イオン性界面活性剤の濃度は約0.02〜0.05g/l、好ましくは0.025 g/lオーダ
ーであるのが望ましい。
本発明調製物は30〜120 g/lの免疫グロブリンを含有するのが好ましい。
非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンモノ
オレアート(20)、デカエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート(20)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプ
ロピレン混合コポリマーおよびポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコー
ルラウレート 600である。
本発明調製物は、従来のような一般的な凍結乾燥安定剤、例えば蔗糖を50〜10
0 g/l の濃度でさらに含むことができる。
本発明の免疫グロブリン調製物は現在の基準で推奨される他の特性、例えば 4
.0〜7.4 のpH、 280 mosmol/kg以上の浸透性〔浸透活性を有する溶質、例えば
、無機塩(塩化ナトリウム等)、糖(グルコース、蔗糖、マルトース等)、糖−
アルコール(マンニトール、ソルビトール)またはアミノ酸(グリシン等)の添
加〕を有するのが好ましい。
本発明で得られる調製物は、静脈投与用Ig溶液の使用安全基準すなわちバクテ
リアおよび菌類の繁殖が無く、非発熱性で、集塊およびポリマーの含有率が低く
、補体活性が低いことを満足している。
本発明調製物中に存在する免疫グロブリンは、従来の蛋白質の分画法で血漿、
血清または胎盤から得ることができ、必要な場合にはさらに集塊およびポリマー
の含有率を下げる処理および/または調製物の抗補体を減少させる処理(例えば
ペプシンまたはプラスミンを用いた緩やかな処理、酸性pHでの分割、還元およ
び/またはアルキル化による化学的変性またはPEGを用いた集塊およびポリマ
ーの沈澱)を加えてもよい。
本発明調製物はそのまま使用可能な溶液であり、従って液体で保存するか、凍
結乾燥した濃縮物を使用直前に溶かして溶液にすることもできる。
本発明は、さらに、ヒトまたは動物のポリクローン性免疫グロブリン調製物の
安定化方法に関するものである。本発明方法では、最終調製物中での濃度を0.1
g/l となるように液体状態で保存するための非イオン性安定剤を調節物に添加す
る。非イオン性界面活性剤は約0.02〜0.05g/lの濃度、好ましくは0.025g/l 程度
の濃度で添加するのが好ましい。非イオン性界面活性剤は上記のものから選択す
ることができる。界面活性剤はバイヤル瓶に最後に封入する直前に添加するのが
好ましいが、Igの抽出・精製プロセスの早い段階で添加することもできる。
以下、本発明の免疫グロブリン調製物を用いて行った試験を詳細に説明する。
攪拌テストで静脈投与用Igのバイヤル瓶を乱暴に取扱った条件をシミュレート
した。50ml容のI型ホウ珪酸塩ガラス瓶に無菌状態で20mlの滅菌済みのIg溶液(
50 g/1)を充填し、バイヤル瓶に室温20℃で、1〜2時間、振動/オルタネーテ
ィング型のシェーカーで1分間に80回の水平振動を与えた。
溶液の抗補体活性(AcA) は上記「ファーマヨーロッパ」に記載の試験法で測定
した。試験1
トゥイーン (Tween80)の保護効果 静脈注射用Ig溶液の組成物
:
Ig :50g/l
蔗糖 :100g/l
NaCl :1g/l
pH :4.3
トゥイーン(Tween 80)の濃度 : 0〜100 mg/l
結果:
明らかな保護効果は25mg/l以上の場合に見られる。この効果は100mg/lの界面
活性剤を用いた場合ほぼ完全になる。試験2
トリトン(Triton) X 100の保護効果
試験1と同じにしたが、界面活性剤としてトゥイーン(Tween)80の代わりにト
リトン(Triton) X 100を用いた。
結果
最低の試験濃度すなわち25mg/lで完全な保護効果が得られる。試験3
トゥイーン (Tween80)の保護効果
実施例1と同じにしたが、攪拌時間を2時間でなく1時間にした。
結果
このより緩やかな試験ではIgを完全に保護するには25mg/lのトゥイーン(Tween
) で十分である。試験4
アルブミンの保護効果
試験1と同じにしたが、保護物質としてトゥイーン(Tween)80の代わりにヒト
アルブミンを使用した。
結果
アルブミンは 100〜1000mg/lの濃度でIgに対する保護効果を発揮しはじめる。
好ましい非イオン性界面活性剤
トゥイーン(Tween)80 : Atlas製のポリオキシエチレンソルビタンオレイルエス
テル
トリトン(Triton) X 100:Rhom and Haas 製のポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル
トゥイーン(Tween) 20:ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル
プロニック(Pluronic) F 68 :Ugine Kuhlmann製のポリオキシエチレンおよびポ
リオキシプロピレンコポリマー
ポリエチレングリコールラウレート600 :Gattefosse製
トゥイーン(Tween)80 は毒性がなく、医薬品または食品配合物としての報告が
多い点で好ましい(シック(M.Schick) 編「非イオン性界面活性剤」 Marcel D
ekker NY,1967,28,923-970参照)。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年7月11日
【補正内容】
界面活性剤を添加することを提案している。この特許で提案されている界面活性
剤はトゥイーン(Tween) 化合物またはプルロニック(Pluronic) 68 である。明細
書に記載された唯一の実施例では Tween 80 を 0.1%ずなわち1g/l の濃度で使
用することが推奨されている。従って、γグロブリン製剤ではグリシンと、アル
ブミンと、濃度1g/l 程度の非イオン性界面活性剤とを組み合わせて使用する必
要がある。
1981年3月の日本国特許のアブストラクト5、第41 (C-047)、18には、調製物
の凍結乾燥時に確実に安定化させるために界面活性剤を添加した抗 HB 免疫グロ
ブリン調製物が開示されている。推奨されている界面活性剤濃度は 0.1 g/l〜0.
5 g/l である。
WO-A-8,911,297号に開示の凍結乾燥モノクローナル抗体組成物の特許には界面
活性剤の使用に関する記載はない。
ドイツ国特許第DE-A-3,208,523号には保護の目的でなく集塊
を用いる方法が記載されている。この特許には界面活性特性についての記載はな
く、免疫グロブリンを変性から保護する性質
非常に高くなる。
欧州特許第 448 075号にはメンブレン濾過によって静脈注射用 Ig 調製物を製
造する方法が記載されている。この方法では界面活性剤の安定剤、例えばプルロ
ニック(Pluronic)等の非イオン性界面活性剤を用いて濾過中のIgの変性を防いで
いる。推奨されている安定剤の濃度は 0.5〜50g/l であり、最終生成物中には非
常に高濃度な界面活性が含有されることになる。
レビン(H.L.Levin) 達の「J.of Parenteral Science and
Technology」、第45巻、(3) 1991年 5-6 月、第 160〜165頁には攪拌試験で低濃
縮のモノクローナル抗体溶液の表面変性を防止するための非イオン性界面活性剤
の効果に関する研究が報告されたいる。著者達は 0.1%程度すなわち1g/l に対
応する濃度が効果的な濃度であると報告しているが、0.1g/l の濃度では保護効
果は全く得られない。
このような高濃度の表面活性剤は静脈注射の場合には深刻な問題を消磁させる
ということが分かっている。事実、米国特許第 4,439,421号には、血液細胞に対
する安全上の理由から上記フランス国特許に対応する米国特許第 4,093,606号に
記載のような非イオン性界面活性剤は用いるべきでないと記載されている。この
ことはクランツ(J.C.Krants)達が「J.Pharmacol Exp.Ther.」、93、1948、
第188〜195頁で行ったトゥイーン 20
請求の範囲
1.液体状態で保持するための安定剤として非イオン性界面活性剤を 0.1 g/l以
下の濃度で含み、アルブミンを実質的に含まないヒトまたは動物の免疫グロブリ
ン、特にポリクローン性免疫グロブリン調製物。
2.非イオン性界面活性剤の濃度が約0.02〜0.05g/l、好ましくは約0.025 g/l
である請求項1に記載の調製物。
3.30〜120 g/lの免疫グロブリンを含有する請求項1または2に記載の調製物
。
4.非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(20)、
デカエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノラウレート(20)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン混合コポ
リマーおよびポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコールラウレート600
で構成される群の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の調製物
。
5.凍結乾燥用安定剤を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の調製物。
6.液体で貯蔵するための安定剤としての非イオン性界面活性剤を最終調製物で
の濃度が 0.1g/l以下となるように調製物に添加することを特徴とするアルブミ
ンを実質的に含まないポリクローン性免疫グロブリン調製物の安定化方法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 マクラ,マリー−フランス,マルグリト,
アンドレ
フランス国 69005 リヨン リュ ドゥ
トゥールヴィエール 18デー
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.液体状態で保持するための安定剤として非イオン性界面活性剤を 0.1 g/l以 下の濃度で含み、アルブミンを実質的に含まないヒトまたは動物の免疫グロブリ ン、特にポリクローン性免疫グロブリン調製物。 2.非イオン性界面活性剤の濃度が約0.02〜0.05g/l 、好ましくは約0.025 g/l である請求項1に記載の調製物。 3.30〜120 g/l の免疫グロブリンを含有する請求項1または2に記載の調製物 。 4.非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(20)、 デカエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビ タンモノラウレート(20)、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン混合コポ リマーおよびポリオキシエチレンおよびポリエチレングリコールラウレート600 で構成される群の中から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の調製物 。 5.凍結乾燥用安定剤を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の調製物。 6.液体で貯蔵するための安定剤としての非イオン性界面活性剤を最終調製物で の濃度が0.1g/l以下となるように調節物に添加することを特徴とするポリクロ ーン性免疫グロブリン調製物の安定化方法。
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