JPH0949029A - 深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH0949029A
JPH0949029A JP22265295A JP22265295A JPH0949029A JP H0949029 A JPH0949029 A JP H0949029A JP 22265295 A JP22265295 A JP 22265295A JP 22265295 A JP22265295 A JP 22265295A JP H0949029 A JPH0949029 A JP H0949029A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 自動車用鋼板として好適な深絞り性に優れた
高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得る。 【解決手段】 C,Si,Mn,P,S,Mo,AL,
N,B,Ti,Nb,V,Zrを特定した鋼スラブに熱
延巻取り温度を450〜700℃とする熱間圧延を施
し、冷間圧延後に連続溶融亜鉛めっき設備のインライン
焼鈍で加熱速度5〜30℃/秒,焼鈍温度Ac1 変態点
〜920℃,均熱時間40〜120秒,焼鈍温度から5
00℃までの平均冷却速度40℃/秒以上の連続焼鈍を
施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用内板等として
使用され、高強度で且つプレス成形性に優れた高強度溶
融亜鉛めっき鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用鋼板として、安全性,車体重量
の軽減,素材使用量の削減等から高強度鋼板が広く使用
されている。この自動車用鋼板は、厳しい成形加工が施
されることから、良好なプレス成形性、特に深絞り性の
指標であるランクフォード値が高いことが要求される場
合が多い。高強度の冷延鋼板については、従来から多く
の提案がされている。たとえば、特開昭62−2052
31号公報では、低炭素鋼にSi,Mn及びPを添加
し、熱間圧延の条件を適正化することにより、490N
/mm2 級以上の高強度を得ている。しかし、この鋼板
は、ランクフォード値が約1.0程度であり、深絞り性
に劣る。深絞り性を改善する手段として、特公昭62−
34804号公報では、極低炭素鋼にTiを添加したも
のをベースとして少量のMn等を添加し、且つ冷延及び
焼鈍条件を適正化している。この方法によるとき、約
2.0程度のランクフォード値が得られるが、鋼材の強
度レベルが390N/mm2 以下と低くなっている。ま
た、自動車用鋼板としては、耐食性が要求されることか
ら溶融亜鉛めっき鋼板が広く使用されており、高ランク
フォード値をもつ溶融亜鉛めっき鋼板についても特開昭
62−260046号公報等で提案されている。しか
し、従来の方法で製造される溶融亜鉛めっき鋼板の強度
は、390N/mm2 以下と低く、自動車用鋼板として
要求される特性を十分に満足していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法で高強度化
しようとするとランクフォード値が低くなり、鋼板の成
形性が劣化する。逆に、成形性を改良するためにランク
フォード値を上げた場合には、強度が不足する傾向にあ
る。このように相反する傾向を示す強度及びランクフォ
ード値を共に改善する方法は、これまでのところ実用化
されていない。そのため、強度及びランクフォード値の
何れか一方に重点をおいた鋼材の選択を余儀なくされ
る。本発明は、このような問題を解消すべく案出された
ものであり、焼鈍時における集合組織変化を利用してラ
ンクフォード値を高めることにより、自動車用鋼板とし
て要求される490N/mm2 以上の高強度をもち、且
つランクフォード値が1.4以上を示す深絞り性に優れ
た高強度溶融亜鉛めっき鋼板を得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の高強度溶融亜鉛
めっき鋼板製造方法は、その目的を達成するため、C:
0.001〜0.01重量%,Si:2.0重量%以
下,Mn:1.0〜4.0重量%,P:0.05〜0.
20重量%,S:0.02重量%以下,Mo:0.00
5〜0.5重量%,酸可溶Al:0.005〜0.1重
量%,N:0.007重量%以下及びB:0.0005
〜0.003重量%を含み、更にTi:[(48/1
2)×%C+(48/14)×%N+(48/32)×
%S]〜0.1重量%,Nb:0.01〜0.1重量
%,V:0.01〜0.1重量%,Zr:0.01〜
0.1重量%の1種又は2種以上を含み、残部は実質的
にFeからなる組成をもつ鋼スラブに熱延巻取り温度を
450〜700℃とする熱間圧延を施し、冷間圧延後に
連続溶融亜鉛めっき設備のインライン焼鈍で加熱速度5
〜30℃/秒,焼鈍温度Ac1 変態点〜920℃,均熱
時間40〜120秒,焼鈍温度から500℃までの平均
冷却速度40℃/秒以上の連続焼鈍を施し、ポリゴナル
フェライト組織と擬ベイナイト組織との混合組織又は擬
ベイナイトの単相組織にすることを特徴とする。使用さ
れる鋼スラブは、更にCu:0.1〜0.4重量%及び
/又はNi:0.1〜0.4重量%を含むこともでき
る。
【0005】
【作用】本発明者等は、インライン焼鈍型の連続式溶融
亜鉛めっき設備での焼鈍工程における組織変化が強度や
ランクフォード値に及ぼす影響を調査・研究した。その
結果、オーステナイト形成元素であるMnを含ませた極
低炭素Ti含有鋼では、適正条件下の焼鈍を施すことに
より490N/mm2 以上の高強度及び1.4以上のラ
ンクフォード値が得られることを見い出した。すなわ
ち、極低炭素Ti含有鋼にオーステナイト形成元素であ
るMnを含ませ、鋼の変態点を低下させるとき、連続焼
鈍工程でα+γ二相域又はγ単相域の焼鈍が比較的容易
になる。そこで、加熱過程におけるα→γ変態時の集合
組織変化及び冷却過程におけるγ→α変態時の集合組織
変化を利用することにより、焼鈍の加熱過程で生じる再
結晶集合組織が高ランクフォード値化される。
【0006】また、冷却過程におけるγ→α’変態のミ
クロ組織変化を利用して、焼鈍後の組織をポリゴナルフ
ェライト相と擬ベイナイト相の二相、又は擬ベイナイト
単相とすることにより、高強度化が図られる。擬ベイナ
イト相は、極低炭素鋼をAc1 変態点以上に加熱し、均
熱後、急冷した場合に得られる変態組織であり、低炭素
鋼等で得られているベイナイト組織に似た組織である。
擬ベイナイト相は、ポリゴナルフェライト組織と比較し
て転位密度が高く、高強度をもっている、また、ランク
フォード値の改善に有効な{554}変態集合組織も発
達している。本発明は、焼鈍時におけるこれらの変態を
有効に活用するため、極低炭素Ti含有鋼に所定量のM
nを含ませた鋼スラブを使用する。そして、鋼スラブに
熱延巻取り温度450〜700℃の熱間圧延を施し、冷
延後に得られた冷延鋼板に加熱速度,焼鈍温度,焼鈍時
間,焼鈍温度から亜鉛浴に浸漬する冷却速度等を適正化
した条件下で溶融亜鉛めっきするとき、強度及びプレス
成形性の双方が改善された深絞り用高強度溶融亜鉛めっ
き鋼板が得られることを見い出した。
【0007】以下、本発明で使用する鋼材に含まれる合
金元素,含有量,製造条件等に付いて説明する。 C:0.001〜0.01重量% 深絞り性や延性を改善する上では、C含有量は少ないほ
ど好ましい。また、炭化物,窒化物,炭窒化物,炭硫化
物等として固定されることによっても、加工性に及ぼす
Cの悪影響を抑制できる。しかし、C含有量が0.01
重量%を超えると、Cの固定に必要なTiやNb等の添
加量が増大し、鋼材コストを上昇させる原因となるばか
りでなく、ランクフォード値の向上にも不利となる。し
かし、C含有量を0.001重量%未満まで下げること
は、製鋼過程における製造コストを上昇させる。 Si:2.0重量%以下 鋼板の強度を上げる有効な合金元素である。しかし、
2.0重量%を超えるSi含有量では、延性及びランク
フォード値が大きく低下する。なお、Si含有量が0.
5重量%以上になると、溶融亜鉛めっき性が低下し、不
めっき等の欠陥が発生し易くなる。この種の欠陥発生を
もたらす溶融亜鉛めっき性の低下は、冷間圧延後に電気
めっきを施すことにより改善される。
【0008】Mn:1.0〜4.0重量% オーステナイト形成元素であり、Mn含有量が増大する
と変態点が低下し、α+γ二相又はγ単相が比較的低温
焼鈍でも容易に得られるようになる。本発明において
は、焼鈍時に形成される再結晶集合組織を加熱過程のα
→γ変態及び冷却過程のγ→α変態の集合組織変化を利
用し、高ランクフォード値化を図る。また、冷却過程の
γ→α変態によるミクロ組織変化により、高強度化が図
られる。高いランクフォード値が示される理由は明らか
でないが、加熱過程で形成される再結晶集合組織と、α
+γ二相又はγ単相における比較的低い温度の焼鈍によ
って生じる強いγの集合組織、更に冷却過程のγ→α変
態を急冷することによるバリアント選択により、ランク
フォード値と相関のある強い{554}〈225〉方位
の変態集合組織が形成されることによるものと推察され
る。また、高強度化を示す理由は、γ→α変態を急冷す
ることにより、細粒のポリゴナルフェライト相と転位密
度が高く硬質となる擬ベイナイト層の二相組織又は擬ベ
イナイト単相組織が得られるためと推察される。以上の
作用を得るためには、Mnを1.0重量%以上含ませる
ことが必要である。しかし、4.0重量%を超えるMn
含有量では、鋼板の延性が大きく低下する。
【0009】Mo:0.005〜0.5重量% 焼入れ性を向上させる元素であり、Mo含有によって金
属組織の微細化及び変態組織(擬ベイナイト組織)の形
成が容易になる。そのため、連続焼鈍後の組織は、微細
なポリゴナルフェライト組織と変態組織(擬ベイナイト
組織)の混合組織、又は変態組織(擬ベイナイト組織)
の単相組織を呈し、鋼板を高強度化する。また、変態組
織(擬ベイナイト組織)の形成に伴った集合組織の変化
により、{554}<225>方位の変態集合組織が強
く形成され、ランクフォード値が高くなる。このような
作用を得るためには、0.005重量%以上のMoを含
有させることが必要である。しかし、0.5重量%を超
える多量のMoが含まれると、延性が大きく低下し、圧
延性や加工性が劣化する。 P:0.05〜0.20重量% 鋼板の強度を上げる有効な合金元素であるが、0.05
重量%以上でPの効果が顕著になる。しかし、0.20
重量%を超えて多量のPが含まれると、プレス加工時に
二次加工割れが著しく助長される。
【0010】S:0.02重量%以下 Mnと結合して非金属介在物を形成し、プレス加工時に
加工割れ等の欠陥を発生させ易くなる。また、Tiと反
応してTiSを形成することにより、Cの固定に必要な
Ti量を増加させる原因ともなる。したがって、S含有
量は低ければ低いほど好ましく、本発明ではその上限を
0.02重量%に規定した。 酸可溶Al:0.005〜0.1重量% 製鋼過程における脱酸剤として必要な添加元素であり、
所定の脱酸効果を得るためには0.005重量%以上の
Alが必要である。しかし、0.1重量%を超える多量
のAl含有量では、Al23 等の介在物が増加し、加
工性や表面品質を劣化させる。 N:0.007重量%以下 固溶Nとして残存すると深絞り性を劣化させることか
ら、TiやNbにより固定化する。しかし、N含有量の
増加に伴ってTiNの析出量が多くなり、{554}再
結晶集合組織の発達が抑制される。そこで、本発明にあ
っては、N含有量の上限を0.007重量%に規定し
た。
【0011】B:0.0005〜0.003重量% 結晶粒界にPよりも優先的に位置し、Pの偏析に起因し
た粒界脆性、ひいてはプレス成形性の劣化を抑制する。
この効果は、0.0005重量%以上のB含有で顕著と
なる。しかし、0.003重量%を超えるB含有量で
は、粒成長が阻害され、鋼板のランクフォード値や延性
が低下する。 Ti:[(48/12)×%C+(48/14)×%N +(48/32)×%S]〜0.1重量% C,N及びSを固定して延性や加工性を改善すると共
に、ランクフォード値を高くする{554}方位の再結
晶集合組織を発達させる作用を呈する。これら作用は、
C,N及びSの固定に必要な量以上のTi含有量で得ら
れるが、0.1重量%で飽和する。
【0012】Nb,V,Zr:0.01〜0.1重量% 何れもCを固定し、{554}方位の再結晶集合組織を
発達させる作用を呈する。これらの作用は、0.01重
量%以上の含有量で顕著になるが、0.1重量%で飽和
する。 Cu:0.1〜0.4重量% 必要に応じて添加される合金元素であり、鋼板の耐食性
を改善する作用を呈する。Cuの作用は、0.1重量%
以上の含有量で顕著になる。しかし、0.4重量%を超
える多量のCuが含まれると、耐食性改善効果が飽和す
るばかりでなく、延性も大きく低下する。 Ni:0.1〜0.4重量% 必要に応じて添加される合金元素であり、Cuに起因し
た熱間脆性を防止し、熱延時に高温割れの発生を防止す
る。Niの添加は、耐食性の改善にも有効に働く。特に
Cu添加鋼にあっては、熱間赤熱脆性を防止するため、
Cuと同量のNiを添加することが好ましい。しかし、
0.4重量%を超えるNi含有量は、Ni添加の効果が
飽和するばかりでなく、高価なNiを多量に消費するこ
とから鋼材のコストが上昇する。
【0013】以上の組成を持つ鋼材を転炉,電気炉等で
溶製した後、スラブに連続鋳造する。得られたスラブ
は、そのまま直送し、或いは一旦冷却して冷片却とした
後、熱間圧延される。 熱間圧延 熱間圧延温度及び熱延仕上げ温度は、特に限定されるも
のでないが、Ar3変態点以上で圧延を終了することが
好ましい。ただし、熱延巻取り温度は、450〜700
℃の範囲に設定する。巻取り温度を700℃以下とする
ことにより、熱延板の細粒化及び強い熱延集合組織を形
成することができる。この熱延板の細粒化及び強い熱延
集合組織は、焼鈍時の再結晶集合組織である{554}
〈225〉方位への集積度を高める。しかし、450℃
を下回る熱延巻取り温度では、巻取り後の板形状に不良
が発生し易くなる。
【0014】連続式溶融亜鉛めっき 熱間圧延後の鋼板は、常法に従って酸洗・冷間圧延さ
れ、インライン焼鈍型の連続式溶融亜鉛めっき工程に送
られる。Siを0.5重量%以上含む冷延鋼板は、溶融
亜鉛めっき性を向上させるため電気めっきを施し、イン
ライン焼鈍型の連続式溶融亜鉛めっき設備で還元焼鈍及
び溶融亜鉛めっき処理されることが好ましい。電気めっ
きは、還元焼鈍時に生成する易酸化性元素Siの酸化物
に起因する不めっき等のめっき欠陥を防止する。具体的
には、Ni,Fe,Fe−B,Fe−P等のプレめっき
層が電気めっきにより形成される。還元工程では、変態
直前に再結晶を完了させるため加熱速度の上限を30℃
/秒に設定した。他方、極端に遅い加熱速度では、再結
晶粒が粗大化することから、下限を5℃/秒と設定し
た。変態時の集合組織変化及びミクロ組織変化を利用し
て特性の改善を図るため、Ar1 変態点以上の温度で焼
鈍する。しかし、920℃を超える焼鈍温度では、通常
の焼鈍設備を用いた生産が困難になる。また、結晶粒の
粗大化及びランクフォード値に悪影響を及ぼす変態集合
組織の形成を抑制するため、焼鈍時の均熱時間を40〜
120秒にすることが必要である。均熱後の冷却速度
は、深絞り性に有効な集合組織及び高強度化に有効な擬
ベイナイト組織の生成・発達に関係する。冷却速度を4
0℃/秒以上に設定すると、これら集合組織や擬ベイナ
イト組織が発達し、深絞り性の改善及び高強度化が図ら
れる。他方、40℃/秒に満たない冷却速度では、必要
な集合組織や擬ベイナイト組織が十分に成長しない。
【0015】
【実施例】
実施例1:表1に示した組成の鋼1〜17を溶製し、ス
ラブ加熱温度1250℃,仕上げ温度920℃,熱延巻
取り温度550℃の条件で熱間圧延した。得られた熱延
板を酸洗した後、板厚1mmまで圧下率75%の冷間圧
延を施した。次いで、連続式溶融亜鉛めっきラインにお
いて、加熱速度10℃/秒,焼鈍温度900℃,均熱時
間60秒,焼鈍温度から500℃までの平均冷却速度5
0℃/秒の条件下で還元焼鈍し、溶融亜鉛めっきした。
【0016】
【表1】
【0017】得られた溶融亜鉛めっき鋼板に伸び率1%
の調質圧延を行った後、JIS 5号試験片を切り出
し、機械的性質を調査した。調査結果を示す表2にみら
れるように、本発明に従った鋼1〜12は、何れも49
0N/mm2 以上の高い強度をもち、強度−延性バラン
スに優れ、しかも1.4以上の高ランクフォード値を示
していた。これに対し、比較鋼13〜17は、C,S
i,Mn,P,Mo及びTiの何れかが本発明で規定し
た範囲を外れていることから、ランクフォード値が大き
く低下していた。
【0018】
【表2】
【0019】実施例2:表1に掲げた鋼種番号2のスラ
ブを熱間圧延し、酸洗後、圧下率75%の冷間圧延を施
し、連続式溶融めっきラインで還元焼鈍して溶融めっき
を施した。還元焼鈍の条件を、熱延時の巻取り温度と共
に表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】得られた溶融亜鉛めっき鋼板に伸び率1%
の調質圧延を施した後、JIS 5号試験片を切り出
し、機械的性質を調査した。調査結果を示す表4にみら
れるように、本発明で規定した条件下で溶融亜鉛めっき
時の還元焼鈍を施したものでは、何れも490N/mm
2 以上の引張り強さをもち、ランクフォード値も1.4
4以上の高い値を示した。これに対し、熱延工程の巻取
り温度又は溶融めっき工程での還元焼鈍条件が本発明で
規定した範囲を外れる工程5〜8で得られた溶融めっき
鋼板は、ランクフォード値が大きく低下していた。
【0022】
【表4】
【0023】実施例3:耐食性を調査するため、本発明
鋼のうちCuを含有する鋼材番号6,11,12、及び
比較鋼のうちCuを含有しない鋼材番号14の溶融亜鉛
めっき鋼板を腐食試験に供した。試験片は、70mm×
150mmのサイズをもち、端面及び裏面をポリエステ
ルテープでシールした。腐食試験は、JIS Z237
1の塩水噴霧試験に準じ、濃度0.5%の塩水噴霧2時
間→60℃の熱風乾燥4時間→JIS C1234の湿
潤2時間の合計8時間を1サイクルとし、300サイク
ル繰り返す複合腐食試験を行った。そして、腐食試験後
の最大侵食深さを測定し、その大きさで耐食性を評価し
た。調査結果を示す表5にみられるように、本発明鋼
は、比較鋼に比べて最大侵食深さが浅く、耐食性に優れ
ていることが判る。
【0024】
【表5】
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、Mnを添加することにより変態点を下げた極低炭素
Ti含有鋼のスラブを熱間圧延して450〜700℃で
巻き取った後、α+γ二相域又はγ単相域での焼鈍を容
易にし、α−γ変態による集合組織変化を利用してラン
クフォード値を高めると共に、焼鈍後の組織をポリゴナ
ルフェライト相と擬ベイナイト相の二相又は擬ベイナイ
ト単相とすることにより高強度化を図っている。このよ
うにして、本発明によるとき、自動車用鋼板として好適
な深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板が得られ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.001〜0.01重量%,S
    i:2.0重量%以下,Mn:1.0〜4.0重量%,
    P:0.05〜0.20重量%,S:0.02重量%以
    下,Mo:0.005〜0.5重量%,酸可溶Al:
    0.005〜0.1重量%,N:0.007重量%以下
    及びB:0.0005〜0.003重量%を含み、更に
    Ti:[(48/12)×%C+(48/14)×%N
    +(48/32)×%S]〜0.1重量%,Nb:0.
    01〜0.1重量%,V:0.01〜0.1重量%,Z
    r:0.01〜0.1重量%の1種又は2種以上を含
    み、残部は実質的にFeからなる組成をもつ鋼スラブに
    熱延巻取り温度を450〜700℃とする熱間圧延を施
    し、冷間圧延後に連続溶融亜鉛めっき設備のインライン
    焼鈍で加熱速度5〜30℃/秒,焼鈍温度Ac1 変態点
    〜920℃,均熱時間40〜120秒,焼鈍温度から5
    00℃までの平均冷却速度40℃/秒以上の連続焼鈍を
    施し、ポリゴナルフェライト組織と擬ベイナイト組織と
    の混合組織又は擬ベイナイトの単相組織にすることを特
    徴とする深絞り性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼スラブが更にCu:
    0.1〜0.4重量%及び/又はNi:0.1〜0.4
    重量%を含むものである高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001031077A1 (fr) * 1999-10-22 2001-05-03 Kawasaki Steel Corporation Tole d'acier galvanisee par immersion a chaud presentant de bonnes qualites de resistance, de formabilite et de galvanisation
KR100544737B1 (ko) * 2001-12-17 2006-01-24 주식회사 포스코 성형성이 우수한 연질 표면처리원판과 그 제조 방법

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