JPH094812A - 湿分分離加熱器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 受衝板の損傷を防止し、ドレンセパレータの
ドレン除去性能を向上する。 【構成】 低温再熱蒸気の流速分布は、受衝板３側が速
く、胴体１側が遅くて、流速分布が著しく不均一であ
る。しかし流速の速い受衝板３側の低温再熱蒸気が三角
形状の蒸気案内板１３に衝突し、減速されて蒸気入口仕
切板４上へ流入し、同蒸気入口仕切板４の出口では、流
速分布が胴体１の内壁面側で低く、その後若干高速にな
るが、管群側板５側で低速になり、最大流速偏差が小さ
くなるので、開口部７を経てドレンセパレータに略均一
に流入し、ドレンセパレータのドレン除去性能が向上す
る。又低温再熱蒸気が２つの蒸気入口管１５から受衝板
３の二箇所へ衝突するので、蒸気入口管が１つの場合に
比し、低温再熱蒸気の受衝板３への衝突量が半減する。
しかも低温再熱蒸気の受衝板３への衝突箇所の補強板１
６により、受衝板３の損傷が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子炉発電プラントに
適用される湿分分離加熱器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】原子炉発電プラントを構成する高圧蒸気
タービンと低圧蒸気タービンとの間には、湿分分離加熱
器を設置することがある。その理由は、高圧蒸気タービ
ンの排気中の湿分を分離加熱して、過熱蒸気にすること
により、低圧蒸気タービンの出口湿り度を低減して、エ
ロージョンを防止するとともに、タービンプラントの熱
効率を向上するためである。

【０００３】同湿分分離加熱器の従来例（二段再熱式湿
分分離加熱器）を図６、図７により説明すると、１が胴
体、２が同胴体１の長手方向中央下部に設けた１つの低
温再熱蒸気入口管台、５が同胴体１内の中央上部に配設
した管群側板、３が同管群側板５の下部に取付けた受衝
板、４、４が同受衝板３を挟んで胴体１内下部に配設し
た一対の蒸気入口仕切板、６が同各蒸気入口仕切板４の
上縁部から胴体１の長手方向に沿って延びた蒸気分配通
路板、７が同蒸気分配通路板６に設けた開口部、Ａが同
蒸気分配通路板６上面の蒸気分配通路である。

【０００４】８が上記蒸気分配通路板に設けた開口部７
を介して上記蒸気分配通路Ａに連絡したドレンセパレー
タ、９が胴体１内の中央部に長手方向に沿って配設した
一段側加熱管群、１０が胴体１内の中央部に長手方向に
沿って配設した二段側加熱管群、１１が胴体１の両側に
配設した一段側加熱器、１２が胴体１の両側に配設した
二段側加熱器、１４が胴体１の上部に設けた高温再熱蒸
気出口管台である。

【０００５】上記図６、図７に示す湿分分離加熱器で
は、高圧蒸気タービンからの低温再熱蒸気が低温再熱蒸
気入口管台２から胴体１内へ流入して、受衝板３に衝突
した後、同受衝板３により左右方向に分配される。そし
て分配された低温再熱蒸気が蒸気入口仕切板４と管群側
板５とにより案内されて、蒸気分配通路板６上の蒸気分
配通路Ａ→開口部７からドレンセパレータ８へ流入し、
低温再熱蒸気が湿分と蒸気とに分離されて、分離した蒸
気が加熱管群９により一段加熱され、加熱管群１０によ
り二段加熱されて、加熱された蒸気が胴体１上部の高温
再熱蒸気出口管台１４から低圧蒸気タービンへ導かれ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記図６、図７に示す
従来の湿分分離加熱器には、次の問題があった。即ち、
蒸気分配通路板６に設けた開口部７の寸法は、蒸気分配
通路板６に低温再熱蒸気が均等に流れることを前提に形
成されている。しかし胴体１の下方から胴体１内へ流入
して、受衝板３に衝突したときの低温再熱蒸気の速度分
布は、受衝板３側が非常に速く、胴体１側が非常に遅く
て、流速分布が著しく不均一になる。しかも低温再熱蒸
気は、受衝板３に衝突後、胴体１の内壁面に衝突して、
蒸気分配通路板６上へ流入するので、蒸気分配通路板６
上でも低温再熱蒸気の速度分布が著しく不均一になり、
ドレンセパレータ８へ均一に流入しなくて、ドレンセパ
レータ８のドレン除去性能が低下する。

【０００７】また低温再熱蒸気が１つの低温再熱蒸気入
口管台２から受衝板３の１箇所に直接衝突するので、受
衝板３が損傷するという問題があった。本発明は前記の
問題点に鑑み提案するものであり、その目的とする処
は、受衝板の損傷を防止でき、ドレンセパレータの
ドレン除去性能を向上できる湿分分離加熱器を提供しよ
うとする点にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、胴体下部に設けた低温再熱蒸気入口管
から胴体内へ流入した低温再熱蒸気を胴体内中央下部に
配設した受衝板へ衝突させた後、ドレンセパレーへ導
き、ここで低温再熱蒸気を湿分と蒸気とに分離して、分
離した蒸気を加熱管群により加熱して、加熱器外へ排出
する湿分分離加熱器において、前記低温再熱蒸気入口管
を左右２つの蒸気入口管に分岐し、同各蒸気入口管上方
の前記胴体内に受衝板を設けるとともに、同受衝板のう
ち同各蒸気入口管からの低温再熱蒸気が衝突する部分に
一対の補強板を取付け、前記胴体の内壁面側に三角形状
の蒸気案内板を同各補強板に対して斜め上方に位置する
ように取付けている。

【０００９】

【作用】本発明の湿分分離加熱器は前記のように構成さ
れており、低温再熱蒸気は、２つの蒸気入口管から胴体
内へ流入して、受衝板の二箇所へ衝突した後、蒸気入口
仕切板に沿って上昇するが、このときの低温再熱蒸気の
流速分布は、受衝板側が非常に速く、胴体側が非常に遅
くて、流速分布が著しく不均一である。しかし流速の速
い受衝板側の低温再熱蒸気が三角形状の蒸気案内板に衝
突して、減速し、それから蒸気入口仕切板上へ流入し、
同蒸気入口仕切板の出口では、流速分布が胴体の内壁面
側で低く、それから若干高速になるものの、管群側板側
で低速になって、最大流速偏差が小さくなるので、ドレ
ンセパレータに略均一に流入して、ドレンセパレータの
ドレン除去性能が向上する。また低温再熱蒸気が左右に
分岐した２つの蒸気入口管から受衝板の二箇所へ衝突す
るので、蒸気入口管が１つの場合に比べると、低温再熱
蒸気の受衝板への衝突量が半減する。しかも低温再熱蒸
気の受衝板への衝突箇所に補強板があるので、受衝板の
損傷が防止される。

【００１０】

【実施例】次に本発明の湿分分離加熱器を図１〜図３に
示す一実施例により説明すると、１が胴体、２が同胴体
１の長手方向中央下部に設けた低温再熱蒸気入口管台、
１５が左右に分岐した２つの蒸気入口管、５、５が上記
胴体１内の中央上部に配設した管群側板、３が同各管群
側板５の下部に取付けた受衝板、４、４が同受衝板３を
挟んで胴体１内下部に配設した一対の蒸気入口仕切板、
６が同各蒸気入口仕切板４の上縁部から上記胴体１の長
手方向に沿って延びた蒸気分配通路板、７が同蒸気分配
通路板６に設けた開口部、Ａが同蒸気分配通路板６の上
面の蒸気分配通路で、同蒸気分配通路Ａが上記開口部７
を介してドレンセパレータ（図７の８参照）に連絡して
いる。

【００１１】９が胴体１内の中央部に長手方向に沿って
配設した一段側加熱管群、１０が胴体１内の中央部に長
手方向に沿って配設した二段側加熱管群、１１が胴体１
の両側に配設した一段側加熱器、１２が胴体１の両側に
配設した二段側加熱器、１４が胴体１上部の高温再熱蒸
気出口管台である。１６が上記受衝板３のうち、上記各
蒸気入口管１５からの低温再熱蒸気が衝突する部分に設
けた一対の補強板、１３が三角形の蒸気案内板、Ｂが同
蒸気案内板１３の案内部で、同蒸気案内板１３が上記各
補強板１６に対して斜め上方に位置するように上記胴体
１の内壁面に溶接により取付けられている。

【００１２】なお上記蒸気案内板１３の水平部と案内部
Ｂとの角度θは、４０°〜５０°にし、受衝板３と胴体
１との間の水平距離Ｌ₁ と蒸気案内板１３の水平部の水
平距離Ｌ₂ との比〔Ｌ₁ ／Ｌ₂ 〕は、８〜１０にするの
が効果的である。図４は、三角形状の蒸気案内板１３と
左右に分岐した２つの蒸気入口管１５とがある場合の速
度分布を示す説明図、図５は、三角形状の蒸気案内板１
３がない場合の速度分布を示す説明図である。

【００１３】上記何れの場合にも、低温再熱蒸気は、各
蒸気入口管１５から胴体１内へ流入し、受衝板３へ衝突
して、蒸気入口仕切板４に沿って上昇するが、このとき
の低温再熱蒸気の流速分布は、Ｃに示すように受衝板３
側で速くなる。但し図５の場合は、三角形状の蒸気案内
板１３がないので、流速の速い受衝板３側の低温再熱蒸
気が胴体１の内壁面へ衝突した後（点線矢印参照）、減
速せずに蒸気入口仕切板４上へ流入し、蒸気入口仕切板
４の出口では、流速分布がＤのように不均一になって、
即ち、胴体１の内壁面側で著しく高速になり、管群側板
５側で著しく低速になって、最大流速偏差が大きくな
る。

【００１４】一方、図４の場合は、流速の速い受衝板３
側の低温再熱蒸気が三角形状の蒸気案内板１３の案内部
Ｂへ衝突して（点線矢印参照）、減速し、それから蒸気
入口仕切板４上へ流入し、同蒸気入口仕切板４の出口で
は、流速分布がＤのように略均一になって、即ち、胴体
１の内壁面側では低く、それから若干高速になるもの
の、管群側板５側では低速になって、最大流速偏差が小
さくなる。

【００１５】また図４の場合は、低温再熱蒸気が左右に
分岐した２つの蒸気入口管１５から受衝板３の二箇所に
衝突するので、蒸気入口管が１つの場合に比べると、低
温再熱蒸気の受衝板３への衝突量が半減する。しかも低
温再熱蒸気の受衝板３への衝突箇所に補強板１６がある
ので、受衝板３の損傷が防止される。

【００１６】

【発明の効果】本発明の湿分分離加熱器は前記のように
低温再熱蒸気は、２つの蒸気入口管から胴体内に流入し
て、受衝板の二箇所に衝突した後、蒸気入口仕切板に沿
って上昇するが、このときの低温再熱蒸気の流速分布
は、受衝板側が非常に速く、胴体側が非常に遅くて、流
速分布が著しく不均一である。しかし流速の速い受衝板
側の低温再熱蒸気が三角形状の蒸気案内板に衝突して、
減速し、それから蒸気入口仕切板上へ流入し、同蒸気入
口仕切板の出口では、流速分布が胴体の内壁面側で低
く、それから若干高速になるものの、管群側板側で低速
になって、最大流速偏差が小さくなるので、ドレンセパ
レータに略均一に流入させることができて、ドレンセパ
レータのドレン除去性能を向上できる。

【００１７】また低温再熱蒸気が左右に分岐した２つの
蒸気入口管から受衝板の二箇所に衝突するので、蒸気入
口管が１つの場合に比べると、低温再熱蒸気の受衝板へ
の衝突量が半減する。しかも低温再熱蒸気の受衝板への
衝突箇所に補強板があるので、受衝板の損傷を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の湿分分離加熱器の一実施例を示す一部
切裁斜視図である。

【図２】同湿分分離加熱器の横断正面図である。

【図３】同湿分分離加熱器の三角形の蒸気案内板を示す
側面図である。

【図４】三角形状の蒸気案内板と左右に分岐した２つの
蒸気入口管とがある場合の速度分布を示す説明図であ
る。

【図５】三角形状の蒸気案内板がない場合の速度分布を
示す説明図である。

【図６】従来の湿分分離加熱器を示す一部切裁斜視図で
ある。

【図７】同湿分分離加熱器を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 胴体 ２ 低温再熱蒸気入口管台 ３ 受衝板 ４ 蒸気入口仕切板 ５ 管群側板 ６ 蒸気分配通路板 ７ 開口部 ９ 一段側加熱管群 １０ 二段側加熱管群 １３ 三角形の蒸気案内板 １５ 分岐した２つの蒸気入口管 １６ 補強板 Ａ 蒸気分配通路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 胴体下部に設けた低温再熱蒸気入口管か
   ら胴体内へ流入した低温再熱蒸気を胴体内中央下部に配
   設した受衝板へ衝突させた後、ドレンセパレーへ導き、
   ここで低温再熱蒸気を湿分と蒸気とに分離して、分離し
   た蒸気を加熱管群により加熱して、加熱器外へ排出する
   湿分分離加熱器において、前記低温再熱蒸気入口管を左
   右２つの蒸気入口管に分岐し、同各蒸気入口管上方の前
   記胴体内に受衝板を設けるとともに、同受衝板のうち同
   各蒸気入口管からの低温再熱蒸気が衝突する部分に一対
   の補強板を取付け、前記胴体の内壁面側に三角形状の蒸
   気案内板を同各補強板に対して斜め上方に位置するよう
   に取付けたことを特徴とする湿分分離加熱器。