JPH0945379A - 鉛蓄電池用電解液及びそれを用いた鉛蓄電池並びに鉛蓄電池の再生可否判定方法 - Google Patents

鉛蓄電池用電解液及びそれを用いた鉛蓄電池並びに鉛蓄電池の再生可否判定方法

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JPH0945379A
JPH0945379A JP25400695A JP25400695A JPH0945379A JP H0945379 A JPH0945379 A JP H0945379A JP 25400695 A JP25400695 A JP 25400695A JP 25400695 A JP25400695 A JP 25400695A JP H0945379 A JPH0945379 A JP H0945379A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能、軽量、高寿命であって、その上、高
電流による短時間充電を可能にし、その鉛蓄電池の新
品、中古を問わず、鉛蓄電池の性能を大幅に向上させる
電解液の開発と、さらには、廃棄された鉛蓄電池の再生
可能な電解液を提供することにある。 【解決手段】 水系で炭素陽極の電解酸化により得られ
た炭素懸濁液からなり、鉛蓄電池陽極(PbO2)を電気化学
的ドーピングにより活性化する性能を有する鉛蓄電池用
電解液であり、これを用いて中古バッテリーの再生に新
品バッテリー製造時の化成液に、また、廃棄バッテリー
の再生可否判定に供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛蓄電池用電解液
及びそれを用いた鉛蓄電池並びに鉛蓄電池の再生可否判
定方法に関するもので、特に自動車用鉛蓄電池の性能向
上や性能の劣化した鉛蓄電池あるいは廃棄された鉛蓄電
池の再生に有用な鉛蓄電池用電解液及びそれを用いた鉛
蓄電池並びに鉛蓄電池の再生可否判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉛蓄電池の問題として、性能上の問題と
環境上の問題がある。まず、第1に、性能上の問題とし
て、従来の鉛蓄電池は、充電に際して低電流による充電
しかできず、そのため充電のための時間が長すぎること
と、重量が大きいということがある。また、廃棄された
鉛蓄電池を新品並みに再生する電池の機能回復技術は存
在せず、現在、使用されている電解液への添加剤は性能
の落ちた鉛蓄電池の能力を多少引き延ばす効果があるだ
けである。
【0003】第2に、環境上の問題として、例えば、自
動車用の鉛蓄電池は3年程度で廃棄されており、その廃
棄に際しては、処理・再生に費用が嵩むことから、野
積、放置される。この廃棄された鉛蓄電池を構成する希
硫酸と鉛は公害物質であって、この公害物質がひきおこ
す2次公害が問題になる。また、大型船に使用された鉛
蓄電池は、深海に投棄されており、この廃棄された鉛蓄
電池による地球規模の海洋汚染が進んでいる。
【0004】鉛蓄電池の性能向上の一手段として、正極
活物質(Cathode Active Material)としてのMnO2,CuO,
NiOOH,PbO2,CFxなどと共に正極合剤(Cathode Mix)の
導電材に炭素粉末、金属粉などが用いられ、炭素粉末を
用いた例もいくつか特許出願されている。例えば、特
開昭53-10828号にはPbO2電極に炭素粉末を塗布したもの
が、特開昭54-61642号には同じく炭素懸濁液を塗布し
たものが記載され、また特開昭57-158955号には炭素
繊維を金属鉛内部に含入させたものが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明において鉛蓄電
池の正極活性化にも炭素懸濁液を用いるのであるが、後
述するようにこれら従来例とは全く異なるものである。
上記,は本質的に同じで鉛格子やプラスチック格子
に炭素被膜を形成して、その上にPbO2リサージを練り込
んだものであって、鉛格子電極(電極基材)とPbO2リサー
ジ電極剤との間の導電性を高めようとするものである
が、これは電極基材に接しているPbO2リサージの表面第
一層粒子にのみ有効であり、電極基材と直接接触してい
ない大多数の粒子に対しては効力がない。従って、前記
全体の電気化学反応に影響を与えることは非常に小さ
い。また、も炭素繊維が金属鉛内部に含入され、正極
基材の強度増加、軽量化にはある程度寄与しているが、
炭素繊維は金属で遮蔽されているので、充放電の電気化
学反応には寄与していないものである。
【0006】本発明の目的は、高性能、軽量、高寿命で
あって、その上、高電流による短時間充電を可能にし、
その鉛蓄電池の新品、中古を問わず、鉛蓄電池の性能を
大幅に向上させる電解液の開発と、さらには、廃棄され
た鉛蓄電池の再生可能な電解液を提供することにある。
また、これまで鉛蓄電池の性能劣化は外部からバッテリ
ーケースの歪みやターミナルから白色粉が異常に多く出
ているとか、あるいはバッテリーテスターによる電圧、
放電電流の有無の測定をするなどの方法による判定であ
ったが、本発明の再生液を用いた判定法を確立して、廃
棄バッテリーの再生率を高めようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉛蓄電池の電
極活性化に炭素懸濁液(Carbon Suspension)を用いるの
であるが、次のような構成によるものとなっている。ま
ず第1に、この炭素懸濁液は水系で炭素陽極の電解酸化
(Electrolytic Oxidation)により得られた炭素懸濁液か
らなり、鉛蓄電池陽極(PbO2)を電気化学的ドーピング(E
lectrochemical Doping)により活性化する鉛蓄電池用電
解液である。この電解液の特徴は、炭素懸濁液がコロイ
ド懸濁液(suspensoid)であり、炭素コロイド粒子表面に
カルボニル基、カルボキシル基又は水酸基等の親水基が
化学修飾(Chemical Modification)されていることであ
る。ここにいう水系とは、純水系のほか、希硫水溶液
系、その他電解液中へ添加して鉛蓄電池に悪影響を及ぼ
さない少量の電解質の添加水溶液系を含む。
【0008】第2に、使用中の鉛蓄電池あるいは長期の
使用により再生困難となった廃棄された鉛蓄電池に対し
て、これらの再生補充液として上記炭素懸濁液を用いて
活性化された鉛蓄電池とすることである。
【0009】第3に、鉛蓄電池の新規な製造に際して、
この炭素懸濁液を熟成された正極リサージの化成液とし
て炭素懸濁液を用いて活性化された鉛蓄電池とすること
である。
【0010】そして第4に、鉛蓄電池の電極に対して改
良がなされ、鉛蓄電池陽極(PbO2)カソードが多孔質の炭
素シートと接触状態にあり、充電操作又は炭素懸濁液の
添加状態での充電操作によって活性化された鉛蓄電池と
することにある。ここで、多孔質の炭素シートが炭素繊
維織物である鉛蓄電池で形成された場合、特に好ましい
結果を与える。
【0011】第5に、上記炭素懸濁液を添加して充電す
ることにより、電解酸化炭素粒子が陽極に吸着されれ
ば、活性化可能であることに着目し、添加した電解酸化
炭素粒子に電解液の濁りが透明になれば、すべて再生可
能と判定できる判定法を確立した。これは、鉛蓄電池の
各セルに当該炭素懸濁液又は炭素粉末を入れて充電を行
うことで、いずれのセルも透明になれば、再生可能と判
断できる。通常電解酸化炭素粒子を添加し、2〜3回の
充放電を繰返しても、一部のセル中の電解液が黒濁して
いる場合は再生不可と判定できる。
【0012】鉛蓄電池の活性化は、上記炭素懸濁液中の
炭素により陽極剤のPbO2が電気化学的ドーピングされる
ことにより活性化される。この電気化学的ドーピングに
ついては後述する。
【0013】
【発明の実施の形態】第1の発明に記載したように、本
発明の鉛蓄電池用電解液は水系で炭素陽極の電解酸化に
より得られた炭素懸濁液からなり、鉛蓄電池陽極(PbO2)
を電気化学的ドーピングにより活性化する鉛蓄電池用電
解液である。
【0014】炭素陽極に使用する炭素材料は結晶質、非
晶質、天然、人工をとわず全ての炭素材料全般が使用で
き、これらは焼結、あるいは未焼結いずれの形でも使用
することができる。中でも黒鉛質のものが最も好まし
い。
【0015】電極の形状も、塊状、板状、棒状、繊維
状、シート状、フェルト状等いかなる形でも、あるいは
粉末のままの形でも使用できる。粉末で使用する場合
は、そのまま電極にはし難いので粉末をメッシュ状の籠
の中に充填してこれで電極を形成してもよい。あるいは
圧粉して用いてもよい。
【0016】実際、水を電解液に使用して炭素を電解酸
化すると電解液のpHが酸性側2〜3に変化する事実と
考え合わせると、酸の正体はカルボン酸のようである。
炭素の電解酸化とは、炭素材料を電極にして水中で直流
電圧を印加して徐々に電流を大きくしていくと、ある電
流値を境にして(電圧は電極間の距離によって変わって
くる)陽極の周囲に霧のように炭素粉末が析出してく
る。析出した粉末は水にコロイド状で懸濁する。この炭
素懸濁液に電極を差し込んで直流電圧を印加すると、析
出した炭素粉末が陽極に吸着(adsorption)する。
【0017】この電解的に析出させた炭素粉末を本発明
では、電解酸化粉末(ElectrolyticOxidized Carbon Pow
der)と呼ぶことにする。また、この処理を電解酸化処理
(Treatment of Electrolytic Oxidation)と呼ぶことに
する。
【0018】本発明では炭素粉末の電析が可視的に認め
られる電流値を便宜的に臨界電流と呼ぶことにする(厳
密にはもっと小さな電流で目に見えない程度に電析は起
こっているものと推察される)。臨界電流は炭素陽極の
面積、陽極、陰極間の距離、電解質の有無、また、その
量によって変化してくる。電解液に水道水を使用し、陽
極、陰極間の距離3mm以下、陽極面積200cm2の場合で、
3〜5Aが臨界電流である。
【0019】電解酸化時の電解液は、水系が好ましく、
水単独でよいが、目的に応じて水の中に電池の電解液の
酸成分、その他の電解質、例えば、NaCl,LiCl希硫酸な
どを添加してもよい。電解液に純水を使用する場合、導
電性をよくするために上記した電解液の酸成分、その他
の電解質を添加してもよい。水道水等の微量のミネラル
成分が存在する水は、薬剤を何等添加することなく適度
の導電性が確保され、良質の炭素粉末分散液が得られ
る。
【0020】電解酸化粉末が電解液中に分散した炭素の
懸濁液はコロイド溶液であり、これは電気化学的酸化に
よって合成され、この溶液中の炭素コロイドは鉛蓄電池
のカソードのドープ剤(a dopant for cathode)として作
用する。(電気化学的用語においては、カソードとアノ
ードはバッテリーシステムのそれぞれ陽極と陰極と規定
される。)カソードに対する炭素コロイドの挙動は次の
結果をもたらす、(1)退化バッテリーの再生、(2)極端な
温度上昇なしに大充電電流、(3)放電電流の増加、(4)バ
ッテリーの寿命拡大。本発明の詳細説明によれば、炭素
コロイド溶液の調整は以下のようになる。
【0021】炭素の酸化には多くの手段がある。それら
は、(1)酸化剤による化学的酸化である。酸化剤には、
濃硝酸、濃硫酸、発煙硝酸と次亜塩素酸カリ又は過マン
ガン酸カリなどがある。(2)オゾンによる酸化、(3)放電
酸化又はプラズマ放電酸化、(4)電子ビーム照射であ
る。電気化学的手段による炭素の酸化(電解酸化)は現在
知られてはいるが、発明者の知る限りでは工業的に採用
されていない。本発明ではこの電気化学的酸化処理を炭
素に施すと水系で安定な炭素懸濁液となるのである。
【0022】ここで、炭素懸濁液の調整について述べ
る。炭素懸濁液を得るための我々の手順は、塩化リチウ
ムのような少量の塩を含んだ電解液、成形し焼結した炭
素粒子から精製したアノード(陽極)とプラチナカソード
(陰極)である。電極間の電圧は電解液にとって十分に高
い電圧とした。電気分解がすすむにつれ、炭素粒子は懸
濁する。溶液のpH値が2.5に減少するまで電気分解は
続ける。炭素粒子は溶液中で何ら他の分散剤なしに懸濁
する。炭素粒子の沈降は調整の10日後でも見られない。
【0023】電解酸化炭素粒子は一旦乾燥粉末にして
も、水中によく分散して懸濁する。したがって、炭素粉
末の形で鉛蓄電池の再生剤としてもよい。この場合は粉
末の少量添加でよいので、取扱いが容易であるし、既存
の電解液が多くあるときは炭素懸濁液の補充のために電
解液を抜く必要がなく、硫酸濃度の減少が防げる。この
炭素粉末は希硫酸で練ってペースト状あるいは濃厚液状
で電解液に添加してもよい。つまり、電解酸化炭素粒子
は水や希硫酸に対する分散性が良いので、0.01〜5%程
度の希薄な懸濁液から30%近い濃厚液、又はペースト
状、更には粉末状まで幅広い再生剤の商品化が可能であ
る。
【0024】電気化学的酸化のメカニズムは次のように
考えられる。すなわち、電気化学的酸化は酸素の還元反
応で開始される。 e~+O2→O2~ (1) 酸素の源(source of oxygen)は溶液中に溶解したもの
か、アノードで作られた電気分解生成物である。反応
(1)はカソードに近く優勢であるため、酸素分子はアノ
ードからカソードへドリフト(drift)する。反応(1)の生
成物すなわちO2~は最終的にOH-となる。 O2+2H2O+4e~→ 4OH~ (2) このOH~は炭素アノードと反応して炭素表面に-OH基
を生成すると考えられる。また、-OH基は次の第2段
階の酸化作用でアルデヒド(-CHO)そして/もしくは
カルボキシル(-COOH)基へと変化する。炭素の表面
にこれらの基が存在する証拠を得ることに成功した。
【0025】図1は電解酸化処理したカーボンのESC
A(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis, 化
学分析用電子分光法)スペクトルを示している。その測
定は、AlKαX線source(350W)を用いてX線光電子
放出分光装置(Photoelectricemission Spectroscope, P
hysical Electronics社, 5600Ci)で行った。
【0026】ESCAは、サンプルの表面原子のX線で
放出された電子の運動エネルギーを測定することによっ
て、1s,2s,2pのような内殻の電子結合エネルギーの情報
を与える。これは表面分析にとって強力な武器となる。
図1にはCとOが少量のNとSと共に存在するピークが
示されている。ESCAは表面(表面から1もしくは2
層の原子の層)に対してのみ情報を与え、表面の異物(co
ntamination)に対して非常によく感応する。Nは空気中
の窒素からであろうし、Sは炭素の電解酸化の際に混入
したものであろう。図1から炭素表面の酸素の量は15.3
3%であると断定できる。比較のため我々は電解酸化処
理の行われていない炭素のESCAスペクトルを測定し
た。結果は図2に示した。酸素の量がごく少量であるこ
とは一目瞭然である。そのため、炭素粒子は電解酸化処
理の結果、酸化したと結論づけられる。このESCAス
ペクトルからさらに情報を得ることができる。図3は図
1でピークが280〜300eVの範囲で突出しているC1sの
スペクトルを示している。図3中の頂点のレッドカーブ
がそのスペクトルを示している。この頂点のカーブがい
くつかのピークから構成されていることがはっきりとわ
かる。計測作業によって、図3に示したそれぞれの構成
要素を求めることは可能である。計測作業はそれぞれの
構成要素の総計がもとのピーク(トップレッド)に合致す
るよう行われなければならない。それぞれのピークを表
1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】カルボキシルと-C-O-基の存在がはっき
りと確認できたことは重要である。これら基は一端に水
素原子をもつと推測できる。すなわち-COOHと-OH
である。しかしこの点についてはさらなる調査が必要で
ある。図2の酸化されていない粒子に対しても同様な方
法がとられた。結果を図4に示す。この場合、2つのピ
ークが見られる。すなわち290.69eV(satelite peak of
π-π*)と284.39eV(黒鉛)であり、カルボニル基も-C-
O-基も共に見られなかった。結論として、電解酸化に
より得られた炭素懸濁液中の炭素粒子はその表面に-C
OOH基と-C-O-基が付与されて、電気化学的に修飾
された炭素粒子(electrochemically modified carbon p
article)となっているのである。中性の水溶液が電気化
学的酸化処理によって酸性(例えばpH2〜3.5)に変性
することを考察すると、カルボニル基はおそらく-CO
OHとして存在するのであろう。また、前述の電気化学
反応の過程を考察すると、おそらく-C-O-は-C-OH
として存在するのであろう。これら-COOH基と-C-
OH基は、この炭素粒子の分散性(dispersion)と鉛蓄電
池のPbO2カソードの活性化に重要な役割を果たす。炭素
粒子は本来疎水性であるにもかかわらず、化学修飾(che
mical modification)によって表面が親水化されて安定
な懸濁液となっているのである。
【0029】炭素が黒鉛の場合、黒鉛の電解酸化時に
は、黒鉛粒子の層構造にヘキ解(cleavage)がおこること
が考えられ、そして黒鉛の粒子は電気酸化によって薄片
となることが予期される。この過程はまた、粒子の分散
にも寄与し、極めて安定なコロイド状の炭素懸濁液とな
るのである。
【0030】第2の発明は、本来の酸電解液の中に、第
1の発明で得られた炭素懸濁液を電解液として充電する
と、陽極に炭素粉末が吸着して、性能が飛躍的に向上し
た鉛蓄電池を得ることにある。一方、酸化処理していな
い粉末は水に懸濁することも陽極に吸着することもな
く、また、これを陽極に物理的に単に被覆しても電池の
特性の向上はない。なお、ここで電解液に炭素粉末が懸
濁することで陽極、陰極間の電気的短絡が危惧される
が、本発明の炭素懸濁液中の炭素粉末は電圧を印加した
時、陽極に吸引されて吸着されてしまい電解液は可視的
には元の澄んだ状態になり、電気的短絡は起こらない。
本発明で使用される電解液の中の炭素粉末の濃度そのも
のがパーコレーションしきい値(percolation threshol
d)よりもはるかに低濃度であるために電気的短絡は発生
しないのである。
【0031】陽極に炭素粉末を吸着させるためには、陽
極に直流プラス電圧を印加することが必要となるが、こ
れは電池を充電する場合に相当する。自動車用の蓄電池
として使用する場合、走行中蓄電池は絶えず充電されて
いるので改めて充電操作をしなくても陽極には炭素粉末
が自然に吸着する。つまり自動車のように、放電、充電
機構が装置の中に一体的に組み込まれたものの中で使用
されるものでは、改めて充電操作をしなくても単に電解
液の中に炭素懸濁液を加えるだけで陽極に炭素粉末が自
動的に吸着し、電池の特性が向上する。一方充電器が一
体的に組み込まれてない機構の中では使用に先立ち充電
操作を加えて陽極に炭素粉末を吸着する必要がある。
【0032】ここでどのように鉛蓄電池のカソードが活
性化するかについて述べる。本発明の特色の一つは退化
バッテリーの再生(revival of a degraded battery)で
ある。我々は充電後すぐにはモータがスタートしない退
化バッテリーを選択した。そして鉛蓄電池の電解液(希
硫酸)を一部炭素懸濁液に置換して充電した。充電の結
果、炭素粒子がカソードに吸着して、バッテリーがセル
モータをスタートさせることができると確認された。炭
素懸濁液が加えられなかった場合は、蓄電力は十分では
なかったが、炭素懸濁液で処理した結果、退化バッテリ
ーは電力を蓄えることができた。
【0033】炭素懸濁液と電解液の一部置換はまた、
(1)温度上昇なしの高充電電流、(2)高放電電流の実現、
そして(3)バッテリーの寿命の増大を可能とする。炭素
懸濁液はこのように有効な機能を有している。一見する
と炭素コロイド粒子がこのように有効な機能を有してい
ることは奇異に思うかもしれない。しかしながら、現在
の科学的知識で下記のように説明することができる。
【0034】まず最初に炭素コロイドの構造のメカニズ
ムについて示す。電気化学的プロセスによる炭素コロイ
ドの構造はすでに公知のものである。電気分解に用いら
れる炭素電極の減少の観察によって炭素コロイドができ
ることは容易に理解できる。しかし、これは工業分野で
はとりあげられていない。一般に炭素懸濁液を得るため
には、カーボン粒子を分散剤の存在下に粉砕をする。鉛
蓄電池の改良に炭素懸濁液を用いることは今まで行われ
なかった。現在用いられている炭素懸濁液は一般にアル
カリ性(アルカリ溶液)であり、分散剤を含む。反対に本
発明の炭素懸濁液は酸性であり、分散剤は含まれない。
炭素粒子は本来疎水性である。しかしながら、それらは
電解酸化されて親水性となるのである。
【0035】炭素懸濁液中の炭素粒子がPbO2カソード上
に吸着されていることは実験的事実である。電極に対し
て十分に電気的結合をしていないPbO2粒子が存在する可
能性がある。周知のように、PbO2は半導体物質であり、
カソードはPbO2粒子の集合体である。PbO2粒子表面に吸
着された炭素粒子は、前述の有効に利用されていないPb
O2粒子に導電性を付与し、放電効果を高める働きをす
る。
【0036】また、炭素粒子の吸着による改良点は、放
電の結果として生成するPbSO4に対しても期待できる。P
bSO4は絶縁体である。充電の結果としてこれはPbO2に変
化する。この充電過程において、PbSO4はカソードへ電
子を移動しなければならない。それゆえ、カソードの電
気的結合はPbSO4に対して不可欠の問題である。陽極剤
(一部はPbSO4に変じている)に吸着した炭素はPbSO4に対
しても陽極との間に導電経路を形成してPbSO4をPbO2
変えることができる。かくして、この発明ではPbO2カソ
ードは、吸着された炭素粒子の充・放電の両方に重要な
役割を演じることによって活性化されるのである。
【0037】本発明の炭素懸濁液中の炭素粒子は化学修
飾を受け、-COOH及び-C-O-H構造を持っている。
中性の水溶液であればこれらは直ちに解離して、-CO
O~及び-C-O~となる。これが陽極で電荷を放出し陽極
と結合するが、酸性溶液では-COO~と-C-O~が解離
しないと考えられる。しかし鉛蓄電池において陽極近傍
のプロトン濃度は十分低いので上記の解離が可能であ
り、-COO~と-C-O~が陽極で電荷を失って吸着する
と考えられる。
【0038】カソードの近傍に導電性粒子を生成させる
アイデアは、例えばAg2WO4/LiClO4/Liバッテリーについ
て報告されており、ここでは導電性Ag粒子は放電の結果
生成し、これは電極とカソードとの導電経路を確保して
いる。電気化学修飾された炭素の役目に対するメカニズ
ムによれば、電気化学修飾された炭素の応用はバッテリ
ーの内部抵抗を減少させることが期待できる。これは実
施例10で後に述べるように確認されている。
【0039】炭素はバッテリーの分野では「活物質」("ac
tive material")としてとらえられている。その一例は
二酸化マンガンカリウムセルにおいてカソードの活物質
は二酸化マンガンと炭素の混合物である。この場合の炭
素は、二酸化マンガンとカソードとの間の電気伝導を増
加するのに用いられる。現在のところ、知られているす
べてのケースにおいて、炭素物質はバッテリーの製造時
に活物質と予め混合したものである。炭素物質と活物質
との相互作用は単なる機械的接触である。一般に、炭素
物質は充電放電いずれか一方の効果に対してのみ使用さ
れている。
【0040】本発明では、実験的結果は、電気化学修飾
された炭素は充電時はもとより放電時にも効果があるこ
とが明らかにされている。電気化学修飾された炭素の応
用プロセスは単なる混合ではない。電気化学修飾された
炭素によるPbO2カソードの活性化は化学反応と電子移動
が関与する電気化学的なものである。このプロセスは
「電気化学的ドーピング」("electrochemical doping")と
みなされる。かくして、これはバッテリー分野において
は、全く新しい技術である。
【0041】ここで、「電気化学的ドーピング」は次のよ
うに定義される。先ずドーピングについて説明する。一
般には、運動競技で薬物を服用する意味で用いることも
あるが、ここでは半導体の分野で用いられる用語に最も
近い。半導体とは電導体と絶縁体の中間の導電性を示す
物質のことである。よく知られているシリコーン半導体
がこれである。純粋の物質からなる半導体を真性半導体
という。この真性半導体に対してアルミニウム、砒素等
の不純物を少量加えたものを不純物半導体という。この
場合、それぞれp型、n型の半導体となる。この不純物
を加えることをドーピング、加える不純物をドーパント
と言う。このp型とn型を接触させたものをp−n接合
と言い、トランジスタの構成に不可欠な部分である。シ
リコーン等の半導体とは一応別であるが、導電性高分子
でもこの用語が使われている。代表的な導電性高分子で
あるポリアセチレンは、シス型の場合は殆ど絶縁体であ
りトランス型の場合は導電性が向上して半導体領域の導
電性を示す。シリコーン半導体の場合のようにトランス
型のポリアセチレンにヨウ素をドープすると導電性が数
桁増加することがわかった。ポリアセチレンの他にポリ
アニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の高分子も
導電性を示し、ドーピングにより導電性が向上する。こ
れらの高分子の場合は電気化学的に電解重合法で電極上
に高分子膜を得ることができるが、この際、支持塩(sup
porting electrolyte)も重合と同時にドーピングされ
る。電気化学的方法を用いてドーピングされたドープ剤
(dopant)を除去したり(これを脱ドープと言う)、また希
望するドープ剤を電気化学的方法でドーピングすること
ができる。後者の場合を電気化学的ドーピングという。
【0042】前述したように、電解液中の炭素含有量に
ついては注意しなければならない。もし、十分な量の炭
素粒子が電解液中に加えられると、バッテリーはショー
トしてしまう。導電性と炭素含有量との関係は検討さ
れ、その計算モデルは「パーコレーションモデル」と称さ
れて既にみられる。このモデルによれば、電導性の立上
り限界値は約30vol%からとされている。炭素含有量が
パーコレーションしきい値より1オーダ小さければ、炭
素の寄与は確実に無視できる。本発明では、実施例6に
もみられるように、5wt%以下、0.01wt%や0.02wt%の
極く少量でも効果があらわれるから、バッテリーショー
トの心配は全くない。
【0043】前述のように、炭素懸濁液を電解液中に加
えると、黒く濁るのであるが、充電すると、電解酸化さ
れた炭素粒子は陽極に吸着されて電解液は元の透明に戻
る。ところが、鉛蓄電池の劣化が著しいときは、炭素粒
子は陽極に吸着されないために濁りが取れない結果とな
る。このような鉛蓄電池は再生困難であるので、再生可
不可の簡単な判定方法として、有用である。判定方法の
詳細については後述する。
【0044】以上は新品、中古、廃却品を問わずいずれ
も電池としてはすでに完成されたものを対象にしたもの
であるが、本発明では陽極製造の中間過程、特に化成プ
ロセスで炭素粉末の吸着を行うこともできる。
【0045】すなわち、第3の発明は、この炭素懸濁液
を熟成された正極リサージの化成液として炭素懸濁液を
用いて活性化された鉛蓄電池とすることである。陽極格
子に陽極活物質を充填して化成処理する際、化成処理液
として前記した炭素懸濁液あるいは炭素粉末の懸濁した
希硫酸液を使用すると、陽極に同じように炭素粉末が吸
着されるのである。得られた陽極を蓄電池に装着する
と、前記した完成電極の場合と同じ活性化が起こる。
【0046】PbO2カソードの活性化(電気化学的ドーピ
ング)は、鉛蓄電池の製造時はもちろん、部分的なPbO2
電極に対しても効果的である。鉛蓄電池のカソード物質
は基本的にPb格子の中にPbの粒(grains)及び酸化鉛の粒
子を充填したものである。これが、希硫酸溶液中の電解
でPbO2に変化する、いわゆる化成プロセス(FormationP
rocess)である。この化成プロセスにおいて、電解酸化
数製造法、すなわち、電気化学修飾された炭素コロイド
を用いると、同時に化成と活性化が進行するのである。
電気化学修飾された炭素粒子をドープしたPbO2は、この
化成プロセスで得られる。
【0047】通常の炭素粒子とPbO2との混合物につい
て、本発明の炭素懸濁液で電気化学的ドーピングにより
活性化されたPbO2と対比して、単なる炭素粒子混合の効
果として比較検討した。しかしながら、実施例にも見ら
れるように単なる混合物からは何らのバッテリーの性能
改良結果も得られなかった。
【0048】第4の発明は、鉛一酸蓄電池の陽極表面を
多孔質炭素材料で被覆し、陽極表面、多孔質炭素材料の
表面に電解酸化した炭素粉末を吸着した鉛蓄電池であ
る。ここで、多孔質炭素材料とは、通水性を有する多孔
質シート状、フェルト状、あるいは炭素粒の集合体等を
意味し、炭素繊維を使って織布、不織布として多孔質体
でも、あるいは板に微細孔を穿孔したものでも、いずれ
でも構わないが、孔の面積率、柔軟性、価格、耐久性等
を考慮すると炭素繊維を使ったシート、フェルトが最も
好ましい。多孔質炭素材料は、一枚で陽極面全面を覆う
必要はなく、複数枚重ね合わせて陽極を覆うようにして
もよい。
【0049】炭素材料は、結晶質、非結晶、天然、人工
を問わず、すべての炭素質材料が使用でき、これらは焼
結、未焼結、いずれの形でも使用することができる。通
常、陽極と陰極の間にはメッシュ状の絶縁体として機能
を有するセパレーターが介在する。本発明においては、
この陽極とセパレーターの間の隙間を、シートあるいは
フェルト状、あるいは粒状の炭素材料を充填して陽極面
を被膜する。
【0050】シート、フェルト、炭素粒は陽極活物質面
に当接して押さえて活物質の脱落防止の働きをする。ま
た、同時に陽極と電気的に導通されているために、この
部分も陽極と等電位となる。陽極表面を多孔質炭素材料
で被覆することによって充電能力が向上する。電極板の
数を従来電池の陽極2枚、陰極3枚の組み合せから、陽
極1枚、陰極2枚に減らしても約2倍以上の充電量を得
ることができる。つまり、鉛蓄電池の軽量化が実現でき
るのである。
【0051】第5の発明は、第1の発明に係る電解酸化
炭素粒子による鉛蓄電池の再生可否判定方法である。こ
の方法とは、鉛蓄電池の各セルに均一に当該炭素粒子を
入れて、適正な電流を印加する。例えば、40Ahの容量
であれば、8Ahを5時間かけて充電をする。充電終了
後に電解液の比重及び液温度を測定することも重要なこ
とであるが、比重計等で各セルの液を吸上げて炭素懸濁
液の状況を目視する。正常なセル(電極)であれば、完全
に透明な液体となる。若干異状があるセルでは完全に透
明になるのに更に時間を要するが徐々に透明になる。本
発明の炭素粒子の電極への電気化学的ドーピングによっ
て活性化されるのである。特に異状のあるセルでは混入
液時と変らず黒っぽい状態で炭素粒子の存在することが
明確に見ることができ、この場合のセルは著しく破損が
連行していて、電流を印加してもその電極のインピーダ
ンスが高く、電気化学的ドーピングができない。従っ
て、注入した炭素懸濁液の色の変化で電池各セルの電極
の損傷度合を目視できるのである。また、時間をかけて
透明になるとすれば、その電極の改善が炭素懸濁液によ
り可能となり、鉛蓄電池の性能向上に効果が得られる。
この鉛蓄電池に再度炭素懸濁液を注入して同様にテスト
をすれば、各セル平均して透明になり、電池電極を修復
ができる。この判定法は、自動車等に積載されているバ
ッテリーについても、同様な方法で測定可能である。
【0052】本発明の電解液は中古バッテリーの再生剤
や新品バッテリー製造時の化成液に用いると、次のよう
な特性が得られる。すなわち、1)定電流放電して電池と
して使用できる電圧(可使用限界電圧)に低下するまでの
時間、つまり電池の容量Ahは5〜10%延びる。2)電池
の端子電圧の温度依存性が小さくなる。電池の端子電圧
は気温に大きく左右され、夏場で気温が上がった時は下
がり、冬場で気温が下がった時は上がる。したがって本
来、充電の際、電池にかける電圧は、電池の端子電圧の
変動に合わせて変化させて、つまり冬場は高く、夏場は
低くして充電しなければならない。しかしながら、自動
車の蓄電池として使用した時、気温の変化に合わせて充
電電圧を変えることはほとんどなされていないのが現状
であり、このために、夏場は電池の端子電圧よりも高い
電圧をかけて充電することとなり、過充電状態となる。
一方、冬場は電池の端子電圧よりも低い電圧をかけて充
電することとなり、充電不足の状態となる。この結果、
夏場、冬場には、いわゆるバッテリー上がりの事故が頻
発することとなるが、本発明の電解液を使用したもので
は、この端子電圧が温度変化に依存する性質が小さくな
り、気温の変化に合わせて充電電圧を変えるようなこと
はしなくても、夏、冬に関わりなく一年を通して安定し
た充放電特性が得られる。3)高電流充放電ができる。充
電特性は、従来の数倍〜10倍以上の電流値で充電しても
際立った温度上昇が無く、従来電池並みの温度上昇であ
る。したがって短時間(1/10以下の時間)で充電でき
る。一方、放電特性は定格値の2.5倍以上の高電流放電
ができる。したがって通常の軽自動車(550cc)のバッテ
リーで3,000ccクラスのディーゼル車にも使用できるよ
うになる。また、電池寿命も延びることが確認できた。
【0053】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳細に説
明する。 実施例1 (炭素懸濁液の製造1) 結晶質炭素、棒状電極の例 水(pH:7)を電解液にして、ステンレスのメッシュ板
を折り曲げて作った直径100mmの円筒状の陰極の中に、
直径20mm、長さ100mmの黒鉛の棒を陽極にしていれ、直
流電流3Aを24時間流してコロイド状の炭素懸濁液を作
った。この炭素懸濁液は10日間放置しても粉末の沈降は
無く、炭素粉末が炭素コロイドとして分散していた。懸
濁液中の炭素粉末の濃度は3.1wt%であった。電解液の
pHは2.5に変化した。
【0054】(炭素の表面分析)前述したように、電解酸
化処理した炭素表面に存在する原子をESCAによって
分析した。電解酸化処理した炭素のESCA分析チャー
トを図1に、そして図2には未処理炭素のESCA分析
チャートを示す。炭素電極の表面に存在するのは、C
(C1sのピーク)、O(O1s,O2sのピーク)と少量のN
(N1sのピーク)、S(S2s,S2pのピーク)であった。 酸素 :15.33% 窒素 : 0.18% 炭素 :84.39% イオウ: 0.10% 電解酸化により、炭素表面が酸素で化学修飾(chemical
modification)されていることがうかがえる。なお、電
解酸化処理していないものにはO1sは痕跡程度しか出て
いない。
【0055】(酸素の存在形態)炭素表面の酸素の存在形
態について同じくESCAで調べた結果、次の、の
ピークが確認された。 -C-O- (286.78eV) 8.40% -C-O-O-(カルボキシル) (288.77eV) 9.98% 、のOの右側には水素が結合しているものと思わ
れ、この−OHの存在が炭素表面の親水化と懸濁に寄与
しているものと推察される。また電極液がpH2〜3に
変化したのは、特にのカルボキシル基の存在によると
思われる。
【0056】(炭素懸濁液の製造2) 結晶質炭素、フェルト電極の例 縦100mm、横100mm、厚さ10mmの黒鉛繊維を使ったフェル
トを陽極にし、両面に2mmの間隔でステンレスのメッシ
ュ板(陰極)を配置した。このとき、陽極、陰極が短絡し
ないように、また、間隔を一定に保つために厚さ2mmの
樹脂のメッシュシートを間に挾んだ。電解液は水道水を
使用した。直流電流3Aを24時間流した。懸濁した炭素
粉末の濃度は4.8wt%であった。電解液のpHは2であ
った。
【0057】(炭素懸濁液の製造3) 非晶質炭素、粉末電極の例 直径20mm、長さ100mmで底のある円筒状のステンレスの
メッシュ(325#アンダー)フィルターの中に平均直径1
mmの非晶質炭素の粉を充填したものを陽極にして、陰極
には50×100mmのステンレスの板を使用し、これを水道
水をいれたビーカーに浸漬して直流電流3Aを30時間流
して非晶質炭素粉末のコロイド状炭素懸濁液を作った。
この炭素懸濁液は実施例1と同じく10日間放置しても粉
末の沈降は無かった。炭素粉末の濃度は5.5wt%であっ
た。電解液のpHは2であった。分散能力については24
時間後で99.3%であった。 分散安定度(%)={24時間後の試料濃度(wt%)/0時間の
試料濃度(wt%)}×100 上記の方法にて分散能力の数値を求めた。
【0058】電解生成後のカーボン懸濁水は平均してp
H2.0〜3.5である。「炭素懸濁液の製造1」により得られ
た濃度3.1wt%の懸濁水の200mlを減圧乾燥機に入れ、50
℃、93mmHgの減圧下で200mlを加熱して乾燥させた。得
られた乾燥炭素粉末に水道水を加えて、撹拌沈降及び分
散を観察した。最初の液体では96時間静置で分散率96%
以上であり、加熱後の処理水は48時間で分散率85%以上
の分散力があった。しかも、乾燥前置溶液のpH2.5、2
60mVの値に対して、乾燥処理後ではpH3.15、223mVで
あり、このまま用いても全く問題がなかった。
【0059】実施例2(中古バッテリーの再生) 普通乗用車の使えなくなった鉛蓄電池(型式GX80D2
6)から電解液を抜き出し、中を水で洗浄した後、実施例
1の製造1の炭素粉末の炭素コロイド液を中に入れ、陽
極に直流プラス電圧15Vを12時間印加した。陽極は炭素
粉末で被覆されていた。次に炭素懸濁液をバッテリーか
ら抜き、再び抜きとった電解液をバッテリーの中に返
し、次に15V、3Aで24時間充電した。充電前の電圧は
9V、バッテリー液の比重は1.18であった。充電後電圧
は14Vに復帰し、エンジンは始動できた。以後10日間放
置して再びエンジン始動させたが、同じように始動でき
た。以後これを繰り返して6ヵ月経過したが性能の変化
は無かった。因みに炭素粉末を被覆しないバッテリー
(使用できなくなった)では、充電後、比重は1.20に変化
しただけで、エンジン始動はできなかった。
【0060】実施例3(中古バッテリーの再生) 使えなくなった鉛蓄電池(型式GX80D26)のバッテリ
ー液の3vol%、5vol%、10vol%、30vol%、50vol
%、70vol%、90vol%を実施例1の製造2の炭素懸濁液
で置換して14V、3Aで24時間充電した。各セル中の電
解液は充電前炭素粒子で黒変するが、1回の充電後、い
ずれのセル中の電解液も透明となり、炭素粒子が電極に
吸着されていることが判明した。その後、エンジン始動
テストをした結果、いずれもエンジンが始動できた。以
後10日間放置して再びエンジン始動させたが、同じ様に
始動できた。以後これを繰り返して6ヵ月経過したが性
能の変化は無かった。
【0061】実施例4(中古バッテリーの再生) 使用できなくなった鉛蓄電池(型式38B20R)に実施例1
の製造3の炭素懸濁液を1セル当たり50cc(1セルの全
電解液量は416cc)を添加して14V、3Aで12時間充電し
た。充電前のバッテリー液の比重は1.10であった。充電
後電圧は14Vに復帰、比重は1.26に回復し、エンジン始
動できた。以後10日間放置して再びエンジン始動させた
が、同じように始動できた。以後これを繰り返して6ヵ
月経過したが性能の変化は無かった。因みに炭素コロイ
ド液を添加しないバッテリー(使用できなくなった)で
は、充電しただけでは比重は1.120と変わらず、エンジ
ン始動はできなかった。
【0062】実施例5(中古バッテリーの再生) 普通乗用車の使えなくなった日本電池株式会社製の鉛蓄
電池(型式GS(商標)38B20L)の急速充電を試みた。充
電前に通常の電解液を補充したが、電圧5V、比重1.110
であった。これに対して、通常の充電電圧は、14V、3.
8Aであるが、15V、10Aで急速充電した。しかし、液
温のみ上昇し、電解は進行せず、充電は不可能であっ
た。
【0063】次に、この蓄電池に実施例1の製造1の炭
素コロイド液を各セル当たり21〜30cc(1セルの全電解
液量は416cc)注入して上記電圧を印加したところ、電解
が始まった。更に電圧を上げて20A流しても液温の上昇
が見られず、スムースに充電できた。2時間後エンジン
を作動させたところ、順調に作動させることができ、そ
のまま3時間走行後、バッテリー電解液の比重を計った
ところ、基準値1.250以下で、1.20であったが、放電に
は何等問題はなかった。通常充電には5〜10時間程度必
要であるが、本例では、わずか2時間で充電できた。型
式日立(商標)46B25L、型式ユアサ(商標)55B24Lの鉛
蓄電池についても同じテストを行ない、100%の回復を
見た。その後4ヵ月放置しても起電力には何等問題はな
かった。本来4ヵ月も放置すると自然放電が発生する
が、何等問題なくそのまま使用できた。
【0064】実施例6(中古バッテリーの再生) 使えなくなった型式GS38(商標)の鉛蓄電池の電解液を
抜き出し、かわりに下記の電解液を注入した。電解液の
硫酸濃度は同じとして、懸濁する炭素粉末の量を下記の
5水準で変化させたものを使用した。 炭素濃度(wt%) (1) 0.02, (2) 0.1, (3) 1.0, (4) 3.0,
(5) 5.0 炭素濃度の調整は、実施例1の製造2の炭素コロイド液
を濃縮及び希釈することによって行った。15V、2Aで
2時間充電した。問題なく充電できた。次に車に取り付
けてエンジンを始動させた。エンジンは問題なく始動で
きた。1日当たり2時間で60日間、延べ120時間走行し
たが、その間何らトラブルもなかった。
【0065】実施例7(中古バッテリーの再生) 軽自動車(550cc)用のバッテリー(GS28)の中
古を再生して2,000ccクラスの車に使ってみた。電解液
の約10%を実施例1の製造2の炭素懸濁液と置換して20
Aで1時間充電した。2,000ccのエンジンは普通の状態
で始動できた。軽自動車の蓄電池で2,000ccクラスのエ
ンジンを始動できることが判明した。
【0066】実施例8(輸入車のバッテリーの再生) ドイツより船積みされて日本に上陸したベンツ(商標)搭
載のバッテリーは、輸送中赤道下を通過する際に、外気
温の影響で完全に深放電が進み、使用不可、充電不可に
陥る。深放電で使用不可になったバッテリーの再生を試
みた。充電不可になったベンツの4.5リッターエンジン
のバッテリー(推定100Ah)の各セルに総量250cc補給し
て60Aで15分充電した。ベンツに搭載して始動させたと
ころ、一発で始動できた。このことより、炭素懸濁液液
は短時間急速充電で深放電のバッテリーを回復させるこ
とができることが判明した。
【0067】実施例9(電解液温度の変化) 急速充電時の液温の変化について調べた。 バッテリーの銘柄:GS(商標)6N4−2A 従来の希硫酸液のものに10倍の電流(4A)で1時間充電
した。充電後の温度は64℃であった。次にこの電解液50
%を抜き取り、実施例1の製造1で作った炭素懸濁液を
充填し、同じく10倍の電流(4A)で1時間充電した。充
電後の温度は47℃であった。なお、従来の希硫酸液のも
のを正規の条件(0.4A×10時間)で充電したものは45〜5
0℃であり、本発明のものはこれに匹敵することが判明
した。
【0068】実施例10(内部抵抗の変化) バッテリーの銘柄:GS(商標)6N4−2A 従来の希硫酸液のもの :691Ω 電解液50vol%を実施例の製造3で作った炭素懸濁液で置換したもの:316Ω これにより、本発明のバッテリーが急速充電可能である
のは、炭素懸濁液の注入によって内部抵抗が小さくなる
ことが大きく寄与していることがうかがえる。
【0069】実施例11 蓄電池容量のテスト(常温25℃
でのテスト) バッテリー銘柄:GS(商標)6N4−2A 充電方法 :1A×1時間 放電方法 :上記電池を3列直列につなぎ37.5Wの
ヘッドランプを点灯して定電流(1.2A)放電させた。 テスト方法 :従来の希硫酸電解液そのままのもの
と、電解液の10vol%を実施例1の製造2で作成した炭
素懸濁液で置換したものについて比較した。結果を図5
の電圧と時間関係曲線で示す。本発明の電池は電圧が4.
8Vに低下するまでの放電時間つまり電池として使用で
きる時間は、従来電池の27%延長できた。
【0070】実施例12(炭素懸濁液の濃縮度と始動性) 軽自動車用のバッテリーGS(商標)28Ahの電解液の約
10%を、実施例1の製造2の炭素懸濁液の濃縮度と始動
性をテストした。テストは三菱パジェロ(商標)ディーゼ
ル3,000ccで行った。濃縮度は2倍、4倍、6倍及び10
倍である。いずれの濃縮度でもエンジンは問題なく始動
できた。
【0071】実施例13(常温での蓄電池容量) 1セルの陽極2枚、陰極3枚の組み合わせからなる蓄電
池(型式6N4-2A)の陽極1枚、陰極削除して陽極1
枚、陰極2枚の組み合わせにし、陽極とセパレーターの
間に50mm×50mm×厚さ2mmの黒鉛フェルトをインサート
した。上記電池の電解液5vol%を実施例1の製造1で
作成した炭素懸濁液で置換して1A×1時間充電した。
充電後、1.2V用37.5Wのヘッドランプに接続して定電
流(1.2A)放電させた。その放電曲線(電圧−時間曲線)
を図6に示す。また、比較のために陽極1枚、陰極2枚
の組み合わせで陽極、陰極間に黒鉛フェルトのインサー
トなし、電解液に炭素懸濁液の添加なしの場合の放電曲
線を図6に示す。図6から明らかなように、炭素フェル
トに炭素懸濁液を併用すると、放電量が増え、かつ、放
電電圧も高くなることが確認できた。
【0072】実施例14(65℃での蓄電池容量) バッテリー銘柄:GS(商標)6N4−2A 充電方法 :1A×1時間 放電方法 :上記電池を3列直列につなぎ37.5Wの
ヘッドランプを点灯して定電流(1.2A)放電させた。 テスト方法 :従来の希硫酸電解液そのままのもの
と、電解液の10vol%を実施例1の製造2で作成した炭
素懸濁液で置換したものについて比較した。結果を図7
の電圧−時間曲線で示す。本発明の電池は電圧が4.8V
に低下するまでの放電時間、つまり電池として使用でき
る時間は、従来電池の1.8倍延長できた。高温になると
従来型の電池との性能の差はさらに広がった。
【0073】実施例15(−20℃での蓄電池容量) バッテリー銘柄:GS(商標)6N4−2A 充電方法 :1A×1時間 放電方法 :上記電池を3列直列につなぎ37.5Wの
ヘッドランプを点灯して定電流(1.2A)放電させた。 テスト方法 :従来の希硫酸電解液そのままのもの
と、電解液の10vol%を実施例1の製造2で作成した炭
素懸濁液で置換したものについて比較した。結果を図8
の電圧一時間曲線で示す。本発明の電池は電圧が4.8V
に低下するまでの放電時間、つまり電池として使用でき
る時間は、従来電池と大差は無かったが、充電時の電圧
一時間曲線から、本発明電池は低い電圧で充電できるこ
とが判明した。つまり内部抵抗が小さくて充電しやすい
ことが判明した。
【0074】実施例16(電極の製造) 陽極はGS(商標)6N4−2Aの鉛格子の活物質を取り
去ったものを使用し、陰極も同じくGS6N4−2Aの
ものをそのまま使用した。陽極活物質は、酸化鉛30gと
四三酸化鉛6gと比重1.12の希硫酸8mlを混練してペー
スト状となしたもので、これを上記陽極格子より均一に
充填し、室温にて12時間熟成した。化成処理は、熟成さ
れた陽極と陰極の間にガラス繊維の不織布を挾んで絶縁
して固定した後、実施例1の製造1で作成した炭素粉末
コロイド液に浸漬し、陽極、陰極間に直流電圧を印加
し、200mA、12時間流して行った。化成処理の完了した
陽極には炭素粉末が吸着されていた。充放電テストは、
上記化成液を取り出した後、代りに希硫酸(比重1.25)を
充填し、0.5Aで時間充電した後、定電流(0.4A)で放電
し、電圧の変化を調べた。結果を図9に示す。また、こ
の方法による炭素粉末の陽極への吸着は、使用済バッテ
リーの活性化のみでなく、新規な陽極製造の中間過程で
も有効である。
【0075】実施例17 バッテリー銘柄は、軽自動車(550cc)用のバッテリーG
S(商標)28を使用し、電極の製造は、実施例16と同組
成の電極ペーストを正極の鉛格子に充填し、室温で12時
間静置し熟成させた。次いでこの電極の化成処理は、負
極にはGS28バッテリーの負極をそのまま転用し、熟
成の完了した正極と負極の間にガラス繊維の不織布を挾
み、固定した後、電極を取り出して電線を装着し、ガラ
ス容器に収納した後、この中に下記組成の化成液を電極
に浸かるまで入れ、直流200mAを10時間通電して化成処
理した。化成液として、溶媒が水で、懸濁する炭素粉末
の量を下記の5水準で変化させたものを使用した。 炭素濃度(wt%) (1) 0.02, (2) 0.1, (3) 1.0, (4) 3.0, (5)
5.0 炭素濃度の調製は、実施例1の製造2の懸濁液を濃縮お
よび希釈することによって行った。化成処理後、化成処
理液を抜取り、代わりに比重1.25の希硫酸(通常の鉛蓄
電池の電解液)を入れ、これで2,000ccのガソリンエンジ
ンの始動テストをしたところ、上記5水準の炭素濃度の
いずれも一発で始動できた。以後10日間放置して再びエ
ンジン始動させたが、同じように始動できた。一方、比
較のために作った化成処理液として通常の希硫酸を用い
た電池では軽自動車用のため容量が小さすぎて、始動で
きなかった。
【0076】実施例18 バッテリー銘柄は、軽自動車(550cc)用のバッテリーG
S(商標)28を使用し、電極の製造は、実施例16と同組
成の電極ペーストを正極の鉛格子に充填し、室温で12時
間静置し熟成させた。次いでこの電極の化成処理は、負
極にはGS28バッテリーの負極をそのまま転用し、熟
成の完了した正極と負極の間にガラス繊維の不織布を挾
み、固定した後、電極取り出し電線を装着し、ガラス容
器に収納した後、この中に下記組成の化成液を電極が完
全に浸かるまで入れて、直流200mAを10時間通電して化
成処理した。化成液として、希硫酸化成液の3vol%,5
vol%,10vol%,30vol%,50vol%,70vol%,90vol%を実
施例1の製造1の懸濁液で置換した組成の7種類の懸濁
液を使用した。化成処理後、化成処理液を抜き取り、代
わりに比重1.25の希硫酸(通常の鉛蓄電池の電解液)を入
れ、これで2,000ccのガソリンエンジンの始動テストを
したところ、上記7種類共に一発で始動できた。以後10
日間放置して再びエンジン始動させたが、同じように始
動できた。
【0077】実施例19(苛酷な充放電に対する炭素粉末
添加) バッテリーとしてGS(商標)6N4−2Aの新品を用意
し、連続50回の(STD50)の充放電を繰返して劣化した
ものに、実施例1(炭素粉末の製造)で得た電解酸化炭素
粉末を各セルに0.3g(合計0.9g)を添加し、充放電テス
トを行った。その結果、図10のように、本発明の改良品
(DVD)は性能の改善は著しく、充放電1回目(STD
1)と25回目(STD25)に近い放電曲線を示し、新品同
様の状態が再現できた。
【0078】
【発明の効果】本発明は次のような効果を有する。1)使
用できなくなった鉛蓄電池の良否判定ができ、かつ、従
来再生不可としていたものが、単に電解酸化炭素粉末や
そのペースト、あるいは懸濁液の電解液への添加で容易
に再生できる。この再生は従来の新品バッテリー以上の
性能向上があり、高電流急速充電や放電容量の伸びが達
成できる。2)鉛蓄電池製造の際に熟成された正極リサー
ジの化成液として用いると新品の性能向上が達成でき、
上記性能向上のほか、定格電流以上の電流を取り出すこ
とができ、鉛蓄電池の小形化ができ、電解液の硫酸濃度
を薄くできたり、かつ、寿命が延びる。3)PbO2カソード
が多孔質の炭素シートを接触状態でセパレータとの間隔
を埋めると活物質の脱落防止と充電能力が向上し、小形
化、長寿命が達成できるなど、高性能の鉛蓄電池とする
ことができる。したがって、資源の再利用、公害の軽減
はもとより、自動車全体の軽量化、電気自動車用鉛蓄電
池としての用途に好適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解酸化炭素粒子のESCAチャート
である。
【図2】通常の炭素粒子のESCAチャートである。
【図3】図1中のピークが280〜300eVの範囲で突出して
いるC1sのスペクトルを示すESCAチャートであ
る。
【図4】図2中のC1sのスペクトルを示すESCAチ
ャートである。
【図5】充放電時の電圧−時間曲線(充放電曲線)を示す
グラフである。
【図6】充放電時の電圧−時間曲線(充放電曲線)を示す
グラフである。
【図7】充放電時の電圧−時間曲線(充放電曲線)を示す
グラフである。
【図8】充放電時の電圧−時間曲線(充放電曲線)を示す
グラフである。
【図9】放電時の電圧−時間曲線(放電曲線)を示すグラ
フである。
【図10】充放電時の電圧−時間曲線(充放電曲線)を示
すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系で炭素陽極の電解酸化により得られ
    た炭素懸濁液からなり鉛蓄電池陽極(PbO2)を電気化学的
    ドーピングにより活性化する性能を有する鉛蓄電池用電
    解液。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の炭素懸濁液は、コロイド
    懸濁液であり、炭素コロイド粒子表面がカルボニル基、
    カルボキシル基、水酸基等の親水基で化学修飾されてい
    る鉛蓄電池用電解液。
  3. 【請求項3】 鉛蓄電池の再生剤として、請求項1記載
    の炭素懸濁液を電解液に補充液として添加してなる活性
    化された鉛蓄電池。
  4. 【請求項4】 鉛蓄電池の再生剤として、請求項1記載
    の炭素懸濁液の乾燥により得られる炭素粉末を電解液に
    添加してなる活性化された鉛蓄電池。
  5. 【請求項5】 熟成された正極リサージの化成液とし
    て、請求項1記載の炭素懸濁液を用いてなる活性化され
    た鉛蓄電池。
  6. 【請求項6】 PbO2カソードが多孔質の炭素シートと接
    触状態にあり、充電操作又は請求項1記載の炭素懸濁液
    の添加状態での充電操作によって活性化された鉛蓄電
    池。
  7. 【請求項7】 多孔質の炭素シートが炭素繊維織物又は
    フェルトである請求項5記載の鉛蓄電池。
  8. 【請求項8】 鉛蓄電池の再生剤として請求項1記載の
    炭素懸濁液又はこれの乾燥により得られる炭素粉末を電
    解液に加えて充電した際に、電解液中の炭素粒子が陽極
    に吸着して鉛蓄電池のすべてのセル中の電解液が透明液
    になる場合は再生可能とし、一部又は全部のセル中の電
    解液が透明にならず、黒変している場合は再生不可とす
    る鉛蓄電池の再生可否判定方法。
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