JPH0943242A - グルコース濃度の測定方法 - Google Patents

グルコース濃度の測定方法

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JPH0943242A
JPH0943242A JP7198408A JP19840895A JPH0943242A JP H0943242 A JPH0943242 A JP H0943242A JP 7198408 A JP7198408 A JP 7198408A JP 19840895 A JP19840895 A JP 19840895A JP H0943242 A JPH0943242 A JP H0943242A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血漿のサンプリング時に血球部が混入したこ
とを検知する手段を提供する。 【解決手段】 採取した血液を遠心分離した後に、得ら
れる血漿をサンプリングしてその中のグルコース濃度を
測定する方法であって、サンプリングした血漿について
グルコースセンサー法を用いて、血漿中のグルコースが
酵素により分解する際のセンサー出力を測定し、この出
力に基づいて平衡点法による血漿中のグルコース濃度
(G1)および一次微分法による血漿中のグルコース濃
度(G2)をそれぞれ求め、G1とG2との間に有意差
が有るか否かを判定することによりサンプリングした血
漿中への血球の混入を検知することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液中のグルコー
ス濃度の測定方法に関する。より詳しくは、グルコース
センサーを用いて血球および血漿を含んで成る血液サン
プルから実質的に血漿のみを採取して、グルコース濃度
を測定するに際して、採取した血漿中に血球が混入して
いることを判定できることを特徴とするグルコース濃度
の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】医療分野、医学的研究分野等において、
血液(または血漿、場合により血清)中のグルコース濃
度の測定が必要とされ、そのために種々の方法が提案さ
れ、また、実施されている。そのような方法の中で、広
く採用されている方法の1つにバイオセンサーを用いる
血液中のグルコース濃度の測定方法がある。良く知られ
ているように、この測定方法は、一般的にグルコースセ
ンサー法と呼ばれ、グルコース分解酵素であるグルコー
スオキシダーゼ(GOD)を用いて試料中のグルコース
を分解し、その時に生成する分解生成物である過酸化水
素量や消費される酸素量を電気化学的に測定し、測定結
果から試料中のグルコース濃度を求めることを測定原理
とするものである。
【0003】このようなグルコースセンサー法は、試料
の複雑な前処理を必要とせずに高感度でグルコース濃度
を測定できるので、特に糖尿病の診断や治療に幅広く使
用され、具体的には、GODを固定化した膜(グルコー
スセンサー)と過酸化水素電極とを組み合わせた測定装
置がこの方法にしばしば用いられている。例えば、この
方法を用いるグルコース濃度測定装置として、株式会社
京都第一科学から商品名GA−1140装置が市販され
ている。
【0004】グルコースセンサー法によりグルコース濃
度を測定する場合、血液を遠心分離して血球部分を分離
した上澄み液(通常は血漿、場合により血清)を得て、
これを適当な緩衝液により希釈してグルコースセンサー
法を用いてグルコースの分解速度を測定する。このよう
なグルコースセンサー法を用いるに際して、遠心分離し
た血液から上澄み液(血漿または血清)をサンプリング
する時に血球部分が混入しないように特に注意する必要
がある。それは、血球は相当量の固形分(通常、25〜
45%)を含むため、サンプリングした試料に血球が含
まれていると、緩衝液による試料の希釈倍率が真の倍率
と見掛けの倍率とでは異なるからである。
【0005】例えば、所定量A(例えば20μl)の試
料を所定量B(例えば1.5ml)の緩衝液により希釈
してグルコースセンサー法によりグルコース濃度を測定
する場合を考える。適正な測定においてはAは血球を含
まず全部血漿であり、従って、希釈倍率は(A+B)/
A倍となる。グルコースセンサー法を用いる測定により
得られた生データとしての測定グルコース濃度C(即
ち、緩衝液により希釈された状態のグルコース濃度)を
血液中のグルコース濃度に換算するにはCを(A+B)
/A倍する必要がある。
【0006】ところが、A中にある量の血球が混入した
ために固形分量aがA中に含まれる場合、真の希釈倍率
が(A−a+B)/(A−a)倍であるにも拘わらず、
測定に際しては上述のような見かけの希釈倍率((A+
B)/A倍)しか判らないので、グルコース濃度の換算
に際しては測定グルコース濃度Cを(A+B)/A倍せ
ざるを得ない。真のグルコース濃度を求めるためには、
本来、測定グルコース濃度Cを(A−a+B)/(A−
a)倍する必要がある。また、混入する血球の量が大き
くなると真の希釈倍率と見掛けの希釈倍率との差も大き
くなるので、特に多くの血球が混入する場合、見掛けの
希釈倍率を用いてグルコース濃度を測定する方法は全く
適切ではない。
【0007】数学的にも理解できるように、 見掛け希釈倍率−真の希釈倍率 =(A+B)/A−(A−a+B)/(A−a) =(1+B/A)−{1+B/(A−a)} =B/A−B/(A−a) <0 であるので、見掛け希釈倍率は真の希釈倍率より小さ
く、サンプルに血球が混入した場合、見かけの希釈倍率
を用いてグルコース濃度を算出すると、算出されるグル
コース濃度は真のグルコース濃度より小さい値となって
しまう。
【0008】近年、血液中のグルコース濃度の測定に際
しても、他の分野と同様に自動化が進み、特に採取した
血液試料を遠心分離した後の上澄み液のサンプリングは
自動化され、また、その後のグルコースセンサーによる
測定も同様に自動化されている。このサンプリングは分
液させた試料の上方から吸引管を挿入して吸引すること
により通常行われるが、サンプル量自体に個体差があ
り、また、血球の割合にも個人差があり、従って、上層
の血漿部分と下層の血球部分との界面が常に一定の位置
にあるとは限らないので、血漿部のサンプリングに際し
て、吸引管の先端が血球部分内に位置して血球部を含む
上層液を吸引することがある。
【0009】このような血球の吸引を未然に防止するた
めに、予め界面の位置を検出しておくことが提案されて
いる。具体的には、電極を用いて、上層(血漿層)と下
層(血球層)との導電率の違いを利用して界面位置を検
出する方法があるが、この方法には2本の電極が必要で
あり、また、導電率の測定のためには完全な絶縁が必要
であり、測定のシステムが複雑となる。
【0010】また、CCDやLEDなどを用いて上層と
下層との光透過率や反射率の違いを利用して界面位置を
検出する方法がある。通常、採取した血液は試験管内に
保存されているが、これらの試験管には通常識別ラベル
が貼られており、光を反射したり、透過したりする部分
が界面付近に存在しない場合があり、これらの方法を適
用できない場合が多い。更に、最近では、患者の負担を
減らす目的から、採血量を微量にしようとする傾向があ
り、これに対応してサンプリングの精度を一層高めて血
球の混入を回避することが望ましい。しかしながら、上
述のように、血球の吸引を未然に防止するために、予め
界面の位置を検出する方法にも実用上の問題点が存在す
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の技
術に鑑みると、血液中のグルコース濃度の自動分析にお
いては、血漿の自動サンプリング時の血球の混入を事前
に防止するのは容易ではなく、現在の測定技術では血球
の混入を避けることが実際上は非常に困難である。従っ
て、血球が混入したサンプルまでもが血球が混入しない
サンプルと同様に自動的に分析されてしまうため、血球
が混入していないサンプルについての測定値と血球が混
入したサンプルについての測定値とを区別することが実
用上必要である。
【0012】そこで、血漿のサンプリング時に血球部が
混入したことを検知する手段を提供することが本発明が
解決しようとする課題である。そのような手段が提供さ
れると、血球部分が混入したサンプルについての測定値
を排除することが可能となり、そのような測定値に基づ
く不適切な判断や治療等を未然に防ぐことが可能とな
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の要旨によれば、本
発明は、血球および液体成分を含んで成る試料から液体
部分をサンプリングした後、グルコースセンサー法によ
り試料の液体部分のグルコース濃度を測定する方法であ
って、サンプリングした試料についてグルコースセンサ
ー法を用いて、試料中のグルコースが酵素により分解す
る際のセンサー出力を測定し、この出力に基づいて平衡
点法による試料中のグルコース濃度(G1)および一次
微分法による試料中のグルコース濃度(G2)をそれぞ
れ求め、グルコース濃度(G1)とグルコース濃度(G
2)との間に有意差が有るか否かを判定することにより
サンプリングした試料中への血球の混入を検知すること
を特徴とするグルコース濃度の測定方法を提供する。
【0014】本発明において、血球とは赤血球、白血球
および血小板から選択される少なくとも一種を意味し、
実際的には主として赤血球から成るものを意味する。液
体成分とは血球の外部に存在する液体、例えば血漿、血
清などを意味する。従って、血球および液体成分を含ん
で成る試料とは、例えば通常の生体(生物、特にヒト)
から採取した全血としての血液を意味するが、これに限
定されるものではなく、予め分離されている血液の種々
の液体成分および血球成分を混合したものであってもよ
い。
【0015】本発明において、グルコースセンサー法と
は、酵素としてグルコース分解酵素である例えばグルコ
ースオキシダーゼ(通常は適当な支持体に固定化された
もの)を用いて液体部分に溶解しているグルコースを分
解し、その時に分解生成する過酸化水素量および/また
は消費される酸素量を過酸化水素電極および/または酸
素電極により電気化学的に測定し、その測定結果から液
体中のグルコース濃度を求めることを測定原理とする、
従来の技術の説明において説明したようないわゆるバイ
オセンサーを用いるグルコース濃度を測定する方法を意
味する。通常のグルコース濃度の測定においては、グル
コース濃度を測定すべき試料を直接測定するのではな
く、試料を適当な液体、特に緩衝液により希釈したもの
についてグルコース濃度を測定する。このようなグルコ
ースセンサー法は当該分野においては周知のものであ
り、本発明ではグルコースオキシダーゼと過酸化水素電
極の組み合わせを用いるのが特に好ましい。
【0016】以下、グルコースオキシダーゼおよび過酸
化水素電極を用いる場合を例として本発明を説明する
が、他の電極を用いる場合にも、本発明を同様に適用で
きる。具体的には、図1に模式的に示すような装置を用
いてグルコース濃度を測定する。グルコース濃度測定セ
ル1はGODを固定化した過酸化水素電極2を有し、セ
ル内の液は、スターラ3および撹拌子4により充分に撹
拌されるようになっている。ポンプ5により緩衝液がバ
ルブ6を介してセル1内に供給され、グルコース濃度を
測定すべき試料はサンプラー9によりセル1内に供給さ
れ、測定が終了すると、ポンプ7によりバルブ8を介し
て測定液は排出される。測定は、サンプラー9から試料
を供給した時間を0として、過酸化水素電極2からの出
力と経過時間との関係を求めることにより行う。
【0017】本発明において、平衡点法とは、上述のグ
ルコースセンサー法を用いるグルコース濃度測定法の1
つであって、グルコース濃度が既知の標準溶液について
測定開始後(即ち、試料をセル内に注入した後)の過酸
化水素電極の出力(電流値)が実質的に一定となるまで
測定を継続し、その一定出力とグルコース濃度との関係
を検量線として予め求めておき、その後、グルコース濃
度が未知の試料について過酸化水素電極の出力を測定
し、同様に出力が実質的に一定値となるまで測定を継続
し、その一定値から検量線に基づいてグルコース濃度を
求める方法を意味する。
【0018】この平衡点法は、次のような事項に基づく
ものである:グルコースオキシダーゼによるグルコース
の分解反応速度は、緩衝液中のグルコース濃度に比例す
るが、酵素によるグルコースの分解量自体は微量である
のでグルコース濃度は殆ど変化しない。従って、定常状
態では過酸化水素の生成速度は一定となる。具体的に
は、あるグルコース濃度の試料について、測定を実施す
ると、図2に模式的に示すような電極の出力と試料注入
後の時間との関係が得られ、出力は通常10秒程度でほ
ぼ一定となる。この一定の出力値と緩衝液中のグルコー
ス濃度との間には一定の相関関係があり、平衡点法は、
この関係を検量線として利用するものである。
【0019】このような平衡点法では、測定開始後、出
力が一定値に到達するまでに十分な時間があり、測定す
べき液体試料中に血球が混入している場合、この時間
は、血球内の液体に含まれるグルコースが血球の細胞膜
という抵抗に抗して緩衝液本体中に拡散していくのに十
分なものであることが判っている。従って、平衡点法に
より測定される測定グルコース濃度(G1)をもたらす
グルコースは、液体成分中に溶解しているグルコースお
よび血球内の液体中に溶解しているグルコースの双方で
ある。
【0020】本発明において、一次微分法とは、上述の
グルコースセンサー法を用いるグルコース濃度測定法の
1つであって、グルコース濃度が既知の標準溶液につい
て測定開始後の過酸化水素電極の出力(電流値)と測定
時間との関係を測定し、それに基づいて出力の時間的変
化量(即ち、出力の時間による微分値、従って、出力の
速度)の最大値とグルコース濃度との関係を検量線とし
て予め求めておき、その後、グルコース濃度が未知の試
料について過酸化水素電極の出力の時間的変化を測定
し、同様に時間的変化量の最大値を測定し、その最大値
から検量線に基づいてグルコース濃度を求める方法を意
味する。
【0021】例えば、図2に模式的に示すような電極の
出力と時間との関係を時間について微分すれば出力の時
間的変化量が求められ、具体的には図3に示すような曲
線が得られる。この曲線の最大値と緩衝液中のグルコー
ス濃度との間には一定の相関関係があり、一次微分法は
この関係を検量線として利用するものである。このよう
な一次微分法では、測定開始後、出力の時間的変化量が
最大値に到達するまでにわずか数秒程度(例えば2〜3
秒)の時間しかなく、測定試料中に血球が混入している
場合、この時間は、血球内の液体に含まれるグルコース
が血球の細胞膜を通過して緩衝液本体中に拡散していく
には十分なものではないことが判っている。従って、一
次微分法により測定される測定グルコース濃度(G2)
をもたらすグルコースは、実質的には液体成分中に溶解
しているグルコースのみである。
【0022】従って、液体成分中のグルコース濃度を測
定する場合、たとえ液体成分中のグルコース濃度が同じ
であっても、測定すべき試料中に血球が含まれている
と、平衡点法によるグルコース濃度の測定値(G1)と
一次微分法によるグルコース濃度の測定値(G2)は明
らかに異なるものとなる(当然ながら、G1>G2であ
る)。ところが、グルコース濃度を測定すべき試料中に
血球が含まれていない場合、血漿中に溶解しているグル
コースのみの影響しかないので、平衡点法によるグルコ
ース濃度の測定値(G1)と一次微分法によるグルコー
ス濃度の測定値(G2)は、許容誤差の範囲内で一致す
る。よって、G1とG2を比較して有意差の有無を判定
することにより、測定している試料中に血球が含まれて
いるか否かを容易に検知できる。
【0023】どのようなグルコース濃度測定において
も、誤差が生じるのを避けることは不可能であり、一般
的に測定装置に応じて許容誤差が定められており、測定
値(G1)と測定値(G2)との間で有意差の有無を判
定する基準はG1とG2との差が許容誤差内であるか否
かということであるが、この許容誤差は、測定装置の測
定精度により影響を受ける。従って、本発明において2
種のグルコース濃度測定法の測定値(例えばG1および
G2)が許容誤差の範囲を越えて異なるか否かを判断す
る尺度は、使用する測定装置に依存するので、どの程度
のG1とG2との違いであれば有意差がある(または有
意差がない)と判定してよいとの尺度を普遍的に定める
ことは困難である。
【0024】市販のグルコース濃度測定装置を考慮する
と、一般的には、測定値(G2)の割合が測定値(G
1)の約80%以下、より好ましくは少なくとも約90
%以下、最も好ましくは少なくとも約95%以下であれ
ば、G1およびG2は許容誤差の範囲を越えて異なって
いる、即ち、有意差が有ると判定してよい場合が多い。
また、最近では許容誤差の小さい装置も市販されてお
り、G2がG1の98%、場合により99%またはそれ
以上であってもG1とG2との間に有意差があると判定
できる場合もある。しかしながら、この割合は、理論的
には100%以上となることは有り得ない。
【0025】
【発明の実施の形態】従って、本発明は、採取した血液
を遠心分離した後に、得られる血漿をサンプリングして
その中のグルコース濃度を測定する方法に有利に適用で
きる。即ち、第2の要旨において、本発明は、採取した
血液を遠心分離した後に、得られる血漿をサンプリング
してその中のグルコース濃度を測定する方法であって、
サンプリングした血漿についてグルコースセンサー法を
用いて、血漿中のグルコースがグルコースオキシダーゼ
により分解する際のセンサー出力を測定し、この出力に
基づいて平衡点法による血漿中のグルコース濃度(G
1)および一次微分法による血漿中のグルコース濃度
(G2)をそれぞれ求め、G1とG2との間に有意差が
有るか否かを判定することによりサンプリングした血漿
中への血球の混入を検知することを特徴とするグルコー
ス濃度の測定方法を提供する。
【0026】このようなグルコース濃度の測定方法によ
り、不適当に測定された測定値を自動的に廃棄して本当
に必要な測定値のみを得ることができる。このような測
定値の比較および廃棄は、基本的にはマニュアル的に実
施することが可能であるが、通常は、コンピューターに
より自動的に実施するのが好ましい。本発明の第1およ
び第2の要旨において、平衡点法または一次微分法の代
わりに、二次微分法を用いることも可能である。
【0027】ここで、二次微分法とは、上述のグルコー
スセンサー法を用いるグルコース濃度測定法の1つであ
って、グルコース濃度が既知の標準溶液について測定開
始後の過酸化水素電極の出力(電流値)と測定時間との
関係を測定し、それに基づいて出力の加速度(即ち、出
力の時間による二次微分値)の最大値とグルコース濃度
との関係を検量線として予め求めておき、その後、グル
コース濃度が未知の試料について過酸化水素電極の出力
の時間的変化を測定し、同様に出力の加速度の最大値を
測定し、その最大値から検量線に基づいてグルコース濃
度を求める方法を意味する。
【0028】例えば、図2に模式的に示すような電極の
出力と時間との関係を時間により二次微分すれば(従っ
て、図3を再度時間で微分するのと同様)出力の加速度
が求められ、具体的には図4に示すような曲線が得られ
る。この曲線の最大値と緩衝液中のグルコース濃度との
間には一定の相関関係があり、二次微分法はこの関係を
利用するものである。
【0029】このような二次微分法では、測定開始後、
出力の加速度が最大値に到達するまでの時間は一次微分
法における最大値に到達する時間より更に短く、通常わ
ずか数秒以下(例えば2秒以下)の時間しかなく、測定
試料中に血球が混入している場合、この時間は、一次微
分法の場合と同様に、血球内の液体に含まれるグルコー
スが血球の細胞膜を通過して緩衝液本体中に拡散してい
くには十分なものではないことが判っている。従って、
二次微分法により測定される測定グルコース濃度(G
3)をもたらすグルコースは、実質的には液体成分中に
溶解しているグルコースのみである。
【0030】従って、液体成分中のグルコース濃度を測
定する場合、たとえ液体成分中のグルコース濃度が同じ
であっても、測定すべき試料中に血球が含まれている場
合、平衡点法によるグルコース濃度の測定値(G1)と
二次微分法によるグルコース濃度の測定値(G3)は明
らかに異なるものとなる。この場合において、測定値が
異なるか否かの判断は、G1とG3との比較の場合は、
先に説明したG1とG2との比較の尺度を同様に適用で
きる。
【0031】一次微分法と二次微分法において、測定時
に緩衝液中に血球内から細胞膜を介してグルコースが少
なくとも幾らかは実際に拡散していくが、その拡散の程
度は、最大値に達するまでの時間が、二次微分法におい
ては一次微分法における場合より短く、従って、二次微
分法による測定グルコース濃度が血球内の液体中に存在
するグルコースにより影響を受ける程度は小さくなる。
従って、一次微分法によるグルコース濃度(G2)と二
次微分法によるグルコース濃度(G3)は、明らかに異
なるものとなる。
【0032】従って、同じ液体成分の試料であっても、
その中に血球が含まれている場合にはG1、G2および
G3は許容誤差の範囲を越えて相互に異なることになる
(当然ながら、G1>G2>G3)。本発明において
は、これらの三種の測定値のいずれの二種を比較しても
よく、血球の混入を判定できる。
【0033】尚、G2とG3との比較については、G2
がG1より小さくなることを考慮すると、一般的には、
測定値(G3)の割合が測定値(G2)の約85%以
下、より好ましくは少なくとも約90%以下、最も好ま
しくは少なくとも約95%以下であれば、G2とG3と
の間には有意差がある、即ち、G2とG3は許容誤差の
範囲を越えて異なっていると判定してよい場合が多い。
最も一般的には、許容誤差の範囲を越えて異なるか否か
の判断は、使用する測定装置の特性としての許容誤差を
統計的な手法により求め、それに基づいて判断するのが
最も好ましいことは言うまでもない。
【0034】同様にしてG1、G2またはG3の代わり
に、三次微分法(出力を時間により三次微分して、二次
微分法と同様に、最大値とグルコース濃度との関係を
得、試料中のグルコース濃度G4を測定する方法)を適
用することも、原理的に可能である。しかしながら、最
大値に達するまでの時間がより短くなるので、試料と緩
衝液との混合の影響や許容誤差の影響が大きくなるの
で、三次微分法を適用するのはそれほど好ましい態様で
はない。測定グルコース濃度の差および測定精度の問題
の双方を考慮すると、G1とG2を比較するのが最も好
ましい。上述のようなグルコース濃度の測定に関する平
衡点法、一次微分法、二次微分法等に関する詳細は、例
えば特公平7−37991号公報を参照できる。
【0035】尚、図2、図3および図4において、破線
および一点鎖線は、時間が対応していることを意味す
る。また、本発明の方法は、二種の測定値が実質的に異
なり、サンプリングした試料中に血球が混入していたと
判定された場合、その判定に基づいて適切な処置をする
工程を更に含んでよい。適切な処置には、例えば血球が
混入した旨を測定者に知らせること(また、知らせて再
測定を促すこと)、アラームを出すこと、測定値の出力
時に異常測定の印を付すことなどが含まれる。
【0036】上述の本発明のグルコース濃度の測定方法
の実施に際しては、平衡点法、一次微分法、二次微分法
などの測定値を得るのは既存のグルコース濃度測定装置
を使用できる。得られた測定値の処理、即ち、差(G1
−G2、G1−G3および/またはG2ーG3)の計算
ならびに差が有意差であるか否かの判定は、マニュアル
で行うことは勿論可能であるが、コンピューターにより
容易に実施できる。この際、有意差の有無を判定する尺
度は使用する装置の許容誤差などの特性に基づいて設定
する。従って、上述の本発明の方法は容易にソフト化し
た回路とすることができ、既存のグルコース濃度測定装
置と組み合わせることができる。
【0037】そこで、第3の要旨において、本発明は、
上述のようなグルコース濃度測定方法を実施するための
グルコース濃度測定システムを提供し、このシステム
は、既存のグルコース濃度測定装置に、上述にような本
発明のグルコース濃度測定方法を実施する回路を組み込
むことにより試料のサンプリング時の血球混入を検知す
るという機能を有する。このシステムは、更に、血球混
入検知の後の適当な処置、例えば上述のような再検を促
すアラームの発生等の処置を実行するための回路を更に
含んでよい。
【0038】
【実施例】
実施例1 ある全血試料を遠心分離し、その上澄み液(血漿)17
μlを緩衝液1.6mlにより希釈して血漿中のグルコ
ース濃度を平衡点法、および一次微分法にて測定した。
また、上澄み液に血球が40体積%含まれている試料お
よび10体積%含まれている試料について同様にグルコ
ース濃度を測定した。この測定に際しては、株式会社京
都第一科学製GA−1140を改造して用いた。結果
を、以下に示す: 上澄み液 血球混入試料 血球10体積% 血球40体積% 平衡点法 100mg/dl 96mg/dl 86mg/dl 一次微分法 100mg/dl 93.4mg/dl 77mg/dl
【図面の簡単な説明】
【図1】 グルコース濃度測定装置を模式的に示す図で
ある。
【図2】 過酸化水素電極の出力の時間的変化を示す模
式的グラフであって、平衡点法によるグルコース濃度の
測定原理を示す。
【図3】 過酸化水素電極の出力の時間的変化の時間微
分を示す模式的グラフであって、一次微分法によるグル
コース濃度の測定原理を示す。
【図4】 過酸化水素電極の出力を時間により二次微分
した場合の模式的グラフであって、二次微分法によるグ
ルコース濃度の測定原理を示す。
【符号の説明】
1…グルコース濃度測定セル、2…GOD固定化過酸化
水素電極、3…スターラ、4…撹拌子、5…ポンプ、6
…バルブ、7…ポンプ、8…バルブ、9…サンプラー。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血球および液体成分を含んで成る試料か
    ら液体部分をサンプリングした後、グルコースセンサー
    法により試料の液体部分のグルコース濃度を測定する方
    法であって、 サンプリングした試料についてグルコースセンサー法を
    用いて、試料中のグルコースが酵素により分解する際の
    センサー出力を測定し、 この出力に基づいて平衡点法による試料中のグルコース
    濃度(G1)および一次微分法による試料中のグルコー
    ス濃度(G2)をそれぞれ求め、 グルコース濃度(G1)とグルコース濃度(G2)との
    間に有意差が有るか否かを判定することによりサンプリ
    ングした試料中への血球の混入を検知することを特徴と
    するグルコース濃度の測定方法。
  2. 【請求項2】 採取した血液を遠心分離した後に、得ら
    れる血漿をサンプリングしてその中のグルコース濃度を
    測定する方法であって、 サンプリングした血漿についてグルコースセンサー法を
    用いて、血漿中のグルコースが酵素により分解する際の
    センサー出力を測定し、 この出力に基づいて平衡点法による血漿中のグルコース
    濃度(G1)および一次微分法による血漿中のグルコー
    ス濃度(G2)をそれぞれ求め、 G1とG2との間に有意差が有るか否かを判定すること
    によりサンプリングした血漿中への血球の混入を検知す
    ることを特徴とするグルコース濃度の測定方法。
  3. 【請求項3】 酵素はグルコースオキシダーゼであり、
    過酸化水素電極によりセンサー出力を測定する請求項2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 一次微分法に代えて二次微分法を使用す
    る請求項2または3記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載のグルコ
    ース濃度測定方法を実施するための回路を含むグルコー
    ス濃度測定システム。
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