JPH0942974A - 光ファイバジャイロ - Google Patents

光ファイバジャイロ

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JPH0942974A
JPH0942974A JP19335795A JP19335795A JPH0942974A JP H0942974 A JPH0942974 A JP H0942974A JP 19335795 A JP19335795 A JP 19335795A JP 19335795 A JP19335795 A JP 19335795A JP H0942974 A JPH0942974 A JP H0942974A
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貫志 山本
Shinichi Kawada
伸一 河田
Yoshiyuki Okada
芳幸 岡田
Takeshi Hojo
武 北條
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の位相変調方式、セロダイン変調方式及
びディジタル変調方式の光ファイバジャイロの欠点を除
去することを目的とする。 【解決手段】 三角形状波形、即ち、デルタセロダイン
波形信号を使用して、干渉光の強さ信号Iに基準位相差
Δβとランプ位相差σを生成する。基準位相差Δβは、
時間TA 及びTB 毎に絶対値が同じで符号が異なる一定
値ΔβA 及びΔβ B に変化する。干渉光の強さ信号Iの
位相xは=Δθ+σ+Δβとなる。Δθ+σ=0となる
ようにランプ位相差σが制御される。従って制御ループ
の安定点では、サグナック位相差Δθはランプ位相差σ
に等しい。また、干渉光の強さ信号Iの位相xはサグナ
ック位相差Δθを含まず、x=Δβとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば航空機、船
舶、自動車等の角速度計として使用して好適な光ファイ
バジャイロに関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバジャイロは角速度を計測する
装置として広く使用されており、小型で且つ高い信頼性
を有する長所がある。光ファイバジャイロは光のサグナ
ック効果(サニャック効果ともいう。)を利用して角速
度を計測するように構成されている。干渉型の光ファイ
バジャイロとして、例えば位相変調方式、セロダイン変
調方式及びディジタル変調方式があり、これらについて
説明する。
【0003】先ず図14を参照して位相変調方式の光フ
ァイバジャイロを説明する。光ファイバジャイロ装置
は、半導体レーザ、発光ダイオード等の発光器1と検出
光を電流に変換する受光器2と1本の光ファイバを複数
回巻いて形成された光ファイバループ3と偏光子4と光
ファイバを伝播する光を合成し又は分岐する第1及び第
2のカプラ5、6と光ファイバループ3の一端に設けら
れた位相変調器8とを有する。
【0004】発光器1より出力された光は第1のカプラ
5及び偏光子4を経由し、第2のカプラ6によって2つ
の伝播光に分岐され、光ファイバループ3を互いに反対
方向に伝播する。即ち、一方は光ファイバループ3を右
周りに伝播し、他方は左周りに伝播する。
【0005】光ファイバループ3に外から角速度Ωが加
わると、サグナック効果によって、光ファイバループ3
内を互いに反対方向に伝播する光の間に位相差Δθが生
じる。斯かる位相差Δθはサグナック位相差と称され、
角速度Ωに比例し、次の式で表される。
【0006】
【数1】Δθ=(2πDL/λc)Ω
【0007】ここに、Dは光ファイバループ3のループ
径、Lは光ファイバループ3の長さ、λは発光器1から
出力される光の波長、cは光速、Ωは光ファイバループ
3のループの中心軸線周りの角速度を表す。
【0008】位相変調方式によると、光ファイバループ
3を右周りに伝播する光と左周りに伝播する光は位相変
調器8によってそれぞれ位相変調される。光ファイバル
ープ3を右周りに伝播する光EC と左周りに伝播する光
CCは光ファイバループ3の両端にて次のように表され
る。
【0009】
【数2】EC =E0 sin(ωt−Δθ/2+β0 ) ECC=E0 sin(ωt+Δθ/2+βT
【0010】ここに、E0 は振幅、ωは光の周波数に対
する角周波数、tは時間、Δθ/2はサグナック効果に
より生じた位相差、β0 及びβT は位相変調器8によっ
て生成された位相差である。右周りに伝播する光EC
位相差β0 は光ファイバループ3を右周りに伝播してか
ら光ファイバループ3の出口にて位相変調されて生成し
たものであり、左周りに伝播する光ECCの位相差βT
光ファイバループ3の入口にて位相変調されてから光フ
ァイバループ3を左周りに伝播した光に生成されたもの
である。
【0011】斯かる2つの伝播光EC 、ECCは第2のカ
プラ6によって合成され、干渉光は第1のカプラ5を経
由して受光器2によって検出される。受光器2によって
検出される干渉光の強さIは次の式によって表される。
【0012】
【数3】 I=2E0 2〔1+cos(Δθ+βT −β0 )〕 =2E0 2〔1+cos(Δθ+Δβ)〕 =2E0 2(1+cosx)
【0013】但し、Δβ=βT −β0 、x=Δθ+Δβ
である。位相変調をしない方式(Δβ=0)では、受光
器2によって検出される干渉光の強さIは位相差Δθの
余弦値cosΔθの関数だから、入力角速度Ωが小さい
と、干渉光の強さIの変動量が小さく、正確な位相差Δ
θを得られない。位相変調方式(Δβ≠0)では、正弦
曲線の勾配が大きい領域に動作点があるから、入力角速
度Ωが小さいときでも正確な位相差Δθを得ることがで
きる。
【0014】位相変調は角周波数ωm の基準周波数の正
弦波を使用して行われる。斯かる場合、位相差βT 及び
β0 は次の式によって表される。
【0015】
【数4】βT =βsin(ωm t+ωm ・τ/2) β0 =βsin(ωm t−ωm ・τ/2)
【0016】ここに、βは定数、τは光が光ファイバル
ープ3を伝播するのに要する時間である。この式より2
つの位相差βT 、β0 の差Δβ=βT −β0 を求めると
次のようになる。
【0017】
【数5】 Δβ=βT −β0 =2βsin(ωm ・τ/2)・cosωm t =zcosωm
【0018】ここにzは位相変調度と称され次の式によ
って表される。
【0019】
【数6】z=2βsinωm τ/2
【0020】位相変調度zは位相変調器8に供給される
電圧信号の大きさによって変化する。数5の式の位相差
Δβを数3の式に代入すると次の式が得られる。
【0021】
【数7】I=2E0 2〔1+cosΔθ・{J0 (z)+
2Σk=1 2k(z)cos2k・ωm t}−2sinΔ
θ・Σk=0 2k+1(z)sin(2k+1)ωm t〕
【0022】EO は光の強さに関係する定数、ωm は位
相変調器8によって付与された角周波数、zは位相変調
度、J0 、J1 、J2 、・・・はベッセル関数、tは時
間である。
【0023】数7の式は次の数8の式のように表され
る。
【0024】
【数8】I=I0 −I1 sinωm t+I2 cos2ω
m t−I3 sin3ωm t+I4cos4ωm t+・・
【0025】但し、I0 、I1 、I2 、I3 、I4 は次
の数9の式によって表される。尚、I0 は直流成分、I
1 は1倍波成分、I2 は2倍波成分、I3 は3倍波成分
等と称される。
【0026】
【数9】I0 =2E0 2{1+J0 (z)cosΔθ} I1 =4E0 21 (z)sinΔθ I2 =4E0 22 (z)cosΔθ I3 =4E0 23 (z)sinΔθ I4 =4E0 24 (z)cosΔθ
【0027】位相変調方式の光ファイバジャイロ装置で
は、受光器2が受光する干渉光の強さIは数9の式に示
されるように、cosΔθの項ばかりでなくsinΔθ
の項を含むから、入力角速度Ωが小さくサグナック位相
差Δθの値が小さいときには、sinΔθの項を取り出
してサグナック位相差Δθを求めれば正確な値が得られ
る。
【0028】再び図14を参照する。光ファイバジャイ
ロ装置は更に電流電圧変換器7と信号発生器11と同期
検波器12と信号処理部13とを有する。電流電圧変換
器7は受光器2より出力された電流信号を電圧信号に変
換し、それを同期検波部12に出力する。信号発生器1
1は角周波数ωm の基準信号を発生する信号発生部と斯
かる基準信号を倍周して角周波数2ωm 、3ωm 、4ω
m のパルス信号を生成する倍周器とを有する。
【0029】同期検波器12は信号発生器11より供給
された角周波数ωm 、2ωm 、3ω m 、4ωm の信号と
電流電圧変換器7より出力された電圧信号を入力する。
先ず、干渉光の強度信号Iより直流成分IO を除去す
る。次に、角周波数ωm 、2ω m 、3ωm 、4ωm の信
号によって干渉光の強度信号Iを同期検波し、1倍波成
分I1 、2倍波成分I2 、3倍波成分I3 及び4倍波成
分I4 等の信号成分を得る。
【0030】これらの信号を使用してサグナック位相差
Δθを求めるためには、数9の式よりE0 、J
1 (z)、J2 (z)、J3 (z)、J4 (z)を消去
すればよい。例えば、J1 (z)=J2 (z)であれば
よい。J1 (z)=J2 (z)を満たす変調度zのうち
最大値を最適な変調度z0 とすると、z0 ≒2.63で
ある。従って、変調度z≒2.63となるように位相変
調器8によって位相変調すればよい。それによって、数
9の2式を使用してサグナック位相差Δθが求められ
る。これは信号処理部13によって演算される。
【0031】次に図15を参照して従来のセロダイン変
調方式の光ファイバジャイロを説明する。セロダイン変
調方式の光ファイバジャイロは位相変調方式の光ファイ
バジャイロを改良したもので、位相変調方式の光ファイ
バジャイロより広いダイナミックレンジを得ることがで
きるように構成されている。
【0032】セロダイン変調方式の光ファイバジャイロ
では位相変調器8に加えて更にセロダイン変調器9が設
けられている。光ファイバループ3を右周りに伝播する
光E C と左周りに伝播する光ECCは位相変調器8による
位相変調に重畳して更にセロダイン変調される。光ファ
イバループ3を伝播した光は数2の式の代わりに次の数
10の式によって表される。
【0033】
【数10】 EC =E0 sin(ωt−Δθ/2+β0 +αT ) ECC=E0 sin(ωt+Δθ/2+βT +α0
【0034】α0 、αT は光ファイバループ3を右周り
に伝播する光と左周りに伝播する光において、セロダイ
ン変調器9によって生成された位相差である。受光器2
によって検出される干渉光の強さIは次の式によって表
される。
【0035】
【数11】 I=2E0 2〔1+cos(Δθ+βT −β0 +α0 −αT )〕 =2E0 2〔1+cos(Δθ+Δβ+Δα)〕
【0036】ここにΔβは位相変調器8によって生成さ
れた位相差、Δαはセロダイン変調器9によって生成さ
れた位相差である。Δαはセロダイン位相差と称され
る。
【0037】
【数12】Δβ=βT −β0 Δα=α0 −αT
【0038】数3の式と数11の式を比較すると明らか
なように、セロダイン変調方式では、干渉光の光の強さ
Iは数7の式にてΔθの代わりにΔθ+Δαを代入して
得られる。従って、受光器2によって出力される電流信
号の直流成分、1倍波成分、2倍波成分、3倍波成分等
は数9の式に対応して次の式によって表される。
【0039】
【数13】 I0 =2E0 2{1+J0 (z)cos(Δθ+Δα)} I1 =4E0 21 (z)sin(Δθ+Δα) I2 =4E0 22 (z)cos(Δθ+Δα) I3 =4E0 23 (z)sin(Δθ+Δα) I4 =4E0 24 (z)cos(Δθ+Δα)
【0040】図16に斯かるセロダイン変調によって生
成された位相差信号α0 、αT 及びセロダイン位相差Δ
αを示す。図16Aに示すように、位相差信号α0 、α
T は振幅2π、周期TS の鋸歯状波である。図16Bに
示すように、セロダイン位相差Δαは交互に値がαS
αS −2πに変化する矩形波である。αS は鋸歯状波の
勾配2π/TS に比例し、次の式によって表される。
【0041】
【数14】αS =2πτ/TS =2πfS τ
【0042】ここで、TS はセロダイン位相差Δαの周
期、fS (=1/TS )はセロダイン位相差Δαの周波
数、τは光ファイバループ3を光が伝播するのに要する
時間である。
【0043】セロダイン変調方式では、sin(Δθ+
Δα)=0となるように、セロダイン変調器9によって
伝播光は位相変調される。従って、セロダイン変調器9
を含むフィードバックループによる安定点ではΔα=−
Δθである。このとき図16Aに示す鋸歯状波の勾配2
π/TS はサグナック位相差Δθ(即ち角速度Ω)に比
例している。
【0044】Δα=αS =2πτ/TS とすると、正負
の符号を無視して、Δθ=2πτ/TS となる。これを
数1の式に代入すると、次の式が得られる。
【0045】
【数15】Ω=λcτ/DLTS =λcτfS /DL
【0046】再び図15を参照する。光ファイバジャイ
ロは更に信号発生器11と同期検波器12と第1及び第
2の積分器15、16とカウンタ17とリセット回路1
8と2π基準器19とを有する。
【0047】同期検波器12は信号発生器11より出力
された角周波数ωm の基準信号を入力して数13の式の
1倍波成分I1 を同期検波する。従って、同期検波器1
2より第1の積分器15に1倍波信号I1 が供給され
る。第2の積分器16はセロダイン位相差Δαに比例し
た勾配にて増加する傾斜信号を生成する。
【0048】一方、2π基準器19によって生成された
2π信号はリセット回路18に供給される。リセット回
路18は2πリセット信号を生成し、積分器16の傾斜
信号の値が増加して2πになったらそれをリセットす
る。こうして、第2の積分器16からは図16Aに示す
如きセロダイン波形信号が生成され、斯かるセロダイン
波形信号はセロダイン変調器9に供給される。
【0049】上述のように、セロダイン変調方式では、
sin(Δθ+Δα)=0となるように位相変調され
る。このとき、同期検波器12の出力信号I1 はゼロと
なる。従って、このときカウンタ17によって図16A
に示す如きセロダイン波形の波数が計数され、周波数f
S が求められる。この周波数fS より数15の式によっ
て角速度Ωが求められる。
【0050】次に図17〜図19を参照して従来のディ
ジタル変調方式の光ファイバジャイロを説明する。ディ
ジタル変調方式では、位相変調器8によって光ファイバ
ループ3を伝播する光は位相変調され、それによって干
渉光の強さ信号Iに時間τ毎にΔβ1 =+π/2とΔβ
2 =−π/2に交互に変化する位相差Δβが生成され
る。従って、干渉光の強さ信号Iは、数3の式にΔβ=
±π/2を代入して、次のように表される。
【0051】
【数16】 I1 =2E0 2{1+cos(Δθ+Δβ1 )} =2E0 2{1+cos(Δθ+π/2)} =2E0 2(1−sinΔθ) I2 =2E0 2{1+cos(Δθ+Δβ2 )} =2E0 2{1+cos(Δθ−π/2)} =2E0 2(1+sinΔθ)
【0052】これより、位相差がΔβ1 =+π/2のと
きとΔβ2 =−π/2のときの干渉光の強さIの差ΔI
=I1 −I2 を求める。
【0053】
【数17】 ΔI=I1 −I2 =2E0 2(1−sinΔθ)−2E0 2(1+sinΔθ) =−4E0 2sinΔθ
【0054】この式の右辺は位相変調器8によって生成
された位相差Δβを含まないから、サグナック位相差Δ
θを求めることができる。こうして、ディジタル変調方
式によると、位相変調器8によって干渉光Iに時間τ毎
に変化する位相差Δβ=±π/2を生成し、位相差がΔ
β1 =+π/2のときの光の強さI1 とΔβ2 =−π/
2のときの光の強さI2 の差ΔIを求め、これよりΔθ
の値を求める。
【0055】図18〜図19を参照してディジタル変調
方式を具体的に説明する。ディジタル変調方式による
と、右周りの光Ecwはその位相差β0 が例えば図18A
に示すように周期2τ且つ振幅π/4の周期的な矩形波
となるように位相変調され、左周りの光Eccw はその位
相差βT が例えば図18Bに示すように矩形波となるよ
うに位相変調される。左周りの光Eccw の位相差βT
右周りの光Ecwの位相差の波形と同一の矩形波を有する
が、右周りの光Ecwの位相差に対して時間τだけ遅れて
いる。
【0056】こうして、右周りの光Ecwの位相差β0
左周りの光Eccw の位相差βT との差、即ち位相差Δβ
=β0 −βT は図18Cに示すように時間τ毎に交互に
+π/2と−π/2に変化する矩形波となる。
【0057】図18Dは数3の式の位相x=Δθ+Δβ
の波形を表す。光ファイバジャイロに角速度Ωが働かな
いときは、Δθ=0だから図18Dの位相xの波形は図
18Cの位相差Δβに一致する。
【0058】次に、図19を参照して、数3の式又は数
16の式を使用して、位相差ΔβがΔβ1 =+π/2の
ときの干渉光の強さI1 、Δβ2 =−π/2のときの干
渉光の強さI2 を求める方法を示す。
【0059】図19Aは数3の式のグラフであり、位相
差xと光の強さIの関係を表すのによく用いられる。斯
かるグラフにて、横軸は位相x(=Δθ+Δβ)、縦軸
は干渉光の強さI(x)である。図19Aの下側に示さ
れた図19B及び図19Cは横軸(図19Aの縦軸方
向)が時間、縦軸(図19Aの横軸方向)が位相x(=
Δθ+Δβ)である。図19Aの右側に示された図19
D及び図19Eは横軸(図19Aの横軸方向)が時間、
縦軸(図19Aの縦軸方向)が干渉光の強さIである。
【0060】図19Bはサグナック位相差Δθ=0の場
合の位相x(=Δθ+Δβ)の波形を示し、図18Cの
波形に対応している。図19Dは斯かる場合の干渉光の
強さIを表す。同様に、図19Cはサグナック位相差Δ
θ≠0の場合の位相x(=Δθ+Δβ)の波形を示し、
図18Dの波形に対応している。図19Eは斯かる場合
の干渉光の強さIを表す。
【0061】サグナック位相差Δθ=0の場合には、図
19Bに示すように位相xの値が+π/2と−π/2と
に交互に変化しても、干渉光の強さIは図19Dに示す
ように(スパイク状の突起部を除いて)一定値となる。
しかしながら、サグナック位相差Δθ≠0の場合には、
図19Cに示すように位相xの値は時間τ毎に交互にΔ
θ−π/2とΔθ+π/2に変化し、このとき干渉光の
強さIは図19Eに示すように(スパイク状の突起部を
除いて)時間τ毎に交互に変化する。
【0062】図19Dにて干渉光の強さIの値が時間τ
毎にスパイク状の突起部を有するのは、図19Bの波形
にて示す位相xの値が−π/2と+π/2との間を変化
するときに、図19Aの正弦波の干渉光の強さIが増加
するからである。同様に、図19Eにて干渉光の強さI
の値が時間τ毎にスパイク状の突起部を有するのは、図
19Cの波形にて示す位相xの値がΔθ−π/2とΔθ
+π/2の間を変化するときに、図19Aの正弦波の干
渉光の強さIが増加するからである。
【0063】図19Eの矩形波がハイレベルにあるのは
位相x=Δθ−π/2のときの干渉光の強さI2 を表
し、矩形波がロウレベルにあるのは位相x=Δθ+π/
2のときの干渉光の強さI1 を表す。従って、図19E
の矩形波のハイレベルとロウレベルの差は、干渉光の強
さの偏差ΔI=I2 −I1 に対応している。
【0064】即ち、図19Eの矩形波のハイレベルとロ
ウレベルの差の大きさは数17の式の右辺を表す。こう
して、ディジタル変調方式では、図19Aの光の強さI
を示す正弦波より、図19Eの干渉光の強さIの矩形波
を生成し、斯かる矩形波のハイレベルとロウレベルの差
より数17の式によってΔθが求められる。
【0065】再び図17を参照して説明する。本例の光
ファイバジャイロは更にタイミング信号発生器21と位
相変調信号発生部22とAD変換器23と信号処理部2
4とを有する。タイミング信号発生器21は周期τのタ
イミング信号を生成してそれを位相変調信号発生部22
及び信号処理部24に供給する。位相変調信号発生部2
2は図18A、図18B及び図18Cに示す如き位相差
β0 、βT 、Δβを生成するための位相変調器駆動信号
を生成する。
【0066】一方、A/D変換器23は電流電圧変換器
7からの電圧信号(図19D及び図19Eに示す。)を
入力して、干渉光の強さIを示すディジタル信号を生成
し、その値I1 及びI2 を信号処理部24に供給する。
信号処理部24はタイミング信号発生器21からのタイ
ミング信号に基づいて作動し、斯かる2つの値I1 、I
2 を交互に記憶し、数17の式の引き算をする。それに
よって得られたサグナック位相差Δθより数1の式に従
って角速度Ωが計算される。
【0067】
【発明が解決しようとする課題】位相変調方式及びセロ
ダイン変調方式の光ファイバジャイロ装置では、同期検
波器12の入力信号Iは数9の式及び数13の式に示す
ように、正弦波成分ばかりでなく余弦波成分を含み、斯
かる余弦波成分のため、入力角速度Ωがゼロのときでも
入力信号Iは大きな値となる。従って、同期検波器12
の交流ゲインを大きくすることが困難となり、同期検波
器12のノイズが直接ジャイロ信号の誤差源となる欠点
があった。
【0068】従来の位相変調方式の光ファイバジャイロ
装置では、同期検波器12の出力信号はsinΔθを含
むアナログ信号であり、信号処理部13にて角速度Ωを
ディジタル式に演算するのに不適当であった。従って、
高精度にてジャイロ出力Ωを得ることが困難であった。
【0069】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロ装置では、入力角速度Ωがゼロに近い値のとき、
図16Aに示す鋸歯状波形の傾斜が小さく、従って、セ
ロダイン周期TS が大きくなり、第2の積分器16が積
分器として正確に動作することが困難となる欠点があっ
た。
【0070】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロ装置では、入力角速度Ωが大きいと、セロダイン
周期TS が小さくなり、セロダイン周波数fS が位相変
調周期数fm =ωm /2 πに近くなると、引き込み現象
又はロックイン現象が生ずる欠点があった。ロックイン
の範囲では入力角速度Ωが変化しても、セロダイン位相
差Δαが全く変化しないため、入力角速度Ωの検出が不
可能となる。斯かるロックイン現象を回避するために、
交番波信号であるディザー信号等を付加し仮想的な入力
角速度Ωを導入する必要があった。
【0071】セロダイン変調方式の光ファイバジャイロ
装置では、セロダイン変調信号α0、αT は鋸歯状波形
であり2πから0に急激に変化する。これをフライバッ
クと称する。しかしながら、実際には、セロダイン変調
信号α0 、αT は、瞬時に2πから0に変化することは
できず、使用する半導体スイッチ等によって数ナノ秒〜
数百ナノ秒程度の時間がかかる。斯かる遷移時間に起因
した誤差をフライバック誤差と称する。
【0072】セロダイン変調信号α0 、αT は、本来な
ら正確に2πとなったときにフライバックして0となる
が、2πよりずれてフライバックすることがある。2π
よりずれてフライバックすることによって生ずる誤差を
2π誤差と称する。斯かる2π誤差を除去するには複雑
な別個の制御ループが必要であった。
【0073】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロ装置では、斯かるフライバック誤差及び2π誤差
は厳密には常に同一とはならず、変化する。即ち、ラン
ダムウォークが劣化し、誤差の除去が困難となる欠点が
あった。
【0074】従来のディジタル変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、位相変調に用いる矩形波信号β0 、βT
周期は2τ(τは光が光ファイバループ3を伝播するの
に要する時間。)である。このため、通常の長さの光フ
ァイバループ3を使用する場合、斯かる周期2τに対応
する周波数はメガHzのオーダとなり、使用する全ての回
路が高周波回路となる。従って電気的ノイズ等の対策が
必要となり、低周波回路を使用する場合に比べて費用が
高くなる欠点があった。
【0075】本発明は斯かる点に鑑み、従来の位相変調
方式、セロダイン変調方式及びディジタル変調方式の光
ファイバジャイロの欠点を除去することを目的とする。
【0076】
【課題を解決するための手段】本発明によると、例えば
図1に示すように、光源と、光ファイバループと、該光
ファイバループ内を互いに反対方向に伝搬する第1の伝
播光と第2の伝播光との間の位相を変化させる位相制御
器と、上記第1の伝播光と第2の伝播光の干渉光を検出
する受光器と、を有し、上記光ファイバループがループ
の中心軸線周りに角速度Ωにて回転するとき上記干渉光
の強さ信号Iに発生するサグナック位相差Δθより上記
角速度Ωを求めるように構成された光ファイバジャイロ
において、上記位相制御器によって上記干渉光の強さI
の信号に基準位相差Δβとランプ位相差σが生成され、
上記基準位相差Δβは一定周期Tを有し、1周期Tのう
ち第1及び第2の時間TA 、TB ではそれぞれ第1及び
第2の基準位相差ΔβA 、ΔβB となり、上記第1及び
第2の基準位相差ΔβA 、ΔβB は互いに符号が反対で
絶対値が等しく、上記ランプ位相差σは上記サグナック
位相差Δθを打ち消すように制御されて上記伝播光に位
相フィードバックされ、上記基準位相差及びランプ位相
差Δβ、σを生成するために上記位相制御器に供給され
る制御電圧信号は、上記第1の時間TA では位相差Δβ
A +σに対応した第1の傾斜を有し、上記第2の時間T
B では位相差ΔβB +σに対応した第2の傾斜を有し、
上記第1及び第2の傾斜の一方は負となり他方は正とな
り、それによって上記第1及び第2の時間TA 、TB
に折れ曲がる三角形状波のデルタセロダイン波形信号と
なることを特徴とする。
【0077】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記基準位相差Δβは、nを正の整数として上記
第1の時間TA ではΔβA =−(2n−1)π/2、上
記第2の時間TB ではΔβB =+(2n−1)π/2と
なる。また他の例では、上記基準位相差Δβは、nを正
の整数、δを|δ|<π/2を満たす任意の定数として
上記第1の時間TA ではΔβA =−〔(2n−1)π/
2+δ〕、上記第2の時間TB ではΔβB =+〔(2n
−1)π/2+δ〕となる。
【0078】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記デルタセロダイン波形信号の1周期である上
記第1の時間TA と第2の時間TB の和は一定T=TA
+TB であり、上記デルタセロダイン波形信号のピーク
値が所定の許容値を超えないように、上記第1の時間T
A と第2の時間TB の大きさが調節されるように構成さ
れていることを特徴とする。
【0079】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記デルタセロダイン波形信号の1周期Tにおけ
る正の時間をT+ 、負の時間をT- とするとき、その積
算値の差ΣT+ −ΣT- 又はその差の積算値Σ(T+
- )に基づいて上記第1の時間TA と第2の時間TB
の大きさが調節されるように構成されていることを特徴
とする。
【0080】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記ランプ位相差σによって上記サグナック位相
差Δθが打ち消された制御ループの安定点にて、上記デ
ルタセロダイン波形信号の1周期Tにおける正の時間を
+ 、負の時間をT- とするとき、その積算値の差ΣT
+ −ΣT- 又はその差の積算値Σ(T+ −T- )に基づ
いて入力角速度Ω及び旋回角を演算することを特徴とす
る。
【0081】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記正の時間T+ 及び負の時間T- を所定の周期
のパルスにて計数し、そのパルス数をそれぞれN+ 、N
- とするとき、その積算値の差ΣN+ −ΣN- 又はその
差の積算値Σ(N+ −N- )に基づいて入力角速度Ω及
び旋回角を演算することを特徴とする。
【0082】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記位相制御器に供給される制御電圧信号は上記
基準位相差に対応する一定の基準電圧信号V* と上記ラ
ンプ位相差に対応するランプ電圧信号VR との和よりな
り、該ランプ電圧信号VR は上記第1の時間TA におけ
る上記干渉光の強さIの値IA と上記第2の時間TB
おける上記干渉光の強さIの値IB との差信号ΔIに対
応した電圧信号を積分することによって生成されること
を特徴とする。
【0083】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記受光器から出力された上記干渉光の強さ信号
Iを入力して上記干渉光の強さの差信号ΔI=IA −I
B に対応した電圧信号V0 を生成する信号処理部と該電
圧信号V0 を入力して積分する積分器と該積分器の出力
信号VR を入力して上記デルタセロダイン波形信号を生
成するデルタセロダイン部とを有することを特徴とす
る。
【0084】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記信号処理部は上記干渉光の強さ信号Iより直
流成分を除去して時間TA 、TB 毎に交互に±ΔI/2
に変化する交番信号を生成する直流除去器と該直流除去
器の出力信号を交流増幅するための交流増幅器と該交流
増幅器の出力信号より直流電圧信号V0 を得るための同
期検波器とを含むことを特徴とする。
【0085】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記デルタセロダイン部は時間TA 、TB 毎に交
互に正負の符号が変化する基準電圧信号V* と上記積分
器より出力されたランプ電圧信号VR を加算する加算器
と該加算器の出力信号を積分するデルタセロダイン積分
器とを含むことを特徴とする。
【0086】本発明によると、光ファイバジャイロにお
いて、上記基準電圧信号V* を生成する基準位相制御部
が設けられ、該基準位相制御部は上記第1の時間TA
おける上記干渉光の強さ信号IA と上記第2の時間T B
における上記干渉光の強さ信号IB の平均値I0 に相当
する電圧信号を使用して生成することを特徴とする。
【0087】本発明によると、三角形状波形、即ち、デ
ルタセロダイン波形信号を使用して、干渉光の強さ信号
Iに第1の位相差(基準位相差)Δβと第2の位相差
(ランプ位相差)σを生成する。干渉光の強さ信号Iの
位相xは=Δθ+σ+Δβとなる。基準位相差Δβは、
時間TA 及びTB 毎に絶対値が同じで符号が異なる一定
値ΔβA 及びΔβB に変化する。
【0088】本発明によるとΔθ+σ=0となるように
ランプ位相差σが制御される。従って制御ループの安定
点では、サグナック位相差Δθはランプ位相差σに等し
い。また、干渉光の強さ信号Iの位相xはサグナック位
相差Δθを含まず、x=Δβとなる。従って、斯かる基
準位相差Δβを所定の値に設定することによって所望の
動作点の位置を選択することができる。即ち、サグナッ
ク位相差Δθの値に拘らず、動作点は常に正弦波の曲線
上の所定の位置にある。こうして制御ループの安定点で
の動作点を正弦波信号の勾配が大きい領域の所定点に設
定することができるから、高い感度にて位相差Δθを得
ることができる。
【0089】本発明の1つの好ましい例によると、基準
位相差Δβはnを整数として時間T A ではΔβA =−
(2n−1)π/2と時間TB ではΔβB =+(2n−
1)π/2に交互に変化する。斯かる場合、干渉光の強
さ信号Iの位相xはx=Δθ+σ+Δβ=Δθ+σ±
(2n−1)π/2となる。また第1の動作点ΔβA
おける干渉光の強さの信号IA と第2の動作点ΔβB
おける信号IB の差ΔIはΔI=2I0 sin(Δθ+
σ)となる。制御ループの安定点ではΔθ+σ=0だか
ら、信号差ΔIはΔI=0である。
【0090】デルタセロダイン波形信号は1周期T=T
A +TB のうち時間TA では右下がりに減少し時間TB
では右上がりに増加する三角形状波形である。本発明に
よるとデルタセロダイン波形信号の傾斜はランプ位相差
σ、即ち、サグナック位相差Δθに対応している。入力
角速度Ωが大きくなるとデルタセロダイン波形信号の片
方の傾斜が大きくなる。デルタセロダイン波形信号の周
期Tは一定だから、その片方の傾斜が大きくなるとデル
タセロダイン波形信号のピーク値が許容値を超える。本
発明ではデルタセロダイン波形信号の周期T=TA +T
B を一定とし、1周期T内の時間TA 、TB の長さを調
節するように構成されている。それによってデルタセロ
ダイン波形信号の傾斜が大きくなってもピーク値が許容
値以内となる。
【0091】本発明の例によると、1周期T(=TA
B )内の時間TA 、TB を修正時間Δtによって修正
する。例えば、時間TA を半周期T/2に対して修正時
間Δtだけ増加又は減少し、それに対応して時間TB
半周期T/2に対して修正時間Δtだけ減少又は増加す
る。斯かる偏差時間Δtは、例えば、1周期T(=T A
+TB )内のデルタセロダイン波形信号が正である時間
+ と負である時間T - の差ΔTに比例するように設定
する。
【0092】本発明の1つの好ましい例によると、基準
位相差Δβはnを整数として時間T A ではΔβA =−
〔(2n−1)π/2+δ〕と時間TB ではΔβB =+
〔(2n−1)π/2+δ〕に交互に変化する。即ち、
この例では基準位相差Δβが正確に±(2n−1)π/
2になるように制御する必要がない。斯かる場合、干渉
光の強さ信号Iの位相xはx=Δθ+σ+Δβ+δ=Δ
θ+σ±〔(2n−1)π/2+δ〕となる。また第1
の動作点ΔβA における干渉光の強さの信号IAと第2
の動作点ΔβB における信号IB の差ΔIはΔI=2I
0 sin(Δθ+σ+δ)・cosδとなる。制御ルー
プの安定点ではΔθ+σ=0だから、信号差ΔIはΔI
=0である。
【0093】
【発明の実施の形態】図1に本発明による光ファイバジ
ャイロの構成例を示す。本例の光ファイバジャイロは、
光源である発光器1と受光した光を電流信号に変換する
受光器2と光ファイバループ3と偏光子4と2つのカプ
ラ5、6と電流信号を電圧信号に変換する電流電圧変換
器7と光ファイバループ3を伝播する光の位相を制御す
るための位相制御器8’とを有し、更に、信号処理部3
1、積分器32、デルタセロダイン部33、角度角速度
演算部34、切り換え信号発生部35及び基準位相制御
部36を有する。
【0094】ここで本発明による光ファイバジャイロの
概念を説明する。本発明による光ファイバジャイロで
は、位相制御器8’によって干渉光の強さ信号Iに2つ
の位相差、即ち、基準位相差Δβとランプ位相差σを生
成させる。先ず基準位相差Δβについて説明する。
【0095】本例によると基準位相差Δβは、時間TA
及びTB ごとに交互に変化し、時間TA ではΔβA =−
(2n−1)π/2、時間TB ではΔβB =+(2n−
1)π/2となる。
【0096】尚、基準位相差Δβの周期T=TA +TB
は一定であるが、時間TA 、TB は入力角速度Ω=0の
時を除いて異なり、一般にTA ≠TB である。これにつ
いては後に詳細に説明する。周期Tは、伝播光が光ファ
イバループ3を伝播するのに要する時間τより充分大き
いものとする。例えば、時間τの数10倍〜数100倍
であってよい。
【0097】nは正の整数であるが、以下では随時n=
1として説明する。数3の式にΔβ A 及びΔβB を代入
して、数16の式と同様な式が求められる。尚、定数2
0 2=I0 と置く。
【0098】
【数18】 IA =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβA )〕 =I0 〔1+cos(Δθ−π/2)〕 =I0 (1+sinΔθ) IB =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβB )〕 =I0 〔1+cos(Δθ+π/2)〕 =I0 (1−sinΔθ)
【0099】基準位相差がΔβA =−π/2のときとΔ
βB =+π/2のときの干渉光の強さ信号Iの差ΔIを
求めると、数17の式と同様な式が求められる。
【0100】
【数19】 ΔI=IA −IB =I0 (1+sinΔθ)−I0 (1−sinΔθ) =2I0 sinΔθ ΔI/2=I0 sinΔθ
【0101】図2を参照して説明する。図2は図19と
同様な図である。即ち、図2Aは数3の式のグラフであ
り、位相差xと干渉光の強さIの関係を表すのによく用
いられる。斯かるグラフにて、横軸は位相差x(=Δθ
+Δβ)、縦軸は干渉光の強さI(x)である。図2A
の下側に示された図2B及び図2Cは横軸(図2Aの縦
軸方向)が時間、縦軸(図2Aの横軸方向)が位相差x
(=Δθ+Δβ)である。図2Aの右側に示された図2
D及び図2Eは横軸(図2Aの横軸方向)が時間、縦軸
(図2Aの縦軸方向)が干渉光の強さIである。
【0102】図2Aの曲線上の丸印A、Bはサグナック
位相差Δθ=0の場合の動作点を示し、丸印A’、B’
はサグナック位相差Δθ≠0の場合の動作点を示す。
【0103】図2Bはサグナック位相差Δθ=0の場合
の位相x(=Δθ+Δβ)の波形を示し、図2Cはサグ
ナック位相差Δθ≠0の場合の位相x(=Δθ+Δβ)
の波形を示す。図2Dはサグナック位相差Δθ=0の場
合の干渉光の強さIを表し、同様に、図2Eはサグナッ
ク位相差Δθ≠0の場合の干渉光の強さIを表す。
【0104】図2B及び図2Dに示すように、サグナッ
ク位相差Δθ=0の場合には、位相x(=Δθ+Δβ=
Δβ)は上述のように時間TA 及びTB 毎に交互に−π
/2と+π/2に変化する矩形波だから、干渉光の強さ
Iは図2Dに示すように(スパイク状の突起部を除い
て)一定値となる。
【0105】しかしながら、図2C及び図2Eに示すよ
うに、サグナック位相差Δθ≠0の場合には、図2Cに
示すように位相xの値は時間TA 及びTB 毎に交互にΔ
θ−π/2とΔθ+π/2に変化し、このとき干渉光の
強さIは図2Eに示すように(スパイク状の突起部を除
いて)時間TA 及びTB 毎に交互に変化する。
【0106】図2Eの矩形波のハイレベルは位相x=Δ
θ+ΔβA =Δθ−π/2のときの干渉光の強さIA
表し、矩形波のロウレベルは位相x=Δθ+ΔβB =Δ
θ+π/2のときの干渉光の強さIB を表す。従って、
図2Eの矩形波のハイレベルとロウレベルの差は、偏差
ΔI=IA −IB に対応している。即ち、図2Eの矩形
波のハイレベルとロウレベルの差の大きさは数19の式
の右辺を表す。
【0107】図2Dにて干渉光の強さIの値が時間TA
及びTB 毎にスパイク状の突起部を有するのは、図2B
にて示す位相波形xの値がxA =Δθ+ΔβA とxB
Δθ+ΔβB との間を変化するときに、図2Aの正弦波
の上を動作点が、それぞれ、AからBへ又はBからAへ
移動し、干渉光の強さIが増加するからである。同様
に、図2Eにて干渉光の強さIの値が時間TA 及びTB
毎にスパイク状の突起部を有するのは、図2Cにて示す
位相波形xの値がxA =Δθ+ΔβA とxB =Δθ+Δ
βB との間を変化するときに、図2Aの正弦波の上を動
作点が、それぞれ、A’からB’へ又はB’からA’へ
移動し、干渉光の強さIが増加するからである。
【0108】次にランプ位相差σについて説明する。本
発明によると、図2Eの矩形波のハイレベルとロウレベ
ルの差ΔIを求めて数19の式を使用して位相差Δθを
演算する代わりに、干渉光の強さ信号Iに、基準位相差
Δβに加えて更にランプ関数位相差σを生成させる。斯
かる場合、数18の式及び数19の式の代わりに次の式
が得られる。
【0109】
【数20】 IA =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβA +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ−π/2+σ)〕 =I0 〔1+sin(Δθ+σ)〕 IB =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβB +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ+π/2+σ)〕 =I0 〔1−sin(Δθ+σ)〕
【0110】
【数21】 ΔI=IA −IB =2I0 sin(Δθ+σ) ΔI/2=I0 sin(Δθ+σ)
【0111】本発明によると、後に詳細に説明するが、
Δθ+σ=0となるように、ランプ位相差σが制御され
る。従って、本例の制御ループの安定点では、符号を無
視してサグナック位相差Δθはランプ位相差σに等し
い。
【0112】
【数22】Δθ=−σ
【0113】これを数20の式及び数21の式に代入し
て、制御ループの安定点における干渉光の強さ信号I、
偏差信号ΔI及び振幅ΔI/2が求められる。
【0114】
【数23】IA =IB =I0 ΔI=ΔI/2=0
【0115】干渉光の強さ信号Iに基準位相差Δβに加
えて更にランプ位相差σを生成させる場合も、図2を参
照して説明した議論が成り立つ。制御ループの安定点で
は、Δθ+σ=0だから、位相xはx=Δθ+σ+Δβ
=Δβとなり、図2の例にてサグナック位相差Δθ=0
の場合と同様な状態となる。従って、動作点は図2Aの
曲線上の丸印A、Bに戻り、図2Bに示す如き位相x=
Δβ=±π/2となり、干渉光の強さ信号Iは図2Dに
示す如き一定値I0 となる。
【0116】入力角速度Ωが変化してサグナック位相差
Δθが変化すると、動作点は図2Aの曲線上の丸印
A’、B’に移り、位相xは図2Cのように変化し干渉
光の強さ信号Iは図2Eに示すように変化するが、ラン
プ位相差σを制御することによって動作点は再び安定点
A、Bに移動する。サグナック位相差Δθの値に拘ら
ず、制御ループの安定点では動作点A、Bは正弦波の勾
配が最も大きい領域の定点にあるから、動作点が正弦波
の勾配が小さい領域にて移動する場合に比べてより良好
な感度を得ることができる。
【0117】再び図1を参照する。信号処理部31は電
流電圧変換器7の出力信号VI を入力して振幅ΔI/2
に対応した電圧信号V0 を生成する。図4Aに信号処理
部31の入力信号VI に対応した干渉光の強さIの波形
を示し、図4Bに出力信号V 0 に対応したΔI/2の波
形を示す。尚、制御ループの安定点では、数23の式に
示したようにΔI/2=0であり、従って電圧信号V0
は0である。
【0118】斯かる電圧信号V0 は積分器32によって
時間積分され、その積分値VR はデルタセロダイン部3
3に供給される。デルタセロダイン部33は積分値VR
に対応した傾斜を有する三角形波信号、即ち、デルタセ
ロダイン波信号VS を生成する。
【0119】位相制御器8’はデルタセロダイン波信号
S によって光ファイバループ3を伝播する光を位相制
御する。それによって干渉光の強さ信号Iに位相差xが
生成される。干渉光の強さ信号Iの位相xは次のように
表される。
【0120】
【数24】x=Δθ+αS =Δθ+σ+Δβ=Δθ+σ
±(2n−1)π/2
【0121】ここに、Δθは入力角速度Ωによって生成
されたサグナック位相差、αS はデルタセロダイン波信
号VS によって生成されたデルタセロダイン位相差であ
る。また、σはデルタセロダイン波信号VS に含まれる
ランプ信号によって生成されたランプ位相差、Δβはデ
ルタセロダイン波信号VS に含まれる基準信号によって
生成された基準位相差である。
【0122】上述のように、基準位相差Δβは時間TA
及びTB 毎にΔβA とΔβB に変化する。時間TA にお
ける干渉光の強さ信号Iの位相をxA 、デルタセロダイ
ン位相差をαSAとし、時間TB における干渉光の強さ信
号Iの位相をxB 、デルタセロダイン位相差をαSBとす
る。これらは次のように表される。
【0123】
【数25】 xA =Δθ+αSA=Δθ+σ+ΔβA =Δθ+σ−(2n−1)π/2 xB =Δθ+αSB=Δθ+σ+ΔβB =Δθ+σ+(2n−1)π/2
【0124】ランプ位相差σは、後に説明するように、
デルタセロダイン波信号VS の傾斜等によって求めるこ
とができる。角度角速度演算部34はセロダイン波信号
Sよりランプ位相差σ又はサグナック位相差Δθを求
め、更に入力角速度Ωを演算する。
【0125】切り換え信号発生部35は時間TA 、TB
毎に交互に符号が変化する周期T=TA +TB の切り換
え信号VC を生成する。また基準位相制御部36はセロ
ダイン波信号VS の傾斜に寄与する電圧信号V* を生成
する。
【0126】図3及び図4を参照して本例による信号処
理部31の構成及び動作を説明する。図3に示すよう
に、信号処理部31は、直流除去器31−1と交流増幅
器31−2と同期検波器31−3とを有する。信号処理
部31は、上述のように図4Aに示す如き電流電圧変換
器7の出力信号VI を入力して図4Bに示す如き矩形波
信号ΔI/2に相当する出力信号V0 を生成するように
構成されてよい。
【0127】電流電圧変換器7の出力信号VI は図2D
又は図2Eに示す干渉光の強さ信号Iに相当している。
即ち、干渉光の強さ信号Iは時間TA 及びTB 毎に数2
0の式に示すIA とIB に変化する。数20の式より明
らかなように、IA とIB の中間の値はI0 である。従
って図4Bに示すように、干渉光の強さ信号Iより定数
0 を減算することによって、時間TA 及びTB 毎に交
互に+ΔI/2と−ΔI/2に変化する矩形波信号ΔI
/2が得られる。
【0128】直流除去器31−1は電流電圧変換器7の
出力信号VI より直流成分I0 を除去する。図4Cは直
流除去器31−1の出力信号VI ’の波形を示す。電流
電圧信号変換器7より出力された干渉光の強さ信号Iの
波形は図2D又は図2Eに示したように実際には矩形波
のハイレベルとロウレベルとの切り換え時にてスパイク
状の突起を有する。従って直流除去器31−1の出力信
号VI ’の波形も、実際にはそれに対応したスパイク状
の突起を有する。図4Aに示した直流除去器31−1の
出力信号VI ’の波形では、説明の便宜のため、斯かる
スパイク状の突起は省略されている。
【0129】図4Cの矩形波信号VI ’を同期検波すれ
ば、振幅ΔI/2に比例した値が得られるが、本例では
より高い精度を達成するために、交流増幅器31−2を
通過させる。図4Dは交流増幅器31−2の出力信号V
I ”の波形を示す。交流増幅器31−2によって矩形波
信号VI ’は交流増幅され、図4Dに示す如き、時間T
A 、TB 毎に交互に符号が変化する交流波形VI ”が得
られる。交流増幅器31−2はバンドパスフィルタを有
しており、それによって高周波に富むスパイク状の突起
が除去されるが、図4Dに示すように僅かな位相遅れT
F が生ずる。
【0130】交流増幅器31−2の出力信号VI ”は同
期検波器31−3に供給され、時間TA 、TB 毎に交互
に符号が変化する切り換え信号VC によって同期検波さ
れる。図4Eは同期検波器31−3の出力信号VI ’”
の波形を示す。同期検波器31−3は例えば時間TB
け極性を反転させる機能を有する回路であってよい。斯
かる信号VI ’”の直流成分V0 は振幅ΔI/2に比例
する。
【0131】こうして信号処理部31は振幅ΔI/2に
比例した直流電圧信号V0 を生成し、それを積分器32
に供給する。
【0132】積分器32は斯かる直流電圧信号V0 を時
間積分し、得られた積分信号VR をデルタセロダイン部
33に供給する。本例の信号処理部31は上述のように
交流増幅方式にて構成されているが、所要のゲインが得
られるなら従来の如き同期検波器12によって構成して
もよい。
【0133】以上は、制御ループが未だ安定点に達して
いない場合の説明であるが、制御ループが安定点に達し
た場合には、電流電圧変換器7の出力信号VI は図4A
の破線にて示す如き一定値I0 となり、直流除去器31
−1の出力信号VI ’は図4Cに示す矩形波ではなく一
定値0である。従って信号処理部31の出力信号V0
ゼロとなる。
【0134】図5及び図6を参照して本例のデルタセロ
ダイン部33の構成及び動作を説明する。デルタセロダ
イン部33は、図5に示すように、TA /TB 切り換え
器33−1と加算器33−2とデルタセロダイン積分器
33−3とを有する。TA /TB 切り換え器33−1
は、切り換え信号発生部35より供給された切り換え信
号VC と基準位相制御部36より供給された電圧信号V
* とを入力し、図6Aに示す如き、時間TA では−
* 、時間TB では+V* となる矩形波信号±V* を生
成する。
【0135】加算器33−2は積分器32より供給され
た積分信号VR とTA /TB 切り換え器33−1より供
給された矩形波信号±V* とを加算して、図6Bに示す
如き、矩形波信号±V* +VR を生成する。即ち、時間
A では−V* +VR 、時間TB では+V* +VR なる
値の信号が得られる。尚、積分信号VR の値は変化する
が、時間TA における信号の大きさ−V* +VR は常に
負となるように構成されている。従って加算器33−2
の出力信号±V* +VR は時間TA 及びTB 毎に交互に
符号が正負に変化する
【0136】デルタセロダイン積分器33−3は、加算
器33−2の出力信号±V* +VRを時間積分し、図6
Cに示す如き、三角形波信号、即ち、デルタセロダイン
波形信号を生成する。時間TB では正の信号値+V*
R (>0)を積分するから右上がりの傾斜が生成さ
れ、時間TA では負の信号値−V* +VR (<0)を積
分するから右下がりの傾斜が生成される。図6より明ら
かなように、デルタセロダイン波形の傾斜に主として寄
与するのは、基準位相制御部36より供給された電圧信
号V* である。
【0137】デルタセロダイン積分器33−3によって
生成されたデルタセロダイン波形信号VS は位相制御器
8’に供給され、光ファイバループ3を伝播する光は位
相変調される。それによって干渉光の強さ信号Iにデル
タセロダイン位相差αS =Δβ+σが生成される。
【0138】本発明によると図6Cに示す如き三角角形
波、即ち、デルタセロダイン波形の信号を使用して位相
変調するから、従来のセロダイン波形の信号を使用する
場合のフライバック誤差が発生することがない。
【0139】次にデルタセロダイン位相差αS 、特に基
準位相差Δβ及びランプ位相差σと電圧信号V* 、VR
の関係を求める。位相制御器8’の電圧位相変換係数を
k、デルタセロダイン積分器33−3の積分時間をTI
とし、時間TA におけるデルタセロダイン位相角の傾斜
をdαSA/dt、時間TB におけるデルタセロダイン位
相角の傾斜をdαSB/dtとすると、これらは次のよう
に表される。
【0140】
【数26】dαSA/dt=k(−V* +VR )/TI dαSB/dt=k(+V* +VR )/TI
【0141】デルタセロダイン位相差αSA、αSBは、デ
ルタセロダイン位相角の傾斜に時間τを乗ずることによ
って得られ、次のようになる。τは光が光ファイバルー
プ3を伝播するのに要する時間である。
【0142】
【数27】 αSA=k(−V* +VR )τ/TI =−kV* τ/TI +kVR τ/TI αSB=k(+V* +VR )τ/TI =+kV* τ/TI +kVR τ/TI
【0143】この式と数25の式を比較すると次のよう
になる。
【0144】
【数28】ΔβA =−kV* τ/TI ΔβB =+kV* τ/TIσ=kVR τ/TI
【0145】この式より明らかなように、基準位相差Δ
βA 、ΔβB は電圧信号V* に比例する。ここで、基準
位相差Δβ=±(2n−1)π/2を得るために、電圧
信号V* を次のように設定する。
【0146】
【数29】kV* τ/TI =(2n−1)π/2
【0147】また、ランプ位相差σは積分器32の出力
信号VR に比例する。デルタセロダイン制御ループが安
定点に達するまでは、Δθ+σ≠0であり、信号処理部
31の出力信号V0 はV0 ≠0である。従って斯かる信
号V0 は積分器32を経由して積分信号VR を生成し、
数26の式に示すようにランプ位相差σが生成される。
本例によると、斯かるランプ位相差σはΔθ+σ=0と
なるように、即ち、信号処理部31の出力信号V0 がゼ
ロとなるように制御される。
【0148】次に図7を参照して2つの時間TA 、TB
の制御について説明する。もし時間TA 及びTB が一定
であると、入力角速度Ωが作用するとセロダイン波信号
Sの値が大きくなって許容値を超えるという不都合が
生ずる。例えば、TA =TB=T/2であり且つサグナ
ック位相差Δθ=0の場合には、デルタセロダイン波形
は2等辺三角形となり、セロダイン波信号VS のピーク
値は一定である。しかしながら、TA ≠TB 又はサグナ
ック位相差Δθ≠0の場合には、セロダイン波信号VS
のピーク値は周期T毎に増加又は減少して、許容値を超
える。
【0149】図6B及び図6Cを参照して説明したよう
に、デルタセロダイン波形の傾斜は、時間TA では−V
* +VR であり、時間TB ではV* +VR である。積分
器32の出力信号VR は一定ではないが、1周期T内で
は一定であると仮定してよい。従って、斯かる傾斜の絶
対値を比較すると、次のようになる。
【0150】
【数30】|V* +VR |>|−V* +VR
【0151】従って、TA ≒TB の場合には、時点P1
から1周期Tの後の時点P3 ではセロダイン波信号VS
の値は+側に変位している。出力信号VR が大きくなる
と数30の式の左辺の絶対値は益々大きくなり右辺の絶
対値は益々小さくなる。従って、セロダイン波信号VS
の値は益々+側に変位し、セロダイン波信号VS の許容
値付近まで増加することとなる。
【0152】そこで、本例では、セロダイン波信号VS
のピーク値が常に許容値以内にあるように時間TA 、T
B が制御される。一般に、数30の式が成り立つ場合、
時間TA を半周期T/2より大きくし時間TB を半周期
T/2より小さくすることによって、セロダイン波信号
S のピーク値の増加を阻止することができる。
【0153】図7Aに示すように、1周期の前半を時間
A 、後半を時間TB とする。本例によると、周期Tの
両端(時点P1 、P3 、P5 )は時間的に固定されてい
るが、その中間の時点P2 、P4 (略T/2周期)は時
間的に変更される。即ち、1周期Tから次の周期Tへの
切り換えが予め設定された方法にてなされるが、1周期
T内にて時間TA から時間TB への切り換えは可変的に
制御される。
【0154】図7Bに示すように、デルタセロダイン波
形信号VS が正である時間T+ は正値、例えば+1、負
である時間T- は負値、例えば−1とする。正である時
間T + と負である時間T- は一般に等しくない。1周期
Tにて正負の時間がT+ >T - の場合には、デルタセロ
ダイン波形は全体として+方向(上側へ)に偏倚してお
り、逆に正負の時間がT+ <T- の場合には、デルタセ
ロダイン波形は全体として−方向(下側へ)に偏倚して
いる。
【0155】そこで、1周期Tにて正の時間が負の時間
より長くT+ >T- の場合には、次の周期にて切り換え
時点P2 、P4 をより遅くする。即ち、時間TA を増加
し時間TB を減少すればよい。それによって、デルタセ
ロダイン波形は全体として−方向(下側へ)に変位し、
時点P3 、P5 は少し下側に変位する。
【0156】例えば、図7Cに示すように、時間TA
半周期T/2に対して修正時間Δtだけ増加し、時間T
B を半周期T/2に対して修正時間Δtだけ減少すれば
よい。斯かる修正時間Δtは、例えば次のように、1周
期における正負の時間T+ 、T- の差ΔT=T+ −T-
に比例した値に設定してよい。
【0157】
【数31】Δt=KT ΔT
【0158】ここにKT は比例定数である。このよう
に、本例では、1周期における正負の時間差ΔTに比例
した修正時間Δtだけ、次の周期のTA /TB 切り換え
時点を前後に修正するように構成されている。こうし
て、本例によると、常にデルタセロダイン波形は全体と
して1周期Tの中心位置付近に安定することができる。
【0159】ここでは、セロダイン波信号VS を安定化
させる方法の一例として、1周期における正負の時間差
ΔT=T+ −T- を使用して修正時間Δtを求める方法
を説明したが、本発明の範囲にて他の方法が可能である
ことは明らかである。
【0160】図8を参照して角度角速度演算部34の構
成及び動作を説明する。図8に示すように、本例の角度
角速度演算部34は正負判別回路34−1と正負パルス
発生器34−2と3つのアップダウンカウンタ34−
3、34−4、34−5とを有する。正負判別回路34
−1は図6C又は図7Aに示す如きデルタセロダイン部
33の出力信号VS を入力し、その正負の符号を判定す
る。正負判別回路34−1は図7Bに示す如き交互に符
号が正負に変化する信号を生成する。
【0161】正負パルス発生器34−2は時間τC のク
ロック信号と正負判別回路34−1の出力信号を入力
し、時間T+ では周期τC の正のパルス信号を生成し、
時間T - では周期τC の負のパルス信号を生成する。周
期τC はデルタセロダイン波形の周期Tの数10分の1
〜数100分の1であってよい。斯かる正負に符号が変
化する周期τC のパルス信号は3つのアップダウンカウ
ンタ34−3、34−4、34−5に供給される。
【0162】アップダウンカウンタ34−3、34−
4、34−5は正負パルス発生器34−2の出力パルス
信号を入力して、正負のパルス数及びその差を計数す
る。正負のパルス数をそれぞれN+ 、N- としその差を
ΔNとする。
【0163】
【数32】ΔN=N+ −N-
【0164】デルタセロダイン波形信号VS が正である
時間T+ はτC + に等しく、負である時間T- はτC
- に等しい。従って時間差ΔT=T+ −T- はτC Δ
Nに等しい。
【0165】
【数33】ΔT=τC ΔN
【0166】デルタセロダイン波形信号VS が正である
時間T+ と負である時間T- は、数25の式によって表
されるデルタセロダイン波形信号VS の傾斜dαSA/d
t、δαSA/dtに関係している。斯かる傾斜が等しけ
れば、即ち、dαSA/dt=δαSA/dtなら、正負の
時間は等しくT+ =T- となる。
【0167】ここで、ランプ位相差σとデルタセロダイ
ン波形信号VS の傾斜との間の関係を考える。時間差Δ
T=T+ −T- は数26の式に示す2つの傾斜角の差d
αSA/dt−dαSA/dtに関係している。斯かる差は
数26の式より明らかなように、ランプ位相差σ=kV
R τ/TI に比例する。従って数28の式より、次のよ
うな関係が成り立つ。
【0168】
【数34】σ=KS ΔN
【0169】KS はシステム全体によって決まる定数で
ある。この関係と数22の式及び数1の式を使用する
と、正負のパルス数差ΔNより入力角速度Ωを求めるこ
とができる。
【0170】先ず第1のアップダウンカウンタ34−3
について説明する。第1のアップダウンカウンタ34−
3は正負のパルス数差ΔNを計数し、その計数値ΔNを
保持する。斯かる計数値ΔNは所定時間毎にリセットさ
れる。従って、所定時間毎に新しい計数値ΔNを出力す
る。斯かる計数値ΔNより、数34の式、数28の式、
数22の式及び数1の式を使用して、入力角速度Ωが得
られる。
【0171】次に第2のアップダウンカウンタ34−4
について説明する。第2のアップダウンカウンタ34−
4は旋回角度を求める。旋回角度は角速度Ωを時間積分
することによって求められる。従って旋回角度は正負の
パルス数差ΔNを積算することによって求められる。第
2のアップダウンカウンタ34−4は正負のパルス数差
ΔNの積算値ΣΔNを演算する。斯かる積算値ΣΔNは
角速度Ωの積分値と等価である。従って同様に、数34
の式、数32の式、数28の式、数22の式及び数1の
式を使用して、旋回角度が得られる。
【0172】最後に第3のアップダウンカウンタ34−
5について説明する。第3のアップダウンカウンタ34
−5は正負のパルス数差ΔNを計数するが時間T毎にそ
れをリセットする。従って現時点のサイクル(周期)よ
り1つ前のサイクル(周期)のパルス偏差ΔNを常に保
持しており、それを切り換え信号発生部35に供給す
る。
【0173】図9に本例の切り換え信号発生部35の構
成を示す。切り換え信号発生部35は基準クロック35
−1と切り換え信号発生器35−2とを有する。基準ク
ロック35−1は周期τC のパルスτC とデルタセロダ
イン波の周期T(=TA +T B )に等しいパルスTとデ
ルタセロダイン波の周期Tより十分小さい周期τC0のパ
ルスτC0を生成する。パルスτC は角度角速度演算部3
4の正負パルス発生器34−2に供給される。
【0174】切り換え信号発生器35−2は、角度角速
度演算部34の第3のアップダウンカウンタ34−5よ
り出力された正負のパルス数差ΔNと基準クロック35
−1より供給されたパルスT及びパルスτC0を入力し、
時間TA 及びTB 毎に符号が変化する周期Tの切り換え
信号VC を生成する。斯かる切り換え信号VC の生成工
程は、上述の修正時間Δtの演算を含む。本例では、斯
かる修正時間Δtは数31の式の代わりに次の式によっ
て求められる。
【0175】
【数35】Δt=γτC0ΔN
【0176】ここで定数γは1より小さい任意の正の定
数であるが、パルスの計数に都合が良いように少数より
分数が選択される。時間τC0はT/2より十分小さい任
意の時間であるが、τC0≦τC を満たし且つ基準クロッ
ク35−1によって生成されるのに都合が良い値が選択
される。
【0177】第3のアップダウンカウンタ34−5から
正負のパルス数差ΔNが供給されない間は、切り換え信
号VC の時間TA 、TB は一定TA =TB =T/2であ
るが、第3のアップダウンカウンタ34−5から正負の
パルス数差ΔNが供給された場合には、修正時間Δt=
γΔNτC0だけ、TA /TB 切り換え時点は1周期の中
間時点に対して前後に変化する。
【0178】T+ >T- の場合、即ち、ΔN>0の場合
には、時間TA を半周期T/2より時間Δt=γΔNτ
C0だけ長くし、時間TB を半周期T/2より時間Δt=
γΔNτC0だけ短くする。T+ <T- の場合、即ち、Δ
N<0の場合には、時間TAを半周期T/2より時間Δ
t=γΔNτC0だけ短くし、時間TB を半周期T/2よ
り時間Δt=γΔNτC0だけ長くする。
【0179】図10及び図11を参照して本例の基準位
相制御部36の構成及び動作を説明する。基準位相制御
部36は常に一定の基準電圧信号V* を生成するように
構成されている。本例によると、図4Aを参照して説明
した一定の電圧信号I0 を使用して基準電圧信号V*
生成する。
【0180】図10に示すように、基準位相制御部36
はサンプリング機構36−1と平均値演算部36−2と
基準電圧演算部36−3とを有する。サンプリング機構
36−1は、電流電圧変換器7より供給された干渉光の
強さ信号Iを入力し、時間T A 及び時間TB における干
渉光の強さ信号IA 及びIB をサンプリングする。また
時間TA 、TB の切り換え時におけるスパイク状の突起
に相当する干渉光の強さ信号2I0 をサンプリングす
る。
【0181】図11は図2Eに示す干渉光の強さ信号I
を拡大して表したものである。時間TA における干渉光
の強さ信号IA に相当する電圧をVA 、時間TB におけ
る干渉光の強さ信号IB に相当する電圧をVB とする。
また時間TA 、TB の切り換え時におけるスパイク状の
突起に相当する電圧をVF とする。
【0182】図2Eを参照して説明したように、本例に
よると2つの干渉光の強さ信号IA、IB の中間値、即
ち、平均値は常に一定値I0 である。従って斯かる一定
値I 0 に対応する電圧値を使用することによって基準電
圧信号V* を生成することができる。
【0183】平均値演算部36−2は適当なサンプリン
グ数NS に対する電圧値VA 、VBの平均値VAM=(1
/NS )ΣVA 、VBM=(1/NS )ΣVB を計算し、
更に両者の平均値(VAM+VBM)/2を計算する。斯か
る電圧平均値(VAM+VBM)/2は中間値I0 に相当す
る。平均値演算部36−2は更に適当なサンプリング数
S に対する電圧値VF の平均値VFM=(1/NS )Σ
F を計算する。斯かる電圧平均値VFMはスパイク状の
突起のピーク値2I0 に相当する。
【0184】従って、中間値I0 に相当する電圧平均値
(VAM+VBM)/2又はピーク値2I0 に相当する電圧
平均値VFMを使用することによって正確な且つ安定した
基準電圧信号V* が得られる。
【0185】基準電圧演算部36−3は、2つの電圧平
均値VAM、VBMの和に定数1/μを乗算し、その結果得
られた値と電圧平均値VFMとの偏差ΔVFMを求める。斯
かる演算は次のように表される。
【0186】
【数36】ΔVFM=VFM−(VAM+VBM)/μ
【0187】ここに定数1/μは1に近い定数である。
基準電圧演算部36−3は更に斯かる偏差ΔVFMを増幅
して時間積分し、その積分値に初期値V*0を加算する。
それによって電圧信号V* が得られる。
【0188】
【数37】V* =V*0+∫ΔVFMdt
【0189】図12に基準位相制御部36を含む制御ル
ープを示す。基準電圧演算部36−3は2つの電圧平均
値VAM、VBMの和に1に近い定数1/μを乗算する係数
器36−3Aと数36の式を演算する加算器36−3B
と加算器36−3Bの出力信号を増幅する増幅器36−
3Cと増幅器36−3Cの出力信号を時間積分する積分
器36−3Dと数37の式の演算をする加算器36−3
Eとを有するように構成してよい。
【0190】1/μ=1の場合は、V* =VFM/2とな
る。斯かる場合、基準位相差Δβは|Δβ|=(2n−
1)(π/2)となる。μ≠1とすると、得られる基準
位相差Δβは|Δβ|=μ(2n−1)(π/2)とな
る。定数1/μは1以外の適当な値に設定することがで
きるから、基準位相差Δβは(2n−1)(π/2)の
前後の広い範囲にて設定することができる。初期値V*0
は任意であるが、始めに用いる基準電圧値V* に近い値
に選んでおけば、起動時の応答が早くなる。
【0191】以上の例では、基準位相差Δβが正の整数
nを用いてΔβ=±(2n−1)π/2と表される場合
を説明した。また、説明の簡単化のために随時、例え
ば、数20の式及び数21の式では、n=1として説明
した。nは正の整数であればよいが、実用的にはn=2
が便利である。n=2の場合、数20の式及び数21の
式の代わりに次の式が得られる。
【0192】
【数38】 IA =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβA +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ−3π/2+σ)〕 =I0 〔1−sin(Δθ+σ)〕 IB =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβB +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ+3π/2+σ)〕 =I0 〔1+sin(Δθ+σ)〕
【0193】
【数39】 ΔI=IA −IB =−2I0 sin(Δθ+σ) ΔI/2=−I0 sin(Δθ+σ)
【0194】一般にnが奇数のときは数20の式及び数
21の式が得られ、nが偶数のときは数36の式及び数
37の式が得られる。従って、nが偶数の場合には、制
御ループ内にて符号反転器を設ける必要がある。
【0195】図13を参照して本発明の他の例を説明す
る。以上の例では、基準位相差Δβとして±π/2を奇
数(2n−1)倍したものを使用している。しかしなが
ら、本発明によると、基準位相差Δβは必ずしもΔβ=
±(2n−1)π/2を満たす必要はない。本発明によ
ると、制御ループの安定点では、サグナック位相差Δθ
の値とは無関係に、干渉光の強さ信号Iの位相xはx=
Δβとなる。従って、制御ループの安定点では、サグナ
ック位相差Δθの値とは無関係に、動作点は常に正弦波
曲線上の所定の位置にある。
【0196】例えば、Δβ=±π/2とした場合には、
制御ループの安定点では、サグナック位相差Δθの値と
は無関係に、動作点は常に正弦波曲線上の位相x=±π
/2の位置にある。
【0197】所定の分解能を得るためには、位相x=Δ
β、即ち、動作点は正弦波曲線の勾配が十分大きい領域
にあることが必要であるが、必ずしも、位相、即ち、動
作点はx=Δβ=±(2n−1)π/2である必要はな
い。基準位相差Δβとして±(2n−1)π/2に近い
「任意の位相」を使用した例を説明する。
【0198】
【数40】Δβ=±〔(2n−1)π/2+δ〕
【0199】δは|δ|<π/2を満たす任意の定数で
ある。ここで簡単化のためn=1とする。干渉光の強さ
信号Iは数20の式及び数21の式と同様に次の式によ
って表される。
【0200】
【数41】 IA =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβA +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ−π/2−δ+σ)〕 =I0 〔1+sin(Δθ−δ+σ)〕 IB =I0 〔1+cos(Δθ+ΔβB +σ)〕 =I0 〔1+cos(Δθ+π/2+δ+σ)〕 =I0 〔1−sin(Δθ+δ+σ)〕
【0201】
【数42】 ΔI=IA −IB =I0 〔sin(Δθ−δ+σ)+sin(Δθ+δ+σ)〕 =2I0 sin(Δθ+σ)・cosδ ΔI/2=I0 sin(Δθ+σ)・cosδ
【0202】制御ループの安定点にて、数22の式が成
り立つとすると、数40の式は次のようになる。
【0203】
【数43】ΔI=IA −IB =0 ΔI/2=0
【0204】図13は基準位相差Δβとして「任意の位
相」を使用した例を示す。図13は図2と同様な図であ
り、図13Aの丸印A、Bは制御ループが安定点に達し
た状態、即ち、数22の式が成り立つ場合を表す。図1
3Aの丸印A’、B’はサグナック位相差Δθが変化し
て制御ループが未だ安定点に達していない状態を表す。
図13Bは制御ループが安定点に達した状態の位相x=
Δβ=±(π/2+δ)を表し、例えば2π/3に略等
しい。図13Dは斯かる場合の干渉光の強さ信号Iを表
す。図13Cは制御ループが安定点に達していない状態
の位相x=Δθ+Δβ+σ=Δθ±(π/2+δ)+σ
を表し、図13Eは斯かる場合の干渉光の強さ信号Iを
表す。
【0205】こうして、制御ループの安定点A、Bが正
弦波曲線の勾配が十分大きい領域にある限り、本発明を
適用することは可能である。例えば、信号処理部31の
交流ゲインを増加すればよい。δを付加した「任意の位
相」を使用する場合には、信号系のゲインを単に1/c
osδ倍すればよい。例えば、信号処理部31の交流ゲ
インを1/cosδ倍だけ増加すればよい。
【0206】以上本発明の実施例について詳細に説明し
てきたが、本発明は上述の実施例に限ることなく本発明
の要旨を逸脱することなく他の種々の構成が採り得るこ
とは当業者にとって容易に理解されよう。
【0207】例えば、図1に本発明の光ファイバジャイ
ロの構成例をブロック図として示したが、これは単なる
例示であり、信号処理部31、積分器32、デルタセロ
ダイン部33、角度角速度演算部34、切り換え信号発
生部35及び基準位相制御部36等を適宜、CPU、記
憶装置、A/D変換器、D/A変換器等を組み合わせて
構成してよい。
【0208】また図1に示す例では、2つのカプラ5、
6、偏光子4、位相制御器8’等を別個の要素として説
明したが、これらの要素の幾つかを1つの光集積回路に
よって置き換えてよい。
【0209】
【発明の効果】従来の位相変調方式の光ファイバジャイ
ロでは変調度制御のために2倍波及び4倍波検出用の同
期検波器と交流ゲインが比較的大きい倍波キャンセル回
路等を使用していたが、本発明の光ファイバジャイロで
は、それらを必要としないから、小型化及び低コスト化
が可能となる利点を有する。
【0210】従来の位相変調方式の光ファイバジャイロ
では、干渉光の強さ信号Iはsinθ又はcosθを含
むアナログ信号として得られ、斯かるアナログ信号Iよ
りサグナック位相差Δθを求めるように構成されてお
り、直線性及び精度に劣る欠点があった。従来のディジ
タル変調方式では干渉光の強さ信号Iにディジタル的に
変化する位相差±π/2を生成し、2つの干渉光の強さ
信号IA 、IB の差ΔI=IA −IB よりサグナック位
相差Δθを求めるように構成されており、斯かる偏差信
号ΔIはsinθ又はcosθを含むアナログ信号とし
て得られるため、位相変調方式と同様に直線性及び精度
に劣る欠点があった。
【0211】本発明による光ファイバジャイロでは、干
渉光の強さ信号Iに基準位相差Δβとランプ位相差σを
生成し、Δθ+σ=0となるようにランプ位相差σを制
御し、斯かるランプ位相差σよりサグナック位相差Δθ
=−σを求めるように構成されている。従って本発明で
は、ランプ位相差σをディジタル信号として得ることが
できるから、角度及び角速度をディジタル方式にて演算
することが可能であり、直線性及び精度が良好で誤差を
排除することができる利点を有する。
【0212】本発明による光ファイバジャイロでは、制
御ループの安定点ではΔθ+σ=0であり干渉光の強さ
信号Iの位相xはx=Δβとなり基準位相差Δβだけと
なる。従って本発明では、制御ループの安定点ではサグ
ナック位相差Δθの値に拘わらず、動作点は常に正弦波
曲線の所定点であるから直線性及び精度が良好で誤差を
排除することができる利点を有する。
【0213】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、位相変調においてセロダイン波形信号、即
ち、鋸歯状波形信号を使用するため、位相2πの跳躍、
即ち、フライバックが問題となる欠点があったが、本発
明による光ファイバジャイロでは、位相変調にデルタセ
ロダイン波形信号、即ち、三角波形信号を使用するか
ら、フライバックの問題が生ずることがない利点を有す
る。
【0214】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、フライバックに起因する誤差、例えば、2
π誤差が発生する欠点があったが、本発明による光ファ
イバジャイロでは、位相変調にデルタセロダイン波形信
号、即ち、三角波形信号を使用するから、フライバック
に起因する誤差が生ずることがない利点を有する。
【0215】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、フライバックに起因してランダムウォーク
が劣化する欠点があったが、本発明による光ファイバジ
ャイロでは、位相変調にデルタセロダイン波形信号、即
ち、三角波形信号を使用するから、フライバックに起因
したランダムウォークの劣化が生ずることがない利点を
有する。
【0216】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、入力角速度Ωがゼロに近いとき、セロダイ
ン波形即ち、鋸歯状波の傾斜が小さくなり、セロダイン
周期が長くなり、第2の積分器の動作が不正確となる欠
点があったが、本発明による光ファイバジャイロではデ
ルタセロダイン波の周期T=TA +TB は一定であるた
め、斯かる欠点はない。
【0217】従来のセロダイン変調方式の光ファイバジ
ャイロでは、位相変調周波数とセロダイン変調周波数の
2つの発振周波数を使用するためロックイン現象が生ず
る欠点があったが、本発明による光ファイバジャイロで
は位相変調もサグナック位相差Δθの検出も単一のデル
タセロダイン波信号を使用するからロックイン現象が生
ずることがない利点を有する。
【0218】従来のディジタル変調方式の光ファイバジ
ャイロでは2τ(τは光ファイバループ3を光が伝播す
るのに要する時間。)を1周期とする位相差Δβを生成
するように構成されており、MHzのオーダーの変調周波
数を必要としたが、本発明による光ファイバジャイロで
はデルタセロダイン波信号の周期Tはτの数十倍〜数百
倍とすることができるので、数KHz〜数十KHzのオーダ
の低周波数領域の変調周波数を使用することができるた
め、製造費を安価にすることができる利点を有する。
【0219】本発明による光ファイバジャイロでは、デ
ルタセロダイン波信号よりサグナック位相差Δθを求め
る際に、デルタセロダイン波信号の周期Tの数十分の一
〜数百分の一の周期τC のパルス信号を使用するから、
従来のセロダイン変調方式に比べて単位時間当たりに得
られるパルス数は数10〜数100倍もあり、その結
果、高精度且つ高分解能にてジャイロ信号Ωを得ること
ができる利点がある。
【0220】従来のディジタル変調方式の光ファイバジ
ャイロでは干渉光の強さ信号Iに基準位相差Δβ=±π
/2を生成するように構成されており、斯かる基準位相
差Δβが正確に±π/2に等しくないと誤差が生ずるた
め、斯かる基準位相差Δβ=±π/2の制御と管理に費
用がかかる欠点があったが、本発明による光ファイバジ
ャイロでは基準位相差ΔβはΔβ=±(2n−1)π/
2でなくてもよく、例えば、Δβ=±(2n−1)π/
2の近傍の広い範囲の値とすることができる利点を有す
る。
【0221】本発明によると従来の位相変調方式、セロ
ダイン変調方式及びディジタル変調方式の光ファイバジ
ャイロの欠点又は問題点を除去してより高い精度の光フ
ァイバジャイロを提供することができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光ファイバジャイロの構成例を示
す図である。
【図2】本発明による光ファイバジャイロにおける干渉
光の強さ信号と位相差の関係を示す図である。
【図3】本発明による光ファイバジャイロの信号処理部
の構成例を示す図である。
【図4】本発明による光ファイバジャイロの信号処理部
の動作を説明するための波形図である。
【図5】本発明による光ファイバジャイロのデルタセロ
ダイン部の構成例を示す図である。
【図6】本発明による光ファイバジャイロのデルタセロ
ダイン部の動作を説明するための波形図である。
【図7】本発明による光ファイバジャイロの1周期内の
時間TA 、TB を修正する方法を説明するための波形図
である。
【図8】本発明による光ファイバジャイロの角度角速度
演算部の構成例を示す図である。
【図9】本発明による光ファイバジャイロの切り換え信
号発生部の構成例を示す図である。
【図10】本発明による光ファイバジャイロの基準位相
制御部の構成例を示す説明図である。
【図11】本発明による光ファイバジャイロの基準位相
制御部の動作を説明するための波形図である。
【図12】本発明による光ファイバジャイロの基準位相
制御部を含む制御ループの構成を示す図である。
【図13】本発明による光ファイバジャイロにおける干
渉光の強さ信号と位相差の関係を示す図である。
【図14】従来の光ファイバジャイロ(位相変調方式)
の構成例を示す図である。
【図15】従来の光ファイバジャイロ(セロダイン変調
方式)の構成例を示す説明図である。
【図16】従来の光ファイバジャイロ(セロダイン変調
方式)の動作を説明するための波形図である。
【図17】従来の光ファイバジャイロ(ディジタル変調
方式)の構成例を示す説明図である。
【図18】従来の光ファイバジャイロ(ディジタル変調
方式)の動作を説明するための波形図である。
【図19】従来の光ファイバジャイロ(ディジタル変調
方式)における干渉光の強さ信号と位相差の関係を示す
図である。
【符号の説明】
1 発光器 2 受光器 3 光ファイバループ 4 偏光子 5、6 カプラ 7 電流−電圧変換器 8 位相変調器 8’ 位相制御器 9 セロダイン変調器 11 信号発生器 12 同期検波器 13 信号処理部 15、16 積分器 17 カウンタ 18 リセット回路 19 2π基準器 21 タイミング信号発生器 22 位相変調信号発生部 23 A/D変換器 24 信号処理部 31 信号処理部 32 積分器 33 デルタセロダイン部 34 角度角速度演算部 35 切り換え信号発生部 36 基準位相制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北條 武 東京都大田区南蒲田2丁目16番46号 株式 会社トキメック内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、光ファイバループと、該光ファ
    イバループ内を互いに反対方向に伝搬する第1の伝播光
    と第2の伝播光との間の位相を変化させる位相制御器
    と、上記第1の伝播光と第2の伝播光の干渉光を検出す
    る受光器と、を有し、上記光ファイバループがループの
    中心軸線周りに角速度Ωにて回転するとき上記干渉光の
    強さ信号Iに発生するサグナック位相差Δθより上記角
    速度Ωを求めるように構成された光ファイバジャイロに
    おいて、 上記位相制御器によって上記干渉光の強さIの信号に基
    準位相差Δβとランプ位相差σが生成され、 上記基準位相差Δβは一定周期Tを有し、1周期Tのう
    ち第1及び第2の時間TA 、TB ではそれぞれ第1及び
    第2の基準位相差ΔβA 、ΔβB となり、上記第1及び
    第2の基準位相差ΔβA 、ΔβB は互いに符号が反対で
    絶対値が等しく、上記ランプ位相差σは上記サグナック
    位相差Δθを打ち消すように制御されて上記伝播光に位
    相フィードバックされ、 上記基準位相差及びランプ位相差Δβ、σを生成するた
    めに上記位相制御器に供給される制御電圧信号は、上記
    第1の時間TA では位相差ΔβA +σに対応した第1の
    傾斜を有し、上記第2の時間TB では位相差ΔβB +σ
    に対応した第2の傾斜を有し、上記第1及び第2の傾斜
    の一方は負となり他方は正となり、それによって上記第
    1及び第2の時間TA 、TB 毎に折れ曲がる三角形状波
    のデルタセロダイン波形信号となることを特徴とする光
    ファイバジャイロ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光ファイバジャイロにお
    いて、 上記基準位相差Δβは、nを正の整数として上記第1の
    時間TA ではΔβA =−(2n−1)π/2、上記第2
    の時間TB ではΔβB =+(2n−1)π/2となるこ
    とを特徴とする光ファイバジャイロ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光ファイバジャイロにお
    いて、 上記基準位相差Δβは、nを正の整数、δを|δ|<π
    /2を満たす任意の定数として上記第1の時間TA では
    ΔβA =−〔(2n−1)π/2+δ〕、上記第2の時
    間TB ではΔβB =+〔(2n−1)π/2+δ〕とな
    ることを特徴とする光ファイバジャイロ。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の光ファイバジ
    ャイロにおいて、 上記デルタセロダイン波形信号の1周期である上記第1
    の時間TA と第2の時間TB の和は一定T=TA +TB
    であり、上記デルタセロダイン波形信号のピーク値が所
    定の許容値を超えないように、上記第1の時間TA と第
    2の時間TB の大きさが調節されるように構成されてい
    ることを特徴とする光ファイバジャイロ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の光ファイバジャイロにお
    いて、 上記デルタセロダイン波形信号の1周期Tにおける正の
    時間をT+ 、負の時間をT- とするとき、その積算値の
    差ΣT+ −ΣT- 又はその差の積算値Σ(T+−T-
    に基づいて上記第1の時間TA と第2の時間TB の大き
    さが調節されるように構成されていることを特徴とする
    光ファイバジャイロ。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載の光ファイ
    バジャイロにおいて、 上記ランプ位相差σによって上記サグナック位相差Δθ
    が打ち消された制御ループの安定点にて、上記デルタセ
    ロダイン波形信号の1周期Tにおける正の時間をT+
    負の時間をT- とするとき、その積算値の差ΣT+ −Σ
    - 又はその差の積算値Σ(T+ −T- )に基づいて入
    力角速度Ω及び旋回角を演算することを特徴とする光フ
    ァイバジャイロ。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の光ファイバジャイロにお
    いて、 上記正の時間T+ 及び負の時間T- を所定の周期のパル
    スにて計数し、そのパルス数をそれぞれN+ 、N- とす
    るとき、その積算値の差ΣN+ −ΣN- 又はその差の積
    算値Σ(N+ −N- )に基づいて入力角速度Ω及び旋回
    角を演算することを特徴とする光ファイバジャイロ。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載の光ファイバジャイロにおいて、 上記位相制御器に供給される制御電圧信号は上記基準位
    相差に対応する一定の基準電圧信号V* と上記ランプ位
    相差に対応するランプ電圧信号VR との和よりなり、該
    ランプ電圧信号VR は上記第1の時間TA における上記
    干渉光の強さIの値IA と上記第2の時間TB における
    上記干渉光の強さIの値IB との差信号ΔIに対応した
    電圧信号を積分することによって生成されることを特徴
    とする光ファイバジャイロ。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6、7又は
    8記載の光ファイバジャイロにおいて、 上記受光器から出力された上記干渉光の強さ信号Iを入
    力して上記干渉光の強さの差信号ΔI=IA −IB に対
    応した電圧信号V0 を生成する信号処理部と該電圧信号
    0 を入力して積分する積分器と該積分器の出力信号V
    R を入力して上記デルタセロダイン波形信号を生成する
    デルタセロダイン部とを有することを特徴とする光ファ
    イバジャイロ。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の光ファイバジャイロに
    おいて、 上記信号処理部は上記干渉光の強さ信号Iより直流成分
    を除去して時間TA 、TB 毎に交互に±ΔI/2に変化
    する交番信号を生成する直流除去器と該直流除去器の出
    力信号を交流増幅するための交流増幅器と該交流増幅器
    の出力信号より直流電圧信号V0 を得るための同期検波
    器とを含むことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  11. 【請求項11】 請求項9又は10記載の光ファイバジ
    ャイロにおいて、 上記デルタセロダイン部は時間TA 、TB 毎に交互に正
    負の符号が変化する基準電圧信号V* と上記積分器より
    出力されたランプ電圧信号VR を加算する加算器と該加
    算器の出力信号を積分するデルタセロダイン積分器とを
    含むことを特徴とする光ファイバジャイロ。
  12. 【請求項12】 請求項8〜11のいずれか1項記載の
    光ファイバジャイロにおいて、 上記基準電圧信号V* を生成する基準位相制御部が設け
    られ、該基準位相制御部は上記第1の時間TA における
    上記干渉光の強さ信号IA と上記第2の時間T B におけ
    る上記干渉光の強さ信号IB の平均値I0 に相当する電
    圧信号を使用して生成することを特徴とする光ファイバ
    ジャイロ。
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US08/686,365 US5781296A (en) 1995-07-28 1996-07-23 Closed loop type fiber optic gyroscope for measuring absolute rotation by delta serrodyne wave phase modulation
DE19630344A DE19630344A1 (de) 1995-07-28 1996-07-26 Faseroptischer Kreisel

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999056080A1 (fr) * 1998-04-27 1999-11-04 Tokimec Inc. Gyroscope a fibres optiques
JP2007248469A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Honeywell Internatl Inc 光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステム及び方法

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WO1999056080A1 (fr) * 1998-04-27 1999-11-04 Tokimec Inc. Gyroscope a fibres optiques
JP2007248469A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Honeywell Internatl Inc 光ジャイロスコープのデジタル・フィードバックのシステム及び方法

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