JPH0937909A - 多層枕 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 置き方により使用中の枕の高さを変えられる
と共に、置き方を変えても変形しないように改善した多
層枕の提供を目的とする。 【構成】 袋状の小室を有する袋体を、複数枚積重ねし
てその周囲を縫合すると共に、積重ねした袋体の中間部
を帯状の接続布で接合することにより、袋集合体を形成
した。この袋集合体の前記各小室に、枕の中身となる粒
状物を封入して多層枕を形成し、袋体同士が接続布の帯
幅以上に離間しないように設定することで、枕の変形を
防止した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、枕の使用面を使い分け
することで、その高さが変えられると共に、高さを変え
ても枕の変形を阻止するように改善した多層枕に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】本発明の従来例としては、本件出願人が
先に出願した特開平３−３９１０８号公報があり、これ
について図面を参照して説明する。図５は従来例の多層
枕を構成する袋集合体を示す斜視図、図６は多層枕の断
面を示す説明図である。従来例の多層枕は図５で示すよ
うに、複数の小室３８を有する袋体３２を複数枚積み重
ねし、その周囲を縫合して一体化することで、袋集合体
４０を形成している。袋集合体の各小室３８内には、枕
の中身となる粒状物を、小室の全収容量の６割程度を目
安として封入することにより、多層枕３０を形成してい
る。このような多層枕は図６で示すように、複数の各小
室間に空間５０を有することと、各小室に６割程度にゆ
ったりした状態で封入した粒状物４５内の空間とで、枕
全体を柔らかく形成している。この枕は、通常の正立状
態に置いた場合に、小室同志が互いの変形を阻止するよ
うに作用して、枕全体の変形を防止するから、使用中に
枕が固くなることも無いという特徴を持っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】小室３８を有する袋体
３２を複数枚積重ねした多層枕３０は、袋体の枚数を増
減することによって、枕の高さを調整することができ
る。よって、高くする場合は、袋体３２の枚数を多くす
れば良いが、粒状物４５として小豆の一種であり、もや
しの原材料として使用されるブラックマッペを封入する
と、枕全体の重量が重くなってしまうという欠点があっ
た。この対応策としては、袋体３２を増加することな
く、枕の置き方を変えて使用する方法がある。これは長
方形よりなる枕の短辺方向の幅が、枕の高さ方向よりも
寸法の長いことを利用して、枕の壁面が上下方向となる
ように置いて使用する方法である。しかし、このように
枕を正規の使用状態から、起立方向に９０度回転させた
状態で使用すると、次のような不具合があった。これに
ついて図面を参照して説明する。図７は従来例の不具合
を示す説明図である。従来例で示す枕の幅方向を、使用
する際の高さ方向となるように枕の置き方を変えると、
高さは高くなるが載置面の接置面積が少くなる。その結
果、枕内の粒状物が移動して下側に集中すると共に、図
７で示すように枕中央部の下側のみが特に広がってしま
う。粒状物が下側に移動した枕の頂部は、両端側よりも
中央部が低い凹形になり、想定していた高さよりも低く
なって、使用感も悪くなるという不具合が生じた。本発
明は、このような不具合を対策するためになされたもの
であり、置き方を変えても枕の変形が少なく、二種類の
高さで使用することができる多層枕の提供を目的とす
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記不具合を解決するた
めに、本発明は次のような構成としている。小室を有す
る袋体を、複数枚積重ねして縫合すると共に、袋体同士
を接続する帯状の接続布を、袋体中間部の長手方向に配
設し、袋体同士が接続布の帯幅以上の間隔で、互いに離
間しないように設定して袋集合体を形成した。この袋集
合体の前記各小室内には、枕の中身となる粒状物を封入
することで多層枕とした。

【０００５】

【作用】積重ねした袋体同士を、その中間部で帯状の接
続布を用いて接合することにより、一定間隔以上に袋体
同士が離間しないように設定されるから、枕の置き方を
変えても、粒状物の移動によって袋体の変形が阻止され
るようにした。袋体の変形を防止することで、置き方に
よる枕の外形が変化しないようにしたものである。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例について、図面を参照して説
明する。図１は本発明の多層枕を示す斜視図、図２は図
１で用いる袋体を示す斜視図、図３は図２を積重ねて形
成する袋集合体の分解斜視図である。図１で示すように
本発明の多層枕１０は、小室を有する袋体１２を積重ね
し、これらを縫合することで、袋集合体２０を形成する
と共に、この袋集合体の各袋内に、枕の中身となる材料
を封入したものである。これらの袋体１２と袋集合体２
０などについて、更に詳細に説明する。図２で示すよう
に袋体１２は、長方形で厚地の布地Ａ１３と、これより
も薄地の布地Ｂ１５とからなる。布地Ａ１３は一方の短
辺を除く３辺に折返し１４を設けて、この折返し部分を
縫合したものである。布地Ｂ１５は、布地Ａよりも一廻
り小さくて、それぞれの中心を合せて配設すると共に、
布地Ａと同様に３辺と中央部とを縫合して、布地Ａ１３
と布地Ｂ１５とで２つの小室１６を有する袋を形成して
いる。また、縫合しない１辺は開放され、枕の中身をい
れる封入口１８としている。このように形成した袋体１
２の複数枚を積重ねして、袋集合体２０を形成するもの
であり、これについて図面を参照して説明する。枕の高
さ調整は、袋体１２の積重ね枚数によって設定されるも
のであり、３枚の袋体を用いた例について説明する。

【０００７】図３で示すように袋集合体２０は、図２で
示した袋体１２を同一方向に設定して２枚を重ね、その
上に表裏を逆転させた１枚の袋体１２を積重ねすると共
に、これらの袋体１２間を帯状の接続布２２で接合した
ものである。接続布２２は、その長手方向にそって中央
部に折曲線２３を形成し、く字状に設定されて折重ねす
ることができるもので、折曲線２３と平行な各長辺部分
を、袋体１２の中央部に縫合する。すなわち、袋体１２
の小室１６を形成するために設けた中央部の縫合線と同
一線上に、接続布２３を縫合して、３枚の袋体１２が中
央部で接続された状態である。この接続布２３は、各袋
体１２同士が接続布の帯幅以上に離間させない為に配設
したものである。３枚の袋体は、封入口１８部分の短辺
を除いた残り３辺を縫合２６することにより、袋集合体
２０となる。

【０００８】このように形成した袋集合体２０は、３枚
の袋体１２が、それぞれ小室１６を２個ずつ持っている
から、合計６個の小室を持つと共に、それぞれの小室は
積重なって隣接配置されたことになる。この袋集合体２
０には、開口した一辺側より、封入口１８を介して各小
室内に枕の中身となる材料を入れる。この材料として
は、もみがら、そばがら、小豆又はプラスチックやその
他の材料からなる粒状物２５である。本発明では従来例
で説明したと同様に、もやし小豆と呼ばれるブラックマ
ッペ（別名ケツルアズキ）を使用している。このブラッ
クマッペは熱処理を施すと共に、滑りを良くする為の油
着処理を、従来例と同様に行っている。各小室１６に入
れる中身の量は、小室の全収容量の６割程度を目安と
し、粒状物２５が小室内で充分に移動できるゆったりと
した状態で封入する。粒状物封入後は、袋集合体２０の
開口側を縫合することにより、多層枕１０が得られる。

【０００９】この多層枕１０は、小室を有する袋体１２
の集合物であるから、小室内には空間が存在すること
と、小室内にゆったり入れた粒状物間の空間が、枕全体
を柔らかく形成している。この柔らかさは一般的な使用
状態であり、図１で示す正立状態に置いた枕は、その使
用中に変形をもたらすものではない。それは枕の内部が
変形しにくい小区分に分けられると共に、袋体の広い面
積部分が、最も安定する上下方向に配置されて接地する
ことによる。また、重なり合って隣接配置した小室内
に、粒状物２５が入れられており、粒状物を収容した小
室同士が、互いの変形を阻止するように作用するからで
ある。

【００１０】本発明の特徴となる使用例について、図面
を参照して説明する。図４は図１の使用例を示す説明図
である。本発明の多層枕１０は、接地面を変えることに
より、枕の高さを変えて使用することができる。すなわ
ち、図４で示すように図１で示した多層枕の側壁面が上
下方向となるように接地させると、その頂部が図１で示
すよりも高くなり、好みに応じて使い分けすることがで
きるものである。従来例では袋体同士が、その周囲でし
か縫合されていなかった為に、中央部の変形が大きく
て、図７で示すように中央の頂部が低くなり、下方にの
み粒状物が集中した変形状態になってしまった。しか
し、本発明の多層枕は、最も変形のし易い袋体の中央部
分に、袋体同士を接続させる接続布２２で縫合したため
に、互いに離間することなく小豆の入らない小室が増え
た状態に設定された。よって、この接続布の存在によっ
て、図５で示す姿勢に設定しても、立方体の形を維持し
たまま載置できるものである。その結果、同一の枕で接
地面を変えることにより、高さの異なる二種類の枕と同
様に使用することができる。

【００１１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、多
層枕を形成する袋体同士を、中央部分で接続することに
より、以下の効果を得ることができた。すなわち、枕の
載置面を変えても変形することが少く、１つの枕で高さ
の異なる二種類の枕として、選択使用することができる
ようになった。枕を高くして使用しても、接続布の存在
によって変形することが少いから、頭の広い範囲を一度
に圧迫されて、寝苦しくなるようなことがないなどの効
果を得ることができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の多層枕を示す斜視図である。

【図２】図１で用いる袋体を示す斜視図である。

【図３】図２の袋体を積重ねて形成した袋集合体の分解
斜視図である。

【図４】図１の使用例を示す説明図である。

【図５】従来例の多層枕を構成する袋集合体の斜視図で
ある。

【図６】従来例の多層枕の断面を示す説明図である。

【図７】従来例の多層枕の不具合を示す説明図である。

【符号の説明】

１０ 多層枕 １２ 袋体 １６ 小室 １８ 封入口 ２０ 袋集合体 ２２ 接続布 ２５ 粒状物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の小室を有する長方形の袋体と、 この袋体を複数枚積重ねして縫合すると共に、積重ねし
   た袋体中間部の長手方向に、袋体同士を接続する帯状の
   接続布を配設して、袋体同士が接続布の帯幅以上の間隔
   で、互いに離間しないように設定した袋集合体と、 この袋集合体の前記各小室内に封入した粒状物とからな
   ることを特徴とする多層枕。