JPH093756A - フェルト地及びバグフィルター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性及び耐薬品性に優れ、さらにダストの捕
捉性能及び剥離性能を高めたフェルト地及びバグフィル
ター用瀘布を提供する。 【構成】本発明のフェルト地は、フッ素繊維製フェルト
であって、該フェルトが繊維径の異なる少なくとも２種
類の短繊維から成ることを特徴とするものであり、ま
た、本発明のバグフィルターは、かかるフェルト地を袋
状に成形した濾布で構成されていることを特徴とするも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ダスト捕集性、ダスト
剥離性および圧力損失とのバランスのとれた優れたフィ
ルター機能を有するフェルト地及びそれを用いてなるバ
グフィルターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】都市ゴミ焼却用等の焼却炉から発生する
焼却排ガスには、ばいじんの他に塩化水素や硫黄酸化
物、窒素酸化物等が含まれている。そして最近では焼却
排ガスにダイオキシン類が含まれることがあり問題とな
っているが、焼却炉に付設される集塵装置として電気集
塵機を使用すると、焼却排ガスが３００℃程度の高温の
ものであるためにダイオキシン類が発生し易いと考えら
れている。したがって、焼却排ガスが２００℃程度以下
の比較的低温であるバグフィルター方式の集塵装置を使
用することが好ましいとされている。

【０００３】かかるバグフィルター方式の集塵装置とし
ては、各種のタイプのものがあるが、図１はパルスジェ
ットタイプのバグフィルター方式の集塵装置の一例を示
すものである。この方式では、ホッパー１の側面に含塵
空気入口２を下端にダスト排出口３をそれぞれ設け、ホ
ッパー１の上面の開口部に仕切板４を張設すると共に仕
切板４の開孔にベンチュリー５を設け、ホッパー１の上
部に空気出口６を設けた上部カバー７を覆着した構造を
有する装置であり、一端部が開口する袋状に形成された
瀘布Ａが、その一端部の開口をベンチュリー５の外側に
被嵌してホッパー１内に取り付けてられている。瀘布Ａ
内には、この瀘布Ａを膨らんだ状態に保形するリテーナ
ー８が設けてある。

【０００４】かかる集塵装置では、含塵空気入口２から
ホッパー１内に流入した焼却排ガスは瀘布Ａを通過して
ベンチュリー５から上部カバー７内に移流し、空気出口
６から排出される。このとき、焼却排ガス中のばいじん
や塩化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物等のダストは、瀘
布Ａで瀘過され、清浄な空気のみが瀘布Ａを通過して空
気出口６から排出されるものである。図１の装置では、
噴射ノズル管９から圧縮空気を瀘布Ａに吐出させること
によって、瀘布Ａの外面に付着したダストを払い落と
し、ダスト排出口３から排出できるようにしてある。

【０００５】上記のようなバグフィルター方式の集塵装
置に使用される瀘布Ａは、織布あるいはフェルト地を袋
状に縫製等して作成したものが一般的であるが、近年で
はフェルト地を用いる割合が急激に増加している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】かかる瀘布は、単一繊
維繊度を有する繊維で構成されたフェルト地でつくられ
ているのが一般的であるが、ダスト捕集性能を高めるた
めに繊維繊度の小さい繊維でフェルト地を形成すると、
フェルト地の密度が高くなりすぎて、圧力損失の増加を
起し長期間使用が難しいという問題が惹起する。

【０００７】本発明は、従来技術のかかる欠点に鑑み、
耐熱性及び耐薬品性に優れ、さらにダストの捕捉性能及
び剥離性能の高いフェルト地及びバグフィルターを提供
せんとするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、つぎのような手段を採用する。すなわ
ち、本発明のフェルト地は、フッ素繊維製フェルトであ
って、該フェルトが繊維径の異なる少なくとも２種類の
短繊維から成ることを特徴とするものであり、また、本
発明のバグフィルターは、かかるフェルト地を袋状に成
形した濾布で構成されていることを特徴とするものであ
る。

【０００９】

【作用】ダスト捕集性能が高く、それでいて圧力損失が
なく、しかもダスト剥離性能に優れたフェルト地を製造
し、もって優れた性能を有するバグフィルターを提供す
ることについて、鋭意検討したところ、繊維径の異なる
少なくとも２種類の短繊維から成るフッ素繊維で構成し
たフェルトが、上記性能を全て満足することを究明した
ものである。

【００１０】本発明のフッ素繊維としては、主としてポ
リ４フッ化エチレン（ＰＴＦＥ）の繊維を使用すること
ができるものであり、繊維長が、好ましくは１０〜２０
０ｍｍ、さらに好ましくは３０〜１１０ｍｍの範囲の短
繊維を使用する。またこのフッ素繊維としては繊維径
が、好ましくは１〜４０μｍ、さらに好ましくは３〜３
０μｍ、特に好ましくは５〜２５μｍのものが使用され
る。

【００１１】本発明に使用されるかかるフッ素繊維の短
繊維は、繊維径が異なる少なくとも２種類のものによっ
てフェルトが構成されていることが重要である。ここで
繊維径が異なるとは、その繊維径の比が、好ましくは
１．１〜７、さらに好ましくは１．２〜５であるもので
あって、２種のみならず、さらに繊維径の異なる短繊維
を３種以上混在させて用いてもよい。かかる繊維径の異
種のものを併用して構成されたフェルトとすることによ
って、ダスト捕集性能、圧力損失およびダスト剥離性能
とのバランスのとれたバグフィルターを提供することが
できる。かかる短繊維は混綿しフェルト加工することに
よって、フェルト地を作成する。

【００１２】フッ素繊維のかかる短繊維の混綿の割合
は、繊維径の大きいフッ素繊維の短繊維１００重量部に
対して、繊維径の小さいフッ素繊維の短繊維を、好まし
くは１〜４００重量部、さらに好ましくは１０〜２００
重量部、特に好ましくは５０〜１５０重量部の範囲が使
用される。この範囲より繊維径の小さいフッ素繊維の短
繊維の割合が少ないと、バグフィルターとして使用する
にあたってダスト捕捉性及び剥離性能の向上が見られな
い。また、この範囲より繊維径の小さいフッ素繊維の短
繊維の割合が多いと、圧力損失が大きくなり過ぎバグフ
ィルターとして長期間の使用が難しくなる恐れがある。

【００１３】上記フェルト加工は、長繊維の織布からな
る基布を用い、ニードルパンチ法など既知の任意の方法
で行うことができる。ここで、基布はフェルト地の強度
を補強するためのものであり、フェルト地の全体に対す
る重量比で２５〜３５重量％の範囲となるように作成し
た基布を用いるのが好ましい。この範囲以下の場合は基
布によるフェルト地の強度補強効果を十分に得ることが
できず、逆にこの範囲を越えると不要な高強度になると
ともにコストアップになる。

【００１４】上記のようにして作成されるフェルト地は
フッ素繊維から形成されているために、フッ素繊維（Ｐ
ＴＦＥは連続使用可能温度２６０℃）の持つ優れた耐熱
性によって耐熱性能を高めることができるものであり、
またフッ素繊維は酸やアルカリに侵されることがなく耐
薬品性が優れており、フェルト地の耐薬品性を高めるこ
とができるものである。ここで、フェルト地を繊維径の
大きいフッ素繊維の短繊維のみを用いて作成すると、バ
グフィルター用瀘布として使用するにあたってダスト捕
捉性及び剥離性能の向上が見られないという問題が発生
する。また、フェルト地を繊維径の小さいフッ素繊維の
短繊維のみを用いて作成すると、圧力損失が大きくなり
過ぎバグフィルター用瀘布として長期間の使用が難しく
なるという問題が発生する。本発明では、繊維径の異な
るフッ素繊維の短繊維を少なくとも２種類併用すること
によって、これらの問題を解消し、両者の利点を生かし
たフェルト地を得ることができるものである。

【００１５】また本発明では、上記のように作成される
フェルト地を熱収縮防止のために３００〜３２０℃程度
の温度で短時間熱処理した後、一端部が開口する袋状に
縫製加工等することによって、バグフィルター用瀘布を
成形することができる。このバグフィルターは図１に示
すような集塵装置に使用することができる。このバグフ
ィルターにあって、少なくとも繊維径の異なる２種類の
フッ素繊維の短繊維を混綿しフェルト加工して形成した
フェルト地からなっており、このフェルト地は上記のよ
うに優れた耐熱性能と耐薬品性能を有するために、焼却
排ガスからダストを瀘過する際に焼却排ガスの高温が作
用したり、アルカリ性や酸性等の物質が作用したりして
も、この耐熱性能と耐薬品性能によってバグフィルター
用瀘布の耐久性を高めることができ、長期間の使用を可
能にすることができるものである。また、繊維径の異な
る２種類のフッ素繊維の短繊維を混綿したフェルト地を
使用しているため、バグフィルター用瀘布を構成するフ
ェルト地の短繊維の絡み合いが高くなっており、空気の
通過間隙を小さくしてダストの捕捉性能及び剥離性能を
高めることができるものである。

【００１６】なお、本発明に係るフッ素繊維の短繊維
で、繊維径の異なる少なくとも２種類の繊維の混綿をフ
ェルト加工して形成した上記フェルト地は、バグフィル
ター用瀘布の素材として最適であるが、このフェルト地
はバグフィルター用瀘布以外に、耐蝕材、パッキング、
断熱材、各種耐蝕フィルター等の用途にも使用すること
ができるものである。

【００１７】

【実施例】次に、本発明を実施例によって例証する。

【００１８】（実施例）平均繊維長７０ｍｍ、平均繊維
径２０μｍのＰＴＦＥ繊維（東レ・ファインケミカル株
式会社製「トヨフロン」）の短繊維を５０重量％、平均
繊維長７０ｍｍ、平均繊維径１４μｍのＰＴＦＥ繊維
（東レ・ファインケミカル株式会社製「トヨフロン」）
の短繊維を５０重量％で混綿し、基布として秤量２４０
ｇ／ｍ² の東レ・ファインケミカル株式会社製「トヨフ
ロン」模紗織物を用い、ニードルパンチ法でフェルト加
工し、厚み１．０ｍｍ、秤量８４０ｇ／ｍ² のフェルト
地を作成した。

【００１９】またこのフェルト地を縫製加工して、直径
１１．６ｃｍ、縦１３０ｃｍの寸法の上端が開口する袋
状に成形し、バグフィルター用瀘布を作成した。

【００２０】（比較例）ＰＴＦＥ繊維フェルト地として
平均繊維長７０ｍｍ、平均繊維径２０μｍのＰＴＦＥ繊
維（東レ・ファインケミカル株式会社製「トヨフロ
ン」）の短繊維を１００重量％使用して上記実施例と同
様にしてフェルト加工することによってフェルト地を作
成した。また、このフェルト地を用いて上記実施例と同
様にしてバグフィルター用瀘布を作成した。

【００２１】上記実施例及び比較例で作成したフェルト
地について、ダストの捕捉性能及び剥離性能を測定し
た。ダストの捕捉性能は、ダスト種にＪＩＳ１０種を用
い、瀘過風速２ｍ／ｍｉｎ、ダスト濃度１４ｇ／ｍ³
でフェルト地にダストを瀘過させ、ダストの総供給量に
対してフェルト地を通過したダスト量を測定することに
よって評価した。結果を次表に示す。またダストの剥離
性能は、ダスト種にＪＩＳ１０種を用い、瀘過風速１．
５ｍ／ｍｉｎ、ダスト濃度３３ｇ／ｍ³ で供給し、圧
力損失が１５０ｍｍＡｑに達したときに圧力６kg／ｃｍ
² の圧縮空気を０．１ｓｅｃ噴射することで、ダストを
払い落とす。このダスト払い落としを２００回繰り返し
たときの、時間及び圧縮空気でダストを払い落とした後
の圧力損失の値を測定することによってダストの剥離性
能を評価した。結果を次表に示す。

【００２２】

【表１】

【表２】 前表１、２の結果にみられるように、実施例のものは通
気量は若干低いものの捕集効率及び剥離性能が優れるも
のであった。

【００２３】

【発明の効果】上記のように本発明は、フッ素樹脂系の
少なくとも繊維径の異なる２種類の短繊維の混綿を、フ
ェルト加工してフェルト地を形成するようにしたので、
フッ素樹脂系の短繊維の太繊維と細繊維を混綿すること
により、ダストの捕集性能及び剥離性能を高めたフェル
ト地を得ることができるものである。

【００２４】そして本発明のバグフィルターは、かかる
フェルト地を用いて袋状に縫製して形成したものであ
り、焼却排ガスからダストを瀘過する際に焼却排ガスの
高温が作用したり、アルカリ性や酸性の物質が作用して
も、フッ素樹脂系繊維の持つ耐酸性と耐薬品性能によっ
てバグフィルター用瀘布の耐久性を高めることができ、
さらダストの捕集性能と剥離性能を高めたことによっ
て、長期間の使用を可能にすることができるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この図は、バグフィルター方式の集塵装置の
一例を示す概略断面図である。

【符号の説明】

Ａ：バグフィルター用瀘布 １：ホッパー ２：含塵空気入り口 ３：ダスト排出口 ４：仕切り板 ５：ベンチュリー ６：空気出口 ７：上部カバー ８：リテーナー ９：圧縮空気噴射ノズル管

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フッ素繊維製フェルトであって、該フェル
   トが繊維径の異なる少なくとも２種類の短繊維から成る
   ことを特徴とするフェルト地。
2. 【請求項２】該短繊維の繊維径比が、１．１〜７である
   ことを特徴とする請求項１に記載のフェルト地。
3. 【請求項３】該短繊維が、１０〜２００ｍｍの繊維長を
   有するものである請求項１に記載のフェルト地。
4. 【請求項４】該フェルトが、長繊維および短繊維から選
   ばれた少なくとも１種からなる糸条で構成された基布と
   の積層体である請求項１記載のフェルト地。
5. 【請求項５】該糸条が、紡績糸またはスパンライク複合
   糸である請求項４記載のフェルト地。
6. 【請求項６】該基布が、メッシュ組織で構成されたもの
   である請求項４記載のフェルト地。
7. 【請求項７】請求項１〜６のいずれかに記載のフェルト
   地を袋状に成形した濾布で構成されていることを特徴と
   するバグフィルター。
8. 【請求項８】該成形が、縫製によるものであり、かつ、
   縫糸がフッ素繊維で構成されている請求項７記載のバグ
   フィルター。