JPH0936400A - 太陽電池用ガラス基板及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池用ガラス基板及びその製造方法

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JPH0936400A
JPH0936400A JP7189536A JP18953695A JPH0936400A JP H0936400 A JPH0936400 A JP H0936400A JP 7189536 A JP7189536 A JP 7189536A JP 18953695 A JP18953695 A JP 18953695A JP H0936400 A JPH0936400 A JP H0936400A
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JP
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glass
glass substrate
transparent conductive
conductive film
solar cell
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JP7189536A
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Inventor
Makoto Fukawa
真 府川
Takashi Tsukamoto
隆志 塚本
Kazuo Sato
一夫 佐藤
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Asahi Glass Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス基板の強化により充分な強度を有し反り
量を充分低減した太陽電池用ガラス基板を得る。 【解決手段】下地ガラス板1上に透明導電膜3が形成さ
れた太陽電池用ガラス基板4において、上記透明導電膜
3のキャリア濃度が1×1020/cm3 以上5×1020
/cm3 未満であり、前記ガラス基板4は、620℃超
640℃未満の熱処理後の急冷処理による強化処理が施
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アモルファスシリ
コン太陽電池に使用される太陽電池用ガラス基板及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アモルファスシリコン太陽電池は、下地
となるガラス板上に透明導電膜を形成したガラス基板を
作成し、このガラス基板上にp型、i型及びn型の3層
a−Siからなるアモルファスシリコン半導体層を積層
しその上にアルミニウム電極層を設けたものである。
【0003】このような太陽電池用ガラス基板は、充分
な透光性を有するとともに精度の高い配線パターン及び
安定した抵抗特性を得るために充分な平坦性を有し反り
の少ない形状であることが必要であり、かつ屋外に設置
されるため取付けの信頼性及び耐久性の点で充分な強度
が要求される。
【0004】一方、ガラス板の物理的強化方法の一つと
して、ガラス板を一旦高温に加熱した後、急冷すること
により、ガラス表面側に圧縮応力層を形成して内層との
間に潜在応力歪を形成してガラスを強化する急冷強化方
法が実用化されている。
【0005】こうしたガラス強化方法を太陽電池用ガラ
ス基板の製造に適用した例(特開平1−103882)
によれば、例えばガラス板サイズが305mm×305
mm×3mmtのガラス板に適用した場合に、反り量は
3%以内に収められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記公知技術
を用いた場合、3%の反りは上記サイズのガラス板に対
し最大反り量で6mmの変位を生じることになり、建築
部材用の太陽電池モジュールを形成する場合に反り量の
抑制が不充分となる場合がある。
【0007】また、透明導電膜の抵抗特性はそのキャリ
ア濃度に依存し、キャリア濃度が低いほど比抵抗が大き
くなるため、実用上ある程度以上のキャリア濃度が必要
になる。しかし、キャリア濃度を大きくするとガラス基
板の強化工程での温度条件や膜厚によっては、クラック
の発生や破砕が起こるという問題があった。
【0008】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたものであって、ガラス基板の急冷強化法により充分
な強度を得るとともに反り量を充分低減して実施上信頼
性の高い太陽電池モジュールを形成可能なガラス基板の
提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下地ガラス板
上に透明導電膜が形成された太陽電池用ガラス基板にお
いて、上記透明導電膜のキャリア濃度が1×1020/c
3 以上5×1020/cm3 未満であるとともに前記ガ
ラス基板は、620℃超640℃未満の熱処理後の急冷
処理による強化処理が施されていることを特徴とする太
陽電池用ガラス基板を提供する。
【0010】好ましい実施態様では、前記下地ガラス板
の厚さは、3〜6mmである。
【0011】別の好ましい実施態様では、前記透明導電
膜の膜厚は、700〜1000nmである。
【0012】さらに別の好ましい実施態様では、前記下
地ガラス板の線膨張係数は、30×10-7-1以上であ
る。
【0013】本発明はさらに、下地ガラス板上に常圧C
VD法によりフッ素含有酸化錫からなる透明導電膜を形
成する工程と、この透明導電膜が形成された下地ガラス
板を熱処理しその後急冷する強化工程とを有する太陽電
池用ガラス基板の製造方法において、前記透明導電膜形
成工程におけるCVD反応ガス中のフッ素含有量の調整
によりキャリア濃度を1×1020/cm3 以上5×10
20/cm3 未満とするとともに前記熱処理は620℃超
640℃未満で行うことを特徴とする太陽電池用ガラス
基板の製造方法を提供する。
【0014】
【作用】透明導電膜のキャリア濃度は、1×1020/c
3 以上とすることにより実用上充分な比抵抗が得ら
れ、5×1020/cm 3未満とすることにより強化工程
の急冷時における破砕が防止される。
【0015】ガラスの加熱温度を620℃超640℃未
満とすることにより、ガラス基板の反り量を充分抑えか
つクラックの発生を防止する。
【0016】ガラス板厚を3mm以上とすることにより
反り量が充分に抑制され、6mm以下とすることにより
実用的な取扱い性や透光性及び重量の点で使用性の向上
が図られる。
【0017】透明導電膜の膜厚を700nm以上とする
ことにより抵抗値を充分小さく抑えられ、1000nm
以下とすることによりガラス基板の変形量を充分小さく
抑えられる。
【0018】ガラス板の線膨張係数を30×10-7-1
以上とすることにより、充分な急冷強化が達成されると
ともに透明導電膜との線膨張係数との差が小さくなり熱
応力による破損が防止される。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明が適用される太陽電
池の断面図である。ソーダライムシリケートガラス等か
らなる下地ガラス板1上にアルカリバリヤ層2が形成さ
れ、その上に透明導電膜3が積層される。これらにより
太陽電池用ガラス基板4が構成される。このガラス基板
4の透明導電膜3上にp型、i型及びn型の3層a−S
i(図示せず)からなるアモルファスシリコン素子層5
を積層し、その上にアルミニウム電極層6が形成され
る。
【0020】図2は、上記構成のアモルファスシリコン
太陽電池のガラス基板4の製造装置の構成を示す。下地
ガラス板1は適当なコンベヤ手段により常圧CVD装置
7内に搬入される。このCVD装置7内でまずSiH4
からなる反応ガスAが供給されガラス板1上にSiO2
からなるアルカリバリヤ層2が形成される。
【0021】続いて同じCVD装置7内で、SnCl4
とHFとからなる反応ガスBを供給してFを含むSnO
2 からなる透明導電膜3を積層しガラス基板4を形成す
る。その後このガラス基板4を加熱炉8内に搬入し所定
の温度に加熱し、これを急速に引き出して常温まで冷却
する。このとき冷却空気を吹き付けてもよい。これによ
りガラス基板が強化される。
【0022】上記透明導電膜を有する基板(TCO:T
ransparent Conductive Oxi
de基板)について以下に説明する。この強化ガラスT
CO基板の製造方法としては、加熱急冷して強化した下
地ガラス基板上にTCO膜を低温成膜する方法とTCO
膜を成膜後強化する方法の2通りが考えられる。本発明
者等は、より低コストで強化TCOが製造できることの
観点から、TCO膜を成膜後強化する方法を採用するこ
とにした。
【0023】本方法を用いる場合、TCO膜に高い耐熱
性が要求されるため、TCO膜の耐熱性及び熱処理に伴
う基板の変形について検討した結果、TCO膜は600
℃までの熱処理温度に耐えうるが、ソーダライムガラス
の強化に必要とされる650℃以上の温度では、基板が
熱変形しやすいことが判明した。
【0024】また、TCO膜の種類によっては膜中にク
ラックが生じるために電気的特性が劣化することが明ら
かになった。さらに、TCO基板の耐熱性は熱処理温度
や膜のキャリア濃度、残留応力にも依存することが判明
し、基板の熱変形と膜中の残留応力が相乗することによ
って膜中にクラックが生じ電気的特性が劣化することが
推定された。
【0025】これらの結果を基に、TCO基板の耐熱性
をさらに向上させるために、熱変形に関する支配的因子
を明らかにする検討を継続して行った。すなわち、基板
の熱変形とキャリア濃度、板厚及びTCOの膜厚との関
係について詳細に検討した。その結果を以下に示す。
【0026】まず、強化試験についての検討は以下のと
おりである。強化試験はローラー搬送型のオフライン強
化装置を用いて行った。強化するTCO基板は300m
m×400mmで厚みは4mmとした。以前の基礎検討
の結果、TCO膜のキャリア濃度により、TCO基板の
機械的及び電気的耐熱性が異なることが判明している。
そこで本試験では耐熱性が異なる2種類のキャリア濃度
(2×1020cm-3及び5×1020cm-3)を有するT
CO基板について強化試験を行い、板反りや電気特性の
変化を比較検討した。強化のための加熱温度(炉の設定
温度)は660℃〜710℃の間で変化させた。
【0027】なお、300mm×400mm基板の反り
量(%)は、図8(A)に示すように、対角線の端から
中央までの長さに対する中央の高さ方向変位量の割合で
示した。
【0028】上記加熱後の急冷方法によりTCO基板の
熱変形量の評価、落球試験、破砕試験、及び電気抵抗特
性の評価を行った。キャリア濃度2×1020cm-3のT
CO基板を650℃、640℃、625℃及び620℃
の温度条件で強化した。
【0029】ガラス表面温度が650℃の場合には最大
反り量は0.48%であり、目視によりTCO膜全面に
クラックが観察された。このためシート抵抗は高く測定
不能であった。
【0030】次にガラス表面温度を640℃に低下する
と最大反り量は0.28%程度に減少し、TCO膜面の
クラックはエッジ部分にわずかに観察されるのみとなっ
た。さらにガラス表面温度を625℃まで低下させるこ
とにより、反り量は最大で0.20%以下となり、TC
O膜面のクラックは生じないことがわかった。さらに6
20℃までガラス表面温度を下げた場合、風冷時にガラ
スが割れて粉砕してしまうことがわかった。
【0031】以上の結果から、キャリア濃度が2×10
20cm-3のTCO基板の場合、反りを最小にするように
基板を強化するためにはガラスの表面温度は、620℃
超640℃未満の範囲であることが必要で、さらに、6
25℃であるのが好ましいことがわかった。
【0032】次に強化TCO基板の落球試験による破壊
検査に基づいて強度評価を行った。まず自動車用安全ガ
ラス試験方法(JIS−R3212)に準じて鋼球22
7gの落球試験により耐衝撃性を評価した。この結果、
強化したTCO基板ガラスは1mと1.5mの試験に合
格し、結晶系太陽電池モジュール用カバーガラスの基準
である1m落球試験(JIS−C8917)を上回る強
度が確認された。
【0033】次にキャリア濃度2×1020cm-3の強化
処理を施したTCO基板の破砕試験を行った。通常の強
化ガラスでは、破砕試験により全体が小片に分断して崩
壊するが、今回の強化試験により作製された強化TCO
基板の割れ方は強化前の板ガラスの割れ方に近い。この
点と落球試験の結果をあわせて考慮すると、今回の強化
試験により作製された強化TCO基板は強化応力がやや
小さい、いわゆる倍強度ガラスに近い特性を有するもの
と考えられる。
【0034】一方、キャリア濃度5×1020cm-3のT
CO基板を640℃及び625℃の温度条件で強化し
た。ガラス表面温度が640℃の場合には、TCO膜面
にクラックが観察された。このためシート抵抗は高く測
定不能であった。また、ガラス表面温度が625℃の場
合には、風冷時にガラスが割れて粉砕してしまうことが
わかった。したがって、キャリア濃度は、実用上充分な
比抵抗が得られる1x1020cm-3以上で5×1020
-3未満である必要がある。
【0035】次に高温X線によるTCO膜の歪観察を以
下のように行った。高温雰囲気下におけるTCO基板の
熱的な挙動を調べるために高温X線回折によりCVD成
膜したSnO2 (200)面の格子面間隔のその場観察
を行った。測定方法の概念図を図3に示す。試料はPt
台の上に載せ、サラウンドヒーターにより加熱した。温
度は試料表面温度で室温から650℃の範囲で行った。
【0036】これまで結晶薄膜の格子面間隔の絶対値を
高温X線回折測定により正確に測定することは、試料や
試料ホルダの熱膨張により回折角がずれるために困難で
あった。しかし今回はSnO2 膜の歪の変化を検討する
ことが目的であるため、絶対値を評価する必要がない。
したがって回折面が常に基板面と水平になるように工夫
するだけで評価可能である。
【0037】その際ホルダをバネで両側から引っ張り、
試料ホルダの熱膨張の影響を低減した。また試料の熱膨
張による回折角のずれは700℃までは相対誤差にして
たかだか1.2%であり、今回の実験においては問題な
いことが簡単な幾何学的考察により明らかとなった。
【0038】まずバルク試料を用いて格子面間隔の測定
により線膨張率が評価可能かどうか検討した。図4にα
−アルミナの表面温度(室温から700℃)と(10
4)面間隔の関係を示す。温度上昇とともに直線的に格
子面間隔が増加しており、この傾きから線膨張率を計算
すると、9.4×10-6/Kである。これは文献値
(8.3〜8.5×10-6/K:Samsonov編;
「THE OXIDE HANDBOOK 2nd E
d.」,IFI/Plenum(1982))とほぼ一
致することから昇温降温過程におけるバルク試料の格子
面間隔の変化から試料の線膨張率を求めることが可能で
あることを確認した。
【0039】次にTCO膜の線膨張率とほぼ同等の値を
有する低膨張ガラス(線膨張率49×10-7/K)上に
成膜したSnO2 膜及びソーダライムガラス(線膨張率
81×10-7/K)上に成膜したSnO2 膜(通常のT
CO膜)について、試料表面温度を反りの生じない温度
範囲(室温から500℃)で変化させたときの(20
0)面間隔の変化を測定した。結果を図5に示す。
【0040】いずれも可逆的な変化をするが、低膨張ガ
ラス上に成膜したSnO2 膜の(200)面は表面温度
に対して正の傾きの直線関係を有するのに対し、ソーダ
ライムガラス上のSnO2 (200)面は表面温度によ
らずほぼ一定の値を示した。これらの結果は薄膜の場
合、面間隔の挙動はバルク試料とは異なり、試料の線膨
張率だけでなく膜と基板の線膨張率の差(バイメタル効
果)にも依存することを示している。
【0041】すなわち低膨張ガラス上のSnO2 (20
0)面間隔はSnO2 膜の線膨張率(バルク値で約35
×10-7/K)と基板の線膨張率がほぼ同等であるため
バイメタル効果の影響がなく、SnO2 膜の熱膨張のみ
に依存する。これに対してソーダライム上のSnO2
の面間隔の場合、基板と膜の線膨張率の差が大きいため
にTCO膜は温度上昇とともに面内に引張り応力を受け
る。すなわちSnO2(200)面間隔は基板に垂直方
向に減少する方向の力を受ける。この減少成分と熱膨張
による増加成分とが相殺するために見かけ上ほぼ一定の
値をとるものと考えられる。
【0042】一方このソーダライム上のTCO基板を反
りの生じる650℃まで昇温すると図6に示すように、
500℃まで昇温した場合とは異なり非可逆な過程をと
ることがわかる。すなわち600℃から650℃にかけ
て面間隔は急激に増大し、冷却後もその値は保持され
る。これまでの実験結果によると600℃熱処理後の反
り量は小さいが、650℃熱処理後急激に増加している
ことが判明している。したがって格子面間隔の急激な増
大は基板の反りによりSnO2 膜に圧縮応力が加わった
ことを示しているものと考えられる。
【0043】次に熱変形量のガラス板厚依存性について
検討した。キャリア濃度が2×1020cm-3のTCO基
板を板厚の異なる(1.1mm、3mm、4mm)ガラ
ス基板上に成膜し、熱変形量と板厚の関係について調べ
た。この結果を図7に示す。
【0044】650℃熱処理後の変位量に着目すると、
板厚4.0mmの板反り量に比べ板厚3.0mmの板反
り量は約1.5倍、板厚1.1mmの板反り量は約4倍
で、ガラス基板の板厚が大きいほど熱処理後の板反り量
は抑制されることがわかる。したがって板厚は3mm以
上、とりわけ4mm以上、であるのが望ましい。なお、
板厚による熱変形量の違いが生じる原因としては、自重
による変形や熱流量の影響による変形が推定される。
【0045】なお、図7の基板変形量(Å)は、図8
(B)に示すように、30mm×30mm基板の中央部
1mmあたりの高さ方向(ガラス面に垂直方向)の変位
dを表す。
【0046】次に熱変形量の透明導電膜の膜厚依存性に
ついて検討した。酸化錫の膜厚と熱変形量の関係につい
て調べるために、酸化錫の板厚を381nm、752n
m及び935nmと変えた場合の熱処理後のTCO基板
の熱変形量を測定した。この結果600℃での熱処理後
では膜が厚いほど変形量も増加することが分った。した
がって透明導電膜は薄い方が反りは小さくなるが、膜厚
を薄くすることにより、抵抗値が増大する問題が生じる
ため、ほぼ700〜1000nmが望ましい。
【0047】以上の検討結果をまとめて、反り量抑制及
び強度、クラック発生防止等の点で充分実用性を有し優
れるものを実施例とし、その他を比較例として表すと以
下のとおりである。
【0048】(実施例1) キャリア濃度:2×1020/cm3 、ガラス温度:62
5℃のとき、反り量:0.20%、落球試験:1.5m
合格、クラックなし。
【0049】(比較例1) キャリア濃度:3×1019/cm3 、ガラス温度:62
5℃のとき、反り量:0.80%。
【0050】(比較例2) キャリア濃度:5×1020/cm3 、ガラス温度:62
5℃のとき、風冷時破砕。
【0051】(比較例3) キャリア濃度:2×1020/cm3 、ガラス温度:62
0℃のとき、風冷時破砕。
【0052】(比較例4) キャリア濃度:2×1020/cm3 、ガラス温度:64
0℃のとき、反り量:0.32%、周辺部にクラック発
生。
【0053】(比較例5) キャリア濃度:2×1020/cm3 、ガラス温度:65
0℃のとき、反り量:0.48%、膜全面にクラック発
生。
【0054】以上の検討結果に加えさらに下地ガラス板
の材質について考察する。ガラス板の線膨張係数は透明
導電膜の線膨張係数に近いほどよい。また、線膨張係数
が30×10-7-1より小さいと強化が困難となる。し
たがって、風冷強化の必要上、線膨張係数は30×10
-7-1以上で、さらにTCO膜の線膨張係数に近づける
ために80×10-7-1であることが望ましい。また、
入手の容易さや価格等の点からソーダライムシリケート
ガラスが適当である。しかし、本発明はこのソーダライ
ムシリケートガラスには限定されず、アルミノシリケー
トガラスその他各種ガラスが使用できる。
【0055】なお、ソーダライムシリケートガラス等の
ナトリウムを含有するガラスや低アルカリを含有するガ
ラスの場合には、図1に示したように、ガラス表面から
のナトリウムの溶出を防止するためにアルカリバリヤ層
が必要であるが、このようなナトリウム成分を含まない
ガラスの場合にはアルカリバリヤ層は不要である。
【0056】また、透明導電膜としては、フッ素が含有
された酸化錫を例示したが、これ以外にもアンチモンが
含有された酸化錫や錫が含有された酸化インジウム等の
電気伝導性の良好な透明金属酸化物を使用できる。なお
抵抗特性に係るキャリア濃度は、フッ素等の含有元素の
ドープ量を調整することにより変化させることができ
る。また、このような透明導電膜は、CVD法に限ら
ず、スパッタ法、真空蒸着法、スプレー法その他適当な
方法を用いて形成できる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の太陽電池
用ガラス基板を用いれば、建築部材用として充分実用性
の高い太陽電池モジュールが得られ、製造中や運搬時及
び施工時の破損が抑制され取扱い性が向上し、反り量が
抑制されて信頼性の高い機能が達成され、反りに起因す
る抵抗値の増大が抑制される。
【0058】さらに詳しくは、透明導電膜のキャリア濃
度を1×1020/cm3 以上とすることにより実用上充
分な比抵抗が得られ、5×1020/cm3 未満とするこ
とにより強化工程の急冷時における破砕が防止される。
【0059】ガラスの加熱温度を620℃超640℃未
満とすることにより、ガラス基板の反り量を充分抑えか
つクラックの発生を防止できる。
【0060】ガラス板厚を3mm以上とすることにより
反り量が充分に抑制され、6mm以下とすることにより
実用的な取扱い性や透光性及び重量の点で使用性の向上
が図られる。
【0061】透明導電膜の膜厚を700nm以上とする
ことにより抵抗値を充分小さくでき、1000nm以下
とすることによりガラス基板の変形量を充分小さくでき
る。
【0062】ガラス板の線膨張係数を30×10-7-1
以上とすることにより、充分な急冷強化が達成されると
ともに透明導電膜との線膨張係数との差が小さくなり熱
応力による破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の断面図。
【図2】本発明のガラス基板の製造装置の説明図。
【図3】高温X線回折測定装置の説明図。
【図4】α−アルミナ(104)面間隔の温度依存性を
示すグラフ。
【図5】酸化錫(200)面間隔の温度依存性を低膨張
ガラス基板とソーダライムガラス基板とで比較したグラ
フ。
【図6】酸化錫(200)面間隔の温度依存性のグラ
フ。
【図7】TCOの熱変形量と熱処理温度及びガラス板厚
の関係を示すグラフ。
【図8】ガラス基板の反り量の説明図。
【符号の説明】
1:下地ガラス板 2:アルカリバリヤ層 3:透明導電膜 4:太陽電池用ガラス基板 5:a−Si素子層 6:電極層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下地ガラス板上に透明導電膜が形成された
    太陽電池用ガラス基板において、上記透明導電膜のキャ
    リア濃度が1×1020/cm3 以上5×1020/cm3
    未満であるとともに前記ガラス基板は、620℃超64
    0℃未満の熱処理後の急冷処理による強化処理が施され
    ていることを特徴とする太陽電池用ガラス基板。
  2. 【請求項2】前記下地ガラス板の厚さは、3〜6mmで
    ある請求項1の太陽電池用ガラス基板。
  3. 【請求項3】前記透明導電膜の膜厚は、700〜100
    0nmである請求項1の太陽電池用ガラス基板。
  4. 【請求項4】前記下地ガラス板の線膨張係数は、30×
    10-7-1以上である請求項1の太陽電池用ガラス基
    板。
  5. 【請求項5】下地ガラス板上に常圧CVD法によりフッ
    素含有酸化錫からなる透明導電膜を形成する工程と、こ
    の透明導電膜が形成された下地ガラス板を熱処理しその
    後急冷する強化工程とを有する太陽電池用ガラス基板の
    製造方法において、 前記透明導電膜形成工程におけるCVD反応ガス中のフ
    ッ素含有量の調整によりキャリア濃度を1×1020/c
    3 以上5×1020/cm3 未満とするとともに前記熱
    処理は620℃超640℃未満で行うことを特徴とする
    太陽電池用ガラス基板の製造方法。
JP7189536A 1995-07-25 1995-07-25 太陽電池用ガラス基板及びその製造方法 Pending JPH0936400A (ja)

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