JPH093559A - 溶製金属材料の製造方法、製造装置及びタングステン系金属材料 - Google Patents

溶製金属材料の製造方法、製造装置及びタングステン系金属材料

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JPH093559A
JPH093559A JP15496795A JP15496795A JPH093559A JP H093559 A JPH093559 A JP H093559A JP 15496795 A JP15496795 A JP 15496795A JP 15496795 A JP15496795 A JP 15496795A JP H093559 A JPH093559 A JP H093559A
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JP
Japan
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tungsten
metal material
ingot
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molten
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JP15496795A
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English (en)
Inventor
Fumiyuki Shimizu
史幸 清水
Toshinori Nishimura
俊則 西村
Takatake Shinra
貴健 新良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikko Kinzoku KK
Eneos Corp
Original Assignee
Japan Energy Corp
Nikko Kinzoku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子ビーム溶解法で溶解されるWの加工性及
び靭性を高めることができる溶解条件を見出す。 【構成】 タングステン原料を収容した電極(2)内に
WC、Ti、TiH2 ,TiC及びCの1種又は2種以
上(12)を存在せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、代表的難加工性材料
であるタングステン系金属材料を電子ビーム溶解法によ
りインゴットとして溶製する方法、インゴットの加工方
法、溶製装置及び靭性が改良されたタングステン系金属
材料に関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビーム溶解法は真空中において加速
した電子を原料電極である金属又は金属合金に衝突させ
加速電子の持っている運動エネルギーを熱エネルギーに
変換することで、原料電極を溶解し所要形状のインゴッ
トに鋳造する溶解法の一つである。当該溶解法は、主に
チタン、高清浄度合金、高融点金属等の金属又は金属合
金のインゴットの製造に用いられており、その優れた高
純度化作用から高性能、高品質をもつ機能性材料の製造
に有用な手段として近年注目を集めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、製造対
象となる金属又はその金属合金の中で特にタングステン
等の高融点金属を電子ビーム溶解すると、インゴット凝
固時において結晶粒粗大化や柱状晶の成長等が起こり、
これがインゴットの後工程時(鍛造、圧延他)における
塑性加工性に悪影響を及ぼしていることが既に判明して
いる。
【0004】上述のような状況があるため、タングステ
ン等の高融点金属素材の製造に際してはパウダーを焼結
する方法が一般的であった(例えば特開平7−1143
4号、特開平7−70659号、特公平7−42539
号公報参照)。
【0005】このタングステン等の高融点金属パウダー
を焼結する方法によって製造された素材はIC製造用ス
パッタリング用ターゲット、真空用炉材等の様に真空中
で使用されることが多く、この時材料からガスが放出さ
れる等の問題が多く指摘されていた(本出願人の1名の
出願に係る前掲特開平7−11434号、[0003]
参照)。さらに焼結材中の空隙率(前褐公報の発明の実
施例では0.1%)のためにその比重は真比重にはなら
ない。
【0006】ところで、純タングステンをエレクトロン
ビーム溶解し、押出加工した材料の引張り強度は130
0℃で約16kgf/mm2 であると報告されている
(NASATechnical Note D−1707)。しかしこの報告では
引張り強度及び耐力以外の機械的強度が示されておら
ず、靭性、延性は不明である。さらにエレクトロンビー
ム溶解の具体的条件が公表されていないために、押出加
工に適する加工性が如何にしてタングステンインゴット
に付与されたかが不明である。
【0007】以上のような技術の現状に鑑みて、本発明
は電子ビーム溶解法により加工性が優れたタングステン
系溶製金属材料を製造する方法及び装置を提供すること
を一つの目的とする。さらに、本発明は溶製材に種々の
加工を施すことによって各種工業製品にタングステン系
金属材料を成形する際に、焼結の場合のように酸化が起
こることを防止することも他の一つの目的とする。又、
本発明は靭性が高いタングステン系金属材料を提供する
ことも別の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく様々な観点に立って数多くの実験を行いつ
つ鋭意研究を重ねてきた結果、以下の発明を為すに至っ
た。本発明は、 (1)電子ビーム溶解法によりタングステン又はその合
金のインゴットを溶製するに際し、タングステン原料を
収容した電極内にWC、Ti、TiH2 ,TiC及びC
からなる群より選択された1種又は2種以上を存在せし
めることを特徴とする溶製金属材料の製造方法、 (2)上記(1)の方法で溶製されたインゴットに鍛造
加工、圧延加工、押出し加工、スエジ加工及び機械加工
の少なくとも1つの加工を施すことを特徴とする方法、 (3)電子ビーム溶解炉内に水素、炭化水素、アンモニ
ア及び不活性ガスからなる群より選択された1種又は2
種以上のガスを導入することを特徴とする上記(1)の
方法; (4)電子ビーム銃と、水冷式クルーシブルとを含んで
なるタングステン又はその合金のインゴットを電子ビー
ム溶解する装置において、タングステン原料と、WC、
Ti、TiH2 ,TiC及びCからなる群より選択され
た1種又は2種以上とを収容するタングステン原料電極
からなることを特徴とする溶製金属材料の製造装置, (5)前記タングステン原料電極はTi板をかしめて筒
状に成形した筒体内にタングステン原料と、WC、T
i、TiH2 ,TiC及びCからなる群より選択された
1種又は2種以上とを収容したものである(4)記載の
溶製金属系材料の製造装置、 (6)純度:99.9wt%以上を有し、かつ結晶粒界
に存在する不純物の濃度がO(酸素):5ppm以下、
N:8ppm以下,C:10〜50ppm,S:15p
pm以下であることを特徴とする靭性が優れた溶製タン
グステン系金属材料、 (7)下記特性: (a)臨界3点曲げ角(150℃):15度以上 (b)引張り強度(1300℃):10kgf/mm2
以上 を有することを特徴とする(6)記載の溶製タングステ
ン系金属材料、 (8)塑性加工が施されていることを特徴とする(6)
又は(7)記載の溶製タングステン系金属材料、 (9)塑性加工が施されており、下記特性: (a)臨界3点曲げ角(150℃):15度以上 (b)引張り強度(1300℃):10kgf/mm2
以上 (c)圧縮強度(加工度30%以上、1300℃):1
0kgf/mm2以上 を有する(6)記載の溶製タングステン系金属材料、 (10)Ta、Re、Mo、Nb、Hf、B、Ti、S
i及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上
の合金成分を総量で0.02〜50wt%含有し、結晶
粒界に存在する不純物の濃度が0(酸素):5ppm以
下、N:8ppm以下、C:10〜50ppm、S:1
5ppm以下であり、残部が実質的にWからなることを
特徴とする靭性が優れた溶製タングステン系金属材料、 (11) 塑性加工が施されていることを特徴とする
(10)記載の溶製タングステン系金属材料に関する。
【0009】以下本発明の構成を説明する。本発明の溶
製法は、原料電極中に溶解鋳造時につ鋳造インゴット中
の結晶粒内及び粒界を清浄化する前記4種からなる群よ
り選択される添加剤を存在せしめ、高清浄度なタングス
テン又はその合金インゴットを溶製する方法である。上
記添加剤を添加すると溶融W中の水素、窒素は蒸気圧が
高くなり原子状又は分子状で除去されると考えられる。
また、その他の不純物である酸素、硫黄は添加剤との反
応によりTixy ,CO,Tixy 、Wxy ,W
xy などの蒸気圧が高い低級化合物を形成し、揮発除
去されると考えられる。
【0010】上記の原子形態での除去及び揮発除去は溶
解W中で起こるのみならず、凝固W結晶粒間に存在する
未凝固液体中でも起こり、これらの結果本発明法で溶解
製造されたタングテンでは粒界の偏析が極めて少なくな
る。それ故に、インゴットの結晶粒界の加工性及び靭性
の向上が達成されまた、また組織全体から不純物成分を
除去することにより組織が均質化される。
【0011】上述の添加剤としては特にTi、TiH
2 ,TiC及びWCが好ましい。これらの添加剤は原料
電極中に存在することが必要であり、W溶湯に直接投入
添加するとW溶湯への溶け込みや混合の遅れなどにより
十分な効果が期待できない。又、W原料(すなわちWス
クラップ粉末、塊、線材、板、棒などの再生に適する原
料、あるいは鉱石を精練した金属タングステンなどで工
業的純W原料)にTiなどを合金元素として添加する
と、該W−Ti原料などの中では酸素などかなりの割合
でTiと反応しており、やはり十分な効果が期待できな
い。原料電極中へ存在させる方法としては、(イ)Wス
クラップと添加剤を電極殻体内に閉じ込めて置く方法、
(ロ)これらを容易に揮発する適当なバインダーで接着
させる方法、(ハ)これらを圧縮・固化する方法、
(ニ)前記(ロ)、(ハ)の処理後の材料をさらに
(イ)の方法で閉じ込める方法などが採用可能である。
又、(ホ)W粉末とTi粉末などを焼結やホットプレス
することによっても還元・清浄化作用は期待できるが、
焼結等による酸化に注意しなければならず、またコスト
の面からは前記(イ)〜(ハ)が有利である。
【0012】電子ビーム溶解法によるタングステン又は
その合金のインゴットの溶製に際しては、炉内酸素ガス
成分を低減させる水素、メタン、ブタンなどの炭化水
素、アンモニア等の単体又は不活性ガスとの混合ガスを
炉内に導入することが好ましい。これらの単体ガスもし
くは混合ガスは電子ビーム溶解されている液面上方を覆
うように直接吹き付けるのが好ましいが、この液面の酸
化を防止するように適切な方法で導入すればよい。
【0013】上記した方法により溶製されたタングステ
ン系金属(合金)インゴットは鍛造、押出、圧延、スエ
ジにより塑性加工することができる。加工温度は、鍛造
では1300〜1800℃、押出では1300〜180
0℃、圧延では1100〜1500℃、スエジでは11
00〜1500℃が好ましい。又、インゴットもしくは
塑性加工されたW系素材をバイトにより切削加工するこ
ともできる。インゴットの切削は例えば表面疵を除去し
塑性加工歩留を高めるために行われ、塑性加工素材の切
削は部品形状に仕上げるために行われ、これらの加工を
部品形状により適宜選択して行う。なお、インゴット寸
法が小さいときは、これを切断して部品とすることがで
きる。この場合も本発明による溶製タングステン金属
(合金)は靭性がすぐれているために切断が容易であ
る。
【0014】溶製純タングステンが、従来材料よりも優
れた靭性をもつためには、純度;99.9wt%以上を
有し、かつ結晶粒界における不純物濃度が0:5ppm
以下、N:8ppm以下、C:10〜50ppm、S:
15ppm以下であることが必要である。これらの成分
中、O(酸素)、N、Sは通常のWの不純物であり、何
れも粒界に偏析し易く、これを脆化する元素であるの
で、粒界において上述の濃度以下にする必要がある。一
方C(炭素)はこれら粒界脆化元素の弊害を緩和するの
で粒界に10ppm以上存在することが必要である。但
し、Cが50ppmを超えると粒界を脆化し、さらにタ
ングテンをIC製造用ターゲット材として使用する場合
にはマイクロアーキングが起こり、望ましくない。一
方、粒界におけるO/C原子%比率で好ましくは0.5
未満、より好ましくは0.4未満である。O/C原子%
比率は0.1〜0.3がより好ましい。粒界における
O、Cの定量分析は、溝付き試料を液体窒素で冷却後5
×10-10 Torr以下の真空中にて破断し、数秒後真
空中で粒界表面のオージエ電子分光分析法をする方法よ
り行い、Nの定量分析は同様に真空中低温破断した試料
の表面を不活性ガス中で融解する方法により、Sの定量
分析は同様に真空中低温破断した表面のグロー放電質量
分析法により、それぞれ行なう。なお、O、C、N、S
等はガス状で存在しているのではなく、粒界のWと何ら
かの状態で結合していることをSEMにより確認したの
で、破断後の試料表面からこれらの元素が蒸発すること
はないが、破断後に直ちに各種分析を行うことにより試
料表面の汚染を避けた。
【0015】前段落で説明した粒界不純物濃度に特徴が
ある溶製タングステン系材料は本発明の方法により製造
することができる。この場合還元添加剤としてTiを使
用すると、Tiは所望の還元作用等を発揮した後、残存
分が0.1%未満溶製材料中に残存する。X線アナライ
ザーによる分析ではTiは粒界では検出されず、したが
ってTiは粒内に固溶していると考えられる。
【0016】上述の組成を有する溶製タングステン系材
料は押出、鋳造、圧延、スエジ、切削などの加工性がす
ぐれており、逆に、結晶粒界におけるO、N、S量が多
く、C量が少ない溶製タングステンは例えば切削などに
より簡単に割れてしまい実用部品としての加工性が不良
である。またWの重要な用途である半導体デバイスのバ
リアメタル製作用スパッタリングターゲット材を上記加
工法で製作するのは困難である。さらに本発明に係る溶
製タングステン材料は靭性がすぐれているために、部品
に加えられる衝撃、曲げ、ねじり、引張などに対して強
い。本発明に係る溶製純タングステン材料の代表的特性
は次のとおりである。 (a)臨界3点曲げ角(150℃):15度以上 (b)引張り強度(1300℃):10kgf/mm2
以上 (c)圧縮強度(加工度30%以上、1300℃):1
0kgf/mm2 以上 なお上記の臨界3点曲げ角は恒温槽内での曲げ特性測定
法により測定されたものである。
【0017】以上純タングステンについて説明したが、
本発明においては靭性がすぐれたW合金も提供される。
その組成は、再結晶温度及び機械的特性を向上する合金
元素としてTa、Re、No、Nb、Hf、B、Ti、
Si、Zrからなる群から選択された1種又は2種以上
を0.02〜50.0wt%含有するものである。これ
らの合金元素は上記範囲内において所望の性能をもたら
す。また、これらの合金元素は結晶粒界にも存在するこ
ともあるが、粒界性質により決定される加工性、靭性に
対しては本質的影響を与えない。これに対して、O、
N、S及びCは純Wの場合と同様に本質的影響を与える
ので、純Wと同様に規制する必要がある。
【0018】本発明に係る溶製タングステン合金は上述
の方法によりタングステンを溶解しまた合金元素を適当
な方法で溶解する方法により製造することができる。合
金元素の溶解法はW原料にあらかじめ合金化する方法、
合金元素を単体もしくは母合金として還元添加剤などと
ともに電極内に添加する方法、合金元素を単体もしくは
母合金として電子ビーム溶解されているW溶湯に添加す
る方法等各種方法を採用することができる。以下、電子
ビーム溶解法による金属又は金属合金インゴットの製造
の中で、代表例として純タングステンに関してより詳し
く記述することにする。
【0019】本発明に係る溶製金属系材料の製造装置
は、電子ビーム銃と、水冷式クルーシブルとを含んでな
るタングステン又はその合金のインゴットの電子ビーム
溶解装置において、タングステン原料と、WC、Ti、
TiH2 ,TiC及びCからなる群より選択された1種
又は2種以上の添加剤とを収容するタングステン原料電
極からなることを特徴とするものである。この装置を使
用する電子ビーム溶解法では、図1に示すように、電子
ビーム溶解設備のメルトチャンバー(図示せず)内に設
置された水冷式クルーシブル1に水平方向又は垂直方向
の原料電極2に電子銃3からの電子ビーム4を照射し、
溶解した原料溶湯を水冷式クルーシブル1内に鋳込んで
連続的に凝固させつつインゴット5として下方から引き
抜く。水平方向の原料電極2を溶解する場合、水冷式ハ
ース又はポット等6の湯溜めに一旦溶湯を受け、ここか
ら水冷式クルーシブル内に鋳込んでもよいことは言うま
でもない。
【0020】本発明においては、図2に示すように原料
電極2は円盤状、板状、棒状などのタングステンスクラ
ップ原料10をTi缶11内に詰め込むとともに、粉末
状の添加剤12を缶の下側に散布・封入したものであ
る。添加剤12は粉末状に限らないことは言うまでもな
い。また、Ti缶のTiは添加剤の一種と同一成分であ
るがそれ自身がタングステンスクラップ原料10より先
に溶解されるので所望の還元及び/又は清浄作用を営ま
ないことは上述の説明から明らかであろう。添加剤12
の量はタングステンスクラップ10に対して重量比で
0.01〜5wt%である。添加剤12が0.01%未
満であると、清浄化の効果がなく、一方5wt%を超え
ると、Cなどが溶製タングステン中に残存し易くなるの
で好ましくない。
【0021】さらに、図2と同じ部材については同じ参
照符号で示す図3に示すように炉内の酸素ガス成分を低
減する水素、メタン、ブタン、アンモニア等の単体又は
不活性ガスとの混合を炉内に導入するためのガス導入装
置8を設けることが好ましい。上記した方法によると直
径φ30〜500mm、長さ100〜3400mm又は
この大きさに相当する角状のインゴットを溶解鋳造する
ことができる。
【0022】図1又は図3に示した装置により、本発明
に係わる金属インゴットを製造するに際しては、まず原
料電極2を電子ビーム4により溶解し、水冷式ハース又
はポット等6の湯溜めにて溶湯状態で精製し、インゴッ
ト5上に溶湯7のプールを形成する。その際、水素、メ
タン、ブタン、アンモニア等の単体又は不活性ガスとの
混合ガスをガス導入装置8から炉内に導入しつつ、原料
電極2を溶解し、水冷式ハース又はポット等6の湯溜め
にて溶湯状態で精製し、溶湯7のプールを形成しつつイ
ンゴット5に鋳造する。
【0023】更に、鋳造されたインゴットは鋳造加工、
圧延加工、押し出し加工、スエジ加工、機械加工等の内
単一又は2種類以上の加工の組み合わせにより、所定の
棒、パイプ、板、塊の形状に加工される。小さい寸法の
インゴットはこれらの加工をする必要がないこともあ
る。
【0024】
【作用】本発明法により使用される添加剤が溶融W中の
O、N、S等と反応し、これらを低減するために、Wの
結晶粒界における清浄度が向上し、この結果、本発明法
により製造されるインゴットは結晶粒界の加工強度が強
く、均質な組織を持っている。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって更に具体的に本発明の
効果を説明する。図2及び3に示した装置を使用してφ
60mmのタングステンインゴットを製造した。図4
(表1)に分析結果を示す供試タングステンスクラップ
原料中にアルミニウム箔で包んだ還元剤を添加したも
の、あるいは図2に示すようにTi缶に供試タングステ
ンスクラップ原料を充填したものを用い、Ti缶に供試
原料を充填したものをTi缶ごと溶解した。なお、Ti
缶はTi板を溶接すると酸化するために溶接せずにコー
ナーの一部をかしめて作製した。
【0026】図5(表2)に示す条件でタングステンイ
ンゴットを溶解鋳造した。実施装置は電子銃2基を装備
した400kW出力のエレクトロンビーム(EB)炉を
使用した。フィーダに表2に示した各種還元材を所定品
位添加した原料電極を装入し、電子ビームにて水冷式ハ
ース内に溶解し、溶湯状態にて精製し、水冷式クルーシ
ブル内で電子ビームによって溶湯プールを形成している
インゴットトップ部に鋳造し鋳塊とした。溶解中のEB
出力、炉内圧力、鋳造速度及びEB原単位は表2に示し
た通りであった。なお本発明実施例における粒界N濃度
は5ppm、粒界S濃度は0.1ppmであった。
【0027】比較例として従来の電子ビーム溶解法を、
図2で示した原料電極に一切添加剤を加えず、炉内酸素
ガスを低減させる水素、メタン、ブタン、アンモニア等
の単体又は不活性ガスとの混合ガスを炉内に導入させず
に、実施をした。図6(表3)に比較例のタングステン
インゴットの溶解鋳造条件を示した。供試タングステン
原料は表1に示したものを使用した。溶解装置は電子銃
2基を装備した400kw出力のEB炉を使用した。フ
ィーダーに原料を装入し、電子ビームにて水冷式ハース
内に溶解し、溶湯状態にて精製し、水冷式クルーシブル
内で電子ビームによって溶湯プールを形成している造塊
部に鋳造しインゴットとした。溶解中のEB出力、炉内
圧力、鋳造速度及びEB原単位は表3に示した通りであ
った。
【0028】本発明によって得られたφ60×Lmmの
タングステンインゴットを下記条件で機械加工して押出
し加工用ビレットとした。 バイト材質:超硬合金(K−10) 旋盤回転数:16〜80rpm 切り込み量:0.5〜1.0mm 送り量:0.1〜0.2mm/rev
【0029】次に、ビレットを1700℃に加熱して押
出比6で押出し加工によってφ30×Lmmの形状に加
工した。押出し加工用ビレットはタングステンの雰囲気
汚染防止と保温のためにNbにてキャンニングした。更
に、押出し加工によってφ30×Lmmの形状に加工さ
れたタングステンは、1370℃に加熱し圧延加工(加
工度50%)によって幅30mm、厚み10mmの板に
加工した。また更に圧延加工されたタングステンは下記
条件で機械加工によって幅25mm、厚み5mmの板に
加工した。 バイト材質:超硬合金(K−10) 切削速度:10〜50mm/sec 切り込み量:0.5〜1.0mm 送り量:0.5mm/rev
【0030】上記加工において、押出し加工、熱間圧延
加工、機械加工時にタングステンの結晶粒内及び粒界に
加工割れが生ぜず、キャンニング材が残留したままの押
出し加工タングステンを熱間圧延加工することができ
た。本発明法の実施例にて得られたタングステンのイン
ゴットの化学分析試験及び機械特性試験の結果を表1中
に供試原料の分析値と併せて示した。
【0031】
【発明の効果】以上に説明したごとく、この発明によれ
ば、難加工性のタングステン系材料の結晶粒界における
清浄度を向上させ、結晶粒界の加工強度の向上を図り、
均質な組織を持つ金属又は金属合金のインゴットの溶製
を実現し、均質な組織を持つ金属又は金属合金インゴッ
トを安定して量産することが可能になるなど産業上極め
て有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電子ビーム溶解法による金属又は金属合
金の製造に適用される装置例の要部説明図である。
【図2】本発明に係わる供試原料電極の説明図である。
【図3】本発明に係わる金属又は金属合金の製造に適用
される装置例の要部説明図である。
【図4】本発明及び比較例の実験結果を示す図表(表
1)である。
【図5】本発明によるタングステンインゴットの溶解鋳
造条件を示す図表(表2)である。
【図6】従来法(比較例)によるタングステンインゴッ
トの溶解鋳造条件を示す図表(表3)である。
【参照符号の説明】
1 水冷式クルーシブル 2 原料電極 3 電子銃 4 電子ビーム 5 インゴット 6 水冷式ハース又はポット 7 溶湯 8 ガス導入装置 10 タングステンスクラップ原料 12 添加剤
フロントページの続き (72)発明者 新良 貴健 茨城県日立市宮田町3453番地 日鉱特殊金 属株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビーム溶解法によりタングステン又
    はその合金のインゴットを溶製するに際し、タングステ
    ン原料を収容した電極内にWC、Ti、TiH2 ,Ti
    C及びCからなる群より選択された1種又は2種以上を
    存在せしめることを特徴とする溶製金属材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 電子ビーム溶解法によりタングステン又
    はその合金のインゴットを溶製するに際し、タングステ
    ン原料を収容した電極内にWC、Ti、TiH2 ,Ti
    C及びCからなる群より選択された1種又は2種以上を
    存在せしめて溶製されたインゴットに鍛造加工、圧延加
    工、押出し加工、スエジ加工及び機械加工の少なくとも
    1つの加工を施すことを特徴とする溶製金属材料の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 電子ビーム溶解炉内に水素、炭化水素、
    アンモニア及び不活性ガスからなる群より選択された1
    種又は2種以上のガスを導入することを特徴とする請求
    項1又は2記載の溶製金属材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 電子ビーム銃と、水冷式クルーシブルと
    を含んでなるタングステン又はその合金のインゴットを
    電子ビーム溶解する装置において、タングステン原料
    と、WC、Ti、TiH2 ,TiC及びCからなる群よ
    り選択された1種又は2種以上とを収容するタングステ
    ン原料電極からなることを特徴とする溶製金属材料の製
    造装置。
  5. 【請求項5】 前記タングステン原料電極はTi板をか
    しめて筒状に成形した筒体内に前記タングステン原料
    と、WC、Ti、TiH2 ,TiC及びCからなる群よ
    り選択された1種又は2種以上とを収容したものである
    請求項4記載の溶製金属材料の製造装置。
  6. 【請求項6】 純度:99.9wt%以上を有し、かつ
    結晶粒界に存在する不純物の濃度がO(酸素):5pp
    m以下、N:8ppm以下,C:10〜50ppm,
    S:15ppm以下であることを特徴とする靭性が優れ
    た溶製タングステン系金属材料。
  7. 【請求項7】 下記特性: (a)臨界3点曲げ角(150℃):15度以上 (b)引張り強度(1300℃):10kgf/mm2
    以上 を有することを特徴とする請求項6記載の靭性がすぐれ
    た溶製タングステン系金属材料。
  8. 【請求項8】 塑性加工が施されていることを特徴とす
    る請求項6又は7記載の靭性が優れた溶製タングステン
    系金属材料。
  9. 【請求項9】 塑性加工が施されており、下記特性: (a)臨界3点曲げ角(150℃):15度以上 (b)引張り強度(1300℃):10kgf/mm2
    以上 (c)圧縮強度(加工度30%以上、1300℃):1
    0kgf/mm2以上 を有することを特徴とする請求項6記載の靭性がすぐれ
    た溶製タングステン系金属材料。
  10. 【請求項10】 Ta、Re、Mo、Nb、Hf、B、
    Ti、Si及びZrからなる群から選択された1種又は
    2種以上の合金成分を総量で0.02〜50.0wt%
    含有し、結晶粒界に存在する不純物の濃度が0(酸
    素):5ppm以下、N:8ppm以下、C:10〜5
    0ppm、S:15ppm以下であり、残部が実質的に
    Wからなることを特徴とする靭性が優れた溶製タングス
    テン系金属材料。
  11. 【請求項11】 塑性加工が施されていることを特徴と
    する請求項10記載の靭性が優れた溶製タングステン系
    金属材料。
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FR2793068A1 (fr) * 1999-04-28 2000-11-03 Commissariat Energie Atomique Dispositif a emission de champ utilisant un gaz reducteur et fabrication d'un tel dispositif
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CN107032127A (zh) * 2016-11-11 2017-08-11 湖南顺泰钨业股份有限公司 一种用于废钨压制烧结的预烧料饼的码垛方法

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