JPH09329584A - 磁気ヘッド装置 - Google Patents

磁気ヘッド装置

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JPH09329584A
JPH09329584A JP16842496A JP16842496A JPH09329584A JP H09329584 A JPH09329584 A JP H09329584A JP 16842496 A JP16842496 A JP 16842496A JP 16842496 A JP16842496 A JP 16842496A JP H09329584 A JPH09329584 A JP H09329584A
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exciting
magnetization
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JP16842496A
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Toru Inaguma
徹 稲熊
Hiroshi Tsuge
弘志 拓植
Hiroaki Sakamoto
広明 坂本
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被測定物の種類や材質に影響されずに、結晶
粒径や析出物の大きさ、集合組織の度合い等をオンライ
ンで高い感度をもって診断する。 【解決手段】 磁気ヘッド11を、励磁ヘッド12と検
出ヘッド群13とから構成する。ここで、検出ヘッド群
13を、複数個(図示の例では4個)の検出ヘッド3か
ら構成し、各検出ヘッド3を、励磁ヘッド12の永久磁
石1,2の略中央部位において被測定物4の移動方向と
略平行に等間隔をもって配する。すなわち、永久磁石1
のN極1aと永久磁石2のS極2aとを結ぶ線分の垂直
2等分線L1 上に各検出用ヘッド3を配する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被測定物の磁気的
性質からその材質や応力等を非破壊的に診断するために
用いられる磁気ヘッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、材料の磁気的性質が結晶粒径
や析出物などの組織、歪み等に依存することを利用し
て、被測定物の材質や応力等を非破壊的に検査すること
が試みられている。特に、鉄鋼製品や既設構造物に負荷
されている応力の異方性やこれらの材質的な異方性は、
疲労寿命或いは材料の変形等に悪影響を及ぼす場合が多
々あるために、これらの異方性を非破壊的に検出するこ
とが検討されている。
【0003】磁性体である被測定物の材質や応力等を非
破壊的に検査するには、例えば、上記被測定物に磁場を
印加することによって測定物の磁場を変化させ、この変
化と被測定物の組織や歪み等の状態と相関を利用する。
【0004】具体的には、透磁率を測定して鋼材の引っ
張り強さを見積もる手法や保磁力を利用して焼き入れ硬
度を見積もる手法等がある。また、近時では磁性体にお
ける磁化の不連続性に起因するバルクハウゼン信号を利
用した手法が注目されており、例えば、この信号を用い
て軟鋼の疲労強度や工具鋼の靱性を推定する手法等が提
唱されている。また、炭素鋼のα−Fe粒径及び析出し
たセメンタイト粒径とバルクハウゼン信号との相関関係
も理論的に考察されている。
【0005】一般に、被測定物を励磁する手法として
は、電流貫通法や、コイル法、及びヨーク法等がある。
これらの手法のうち、ヨーク法は実ラインで製造される
鉄鋼製品や既設構造物等の比較的大きな製品の一部分に
ヨーク材を当てるだけで簡便に被測定物を励磁できる利
点を有しており、このヨーク材が上述した材質検査用の
励磁用ヘッドの構成要素として最も頻繁に用いられてい
る。
【0006】他方、被測定物の磁化変化を検出する手法
としては、コイル法や、ヨーク法、ホール素子法、磁気
抵抗効果素子法等があり、被測定物の温度の影響を比較
的受け難いコイル法やヨーク法が簡便であって良く用い
られている。
【0007】ヨーク法が適用された従来の磁気ヘッド装
置としては、以下に示すような励磁用ヘッドと検出用ヘ
ッドとを備えたものがある。
【0008】上記励磁用ヘッドとしては、例えば珪素鋼
板やパーマロイ或いはソフトフェライト等の軟質磁性材
料からなるU字型のヨーク材にエナメル被覆銅線等の線
材が巻回されて励磁用コイルが形成されたものがある。
この励磁用ヘッドにおいては、上記励磁用コイルに交流
電流を供給することにより上記ヨーク材を磁化して、当
該ヨーク材から被測定物を励磁する磁束を発生させる。
ここで、上記励磁用コイルに供給する交流電流波形を三
角波や正弦波とすることによって、それぞれの波形に対
応した励磁磁場が得られる。
【0009】一方、上記検出用ヘッドとしては、例えば
空心コイルが用いられる。上記励磁用ヘッドから発生し
た磁束によって被測定物が磁化し、その磁化の変化に起
因する電圧信号が上記検出用ヘッドに誘起される。この
電圧信号を検出した後、信号処理することによって、バ
ルクハウゼン信号やB−Hループを求めることができ、
これらの磁気的性質から被測定物の材質や応力を非破壊
的に評価することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近時では、例えば製鉄
プロセスにおいて、移動中の鋼板から磁気信号を検出し
て、オンラインで鋼板の材質等を診断することへの要求
が高まっている。オンラインで被測定物の材質等を診断
する技術は、製品の歩留り向上等の利点を生み出すこと
ができる。
【0011】本発明者らは、特開平5−70817号公
報において、励磁ヘッドが永久磁石からなり、直流磁場
で被測定物を励磁するオンライン用の磁気ヘッドを開示
した。この磁気ヘッドの有する利点は、励磁ヘッドに永
久磁石を用いることにより、励磁用の電力アンプ等の煩
雑な装置を使用しなくともオンラインで被測定物からの
磁気信号を検出することが可能となることである。とこ
ろが、この磁気ヘッドにおいては、励磁ヘッドに対する
検出ヘッドの配置位置を規定していないため、被測定物
に材質等の変化が存する場合に測定感度の低下を招来
し、常に高い感度で被測定物の診断を行うことができな
いという問題がある。
【0012】そこで、本発明の目的は、被測定物の種類
や材質に影響されずに、結晶粒径や析出物の大きさ、集
合組織の度合い等をオンラインで高い感度をもって診断
することを可能とする磁気ヘッド装置を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気ヘッド装置
は、磁性体である被測定物の局部領域を励磁して当該局
部領域の磁化変化を検出する少なくとも1つの磁気ヘッ
ドを備えた磁気ヘッド装置であって、上記被測定物と対
向配置されるN極及びS極の各磁極を有し、当該各磁極
から磁束を発生させて上記被測定物を励磁する励磁手段
と、上記励磁手段により励磁される上記被測定物の局部
領域上に配され、上記被測定物の磁化変化を検出する複
数の磁化検出手段とを備えて上記磁気ヘッドが構成され
るものである。
【0014】本発明の磁気ヘッド装置の一態様例は、上
記励磁手段のN極とS極とを結ぶ仮想線分を略垂直に2
等分する仮想直線上に上記各磁化検出手段が配され、上
記被測定物の磁化変化を検出する際に、上記被測定物を
上記仮想直線と略平行な方向に移動させる。
【0015】本発明の磁気ヘッド装置の一態様例は、上
記励磁手段が、そのN極とS極とを結ぶ仮想線分が上記
被測定物の磁化変化を検出する際の上記被測定物の移動
方向と略平行となるように配されるとともに、上記各磁
化検出手段が、上記励磁手段から発生する磁場の等磁束
密度線上に配される。
【0016】本発明の磁気ヘッド装置の一態様例は、上
記励磁手段が略U字形状に形成されて構成される。この
場合、上記励磁手段を、軟質磁性材料よりなるヨーク材
と磁束を発生させて当該ヨーク材を磁化する永久磁石と
から構成することが好適である。
【0017】
【作用】磁性体である被測定物中に結晶粒界や析出物、
局所的応力等のような局所領域における不均一さが存す
ると、同じ大きさの直流磁場が印加されている場合でも
被測定物の局所領域内で磁化の大きさにムラが発生す
る。したがって、磁気ヘッドの構成要素である磁化検出
手段を被測定物上に配し、上記被測定物を磁化検出手段
に対して相対的に移動させることにより、上記局所領域
に上記不均一さが存するときには上記磁化検出手段にパ
ルス状の波形をもつ電圧信号が誘起される。他方、上記
不均一さが存しないときには電圧信号にパルス状の波形
は発生しない。この電圧信号はそのパルス状の波形の大
きさや周波数分布が被測定物中の上記不均一さと相関を
もつものであるので、この電圧信号を解析することによ
って被測定物の材質や応力の診断が可能となる。
【0018】本発明者らは、被測定物の結晶粒径、析出
物の大きさ或いは局所的応力等を上記電圧信号を用いて
診断する場合に、診断しようとするパラメータによって
診断感度(精度)が最適となる励磁状態がそれぞれ存在
することを見いだした。本発明の磁気ヘッド装置におい
ては、磁気ヘッドが励磁手段と上記被測定物の磁化変化
を検出する複数の磁化検出手段とから構成され、各磁化
検出手段が上記励磁手段により励磁される上記被測定物
の局部領域上に配される。そのため、各磁化検出手段に
おいて同時に得られた複数の上記電圧信号の波形をオン
ライン測定中に比較することが可能である。したがっ
て、測定中に被測定物中の材質や応力等が変化して各磁
化検出手段毎の感受性が変化しても、常に最も高い感受
性を示す磁化検出手段を選択することができ、その検出
値を採用することによって高精度の診断が可能となる。
【0019】また、励磁手段と複数の磁化検出手段とか
ら構成される上記磁気ヘッドを被測定物の表面に複数個
配置することによって、より広い局所領域の診断を行う
ことが可能となる。例えば、被測定物の移動方向に対し
て略直交する方向に各磁気ヘッドを配置することによ
り、この直交方向における材質や応力等の変化を診断す
ることが可能となる。さらに、被測定物の移動方向に対
して略平行な方向に各磁気ヘッドを配置することによ
り、同じ領域を繰り返し測定することが可能となり、更
なる高い測定精度を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気ヘッド装
置のいくつかの具体的な実施の形態について図面を参照
しながら詳細に説明する。
【0021】(第1の実施の形態)先ず、第1の実施の
形態について説明する。この第1の実施の形態に係る磁
気ヘッド装置は、図1に示すように、磁気ヘッド11
が、磁性体である被測定物4の測定部位である局部領域
を励磁する励磁用ヘッド12と、被測定物4の磁化変化
を検出する検出用ヘッド群13とから構成されている。
【0022】上記励磁用ヘッド12は、磁束を発生させ
る磁束発生手段である永久磁石1,2と、軟質磁性材料
からなり永久磁石1から発生する磁束により磁化され磁
路が形成される略U字形状のヨーク材5とから構成され
ている。
【0023】上記永久磁石1,2は、それぞれヨーク材
5の各先端部に接着剤等により固定されて配されてお
り、永久磁石1の端面がN極、永久磁石2の端面がS極
とされて、所定のギャップだけ離間して被測定物4と対
向配置される。永久磁石1,2の材料としては、Nd−
Fe−B系磁石やSm−Co系磁石等の希土類磁石が好
適である。また、上記ヨーク材5の材料としては、珪素
鋼、パーマロイ、アモルファス薄帯等を積層させたもの
やソフトフェライト等が好適である。上述のように、ヨ
ーク材5を略U字形状とすることにより、励磁の磁気回
路上での磁気抵抗を低減させることができ、大きな励磁
磁場を効率良く発生することが可能となる。したがって
この場合、励磁用ヘッド12の寸法を小さくして小型軽
量化を図ることができる。また、励磁用ヘッドに永久磁
石を用いることの代わりに、略U字形状のヨーク材に励
磁用コイルを巻回形成し、この励磁用コイルに励磁用の
直流電流を供給することにより上記ヨーク材から磁場を
発生させるように励磁用ヘッドを構成することも可能で
あるが、本第1の実施の形態の如く励磁用ヘッド12を
ヨーク材5と永久磁石1,2とから構成することによ
り、構造が単純化され、励磁用の直流電流を供給する機
器の設置が不要となる。その結果、測定システム全体の
簡略化と省力化が可能となる。
【0024】上記検出用ヘッド群13は、複数個(図示
の例では4個)の検出用ヘッド3から構成されており、
各検出用ヘッド3が、励磁用ヘッド12の永久磁石1,
2の略中央部位において図1中矢印で示す被測定物4の
移動方向と略平行に等間隔をもって配されている。すな
わち、図2に示すように、永久磁石1のN極1aと永久
磁石2のS極2aとを結ぶ線分の垂直2等分線L1 上に
各検出用ヘッド3が配されて検出用ヘッド群13が構成
されている。ここで、各検出用ヘッド3は、円柱状の磁
気コア材に導電材からなる線材が巻回されてなる空心コ
イルを用いたが、この空心コイルの代わりにパーマロイ
やソフトフェライト、珪素鋼等を材料とする略U字状の
磁気コアにコイルを巻回形成したものも使用に好適であ
る。なお、配置する検出用ヘッド3の個数としては、2
個〜200個程度が好適である。1個であると異なる励
磁状態の電圧信号を得ることができなくなり、200個
を越えると検出用ヘッド3毎の電圧信号の大きさや材質
感受性等の差が小さくなるのみで、更なる測定精度の向
上は望めない。
【0025】続いて、上記磁気ヘッド装置の動作原理に
ついて図2を参照して説明する。先ず、励磁用ヘッド1
2の永久磁石1,2の端面(N極1a,S極2a)を被
測定物4の表面から所定距離だけ離間させて配置すると
ともに、検出用ヘッド群13の各検出用ヘッド3を励磁
用ヘッド12の永久磁石1,2の略中央部において上記
矢印で示す被測定物4の移動方向と略平行に等間隔とな
るように配置する。ここで、各検出用ヘッド3は、励磁
用ヘッド12に対して異なる励磁状態で電圧信号を同時
に検出できる部位に配置することが必要である。
【0026】そして、被測定物4を上記矢印の方向に移
動させながら、励磁用ヘッド12により被測定物4に直
流磁場を印加して励磁するとともに、各検出用ヘッド3
により被測定物4の磁化変化を検出する。このとき、上
記直流磁場の方向は図2中矢印Mで示すように永久磁石
1,2の端面を結ぶ線分(図2中破線で示す。)と略平
行であり、上記各端面に近づくほど磁場の大きさが増大
する(この様子を図2中の上記矢印の長さで表現す
る。)。したがって、検出用ヘッド群13のうち、被測
定物4の励磁磁場が永久磁石1,2の端面に近い検出用
ヘッド3ほど検出する磁場が大きくなり、被測定物4の
異なる励磁状態の電圧信号が得られる。したがって、被
測定物4中に結晶粒径や析出物の大きさが変化する不均
一さが存在して各検出用ヘッド3の感受性が変化して
も、検出用ヘッド群13のうちから最も高い感受性を有
する電圧信号を選択して測定値とすればよい。
【0027】ここで、上述したように、被測定物4の移
動方向と略平行となる垂直2等分線L1 上に各検出用ヘ
ッド3を配置させることにより、被測定物4の集合組織
(異方性)の影響を受けることなく各検出用ヘッド3で
検出された電圧信号を比較することができる。オンライ
ン測定中に被測定物4の診断を行うために、各検出用ヘ
ッド3で検出された各電圧信号はコンピュータへ送出さ
れ、測定と並行して信号処理を行う。
【0028】いま、被測定物4の結晶粒径を測定する場
合を例にとり、実際の信号処理の方法について説明す
る。
【0029】予め、検出用ヘッド群13の各検出用ヘッ
ド3毎に結晶粒径に対する電圧信号の検量線を求めてお
き、コンピュータへ入力する。ここで、各検出用ヘッド
3で得られる電圧信号の結晶粒径の感受性が一定ではな
く、測定する結晶粒径範囲によっても異なる。したがっ
て、測定する結晶粒径範囲毎に最も高い感受性を得るこ
とのできる検出用ヘッド3を選択しておく。実際のオン
ライン測定では、先ず、各検出用ヘッド3で得られた複
数の電圧信号をコンピュータ内に取り込み、各検出用ヘ
ッド3毎の検量線と比較することによって測定した局所
領域の結晶粒径が属する結晶粒径範囲を決定する。そし
て、その結晶粒径範囲で最も高い感受性を有する検出用
ヘッド3で測定した電圧信号を用いて結晶粒径を測定す
る。その結果、最も感受性の高い電圧信号を用いて結晶
粒径を求めることができる。
【0030】以上説明したように、本第1の実施の形態
の磁気ヘッド装置によれば、被測定物4の種類や材質に
影響されずに、結晶粒径や析出物の大きさ、局所的応力
等をオンラインで高い感度をもって診断することが可能
となる。
【0031】(第2の実施の形態)続いて、第2の実施
の形態について説明する。この第2の実施の形態に係る
磁気ヘッド装置は、第1の実施の形態のそれとほぼ同様
の構成を有するが、各検出用ヘッド3の配し方が異なる
点で相違する。第1の実施の形態に係る磁気ヘッド装置
が被測定物4における結晶粒径や析出物の大きさ、局所
的応力等の診断に好適であるのに対して、本第2の実施
の形態に係る磁気ヘッド装置は被測定物4における集合
組織の度合いや応力状態の診断に好適である。なお、第
1の実施の形態に係る磁気ヘッド装置と同様の構成要素
等については同符号を記して説明を省略する。
【0032】本第2の実施の形態に係る磁気ヘッド装置
においては、図3に示すように、励磁用ヘッド12のヨ
ーク材5の両脚部に固定された永久磁石1,2の端面
(N極1a,S極2a)から発生する磁場の等磁束密度
線L2 上に各検出用ヘッド3が配置されて検出用ヘッド
群13が構成されている。
【0033】等磁束密度線L2 上においては、図3中矢
印Nで示すように磁場の大きさは変わらず、磁場の方位
が位置によって異なる。この等磁束密度線L2 上に各検
出用ヘッド3が配置されていると、被測定物4が移動す
る場合に各検出用ヘッド3に発生する電圧信号の大きさ
は被測定物4に集合組織が無い場合には全て同じになる
が、集合組織がある場合には検出用ヘッド3毎に電圧信
号の大きさが変化する。被測定物4に局所的に異方性の
ある応力が負荷されている場合も同様である。したがっ
て、それぞれの電圧信号の大小関係から集合組織の度合
いや応力状態がわかる。そして、N極1aとS極2aと
を結ぶ線分が被測定物4の移動方向と略平行となるよう
に励磁用ヘッド12を配置し、上記線分を基準線とする
ことにより、その方向からの角度のずれとして容易に被
測定物4における結晶の配向方向や応力の方向を決定す
ることができる。
【0034】また、等磁束密度線L2 上のうち、図示の
ように矢印Nで示す磁場の方向が180°変化する領域
にわたって検出用ヘッド3を配置することにより、被測
定物4の表面に対し全方位について診断することが可能
となる。さらに、磁場の大きさが異なる複数の等磁束密
度線に対して、各々の等磁束密度線上に複数の検出用ヘ
ッド3を設けることにより、更なる高精度の診断を行う
ことが可能となる。
【0035】以上説明したように、本第2の実施の形態
の磁気ヘッド装置によれば、被測定物4の種類や材質に
影響されずに、集合組織の度合いや応力状態をオンライ
ンで高い感度をもって診断することが可能となる。
【0036】
【実施例】以下、第1,第2の実施の形態の磁気ヘッド
装置を用いて、それぞれ被測定物を診断したいくつかの
実施例について説明する。
【0037】(実施例1)先ず、実施例1について説明
する。ここでは、第1の実施の形態に係る磁気ヘッド装
置を用い、結晶粒径の異なる数種の鋼板を被測定物とし
てそれぞれの結晶粒径分布をオンラインで測定した。
【0038】ここで、励磁用ヘッド12について、永久
磁石1,2としては、寸法が1cm×1cm×2cmの
直方体のSm−Co系磁石に対して長手方向へ着磁を施
したものを用い、ヨーク材5としては、軟鉄を材料とし
て断面の寸法が1cm×1cm×脚部間隔8cmのU字
型のものを用いた。そして、これら永久磁石1,2とヨ
ーク材5とをエポキシ樹脂で接着固定して励磁用ヘッド
12とした。各検出用ヘッド3としては、円柱状のアク
リルよりなる磁気コア材(断面φ1cm)にエナメル細
線を巻回した空心コイルを用い、それぞれコイルの巻数
及び巻回方向が同じものを3つ用意した。各々の空心コ
イルの配置部位については、N極1aとS極2aとを結
ぶ線分の垂直2等分線L1 の中点を原点として、垂直2
等分線L1 上に原点から0cm(原点)、1cm、2c
m離れた位置に各検出用ヘッド3(即ち、総計3つの検
出用ヘッド3)を配置させた。これらの検出用ヘッド3
を原点から近い順に空心コイル3a〜3cとする。さら
に、励磁用ヘッド12と3つの空心コイル3a〜3cと
を治具を用いて固定した。そして、空心コイル3a〜3
cをこれらが並列した方向、即ち垂直2等分線L1 と被
測定物4の移動方向とが略平行となるように設置した。
【0039】この実施例1の実験を行うに際して、始め
に、実ラインでの測定準備として、結晶粒径に対する上
記電圧信号の験量線を作成した。ここで、験量線を作成
するために以下に示す試料を用意した。先ず、実ライン
で測定する鋼板と同じ材料であり、形状が幅10cm、
長さ100cm、厚み0.08cmとされた下記の表1
に示す6種類の鋼板A〜Fを用意し、これら鋼板A〜F
をこの順に放電溶接法により接合して試料を完成させ
た。
【0040】
【表1】
【0041】送板速度を1000cm/秒とし、試料の
長手方向へ移動させた。上記電圧信号の検出は試料の幅
方向の中央部位で行った。また、永久磁石1,2の各端
面となるN極1a,S極1bと被測定物4との離間距離
(ギャップ)を0.2cmの一定値とした。空心コイル
3a〜3cに誘起された電圧を電圧増幅器を用いてそれ
ぞれ独立に同じ増幅率で増幅させ、その後、実効値電圧
を求めた。この実効値電圧は、得られた電圧信号波形を
時間軸方向に対して0.001秒毎に分割し、0.00
1秒毎に算出した値である。
【0042】以下に験量線のデータを示す。表2には、
得られた実効値電圧及び鋼板Aを基準とした場合の変化
量(括弧内)を、表3には、上記電圧信号の結晶粒径に
対する変化率を示した。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】第1の実施の形態の磁気ヘッド装置におい
ては、空心コイル3a〜3c毎で結晶粒径に対する変化
率が異なり、表3の星印(☆)を付した箇所において最
も高い結晶粒径感受性が得られることがわかった。
【0046】上述したようにして得られた験量線のデー
タを実ラインで上記電圧信号の処理に用いるコンピュー
タへ入力させた。この実施例1では、被測定物4の結晶
粒径が10μm〜31μmの範囲では空心コイル3a
で、31μm〜39μmの範囲では空心コイル3bで、
39μm〜64μmの範囲では空心コイル3cでそれぞ
れ検出された上記電圧信号を選択して結晶粒径を算出す
るようにプログラムした。
【0047】実ラインで測定した鋼板は、幅160c
m、厚み0.08cm、長さ1000mの形状であり、
送板速度を1000cm/秒とした。上記電圧信号の検
出は試料の幅方向の中央部で検量線の作成時と同じ条件
で行った。
【0048】鋼板は磁気ヘッド11の位置を100秒で
通過したが、コンピュータによる計算によって上記電圧
信号の検出完了と同時に、鋼板の長手方向への結晶粒径
分布を求めることができた。この後、鋼板から幾つかの
試料片を切り出して、その結晶粒径を調べたところ、第
1の実施の形態の磁気ヘッド装置を用いて測定した結晶
粒径値と一致した。また、鋼板の幅方向の領域も含めて
診断するために、磁気ヘッド11を20個用意して上記
鋼板の幅方向に配置して実ラインにおける結晶粒径の測
定を行ったが、この場合も精度良く結晶粒径分布を求め
ることができた。さらに、第1の実施の形態の磁気ヘッ
ド装置を用いて上述と同じ作業フローによって鋼板中の
析出物の大きさを実ラインにて測定する実験を行ったと
ころ、析出物の大きさについても精度良く診断すること
ができた。以上の結果からわかるように、第1の実施の
形態の磁気ヘッド装置を用いることによって、オンライ
ンで電圧信号を検出して被測定物4の材料等を診断する
場合に、高い測定精度で診断ができることが確認され
た。
【0049】(実施例2)続いて、実施例2について説
明する。ここでは、第2の実施の形態に係る磁気ヘッド
装置を用いて、集合組織の異なる数種の鋼板を被測定物
としてそれぞれに対応する電圧信号をオンラインで測定
した。
【0050】励磁用ヘッド12の構成要素である永久磁
石1,2及びヨーク材5の材質、各寸法及び両者の接合
方法については、実施例1の場合と同様であり、各検出
用ヘッド3としては、円柱状のアクリルよりなる磁気コ
ア材(断面φ0.4cm)にエナメル細線を巻回した空
心コイルを用い、それぞれコイルの巻数及び巻回方向が
同じものを2つ用意し、空心コイル3A,3Bとした。
各々の空心コイルの配置部位については、ホール素子を
用いて磁場の大きさ及び方向を確認しながら、磁場の大
きさが同じであり、磁場の方向が永久磁石1,2のN極
1aとS極2aとを結ぶ線分の方向に対して角度が0
°,90°となる等磁束密度線L2 上の位置に空心コイ
ル3A,3Bを配置した。被測定物4としては、形状が
幅50cm、長さ1000cm、厚み0.04cmの鋼
板とされ、集合組織を有しない鋼材1、長手方向へ(1
10)面の〔001〕が揃った鋼材2、長手方向へ〔1
00〕、幅方向へ〔010〕が揃った鋼材3の3種類の
珪素鋼板を用意し、送板速度を100cm/秒の一定値
とした。
【0051】そして、上記電圧信号の検出は試料の幅方
向の中央部位で行った。また、永久磁石1,2のN極1
a,S極1bと被測定物4との離間距離(ギャップ)を
0.2cmの一定値とした。各空心コイル3A,3Bに
誘起された電圧を電圧増幅器を用いてそれぞれ独立に同
じ増幅率で増幅させ、その後、実効値電圧を求めた。こ
の実効値電圧は、得られた電圧信号波形を時間軸方向に
対して0.001秒毎に分割し、0.001秒毎に算出
した値である。
【0052】表4に、それぞれの鋼板で得られた電圧信
号の実効値電圧を空心コイル毎に示す。
【0053】
【表4】
【0054】ここで、集合組織を有しない鋼材1では各
空心コイル3A,3Bで検出された電圧信号の実効値電
圧に差異は見られない。他方、集合組織を有する鋼材2
及び鋼材3では、配向方向と励磁磁場の方向が一致した
場合には電圧信号の実効値電圧が増加することがわかっ
た。また、予め実験室において、配向の程度と電圧信号
の実効値電圧との関係を調べておき、オンラインで集合
組織の程度を測定する実験を行ったところ、精度良く測
定できることができた。以上の結果からわかるように、
第2の実施の形態の磁気ヘッド装置を用いることによっ
て、オンラインで電圧信号を検出して被測定物4の集合
組織を診断する場合に、高い測定精度で診断ができるこ
とが確認された。
【0055】
【発明の効果】本発明の磁気ヘッド装置によれば、被測
定物の種類や材質に影響されずに、結晶粒径や析出物の
大きさ、集合組織の度合い等をオンラインで高い感度を
もって診断することが可能となり、製品の品質管理の効
率化や製品の歩留り等の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッド装
置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る磁気ヘッド装
置において、N極とS極とを結ぶ垂直2等分線上での磁
場の分布を示し、複数の検出用ヘッドの配置位置を示す
模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る磁気ヘッド装
置において、N極とS極とを結ぶ垂直2等分線上での磁
場の分布を示し、複数の検出用ヘッドの配置位置を示す
模式図である。
【符号の説明】
1,2 永久磁石 3 検出用ヘッド 4 被測定物 5 ヨーク材 11 磁気ヘッド 12 励磁用ヘッド 13 検出用ヘッド群

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体である被測定物の局部領域を励磁
    して当該局部領域の磁化変化を検出する少なくとも1つ
    の磁気ヘッドを備えた磁気ヘッド装置であって、 上記被測定物と対向配置されるN極及びS極の各磁極を
    有し、当該各磁極から磁束を発生させて上記被測定物を
    励磁する励磁手段と、 上記励磁手段により励磁される上記被測定物の局部領域
    上に配され、上記被測定物の磁化変化を検出する複数の
    磁化検出手段とを備えて上記磁気ヘッドが構成されるこ
    とを特徴とする磁気ヘッド装置。
  2. 【請求項2】 上記励磁手段のN極とS極とを結ぶ仮想
    線分を略垂直に2等分する仮想直線上に上記各磁化検出
    手段が配され、 上記被測定物の磁化変化を検出する際に、上記被測定物
    を上記仮想直線と略平行な方向に移動させることを特徴
    とする請求項1に記載の磁気ヘッド装置。
  3. 【請求項3】 上記励磁手段が、そのN極とS極とを結
    ぶ仮想線分が上記被測定物の磁化変化を検出する際の上
    記被測定物の移動方向と略平行となるように配されると
    ともに、 上記各磁化検出手段が、上記励磁手段から発生する磁場
    の等磁束密度線上に配されることを特徴とする請求項1
    に記載の磁気ヘッド装置。
  4. 【請求項4】 上記励磁手段が略U字形状に形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の磁気ヘッド装置。
  5. 【請求項5】 上記励磁手段が、軟質磁性材料よりなる
    ヨーク材と磁束を発生させて当該ヨーク材を磁化する永
    久磁石とから構成されることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載の磁気ヘッド装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001295838A (ja) * 2000-04-12 2001-10-26 Nsk Ltd 軸受予圧調整方法および軸受構造
CN117740204A (zh) * 2024-02-20 2024-03-22 沈阳仪表科学研究院有限公司 多方向应力检测传感器及检测方法

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