JPH09327086A - スピーカーの音場補正方法及びスピーカーシステム並びに音響システム - Google Patents

スピーカーの音場補正方法及びスピーカーシステム並びに音響システム

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JPH09327086A
JPH09327086A JP14617696A JP14617696A JPH09327086A JP H09327086 A JPH09327086 A JP H09327086A JP 14617696 A JP14617696 A JP 14617696A JP 14617696 A JP14617696 A JP 14617696A JP H09327086 A JPH09327086 A JP H09327086A
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Seiji Hama
清治 濱
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スピーカーから出力される音を原音に近いも
のとして収音し、室内の反射音の影響を除去した音場を
形成する。 【解決手段】 スピーカーから出力される音をその直前
で収音し、この収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯
域の略全域に渡って±4dB以内に納めるように第一補
正手段で調整し、所望の受音点で収音した音の音圧レベ
ルを可聴周波数帯域の略全域に渡って±4dB以内に納
めるように第二補正手段で調整する。この方法による
と、スピーカーの出力直後の音に対して音圧レベル調整
を行い、低域の音圧レベル上昇の影響を反映した原音に
極めて近い音を再生できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカーの音場
補正方法及びスピーカーシステム並びに音響システムに
関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆるレコーディング作業は演奏者が
演奏した原音をモニタースピーカーにより再生し、その
再生音をコントロールルームで試聴しながらミキシング
を行って録音することにより行われている。
【0003】一般に、このようなレコーディング作業の
現場では、モニタースピーカーが原音をできるだけ忠実
に再生するだけでなく、その再生音を聴取するにも、室
内空間における反射音の影響を全く受けることがないこ
とが理想的とされ、モニタースピーカーの特性に加えて
そのコントロールルームにおける音響特性も極めて重要
な要素とされている。
【0004】このためコントロールルーム内のどのよう
な位置でも、周波数にかかわらずスムーズに音が減衰す
るように、反射材や吸音材をバランス良く配置するなど
した室内音響技術を生かした設計が設計業者や音響業者
によって行われており、室内で再生した音をできる限り
理想的な音に近づけるための種々の工夫が従来から広く
行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、反射音の影響
をすべて除去したレコーディング作業は、現実のスタジ
オ空間においては不可能であり、このため、例えば、ク
ラシック音楽のレコーディングの如く、ヘッドフォンを
使用してモニタリングが行われることもある。このよう
なモニタリングは、コントロールルームにおける反射音
や周囲の騒音の影響を受けないという点で好ましいとは
いうものの、音場の臨場感や立体感或いは方向感等、室
内音響の重要な特性を把握しにくいという重大な欠点が
ある。
【0006】また、レコーディングスタジオの室内構造
が場所ごとにまちまちであることから、スピーカーによ
るモニタリングの場合は、同じ原音を再生しているにも
関わらず、場所ごとに異なった音場が形成されてしま
い、その都度ミキシング作業を行わざるを得ないという
欠点があった。
【0007】そこで、本発明者は、かかる問題点に鑑
み、レコーディング内容の善し悪しを左右する二つの要
素、すなわち、スピーカーが再生する音の特性と、コン
トロールルーム内における音響特性とのうち、特に前者
についての改善を土台とし、ある一定の受音点におい
て、スピーカーから出力される音を原音に近いものとし
て収音し、しかも、室内の反射音の影響を除去した音場
を形成するにはどのようにすれば良いか、という点につ
いて鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は先ず、スピー
カーの周波数特性及び指向特性等の諸特性が、スピーカ
ーの軸上1mの地点において測定され、その上で必要な
補正が施されるというスピーカーの音場補正の方法に着
目し、その改善についての検討を行った。
【0009】一般に、スピーカーの諸特性の中で特に重
要とされるのは周波数特性及び指向特性である。スピー
カーの音場補正は、図18に示すように、無響室内にお
いて被測定スピーカー101の軸上1m離れた地点に設
置したマイク103によって収音し、その測定結果を基
礎とするものであり、その測定した音の音圧レベルを可
聴周波数帯域の略全域に渡り、約±4dB以内に納める
ようにして行うものである。
【0010】ところで、スピーカーのユニットからの距
離がウーハーの口径よりも小さくなる範囲の空間のこと
を一般に近接音場と呼んでいる。この近接音場では、ス
ピーカーの出力する音の音圧と、キャビネットからの距
離の二乗との反比例関係(逆二乗の法則)が成り立たず
に自由音場とみなすことができるとされ、図19に示す
ように、ウーハーから出力される低域(約80Hz〜約
400Hz)の音圧レベルに上昇が生じるという現象が
みられる。
【0011】従来のスピーカーは、軸上1m離れた地点
における測定結果に基づいているため、出力直後におけ
る低域の音圧レベル上昇という近接音場特有の現象が反
映されない状態で製作されている。このため実際に音を
再生すると、もりあがりの音の影響で全体にマスキング
のかかった音抜けのよくない音(こもり気味の音)が再
生されてしまい、再生音と原音との間に差が大きく生じ
ているという実態に本発明者は着目した。
【0012】そこで、このようなスピーカーの諸特性の
測定方法を踏まえた上、上記課題を解決すべく種々の実
験によって得られた結果、本発明者は、スピーカーの直
前で収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略全域
に渡って約±4dB以内に納めるように第一補正手段で
調整する工程と、所望の受音点で収音した音の音圧レベ
ルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内に
納めるように第二補正手段で調整する工程とを含むスピ
ーカーの音場補正方法を完成するに至った。
【0013】ここにいう直前とは、測定しようとするス
ピーカーのいわゆる近接音場とよばれる空間の範囲内を
意味するものである。第一及び第二補正手段は、収音し
た音を変換して得られる電気信号の周波数特性を変化さ
せて所望の信号を得るための手段を意味し、具体的なも
のには、イコライザーを用いることができる。
【0014】この音場補正方法は、スピーカーの出力直
後の音に対し、音圧レベル調整を行うための補正を行う
ことができる。したがって、この二段階の工程からなる
音場補正方法によれば、低域の音圧レベル上昇の影響を
反映した特性をベースとする音場補正を第一補正手段で
行うことができ、原音に極めて近い音を得ることができ
る。また、第一補正手段によって直前での補正を行うと
共に、第二補正手段でスピーカーの軸上1m離れた地点
における補正を行うことができるので、1mの地点から
逆二乗の法則が成立つようにすることができる。そして
また、第二補正手段を1m以降の所望の点(例えば、軸
上2mの地点)に移設して補正を行えば、その点以降の
空間において、逆二乗の法則が成立つようにすることが
できる。
【0015】しかも、所望の受音点に移設した際に生じ
る音の周波数特性の変化を第二補正手段で調整すること
によって、収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の
略全域に渡って約±4dB以内に納めるようにすること
ができるので、いかなる受音点においても反射音の影響
を除去した原音に極めて近い音を収音することが可能と
なる。
【0016】本発明の方法を利用すればいかなる構造の
室内においても、そこで録音された音は他の室内(本発
明を施した室内)においても、同様の音として再生しか
つ聴取することができることとなる。したがって、室内
が変われば音が変わり、ミキシングのやり方が変わると
いう問題を解決することができる。
【0017】本発明の音場補正方法は、レコーディング
スタジオのコントロールルームにおける音場補正に限ら
れず、屋外や、コンサートホール、劇場や映画館等の室
内における音場補正にも適用可能であることはいうまで
もない。
【0018】この場合一般に、コンサートホール、劇場
等の室内空間の場合は、スピーカーと、受音点との間に
大きな空間が介在するのが通常である。このため、受音
点における音場は反射音の影響が加味され、スピーカー
からの直接音が、残響音によって大きく左右されるとい
う特質がある。
【0019】一般に、残響音の影響は、室内の音響効果
を左右する重要な要素とされるいわゆる残響感、残響時
間、方向感に現れることが多く、この種の要素はスピー
カーの特性よりも、室内の形状や、吸音材によるところ
が大きいとされている。本発明の音場補正方法によれ
ば、原音に極めて近い音を所望の受音点で収音した際
に、第二補正手段で適宜調整することができるので、反
射音とスピーカーからの距離による音の減衰を補正する
ことによって、残響の中でスピーカーからの直接音を聞
くことができる。
【0020】また本発明は、スピーカー直前で収音した
音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±
4dB以内に納めるための補正手段を具備してなるスピ
ーカーシステムにも特徴がある。
【0021】このスピーカーシステムは、直前で収音し
た音に対して行う音圧レベル調整がそれ自体で行われ、
低域の音圧レベル上昇を反映乃至加味させた原音に忠実
な音を簡便に出力させることができる。このとき、スピ
ーカーシステムは、そのユニットから出力される音を直
前で収音するための収音手段を具備したものとするのが
好ましく、収音手段を各ユニットごとに備えてあれば一
層好ましい。そうすれば、音の収音を簡便に行うことが
できるからである。
【0022】このスピーカーシステムはその周波数特性
が低音側へ偏ることなく広範囲に渡りフラットな周波数
特性を示すものとなる。したがって、このスピーカーシ
ステムを用いて録音ソースの再生を行えば、必然的に実
際の録音の内容に極めて近い音を聞くことが可能とさ
れ、コンサートホール、劇場等室内のほか、一般家庭に
おいても録音内容に極めて近い音を聞くことが可能とな
る。もちろん、ここで使用する録音ソースの原音が、上
述した本発明の音場補正方法による音場補正後に録音さ
れたものであれば、演奏者が演奏した音に限りなく近い
音を聞くことが可能になるのはいうまでもない。
【0023】さらに本発明は、スピーカーの直前で収音
した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って
約±4dB以内に納めるための補正手段と、そのスピー
カーとを接続した構成を含む音響システムを特徴とす
る。
【0024】この音響システムは、低域の音圧レベル上
昇の影響を加味乃至反映した原音に忠実な音を出力させ
ることと、室内における反射音の影響を除去或いは効果
的に反映させつつ所望の受音点における音の収音を行う
こととを、従来のスピーカーとの組み合わせによって実
現することが可能となる。この場合、音響システムは、
スピーカーの直前で収音した音の音圧レベルを可聴周波
数帯域の略全域に渡って約±4dB以内に納めるための
補正手段と、そのスピーカー及び所望の受音点で収音し
た音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略全域に渡ってり
約±4dB以内に納めるための第二補正手段とを接続し
た構成を含むものとするのが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る音場補正方法
及びスピーカーシステム並びに音響システムの好適な実
施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】本発明に係る音場補正方法は、図1に示す
音場補正Aと、図2に示す音場補正Bとから構成されて
いる。
【0027】音場補正Aは、図1に示すように、モニタ
ースピーカー1から出力した音に対して以下の要領で行
われる。先ず、パワーアンプ2を経由してピンクノイズ
(可聴周波数全帯域にわたり、等オクターブ間隔での音
響エネルギーが一定のもの)をスピーカー1から出力a
させ、収音手段としてスピーカー1の直前に設置した無
指向性のマイク3にて収音する。次いで、収音した音に
対応する電気信号の波形をスペクトラムアナライザー4
にて観測しつつ、第一補正手段となるイコライザー5に
よって収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域(20 Hz
〜20 kHz) の略全域に渡って、±4dB以内に納めるべ
く調整することによって行われる。
【0028】ここで行われる音場補正Aでは、図3及び
図4に示すように、スピーカー1から出力aした音に対
するマイク3による収音を、その直前で行うという点を
特徴としている。
【0029】ここにいう直前とは、上述の通り、被測定
スピーカーのいわゆる近接音場とよばれる空間の範囲内
を意味するものである。具体的には、図3に示したスピ
ーカー1の如く、一般に使用されているウーハーの口径
が約20cmの2ウェイ密閉型の場合を例にとると、キ
ャビネット1aの前面からの距離w1が約20cm以内
となるような空間を意味する。
【0030】そして、この範囲内でスピーカー1から出
力aした音を収音し、その音の周波数特性を可聴周波数
帯域の略全域に渡り、±4dB以内に納めるための調整
を行うことになる。このとき、ウーハー1b及びツィー
ター1cの各ユニット毎に、アナライザー4の波形を観
測しながら出力される音の分布を、マイク3をユニット
前面内で適当に移動させながら調べ、スピーカー1の全
体の音の分布を考慮して行う。音の周波数帯域の調整を
終えたら適当な位置にマイク3を設置する。
【0031】この場合、スピーカー1の変わりに図5
(A)に示すような20cm口径のフルレンジスピーカ
ー11を使用することもできるが、このときにはキャビ
ネットからの距離w2が約20cm以内となるような位
置でウーハー11aの中心軸上の位置にマイク3を設置
する。
【0032】また、同図(B)の如く、ダブルウーハー
21a,21a及びホーン21bを備えたスピーカー2
1の場合は、一方のウーハー21aの前面と、両ウーハ
ー21a,21aの略中間の部位とで音の分布を調べる
と共に、ホーン21bについても同様に音の分布を調べ
ることによって行う。
【0033】さらに、同図(C)のように、フルレンジ
バスレフ型のスピーカー22の場合は、ポート22a及
びウーハー22bの前面で音の分布を調べながら行う。
さらにまた同図(D)のようにマルチウェイスピーカー
23の場合も同様に、ウーハー23a,スコーカー23
b、高域ホーンドライバー23c、スーパーツィーター
23dの各ユニット毎に行う。要するに、被測定用スピ
ーカーの各ユニット(ウーハー、ツイータ、スコーカ
ー、バスレフ型のポート、ホーン等)毎に出力される音
の分布を調べることによって行われる。
【0034】このように、スピーカー1の直前で収音す
るということは、アナライザー4にスピーカー1から出
力された直後の音の波形がほぼそのまま現れることを意
味する。したがって音場補正Aでは、出力直後における
低域の音圧レベル上昇を加味乃至反映した上で、イコラ
イザー5によって、スピーカーから出力される音の音圧
レベルを、可聴周波数帯域の略全域に渡り略フラットに
することができ、これによって、原音に極めて近い音を
出力させることができることになる。
【0035】なお音場補正Aで使用されるスピーカー1
には特に限定される要素はなく、通常のスピーカーを使
用することができる。パワーアンプ2はコントロールア
ンプを一体化したプリメインアンプでもよい。アナライ
ザー4も、ピンクノイズ発振ホワイトノイズ発振の両者
を使用することができる。
【0036】イコライザー5は、音圧レベルの調整を可
聴周波数帯域の略全域に渡って調整することができるも
の、例えば、グラフィックイコライザーやパラメトリッ
クイコライザー等を使用することができ、アナログ方
式、デジタル方式のいずれも使用することができる。ま
たその他、ローパスフィルター、ハイパスフィルター、
共振回路等を用いることもできる。なお、ローパスフィ
ルター、ハイパスフィルター、共振回路を用いる場合
は、これらとネットワーク回路を併用することもでき
る。
【0037】マイク3については、できるだけ広範囲の
音を収音しできる無指向性で、なおかつ感度良好なもの
が好ましく、例えば、ダイナミック型或いはコンデンサ
型等のマイクを用いるのが好ましい。
【0038】以上の要領でスピーカー1に対する音場補
正Aを終えた後、続いて図2に示す要領で各受音点にお
ける音場補正Bを行う。ここで行う音場補正Bは上述の
音場補正Aと比較し、用いる器具の接続構成上、パワー
アンプ2とイコライザー5との間に第二補正手段となる
イコライザー6を新たに設置した点と、音場補正を行お
うとする各受音点にマイク3を設置した点とで異なって
いる。ここで、新設されるイコライザー6は、既設のイ
コライザー5と同じものでも、別のものでもいずれでも
良い。
【0039】音場補正Bを行う場合は、先ず、音場補正
Aにおける調整に使用したイコライザー5をそのままの
状態として収音用マイク3を所望の受音点に移設する。
そして、パワーアンプ2を経由してピンクノイズをスピ
ーカー1から出力bさせ、これをマイク3にて収音す
る。次いでアナライザー4にて収音した音に対応する電
気信号の波形を観測しつつ、イコライザー6にて音圧レ
ベルを可聴周波数帯域の略全域に渡り、±4dB以内に
納めるように調整を行う。
【0040】音場補正Aを行ったことにより、スピーカ
ー1から出力される音は低域の音圧レベル上昇の影響を
加味乃至反映した上で、原音に極めて近い音に調整され
ている。この調整はイコライザー5によってなされてい
るものである。このため、イコライザー5をそのままの
状態で使用したことにより、マイク3の設置場所をスピ
ーカー1の直前から所望の受音点に移設したことに伴う
特性の変化をイコライザー6によって適宜調整すること
ができることとなる。
【0041】つまり、マイク3の設置場所がいかなる場
所であっても、スピーカー1の直前からの移設に伴う特
性の変化をイコライザー6で調整することによって、各
受音点において収音する音の特性を反射音の影響を除去
して極めて原音に近いものとすることができる。この場
合、コンサートホールや劇場等反射音の影響が大きい室
内空間においても、室内の残響の中で、スピーカーの原
音に忠実な音を収音することが可能となる。これは、イ
コライザー5及びイコライザー6との二つで補正を行
い、第二補正手段となるイコライザー6によって、室内
空間における音の反射を考慮した補正を自在に行うこと
ができるからである。
【0042】一方、イコライザー5は、スピーカー1の
直前で収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略全
域に渡って約±4dB以内に納めるための補正手段とな
るものであるが、この補正手段に相当する機能を有した
イコライザー回路7を図6に示す如く、スピーカー1に
内蔵させてスピーカーシステムとなるスピーカー31と
することもできる。
【0043】このイコライザー回路7は、ローパスフィ
ルター、ハイパスフィルター、共振回路を用いることが
できる。このスピーカー31であれば、イコライザー5
を用いることなく本発明の音場補正を行うことができ
る。なおローパスフィルター、ハイパスフィルター、共
振回路を用いる場合には、これらとネットワーク回路を
併用することもできる。
【0044】そして、このスピーカー31をスピーカー
1の代わりに用いることもでき、この場合は図1に示す
如く機器を接続すると共に、図1に示したイコライザー
5を第二補正手段となるイコライザー6として使用すれ
ば良い。
【0045】また、イコライザー回路7をスピーカー1
に内蔵させることなく、図7に示す如く別体として、専
用イコライザー8とすることもできる。この専用イコラ
イザー8はスピーカー1の直前で収音した音の音圧レベ
ルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内に
納めるための補正手段となるもので、これを通して得ら
れる補正後の信号をパワーアンプ2を通してスピーカー
1に供給すべく、各装置を接続して音響システムを構成
することもできる。
【0046】
【実験例】続いて、本発明の音場補正方法により補正し
た音の特性を、従来の方法により補正した音の特性と比
較するために行った実験について説明する。本実験で
は、上述の図1及び図2に従って各機器を接続して構成
し、これらをNHK(日本放送協会)の音楽試聴室(幅
×奥行×高さ:約5m×約5m×約2.5mの吸音処理
された室内)に設置して行った。この実験で用いた主な
機器の名称等の諸元は以下の通りである。 スピーカー1:DS-3002(放送用モニタースピーカ
ー:三菱電機社製)30cmウーハーと、ドーム型ツィータ
との2ウェイ方式 スペクトラムアナライザー4:SA-27(RION 社製) イコライザー5及び6:YDP-2006(パラメトリック
イコライザー : ヤマハ社製)
【0047】図8〜図14は、マイク3を各点に設置し
てスピーカー1から出力したピンクノイズを収音し、収
音した音の特性をアナライザー4で測定した結果を記録
したものである。各図とも、(A)は縦軸に音圧レベル
(dB)、横軸に周波数(Hz)をとって収音した音の
周波数特性を棒グラフ状に示したもので、(B)は各主
要周波数ごとの音圧レベルの数値を示したものである。
【0048】図8及び図9はスピーカー1の直前20c
mの距離の地点にマイク3を設置してイコライザー5で
補正せずに収音した結果を示しており、図8はウーハー
の中心軸上、図9はツィーターの中心軸上で測定した結
果を示している。これらの結果に基づいてイコライザー
5で補正した結果を各々図10及び図11に示してあ
る。図8と図10とを比較することにより、図8に示す
通り、50Hz〜1.0kHzの間で−1.6dB(5
0Hz)〜3.9dB(200Hz)まで差があった音
圧レベルが、補正後には図10に示すように、−1.6
dB(500Hz)〜1.6dB(100Hz)の範囲
に納められていることが理解される。
【0049】続いて、スピーカー1から2m離してウー
ハーとツイーターの略中間となる部分の中心軸上に位置
する点にマイク3を設置し、同様の測定を行った結果を
図12に、さらにイコライザー6を接続して第二段階の
補正を行った後の測定結果を図13に示してある。
【0050】図12では、全体的に各周波数の音圧レベ
ルにかなりの差が見られ、50Hz〜20kHzの間で
−6.1dB(80Hz)〜5.4dB(1.6kH
z)まで約11dBの差が開いてしまっているのが理解
される。これに対して図13では、各周波数の音圧レベ
ルが全体的に差がなくフラットであり、50Hz〜20
kHzの間で−2.5dB(160Hz)〜2.4dB
(63Hz)までの約±3dBの範囲内に納められてい
ることが理解される。なお、高度(高性能)のイコライ
ザーを使用すれば補正後の周波数を略±0dBに近づけ
ることも可能である。
【0051】したがって、イコライザー6を接続して補
正を行ったことによって、明らかに従来の周波数特性に
改善が見られ、これによって、スピーカー1から出力さ
れる音を可聴周波数帯域の略全域に渡りフラットなもの
とし、スピーカー1から極めて原音に近い音が出力さ
れ,しかも所望の受音点においてもそのような音が収音
されていることが理解される。
【0052】参考例として図14には、マイク3をスピ
ーカー1から1m離し、ウーハーとツイーターの略中間
となる部分の中心軸上に位置する点に設置し、従来のよ
うにイコライザーを1台だけ使用して補正を行った結果
を示してある。この結果によっても各周波数の音圧レベ
ルにかなりの差がみられ、50Hz〜20kHzの間で
−2.4dB(80Hz)〜5.5dB(1.6kH
z)まで約8dBの差が開いてしまっているのが理解さ
れる。
【0053】ところで、一般にスピーカーの周波数特性
は機種ごとによって異なり、特に、低域の再生能力はウ
ーハーの口径によって異なっている。したがって、低域
の再生能力があまり高くないスピーカーを使用する場合
には、第一段階のイコライザー5による補正の際、低域
の周波数(具体的な周波数は機種によってまちまちだが
上記の実験で使用したスピーカーの場合は約40Hz以
下)の補正を行わずに第二段階のイコライザー6による
補正と一括して行うのが望ましい。スピーカーの再生能
力を極端に越える補正を行うと、スピーカーに好ましく
ない影響を与えかねないからである。
【0054】図15〜図17には、この点を考慮して行
った実験の結果を示してある。図15はスピーカー1の
直前20cmの距離の地点でウーハーの中心軸上にマイ
ク3を設置した場合、図16は同じくツイーターの中心
軸上に各々マイク3を設置した場合で、共にイコライザ
ー5による補正を行った結果を示したものである。図示
の通り、イコライザー5による第一段階の補正では40
Hz以下の補正を行わず、50Hz〜20kHzの補正
を行った。
【0055】次いで、マイク3をスピーカー1から2m
離してウーハーとツイーターの略中間部分の中心軸上に
位置する点に設置し、同様の測定を行った結果を図17
に示してある。図17に示された通り、上記の実験結果
(図13)と比較して低域側に若干のバラツキが見られ
るものの、略フラットな周波数特性が得られていること
が理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音場補正方法の一工程の装置構成を示
す正面図である。
【図2】図1の後続の工程を行う場合の装置構成を示す
正面図である。
【図3】図1の要部を拡大して示した斜視図である。
【図4】図1の音場補正方法において、スピーカーとマ
イクとの位置関係を示す説明図である。
【図5】(A)はフルレンジ型スピーカーとマイクとの
位置関係を示した説明図、(B)はタブルウーハー型、
(C)はバスレフ型スピーカー、(D)は4ウェイスピ
ーカーを示す説明図である。
【図6】補正手段を具備したスピーカーの一例を示す内
部の回路構成図である。
【図7】図6とは別のスピーカーを示す回路構成図であ
る。
【図8】スピーカーから20cmのウーハーの中心軸上
で収音した補正前の音の特性を示し、(A)は周波数特
性、(B)は各周波数毎の音圧レベルの数値を示す図で
ある。
【図9】同じく、ツィーターの中心軸上で測定した結果
を示し、(A)は周波数特性、(B)は各周波数毎の音
圧レベルの数値を示す図である。
【図10】図8と同様の位置で収音した音の補正後の特性
を示し、(A)は周波数特性、(B)は各周波数毎の音
圧レベルの数値を示す図である。
【図11】図9と同様の位置で収音した音の補正後の音の
特性を示し、(A)は周波数特性、(B)は各周波数毎
の音圧レベルの数値を示す図である。
【図12】スピーカーから2mの地点で収音した音の特性
を示し、(A)は周波数特性、(B)は各周波数毎の音
圧レベルの数値を示す図である。
【図13】同じく、第二補正手段となるイコライザーの補
正後の音の特性を示し、(A)は周波数特性、(B)は
各周波数毎の音圧レベルの数値を示す図である。
【図14】スピーカーから1mの地点で収音した音の補正
後の特性を示し、(A)は周波数特性、(B)は各周波
数毎の音圧レベルの数値を示す図である。
【図15】スピーカーから20cmのウーハーの中心軸上
で収音した音の補正後の特性を示し、(A)は周波数特
性、(B)は各周波数毎の音圧レベルの数値を示す図で
ある。
【図16】同じくツィーターの中心軸上で収音した音の補
正後の特性を示しており、(A)は周波数特性、(B)
は各周波数毎の音圧レベルの数値を示す図である。
【図17】スピーカーから2mの地点で収音した音の第二
補正手段となるイコライザーの補正後の音の特性を示
し、(A)は周波数特性、(B)は各周波数毎の音圧レ
ベルの数値を示す図である。
【図18】従来のスピーカーの特定を測定する方法を示す
説明図である。
【図19】スピーカーの直前で収音した音の音圧レベル上
昇を示すもので、(A)は周波数特性、(B)は各周波
数毎の音圧レベルの数値を示す図である。
【符号の説明】
A,B 音場補正 1,11,21 スピーカー 22,23,31 スピーカー 2 パワーアンプ 3 マイク 4 スペクトラムアナライザー 5,6 イコライザー 7 イコライザー回路 8 イコライザー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピーカーの直前で収音した音の音圧レ
    ベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内
    に納めるように第一補正手段で調整する工程と、所望の
    受音点で収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略
    全域に渡って約±4dB以内に納めるように第二補正手
    段で調整する工程とを含むスピーカーの音場補正方法。
  2. 【請求項2】 スピーカーの直前で収音した音の音圧レ
    ベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内
    に納めるための補正手段を具備してなるスピーカーシス
    テム。
  3. 【請求項3】 スピーカーの直前で収音した音の音圧レ
    ベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内
    に納めるための補正手段と、そのスピーカーとを接続し
    た構成を含む音響システム。
  4. 【請求項4】 スピーカーの直前で収音した音の音圧レ
    ベルを可聴周波数帯域の略全域に渡って約±4dB以内
    に納めるための補正手段と、そのスピーカー及び所望の
    受音点で収音した音の音圧レベルを可聴周波数帯域の略
    全域に渡ってり約±4dB以内に納めるための第二補正
    手段とを接続した構成を含む音響システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1169482A (ja) * 1997-08-26 1999-03-09 Akiyufueezu Kk 音場特性の補正方法
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JP2017532816A (ja) * 2014-09-24 2017-11-02 ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー 音声再生システム及び方法

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