JPH09322564A - 静電浮上システム - Google Patents

静電浮上システム

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JPH09322564A
JPH09322564A JP13186996A JP13186996A JPH09322564A JP H09322564 A JPH09322564 A JP H09322564A JP 13186996 A JP13186996 A JP 13186996A JP 13186996 A JP13186996 A JP 13186996A JP H09322564 A JPH09322564 A JP H09322564A
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JP
Japan
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voltage
stator
electrostatic
levitation system
electrode
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Application number
JP13186996A
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English (en)
Inventor
Toshiro Higuchi
俊郎 樋口
Shiyouyu Ko
紹愉 胡
Shiyougiyou Den
鍾業 田
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Kanagawa Academy of Science and Technology
Original Assignee
Kanagawa Academy of Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構造を有することにより、システムの
信頼性を高めることができると共に、故障時の保守が容
易であり、また安価でシステムの構成が可能であり、安
定浮上させることができる静電浮上システムを提供す
る。 【解決手段】 静電力を用いた静電浮上システムにおい
て、絶縁基板上に導電体の電極パターン11a,11b
が形成されている固定子10と、この固定子10に対向
する浮上体20と、前記固定子10と前記浮上体20間
のギャップを検出する近接スイッチ11cと、直流電圧
を供給する電源70と、前記固定子10の電極への印加
電圧のスイッチング動作を行うスイッチング回路40と
を備え、前記近接スイッチ11cからのオン/オフ信号
に基づいて前記スイッチング回路40で前記電源70か
らの直流電圧を前記固定子10の電極パターン11a,
11bにスイッチングすることにより、前記浮上体20
を安定浮上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電力を用いて浮
上体を周囲環境から完全に非接触で浮上させる静電浮上
システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
文献(1)“Electrostatic Silic
on Wafer Suspension”,Proc
eedings of the 4th Intern
ational Symposium on Magn
etic Bearings,pp.343−348,
1994と、(2)“Electrostatic L
evitator for Hard Disk Me
dia”,IEEE Transactionson
Industrial Electronics,Vo
l.42,No.5,pp.467−473,1995
で示されている。
【0003】図14はかかる従来の静電浮上システムの
概略構成図である。この図14において、910は固定
子、911〜914は電極パターン(以下、電極とい
う)、920は浮上体、930〜933は変位センサ、
940は制御器、970〜973は高電圧アンプを示し
ている。固定子910は絶縁基板からなり、その上に、
浮上体920に静電力による浮上力を与えるための導電
体の電極911〜914が形成されている。
【0004】また、板状体である浮上体920が、この
固定子910に対向するように配置されている。この静
電浮上システムでは、変位センサ930〜933からの
ギャップ信号に基づいて各電極911〜914への印加
電圧を能動的に制御することにより、浮上体920を安
定浮上させる。つまり、浮上体920の浮上位置及び姿
勢は変位センサ930〜933から検出され、この検出
された信号は制御器(PID)940に入力される。
【0005】制御器940は、この検出された信号と目
標値を比較し、浮上体920を安定浮上させるための制
御電圧を作り出し、その制御電圧を高電圧アンプ970
〜973に出力する。高電圧アンプ970〜973で増
幅された制御電圧は固定子910の電極911〜914
に印加され、浮上体920を安定浮上させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記したように、この
種の従来の静電浮上システムでは、固定子910と浮上
体920との間のギャップを測定するために変位センサ
930〜933が用いられている。この種の変位センサ
930〜933はアナログ式でギャップに比例した電圧
を出力するもので、厳しい仕様(例えば、分解能1μ
m、応答速度1kHz)が要求されるとともに高価であ
る。
【0007】なお、上記した制御器940はギャップセ
ンサ930〜933からのアナログ信号に基づいて浮上
体920を安定浮上させるための制御電圧を作り出すた
めに設けたもので、通常PIDコントローラ(Pは比
例、Iは積分、Dは微分を意味する)が用いられてい
る。しかし、この種のPIDコントローラはその構造が
複雑であるとともに高価で、また、その性能がシステム
全体の性能に及ぼす影響が大きい。
【0008】また、上記した静電浮上システムでは、各
電極911〜914に印加する高電圧を作るため、制御
器940からの制御電圧を高電圧アンプ970〜973
を用いて増幅している。この種の高電圧アンプは入力電
圧(例えば、0V〜±数V)に比例した高電圧(例え
ば、0V〜±数千V)を出力するもので、高い増幅率
(例えば、1000倍)を有し、また高価である。
【0009】このように、従来の静電浮上システムは、
その構造が複雑であるので、システムの信頼性が低下
し、また故障時の保守が容易ではなく、しかも高価であ
るといった問題点があった。特に、プラスティックフィ
ルムや紙などのような柔軟な板状体を安定浮上させるた
めには、固定子に多数の電極(場合によっては数十個の
電極)を配置する必要があり、その場合、その電極の数
に比例して、変位センサとPIDコントローラと高電圧
アンプが必要となり、価格面で実用上、このようなシス
テムを構成するのは困難である。
【0010】そこで、本発明は、上記問題点を除去し、
簡単な構造を有することにより、システムの信頼性を高
めることができると共に、故障時の保守が容易であり、
また安価でシステムの構成が可能である静電浮上システ
ムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕静電力を用いた静電浮上システムにおいて、絶縁
基板上に導電体の電極が形成されている固定子と、この
固定子に対向する浮上体と、前記固定子と前記浮上体間
のギャップを検出する近接スイッチと、直流電圧を供給
する電源と、前記固定子の電極への印加電圧のスイッチ
ング動作を行うスイッチング回路とを備え、前記近接ス
イッチからのオン/オフ信号に基づいて前記スイッチン
グ回路で前記電源からの直流電圧を前記固定子の電極に
スイッチングすることにより、前記浮上体を安定浮上さ
せるようにしたものである。
【0012】〔2〕上記〔1〕記載の静電浮上システム
において、前記固定子の電極に直流電圧(オン電圧とオ
フ電圧)をスイッチングすることにより、前記浮上体を
安定浮上させるようにしたものである。 〔3〕上記〔2〕記載の静電浮上システムにおいて、前
記固定子と前記浮上体間のギャップが所定のギャップよ
り広くなったら前記固定子の電極にオン電圧を印加し、
狭くなったらオフ電圧を印加することにより、前記浮上
体を安定浮上させるようにしたものである。
【0013】〔4〕上記〔1〕記載の静電浮上システム
において、前記固定子は絶縁体のディスクからなり、そ
の上に、所定の組の電極が分散配置され、この各組の電
極への電圧は各組間各々独立してスイッチングされるよ
うにしたものである。 〔5〕上記〔4〕記載の静電浮上システムにおいて、前
記各組の電極には異なる値のオン電圧とオフ電圧がスイ
ッチングされるようにしたものである。
【0014】〔6〕上記〔4〕記載の静電浮上システム
において、前記各組の電極には同じ値のオン電圧とオフ
電圧がスイッチングされるようにしたものである。 〔7〕上記〔4〕記載の静電浮上システムにおいて、前
記固定子の各組の電極は二つの電極に構成され、この各
電極には各電極の面積の割合と浮上ギャップに応じて前
記浮上体の電位がゼロボルトとなるような値の直流電圧
がスイッチングされるようにしたものである。
【0015】〔8〕上記〔4〕記載の静電浮上システム
において、前記固定子の各組の電極は、同一面積を有す
る二つの電極に構成され、その二つの電極には互いに反
対極性の同じ絶対値を有する直流電圧が同時にスイッチ
ングされ、前記浮上体の電位がゼロボルトとなるように
したものである。
〔9〕上記〔1〕記載の静電浮上システムにおいて、前
記固定子の上に所定の数の電極が形成され、その内所定
の数の電極には常に一定の電圧を印加し、残りの電極に
は前記電源からの直流電圧をスイッチングすることによ
り前記浮上体を安定浮上させるようにしたものである。
【0016】〔10〕上記〔1〕記載の静電浮上システ
ムにおいて、前記固定子の各組の電極は二つの電極に構
成され、その内一つの電極には常に一定の電圧を印加
し、残り一つの電極には前記電源からの直流電圧をスイ
ッチングすることにより前記浮上体を安定浮上させるよ
うにしたものである。 〔11〕静電力を用いた静電浮上システムにおいて、絶
縁基板上に導電体の電極が形成されている固定子と、こ
の固定子に対向する浮上体と、前記固定子と前記浮上体
間のギャップを検出する変位センサと、ヒステリシス
(不感帯)を有するリレーと、直流電圧を供給する電源
と、前記固定子の電極への印加電圧のスイッチング動作
を行うスイッチング回路とを備え、前記変位センサから
の出力信号を前記ヒステリシス(不感帯)を有するリレ
ーを通して前記スイッチング回路に入力し、前記電極に
前記電源からの直流電圧をスイッチングすることにより
前記浮上体を安定浮上させるようにしたものである。
【0017】〔12〕上記〔11〕記載の静電浮上シス
テムにおいて、前記固定子と前記浮上体間のギャップが
所定の第1のギャップより広くなったら前記固定子の電
極にオン電圧を印加し、所定の第2のギャップ(第2の
ギャップは第1のギャップより小さい)より狭くなった
らオフ電圧を印加することにより印加電圧のスイッチン
グ動作に不感帯を設けるようにしたものである。
【0018】〔13〕上記〔1〕又は〔11〕記載の静
電浮上システムにおいて、前記スイッチング回路はスイ
ッチと反転素子で構成されるようにしたものである。 〔14〕上記〔1〕又は〔11〕記載の静電浮上システ
ムにおいて、前記スイッチング回路はスイッチと抵抗で
構成されるようにしたものである。 〔15〕上記〔1〕又は〔11〕記載の静電浮上システ
ムにおいて、前記スイッチング回路はスイッチで構成さ
れるようにしたものである。
【0019】〔16〕上記〔1〕又は〔11〕記載の静
電浮上システムにおいて、前記浮上体は板状体である。
上記のように、静電力を用いた静電浮上システムにおい
て、従来の厳しい仕様が要求されると共にその構造が複
雑で、また高価であるアナログ式変位センサや、PID
コントローラで代表される制御器や、制御電圧を増幅す
るための高電圧アンプなどを利用せず、オン/オフ信号
だけを出力する近接スイッチと、直流電圧を供給する電
源と、スイッチと反転素子または抵抗だけで構成される
スイッチング回路を用いて浮上体の安定浮上が実現でき
るので、簡単な構造で、また安価でシステムを構成する
ことができる。
【0020】また、プラスティックフィルムや紙のよう
な柔軟な板状体も、その柔軟な程度に応じて電極と、近
接スイッチと、スイッチング回路内のスイッチと反転素
子または抵抗の数を増やすだけで安定浮上が可能とな
る。更に、変位センサと、ヒステリシスを有するリレー
とを付加することにより、スイッチの切り換えの頻度を
低減し、安定浮上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参考しながら詳細に説明する。図1は本発明の
第1実施例を示す静電浮上システム(1自由度モデル)
の概略構成図、図2〜図5はその静電浮上システム(1
自由度モデル)の浮上動作の説明図である。
【0022】まず、図1を用いて本発明の第1実施例を
示す静電浮上システムの構成について説明する。図1に
おいて、10は浮上体に静電力による浮上力を与えるた
めの固定子であり、11aと11bは電極パターン(電
極)、20は浮上体、11cは浮上体の浮上位置を検出
するための近接スイッチであり、この近接スイッチ11
cはオン/オフ機能を有する。40はスイッチング回
路、41a,41b,42a,42bはスイッチ、43
は反転素子、70は直流電圧を供給するための電源を示
している。
【0023】図1に示すように、固定子10は絶縁基板
からなり、その上に、浮上体20に浮上力を与えるため
の導電体の電極11a、11bが形成されている。電極
11aはリング状であり、固定子10の外側に配置され
ている。また、この電極11aの外径は浮上体20の直
径と等しくなっている。電極11bは円形であり、電極
11aとリング状の分離帯を介して固定子10の内側に
配置されている。
【0024】この電極11bの面積は電極11aの面積
と等しくなっており、電極11aと反対極性の電圧が印
加され、浮上体20の電位をゼロボルトに維持するよう
になっている。なお、電極11bには浮上体20の浮上
位置を検出するための近接スイッチ11cが配置されて
いる。また、各電極11a、11bへの電圧は、スルー
ホール(図示なし)を通して、各電極11a,11bの
裏面から供給されるようになっている。
【0025】浮上体20は剛体の円板状体(シリコンウ
エハやガラス板)で、固定子10と対向するように配置
されている。浮上体20の位置は近接スイッチ11cに
よって検出される。この近接スイッチ11cはオン/オ
フ機能だけを有し、固定子10と浮上体20との間のギ
ャップがある閾値(この閾値が浮上目標ギャップとな
る)より狭くなったのか広くなったのかだけを判断す
る。つまり、固定子10と浮上体20との間のギャップ
が浮上目標ギャップより広くなるとこの近接スイッチ1
1cはオン信号(例えば、5V)を出力し、狭くなると
オフ信号(例えば、0V)を出力する。
【0026】このような近接スイッチ11cは、その構
造が非常に簡単であり、また安価である。この近接スイ
ッチ11cからのオン/オフスイッチング信号はスイッ
チング回路40に入力される。スイッチング回路40は
スイッチ41a、41b、42a、42bと反転素子4
3から構成される。この反転素子43は入力信号を反転
させて出力する機能を有する。つまり、近接スイッチ1
1cからのオンスイッチング信号(例えば、5V)は、
この反転素子43を通ってオフスイッチング信号(例え
ば、0V)となり、オフスイッチング信号はオンスイッ
チング信号となる。
【0027】なお、スイッチ41aと41bは近接スイ
ッチ11cからのスイッチング信号により、同時に作動
するようになっており、スイッチ42aと42bは反転
素子43によって反転された近接スイッチ11cからの
スイッチング信号により、同時に作動するようになって
いる。従って、スイッチ41a、41bとスイッチ42
a、42bは逆動作をするようになる。つまり、スイッ
チ41a、41bが閉じた時、スイッチ42a、42b
は開き、スイッチ41a、41bが開いた時、スイッチ
42a、42bは閉じることになる。
【0028】このスイッチング回路40では入力された
スイッチング信号に基づいて各電極11a、11bにオ
ン電圧(±Von)またはオフ電圧(±Voff)を供
給し、浮上体20を安定浮上させる。このオン電圧とオ
フ電圧は直流電圧であり、電源70から作り出される。
オフ電圧としては0Vを選択すれば好都合である。本発
明の全ての実施例ではオフ電圧として0Vを選択した。
【0029】上記実施例では電極11aの面積と電極1
1bの面積が等しい場合について、浮上体20の電位を
0Vに維持するため、電極11aと電極11bとに同じ
絶対値を有し、互いに反対極性の電圧を印加することに
したが、電極11aの面積と電極11bの面積が異なる
場合は、その面積の割合と浮上ギャップに応じて電極1
1aと電極11bへの印加電圧を選択することにより、
浮上体20の電位を0Vに維持することができる。
【0030】次に、上記した1自由度モデルを用いて、
図2〜図5を参照しながら、本発明の第1実施例を示す
静電浮上システムの浮上動作を図2〜図5を用いて説明
する。まず、最初に浮上体20が固定子10と所定の初
期ギャップ(初期位置91)を介して載置台80の上に
置かれている状態で制御を開始すると、図2に示すよう
に、浮上体20と固定子10との間のギャップは目標ギ
ャップ(目標位置90)より広いので近接スイッチ11
cからはオンスイッチング信号(例えば、5V)が出力
される。このオンスイッチング信号はスイッチング回路
40に入力され、スイッチ41a、41bを閉じ、スイ
ッチ42a、42bを開く。すると、電極11aにはオ
ン電圧(+Von)が、電極11bにはオン電圧(−V
on)が印加され、静電力により、浮上体20は固定子
10の方に吸い上げられる。
【0031】次に、浮上体20が固定子10の方に吸い
上げられ、浮上ギャップが目標ギャップ(目標位置9
0)より狭くなると、この狭くなる瞬間、図3に示すよ
うに、近接スイッチ11cからの信号はオンスイッチン
グ信号(例えば、5V)からオフスイッチング信号(例
えば、0V)に切り換わる。このオフスイッチング信号
はスイッチング回路40に入力され、スイッチ41a、
41bを開き、スイッチ42a、42bを閉じる。
【0032】すると、電極11aにはオフ電圧(+Vo
ff、例えば、0V)が、電極11bにはオフ電圧(−
Voff、例えば、0V)が印加され、電極による静電
吸引力はなくなり、浮上体20にはそれ自体の重量だけ
が作用することになる。しかし、浮上体20はその慣性
のため目標ギャップをある程度行き過ぎ、図4に示す浮
上体が目標位置を行き過ぎた時の浮上体の位置92を頂
点に、重量のため固定子10から離れていく。
【0033】続いて、浮上体20が固定子10から離れ
て行き、浮上ギャップが目標ギャップ(目標位置90)
より広くなると、その瞬間、近接スイッチ11cからは
オンスイッチング信号(例えば5V)が出力され、再
び、電極11aにはオン電圧(+Von)が電極11b
にはオン電圧(−Von)が印加される。すると、浮上
体20は、図5に示す浮上体が目標位置を行き過ぎた時
の浮上体の位置93を頂点に、再び静電力により、固定
子10の方に吸い上げられることになる。
【0034】このような過程を繰り返すことにより、浮
上体20は目標ギャップ(目標位置90)近傍で振動す
るようになる。しかし、板状体の浮上体を静電力を用い
て空中に浮上させる静電浮上システムでは、浮上体20
の直径(例えば、200mm)に比べて浮上ギャップ
(例えば、目標ギャップ0.3mm)は非常に小さいの
で、空気のスクイーズフィルム効果により、浮上体20
と電極間の空気の出入りが浮上体20に大きなダンピン
グ力を与える。このダンピング力により、浮上体20の
振動の振幅は減衰され、浮上体20は最終的に安定な浮
上状態(目標位置90)に到達することになる。
【0035】このように、本発明は非常に簡単なシステ
ム構成、かつ非常に安価で、静電力による安定浮上が実
現できる。以上は、本発明の第1実施例を示す静電浮上
システムの構成と浮上動作を説明するため、1自由度モ
デルを用いて説明したが、実際、円板状の浮上体を安定
浮上させるためには浮上体の軸方向とロール、ピッチ運
動を制御しなければならない。そのためには浮上体に少
なくとも3箇所以上で静電力を制御しなければならな
い。
【0036】図6は本発明の第2実施例を示す静電浮上
システムの概略構成図、図7はその静電浮上システムの
固定子の電極面の平面図である。図6において、110
は浮上体に静電力による浮上力を与えるための固定子で
あり、120は浮上体、111c〜113cは浮上体1
20の浮上位置を検出するための近接スイッチ(この近
接スイッチはオン/オフ機能を有する)、141a,1
41b,142a,142b,151a,151b,1
52a,152b,161a,161b,162a,1
62bはスイッチ、143,153,163は反転素
子、170は電源を示している。
【0037】まず、本発明の第2実施例を示す静電浮上
システムの構成について、図6及び図7を用いて説明す
る。図6及び図7に示すように、固定子110は絶縁基
板からなり、その上に、浮上体120に浮上力を与える
ための導電体の電極パターン(電極)111a、111
b、112a、112b、113a、113bが形成さ
れている。
【0038】これらの電極は所定の組に分けられてお
り、各組の電極が各々浮上体に静電力を与えるための一
つのアクチュエータとして働き、また各々独立して制御
されるようになっている。この第2実施例では電極は3
組に分けられている。つまり、電極111aと111b
が一つの組に、112aと112bが一つの組に、電極
113aと113bが一つの組になっている。各組の電
極は形も面積も同じであり、互いに矩形状の分離帯18
0a、180b、180cを介して固定子110の上に
均等に配置されている。
【0039】電極111a、112a、113aは扇状
の中空を持つ扇状であり、その外径は浮上体120の直
径と等しくなっている。電極111b、112b、11
3bは扇状であり、各々電極111a、112a、11
3aの中に分離帯181a、181b、181cを介し
て配置されている。なお、各組を形成する二つの電極
は、その面積が同じであり、互いに反対の極性の電圧が
印加されるようになっており、浮上体120の電位を0
Vに維持するようになっている。
【0040】つまり、電極111aは電極111bとそ
の面積が同じであり、電極112aは電極112bと、
電極113aは電極113bとその面積が同じである。
また、電極111a、112a、113aには正の電圧
〔+Vonまたは+Voff(例えば、0V)〕が、電
極111b、112b、113bには負の電圧(−Vo
nまたは−Voff(例えば、0V)が印加されるよう
になっている。
【0041】なお、電極111b、112b、113b
には、浮上体120の浮上位置を検出するための近接ス
イッチ用穴111d、112d、113dが開いてい
る。また、各電極への電圧はスルーホール(図示なし)
を通して、各電極の裏面から供給されるようになってい
る。浮上体120は剛体の円板状体(シリコンウエハや
ガラス板)で、固定子110と対向するように配置され
ている。
【0042】この固定子110を用いて、1自由度モデ
ルで説明したように、浮上体120を安定浮上させる。
つまり、近接スイッチ111c〜113cによって検出
されたオン/オフスイッチング信号に基づいて、電源1
70から供給された直流電圧を各電極へ供給することに
より、浮上体120を安定浮上させることができる。本
発明の第2実施例では、浮上体120を安定浮上させる
ために分散制御の形を取っている。即ち、電極111
a、111bと近接スイッチ111cとスイッチング回
路140とが一つのモジュールに、電極112a、11
2bと近接スイッチ112cとスイッチング回路150
とが一つのモジュールに、電極113a、113bと近
接スイッチ113cとスイッチング回路160とが一つ
のモジュールになっている。これらの各モジュールは各
々独立して働き、浮上体120に静電力を与えるように
なっている。
【0043】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。図8は本発明の第3実施例を示す静電浮上システム
の固定子の電極面の平面図である。図8に示すように、
固定子210は絶縁基板からなり、その上に、導電体の
電極パターン(電極)211a〜214a、211b〜
214bが形成されている。
【0044】この実施例では電極は4組に分けられてい
る。つまり、電極211aと211bが一つの組に、電
極212aと212bが一つの組に、電極213aと2
13bが一つの組に、電極214aと214bが一つの
組になっており、各々独立して制御されている。各組の
電極は形も面積も同じであり、互いに矩形状の分離帯2
80a、280bを介して固定子210の上に均等に配
置されている。電極211a〜214aは長方形の中空
を持つ長方形状である。
【0045】電極211b〜214bは長方形状であ
り、各々電極211a〜214aの中に分離帯281a
〜281dを介して配置されている。なお、各組を形成
する二つの電極は、その面積が同じであり、互いに反対
の極性の電圧が印加されるようになっている。つまり、
電極211aは電極211bとその面積が同じであり、
212aは電極212bと、電極213aは電極213
bと、電極214aは電極214bとその面積が同じで
ある。また、電極211a〜214aには正の電圧〔+
Vonまたは+Voff(例えば、0V)〕が、電極2
11b〜214bには負の電圧〔−Vonまたは−Vo
ff(例えば、0V)〕が印加されるようになってい
る。
【0046】なお、電極211b〜214bには、浮上
体の浮上位置を検出するための近接スイッチ用穴211
d〜214dが開いている。また、各電極への電圧はス
ルーホール(図示なし)を通して、各電極の裏面から供
給されるようになっている。この固定子210を用い
て、第1実施例と同じ方法で、浮上体としての剛体の長
方形の板状体(ガラス板)を安定に浮上させることがで
きる。
【0047】次に、本発明の第4実施例について説明す
る。図9は本発明の第4実施例を示す静電浮上システム
の固定子の電極面の平面図である。図9に示すように、
固定子310は絶縁基板からなり、その上に、導電体の
電極パターン(電極)311a〜326a、311b〜
326bが形成されている。なお、電極311b〜32
6bには、浮上体の浮上位置を検出するための近接スイ
ッチ用穴311d〜326dが開いている。また、各電
極への電圧はスルーホール(図示なし)を通して、各電
極の裏面から供給されるようになっている。
【0048】この第4実施例では、プラスティックフィ
ルムや紙のような柔軟な板状体を浮上させるために固定
子310の上に多数(この電極の数は板状体の柔軟な程
度による)の電極を配置したことを除けば、その構成や
浮上動作は、前記した第1実施例と略同様である。つま
り、電極311aと311bが一つの組に、電極312
aと312bが一つの組に、・・・、電極326aと3
26bが一つの組になっており、各々近接スイッチ用穴
311d〜326dに設けられている近接スイッチ(図
示なし)からのスイッチング信号に基づいて独立して制
御されている。
【0049】このように、この第4実施例では、固定子
310の上に多数の電極を設け、各電極が各々独立して
制御される分散制御の形を取ることにより、またその電
極の数に比例して近接スイッチと、スイッチング回路内
のスイッチと反転素子の数を増やすだけで柔軟な板状体
を簡単な構造で、かつ安価で安定浮上させることができ
る。
【0050】次に、本発明の第5実施例について説明す
る。図10は本発明の第5実施例を示す静電浮上システ
ムの概略構成図である。この図において、固定子410
の上に形成されている電極パターン(電極)411a〜
413a、411b〜413bは第2実施例(図6と図
7)の固定子110の上に形成されている電極111a
〜113a、111b〜113bと同じ構造を有する
が、第2実施例と異なる点は、スイッチング回路44
0、450、460の構造と各電極への電圧の印加方法
である。
【0051】この第5実施例では、スイッチング回路4
40、450、460において、反転素子と、反転素子
により制御されるスイッチとを無くし、近接スイッチ4
11c〜413cから直接制御されるスイッチ441
a、441b、451a、451b、461a、461
bと抵抗444a、444b、454a、454b、4
64a、464bだけで構成されている。
【0052】次に、本発明の第5実施例を示す静電浮上
システムの各電極への電圧の印加方法について説明す
る。この第5実施例では、電極411a、411bと近
接スイッチ411cとスイッチング回路440とが一つ
のモジュールを(それを第1のモジュルールという)、
電極412a、412bと近接スイッチ412cとスイ
ッチング回路450とが一つのモジュール(それを第2
のモジュールという)を、電極413a、413bと近
接スイッチ413cとスイッチング回路460とが一つ
のモジュール(それを第3のモジュールという)をそれ
ぞれ形成している。
【0053】これらのモジュールは独立して働き、浮上
体420に静電力を与えるようになっている。各電極へ
の電圧の印加方法は、第2実施例(図6)の反転素子1
43、153、163とスイッチ142a、142b、
152a、152b、162a、162bの機能を抵抗
444a、444b、454a、454b、464a、
464bが果たすようにしたことを除けば、第2実施例
と略同様である。
【0054】すなわち、第1のモジュールについて説明
すると、近接スイッチ411cからオンスイッチング信
号(例えば、5V)が出力されるとスイッチ441a、
441bが閉じ、電極411aにはオン電圧(+Vo
n)が、電極411bにはオン電圧(−Von)が印加
され、また近接スイッチ411cからオフスイッチング
信号(例えば、0V)が出力されるとスイッチ441
a、441bが開き、抵抗444a、444bにより電
極411aにはオフ電圧(+Voff、例えば、0V)
が、電極411bにはオフ電圧(−Voff、例えば、
0V)が印加される。第2のモジュールと第3のモジュ
ールについても同様である。なお、470は電源であ
る。
【0055】なお、上記した実施例では浮上体の電位を
0Vに保つため、一組を形成する二つの電極に各々オン
電圧(+Von)とオン電圧(−Von)、またはオフ
電圧(+Voff、例えば、0V)とオフ電圧(−Vo
ff、例えば、0V)を同時に印加するようにしたが、
浮上体の電位を0Vに保つ必要がない場合は、更に、簡
単なシステムを構成することができる。以下、その実施
例について説明する。
【0056】図11は本発明の第6実施例を示す静電浮
上システムの概略構成図である。この図11において、
固定子510の上に形成されている電極パターン(電
極)511a〜513a、511b〜513bは第2実
施例(図6と図7)の固定子110の上に形成されてい
る電極111a〜113a、111b〜113bと同じ
構造を有するが第2実施例と異なる点は、スイッチング
回路540、550、560の構造と各電極への電圧の
印加方法である。
【0057】すなわち、この第6実施例では、電極51
1b、512b、513bには常にオフ電圧Voff
(例えば、0V)が印加され、電極511a、512
a、513aのみに、各々近接スイッチ511c、51
2c、513cからのスイッチング信号に基づいてオン
電圧Vonまたはオフ電圧Voff(例えば、0V)が
印加されるようになっている。なお、570は電源であ
る。
【0058】この第6実施例では電極511a、511
bと近接スイッチ511cとスイッチング回路540と
が一つのモジュールを形成しており(それを第1のモジ
ュールという)、電極512a、512bと近接スイッ
チ512cとスイッチング回路550とが一つのモジュ
ール(それを第2のモジュールという)を、電極513
a、513bと近接スイッチ513cとスイッチング回
路560とが一つのモジュール(それを第3のモジュー
ルという)を形成している。これらのモジュールは各々
独立して働き、浮上体520に静電力を与えるようにな
っている。
【0059】次に、本発明の第6実施例を示す静電浮上
システムの各電極への電圧の印加方法を第1のモジュー
ルについて説明する。固定子510と浮上体520間の
ギャップが目標ギャップより広くなると、近接スイッチ
511cからオンスイッチング(例えば、5V)信号が
出力され、そのオンスイッチング信号によりスイッチ5
41は閉じ、同時にスイッチ542は開くので、電極5
11aにはオン電圧Vonが印加される。
【0060】また、近接スイッチ511cからオフスイ
ッチング信号(例えば、0V)が出力されるとスイッチ
541は開き、スイッチ542は閉じるので、電極51
1aにはオフ電圧Voff(例えば、0V)が印加され
る。第2のモジュールと第3のモジュールについても同
様である。このように電極511b、512b、513
bには常にオフ電圧Voff(例えば、0V)を印加
し、電極511a、512a、513aへの印加電圧だ
けを制御することにより、より簡単な静電浮上システム
を構成することができる。
【0061】図6に示す第2実施例と、この第6実施例
の構成を比較してみると、第6実施例の場合、スイッチ
ング回路内のスイッチの数が半分(12個から6個)に
減り、また電源の数が半分(+Vonと−Von、+V
off、−Voffの4台からVonとVoffの2
台、または+Voff、−Voff、Voffとして0
Vを選択した場合は+Vonと−Vonの2台からVo
nの1台)に減ったことが分かる。
【0062】なお、第5実施例(図10)と同様に反転
素子543、553、563とスイッチ542、55
2、562の代わりに、抵抗を用いることができる。そ
の場合スイッチの数は更に半分(6個から3個)になる
と共に、反転素子は無くなり、より簡単な構造を有する
抵抗だけを追加したことになるのでシステムは更に簡素
化される。なお、551,561はスイッチである。
【0063】更に、常にオフ電圧Voff(例えば、0
V)が印加される電極511b、512b、513b
を、一つの電極にすることができる。以下、その実施例
について説明する。なお、570は電源である。図12
は本発明の第7実施例を示す静電浮上システムの固定子
の電極面の平面図である。
【0064】この図に示すように、固定子610の上に
形成されている電極614には常にオフ電圧Voff
(例えば、0V)が印加され、電極611、612、6
13には各々近接スイッチ用穴611d、612d、6
13dに設置されている近接スイッチ(図示なし)から
のスイッチング信号に基づいて、オン電圧Vonまたは
オフ電圧Voff(例えば、0V)が印加されるように
なっている。
【0065】なお、以上で列挙した本発明の第1実施例
〜第7実施例では、浮上目標ギャップを閾値として浮上
体がこの目標ギャップを通った瞬間、近接スイッチから
のスイッチング信号は切り換わり(オンスイッチング信
号からオフスイッチング信号へ、またはオフスイッチン
グ信号からオンスイッチング信号へ)、また、その近接
スイッチからのスイッチング信号により、スイッチング
回路内のスイッチも切り換わるので、浮上体が目標ギャ
ップに達してから、その目標ギャップの近傍で微小な振
動が続くとき、スイッチはその振動に同期して頻繁に切
り換わり、そのスイッチの寿命が短縮される。
【0066】本発明の第8実施例の静電浮上システムで
は、この問題点を解決し、浮上体が目標ギャップ近傍
で、ある程度振動しても良い場合には、変位センサと、
ヒステリシス(不感帯)を有するリレーを用いることに
より、スイッチの寿命を延長させることができる。以
下、その実施例について説明する。
【0067】図13は本発明の第8実施例を示す静電浮
上システムの概略構成図である。この図において、固定
子710の上に形成されている電極パターン(電極)7
11a〜713a、711b〜713bは第2実施例
(図6と図7)の固定子110の上に形成されている電
極111a〜113a、111b〜113bと同じ構造
を有する。第2実施例と異なる点は、近接スイッチの代
わりに変位センサ711e、712e、713eを用
い、この変位センサ711e、712e、713eから
のアナログ信号をヒステリシス(不感帯)を有するリレ
ー711f、712f、713fを通ってスイッチング
回路740、750、760にスイッチング信号として
入力する点である。
【0068】この第8実施例では電極711a、711
bと変位センサ711eとリレー711fとスイッチン
グ回路740とが一つのモジュールを形成しており(そ
れを第1のモジュール1という)、電極712a、71
2bと変位センサ712eとリレー712fとスイッチ
ング回路750とが一つのモジュール(それを第2のモ
ジュールという)を、電極713a、713bと変位セ
ンサ713eとリレー713fとスイッチング回路76
0とが一つのモジュール(それを第3のモジュール3と
いう)を形成している。これらのモジュールは各々独立
して働き、浮上体720に静電力を与えるようになって
いる。
【0069】この第8実施例の各電極への電圧の印加方
法を第1のモジュールについて説明する。固定子710
と浮上体720間のギャップが目標ギャップよりH1よ
り広くなるとその瞬間、リレー711fからはオンスイ
ッチング信号(例えば、5V)が出力され、スイッチ7
41a、741bが閉じると共に、スイッチ742a、
742bが開き、電極711aにはオン電圧(+Vo
n)が、電極711bにはオン電圧(−Von)が印加
される。
【0070】また、固定子710と浮上体720間のギ
ャップが目標ギャップよりH2より狭くなるとその瞬
間、リレー711fからはオフスイッチング信号(例え
ば、0V)が出力され、スイッチ741a、741bが
開くと同時に、スイッチ742a、742bが閉じ、電
極711aにはオフ電圧(+Voff、例えば、0V)
が、電極711bにはオフ電圧(−Voff、例えば、
0V)が印加される。ここでリレーに設定される(H1
+H2)が不感帯の幅を示しており、この不感帯の幅が
浮上体の振動の振幅の大きさと関係している。この不感
帯の幅が大きい程、振動の振幅の大きさは大きくなる。
反面、スイッチの切り換えの頻度が少なくなることは言
うまでもない。第2のモジュールと第3のモジュールに
ついても同様である。
【0071】なお、この第8実施例も第5実施例(図1
0)と同様にスイッチ742a、742b、752a、
752b、762a、762bと反転素子743、75
3、763の代わりに抵抗を用いることができる。ま
た、第6実施例(図11)のように電極711b、71
2b、713bには、常にオフ電圧(Voff、例え
ば、0V)を印加し、電極711a、712a、713
aへの印加電圧だけを制御することができることは言う
までもない。
【0072】更に、第7実施例(図12)のように、電
極711b、712b、713bを一つの電極にし、そ
の電極に常にオフ電圧(Voff、例えば、0V)を印
加し、電極711a、712a、713aへの印加電圧
だけを制御することができることは言うまでもない。な
お、751a,751b,761a,761bはスイッ
チ、770は電源である。
【0073】上記の第1〜第8実施例では、浮上体とし
て円形か長方形の剛体の板状体を用いて説明したが、そ
れ以外の形状を持つものでも、それが板状体であれば、
その形状に合わせて本発明の趣旨に基づいた電極パター
ンを工夫することにより、浮上体を安定浮上させること
ができることは言うまでもない。また、上記の第1〜第
5実施例と第8実施例において、各組を形成する二つの
電極はその面積が同じで、その二つの電極には同じ絶対
値を有する反対極性の電圧がスイッチングされ、浮上体
の電位を常に0Vに維持すると説明したが、二つの電極
の面積が異なる場合には各電極の面積の割合と浮上ギャ
ップなどに応じて各電極への印加電圧を異なる値にする
ことにより、浮上体の電位を0Vに維持することができ
る。
【0074】更に、上記の第1〜第8実施例において、
オフ電圧としては0Vを用いたが、場合によっては0V
以外の電圧を用いることもできる。また、近接スイッ
チ、または変位センサを浮上体の下方に配置する方法も
本発明から排除されるものではない。なお、上記第1〜
第8実施例は静電浮上システムの一例に過ぎず、多種多
様な浮上体の静電浮上に適用が可能であることは言うま
でもない。
【0075】また、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能で
あり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0076】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、従来の静
電浮上システムでは、浮上体を安定浮上させるためにア
ナログ式の変位センサ、PIDコントローラで代表され
る制御器、制御電圧を増幅するための高電圧アンプが必
要であり、しかも、変位センサと制御器と高電圧アンプ
はいずれも厳しい仕様が要求され、また、その構造が複
雑であるので、システムの信頼性が低下し、故障時の保
守が容易ではないと共に、高価であったが、本発明によ
れば、オン/オフ信号だけを出力する近接スイッチと、
直流電圧を供給する電源と、スイッチと反転素子または
抵抗だけで構成されるスイッチング回路を用いて浮上体
の安定浮上が実現できるので、システムの構造が簡単で
あることにより、システムの信頼性を高めることができ
ると共に、故障時の保守が容易であり、また、安価でシ
ステムの構成が可能である。
【0077】また、プラスティックフィルムや紙などの
ような柔軟な板状体も、簡単な構造を有する近接スイッ
チと、スイッチング回路内のスイッチと反転素子または
抵抗の数を増やすだけで、安定な浮上が実現できる。更
に、変位センサと、ヒステリシス(不感帯)を有するリ
レーとを付加することにより、スイッチの切り換えの頻
度を低減し、安定浮上させることができる。
【0078】本発明は、光学機器や液晶ディスプレイ製
造工程をはじめ、半導体製造工業、精密機械工業などの
分野において、簡単な構造を有する非接触位置決め機構
や搬送機構として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す静電浮上システム
(1自由度モデル)の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す静電浮上システム
(1自由度モデル)の浮上動作(その1)の説明図であ
る。
【図3】本発明の第1実施例を示す静電浮上システム
(1自由度モデル)の浮上動作(その2)の説明図であ
る。
【図4】本発明の第1実施例を示す静電浮上システム
(1自由度モデル)の浮上動作(その3)の説明図であ
る。
【図5】本発明の第1実施例を示す静電浮上システム
(1自由度モデル)の浮上動作(その4)の説明図であ
る。
【図6】本発明の第2実施例を示す静電浮上システムの
概略構成図である。
【図7】本発明の第2実施例を示す静電浮上システムの
固定子の電極面の平面図である。
【図8】本発明の第3実施例を示す静電浮上システムの
固定子の電極面の平面図である。
【図9】本発明の第4実施例を示す静電浮上システムの
固定子の電極面の平面図である。
【図10】本発明の第5実施例を示す静電浮上システム
の概略構成図である。
【図11】本発明の第6実施例を示す静電浮上システム
の概略構成図である。
【図12】本発明の第7実施例を示す静電浮上システム
の固定子の電極面の平面図である。
【図13】本発明の第8実施例を示す静電浮上システム
の概略構成図である。
【図14】従来の静電浮上システムの概略構成図であ
る。
【符号の説明】
10,110,210,310,410,510,61
0,710 固定子 11a,11b,111a〜113a,111b〜11
3b,211a〜214a,211b〜214b,31
1a〜326a,311b〜326b,411a〜41
3a,411b〜413b,511a〜513a,51
1b〜513b,611〜614,711a〜713
a,711b〜713b 電極パターン(電極) 11c,111c〜113c,411c〜413c,5
11c〜513c近接スイッチ 20,120,420,520,720 浮上体 40,140,150,160,440,450,46
0,540,550,560,740,750,760
スイッチング回路 41a,41b,42a,42b,141a,141
b,142a,142b,151a,151b,152
a,152b,161a,161b,162a,162
b,441a,441b,451a,451b,461
a,461b,541,542,551,552,56
1,562,741a,741b,742a,742
b,751a,751b,752a、752b、761
a,761b,762a,762b スイッチ 43,143,153,163,543,553,56
3,743,753,763 反転素子 70,170,470,570,770 直流電圧を
供給するための電源 80 載置台 90 目標位置 91 初期位置 92,93 浮上体が目標位置を行き過ぎた時の浮上
体の位置 111d〜113d,211d〜214d,311d〜
326d ,611d〜613d 近接スイッチ用穴 180a〜180c,181a〜181c,280a,
280b,281a〜281d 分離帯 444a,444b,454a,454b,464a,
464b 抵抗 711e〜713e 変位センサ 711f〜713f ヒステリシス(不感帯)を有す
るリレー

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電力を用いた静電浮上システムにおい
    て、(a)絶縁基板上に導電体の電極パターンが形成さ
    れている固定子と、(b)該固定子に対向する浮上体
    と、(c)前記固定子と前記浮上体間のギャップを検出
    する近接スイッチと、(d)直流電圧を供給する電源
    と、(e)前記固定子の電極パターンへの印加電圧のス
    イッチング動作を行うスイッチング回路とを備え、
    (f)前記近接スイッチからのオン/オフ信号に基づい
    て前記スイッチング回路で前記電源からの直流電圧を前
    記固定子の電極パターンにスイッチングすることによ
    り、前記浮上体を安定浮上させることを特徴とする静電
    浮上システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子の電極パターンに直流電圧(オン電圧と
    オフ電圧)をスイッチングすることにより、前記浮上体
    を安定浮上させることを特徴とする静電浮上システム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子と前記浮上体間のギャップが所定のギャ
    ップより広くなったら前記固定子の電極パターンにオン
    電圧を印加し、狭くなったらオフ電圧を印加することに
    より、前記浮上体を安定浮上させることを特徴とする静
    電浮上システム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子は絶縁体のディスクからなり、その上
    に、所定の組の電極パターンが分散配置され、該各組の
    電極パターンへの電圧は各組間各々独立してスイッチン
    グされることを特徴とする静電浮上システム。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の静電浮上システムにおい
    て、前記各組の電極パターンには異なる値のオン電圧と
    オフ電圧がスイッチングされることを特徴とする静電浮
    上システム。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の静電浮上システムにおい
    て、前記各組の電極パターンには同じ値のオン電圧とオ
    フ電圧がスイッチングされることを特徴とする静電浮上
    システム。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子の各組の電極パターンは二つの電極パタ
    ーンに構成され、該各電極パターンには各電極パターン
    の面積の割合と浮上ギャップに応じて前記浮上体の電位
    がゼロボルトとなるような値の直流電圧がスイッチング
    されることを特徴とする静電浮上システム。
  8. 【請求項8】 請求項4記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子の各組の電極パターンは、同一面積を有
    する二つの電極パターンに構成され、該二つの電極パタ
    ーンには互いに反対極性の同じ絶対値を有する直流電圧
    が同時にスイッチングされ、前記浮上体の電位がゼロボ
    ルトとなるようにすることを特徴とする静電浮上システ
    ム。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の静電浮上システムにおい
    て、前記固定子の上に所定の数の電極パターンが形成さ
    れ、その内所定の数の電極パターンには常に一定の電圧
    を印加し、残りの電極パターンには前記電源からの直流
    電圧をスイッチングすることにより前記浮上体を安定浮
    上させることを特徴とする静電浮上システム。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の静電浮上システムにお
    いて、前記固定子の各組の電極パターンは二つの電極パ
    ターンに構成され、その内一つの電極パターンには常に
    一定の電圧を印加し、残り一つの電極パターンには前記
    電源からの直流電圧をスイッチングすることにより前記
    浮上体を安定浮上させることを特徴とする静電浮上シス
    テム。
  11. 【請求項11】 静電力を用いた静電浮上システムにお
    いて、(a)絶縁基板上に導電体の電極パターンが形成
    されている固定子と、(b)該固定子に対向する浮上体
    と、(c)前記固定子と前記浮上体間のギャップを検出
    する変位センサと、(d)ヒステリシスを有するリレー
    と、(e)直流電圧を供給する電源と、(f)前記固定
    子の電極パターンへの印加電圧のスイッチング動作を行
    うスイッチング回路とを備え、(g)前記変位センサか
    らの出力信号を前記ヒステリシスを有するリレーを通し
    て前記スイッチング回路に入力し、前記電極パターンに
    前記電源からの直流電圧をスイッチングすることにより
    前記浮上体を安定浮上させることを特徴とする静電浮上
    システム。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の静電浮上システムに
    おいて、前記固定子と前記浮上体間のギャップが所定の
    第1のギャップより広くなったら前記固定子の電極パタ
    ーンにオン電圧を印加し、所定の第2のギャップ(第2
    のギャップは第1のギャップより小さい)より狭くなっ
    たらオフ電圧を印加することにより印加電圧のスイッチ
    ング動作に不感帯を設けることを特徴とする静電浮上シ
    ステム。
  13. 【請求項13】 請求項1又は11記載の静電浮上シス
    テムにおいて、前記スイッチング回路はスイッチと反転
    素子で構成されることを特徴とする静電浮上システム。
  14. 【請求項14】 請求項1又は11記載の静電浮上シス
    テムにおいて、前記スイッチング回路はスイッチと抵抗
    で構成されることを特徴とする静電浮上システム。
  15. 【請求項15】 請求項1又は11記載の静電浮上シス
    テムにおいて、前記スイッチング回路はスイッチで構成
    されることを特徴とする静電浮上システム。
  16. 【請求項16】 請求項1又は11記載の静電浮上シス
    テムにおいて、前記浮上体は板状体であることを特徴と
    する静電浮上システム。
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