JPH09317659A - ロータリ型ポンプ - Google Patents

ロータリ型ポンプ

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JPH09317659A
JPH09317659A JP8137330A JP13733096A JPH09317659A JP H09317659 A JPH09317659 A JP H09317659A JP 8137330 A JP8137330 A JP 8137330A JP 13733096 A JP13733096 A JP 13733096A JP H09317659 A JPH09317659 A JP H09317659A
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rotor
working chamber
housing
communication passage
recess
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JP8137330A
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Inventor
Shoji Morita
正二 盛田
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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Unisia Jecs Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポンプ効率の向上と、構造の簡素化を図ると
共に、ロータの挙動の安定化を得て振動及び振動騒音の
低減化を図る。 【解決手段】 ハウジングのトロコイド面6に沿って回
転運動するロータ5を、駆動軸4の外周に有するエキセ
ントリックカラー10を介し回転させることにより、連
通路20を介して各作動室16a〜16dの容積を変化
させてポンプ作用を行う。前記連通路20の形状を、第
1作動室16aと第4作動室16dの容積がほぼ同一と
なるロータ5の回転位置において、該ロータ5の両頂部
5a,5b間の外周形状とほぼ同一に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の潤
滑油や作動油のオイルポンプとして用いられるロータリ
型ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、自動車用内燃機関へ潤滑
油を供給したり、パワーステアリングへ作動油を供給す
るオイルポンプとしては、内接式ギアポンプやプランジ
ャポンプ等、種々のものが存在している。
【0003】ところで、一般に自動用内燃機関として
は、いわゆるレシプロエンジンの他に、トロコイド曲面
をロータが摺接しながら1回転運動を行う毎に吸入,圧
縮,膨張,排気の4行程が連続して行われるバンケル形
のロータリエンジンが知られている(実開昭62−40
202号,実開昭64−15726号公報等参照)。
【0004】このバンケル形ロータリエンジンの概略を
説明すれば、内周面にペリトロコイド面を有するロータ
リハウジングの両側面にサイドハウジングが設けられて
いると共に、ロータリハウジングの内部にはほぼ三角形
状のロータがペリトロコイド曲面に摺接しながら回動自
在に収納されており、このロータ外周面とペリトロコイ
ド曲面との間に3つの作動室が形成されている。また、
両サイドハウジングを貫通したクランクシャフトである
出力軸の所定外周面には、中心が該出力軸の軸心と偏心
した円板状のエキセントリック部が一体に設けられてお
り、このエキセントリック部の外周でロータの内周面が
軸受けされている。さらに、一方のサイドハウジングの
出力軸貫通孔の内周面には小径な固定歯車が作動室内に
臨んで固着されている一方、ロータの一端側内周面に固
定歯車を噛合するロータ歯車が形成されている。
【0005】また、前記ロータリハウジングは、一側部
に吸気ポートと排気ポートが並行に形成されていると共
に、その反対側に一対の点火プラグが取り付けられてい
る。
【0006】そして、エンジン始動後のロータの回転に
伴いエキセントリック部及び出力軸が回転すると共に、
ロータ歯車が固定歯車とかみ合って回転することによ
り、ロータの頂点がロータハウジングの基本曲線である
ペリトロコイド曲線を画いて回転運動をしながら、動力
を出力軸に伝達する。すなわち、ロータの回転に伴い吸
気ポートが開き、吸入行程が始まり、2つの作動室の容
積が徐々に大きくなって最大となった時点で、吸気ポー
トが自動的に閉成される。その後、該作動室内の混合気
が圧縮され、圧縮上死点付近で点火されて膨張行程に移
行する。次に、膨張行程を経た後、排気ポートが開き、
排気行程が完了した後、再び吸入行程に移行する。これ
によって、ロータの1回転ごとに出力軸が3回転して、
該出力軸に動力が伝達されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような4行程1サ
イクルのロータリエンジンは、動力効率が非常に高いた
め、近時、該ロータリエンジンの基本構造を自動車等の
オイルポンプに応用することも考えられている。しか
し、ロータリエンジンは、混合気等の圧縮性流体を対象
とし、該圧縮性流体の圧縮行程や膨張行程つまり作動室
の容積変化によってエンジンとして機能するようになっ
ているため、オイル等の非圧縮性流体を対象とするオイ
ルポンプにそのまま応用することは不可能である。つま
り、作動室の大きな容積変化による非圧縮性流体の圧
縮,膨張作用が不可能であるため、オイルポンプには適
用することができないのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ロータリエン
ジンの基本構成を利用した例えばオイルポンプを実用化
するに際し、非圧縮性流体を対象にすることにより生じ
る不具合点を解消することにより、ポンプへの適用化を
可能にしたものである。すなわち、請求項1記載の発明
は、一端面にほぼまゆ状の凹部が形成されたハウジング
と、該凹部の一端開口を閉塞するカバーと、ハウジング
の凹部内に回転自在に収納され、各頂部が前記凹部の内
周面に形成されたトロコイド曲面に沿って回転運動する
ほぼ三角形状のロータと、前記ハウジングおよびカバー
に貫通配置され、偏心部材を介して前記ロータに回転力
を伝達する駆動軸と、前記トロコイド曲面とロータ外周
面との間に形成された複数の作動室と、ロータの回転に
伴う圧縮行程中に容積が減少する一の作動室内の非圧縮
流体を、ロータの回転方向に隣接位置する膨張行程中の
他の作動室に流入させる連通路とを備えたロータリ型ポ
ンプであって、前記連通路の形状を、前記圧縮行程中の
一の作動室と膨張行程中の他の作動室との各容積が等し
くなるロータの回転位置における該ロータの両頂部間の
外周形状とほぼ同一に形成したことを特徴としている。
【0009】請求項2記載の発明は、前記連通路を、カ
バーの内端面に形成したことを特徴としている。
【0010】請求項3記載の発明は、前記連通路を、三
ケ月状に形成すると共に、全体を均一巾に設定したこと
を特徴としている。
【0011】したがって本発明によれば、吸入行程後の
圧縮行程時時に、ロータの回転に伴い一の作動室の容積
が減少すると同時に該作動室とロータの回転方向で隣接
する他の作動室が連通路を介して連通するため、容積減
少した一の作動室内の非圧縮流体が他の作動室内に流入
して、容積の減少変化を吸収する。これによって、オイ
ルポンプとしての適用化が可能になる。
【0012】しかも、連通路の形状を、ロータの両頂点
を結ぶ円弧面とほぼ同一の三ケ月状に形成したため、ロ
ータの回転位置により圧縮行程中の一の作動室の容積と
膨張行程中の隣接する他の作動室の容積が同一になった
際に、該連通路側のロータの回転位置の前後に発生する
圧縮量と膨張量が均一になる。この結果、前記両作動室
内のロータに対する局部的な高圧や低圧の発生を防止で
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1及び図2は本発明に係るロー
タリ型ポンプの一実施例を示し、内燃機関のシリンダブ
ロック等に固定されたハウジング1と、該ハウジング1
の一端部に平ボルト3によって固定されてハウジング1
内部に形成されたまゆ状の凹部1bの一端開口を閉塞す
るカバー2と、ハウジング1とカバー2の各中央部に有
する貫通孔1a,2a内に挿通配置された駆動軸4と、
前記ハウジング1内部の凹部1bとカバー2とで画成さ
れた内部に回転自在に収納されたほぼ三角形状のロータ
5とを備えている。
【0014】前記ハウジング1は、凹部1bの内周面が
まゆ状のトロコイド曲面6に形成されていると共に、カ
バー2と反対側の内周部外面に筒状の突起部7が一体に
設けられている。また、前記トロコイド曲面6は、上下
方向の中央両側に内方へ膨出した節部6a,6bを有し
ている。さらに、前記ハウジング1には、図1及び図4
〜図7に示すように一側壁内の前記節部6aを挟んだ上
下位置に凹部1bに連通する下側の吸入ポート18と上
側の吐出ポート19が略水平方向に沿って貫通形成され
ている。
【0015】前記カバー2は、比較的肉厚な外形がハウ
ジング1と同じ矩形状に形成され、図外の位置決めピン
によってハウジング1に位置決め固定されている。
【0016】前記駆動軸4は、図外の内燃機関のクラン
クシャフトに直結されて、該クランクシャフトと1対1
の回転比で回転するようになっていると共に、外周面に
偏心部材であるエキセントリックカラー10が固定され
ている。すなわち、この駆動軸4とエキセントリックカ
ラー10は別体に形成され、このエキセントリックカラ
ー10が駆動軸4の外周面凹溝に長手方向に配置された
キー11によって固定されている。また、駆動軸4の先
端部4aには、駆動プーリ12が軸方向から螺着したボ
ルト13によって固定されている一方、駆動軸4の基端
側段差部4bには、歯車部14が固定されている。
【0017】前記駆動プーリ12は、本体の内周部に駆
動軸4の外周に被嵌する筒部12aを有していると共
に、タイミングベルトを介して駆動軸4に回転力を伝達
するようになっている。尚、ハウジング1の突起部7と
駆動プーリ12の筒部12aとの間にはシール部材15
が介装されている。
【0018】前記エキセントリックカラー10は、図2
及び図4〜7にも示すように駆動軸4の外周面に被嵌す
る筒状部10aと、該筒状部10aの駆動プーリ12側
外周面に一体に形成された偏心板10bとからなり、そ
の中心Pが駆動軸4の軸心Xからε分だけ偏心してい
る。また、前記筒状部10aは、前後端部がハウジング
1の挿通孔1aとカバー2の挿通孔2aまで延設され
て、前端部が駆動プーリ12の筒部12aの端縁に、後
端部が歯車部14の端面に夫々当接して軸方向の位置決
めがされている。また、偏心板10bには、重量回転バ
ランスを取るための肉抜き部である大小複数の孔Hが周
方向に配置されている。
【0019】前記ロータ5は、その厚さ巾がハウジング
1の凹部1bの巾よりも若干小さく設定され、各頂部5
a〜5c間の円弧状外面5f,5g,5hとトロコイド
面6との間に基本的に3つの作動室16a,16b,1
6cを形成していると共に、各頂部5a〜5cがトロコ
イド曲面6に沿ってペリトロコイド曲線を画きながら回
転運動を行うようになっている。また、ロータ5の中央
には、図2に示すように円形孔が形成されており、この
円形孔の内周面5dが前記エキセントリックカラー10
の偏心板10bの外周面に嵌合支持されて、該偏心板1
0bから内周面5dを介してロータ5に回転力が伝達さ
れるようになっている。
【0020】そして、前記カバー2は、ハウジング1の
前記吸入,吐出ポート18,19と反対側の側壁の内部
に圧縮行程時に容積が減少する第1作動室16aと該第
1作動室16aにロータ5回転方向の隣接する第2作動
室16bとを連通する連通路20が形成されている。
【0021】この連通路20は、図1にも示すようにほ
ぼ三ケ月形状に折曲形成されて、一端部20aはロータ
5の回転に伴い一つの頂部5bが他側壁側のトロコイド
曲面6に対向している状態で隔成される第1作動室16
aに連通配置され、他端部20bは第2作動室16b
(第4作動室16d)に連通配置されるように形成され
ている。該連通路20の具体的形状を説明すれば、ロー
タ5の所定回転位置つまり図1に示すように圧縮行程の
終了直前において、ロータ5の両頂部5a,5b間の円
弧面5fのほほ中央が節部6bに対向して圧縮状態にあ
る第1作動室16aと該第1作動室16aに隣接して形
成された膨張状態にある第4作動室16dとの容積が等
しくなった位置でのロータ5の円弧面5fとほぼ同一形
状に形成されて、くさび形状の一端部20aと他端部2
0bの外端縁形状がロータ5の各頂部5a,5bの外形
に合致する形状になっている。
【0022】また、前記カバー2とロータ5との間に
は、図2及び図3〜7に示すように該ロータ5をトロコ
イド曲面6に沿って回転案内する案内手段が設けられて
いる。この案内手段は、ハウジング1の凹部1b底面外
周側に形成された無端状のガイド溝8と、ロータ5の前
記ハウジング凹部1b底面側の一側面5eに形成された
有底状の3つのピン保持溝17と、該ピン保持溝17内
に圧入固定されたガイドピン9とから構成されている。
【0023】前記ガイド溝8は、図2〜図7に示すよう
に横断面ほぼ矩形状を呈し、トロコイド曲面6に沿って
まゆ形状に切欠形成されている。また、前記各ピン保持
溝17は、有底円柱状を呈し、ロータ5一側面5eの頂
部5a,5b,5c付近つまり各頂部5a〜5cの頂点
とロータ5の中心Pを結ぶ線上でかつ頂点5a〜5c近
傍に配置形成されて、ガイド溝8に対向している。さら
に、金属製のガイドピン9は、基端部9aが各ピン保持
溝17内に圧入固定されていると共に、先端部9bがガ
イド溝8内に摺動自在に嵌挿している。
【0024】また、前記ガイド溝8とガイドピン9の先
端部9b外周面との間には、図3に示すように円環状の
クリアランスC1が径方向に形成されており、このクリ
アランスC1はロータ5の外周面とトロコイド曲面6と
の間に形成されたクリアランスC2よりも小さく設定さ
れている。すなわち、ガイド溝8に対するガイドピン9
の円滑な摺動性を確保するために該両者8,9間にクリ
アランスC1が形成され、一方、ロータ5の外周面とト
ロコイド曲面6との間には、該ロータ5の自由な回転運
動を確保するために、クリアランスC2が形成されてい
るが、本実施例では、ロータ5の案内手段としてのガイ
ド溝8とガイドピン9との間のクリアランスC1を前記
クリアランスC2よりも径方向で小さく設定したもので
ある。このため、ロータ5は、案内手段によって正規な
回転方向に案内されるが、駆動軸を中心とした正逆の自
由な回転規制され、つまりはロータ5の径方向の自由移
動が規制されて、ロータ5の外周面とトロコイド曲面6
との間に形成されクリアランスC2が、前記トロコイド
曲面6に沿った均一な巾に形成される。
【0025】以下、本実施例の作用を説明すれば、駆動
プーリ12を介して駆動軸4が回転駆動すると、エキセ
ントリックカラー10も同期回転して外周面とロータ内
周面5dを介してロータ5に回転力を伝達する。このた
め、該ロータ5は、案内手段の各ガイドピン9の先端部
9bがガイド溝8内を摺動しながらスムーズに案内され
てトロコイド曲線に沿って回転運動する。
【0026】このとき、予め吸入ポート18に連通した
例えば第1作動室16a内に潤滑油が吸入されて、ロー
タ5の回転により最大容積となった第1作動室16a内
に潤滑油が満たされて、そのまま圧縮行程に移行する。
そして、図4に示すように圧縮行程が開始(第1作動室
16aの容積減少開始)すると同時に、第1作動室16
aが連通路20によって第2作動室16bと連通するた
め、第1作動室16a内の潤滑油が連通路20を通って
第2作動室16b内に流入して、第1作動室16aの移
行に伴う容積減少を許容する。
【0027】さらに、ロータ5が回転して図5に示すよ
うに吐出ポート19を開成して第2作動室16bが連通
すると、該第2作動室16b内の潤滑油は吐出ポート1
9から外部に吐出される。同時に、第1作動室16aの
容積が漸次減少すると共に、節部6bを挟んだ第1作動
室16aの反対側に膨張行程が開始した第4作動室16
dが創成されて漸次容積が増加する。但し、この時点で
は、連通路20の両端部20a,20bが開成されてい
るので、第1作動室16a内の潤滑油は連通路20を通
って第2作動室16b内に流入している。
【0028】そして、ロータ5がさらに回転して図6に
示す位置になると、第1,第4作動室16a,16dの
容積が同一になると共に、ロータ5の両頂部5a,5b
が連通路20の両端部20a,20bに合致して該両端
部20a,20bを閉塞する。したがって、この時点で
は第1作動室16aから第2作動室16bへの潤滑油の
流入が阻止される。
【0029】また、ロータ5がさらに回転して図7に示
す回転位置になると、連通路20の他端部20bが開成
されて、第3作動室16cを介して吸入ポート18に連
通する。一方、第4作動室16dの容積が増加して第1
作動室16aより大きくなり、つまり第1作動室16a
から送り出される潤滑油量よりも第4作動室16dの容
積が大きくなって、該容積に対する第1作動室16aか
らの潤滑油の流入量が不足するが、前記吸入ポート18
から第3作動室16cに流入した潤滑油が連通路20を
通って、第4作動室16dに流入して不足分を補う。そ
の後、ロータ5の回転に伴い第4作動室16dがさらに
膨張して第2作動室16bに変換されて吐出行程に移行
する。したがって、前記図4〜図7に示す一連の吸入,
圧縮,膨張,吐出行程が繰り返し行われることによりス
ムーズなポンプ作用が営まれる。
【0030】このように、本実施例によれば、ロータリ
エンジンの基本構造に若干の改良を加えることによっ
て、ロータリ型のオイルポンプを実用化することが可能
になったため、各作動室16a〜16cの容積増加に伴
いロータ5の1回転当たりの吐出量を増加させることが
でき、ポンプ効率の向上が図れる。つまり、各作動室1
6a〜16cの最大容積が他の内接式ギアポンプなどに
比較して大きいため、1回の吐出量が多くなる。この結
果、従前のオイルポンプと同一のポンプ容量であれば、
全体の構造を十分に小さくすることが可能になり、ポン
プのコンパクト化と軽量化が図れる。
【0031】また、従前のポンプに比較して構造が簡単
であるため、製造作業能率の向上とコストの大巾な低廉
化が図れる。
【0032】しかも、かかる一連のポンプ作動中におい
て、前述のようにロータ5の回転に伴う圧縮,膨張行程
中の第1作動室16aと第4作動室16dの容積が夫々
相対的に変化した場合に、各作動室16a,16dに対
する潤滑油の不足分が速やかに補われ、また、両作動室
16a,16dの容積がほぼ同一になった際には、ロー
タ5が連通路20の両端部20a,20bを閉塞するた
め、ロータ5の回転位置の前後に発生する圧縮量と膨張
量の不均一化が回避されて、局部的な高圧域と低圧域の
発生が防止される。この結果、ロータ5はかかる圧力変
動に伴う不安定な挙動が防止されて、常時円滑な回転作
用が得られる。したがって、ポンプ作動中における振動
や振動騒音の発生が抑制される。
【0033】また、本実施例では、歯車に代えて主とし
てガイド溝8及びピン保持溝17に保持された各ガイド
ピン9をロータ5の案内手段として構成したため、構造
の大巾な簡素化と部品点数の削減が図れる。このため、
案内手段の製造作業能率の向上とコストの低廉化が図れ
る。
【0034】また、前述のようにガイド溝8と各ガイド
ピン9との間のクリアランスC1を、ロータ5とトロコ
イド曲面6との間のクリアランスC2よりも小さく設定
したため、前述のように、ロータ5は駆動軸4を中心と
した正逆自由な回転をクリアランスC1の小さいガイド
ピン9で規制されて、クリアランスC2は均一な巾に形
成されることになる。したがって、回転運動中における
ロータ5は、外周面がトロコイド曲面6に直接摺接する
ことなく、いずれの部位においても常に非接触状態で回
転する。このため、ロータ5とトロコイド曲面6との摺
動摩耗の発生が防止される。
【0035】この結果、ポンプの耐久性が大幅に向上す
ると共に、ロータ5外周面やトロコイド曲面6に耐摩耗
材を施したり、ロータ5やハウジング1全体を耐摩耗材
で形成する必要がなくなる。このため、ポンプの製造や
材料コストの高騰を抑制することができる。
【0036】また、ガイド溝8とガイドピン9とは摺接
するため、ここに摩耗の発生するおそれがあるが、夫々
の外表面はロータ5外周面やトロコイド曲面6に比較し
て極めて小さいので、ここに耐摩耗材を施したり、ガイ
ドピン9全体を耐摩耗材で形成したとしても、製造,材
料コストの大巾な高騰を招来しない。
【0037】また、ここで、ロータ5外周面とトロコイ
ド曲面6との間にクリアランスC2が形成されて常に非
接触状態となるため、このクリアランスC2から油がリ
ークしてポンプ効率に影響するようにも考えられるが、
本発明はエンジン潤滑油やパワーステアリング用の作動
油等の非圧縮性の粘性流体を対象としており、しかも他
のプランジャポンプ等におけるシリンダとピストンとの
間のクリアランスと同様な大きさであるからポンプ効率
に影響を与えることはない。
【0038】さらに、本実施例では従来例のような歯車
を取り付けるためのスペースが全く不要になるため、ポ
ンプの小型化と軽量化が図れる。
【0039】また、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、例えば案内手段のガイド溝8をカバ
ー2の内側面にトロコイド曲面6に沿って形成すると共
に、ロータ5に3つのピン保持溝17を形成し、ここに
各ガイドピン9を圧入固定し、さらにこのガイドピン9
とガイド溝との間のクリアランスをロータ5とトロコイ
ド曲面6との間のクリアランスよりも小さく設定するこ
とも可能である。
【0040】さらに、案内手段のガイド溝を、ロータ5
の外周部側の一側面5eあるいは他側面側に形成する一
方、複数のピン保持溝をカバー2の内側面2bあるいは
ハウジング1の凹部1b底面に形成して、ここにガイド
ピンを圧入固定すると共に、該ガイドピンとガイド溝と
の間のクリアランスをロータ5とトロコイド曲面6との
間のクリアランスよりも小さく設定することも可能であ
る。
【0041】また、案内手段としては、前記ガイド溝と
ガイドピンに限定されるものではなく、均一なクリアラ
ンスC2を確保できるものであれば、他の構成による案
内手段でもよい。
【0042】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
係るロータリ型ポンプによれば、ロータリエンジンの基
本構造を利用したロータリ型ポンプの実用化が可能にな
ったことにより、ポンプ効率の大巾な向上が図れる。こ
の結果、従前のポンプ容量と同一とするならば、ポンプ
のコンパクト化と軽量化が図れる。
【0043】特に、連通路を特異な形状とすることによ
り、圧縮,膨張行程時における各作動室の大きな圧力変
動つまり局部的な高圧域と低圧域の発生が防止されるた
め、ロータの挙動の不安定化が防止されて、常時円滑な
回転作用が得られる。したがって、ポンプ作動中におけ
る大きな振動や振動騒音の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図2のA−A線断面
図。
【図2】本実施例のロータリ型ポンプの縦断面図。
【図3】本実施例の一部拡大図。
【図4】本実施例の作用を示す図2のB−B線断面図。
【図5】本実施例の作用を示す図2のB−B線断面図。
【図6】本実施例の作用を示す図2のB−B線断面図。
【図7】本実施例の作用を示す図2のB−B線断面図。
【符号の説明】
1…ハウジング 1b…凹部 1c…一側面 2…カバー 2b…内側面 4…駆動軸 5…ロータ 5a〜5c…頂部 6…トロコイド曲面 10…エキセントリックカラー(偏心部材) 16a〜16d…作動室 20…連通路 20a…一端部 20b…他端部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端面にほぼまゆ状の凹部が形成された
    ハウジングと、該凹部の一端開口を閉塞するカバーと、
    ハウジングの凹部内に回転自在に収納され、各頂部が前
    記凹部の内周面に形成されたトロコイド曲面に沿って回
    転運動するほぼ三角形状のロータと、前記ハウジングお
    よびカバーに貫通配置され、偏心部材を介して前記ロー
    タに回転力を伝達する駆動軸と、前記トロコイド曲面と
    ロータ外周面との間に形成された複数の作動室と、ロー
    タの回転に伴う圧縮行程中に容積が減少する一の作動室
    内の非圧縮流体を、ロータの回転方向に隣接位置する膨
    張行程中の他の作動室に流入させる連通路とを備えたロ
    ータリ型ポンプであって、前記連通路の形状を、前記圧
    縮行程中の一の作動室と膨張行程中の他の作動室との各
    容積が等しくなるロータの回転位置における該ロータの
    両頂部間の外周形状とほぼ同一に形成したことを特徴と
    するロータリ型ポンプ。
  2. 【請求項2】 前記連通路を、カバーの内端面に形成し
    たことを特徴とする請求項1記載のロータリ型ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記連通路を、三ケ月状に形成すると共
    に、全体を均一巾に設定したことを特徴とする請求項1
    記載のロータリ型ポンプ。
JP8137330A 1996-05-27 1996-05-31 ロータリ型ポンプ Pending JPH09317659A (ja)

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EP97108483A EP0810371A3 (en) 1996-05-27 1997-05-26 Rotor-type pump
KR1019970020624A KR100196766B1 (ko) 1996-05-27 1997-05-26 로터형 펌프

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018230890A1 (ko) * 2017-06-15 2018-12-20 최병철 롤러를 이용한 삼각 로터리 펌프
CN109944796A (zh) * 2019-04-25 2019-06-28 杭州三花研究院有限公司 油泵

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