JPH09317046A - 吸音材及びその製造方法 - Google Patents

吸音材及びその製造方法

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JPH09317046A
JPH09317046A JP13306296A JP13306296A JPH09317046A JP H09317046 A JPH09317046 A JP H09317046A JP 13306296 A JP13306296 A JP 13306296A JP 13306296 A JP13306296 A JP 13306296A JP H09317046 A JPH09317046 A JP H09317046A
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JP
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powder
fiber
sound absorbing
fibers
core
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JP13306296A
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English (en)
Inventor
Isato Inada
勇人 稲田
Seishiro Yamakawa
清志郎 山河
Akiyoshi Nozue
明義 野末
Kenji Onishi
兼司 大西
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低周波域においても良好な吸音特性を有し、
粉体の移動等による偏りによって吸音性能が劣化するこ
とを防ぐことができる吸音材を提供する。 【解決手段】 芯材1の表面を芯材1の融点よりも低い
融点の被覆材2で被覆した芯鞘構造の繊維3と粉体4と
の混合体5から成る。繊維3同士は被覆材2の融着によ
って接合されていると共に、粉体4の少なくとも一部は
繊維3の被覆材2に融着されている。繊維3同士及び繊
維3と粉体4との融着接合によって、粉体4が移動して
偏ることを抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リスニングルーム
や楽器練習室等の音響処理や、空調ダクト内を伝搬する
騒音の低減等のために使用される吸音材及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】吸音材は、室内の音響特性が問題になる
リスニングルームや楽器練習室等において室内残響特性
や反射特性等を制御する内装材や、遮音性能が要求され
る部屋の二重構造に形成した壁や天井に充填される充填
材や、空調ダクトの側に張って騒音の伝搬を防ぐ内張り
材や、騒音を発生する機器の防音カバーの内側に張る内
張り材等として使用されている。
【0003】このような用途に使用される吸音材として
は、グラスウール、ロックウール、発泡ポリウレタン等
の多孔質吸音材が従来から主として使用されている。こ
れらの多孔質吸音材は内部に連通した空隙を有するため
に、空隙内に音波が入射すると、空隙内を伝播する途中
でファイバーの表面やウレタン気泡壁面との間で粘性摩
擦等が生じ、音波エネルギーが材料内に吸収されて吸音
がなされるのである。
【0004】しかし、これらの多孔質吸音材は高周波域
では十分な吸音率を有するが、音の周波数が小さくなる
につれて吸音率が低くなり、低周波域では十分な吸音率
を得ることができないという問題がある。多孔質吸音材
の厚みを増せば低周波域の吸音率は高くなるが、吸音材
が非常に嵩高になり、例えば部屋の内装材として使用す
る場合には部屋が狭くなる等の問題が生じ、空調ダクト
の内張りとして使用する場合には空気の通路が狭くなる
等の問題が生じる。
【0005】そこで、厚みが薄くても低周波域で優れた
吸音性能を有する吸音材として、シリカ粉体等の粉体層
から形成したものが提供されている。この吸音材では、
粉体層に音が入射すると粉体粒子が振動し、音波エネル
ギーがこの振動に吸収されて吸音作用が発現するもので
ある。しかしながら、この粉体を材料とする吸音材は、
例えば箱状の容器中に粉体を充填して粉体層を形成し、
音波透過性が良好なフィルム等で蓋をすることによって
形成することができるが、容器に粉体を均一に充填して
も使用過程で粉体が徐々に移動して粉体が偏り、吸音性
能が変化するおそれがあるという問題がある。またグラ
スウール等の非常に目の粗い多孔質材の空隙に粉体を充
填して保持させることによって吸音材を形成することも
できるが、この場合も、当初は粉体を均一に充填してあ
っても使用過程で粉体が徐々に移動して偏り、同様に吸
音性能が変化するおそれがある。
【0006】さらに特開平5−323973号公報、特
開平6−110468号公報、特開平6−158748
号公報等に、粉体層を繊維層と交互に積層した構造の吸
音材が提供されている。しかしこのものでも粉体層の粉
体はフリーな状態のままであり、粉体の移動による問題
は解決されていない。これらに対して、特開平8−39
596号公報では、繊維の空隙に発泡性樹脂バインダー
を介在させ、この発泡性樹脂バインダーで粉体を保持す
るようにした吸音材が提供されている。しかしこのもの
では、吸音材中に占める粉体の割合が発泡性樹脂バイン
ダーによって小さくなるために、粉体による低周波域で
の吸音特性が低下するという問題があり、また繊維と粉
体の他に発泡性樹脂バインダーを用いるために、製造が
煩雑になるという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、低周
波域においても良好な吸音特性を有し、粉体の移動等に
よる偏りによって吸音性能が劣化することを防ぐことが
できる吸音材を提供することを目的とし、またこのよう
な吸音材を容易に製造することができる吸音材の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
吸音材は、芯材1の表面を芯材1の融点よりも低い融点
の被覆材2で被覆した芯鞘構造の繊維3と粉体4との混
合体5から成り、繊維3同士は被覆材2の融着によって
接合されていると共に、粉体4の少なくとも一部は繊維
3の被覆材2に融着されていることを特徴とするもので
ある。
【0009】また本発明の請求項2に係る吸音材は、芯
材1の表面を芯材1の融点よりも低い融点の被覆材2で
被覆した芯鞘構造の繊維3と粉体4との混合体5及び混
合体5を覆う表面材6から成り、繊維3同士は被覆材2
の融着によって接合されていると共に、粉体4の少なく
とも一部は繊維3の被覆材2に融着されており、さらに
表面材6は繊維3の被覆材2に融着されていることを特
徴とするものである。
【0010】また請求項3に係る発明は、上記粉体4が
タルクであることを特徴とするものである。また請求項
4に係る発明は、上記の吸音材が、多孔質吸音材7と積
層されていることを特徴とするものである。本発明の請
求項5に係る吸音材の製造方法は、芯材1の表面を芯材
1の融点よりも低い融点の被覆材2で被覆した芯鞘構造
の繊維3と粉体4とを混合し、これを被覆材2の融点以
上の温度で加熱することによって、繊維3同士を被覆材
2の融着によって接合させると共に、粉体4の少なくと
も一部を繊維3の被覆材2に融着させることを特徴とす
るものである。
【0011】また本発明の請求項6に係る吸音材の製造
方法は、芯材1の表面を芯材1の融点よりも低い融点の
被覆材2で被覆した芯鞘構造の繊維3と粉体4とを混合
すると共にこの混合体5に表面材6を重ね、これを被覆
材2の融点以上の温度で加熱することによって、繊維3
同士を被覆材2の融着によって接合させると共に、粉体
4の少なくとも一部を繊維3の被覆材2に融着させ、さ
らに繊維3の被覆材2に表面材6を融着させることを特
徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。本発明において繊維3としては、繊維本体となる
芯材1の外周に被覆材2を被覆することによって図4の
ように2層の芯鞘構造に形成したものを使用するもので
ある。芯材1は有機繊維や無機繊維で形成することがで
きるものであり、有機繊維としてはポリエステル、ナイ
ロン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂繊維や、木質ファ
イバー、木綿、麻、竹、リンター、絹、羊毛等の天然繊
維や、レーヨン等の再生繊維を例示することができ、無
機繊維としてはロックファイバー、ガラス、アルミナ、
炭化ケイ素、炭素、スチール等の繊維を例示することが
できる。
【0013】この有機繊維や無機繊維からなる芯材1に
被覆される被覆材2は、芯材1の融点よりも低い融点を
有する材料で形成されるものである。被覆材2は芯材1
よりも融点が低い材料であれば特に制限されるものでは
ないが、被覆材2の融点が芯材1の融点よりも10〜1
00℃程度低いものであることが好ましく、40〜6℃
低いものであることがより好ましい。
【0014】またこの芯材1の外周に被覆材2を被覆し
た芯鞘構造の繊維3は、特に限定されるものではない
が、1〜15デニールの範囲の繊維径のものを用いるの
が好ましく、繊維長が5〜100mmの範囲のものを用
いるのが好ましい。一方、本発明において粉体4として
は、特に制限されることなく使用することができるが、
金マイカ、シリカ、タルク、珪酸カルシウム、フッ素樹
脂、パーライト、溶融シリカ、黒鉛、結晶セルロース、
炭化ケイ素、珪藻土、ナイロン、ポリエステル、アクリ
ロニトリル、炭素繊維、二酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、ポリ塩化ビニル、ポリメタクル酸メチル、バリウム
フェライト、シリコーン等の粉末を例示することができ
る。これらの中でも低周波域の吸音効果を高く得る上
で、粉体4としてタルクを用いるのが好ましい。また粉
体4の粒径は0.1〜1000μmの範囲が好ましく、
粉体4の嵩密度は0.1〜1.5g/cm3 の範囲が好
ましい。
【0015】上記の繊維3と粉体4を用いて吸音材Aを
製造するにあたっては、まず繊維3を絡み合わせるよう
にして集合させてウェブ(シート)にし、この繊維3の
ウェブに粉体4を上方から振りかけ、繊維3のウェブに
機械的な振動を与えることによって粉体4を繊維3のウ
ェブ内部へと充填させ、繊維3と粉体4とを混合する。
繊維3は嵩密度が0.2〜0.8g/m3 程度になるよ
うに集合させて繊維3間に十分な空隙が形成されるよう
にするのがよく、また繊維3のウェブに対する粉体4の
混合量は、繊維3が100重量部に対して粉体4が10
0〜5000重量部の範囲になるように設定するのが好
ましい。
【0016】このように繊維3と粉体4を混合して混合
体5を作製した後、この混合体5を繊維3の被覆材2の
融点よりも30〜40℃程度高い温度で加熱する。加熱
温度は繊維3の芯材1の融点よりも低い温度(且つ粉体
4の融点よりも低い温度)に設定されるものであり、芯
材1は溶融しないが、被覆材2は溶融するので、絡み合
っている繊維3はその交点において被覆材2が融着し、
繊維3同士を接合させてミクロなネットワーク構造に形
成することができる。またこの加熱による被覆材2の溶
融で粉体4は被覆材2に融着し、繊維3に付着して保持
される。粉体4の総てが繊維3に融着保持されることが
理想的であるが、必ずしもその必要はない。少なくとも
一部の粉体4が繊維3に融着されていればよく、粉体4
のうち10重量%程度以上のものが繊維3に融着保持さ
れていればよい。
【0017】上記のようにして、繊維3同士及び繊維3
と粉体4の少なくとも一部を融着させた図1のような吸
音材Aを得ることができるものであり、この吸音材Aで
は粉体4が繊維3の空隙内に保持されており、使用過程
での振動によって粉体4が移動することを抑制すること
ができ、粉体4による低周波吸音特性を活かしながら、
粉体4の移動・偏りによる吸音性能の劣化を防ぐことが
できるものである。
【0018】図2の吸音材Aは、上記のように作製した
繊維3と粉体4の混合体5の表面に表面材6を重ね、こ
の状態で繊維3の被覆材2の融点よりも高い温度(且つ
繊維3の芯材1や粉体4や表面材6の融点よりも低い温
度)で加熱することによって製造したものである。表面
材6としては粉体4を通過させることがないものであれ
ば何でもよく、合成樹脂繊維不織布やガラス繊維不織布
等のシート材を用いることができる。また表面材6は繊
維3と粉体4の混合体5の片面に設けるようにしても、
両面に設けるようにしてもいずれでもよいが、混合体5
の両面を表面材6で覆うようにするのが好ましい。
【0019】このように表面を表面材6で覆った吸音材
Aは、繊維3同士及び繊維3と粉体4の少なくとも一部
が融着接合されていると共に、表面材6も被覆材2によ
って繊維3に融着接合しており、表面材6は吸音材Aの
表面に接着されている。従って、繊維3間の空隙は表面
材6で塞がれており、粉体4が繊維3間の空隙から脱落
したり移動したりすることを防ぐことができ、粉体4の
移動による偏りを一層低減することができるものであ
る。また表面材6は繊維3に融着接合しているために各
繊維3につなぎ止められており、表面材6が弛むことに
よって繊維3との間に生じる空間に粉体4が移動するこ
とを防ぐことができ、粉体4の偏りをこの点でさらに低
減することができるものである。さらに吸音材Aの両面
を覆った表面材6の端部同士を接着することによって、
袋入り状になった吸音材Aを得ることもできる。
【0020】図3の吸音材Bは、図2で得た吸音材Aを
グラスウールやロックウール、発泡ポリウレタンなどの
多孔質吸音材7と積層して得られたものである。高周波
域の吸音特性は優れているが低周波域の吸音特性が低い
多孔質吸音材7に、低周波域の吸音特性が高い上記の吸
音材Aを積層することによって、低周波域から、高周波
域に至るまで吸音特性に優れた吸音材Bを得ることがで
きるものである。吸音材Aと多孔質吸音材7とは、接着
剤等で接着して積層一体化するようにしても、単に重ね
合わせて積層するようにしても、いずれでもよい。また
この吸音材Bは図2で得た表面材6付きの吸音材Aの代
わりに、図1で得た表面材6のない吸音材Aを積層して
形成することもできる。
【0021】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明す
る。 (実施例1)芯鞘構造の繊維として芯材がポリエステル
(融点150℃)、被覆材が低融点ポリエチレン(融点
115℃)のユニチカ株式会社製「メルティ<6080
>」(繊維径2デニール、平均長さ51mm)を用い、
これを集積して面密度800g/m2 のウェブを形成し
た。このウェブの上に平均粒径20μmのタルク粉を6
500g/m2 の散布量で均一に散布し、さらに振動さ
せてタルク粉を繊維のウェブ内へ落とし込むようにし
た。次にこの繊維とタルク粉との混合体を150℃で3
0分間加熱処理することによって、図1のような厚み3
0mmの吸音材を得た。
【0022】(実施例2)実施例1と同様にして作製し
た繊維とタルク粉の混合体の上下両面を、ポリエチレン
不織布(ユニチカ株式会社製「エルベス」;50g/m
2 )からなる表面材で挟み、150℃で30分間加熱処
理することによって、図2のような表面材で被覆した厚
み30mmの吸音材を得た。
【0023】(実施例3)芯鞘構造の繊維として芯材が
ポリエステル(融点150℃)、被覆材が低融点ポリエ
ステル(融点110℃)のユニチカ株式会社製「メルテ
ィ<4080>」(繊維径2デニール、平均長さ51m
m)を用い、これを集積して面密度400g/m2 のウ
ェブを形成した。このウェブの上に平均粒径200μm
のシラスバルーンを3000g/m2 の散布量で均一に
散布し、さらに振動させてシラスバルーンを繊維のウェ
ブ内へ落とし込むようにした。次にこの繊維とシラスバ
ルーンとの混合体の上下両面を実施例2と同じ表面材で
挟んだ後、150℃で30分間加熱処理することによっ
て、図2のような表面材で被覆した厚み30mmの吸音
材を得た。
【0024】(実施例4)芯鞘構造の繊維として実施例
1と同じものを用い、これを集積して面密度100g/
2 のウェブを形成した。このウェブの上に平均粒径2
0μmのタルク粉を800g/m2 の散布量で均一に散
布し、さらに振動させてタルク粉を繊維のウェブ内へ落
とし込むようにした。次にこの繊維とタルク粉との混合
体の上下両面を実施例2と同じ表面材で挟んだ後、15
0℃で30分間加熱処理することによって、図2のよう
な表面材で被覆した厚み3mmの吸音材を得た。さらに
この吸音材を厚み30mmの発泡ポリウレタン(嵩密度
18kg/m3 )の上に重ねて積層することによって、
図3のような吸音材を得た。
【0025】(比較例1)厚み30mmの発泡ポリウレ
タン(嵩密度18kg/m3 )をそのまま吸音材とし
た。 (比較例2)実施例2と同じ2枚のポリエチレン不織布
(ユニチカ株式会社製「エルベス」;50g/m2 )の
間にタルク粉末(平均粒径20μm)の嵩密度0.5g
/cm3 の層を30mmの厚みで挟むことによって、吸
音材を得た。
【0026】(比較例3)実施例2と同じ2枚のポリエ
チレン不織布(ユニチカ株式会社製「エルベス」;50
g/m2 )の間にシラスバルーン粉末(平均粒径200
μm)の嵩密度0.2g/cm3 の層を30mmの厚み
で挟むことによって、吸音材を得た。 (比較例4)厚み30mmの発泡ポリウレタン(嵩密度
18kg/m3 )の上に平均粒径20μmのタルク粉末
を1500g/m2 の散布量で均一に散布して、厚さ約
3mmの粉体層を積層することによって、吸音材を得
た。
【0027】上記の実施例1〜4及び比較例1〜4で得
た厚み約30mmの吸音材について、吸音率をJIS
A 1405「管内法による建築材料の垂直入射吸音率
測定方法」に基づいて測定した。結果を図5、図6、図
7に示す。これらの図にみられるように、多孔質吸音材
である比較例1は高周波域での吸音特性は高いが低周波
域での吸音性能が低く、また粉体を層にして吸音材を形
成するようにした比較例2〜4ではいずれも吸音特性が
特定の周波数で鋭いピークを示し、その他の周波数域で
は吸音性能が低くなっている。これに対し、各実施例の
ものでは広い周波数域において高い吸音特性を示してい
る。特に実施例1及び実施例2では比較例2と同じタル
ク粉末を用いているが、図5のように広い範囲で比較例
2よりも高い吸音特性を示し、また実施例3では比較例
3と同じシラスバルーン粉末を用いているが、図6のよ
うに広い範囲で比較例2よりも高い吸音特性を示すこと
が確認される。
【0028】また実施例1,2の重量は約7kg/m2
であるのに対して、比較例2は厚み30mmのタルク粉
末層であるために約15kg/m2 になり、実施例3の
重量は約3.5kg/m2 であるのに対して、比較例2
は厚み30mmのシラスバルーン粉末層であるために約
6kg/m2 になる。従って各実施例の吸音材は約半分
の重量で良好な吸音特性を得ることができることが確認
される。
【0029】そして比較例2,3の吸音材は粉体をポリ
エステル不織布の表面材で覆っているが、粉体を挟んで
いるだけであるので、傾けたり揺すったりすると粉体が
偏ったり飛び散ったりするが、各実施例のものでは粉体
は繊維に保持されており、粉体の偏りや飛び散りはみら
れなかった。
【0030】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1の吸音材
は、芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点の被覆材で
被覆した芯鞘構造の繊維と粉体との混合体から成り、繊
維同士は被覆材の融着によって接合されていると共に、
粉体の少なくとも一部は繊維の被覆材に融着されている
ことを特徴とするので、繊維同士及び繊維と粉体との融
着接合によって、粉体が移動して偏ることを抑制するこ
とができ、粉体による低周波吸音特性を高く得ることが
できると共に粉体の偏りによる吸音性能の劣化を防ぐこ
とができるものである。
【0031】また本発明の請求項2の吸音材は、芯材の
表面を芯材の融点よりも低い融点の被覆材で被覆した芯
鞘構造の繊維と粉体との混合体及び混合体を覆う表面材
から成り、繊維同士は被覆材の融着によって接合されて
いると共に、粉体の少なくとも一部は繊維の被覆材に融
着されており、さらに表面材は繊維の被覆材に融着され
ているものであり、繊維同士及び繊維と粉体の融着接合
の他に、表面材も被覆材によって繊維に融着接合されて
いることを特徴とするので、繊維間の空隙を表面材で塞
いで粉体が繊維間の空隙から脱落したり移動したりする
ことを防ぐことができるものであり、粉体が移動して偏
ることを請求項1の発明よりも一層低減することがで
き、粉体の偏りによる吸音性能の劣化を効果高く防ぐこ
とができるものである。
【0032】また請求項3の発明は、粉体としてタルク
を用いるようにしたので、低周波域の吸音特性を一層高
く得ることができるものである。また請求項4の発明
は、上記の吸音材を多孔質吸音材と積層するようにした
ので、高周波域の吸音特性は優れているが低周波域の吸
音特性が低い多孔質吸音材と、低周波域の吸音特性が高
い吸音材との組み合わせで、低周波域から高周波域に至
るまで吸音特性を高く得ることができるものである。
【0033】本発明の請求項5の吸音材の製造方法は、
芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点の被覆材で被覆
した芯鞘構造の繊維と粉体とを混合し、これを被覆材の
融点以上の温度で加熱することによって、繊維同士を被
覆材の融着によって接合させると共に、粉体の少なくと
も一部を繊維の被覆材に融着させることを特徴とするの
で、繊維と粉体とを混合してこれを繊維の被覆材の融点
以上の温度で加熱するだけで、繊維同士及び繊維と粉体
とが融着接合した吸音材を簡単な工程で製造することが
できるものである。
【0034】また請求項6の吸音材の製造方法は、芯材
の表面を芯材の融点よりも低い融点の被覆材で被覆した
芯鞘構造の繊維と粉体とを混合すると共にこの混合体に
表面材を重ね、これを被覆材の融点以上の温度で加熱す
ることによって、繊維同士を被覆材の融着によって接合
させると共に、粉体の少なくとも一部を繊維の被覆材に
融着させ、さらに繊維の被覆材に表面材を融着させるこ
とを特徴とするので、繊維と粉体とを混合すると共にこ
の混合体に表面材を重ね、これを繊維の被覆材の融点以
上の温度で加熱するだけで、繊維同士及び繊維と粉体と
が融着接合すると共に繊維に表面材が融着接合した吸音
材を簡単な工程で製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概略図であ
る。
【図2】本発明の他の実施の形態の一例を示す概略図で
ある。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態の一例を示す概
略図である。
【図4】本発明で用いる芯鞘構造の繊維の拡大した一部
切欠斜視図である。
【図5】実施例及び比較例の吸音特性(吸音率と周波数
の関係)を示すグラフである。
【図6】実施例及び比較例の吸音特性(吸音率と周波数
の関係)を示すグラフである。
【図7】実施例及び比較例の吸音特性(吸音率と周波数
の関係)を示すグラフである。
【符号の説明】
1 芯材 2 被覆材 3 繊維 4 粉体 5 混合体 6 表面材 7 多孔質吸音材
フロントページの続き (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点
    の被覆材で被覆した芯鞘構造の繊維と粉体との混合体か
    ら成り、繊維同士は被覆材の融着によって接合されてい
    ると共に、粉体の少なくとも一部は繊維の被覆材に融着
    されていることを特徴とする吸音材。
  2. 【請求項2】 芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点
    の被覆材で被覆した芯鞘構造の繊維と粉体との混合体及
    び混合体を覆う表面材から成り、繊維同士は被覆材の融
    着によって接合されていると共に、粉体の少なくとも一
    部は繊維の被覆材に融着されており、さらに表面材は繊
    維の被覆材に融着されていることを特徴とする吸音材。
  3. 【請求項3】 粉体はタルクであることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の吸音材。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの吸音材が、
    多孔質吸音材と積層されていることを特徴とする吸音
    材。
  5. 【請求項5】 芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点
    の被覆材で被覆した芯鞘構造の繊維と粉体とを混合し、
    これを被覆材の融点以上の温度で加熱することによっ
    て、繊維同士を被覆材の融着によって接合させると共
    に、粉体の少なくとも一部を繊維の被覆材に融着させる
    ことを特徴とする吸音材の製造方法。
  6. 【請求項6】 芯材の表面を芯材の融点よりも低い融点
    の被覆材で被覆した芯鞘構造の繊維と粉体とを混合する
    と共にこの混合体に表面材を重ね、これを被覆材の融点
    以上の温度で加熱することによって、繊維同士を被覆材
    の融着によって接合させると共に、粉体の少なくとも一
    部を繊維の被覆材に融着させ、さらに繊維の被覆材に表
    面材を融着させることを特徴とする吸音材の製造方法。
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