JPH0931698A - 不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法 - Google Patents

不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法

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JPH0931698A
JPH0931698A JP18600995A JP18600995A JPH0931698A JP H0931698 A JPH0931698 A JP H0931698A JP 18600995 A JP18600995 A JP 18600995A JP 18600995 A JP18600995 A JP 18600995A JP H0931698 A JPH0931698 A JP H0931698A
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JP
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tank
tin
oxygen
plating solution
plating
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JP18600995A
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English (en)
Inventor
Kenichiro Akao
謙一郎 赤尾
Toshihiro Kikuchi
利裕 菊地
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不溶性陽極を用いて鋼その他の金属に酸性錫
めっき液にて電気錫めっきを行う際に、錫溶解速度を大
とし、さらに錫スラッジの発生を低減するための効率的
な電気錫めっき方法の提供。 【構成】 不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法におい
て、電気めっき槽と別個に設けた酸素富化槽内でめっき
液に平均気泡径が0.01〜 10000μmの酸素含有気体を吹
込み、かつ、酸素富化槽内めっき液中の気泡体積率を1
%以下に調整し、得られた酸素溶存めっき液を金属錫を
保持した錫溶解槽に供給し錫を溶解させ、酸素富化槽と
錫溶解槽と電気めっき槽の間でめっき液を循環させる不
溶性陽極を用いた電気錫めっき方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は錫めっき鋼板等の製造に
係わる不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法に関するも
のであり、特に、不溶性陽極を用いて鋼その他の金属
に、酸性錫めっき液にて電気錫めっきを行う際に、めっ
き液にSn2+イオンを迅速に供給して、錫めっき液中のSn
2+イオン濃度を適正な範囲に管理し、さらに錫スラッジ
量を低減するための効率的な電気錫めっき方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気錫めっきにおいては可溶性の
アノード、すなわち錫の鋳造品が用いられていたが、実
際の操業においてはアノードの交換作業に多くの労力を
要し、生産性低下の一因となっていた。そこで、電気錫
めっきラインの生産性向上の手段としてアノードの不溶
性化が効果的であるとの認識が広がり、実施例も報告さ
れている。
【0003】ぶりき(錫めっき)ラインを不溶性アノー
ド化するに当たっては、Sn2+イオンの供給をいかに行う
かという点が重要である。この点に関しては既にいくつ
かの技術が開発されているが、実際の錫めっきラインに
応用された方法として、例えば、特公昭53-17979号公
報、特公昭56-54079号公報がある。これらの方法は、酸
素含有気体をめっき液に吹込み、めっき液中溶存酸素濃
度を高めることで金属錫の化学溶解を促進させ、Sn2+
オンの補給を可能にしたものである。この方法では金属
錫の溶解が下記式(1)、(2)の電気化学反応により
進行すると考えられている。
【0004】 アノード反応:Sn→Sn2++2e- ・・・(1) カソード反応:O2 +4H+ +4e- →2H2 O ・・・(2) しかし、従来、めっき液中の溶存酸素によりSn2+イオン
がさらに酸化され、錫スラッジが生成するという問題が
あった。そこで、このようなSn2+イオンのスラッジ化に
よる錫ロスを低減するための方法が開示されている。
【0005】例えば特公昭57-1600 号公報においては、
錫溶解装置と錫めっき液をイオン交換膜を介して接続
し、溶存酸素濃度の高い液が直接めっき液に接触してSn
2+イオンがスラッジ化するのを防止する技術が開示され
ている。また特開平3-180493号公報では、錫溶解装置中
の金属錫層を機械的に撹拌させることにより、Sn2+イオ
ンのスラッジ化を抑制する技術が開示されている。
【0006】しかし、これらの方法では、めっき液中の
Sn2+イオンのスラッジ化を十分抑制することはできなか
った。スラッジは錫原単位の上昇や、めっき設備への付
着による設備作動不良やメンテナンスの増大、めっき液
中への浮遊によるめっき製品表面欠陥の発生といった問
題を起こすので、スラッジ発生を抑えつつ、めっき液中
にSn2+イオンを安定して供給できる方法の開発が要望さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不溶
性陽極を用いて鋼その他の金属に酸性錫めっき液にて電
気錫めっきを行う際に、錫溶解速度を大とし、錫めっき
液中のSn2+イオン濃度を適正な範囲に管理し、さらに錫
スラッジの発生を低減するための効率的な電気錫めっき
方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法において、電気め
っき槽と別個に設けた酸素富化槽内でめっき液に平均気
泡径が0.01〜 10000μm の酸素含有気体を吹込み、か
つ、酸素富化槽内めっき液中の気泡体積率を1%以下に
調整し、得られた酸素溶存めっき液を金属錫を保持した
錫溶解槽に供給し錫を溶解させ、酸素富化槽と錫溶解槽
と電気めっき槽の間でめっき液を循環させることを特徴
とする不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法であり、ま
た本発明は、前記酸素富化槽内で酸素含有気体を吹込む
際に、酸素富化槽内上部空間気相圧力を0.2 〜10MPa
(絶対圧)の範囲に加圧保持することが好ましい。
【0009】なお、前記の酸素富化槽と錫溶解槽と電気
めっき槽の間のめっき液の循環方式は、連続的でも間歇
的でもよく、また、間歇的に送液を行う場合もその時間
的間隔等において特に制限はされない。また、本発明に
おける前記錫溶解槽の第1の好ましい態様として、撹拌
翼を有する錫溶解槽を用い、錫溶解槽内上部が大気圧ま
たは負圧の条件下、かつ攪拌条件下、酸素溶存めっき液
を錫溶解槽内下方から供給することが好ましく、また錫
溶解槽の撹拌翼として、ヘリカルリボン翼またはダブル
ヘリカルリボン翼を用い、該攪拌翼の回転数が10〜 600
回転/分の条件下、酸素溶存めっき液を錫溶解槽内下方
から供給することが好ましい。
【0010】また、本発明における前記錫溶解槽の第2
の好ましい態様として、流動層反応装置を用い、該反応
装置の下部から酸素溶存めっき液を供給することが好ま
しい。また、本発明における前記錫溶解槽の第3の好ま
しい態様として、液流を発生させる装置を有する反応装
置を用い、該反応装置の上部、下部または横部の少なく
とも1か所から酸素溶存めっき液を供給することが好ま
しい。
【0011】
【作 用】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明における電気めっき槽の不溶性陽極として
は、例えば白金被覆電極や酸化イリジウム被覆電極等が
使用できる。また酸性錫めっき液としては、アルカン/
アルカノールスルホン酸を電導助剤とする浴(例えばメ
タンスルホン酸浴、2−ヒドロキシプロパン−1−スル
ホン酸浴)、硫酸錫浴、フェロスタン浴等が使用でき
る。
【0012】電気めっきによりSn2+イオン濃度が減少し
ためっき液は、電気めっき槽から酸素富化槽に常時もし
くは間歇的に供給され、酸素富化槽と錫溶解槽の間を適
宜循環し、Sn2+イオンが増加した後、電気めっき槽へ戻
る。供給量は特に制限はなく、槽間において液の交換が
十分行われる範囲でよい。また、本発明方法は、錫溶解
槽と酸素富化槽の間でめっき液を循環し、錫溶解槽と電
気めっき槽間を酸素富化槽を介在または介在せずにめっ
き液を循環する3槽方式の電気錫めっき方法にも好まし
く適用される。
【0013】本発明においてはめっき液中への酸素の富
化槽を独立して設置し、酸素吹込みの際発生する気泡を
適宜除去した後に、めっき液を金属錫を保持した錫溶解
槽に供給する。酸素含有気体は、細孔を有するフィル
タ、多孔板等の多孔体を介して0.01〜 10000μm の平均
気泡径でめっき液に吹込むのが望ましい。めっき液中で
発生する気泡径は、フィルタ、多孔板等用いる多孔体の
孔径にほぼ等しいので、フィルタ表面または多孔板等に
0.01〜 10000μm の直径の孔を、空隙率として2〜90%
の範囲で分布させるのが望ましい。
【0014】本発明においては、めっき液への酸素含有
気体吹込み時に発生する気泡の平均気泡径が0.01μm 未
満であると、めっき液中に分散した気泡が消えず、めっ
き時の不めっき発生等の問題が起こる。また前記の平均
気泡径が 10000μm を超えると、酸素含有気体のめっき
液中への分散効果が低減し、めっき液への酸素溶存量の
低下、酸素供給不足をきたす。
【0015】なお、本発明における平均気泡径d
p,avは、下記式(3)で示される幾何平均径(個数平均
径)で定義される。 平均気泡径:dp,av=(Σdpi)/n ・・・・・(3) 式(3)中、nは気泡の個数であり、i=1〜nであ
る。また、前記フィルタの形状は特に制限はなく、ボー
ル型、筒型、板状のものが好適に使用できる。また多孔
板の形状も特に制限はなく、板状、筒型に成形されたも
のが好適に使用できる。
【0016】また、フィルタ、多孔板等の材質としては
めっき液である強酸に腐食されないものであればよく、
各種プラスチック、ステンレスあるいはフッ素樹脂、オ
レフィン樹脂、アルミナをガラス被覆したもの等が好適
に使用できるが、これらに限定されるものではない。本
発明においては、酸素富化槽に撹拌機を設けてめっき液
を撹拌しながら酸素を吹込むと、酸素のめっき液への分
散および溶存促進効果が大きく好ましい。
【0017】本発明においては、さらに、予め酸素富化
槽めっき液中の気泡体積率を1%以下、最も好ましく
は、気泡体積率を0%に調整した後、得られた酸素溶存
めっき液を錫溶解槽に供給する。なお、本発明における
めっき液中の気泡体積率とは、具体的には下記式(4)
から求めることができる。
【0018】 めっき液中の気泡体積率=〔(H1 −H0 )/H1 〕×100 (%)・・(4) 式(4)中 H1 :酸素含有気体吹込み後の酸素富化槽の液面高さ H0 :酸素含有気体吹込みがない場合の酸素富化槽液面
高さ なお、攪拌状態の場合は、H1 、H0 両者について、攪
拌時の酸素富化槽の液面の最上部の位置、または酸素富
化槽水平断面の予め定めた箇所の液面高さを求めればよ
い。
【0019】上記方法による場合、本発明における酸素
富化槽の槽内めっき液中気泡体積率測定手段としては、
好ましくは液面反射方式の超音波式レベル計が例示され
る。さらに、槽内めっき液中気泡体積率の他の測定手段
としては、気泡による超音波の減衰を利用し、液中伝搬
方式の超音波式レベル計を用いることもできる。この場
合、予め前記式(4)等から求めた気泡体積率の実測値
と超音波レベル計の測定値との回帰式を用いて気泡体積
率を求めることができる。
【0020】このように、予め気泡を除去し、めっき液
中の気泡体積率を前記範囲内となるように調整しためっ
き液を、錫溶解槽へ送液し金属錫と接触、混合すること
が本発明の最も重要な点であり、めっき液中の気泡を取
り除いておくことで、めっき液−金属錫間の反応表面積
が増大し、錫溶解速度が大幅に向上する。めっき液に気
泡が混入した状態でめっき液を錫溶解槽へ供給した場
合、金属錫とめっき液との接触が気泡により妨げられ、
反応表面積が低下するため錫溶解速度が低下する。
【0021】一方、電気錫めっきの実際の操業において
は、スラッジ生成速度と錫溶解速度との比率(スラッジ
発生率)が重要であり、錫溶解速度が大きくても、スラ
ッジ発生率が高いと、錫溶解設備はコンパクトにはなる
が、一方でスラッジが大量に生成し問題となる。錫スラ
ッジの発生機構は未だ解明されていないが、本発明者ら
が鋭意研究した結果、めっき液中溶存酸素のみならず、
めっき液中に分散した酸素含有気体の気泡も反応に関与
することが判明した。
【0022】すなわち、めっき液中の気泡を除去する
と、錫スラッジ発生量が大幅に減少することが判明し
た。気泡の除去量としては、めっき液中の気泡体積率が
1%以下、最も好ましくは0%となるように除去すれば
よく、その結果前記のような錫溶解の促進、スラッジ発
生の抑制効果が生じる。
【0023】気泡の具体的な除去方法は特に制限はされ
ないが、下記の方法が好ましく適用される。第1の方法
は、電気めっき槽および錫溶解槽とは別個に、めっき液
中への酸素含有気体の吹込みを行う酸素富化槽を設け、
該酸素富化槽の上方を大気開放とするか、または酸素富
化槽の上方から酸素富化槽内の気体を吸引する方法であ
る。
【0024】この場合、酸素富化槽の上方は密閉状態で
はないので、めっき液に溶解せずに残った気体(気泡)
は上方に移動、拡散する。また、槽の底部には重力の関
係から、気泡をほとんど含まないめっき液が存在するの
で、このめっき液を錫溶解槽に送液することで気泡が除
去されためっき液を錫溶解槽に順次導入することが可能
となる。
【0025】第2の方法は、酸素富化槽において、加圧
・減圧操作を行う方法である。酸素富化槽を密閉し、酸
素含有気体で加圧状態にした場合には、めっき液に溶け
得る最大溶存酸素量が大幅に増大する。一般に液体への
気体の溶解度は圧力に比例するので、酸素富化槽を加圧
し酸素分圧を高めると有利である。本発明者らの研究に
よると、一旦溶存した酸素が再び大気中に放散する速度
(脱離速度)は、酸素のめっき液への溶解速度に比べて
あまり大きくなく、酸素富化槽で加圧下で酸素を富化
し、次いで槽を減圧した後、めっき液を錫溶解槽に供給
しても、錫の溶解に必要な溶存酸素は十分残存すること
がわかった。
【0026】すなわち、第2の方法としては、酸素富化
槽を酸素含有気体で加圧状態とし、めっき液中に酸素を
溶存せしめ、次いで減圧操作により、めっき液中に残っ
た気泡を取り除いてから錫溶解槽に送液する方法を用い
ることができる。酸素富化槽の耐圧性能は設備等に応じ
て設定すればよいが、10MPa以下であれば安価に作製
することができる。
【0027】本発明における酸素富化槽内上部空間の酸
素含有気体の好ましい圧力は、0.2〜10MPa(絶対
圧)であり、さらに好ましくは0.2 〜1MPa(絶対
圧)が望ましい。なお酸素含有気体の吹込圧力は、酸素
富化槽内の吹込み箇所の圧力以上であればよい。気泡の
具体的な除去方法としては、前記した方法が例示される
が、酸素富化槽と錫溶解槽との間のめっき液の流路中に
別個に、前記と同様の大気開放方式、ガス吸引方式また
は減圧方式の気泡除去装置(気泡除去槽)を設けてもよ
い。
【0028】また、本発明においては、酸素富化槽内ま
たは前記気泡除去装置内のめっき液中の気泡体積率を前
記範囲内となるように調整した後、得られためっき液を
錫溶解槽へ送液してもよいし、また前記槽内のめっき液
中の気泡体積率が常時前記範囲内となる様に調整しつ
つ、前記槽内で得られためっき液を、連続的に錫溶解槽
に送液してもよい。
【0029】次に、本発明における錫溶解槽について述
べる。本発明における錫溶解槽の第1の好ましい態様と
して、錫溶解槽に金属錫を充填し、撹拌翼を回転させな
がら、錫とめっき液を混合させる。撹拌翼としてはヘリ
カルリボン翼、ダブルヘリカルリボン翼、パドル翼等が
例示され、好ましくはヘリカルリボン翼、ダブルヘリカ
ルリボン翼が使用できる。
【0030】撹拌翼の回転数としては10〜 600回転/分
が望ましい。回転数が10回転/分未満であると撹拌効果
がなく、めっき液−金属錫間の反応表面積が減少して錫
溶解速度が低下する。また 600回転/分を超えると経済
的に不利である。さらに実用的な回転数としては50〜 4
50回転/分である。さらに錫溶解槽の上方を密閉しない
で大気開放とすると、撹拌翼の回転に伴い生じためっき
液面の渦が周囲の空気を巻き込む。この結果、金属錫と
の反応に寄与しない過剰な溶存酸素および酸素気泡は、
巻き込んだ空気中に脱離するのでスラッジ発生反応をさ
らに抑制することができる。
【0031】また、錫溶解槽内上部を負圧とし、攪拌条
件下、酸素溶存めっき液を該槽内下方から供給すること
によっても前記の効果を得ることができる。錫溶解槽の
上方には金属錫補給ホッパを設け、溶解して減少した錫
を適宜補給してもよい。溶解槽の上方を密閉しない場合
には、溶解槽上部からの錫粒の補給が容易となる。
【0032】本発明における錫溶解槽の第2の好ましい
態様として、錫粒の充填塔の下部から酸素を富化しため
っき液を高流速で供給して、錫を浮遊、流動させながら
めっき液と混合させて錫を溶解する流動層反応装置を用
いてもよい。また、本発明における錫溶解槽の第3の好
ましい態様として、液流を発生させる装置を有する反応
装置を用い、金属錫を保持した該装置の上部、下部また
は横部の少なくとも1か所から酸素を溶存させためっき
液を高流速で供給してもよい。
【0033】本発明においては、前記いずれの錫溶解槽
においても、効果的に錫粒とめっき液を接触、混合させ
ることが可能である。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の具体的事項に限定されるもの
ではない。なお、本実施例において、錫溶解槽へ送液時
のめっき液中の気泡体積率の測定は、下記式(5)に基
づき行った。
【0035】 めっき液中の気泡体積率=〔(H1 −H0 )/H1 〕×100 (%)・・(5) 式(5)中 H1 :錫溶解槽への送液開始時の酸素富化槽の液面高さ H0 :酸素吹込み前の酸素富化槽の液面高さ また、酸素富化槽内のめっき液に吹込まれる酸素含有気
体の気泡径の調整は、孔径が異なる酸素含有気体吹込み
用の多孔体を用いることにより行い、気泡径は多孔体表
面付近の気泡を高速度撮影することで測定した。
【0036】(実施例1〜3)本実施例における電気錫
めっき装置の構成図を図3に示す。図3において、1は
電気めっき槽、2は酸素富化槽、3は錫溶解槽(攪拌装
置)、4は酸素含有気体吹込み管、5は気体吹込み用の
多孔体、6は気泡(酸素含有気体)、7は酸素富化用攪
拌機、8は金属錫粒、9は攪拌翼、10は金属錫補給ホ
ッパ、17はバルブ、18はストリップ、19はめっき
液移動方向、20は送液ポンプ、21はダンパ、22は
大気開放管、23は不溶性陽極である。
【0037】なお、酸素富化槽2および錫溶解槽3の設
備仕様、運転条件は後記の通りである。本実施例におい
ては、2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸(HP
S)もしくはメタンスルホン酸(MSA)を電導助剤と
し、添加剤を添加した下記組成の錫めっき液をそれぞれ
2m3 ずつ建浴し、酸素富化槽2と錫溶解槽3の間を図
3に示すように循環させ、Sn2+イオン濃度、錫スラッジ
発生量の時間的変化を調査した。
【0038】なお、本実施例においては、酸素富化槽に
おける気泡の除去は、図3に示すように、該酸素富化槽
2の上方を大気開放管22により開放することにより行
い、めっき液中の気泡体積率の調整は酸素富化槽2の上
方のダンパ21の開度を調節することにより行った。 〔錫めっき液組成〕 Sn2+イオン濃度 :20g/L 遊離の2−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸もしく
はメタンスルホン酸:0.5mol/L 界面活性剤 :10g/L 酸化防止剤 : 1g/L 電気めっき槽浴温 :40℃ 〔酸素富化槽〕 有効体積 :3.0m3 フィルタ表面積 :0.5m2 撹拌機回転速度 :1500回転/分 吹込気体 :酸素 〔錫溶解槽〕 体積 :1.0m3 金属錫量 :1000kg(短径3mm−長径
7mmの涙滴状) 撹拌翼 :ヘリカルリボン翼、ダブルヘリカ
ルリボン翼、パドル翼 めっき液中Sn2+イオン濃度を10分毎に滴定により測定
し、錫溶解速度(g/hr・kg)を求めた。まためっき液を
少量採取し、含有するスラッジを濾過、秤量してスラッ
ジ発生速度(g/hr・kg)を求めた。
【0039】本実施例1〜3においては、吹込み酸素の
平均気泡径を20〜5000μm の範囲とし、さらに前記の方
法により、発生した気泡を取り除き、めっき液中の気泡
体積率を0〜1%に調整した後に、撹拌翼を有し上方が
大気開放された錫溶解槽にめっき液を循環した結果、錫
溶解速度は150 g/hr・kg以上となり、スラッジ発生率を
0.2 %以下に低減することができた。
【0040】(実施例4)錫溶解槽を図4に示す流動槽
反応装置11とし、吹込み酸素の平均気泡径を 10000μ
m とし、錫溶解槽送液時のめっき液中の気泡体積率を
0.3%とした以外は実施例1と同様にして、めっき液を
循環した結果、錫溶解速度を150 g/hr・kg以上、スラッ
ジ発生率を0.2 %以下に低減することができた。
【0041】(実施例5)錫溶解槽を図5に示す液流発
生用ポンプ13を付設した液流反応装置12とし、吹込
み酸素の平均気泡径を0.02μm とし、錫溶解槽送液時の
めっき液中の気泡体積率を 1.0%とした以外は実施例1
と同様にして、めっき液を循環した結果、錫溶解速度を
150 g/hr・kg以上、スラッジ発生率を0.3 %以下に低減
することができた。
【0042】(実施例6)酸素富化槽として、図6に示
す加圧・減圧方式の酸素富化槽14を用い、加圧酸素富
化し、次いで常圧に復帰した後、めっき液を錫溶解槽に
供給し、実施例1と同様にしてめっき液を循環した。な
お、めっき浴電導助剤としては、フェノールスルホン酸
(遊離酸濃度として:0.5mol/L)を使用した。
【0043】図6において、15は加圧、減圧用ポン
プ、16は圧力調節弁である。すなわち、本実施例で
は、酸素富化槽の上部空間の圧力を0.3 MPa(絶対
圧)と加圧しながらめっき液に酸素を吹込み、次いで酸
素富化槽を減圧して常圧に戻し、気泡を取り除き、めっ
き液中の気泡体積率を 0.1%に調整した後、錫溶解槽に
送液した。この結果、錫溶解速度は390 g/hr・kgに向上
し、スラッジ発生率を0.3 %以下に抑えることができ
た。
【0044】(比較例1)吹込み酸素の平均気泡径を 5
00μm とし、錫溶解槽への送液時のめっき液中の気泡体
積率を、1.2 %に調整した以外は実施例1と同様に、錫
溶解槽にめっき液を循環した結果、実施例1に比べて錫
溶解速度は1/2に低下し、スラッジ発生率は38倍に上
昇した。
【0045】(比較例2)吹込み酸素の平均気泡径を40
00μm とし、錫溶解槽への送液時のめっき液中の気泡体
積率を、2.0 %に調整し、錫溶解槽を液流反応装置とし
た以外は実施例1と同様に、錫溶解槽にめっき液を循環
した結果、実施例1に比べて錫溶解速度は1/3に低下
し、スラッジ発生率は65倍に上昇した。
【0046】(比較例3)吹込み酸素の平均気泡径を35
μm 、錫溶解槽への送液時のめっき液中の気泡体積率
を、5.0 %に調整した以外は実施例1と同様に、錫溶解
槽にめっき液を循環した結果、実施例1に比べて錫溶解
速度は1/5に低下し、スラッジ発生率は157 倍に上昇
した。
【0047】(比較例4)めっき液への吹込み酸素の平
均気泡径を 15000μm とし、錫溶解槽を流動槽反応装置
とした以外は実施例1と同様にして、錫溶解槽にめっき
液を循環した結果、酸素のめっき液中への分散効果が低
減し、錫溶解速度が低下した。 (比較例5)めっき液への吹込み酸素の平均気泡径を、
0.005 μm とした以外は実施例1と同様にして、錫溶解
槽にめっき液を循環した結果、錫溶解速度やスラッジ発
生率は変わらないものの、めっき液中に分散した細かい
気泡が除去されず、電気めっき時に不めっきが生じた。
【0048】(比較例6)錫溶解槽の撹拌翼の回転速度
を8回転/分とし、めっき液への吹込み酸素の平均気泡
径を、1200μm とした以外は実施例1と同様にして、錫
溶解槽にめっき液を循環した結果、錫とめっき液の混合
−接触効率が低減し、錫溶解速度の低下およびスラッジ
発生率の上昇をきたした。
【0049】前記の実施例1〜6、比較例1〜6の試験
結果をまとめて表1に示す。また、実施例1〜6、比較
例1〜6で得られた、めっき液中の気泡体積率とスラッ
ジ発生率との関係を図1に、めっき液中の気泡体積率と
錫溶解速度との関係を図2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】以上の実施例1〜6、比較例1〜6の試験
結果から、めっき液中へ吹込む酸素含有気体の気泡径、
めっき液中の気泡体積率を制御し、得られためっき液を
錫溶解槽へ送液することによって、電気錫めっき方法に
とって極めて重要なスラッジ発生率を低減し、かつ錫溶
解速度を高めることが可能であることが示される。
【0052】
【発明の効果】本発明は、不溶性陽極を用いて鋼その他
の金属に、酸性錫めっき液にて電気錫めっきを行う際
に、めっき液にSn2+イオンを迅速に供給して、錫めっき
液中のSn 2+イオン濃度を適正な範囲に管理し、さらに錫
スラッジ量を低減するための効率的な方法を提供するも
のである。本発明は省資源、省力化、生産能率、製品品
質の向上に寄与するところ大であり、またスラッジ発生
によるめっき液の劣化低減効果が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】めっき液中の気泡体積率とスラッジ発生率との
関係を示すグラフである。
【図2】めっき液中の気泡体積率と錫溶解速度との関係
を示すグラフである。
【図3】実施例における電気錫めっき装置の構成図であ
る。
【図4】実施例における電気錫めっき装置に付属する錫
溶解槽(流動槽反応装置)の構成図である。
【図5】実施例における電気錫めっき装置に付属する錫
溶解槽(液流反応装置)の構成図である。
【図6】実施例における電気錫めっき装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 電気めっき槽 2 酸素富化槽 3 錫溶解槽(撹拌装置) 4 酸素含有気体吹込み管 5 酸素含有気体吹込み用の多孔体 6 気泡(酸素含有気体) 7 酸素富化用撹拌機 8 金属錫粒 9 撹拌翼 10 金属錫補給ホッパ 11 錫溶解槽(流動槽反応装置) 12 錫溶解槽(液流反応装置) 13 液流発生用ポンプ 14 酸素富化槽(加圧・減圧方式) 15 加圧、減圧用ポンプ 16 圧力調節弁 17 バルブ 18 ストリップ 19 めっき液移動方向 20 送液ポンプ 21 ダンパ 22 大気開放管 23 不溶性陽極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法に
    おいて、電気めっき槽と別個に設けた酸素富化槽内でめ
    っき液に平均気泡径が0.01〜 10000μm の酸素含有気体
    を吹込み、かつ、酸素富化槽内めっき液中の気泡体積率
    を1%以下に調整し、得られた酸素溶存めっき液を金属
    錫を保持した錫溶解槽に供給し錫を溶解させ、酸素富化
    槽と錫溶解槽と電気めっき槽の間でめっき液を循環させ
    ることを特徴とする不溶性陽極を用いた電気錫めっき方
    法。
  2. 【請求項2】 酸素富化槽内で酸素含有気体を吹込む際
    に、前記槽内上部空間気相圧力を0.2 〜10MPa(絶対
    圧)の範囲に加圧保持することを特徴とする請求項1記
    載の不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法。
  3. 【請求項3】 錫溶解槽として、撹拌翼を有する錫溶解
    槽を用い、該槽内上部が大気圧または負圧の条件下、か
    つ攪拌条件下、酸素溶存めっき液を前記槽内下方から供
    給することを特徴とする請求項1または2記載の不溶性
    陽極を用いた電気錫めっき方法。
  4. 【請求項4】 錫溶解槽の撹拌翼として、ヘリカルリボ
    ン翼またはダブルヘリカルリボン翼を用い、該攪拌翼の
    回転数が10〜 600回転/分の条件下、酸素溶存めっき液
    を前記槽内下方から供給することを特徴とする請求項3
    記載の不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法。
  5. 【請求項5】 錫溶解槽として流動層反応装置を用い、
    該反応装置の下部から酸素溶存めっき液を供給すること
    を特徴とする請求項1または2記載の不溶性陽極を用い
    た電気錫めっき方法。
  6. 【請求項6】 錫溶解槽として、液流を発生させる装置
    を有する反応装置を用い、該反応装置の上部、下部また
    は横部の少なくとも1か所から酸素溶存めっき液を供給
    することを特徴とする請求項1または2記載の不溶性陽
    極を用いた電気錫めっき方法。
JP18600995A 1995-07-21 1995-07-21 不溶性陽極を用いた電気錫めっき方法 Pending JPH0931698A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001009409A1 (en) * 1999-07-30 2001-02-08 Centro Sviluppo Materiali S.P.A. Process for the solution of metals into an electrolytic deposition solution and solution plant operating such process
JP2017504715A (ja) * 2013-12-05 2017-02-09 ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド 調節されたpHを有するメタンスルホン酸第一スズ溶液

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