JPH09316682A - Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板およびその製造方法Info
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- JPH09316682A JPH09316682A JP13510496A JP13510496A JPH09316682A JP H09316682 A JPH09316682 A JP H09316682A JP 13510496 A JP13510496 A JP 13510496A JP 13510496 A JP13510496 A JP 13510496A JP H09316682 A JPH09316682 A JP H09316682A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 良好なプレス成形性、平滑で良好なめっき外
観および優れた耐食性を有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気め
っき鋼板およびその製造方法の提供。 【解決手段】 めっき皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％
で、目付量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系
合金電気めっき鋼板において、めっき皮膜中のカーボン
含有率が200ppm以下であるＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき
鋼板、および、Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造
方法において、電気めっき槽内のめっき液中のカーボン
含有率を100ppm以下となるように規制、管理するＺｎ−
Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法。
観および優れた耐食性を有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気め
っき鋼板およびその製造方法の提供。 【解決手段】 めっき皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％
で、目付量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系
合金電気めっき鋼板において、めっき皮膜中のカーボン
含有率が200ppm以下であるＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき
鋼板、および、Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造
方法において、電気めっき槽内のめっき液中のカーボン
含有率を100ppm以下となるように規制、管理するＺｎ−
Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用鋼板、家
電製品など、特に自動車用鋼板として用いられるめっき
鋼板に関し、プレス加工のような外的な力に耐えうる良
好なプレス成形性、平滑で良好なめっき外観および優れ
た防錆性能を要求される用途に適したＺｎ−Ｎｉ系合金
電気めっき鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
電製品など、特に自動車用鋼板として用いられるめっき
鋼板に関し、プレス加工のような外的な力に耐えうる良
好なプレス成形性、平滑で良好なめっき外観および優れ
た防錆性能を要求される用途に適したＺｎ−Ｎｉ系合金
電気めっき鋼板およびその製造方法に関するものであ
る。
【０００２】
【従来の技術】鋼板を防食する手段として、従来から亜
鉛めっきが汎用されており、亜鉛めっきを施した表面処
理鋼板は、自動車や家電を中心として広く使用されてき
た。また耐食性向上のために、亜鉛めっきの他にＺｎ−
Ｎｉ合金めっき、Ｚｎ─Ｆｅ合金めっきのような亜鉛合
金めっきが使用されている。
鉛めっきが汎用されており、亜鉛めっきを施した表面処
理鋼板は、自動車や家電を中心として広く使用されてき
た。また耐食性向上のために、亜鉛めっきの他にＺｎ−
Ｎｉ合金めっき、Ｚｎ─Ｆｅ合金めっきのような亜鉛合
金めっきが使用されている。
【０００３】なかでも、Ｚｎ−Ｎｉ合金めっきは、裸耐
食性に優れ、またＺｎ−Ｎｉ合金めっきの上にクロメー
ト処理層を介して有機樹脂を薄膜被覆処理した有機被覆
鋼板は、裸耐食性が著しく改善されることから、自動車
車体内面に大量に使用されている。ところで、Ｚｎ−Ｎ
ｉ合金電気めっき鋼板におけるめっきの外観、耐食性、
摺動性は、めっき皮膜中の不純物、主としてＰｂなどの
重金属の濃度に著しく左右されることが知られている。
食性に優れ、またＺｎ−Ｎｉ合金めっきの上にクロメー
ト処理層を介して有機樹脂を薄膜被覆処理した有機被覆
鋼板は、裸耐食性が著しく改善されることから、自動車
車体内面に大量に使用されている。ところで、Ｚｎ−Ｎ
ｉ合金電気めっき鋼板におけるめっきの外観、耐食性、
摺動性は、めっき皮膜中の不純物、主としてＰｂなどの
重金属の濃度に著しく左右されることが知られている。
【０００４】このような不純物はめっき液薬剤等の調
整、鋼板等の製造工程において含まれ、薬剤、鋼板など
とともにめっき浴中に不可避的に混入し、めっき工程に
おいてめっき皮膜中にＺｎ、Ｎｉと共に共析し、吸着さ
れるもので、めっき皮膜の結晶粒を粗大化させて光沢を
消失し、色ムラを生じさせる原因となっていた。さらに
は、電気的に卑なめっき皮膜中に重金属が混入すると、
めっき皮膜中に電位差による局部電池が形成されて、め
っき皮膜が溶解し耐食性が低下するので、高耐食性鋼板
においては重大な問題となっていた。
整、鋼板等の製造工程において含まれ、薬剤、鋼板など
とともにめっき浴中に不可避的に混入し、めっき工程に
おいてめっき皮膜中にＺｎ、Ｎｉと共に共析し、吸着さ
れるもので、めっき皮膜の結晶粒を粗大化させて光沢を
消失し、色ムラを生じさせる原因となっていた。さらに
は、電気的に卑なめっき皮膜中に重金属が混入すると、
めっき皮膜中に電位差による局部電池が形成されて、め
っき皮膜が溶解し耐食性が低下するので、高耐食性鋼板
においては重大な問題となっていた。
【０００５】このために、めっき皮膜中の不純物の影響
を低下させるために、めっき工程において、めっき浴に
おけるＰｂなどの不純物の濃度を低減する方法、めっき
液におけるＺｎ、Ｎｉ等の合金成分の総量を制御管理す
る方法、めっき皮膜中の合金成分を所定の範囲に制御管
理する方法が提案されていた。しかし、これらの方法
は、いずれもめっき浴中のＰｂなどの不純物の濃度の低
減手段、めっき皮膜中の合金組成について検討が加えら
れるに留まっており、めっき皮膜中の不純物濃度と、そ
れらがめっき品質に与える影響についての定量的な把握
がなされておらず、十分なめっき品質管理が出来ないな
どの問題があった。
を低下させるために、めっき工程において、めっき浴に
おけるＰｂなどの不純物の濃度を低減する方法、めっき
液におけるＺｎ、Ｎｉ等の合金成分の総量を制御管理す
る方法、めっき皮膜中の合金成分を所定の範囲に制御管
理する方法が提案されていた。しかし、これらの方法
は、いずれもめっき浴中のＰｂなどの不純物の濃度の低
減手段、めっき皮膜中の合金組成について検討が加えら
れるに留まっており、めっき皮膜中の不純物濃度と、そ
れらがめっき品質に与える影響についての定量的な把握
がなされておらず、十分なめっき品質管理が出来ないな
どの問題があった。
【０００６】しかし、特公昭58-36070号公報に開示され
ているように、めっき品質へのＰｂ、Ｓｂ、Ｃｕ等重金
属の不純物元素の影響が明らかにされ、めっき皮膜中の
不純物濃度を各不純物毎に設定した許容範囲内に規制す
ることによって、めっき外観や耐食性に優れた合金電気
めっき鋼板が得られるようになった。一方、Ｚｎ−Ｎｉ
合金電気めっきにおいては、めっき皮膜中に不純物とし
て、カーボンのような無機物が混入する。
ているように、めっき品質へのＰｂ、Ｓｂ、Ｃｕ等重金
属の不純物元素の影響が明らかにされ、めっき皮膜中の
不純物濃度を各不純物毎に設定した許容範囲内に規制す
ることによって、めっき外観や耐食性に優れた合金電気
めっき鋼板が得られるようになった。一方、Ｚｎ−Ｎｉ
合金電気めっきにおいては、めっき皮膜中に不純物とし
て、カーボンのような無機物が混入する。
【０００７】これは、例えば、Ｚｎ−Ｎｉめっきのめっ
き源として、微量のカーボンを含有する薬剤や金属粉を
めっき液に溶解して使用するが、この場合電気めっきを
行うと、必然的に浮遊したカーボンがめっき層中に取り
込まれるためである。また、鋼板表面がカーボンで汚染
されていると、脱脂、酸洗工程やめっき中に鋼板表面か
ら剥離・付着したカーボンが、電気めっき工程でめっき
層中に取り込まれる。
き源として、微量のカーボンを含有する薬剤や金属粉を
めっき液に溶解して使用するが、この場合電気めっきを
行うと、必然的に浮遊したカーボンがめっき層中に取り
込まれるためである。また、鋼板表面がカーボンで汚染
されていると、脱脂、酸洗工程やめっき中に鋼板表面か
ら剥離・付着したカーボンが、電気めっき工程でめっき
層中に取り込まれる。
【０００８】めっき層中のカーボンに関しては、摺動性
の向上を目的とした数重量％以上の大量のカーボンを含
有するめっきが開示されているが（特公昭55-16236号公
報、特開昭54-45634号公報参照）、このような大量にカ
ーボンを含有するめっき鋼板は、自動車用鋼板のよう
に、プレス加工時や自動車走行時の飛び石のような外的
な力に耐えうる良好なめっき密着性、平滑で良好なめっ
き外観および優れた防錆性能を要求される用途には全く
適しない。
の向上を目的とした数重量％以上の大量のカーボンを含
有するめっきが開示されているが（特公昭55-16236号公
報、特開昭54-45634号公報参照）、このような大量にカ
ーボンを含有するめっき鋼板は、自動車用鋼板のよう
に、プレス加工時や自動車走行時の飛び石のような外的
な力に耐えうる良好なめっき密着性、平滑で良好なめっ
き外観および優れた防錆性能を要求される用途には全く
適しない。
【０００９】このようにめっき層中にカーボンを含有す
る鋼板においては、めっき皮膜中のカーボン濃度とめっ
き品質に与える影響についての把握が従来なされておら
ず、十分なめっき品質の管理が出来ないなどの問題があ
った。
る鋼板においては、めっき皮膜中のカーボン濃度とめっ
き品質に与える影響についての把握が従来なされておら
ず、十分なめっき品質の管理が出来ないなどの問題があ
った。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に
鑑みてなされたものであって、めっき皮膜中のカーボン
がめっき品質に与える影響について定量的に把握し、良
好なプレス成形性、平滑で良好なめっき外観および優れ
た耐食性を有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
鑑みてなされたものであって、めっき皮膜中のカーボン
がめっき品質に与える影響について定量的に把握し、良
好なプレス成形性、平滑で良好なめっき外観および優れ
た耐食性を有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】第１の発明は、鋼板の少
なくとも一方の表面に、めっき皮膜中のＮｉ含有率が８
〜18wt％で、目付量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ
−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板において、めっき皮膜中の
カーボン含有率が200ppm(;200 ×10-4wt％) 以下である
ことを特徴とするＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板であ
る。
なくとも一方の表面に、めっき皮膜中のＮｉ含有率が８
〜18wt％で、目付量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ
−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板において、めっき皮膜中の
カーボン含有率が200ppm(;200 ×10-4wt％) 以下である
ことを特徴とするＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板であ
る。
【００１２】第２の発明は、鋼板の少なくとも一方の表
面に、めっき皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％で、目付
量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気
めっき鋼板の製造方法において、電気めっき槽内のめっ
き液中のカーボン含有率を100ppm(;100 ×10-4wt％) 以
下となるように規制、管理することを特徴とするＺｎ−
Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法である。
面に、めっき皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％で、目付
量が10g/m2以上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気
めっき鋼板の製造方法において、電気めっき槽内のめっ
き液中のカーボン含有率を100ppm(;100 ×10-4wt％) 以
下となるように規制、管理することを特徴とするＺｎ−
Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法である。
【００１３】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、めっき皮膜中のカーボン濃度のＺ
ｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の品質に与える影響に関
して鋭意検討した結果、良好なめっき品質、すなわち、
優れたプレス成形性、めっき外観および耐食性を得るた
めには、めっき皮膜中のカーボン含有率についての許容
範囲を 200ppm 以下とすることによって、プレス成形
性、めっき外観および耐食性ともに優れたＺｎ−Ｎｉ系
合金電気めっき鋼板が得られることを見出した。
する。本発明者らは、めっき皮膜中のカーボン濃度のＺ
ｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の品質に与える影響に関
して鋭意検討した結果、良好なめっき品質、すなわち、
優れたプレス成形性、めっき外観および耐食性を得るた
めには、めっき皮膜中のカーボン含有率についての許容
範囲を 200ppm 以下とすることによって、プレス成形
性、めっき外観および耐食性ともに優れたＺｎ−Ｎｉ系
合金電気めっき鋼板が得られることを見出した。
【００１４】さらに、後述のように、これらの現象に関
して、走査電子顕微鏡を用いてめっき表面を観察した結
果、めっき皮膜中のカーボン含有率が 200ppm を超える
と、めっき皮膜表面にグラファイトの析出が多くなるた
めに、めっき表面が凸凹になり、その結果めっきの光沢
度が低下し、また摺動抵抗が増大し、プレス成形性が低
下することが分かった。
して、走査電子顕微鏡を用いてめっき表面を観察した結
果、めっき皮膜中のカーボン含有率が 200ppm を超える
と、めっき皮膜表面にグラファイトの析出が多くなるた
めに、めっき表面が凸凹になり、その結果めっきの光沢
度が低下し、また摺動抵抗が増大し、プレス成形性が低
下することが分かった。
【００１５】また本発明によって得られた新たな知見に
より、めっき液の適切な管理が可能となり、品質に優れ
ためっき鋼板を大量生産する上で工業的にも利用価値が
大きい。本発明のＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板とし
ては、Zn-Ni 、Zn-Ni-Cr、Zn-Ni-Co、Zn-Ni-Fe、Zn-Ni-
Fe-Cr などの合金めっきを有する合金電気めっき鋼板が
例示される。
より、めっき液の適切な管理が可能となり、品質に優れ
ためっき鋼板を大量生産する上で工業的にも利用価値が
大きい。本発明のＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板とし
ては、Zn-Ni 、Zn-Ni-Cr、Zn-Ni-Co、Zn-Ni-Fe、Zn-Ni-
Fe-Cr などの合金めっきを有する合金電気めっき鋼板が
例示される。
【００１６】本発明のめっき鋼板のめっき皮膜中のＮｉ
含有率は、前記のいずれのめっきにおいても８〜18wt％
の範囲内であることが好ましい。これは、８wt％未満で
は耐食性が低下し、18wt％を超えた場合、めっき密着性
の低下が問題となるためである。また、めっき目付量は
鋼板片面当たり10g/m2以上、より好ましくは10〜50g/m2
の範囲内であるのが好ましい。これは、10g/m2未満では
耐食性が低下し、50g/m2を超えた場合、実用上、耐食性
向上効果が飽和し、経済性に劣るためである。
含有率は、前記のいずれのめっきにおいても８〜18wt％
の範囲内であることが好ましい。これは、８wt％未満で
は耐食性が低下し、18wt％を超えた場合、めっき密着性
の低下が問題となるためである。また、めっき目付量は
鋼板片面当たり10g/m2以上、より好ましくは10〜50g/m2
の範囲内であるのが好ましい。これは、10g/m2未満では
耐食性が低下し、50g/m2を超えた場合、実用上、耐食性
向上効果が飽和し、経済性に劣るためである。
【００１７】本発明の電気めっき鋼板を得る方法として
は、めっき液中のカーボン含有率を、好ましくは 100pp
m(;100×10 -4wt ％) 以下となるように規制、管理する
ことが好ましい。そのための具体的方法としては、好ま
しくは、めっき液調製時に使用する金属ニッケルなど
の薬剤中のカーボン含有量を規定する方法、建浴時の
めっき液または適宜抜き出しためっき浴中のめっき液
を、濾過・精製または遠心分離・精製して無機質のカー
ボンを除去する方法、建浴時のめっき液または適宜抜
き出しためっき浴中のめっき液を溶媒抽出し有機物とし
てのカーボンを除去する方法、または、それらを併用す
る方法などが例示される。
は、めっき液中のカーボン含有率を、好ましくは 100pp
m(;100×10 -4wt ％) 以下となるように規制、管理する
ことが好ましい。そのための具体的方法としては、好ま
しくは、めっき液調製時に使用する金属ニッケルなど
の薬剤中のカーボン含有量を規定する方法、建浴時の
めっき液または適宜抜き出しためっき浴中のめっき液
を、濾過・精製または遠心分離・精製して無機質のカー
ボンを除去する方法、建浴時のめっき液または適宜抜
き出しためっき浴中のめっき液を溶媒抽出し有機物とし
てのカーボンを除去する方法、または、それらを併用す
る方法などが例示される。
【００１８】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 （実施例１）流動槽のめっき装置を用い、陽極板として
幅100mm 、長さ200mm の白金板を、また陰極板として同
一寸法の板厚0.8mm の冷延鋼板をアルカリ脱脂、硫酸酸
洗後に差し入れ、下記めっき浴組成、pHおよび浴温の条
件下で両極間に電流密度100A/dm2の通電を行い、めっき
皮膜中のＮｉ含有率が13wt％、めっき目付量が20g/m2の
Ｚｎ−Ｎｉ合金電気めっきを行った。
する。 （実施例１）流動槽のめっき装置を用い、陽極板として
幅100mm 、長さ200mm の白金板を、また陰極板として同
一寸法の板厚0.8mm の冷延鋼板をアルカリ脱脂、硫酸酸
洗後に差し入れ、下記めっき浴組成、pHおよび浴温の条
件下で両極間に電流密度100A/dm2の通電を行い、めっき
皮膜中のＮｉ含有率が13wt％、めっき目付量が20g/m2の
Ｚｎ−Ｎｉ合金電気めっきを行った。
【００１９】さらに、めっき液中のカーボン含有率を変
えることにより、冷延鋼板めっき皮膜中のカーボン含有
率を変え、めっき皮膜中のカーボン含有率とめっき品質
との関係を調査した。 〔めっき浴組成；〕 NiSO4 ・6H2O:367.9g/1 ZnSO4 ・7H2O:172.4g/1 Na2SO4 : 30g/1 pH : 1.4 浴温 : 60℃ なお、カーボン無添加のめっき液は、前記薬剤の純度の
選択によりカーボン含有率を０ppm と規制し、めっき浴
中に添加したカーボンは、市販のグラファイト(平均粒
径3.5 μm 、最大粒径16μm)を用いた。
えることにより、冷延鋼板めっき皮膜中のカーボン含有
率を変え、めっき皮膜中のカーボン含有率とめっき品質
との関係を調査した。 〔めっき浴組成；〕 NiSO4 ・6H2O:367.9g/1 ZnSO4 ・7H2O:172.4g/1 Na2SO4 : 30g/1 pH : 1.4 浴温 : 60℃ なお、カーボン無添加のめっき液は、前記薬剤の純度の
選択によりカーボン含有率を０ppm と規制し、めっき浴
中に添加したカーボンは、市販のグラファイト(平均粒
径3.5 μm 、最大粒径16μm)を用いた。
【００２０】実験結果を、図１〜図３に示す。図１にお
いて、横軸はめっき皮膜中のカーボン含有率を、縦軸は
塩水噴霧試験(JIS Zー2371) 後10％赤錆発生迄の時間
(日) を示す。図２において、横軸は同じくめっき皮膜
中のカーボン含有率を、縦軸は入射光束の入射角が60°
の条件下でのめっき鋼板の光沢度を示す。
いて、横軸はめっき皮膜中のカーボン含有率を、縦軸は
塩水噴霧試験(JIS Zー2371) 後10％赤錆発生迄の時間
(日) を示す。図２において、横軸は同じくめっき皮膜
中のカーボン含有率を、縦軸は入射光束の入射角が60°
の条件下でのめっき鋼板の光沢度を示す。
【００２１】さらに、図３において、横軸は同じくめっ
き皮膜中のカーボン含有率を、縦軸は限界絞り比 (−）
（ＬＤＲ）を示す。また図１〜図３中の斜線領域は、本
実験から明らかとなった電気めっき皮膜中のカーボン含
有率の許容範囲を示している。図１に示すように、めっ
き皮膜中のカーボン含有率が200ppm以下の範囲では、10
％赤錆発生までの時間が15日またはそれ以上であるのに
対して、200ppmを超えると耐食性が急激に低下し、2000
ppm 以上では11日と低下する。
き皮膜中のカーボン含有率を、縦軸は限界絞り比 (−）
（ＬＤＲ）を示す。また図１〜図３中の斜線領域は、本
実験から明らかとなった電気めっき皮膜中のカーボン含
有率の許容範囲を示している。図１に示すように、めっ
き皮膜中のカーボン含有率が200ppm以下の範囲では、10
％赤錆発生までの時間が15日またはそれ以上であるのに
対して、200ppmを超えると耐食性が急激に低下し、2000
ppm 以上では11日と低下する。
【００２２】また、図２に示すように、めっき皮膜中の
カーボン含有率が200ppm以下の範囲では、めっき鋼板の
光沢度が54％以上であるのに対して、200ppmを超えると
光沢度が急激に低下し、2000ppm 以上では40％以下に低
下する。さらに、図３に示すように、めっき皮膜中のカ
ーボン含有率が200ppm以下では、限界絞り比（ＬＤＲ）
は2.25以上であるのに対して、200ppmを超えるとＬＤＲ
が急激に低下し、 800ppm 以上では2.0 に低下する。
カーボン含有率が200ppm以下の範囲では、めっき鋼板の
光沢度が54％以上であるのに対して、200ppmを超えると
光沢度が急激に低下し、2000ppm 以上では40％以下に低
下する。さらに、図３に示すように、めっき皮膜中のカ
ーボン含有率が200ppm以下では、限界絞り比（ＬＤＲ）
は2.25以上であるのに対して、200ppmを超えるとＬＤＲ
が急激に低下し、 800ppm 以上では2.0 に低下する。
【００２３】これらの現象に関して、走査電子顕微鏡を
用いてめっき表面を観察した結果、めっき皮膜中のカー
ボン含有率が 200ppm を超えると、めっき皮膜表面に
グラファイトの析出が多くなるために、めっき表面が凸
凹になり、めっきの光沢度が低下すること、まためっ
き表面が凸凹になるために、プレス加工時に摺動抵抗が
増大し、プレス成形性が低下することが分かった。
用いてめっき表面を観察した結果、めっき皮膜中のカー
ボン含有率が 200ppm を超えると、めっき皮膜表面に
グラファイトの析出が多くなるために、めっき表面が凸
凹になり、めっきの光沢度が低下すること、まためっ
き表面が凸凹になるために、プレス加工時に摺動抵抗が
増大し、プレス成形性が低下することが分かった。
【００２４】さらに、塩水噴霧試験でのめっきの裸耐食
性は、めっきの腐食生成物中に導電性のグラファイトが
残存するために、腐食電流が流れて腐食が促進されると
推定された。以上述べたように、本実験により、プレス
加工時のプレス成形性、めっき外観および耐食性の３者
いずれもが所定レベルを満足するためには、めっき皮膜
中のカーボン含有率を 200ppm 以下に規制する必要があ
ることが分かった。
性は、めっきの腐食生成物中に導電性のグラファイトが
残存するために、腐食電流が流れて腐食が促進されると
推定された。以上述べたように、本実験により、プレス
加工時のプレス成形性、めっき外観および耐食性の３者
いずれもが所定レベルを満足するためには、めっき皮膜
中のカーボン含有率を 200ppm 以下に規制する必要があ
ることが分かった。
【００２５】（実施例２）水平セル型の連続電気めっき
装置を使用し、下記条件下で、めっき皮膜中Ｎｉ含有率
が12.5wt％、めっき目付量が20g/m2のＺｎ−Ｎｉ合金電
気めっき鋼板を製造した。 〔被めっき材；〕アルカリ脱脂、硫酸酸洗後の冷延鋼板 〔めっき浴；〕 めっき液含有成分：NiSO4 、ZnSO4 、Na2SO4 めっき液 pH ：1.4 （硫酸酸性） なお、電気めっき槽の陽極としては、金属基体がTi、皮
膜がIrO2からなる不溶性陽極を用い、また、Ni、Znの供
給は、金属Ni、金属Znを溶解槽で溶解した後、電気めっ
き槽に供給することにより行った。
装置を使用し、下記条件下で、めっき皮膜中Ｎｉ含有率
が12.5wt％、めっき目付量が20g/m2のＺｎ−Ｎｉ合金電
気めっき鋼板を製造した。 〔被めっき材；〕アルカリ脱脂、硫酸酸洗後の冷延鋼板 〔めっき浴；〕 めっき液含有成分：NiSO4 、ZnSO4 、Na2SO4 めっき液 pH ：1.4 （硫酸酸性） なお、電気めっき槽の陽極としては、金属基体がTi、皮
膜がIrO2からなる不溶性陽極を用い、また、Ni、Znの供
給は、金属Ni、金属Znを溶解槽で溶解した後、電気めっ
き槽に供給することにより行った。
【００２６】また、電気めっき槽内のめっき液中のカー
ボン含有率を分析し、その結果に基づき、電気めっき槽
内のめっき液の一部を抜き出し、濾過した後、電気めっ
き槽へ再循環することにより、電気めっき槽内のめっき
液中のカーボン含有率が、100ppm以下となるように、規
制、管理した。本連続操業実験の結果、得られためっき
鋼板のめっき皮膜中のカーボン含有率は200ppm以下に維
持され、前記しためっき品質の実験期間中の平均値は下
記のとおりとなり、良好なめっき品質を得ることが可能
となった。
ボン含有率を分析し、その結果に基づき、電気めっき槽
内のめっき液の一部を抜き出し、濾過した後、電気めっ
き槽へ再循環することにより、電気めっき槽内のめっき
液中のカーボン含有率が、100ppm以下となるように、規
制、管理した。本連続操業実験の結果、得られためっき
鋼板のめっき皮膜中のカーボン含有率は200ppm以下に維
持され、前記しためっき品質の実験期間中の平均値は下
記のとおりとなり、良好なめっき品質を得ることが可能
となった。
【００２７】塩水噴霧試験(JIS Z−2371) 後10％赤錆発
生迄の時間：16日 光沢度：60％ 限界絞り比（ＬＤＲ）：2.26 なお、上記した実施例２においては、めっき液中のカー
ボン含有率の具体的目標値（上限値）を100ppmと設定し
たが、本発明は、規制、管理するめっき液中のカーボン
含有率の具体的目標値（上限値）は、100ppm以下であれ
ば特に制限されるものではない。
生迄の時間：16日 光沢度：60％ 限界絞り比（ＬＤＲ）：2.26 なお、上記した実施例２においては、めっき液中のカー
ボン含有率の具体的目標値（上限値）を100ppmと設定し
たが、本発明は、規制、管理するめっき液中のカーボン
含有率の具体的目標値（上限値）は、100ppm以下であれ
ば特に制限されるものではない。
【００２８】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、好
ましくは、めっき液中のカーボン含有率の規制、管理に
より、めっき皮膜中のカーボン含有率を許容範囲内に規
制することによって、めっき外観に優れていることは勿
論、プレス加工時のプレス成形性および耐食性も極めて
高い鋼板を得ることが可能となり、本発明は優れた効果
を奏するものである。したがって、本発明のＺｎ−Ｎｉ
系合金電気めっき鋼板は、自動車用の内板および外板用
に適した鋼板であるといえる。
ましくは、めっき液中のカーボン含有率の規制、管理に
より、めっき皮膜中のカーボン含有率を許容範囲内に規
制することによって、めっき外観に優れていることは勿
論、プレス加工時のプレス成形性および耐食性も極めて
高い鋼板を得ることが可能となり、本発明は優れた効果
を奏するものである。したがって、本発明のＺｎ−Ｎｉ
系合金電気めっき鋼板は、自動車用の内板および外板用
に適した鋼板であるといえる。
【図１】めっき皮膜中のカーボン含有率とめっき鋼板の
10％赤錆発生迄の時間との関係を示すグラフである。
10％赤錆発生迄の時間との関係を示すグラフである。
【図２】めっき皮膜中のカーボン含有率とめっき鋼板の
光沢度との関係を示すグラフである。
光沢度との関係を示すグラフである。
【図３】めっき皮膜中のカーボン含有率とめっき鋼板の
限界絞り比との関係を示すグラフである。
限界絞り比との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸塚 信夫 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 関田 貴司 岡山県倉敷市水島川崎通１丁目（番地な し） 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内
Claims (2)
- 【請求項１】 鋼板の少なくとも一方の表面に、めっき
皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％で、目付量が10g/m2以
上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板に
おいて、めっき皮膜中のカーボン含有率が200ppm以下で
あることを特徴とするＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼
板。 - 【請求項２】 鋼板の少なくとも一方の表面に、めっき
皮膜中のＮｉ含有率が８〜18wt％で、目付量が10g/m2以
上のめっきを有するＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の
製造方法において、電気めっき槽内のめっき液中のカー
ボン含有率を100ppm以下となるように規制、管理するこ
とを特徴とするＺｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13510496A JP3433612B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13510496A JP3433612B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09316682A true JPH09316682A (ja) | 1997-12-09 |
| JP3433612B2 JP3433612B2 (ja) | 2003-08-04 |
Family
ID=15143938
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13510496A Expired - Fee Related JP3433612B2 (ja) | 1996-05-29 | 1996-05-29 | Ｚｎ−Ｎｉ系合金電気めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3433612B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2018074212A1 (ja) * | 2016-10-18 | 2019-08-08 | 日本製鉄株式会社 | 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法 |
-
1996
- 1996-05-29 JP JP13510496A patent/JP3433612B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2018074212A1 (ja) * | 2016-10-18 | 2019-08-08 | 日本製鉄株式会社 | 管用ねじ継手及び管用ねじ継手の製造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3433612B2 (ja) | 2003-08-04 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
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