JPH09314076A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波振動子自体が発生する熱に起因する洗
浄効率の低下を解消する超音波洗浄装置を提供する。 【解決手段】 洗浄槽１に超音波振動子４を内設し、洗
浄液Ｌ中に浸漬した被洗浄物Ａを超音波振動子４から超
音波を放射して洗浄する超音波洗浄装置において、洗浄
槽１の底面と洗浄液Ｌの液面との中間域に洗浄液の強制
流動域Ｑを形成し、該強制流動域Ｑ内に超音波振動子４
を配置し、該強制流動域Ｑの上面から洗浄液の液面まで
の領域を前記被洗浄物の浸漬域Ｈにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、合成繊維紡糸用口
金や工具等の洗浄に使用される超音波洗浄装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、超音波洗浄装置は工作機械の工具
等の洗浄手段として有効に使用されている。一般に、こ
の超音波洗浄装置は、例えば特開平３−１０９９８２号
公報に記載されるように、水等の洗浄液を満たした洗浄
槽の底部に超音波振動子を設置し、その上方の洗浄液中
に被洗浄物を浸漬して洗浄を行うような構成になってい
る。洗浄操作は、底部の超音波振動子から超音波を放射
することにより洗浄液を振動させ、その超音波振動によ
り発生したキャビテーションの衝撃エネルギにより被洗
浄物の汚れを除去するようにしたものである。

【０００３】上述した超音波洗浄装置における重要な技
術課題の一つとして、省エネルギー、省コストの観点か
ら、如何に短時間に完全な洗浄を行えるようにするかと
いうこと、即ち洗浄効率を如何にして向上するかという
ことが挙げられている。本発明者等は、かかる超音波洗
浄装置の洗浄効率を向上する対策につき多面的に検討し
た結果、超音波振動子が超音波を放射するとき熱を同時
に発生し、その発熱が洗浄効率に対して著しく悪影響を
与えていることを発見した。

【０００４】すなわち、超音波振動子が発生する熱は、
超音波振動子の上方に設けられる被洗浄物の浸漬域に温
度斑を発生させ、その浸漬域の洗浄液の温度斑がキャビ
テーションの衝撃力を弱め、洗浄効率を低減させる原因
になっていることを知見したのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した超音波振動子自体が発生する熱に起因する洗浄効率
の低下を解消する超音波洗浄装置を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、洗浄槽に超音波振動子を内設し、該洗浄槽内の洗
浄液中に浸漬した被洗浄物を前記超音波振動子から超音
波を放射して洗浄する超音波洗浄装置において、前記洗
浄槽の底面と洗浄液の液面との中間域に前記洗浄液の強
制流動域を形成し、該強制流動域内に前記超音波振動子
を配置し、該強制流動域上面から洗浄液の液面までの領
域を前記被洗浄物の浸漬域にしたことを特徴とするもの
である。

【０００７】このように洗浄液が流動する強制流動域内
に超音波振動子を配置したことにより、超音波振動子が
発生した熱が強制流動域の洗浄液に奪われ、洗浄槽外に
排出されるようになり、そのため熱が被洗浄物浸漬域の
洗浄液に伝播して温度斑が発生しないように抑制するこ
とができる。このように浸漬域の温度斑が抑制されるこ
とにより、キャビテーションの衝撃力に対する阻害要因
が低減するため、洗浄効率を一層向上することができ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１および図２は、本発明の実施
形態からなる超音波洗浄装置を示すものである。図にお
いて、洗浄槽１には洗浄液Ｌが満たされ、余剰の洗浄液
Ｌが堰２から溢流槽３に流出して一定高さの液面が維持
されるようになっている。その洗浄液Ｌには、通常は水
が使用される。

【０００９】洗浄槽１の内側には超音波振動子４が設置
され、、架台６に支持されることにより洗浄槽１の底面
から上方の高い位置に置かれている。超音波振動子４は
洗浄槽１外側の発振器５に接続され、この発振器５の駆
動により超音波を放射するようになっている。この超音
波振動子４の上方側には、格子状の籠７が洗浄液Ｌ内に
出し入れ可能に設置されており、その籠７内に被洗浄物
Ａが収納されるようになっている。

【００１０】洗浄槽１の内壁面には、底面から洗浄液Ｌ
の液面までの中間部に吐出口８が設けられ、かつこの吐
出口８と水平方向に対面する位置に、吐出口８と略同一
の開口面積を有する吸引口９が設けられている。この吸
引口９は、さらに吸引室１０に通じている。このような
吐出口８と吸引口９とを配置したことにより、吐出口８
から吐出された洗浄液は略直線的に吸引口９に吸引され
るように流動し、両口間に強制流動域Ｑが形成される。
上記超音波振動子４は、このような強制流動域Ｑ内に置
かれている。また、この強制流動域Ｑの上面から洗浄液
Ｌの液面までの間は被洗浄物Ａの浸漬域Ｈとなり、この
被洗浄物Ａを収納するための籠７が浸漬域Ｈに対して上
下に出し入れ可能になっている。

【００１１】図示の実施態様では、吐出口８は全面開口
することによって強制流動域Ｑを形成するようにしてい
るが、この吐出口８を多数の小開口の集合体により構成
するようにしてもよい。このように吐出口８を小開口の
集合体により構成した場合は、各小開口の整流効果によ
り強制流動域Ｑの速度分布を横断面全体に均一にするこ
とができる。

【００１２】上記溢流槽３から延長する排出管１１と吸
引室１０から延長する排出管１２とは１本の配管１３に
接続され、その配管１３には循環ポンプ１４、濾過器１
５、熱交換機１６、脱気装置１７が順に連結され、最後
に端部が吐出口８に接続されて循環路を形成するように
している。上記循環ポンプ１４は、洗浄槽１の吸引口９
に吸引された洗浄液と溢流槽３に回収された洗浄液とを
強制的に吸引し、配管１３を介して再び洗浄槽１の吐出
口８から吐出するようにする。濾過器１５は、強制循環
中の洗浄液に含まれる夾雑物を除去するものである。熱
交換機１６は、強制循環中の洗浄液と熱交換を行い、洗
浄液の温度を一定範囲に維持するようにする。また、脱
気装置１７は、強制循環中の洗浄液に含まれる空気など
を脱気し、その酸素含有量を一定水準以下に維持するよ
うにする。

【００１３】上述した超音波洗浄装置により洗浄操作を
行うときは、循環ポンプ１４により洗浄液Ｌを強制循環
させながら、発振器５を駆動して超音波振動子４から超
音波を放射し、洗浄液Ｌを超音波振動させてキャビテー
ションを発生させ、そのキャビテーションの衝撃エネル
ギにより、籠７内に支持された被洗浄物Ａの汚れを洗浄
する。

【００１４】このような洗浄操作において、超音波振動
子４からは超音波の放射と共に熱を発生するが、超音波
振動子４が強制流動域Ｑ内に設置されているため、熱は
その強制流動する洗浄液に奪われ、洗浄液と共に吸引口
９に排出される。したがって、超音波振動子４が発生し
た熱は浸漬域Ｈ内に拡散することが殆どないため、浸漬
域Ｈにおける洗浄液に温度斑を発生させないように抑制
することができる。その結果、浸漬域Ｈの温度斑が原因
のキャビテーションの衝撃力低下が低減し、洗浄効率を
一層向上することができる。

【００１５】本発明の超音波洗浄装置に適用される被洗
浄物は、従来から適用されているものがいずれも適用可
能である。例えば、合成繊維紡糸用口金、工作機械の工
具などであり、特に合成繊維紡糸用口金、なかでも溶融
紡糸用口金の洗浄用として好ましく適用される。

【００１６】

【発明の効果】上述したように、本発明の超音波洗浄装
置は、洗浄液が流動する強制流動域内に超音波振動子を
配置するようにしたので、超音波振動子が発生した熱を
強制流動域の洗浄液により積極的に奪い、洗浄槽外に排
出するため、被洗浄物の浸漬域に熱が拡散して温度斑を
発生するのを抑制することができる。したがって、この
温度斑の抑制によりキャビテーションの衝撃力の低下が
なく、洗浄効率を向上するようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態からなる超音波洗浄装置の概
略図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ矢視断面図である。

【符号の説明】

１ 洗浄槽 ４ 超音波振動子 ５ 発振器 ７（被洗浄物Ａの）籠 ８ 吐出口 ９ 吸引口 １３ 配管 １４ 循環ポンプ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗浄槽に超音波振動子を内設し、洗浄液
   中に浸漬した被洗浄物を前記超音波振動子から超音波を
   放射して洗浄する超音波洗浄装置において、前記洗浄槽
   の底面と洗浄液の液面との中間域に前記洗浄液の強制流
   動域を形成し、該強制流動域内に前記超音波振動子を配
   置し、該強制流動域上面から洗浄液の液面までの領域を
   前記被洗浄物の浸漬域にした超音波洗浄装置。
2. 【請求項２】 前記洗浄槽の内壁面に洗浄液の吐出口と
   吸引口とを対向するように配置し、該吐出口と吸引口と
   の間に前記洗浄液の強制流動域を形成した請求項１に記
   載の超音波洗浄装置。