JPH09309176A - 積層体およびその成形品 - Google Patents

積層体およびその成形品

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JPH09309176A
JPH09309176A JP12561896A JP12561896A JPH09309176A JP H09309176 A JPH09309176 A JP H09309176A JP 12561896 A JP12561896 A JP 12561896A JP 12561896 A JP12561896 A JP 12561896A JP H09309176 A JPH09309176 A JP H09309176A
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JP
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propylene
copolymer
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layer
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Application number
JP12561896A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Watanabe
和幸 渡辺
Kazuyoshi Nakagami
策好 中上
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 天然皮革様の外観および感触を有し、耐衝撃
性、耐熱性およびヒートサイクル性に優れ、かつホット
フロースタンピン成形性も良好な積層体。 【解決手段】(A)(1)剪断速度101 sec-1にお
ける溶融粘度η1 と剪断速度102 sec-1における溶
融粘度η2 の比(η1 /η2 )が3.5〜8であるプロ
ピレン−α−オレフィンブロック共重合体 100重量
部、(2)ゴム状重合体 5〜100重量部、(3)可
塑剤 1〜40重量部および(4)有機過酸化物 0.
005〜0.5重量部からなるブレンド物を動的に熱処
理して得られるプロピレン樹脂組成物からなる層と、
(B)コラーゲン粉末を含む皮革様表面層との、少なく
とも2層から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然皮革様の外観
および感触を有し、耐衝撃性、耐熱性およびヒートサイ
クル性に優れ、かつホットフロースタンピング成形性も
良好な積層体に関する。本積層体は、ドアトリム、天井
材、ハンドルおよびインパネなどの自動車用内装部品に
特に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】近年、ホットフロースタンピング成形加
工用熱可塑性樹脂シート(スタンパブルシートの一種)
が、特に注目を浴びている。自動車部品分野の軽量化、
耐食性、成形加工性、量産性の向上などの要求と相まっ
て、その用途が急速に拡大している。スタンパブルシー
トのなかでも、押出機のノズルやダイスより押し出され
た溶融状態の樹脂や半溶融状態のシートを製品の型に供
給し、賦型するホットフロースタンピング成形法は、通
常のスタンパブルシート成形法のように、一度固化した
シート原反を再加熱して賦型しないので、シート成形、
賦型が1工程ででき経済的に有利であるので特に注目さ
れている。
【0003】従来、自動車用内装材の表皮材としては、
軟質塩化ビニル樹脂が用いられていた。しかしながら、
塩化ビニル樹脂は、可塑剤を含んでいるためブリードア
ウトの問題や燃焼時有毒ガスが発生するという問題、さ
らには、リサイクルが困難であるなど、近年地球環境保
護の観点から、これに替わる代替品が望まれていた。そ
こで、オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる方法
が提案されている。これらの方法としては、例えば、エ
チレン−プロピレンゴムとエチレン−プロピレンランダ
ム共重合体に有機パーオキサイドを添加し、溶融混練し
た樹脂組成物(特開平5−331326号公報)、オレ
フィン共重合体ゴムに鉱物油系軟化剤を添加した油展オ
レフィンとオレフィン系重合体を部分的に架橋した熱可
塑性エラストマー(特開平6−57065号公報)、ポ
リ−1−ブテン樹脂と部分架橋熱可塑性エラストマーと
の組成物(特開平6−256538号公報、特開平6−
287323号公報、特開平6−287377号公報、
特開平7−179624号公報など)が開示されてい
る。
【0004】しかし、これらの方法はいずれもホットフ
ロースタンピング成形性、柔軟性およびリサイクル性に
劣るとういう問題があった。また、自動車内装用部品
は、高級化志向に伴い、表面が天然皮革のような外観、
感触が要求されている。この皮革様表面は、従来塩化ビ
ニルの表面に、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂等
をバインダーとしたシリカ等の無機顔料を艶消し剤を配
合した仕上げ剤を塗工し、表面をシボ加工して皮革模様
を付与していた。しかし、この方法では、外観は、艶、
模様等は皮革様になるものの、感触、暖かみ、さらさら
感、吸放湿性が皮革様にならなかった。
【0005】そこで、上記の無機顔料の替わりに皮革屑
を粉砕して得られる皮革繊維粉または皮革粉を用いた塗
工剤が自動車内装材料の表面形成剤として種々提案され
ている。しかし、これらは以下の問題点を有していた。
例えば、特開昭49−7405号公報は、コラーゲン繊
維径が大きいため、熱可塑性樹脂との相溶性に劣り、外
観が劣っていた。特開昭63−236636号公報は嵩
密度が大きいので、吸放湿性に劣っていた。皮革粉含有
フィルム叉はシートを、塗膜として直接或いは接着剤を
介して基材に積層した積層体が特公平7−103248
号公報に記載されている。また、特開平3−19580
0号公報には、コラーゲン粉末を熱可塑性樹脂に配合
し、溶融成形した皮革様成形品が開示されている。しか
し、これらの方法は、コラーゲン粉末と熱可塑性樹脂と
の相溶性に乏しく、成形品の外観が劣ったり、成形中に
コラーゲンが熱劣化するとか、これら分解物の臭いが発
生するという問題があった。
【0006】一方、塗料や人工皮革、合成皮革あるいは
塩化ビニルレザー等の分野では、例えば特開昭61−1
63850号公報、特開昭63−236636号公報、
特開平3−195800号公報に記載されているよう
に、不溶性コラーゲン、トロポコラーゲン、アテロコラ
ーゲンまたはこれらの混合物、架橋物のコラーゲン粉
末、または皮革くずを合成樹脂に混入しシート状に成形
したり、コーティング処理を施す技術が知られている。
しかし、これらの方法では、コラーゲン粉末分散物の保
存安定性に劣るとか、人肌様の風合いが十分に得られな
い、およびコーティング処理時にママコが生じたりする
問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
皮革様の外観および感触を有し、耐衝撃性、耐熱性およ
びヒートサイクル性に優れ、かつホットフロースタンピ
ン成形性も良好な積層体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、特定の物性を有するプロピレン−α−オ
レフィンブロック共重合体からなる層に、コラーゲン含
有皮革様表面形成剤を塗工することにより上記目的を達
成しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(A)(1)スリッ
トダイ法により測定される剪断速度101 sec-1にお
ける溶融粘度η1 と剪断速度102 sec-1における溶
融粘度η2 の比(η1 /η2 )が3.5〜8であるプロ
ピレン−α−オレフィン共重合体100重量部、(2)
ゴム状重合体 5〜100重量部、(3)鉱物油系軟化
剤およびフタル酸エステル系可塑剤およびシリコーンオ
イルからなる群から選ばれた少なくとも1種の可塑剤
1〜40重量部および(4)有機過酸化物0.005〜
0.5重量部からなるブレンド物を動的に熱処理して得
られ、かつ、下記(a)〜(e)の性状を有するプロピ
レン樹脂組成物からなる層と、(B)コラーゲン粉末を
含む皮革様表面層との、少なくとも2層から構成されて
なる積層体を提供するものである。 (a)メルトフローレート(JIS K7210に準拠
し、温度230℃、荷重2.16Kgの条件で測定):
2〜300g/10分 (b)示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融
解曲線の主吸熱ピーク温度Tm:130〜150℃ (c)DSCを用いて測定される結晶化曲線の主発熱ピ
ーク温度Tcp:80〜100℃ (d)主発熱ピーク温度Tcpの半値幅:5.0℃以上 (e)発熱エネルギー:30J/g以下
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いる(A)層を構成す
る(1)プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体
(以下、「BPP」という)は、ポリプロピレンブロッ
クと、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体である。本発明のBP
Pは、スリットダイ法により測定される剪断速度101
sec-1における溶融粘度η1 と剪断速度102 sec
-1における溶融粘度η2 の比(η1 /η2 )が3.5〜
8であることが必要である。溶融粘度比(η1 /η2
は4.0〜7.5が好ましく、とりわけ4.5〜7が好
適である。溶融粘度比が3.5未満ではドローダウンが
大きくモールドプレス成形性が劣る。一方、8を超える
とモールドプレス成形性が劣り好ましくない。
【0011】なお、スリットダイ法とは、幅20mm、
高さ1.5mm、長さ60mmのスリットダイを用いて
温度170℃において溶融粘度を測定する方法である。
この方法については、C.D.Han;Rheology in Polymer Pr
ocessing,Academic, New York(1976) およびJ.L.White;
Principles of Polymer Engineering Rheology,JohnWi
ley,New York(1990) に詳しい記載がある。具体的に
は、市販のスリットダイを有する粘度計(例えば、東洋
精機製作所製ラボプラストミルD20−20型)を用い
て測定することができる。
【0012】本発明のBPPの好ましい例としては、ポ
リプロピレンブロックと、プロピレンと炭素数2〜12
(ただし、3を除く)のα−オレフィンとの共重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体が挙げられる。該α−
オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブ
テン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、4−ジメチル−1−ペンテン、ビニルシクロペ
ンタン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。これら
のα−オレフィンは1種でもよく、2種以上を混合して
用いてもよい。共重合体ブロックが全共重合体中に占め
る割合は、一般に30〜70重量%であり、35〜68
重量%が好ましく、とりわけ40〜65重量%が好適で
ある。
【0013】また、モールドプレス成形性に優れるBP
Pとしては、下記(イ)および(ロ)の特性を有するも
のが好ましい。すなわち、(イ)温度25℃におけるパ
ラキシレン不溶分が25〜65重量%であること、およ
び(ロ)温度25℃におけるパラキシレンに可溶分は、
(i)2サイトモデルによる平均のプロピレン含量(F
P)が20〜80モル%、(ii)2サイトモデルにおい
てプロピレンを優先的に重合する活性点で生成する共重
合体(PH )のプロピレン含量(PP )が65〜90モ
ル%および(iii )PHが共重合体に占める割合
(Pf1)が、0.60〜0.90の範囲である。
【0014】ここで、(イ)パラキシレン不溶分とは、
BPPを温度130℃でパラキシレンに約1重量%溶解
した後、25℃まで冷却したときに析出する不溶分であ
り、本発明のBPPは25〜65重量%が好ましく、特
に30〜60重量%が好適である。また、(ロ)パラキ
シレン可溶分は上記操作により溶解した成分であり、2
サイトモデルにより求められる性状が上記範囲にあるこ
とが好ましい。具体的には、BPPの温度25℃でのパ
ラキシレンに可溶した成分を、1,2,4−トリクロロ
ベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒にポリマー濃度
が10重量%となるように温度120℃で加温して溶解
する。この溶液を10mmφガラス製試料管に入れ、13
C−NMRスペクトルを測定する。
【0015】ここで、プロピレン−α−オレフィンの2
サイトモデルについて、プロピレン−エチレン共重合体
の同位体炭素による核磁気共鳴(13C−NMR)スペク
トルの例を図1に示す。該スペクトルは連鎖分布(エチ
レンとプロピレンの並び方)の違いで(1) 〜(10)に示す
10個のピークが現れる。この連鎖の名称は、Carman.
C.J,et al;Macromolecules,Vol.10,p536-544(1977) に
記載があり、その名称を図2に示す。このような連鎖
は、共重合の反応機構を仮定すると反応確率(P)とし
て表すことができ、全体のピーク強度を1としたときの
各(1) 〜(10)のピークの相対強度はPをパラメータとし
たベルヌーイ統計による確率方程式として表すことがで
きる。例えば、(1) のSααの場合、プロピレン単位を
p、エチレン単位を記号eとすると、これをとりうる連
鎖は[pppp]、[pppe]、[eppe]の3通
りであり、これらをそれぞれ反応確率(P)で表し、足
し合わせる。残りの(2) 〜(10)のピークについても同様
な方法で式を立て、これら10個の式と実際に測定した
ピーク強度が最も近くなるようにPを最適化することに
より求めることができる。
【0016】2サイトモデルは、この反応機構を仮定す
るモデルであり、H.N.CHENG;Jounalof Applied Polymer
Sience,Vol.35 p1639-1650(1988)に記載がある。すな
わち、触媒を用いてプロピレンとエチレンを共重合する
モデルにおいて、プロピレンを優先的に重合する活性点
で生成する共重合体(PH )のプロピレン含量(PP
とエチレンを優先的に重合する活性点で生成する共重合
体のプロピレン含量(P’P )の2つを仮定し、さらに
H が共重合体に占める割合(Pf1)をパラメータとす
ると下記表1に示す確率方程式が得られる。そして、先
に述べた13C−NMRスペクトルの相対強度と、表1に
示す確率方程式が一致するようにPP 、P’P およびP
f1の3個のパラメータを最適化することにより求められ
る。
【0017】
【表1】
【0018】本発明のBPPにおけるパラキシレン可溶
分の(i)平均プロピレン含量(FP)は、上記3個の
パラメーターを用いて次式で求められる。 FP=PP ×Pf1+PP ’×(1−Pf1) (モル
%) 上記式で求められるFPは20〜80モル%であり、さ
らに好ましくは30〜70モル%である。また、上記パ
ラメーターのうち(ii)PP は65〜90モル%が好ま
しく、とりわけ70〜85モル%が好適であり、(iii)
f1は0.40〜0.90が好ましく、とりわけ0.4
8〜0.82が好適である。
【0019】本発明のBPPの製造方法としては、ヘキ
サン、ヘプタン、灯油などの不活性炭化水素またはプロ
ピレンなどの液化α−オレフィン溶媒の存在下で行うス
ラリー法、無溶媒下の気相重合法などにより、温度条件
としては室温〜130℃、好ましくは50〜90℃、圧
力2〜50Kg/cm2 の条件で行われる。重合工程に
おける反応器は、当該技術分野で通常用いられるものが
適宜使用でき、例えば撹拌槽型反応器、流動床型反応
器、循環式反応器を用いて連続式、反回分式、回分式の
いずれかの方法でも良い。具体的には、公知の多段重合
法を用いて得られる。
【0020】すなわち、第1段の反応器でプロピレン及
び/またはプロピレン−α−オレフィン共重合体を重合
した後、第2段の反応でプロピレンとα−オレフィンと
の共重合を行う方法であり、例えば、特開平3−977
47号公報、特開平3ー205439号公報、特開平4
−153203号公報、特開平5−93024号公報、
特開平4−261423号公報などに記載されている。
上記方法で得られるBPPのJIS K7210に準拠
した温度230℃、荷重2.16Kgで測定したメルト
フロレート(以下「MFR」という)は、一般に2g/
10分以下である。
【0021】また、本発明に用いる(2)ゴム状重合体
としては、特に制限されるものはなく、例えば天然ゴム
(NR);ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム
(IR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタ
ジエンゴム(SBR)、イソブテン−イソプレンゴム
(IIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NB
R)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン
−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、
プロピレン−ブテンゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、
フロロシリコンゴム、ニトリルゴム、エピクロヒドリン
ゴムなどの合成ゴム;スチレン/イソプレン−スチレン
ブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン/イ
ソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、ス
チレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロッ
ク共重合体(SEBS)などのスチレン系エラストマ
ー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマ
ーなどの各種熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
さらに、分子量の低いゴムであるポリブテン、アタクチ
ックポリプロピレン(APP);液状BR、液状IR、
液状CRなどの液状ゴム;塩素化ポリエチレン、塩素化
エチレン−プロピレン共重合ゴムなどの塩素化ポリオレ
フィン;クロロスルホン化ポリエチレンなどが挙げられ
る。これらの中でも、EPR、SEPS、SEBSなど
が好適に用いられる。以上の各種ゴム状重合体は、いず
れも多くのグレード品が商品として販売されており、本
発明ではこれらの市販品を適宜使用することができる。
また、2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】本発明のBPP100重量部に対するゴム
状重合体の配合割合は5〜100重量部であり、10〜
90重量部が好ましく、とりわけ15〜85重量部が好
適である。配合割合が5重量未満では柔軟性に乏しい。
一方、100重量部を超えると機械的強度が低下するの
で好ましくない。
【0023】また、本発明に用いる(3)可塑剤は、鉱
物油系軟化剤、フタル酸エステル系可塑剤およびシリコ
ーンオイルからなる群から選ばれた少なくとも1種であ
る。鉱物油系軟化剤は、高沸点の石油留分で、パラフィ
ン系、ナフテン系、あるいは芳香族系などの種類があ
り、ゴム加工時の軟化剤として使用されているものであ
る。これらの中でも、パラフィン系軟化剤が好ましい。
【0024】フタル酸エステル系可塑剤は、塩化ビニル
樹脂の可塑剤として使用されているもので、例えばフタ
ル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチ
ル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸
ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタ
ル酸ジn−オクチル、フタル酸ジノリル、フタル酸ジイ
ソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘ
キシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウ
リル、フタル酸メチルオレイル等を例示することができ
る。これらの中でも、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チルおよびフタル酸ジイソブチルが好ましい。
【0025】シリコーンオイルは、直鎖状オルガノポリ
シロキサンを主体とする流動油状物質であり、作動油、
離型剤、消泡剤、塗料、化粧品などの添加剤として利用
されている。具体例としては、モノメチルポリシロキサ
ン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロ
キサンやアルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコー
ン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコ
ーン、メルカプト変性シリコーン、クロロアルキル変性
シリコーン、アルキル高級アルコール変性シリコーン、
アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコー
ン、フッ素変性シリコーンなどが挙げられる。これらの
中でも、モノメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロ
キサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましい。以
上の可塑剤は1種でもよく、2種以上を混合して用いて
もよい。
【0026】本発明において、BPP100重量部に対
する可塑剤の配合割合は、合計量として1〜40重量部
であり、2〜35重量部が好ましく、とりわけ3〜30
重量部が好適である。配合割合が1重量部未満では柔軟
性およびモールドプレス成形性に劣る。一方、40重量
部を超えるとブリードアウトの原因となるので好ましく
ない。
【0027】さらに、本発明で使用する(4)有機過酸
化物としては、特に制限されるものはないが、BPPの
融点温度における分解速度が半減期で1秒より長く、3
00℃での分解速度が10分以下のものが好ましい。好
ましい有機過酸化物を例示すれば、ハイドロパーオキサ
イド類、アルキルパーオキサイド類、アシルパーオキサ
イド類、ケトンパーオキサイド類、アルキルパーエステ
ル類、パーオキシジカーボネート類、シリコンパーオキ
サイド類等の有機過酸化物の内で上記の分解速度をもつ
もので、具体的にはt−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、1,3ビス(t−ブチル
パーオキシイソプロピル)ベンゼン、ベンゾイルパーオ
キサイド、メチルイソブチルケトンポーオキサイド、t
−ブチルパーベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシ
ジカーボネート、ビニルトリス(t−ブチルパーオキ
シ)シラン等が挙げられる。
【0028】これら有機過酸化物の配合割合は、BPP
100重量部に対して、0.005〜0.5重量部であ
り、0.01〜0.45重量部が好ましく、特に0.0
2〜0.40重量部が好適である。配合割合が0.00
5重量部未満ではモールドプレス成形性に劣る。一方、
0.5重量部を超えると機械的強度が劣る。
【0029】本発明の表皮層であるプロピレン組成物
(以下「BPP組成物」と略す)は、上記各成分のブレ
ンド物を動的に熱処理することにより得られる。熱処理
方法としては、従来公知の溶融混練法が採用できる。例
えば、オープンロール、バンバリミキサー、ニーダーな
どの混合機、あるいは押出機などを用いて混練する方法
が挙げられる。処理温度としては一般に170℃〜28
0℃であり、190〜260℃が好ましい。
【0030】こうして調製されるBPP組成物の(a)
メルトフローレート(JIS K7210に準拠し、温
度230℃、荷重2.16Kgの条件で測定、以下「M
FR」という)は2〜300g/10分であることが必
要であり、3〜250g/10分が好ましく、とりわけ
4〜200g/10分が好適である。MFRが2g/1
0分未満ではホットフロースタンピング成形性に劣る。
一方、300g/10分を超えると厚肉化が困難になる
傾向にある。
【0031】さらに、本発明のBPP組成物は、下記の
物性を有する必要がある。(b)示差走査熱量計(DS
C)を用いて測定される融解曲線の主吸熱ピーク温度T
mが130〜150℃で、(c)結晶化曲線の主発熱ピ
ーク温度Tcpが80〜100℃で、(d)結晶化曲線
の主発熱ピーク温度の半値幅が5.0℃以上で、且つ
(e)発熱エネルギーが30J/g以下である。
【0032】DSCを用いる測定方法としては、試料を
一旦230℃まで昇温し5分間保持した後、20℃/分
の降温速度で−30℃まで冷却することにより結晶化曲
線が得られる。次に−30℃で5分間保持した後、昇温
速度20℃/分の昇温速度で230℃まで昇温すること
により、融解曲線が得られる。
【0033】また、発熱エネルギーは、得られた結晶化
曲線の発熱ピーク面積から得られる。こうして求められ
る、Tmは130〜150℃であり、好ましくは132
℃〜148℃、特に好ましくは135℃〜145℃であ
る。Tmが130℃未満ではホットフロースタンピング
成形で厚肉化が困難になる。一方、150℃を超えると
ホットフロースタンピング成形性に劣る。Tcpは80
〜100℃であり、82〜98℃が好ましく、とりわけ
84〜96℃が好適である。Tcpが80℃未満ではホ
ットフロースタンピング成形時の成形サイクルおよびヒ
ートサイクル性に劣る。一方、100℃を超えると耐衝
撃性に劣る。発熱エネルギーは28J/g以下が好まし
く、特に25J/g以下が好適である。発熱エネルギー
が30J/gを超えると耐衝撃性が劣り好ましくない。
主発熱ピーク温度の半値幅は5.0℃以上であり、6.
0℃以上が好ましく、7.0℃以上が特に好ましい。半
値幅が5.0℃未満では耐衝撃性、柔軟性に劣る。上限
については、特に制限はないが、10.0℃以下の方が
成形サイクル性が良い。
【0034】更に、本発明のBPP組成物に対しては、
熱可塑性樹脂に慣用の他の添加剤(例えば、酸化防止
剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロックキング
防止剤、防曇剤、染料、顔料、オイル、ワックス等)本
発明の目的を損なわない範囲で適宜量配合できる。この
ような添加剤の例としては、例えば、酸化防止剤として
2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6ジ−t
−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6
−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデ
シル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−1’−ヒドロ
キシフェニル)プロピネート、4,4’−チオビス−
(6−ブチルフェノール)、紫外線吸収剤としてはエチ
ル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフ
ェノン、可塑剤としてフタル酸ジメチル、フタル酸ジエ
チル、ワックス、流動パラフィン、りん酸エステル、帯
電防止剤としてはペンタエリスリットモノステアレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン酸、
ポリエチレンオキシド、カーボンワックス、滑剤として
エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等、
着色剤としてカーボンブラック、フタロシアニン、キナ
クリドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベン
ガラ等、充填剤としてグラスファイバー、アスベスト、
マイカ、ワラストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ア
ルミニウム、炭酸カルシウム、又、他の多くの高分子化
合物も本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンド
することもできる。
【0035】以上のようにして得られた本発明のBPP
組成物を工業部品表皮材とする成形方法としては、以下
に挙げる方法が挙げられ、特に制限されるものはない
が、特に(7)のホットフロースタンピング成形法に好
適である。 (1)BPP組成物を表皮材層とする多層共押出成形。 (2)BPP組成物を表皮材層とする多層射出成形及び
インサート成形。 (3)Tダイ成形法またはカレンダー成形法でシート成
形した表皮材、該表皮材にポリオレフィン系樹脂または
発泡体を積層した積層体を真空成形する方法。 (4)Tダイ成形法またはカレンダー成形法でシート成
形した表皮材、該表皮材にポリオレフィン系樹脂または
発泡体を積層した積層体を真空成形し、さらにポリウレ
タン発泡層を積層する方法。 (5)BPP組成物からなる表皮材または発泡体との積
層体と、ハードボードあるいは強化プラスチックと同時
成形したもの。 (6)BPP組成物からなる表皮材または発泡体との積
層体とプラスチック基材とのスタンピング成形。 (7)BPP樹脂組成物を押出機により、発泡体やプラ
スチック基材の上に溶融押出し、プレスするホットフロ
ースタンピング成形。ホットフロースタンピング成形法
としては、上記(7)の方法の他、特開平7−8141
0号公報に開示されたような表皮材層を射出成形機で供
給する方法、および発泡層を発泡温度以下で表皮材層と
ともに金型内に押出供給し、成形する方法などが挙げら
れる。
【0036】一方、本発明の(B)皮革様表面層に含ま
れるコラーゲンとは、天然タンパク質繊維として、脊椎
動物の皮、骨、腱等に多量に存在している物質である。
一般に、ほ乳動物の全タンパク質の約1/3がコラーゲ
ンと言われており、骨、腱では90%以上にもなる。該
コラーゲンの構造としては、ポリペプチドの1次構造を
示し、高次構造は、ポリペプチド鎖の3本が絡み合い、
3重螺旋構造のコラーゲン分子(プロトフィブリル)を
形成し、これが数百本集束してフィブリルを形成してい
る。
【0037】本発明で用いるコラーゲンとしては、特に
制限はないが、例えば、以下の方法で製造されたものを
使用できる。即ち、コラーゲン粉末は、動物の皮のよう
な組織を精製、湿式粉砕、架橋、脱水、乾燥および粉砕
の各処理を施すことにより得られる。動物組織として
は、牛、豚、羊等のほ乳動物を始めとするあらゆる脊椎
動物の皮、骨、腱等のコラーゲンを多量に含む組織が使
用できる。精製処理は、通常の方法でアルカリ処理し
て、水洗された上記動物組織をプロテアーゼ系の酵素を
使用し、動物組織からコラーゲン以外の夾雑物である脂
肪、多糖類およびタンパク質を分離、除去して精製され
たコラーゲンとするための処理をいう。該プロテアーゼ
系の酵素としては、通常の皮革の精製には、脾臓トリプ
シン、パパイン、パレクアチン、パチルス菌系アルカリ
性プロテアーゼ等から少なくとも1種が使用されるが、
本発明の皮革様表面層用には、耐熱性、耐光性を向上す
るうえで、上記夾雑物がほぼ完全に除去されたコラーゲ
ン粉末とすることが好ましく、この目的で、例えば、パ
パイン、パンクレアチンが用いられ、さらにこれらの酵
素の働きを高め、夾雑物の分離、除去の効率を上げるた
め、pHを炭酸水素ナトリウムおよび/または第四級ア
ンモニウム塩もしくは水酸化物を用いて8〜10に調整
するとともに、助剤として、L−グルタミン酸、L−酒
石酸水素カリウム、非イオン界面活性剤、コンドロイチ
ン硫酸ナトリウムが併用される。非イオン界面活性剤の
具体例としては、HLBの高いポリエチレングリコール
のアルキルフェニルエーテルであるトリトン X−10
0(キシダ化学製)が挙げられる。
【0038】湿式粉砕は、生成されるコラーゲン粉末の
性質を一定にする目的で、この処理に次いでなされる架
橋処理が、容易であって、且つ、均一にされるように、
精製処理されたコラーゲンの塊状物を水により膨潤し、
コラーゲン繊維の分散物あるいはコラーゲン分子の溶液
にする処理である。前処理として乳酸等によりpHを2
〜5に調整して肉挽機を用いて粗粉砕された後、叩解
機、回転刃解砕機等の機器を用いてなされる。またこの
ときのコラーゲン繊維あるいは分子の濃度は、コラーゲ
ンがゼラチンに変化しないようにするため、湿式粉砕時
のコラーゲン繊維間の摩擦による温度上昇を抑える目的
から0.2〜6.0重量%とするのが好ましい。
【0039】架橋処理は、コラーゲン粉末の吸水度を所
定の値に保ち、耐熱性を高める目的から、コラーゲン繊
維の分散物あるいはコラーゲン分子の溶液に架橋剤を加
えて、繊維間あるいは分子間を結び付ける処理である。
用いる架橋剤としては、硫酸クロム、硫酸ジルコニル、
硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウム等の無機化合物、
ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、タンニン等の
有機化合物が挙げられ、これらを2種以上用いることも
可能である。
【0040】コラーゲン粉末の吸水度を150〜30重
量%に調整するためには、架橋剤のコラーゲン繊維ある
いは分子100重量部当たりの添加量は、硫酸クロムで
は、1〜2重量部、硫酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム
では、1〜10重量部、硫酸アルミニウムでは、2〜2
0重量部、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで
は、1〜2重量部、タンニンでは、2〜5重量部が好適
である。なお、生成される粉末の外観を白色にしたり、
表面層を透明にする場合は、硫酸ジルコニル、硫酸ジル
コニウム、硫酸アルミニウムを用いるとよい。
【0041】脱水処理は、架橋処理で得られたコラーゲ
ン繊維凝集物の水分率を下げて、乾燥を容易にし且つ負
荷が小さくなるようにする目的で通常の遠心分離機、フ
ィルタープレス機、スクリュープレス機等を使用してな
される。水分率は70重量%以下にすることが好まし
い。乾燥処理は、脱水処理で水分率を下げて塊状となっ
たコラーゲン湿体の水分率をさらに下げて粉砕処理を容
易にする目的で、流動式、棚段式、パドル式等の乾燥機
を用いて通常の方法によりなされる。水分率は10重量
%以下とすることが好ましい。
【0042】粉砕処理は、乾燥処理で得られたコラーゲ
ン繊維塊を、粒子径が80μm以下である粒子が85重
量%以上とする目的で通常のジェットミル、ハンマーミ
ル、ボールミル等を使用してなされる。粉末の粒度は正
規分布に近く、中間径を4〜25μmとし、最大径は6
3μm(235メッシュパス)とするのが好ましい。こ
のようにして製造されるコラーゲン粉末は、精製後の裸
皮をそのままの状態で架橋処理して製造される皮革を粉
砕したものより嵩密度が小さく、比表面積も大きくな
る。
【0043】上記のようなコラーゲンとしては、例え
ば、市販の昭和電工社製「商品名:トリアゼット」が好
適に用いることができる。本発明の積層体は、前記BP
P組成物からなる層の表面にコラーゲンを含む皮革様表
面層を形成することにより得られるものである。皮革様
表面層を形成するには、上記コラーゲン粉末を合成樹脂
バインダーまたは界面活性剤とともに水に分散配合して
調製された表面層形成剤を用いるとよい。具体的には、
特開平3−124800号公報および特開平7−304
960号公報に記載された方法により得られる。即ち、
得られたコラーゲン粉末を界面活性剤を使用し、水に分
散したものや、コラーゲン粉末を合成樹脂バインダーと
ともに、溶剤に希釈したものが好適である。合成樹脂バ
インダーを用いる場合は、ポリウレタン樹脂、アクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキ
シ樹脂等の合成樹脂を溶剤で希釈した溶液が好適であ
る。合成樹脂バインダーとコラーゲン粉末との混合は、
コラーゲン粉末をバインダーに使用する溶剤に分散した
後、バインダーと混合しても、コラーゲン粉末を直接バ
インダーに分散して混合してもよい。
【0044】溶剤としては、トルエン、キシレン等の炭
化水素類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン等
のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等
が使用できる。合成樹脂バインダーとコラーゲン粉末と
の配合比率は、合成樹脂バインダー100重量部に対
し、コラーゲン粉末25〜150重量部が好適である。
また、合成樹脂バインダーとコラーゲン粉末の他に二酸
化チタン、カーボンブラック等の顔料、カオリン、タル
ク等の充填剤およびシリカ等の艶消し剤を併用してもよ
い。
【0045】皮革様表面層を形成するには、上記皮革様
表面形成剤を塗布、乾燥して得られる。塗布方法として
は、エアーナイフ法、グラビアロール法、リバースロー
ル法、バーコート法、浸漬塗布法、スプレー法、ブラシ
塗布法、静電塗布法、遠心塗布法、流延塗布法、電気泳
動塗布法及びこれらの組み合わせ等のそれ自体が公知の
塗布法が用いられる。塗布は、一回で行っても、あるい
は2段以上の多段塗布法で行っても良い。このように塗
布した後、アーチ式、フローティング式等の乾燥炉およ
び高周波加熱乾燥機等の一般の方法で乾燥して良い。
【0046】こうして得られる皮革様表面層の厚みは、
少なくとも5μm、好ましくは10μm以上、特に15
μm以上が好ましい。膜厚が5μm以下になると、ソフ
ト感、人肌様の感触が得にくくなる。膜厚の上限につい
ては、特に制限はないが、乾燥後の膜割れ防止や経済性
を考慮すると50μm以下が好ましい。こうして得られ
る積層体は、天然皮革様の外観および感触を有する。ま
た、前記BPP組成物からなる成型品の表面にシボ加工
を施すことによりさらに一段と優れた皮革様を得ること
ができる。
【0047】本発明の積層体は工業部品用表皮材として
特に有望であり、その用途としては、以下のような工業
部品が挙げられる。例えば、インストルメントパネル、
コンソールボックス、ドアトリム、シートシールド、リ
アパネル、ステアリングホイールカバー、天井材などの
自動車内装部品、テレビ、ラジオ、ビデオ、エアコン、
クーラー、コーヒーメーカー、ジャー、電話、コピー
機、ファクシミリなどの電気部品およびOA機器の表皮
材、スポーツ器具表皮材、家具、机などの表皮材、壁装
飾、敷物などの建築関係、手帳、アルバムなどの文房
具、およびカメラ用バックやアタシュケースなどのキャ
リングバックなどの表皮材など多方面の分野に使用でき
る。
【0048】
【実施例】以下、実施例によって本発明の内容を具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例によって制限され
るものではない。本発明における各物性の測定方法およ
び装置を以下に示す。 1)スリットダイによる溶融粘度比(η1 /η2 ) 幅20mm、高さ1.5mm、長さ60mmのスリット
ダイを有する(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル
D20−20型を用いて、温度170℃の条件で測定し
た。 2)パラキシレン不溶分および可溶分 温度130℃でポリマーを濃度約1重量%になるように
パラキシレンにいったん溶解し、その後温度25℃まで
冷却し、析出したものをパラキシレン不溶分とし、析出
しないものをパラキシレン可溶分とし、その重量割合を
求めた。パラキシレン可溶分は、次の13C−NMRスペ
クトルの測定に用いた。
【0049】3)13C−NMRスペクトルの測定 測定機 :日本電子(株)製 JNM−GSX
400 測定モード :プロトンデカップリング法 パルス幅 :8.0μs パルス繰返時間:5.0μs 積算回数 :20000回 溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン/重
水素化ベンゼンの混合溶媒(75/25容量%) 内部標準 :ヘキサメチルジシロキサン 試料濃度 :300mg/3.0ml溶媒 測定温度 :120℃
【0050】4)感触試験 シート表面を触手により次の4段階で評価した。 ◎・・・ザラつき感が全くなく、滑らかで、人肌様であ
る ○・・・ザラつき感が若干劣るが、滑らかで、人肌様で
ある △・・・ザラつき感および滑らかさが若干劣り人肌様で
ない ×・・・ザラつき感および滑らかさが著しく劣り人肌様
でない 5)風合い試験 シート表面を目視と触手により次の4段階で評価した。 ◎・・・非常に優れる ○・・・良好 △・・・若干劣る ×・・・不良
【0051】6)耐傷付き性 (株)東洋精機製作所製テーバ式スクラッチテスターを
用いてシート表面を擦り、表面に傷が付いた時の荷重
(g)を求めた。また、発泡層含有積層体については、
次の評価を行った。 7)溶融膜の流動性 共押出し成形時のダイス出口の膜の流動性を目視により
次の3段階で評価した。 ○・・・ダイス出口で全くカールの発生がなく均一な膜
厚で流動する △・・・ダイス出口で若干カールし、不均一な膜厚で流
動する ×・・・カール状態が著しく、膜厚が不均一な流動とな
る 8) 柔軟性 JIS C型硬度計を用いて測定した。
【0052】9) 耐熱性 100mm×100mmの大きさの試験片を温度80℃
および温度100℃のオーブンに各々400時間暴露
し、次に室温冷却した後、積層体の外観を以下の基準で
評価した。 ○・・・試験片の変形がなく、表面層色の変化が認めら
れない △・・・試験片の変形はないが、表面層の光沢があがる ×・・・試験片が変形し、表面層の光沢があがる 10) 耐湿老化性 100mm×100mmの大きさの試験片を温度50℃
および湿度95%の恒温恒湿試験機に250時間暴露し
た。次に、室温まで冷却し積層体の外観変化を以下の基
準で評価した。 ○・・・試験片の変形がなく、表面層の色の変化が認め
られない △・・・試験片の変形はないが、表面層の光沢があがる ×・・・試験片が変形し、表面層の光沢があがる 11) 加熱収縮率 100mm×100mmの大きさの試験片を温度100
℃のオーブンに200時間暴露し、室温まで冷却し縦方
向と横方向の収縮率を測定した。
【0053】また、実施例で用いた材料を以下に示す。 [A層(1)成分のBPPの種類]表2に示す物性を有
するBPPを用いた。
【0054】
【表2】
【0055】[A層(2)成分のゴム状重合体の種類] EP1:日本合成ゴム(株)製、エチレン−プロピレン
共重合ゴム「EP941P」 ST1:(株)クラレ製、スチレン−イソプレン共重合
体水添物「セプトン4055」 [A層(3)成分の軟化剤および可塑剤] OL1:出光興産(株)製、水添プロセスオイルPW3
80 OL2:黒金化成(株)製、フタル酸ジブチル OL3:トーレ・シリコーン(株)製、ジメチルポリシ
ロキサンSH200 [A層(4)成分の有機過酸化物] 2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン
【0056】実施例1〜12、比較例1〜5 [皮革様表面層形成分散液の調製]昭和電工社製コラー
ゲン粉末「商品名:トリアゼット」とシリカパウダーお
よびカーボンブラックをシンナー中で混合し、分散させ
た後、その他の成分を混合した。その後、この混合液を
一晩放置し、ステンレスビーズを加え、ペイントシェカ
ー(ペイントコンディショナー)に9時間かけて分散さ
せ、100メッシュ(150μm)フィルターを用いて
濾過した。なお、皮革様表面層形成分散液は、以下の組
成で調製した。 アクリル樹脂1 三菱レイヨン社製「商品名:ダイヤナールLR162」 7.3% アクリル樹脂2 三菱レイヨン社製「商品名:ダイヤナールLR574」 21.9% コラーゲン粉末 昭和電工社製「商品名:トリアゼットCX260−1」 アクリルビーズ 積水化成品工業社製「商品名:テクポリマーMBX20 2.6% シリカパウダー 水澤化学工業社製「商品名:ミズカシルP−526」 1.3% カーボンブラック デグサジャパン社製「商品名:スペシャルブラック6」 2.4% 分散剤 昭和電工社製 ハードケーキング防止剤0.5% レベリング剤 サンノプコ社製「商品名:ペレノールF40」0.6% シンナー 60.8%
【0057】[ポリマーおよび添加剤の混合、MFRの
調整]表3に種類および配合量が示された各成分、並び
に添加剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス[3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)]プロピオネートを0.1重量部、トリス(2,4
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.1重量
部および有機過酸化物として2,5−ジメチル−2,5
ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンをステアリン酸
カルシウム0.05重量部を(株)川田製作所製スーパ
ーミキサー(SMV20型)を用い混合し、(株)神戸
製鋼所製同方向二軸押出機(KTX−37型)を用い、
温度160〜210℃でペレット化した(以下「I法」
という)。
【0058】[ホットフロースタンピングシート成形]
高橋工業製FSM450型ホットフロースタンピング成
形機を用い、ダイス温度220℃、金型温度70℃、金
型型締め圧力200トンの条件で、600mm×800
mm×深さ5mmのシボ付き金型およびポリプロピレン
基材を使用し、この基材の上に上記「I法」の樹脂組成
物をホットフロースタンピング成形した。
【0059】[皮革様表面層形成分散液の塗布]得られ
た各ホットフロースタンピング成形品に、以下の条件
で、皮革様表面層が乾燥後約20μmになるように、皮
革様表面層形成分散液を塗布した。 塗料粘度 :12〜17秒(フォードカップN
o.4;直径4mm) スプレーガン :ノズル直径1.3mm スプレー圧力 :4Kg/cm2 スプレー量 :1.5回転 塗装体との距離 :15〜20cm スプレーガン速度:約20cm/秒 スプレー回数 :2回 乾燥 :温度60℃×10〜15分
【0060】比較例6 ホモポリプロピレン100重量部、エチレン−プロピレ
ン共重合ゴム(エチレン含有量;64重量%)160重
量部、OL1オイル40重量部からなる樹脂組成物10
0重量部に対し、有機過酸化物2,5−ジメチル−2,
5ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5重量部
およびジアリルテレフタレート1.8重量部を(株)川
田製作所製スーパーミキサー(SMV20型)を用い混
合し、(株)神戸製鋼所製同方向ニ軸押出機(KTX−
37型)を用い、温度170〜200℃で架橋タイプの
従来型の熱可塑性エラストマーを作成した。以下実施例
1と同様に行った。得られた各積層体について各種物性
を評価した。これらの結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】実施例13〜16、比較例7〜9 [発泡層含有多層積層体の作成]エチレン系三元共重合
体[MFR=10.1g/10分(温度190℃、荷重
2.16Kg)、無水マレイン酸含有量=2.5重量
%、メチルメタクリレート=18.2重量%]100重
量部、永和化成(株)製発泡剤4,4’オキシビスベン
ゼンスルホニルヒドラジッド5.0重量部、アゾジカル
ボン酸アミド1.5重量部および、添加剤として、ペン
タエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートを
0.1重量部およびトリス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)フォスファイト0.1重量部を(株)川田製作
所製スーパーミキサー(SMV20型)を用い混合し、
(株)神戸製鋼所製同方向ニ軸押出機(KTX−37
型)を用い、温度100℃でペレット化した(以下「P
法」という)。上記「I法」および「P法」で得られた
各ペレットを幅400mm、リップ間隙1.5mmのコ
ートハンガーダイスと口径25mmφの2台の押出機を
有する吉井鉄工(株)製共押出しTダイ成形機を用い、
発泡剤が発泡しない温度である130℃で共押出しし、
溶融膜の流動性について評価を行った。また、次にこの
多層シートを温度230℃のプレス機で発泡層を発泡さ
せ、柔軟性、耐熱性、耐湿老化性および加熱収縮率を評
価した。これらの結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
【0064】
【発明の効果】本発明の積層体は、ホットフロースタン
ピング成形性に優れ、且つ天然皮革様の外観および感触
を有し、柔軟性、耐熱性等も良好であり、リサイクル利
用可能であるので、自動車、家電分野、日用品等の表皮
材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エチレン−プロピレン共重合体の同位体炭素に
よる核磁気共鳴スペクトルの例である。
【図2】ポリオレフィンにおける連鎖分布由来の各炭素
の名称を示す図である。
【図3】本発明のプロピレン樹脂組成物のDSC融解曲
線の例である。
【図4】本発明のプロピレン樹脂組成物のDSC結晶化
曲線の例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06N 3/18 D06N 3/18

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(1)スリットダイ法により測定
    される剪断速度101 sec-1における溶融粘度η1
    剪断速度102 sec-1における溶融粘度η2 の比(η
    1 /η2 )が3.5〜8であるプロピレン−α−オレフ
    ィンブロック共重合体 100重量部、(2)ゴム状重
    合体 5〜100重量部、(3)鉱物油系軟化剤および
    フタル酸エステル系可塑剤およびシリコーンオイルから
    なる群から選ばれた少なくとも1種の可塑剤 1〜40
    重量部および(4)有機過酸化物 0.005〜0.5
    重量部からなるブレンド物を動的に熱処理して得られ、
    かつ、下記(a)〜(e)の性状を有するプロピレン樹
    脂組成物からなる層と、 (B)コラーゲン粉末を含む皮革様表面層との、少なく
    とも2層から構成されてなる積層体。 (a)メルトフローレート(JIS K7210に準拠
    し、温度230℃、荷重2.16Kgの条件で測定):
    2〜300g/10分 (b)示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融
    解曲線の主吸熱ピーク温度Tm:130〜150℃ (c)DSCを用いて測定される結晶化曲線の主発熱ピ
    ーク温度Tcp:80〜100℃ (d)主発熱ピーク温度Tcpの半値幅:5.0℃以上 (e)発熱エネルギー:30J/g以下
  2. 【請求項2】 (A)層(1)成分がポリプロピレンブ
    ロックと、プロピレンと炭素数2〜12(ただし、3を
    除く)のα−オレフィンとの共重合体ブロックからな
    り、かつ該共重合体ブロックは全共重合体中に占める割
    合が30〜70重量%であるプロピレン−α−オレフィ
    ンブロック共重合体からなる請求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 (A)層(1)成分が下記(イ)〜
    (ロ)の物性を有するものである請求項1または請求項
    2記載の積層体。 (イ)温度25℃におけるパラキシレン不溶分:25〜
    65重量%、 (ロ)温度25℃におけるパラキシレンに可溶する成
    分:(i)2サイトモデルによる平均のプロピレン含量
    (FP)が20〜80モル%、(ii)2サイトモデルに
    おいてプロピレンを優先的に重合する活性点で生成する
    共重合体(PH )のプロピレン含量(PP )が65〜9
    0モル%および(iii )PH が共重合体に占める割合
    (Pf1)が、0.60〜0.90
  4. 【請求項4】 (2)ゴム重合体がエチレン−プロピレ
    ン共重合体エラストマーおよび/またはスチレン系エラ
    ストマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の積
    層体。
  5. 【請求項5】 (B)層が、合成樹脂をバインダーと
    し、粒子径40μm以下の粒子の含有量が85重量%以
    上で、吸水度が150〜300重量%であるコラーゲン
    粉末を含む皮革様表面層形成剤を、乾燥後の厚みが5〜
    50μmになるように塗工したことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項記載の積層体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の積層
    体を表皮材として成形してなる自動車用内装部品。
  7. 【請求項7】 発泡体からなる中間層を有する請求項6
    記載の自動車用内装部品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002129482A (ja) * 2000-10-16 2002-05-09 Okamoto Ind Inc 合成樹脂レザー
JP2006272852A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Dainippon Printing Co Ltd 水添石油樹脂を含む発泡壁紙
JP2009512792A (ja) * 2005-10-20 2009-03-26 ダウ ライヒホールド スペシャルティ ラテックス,エルエルシー 複合革材料

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