JPH0678454B2 - 充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法

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JPH0678454B2
JPH0678454B2 JP61111283A JP11128386A JPH0678454B2 JP H0678454 B2 JPH0678454 B2 JP H0678454B2 JP 61111283 A JP61111283 A JP 61111283A JP 11128386 A JP11128386 A JP 11128386A JP H0678454 B2 JPH0678454 B2 JP H0678454B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造
方法に関するものである。
近年,充填剤含有ポリプロピレン樹脂は、その優れた機
械的性質及び熱的性質ゆえに、自動車部品及び家電製品
部品への応用展開が極めて活発にはかられている。
とくに自動車部品を例に挙げれば、インストルメントパ
ネル,トリムおよびピラーなどと称される内装部品につ
いては、室内の高級感を向上させるために、その表面に
不織布、ファブリック発泡体及び塩化ビニール製レザー
などの表皮材を貼り合わせることが、多く用いられてい
る。
又、外装部品としてのバンパーも、その表面に塗装を施
工し、ボディ色と一体化してファション性を高める動き
がみられる。
一方、家電製品部品についても装飾性を増すために印刷
が多用されている。
本発明は接着性、塗装性および印刷性などの表面加工性
を改良し、かつ耐衝撃性、耐熱性を併せ有する成形品を
提供し得る樹脂組成物の製造方法に関するものであり、
上記自動車部品及び家電製品部品としての利用を図ろう
とするものである 〔従来の技術〕 ポリプロピレン系樹脂は無極性であるために、例えば接
着性、塗装性などの表面加工は困難であることが多い。
これを改良するために、ポリプロピレンに充填剤を加え
る方法がよく知られているが、この方法では、充填剤の
種類や量によっては、ある程度は改良されるものの、実
用性には大きく欠けるものであった。
その改良をはかり、ポリプロピレンと接着剤および塗料
間の相溶性をより向上させるために、通常その中間に一
層、例えば代表的な組成として知られる塩素化ポリプロ
ピレンとトルエンなどとからなるいわゆるプライマーと
称する媒体を用いている。
しかし、プライマー自体が高価であることと、一工程が
新たに加わることで最終的な製品のコストを割高として
おり、より改良が望まれている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
そこでこれらの改良のため、例えば接着の場合は、ポリ
プロピレン成形物の表面を物理的方法又は化学的方法に
よってエッチングして改質し、表面加工することが検討
され、応用されているが、この方法は工程がプライマー
塗布工程以上に複雑であり、又エッチング条件によって
は成形物の変形を来たしたり、効果が不充分である。
また、塗装の場合には、プライマー塗布に代わってプラ
ズマ照射により成形物の表面を酸化極性化し、塗装性を
改良する方法が取り入れられつつあるが、プラズマ照射
工程がバッチシステムであること、及び成形品形状によ
っては処理度合が不均一となることなど、現状では必ず
しも満足する結果が得られていない。
さらにポリプロピレン自体に極性を持たせる試みとし
て、例えば特開昭50−76149号公報、あるいは特公昭51
−10264号公報などに記載されているごとく、ポリプロ
ピレンを有機パーオキシドなどの開始剤の存在下にアク
リル酸や無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、また
はその無水物でグラフト変性する改良方法、もしくは、
該グラフト変性物を末変性のポリプロピレンにブレンド
する方法も提案されている。
しかしながら、かかる方法においては、パーオキシドに
よるポリプロピレンの分解反応が併発するために、グラ
フト変性により導入される不飽和カルボン酸もしくはそ
の無水物の量に制約がありその結果、表面改質効果が不
充分であったり、効果があっても低分子量化に伴う機械
的性質上の支障が生じたりする難点があった。
以上述べた欠点を解決し接着性、塗装性及び印刷性など
に極めて優れた充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物と
して我々は、先に、ポリプロピレン系樹脂、エチレン構
成単位、アルキルアクリレート及びアルキルメタアクリ
レートから選ばれるエステル構成単位及び不飽和ジカル
ボン酸無水物構成単位からなるエチレン共重合体、及び
充填剤とからなる組成物を見い出した。(特願昭和60−
165584号) しかしながら前記充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物
は目標の表面改質効果が充分得られるも、充填剤を添加
し剛性を向上する効果が充分発揮されず、また熱的性質
が不満足であった。
本発明の目的は、かかる前記の欠点を解決し接着性、塗
装性及び印刷性などに極めて優れた充填剤含有ポリプロ
ピレン樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
さらに別の目的には、接着性、塗装性及び印刷性などに
極めて優れた充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物を提
供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
以上の目的を達成する為に、本発明者らはポリプロピレ
ン系樹脂、不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を有して
なる変性ポリプロピレン系樹脂、エチレン構成単位、ア
ルキルアクリレート及びアルキルメタアクリレートから
選ばれるエステル構成単位及び不飽和ジカルボン酸無水
物構成単位からなるエチレン共重合体、及び充填剤とか
らなる組成物の製造方法について鋭意検討した結果、前
記充填剤含有ポリプロピレンの剛性の回復、及び熱的性
質の向上が著しく認められたので、本発明に到達した。
すなわち本発明は、 (A)ポリプロピレン系樹脂27〜87重量%、 (B)不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を0.1〜3モ
ル%有してなる変性ポリプロピレン系樹脂3〜15重量
%、 (C)エチレン構成単位を82〜98.7モル%、炭素数1〜
8のアルキル基を有するアルキルアクリレート及びアル
キルメタアクリレートから選ばれるエステル構成単位を
1〜15モル%,不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を0.
3〜3モル%有してなるエチレン共重合体5〜30重量
%、及び (D)充填剤5〜40重量%、 からなる樹脂組成物の製造法において、先づ、第一段階
で成分(A)、成分(B)及び成分(D)を溶融混合し
組成物(E)を得、次いで該組成物(E)と成分(C)
とを溶融混合することを特徴とする充填剤含有ポリプロ
ピレン樹脂組成物の製造方法に関するものである。
以下、本発明の構成について具体的に説明する。
(A)ポリプロピレン系樹脂 本発明に使用するポリプロピレン系樹脂としては、結晶
性ポリプロピレン、結晶性プロピレン・エチレンブロッ
クあるいはランダム共重合体、結晶性プロピレン・α−
オレフィン共重合体(ただし、α−オレフィンの炭素数
を4〜10)などが単独に、もしくは2種類以上の混合物
の形で適用される。
また、該ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス
(JIS K6758に準拠)は通常、0.5〜100g/10分の範囲、
好ましくは1〜50g/10分の範囲である。
(B)変性ポリプロピレン系樹脂 本発明に使用する変性ポリプロピレン系樹脂とは、不飽
和ジカルボン酸無水物構成単位を0.1〜3モル%有する
ポリプロピレン系樹脂をいう。ポリプロピレン系樹脂と
しては、前記記載の成分(A)である。又、不飽和ジカ
ルボン酸無水物構成単位を有する単量体としては例えば
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸及
びテトラヒドロフタル酸無水物などが挙げられ、その中
でも無水マレイン酸を用いるのが最も好ましい。これら
不飽和ジカルボン酸無水物構成単位のポリプロピレン系
樹脂に含まれる量としては、0.1〜3モル%の範囲であ
る。
0.1モル%未満では、後述する溶融混合の際に成分
(A)と成分(D)の結合が弱く、成分(D)を成分
(A)に固定化出来ず、二段目に溶融混合する成分
(C)によって凝集し、所望の剛性が発見されない。上
限の3モル%は製造上の限界値であり、それ以上の含有
量にしようとすると遊離した無水物が増加し気泡の発生
など不都合な点が生じ、又、成分(D)を成分(A)を
固定化するためには充分な量である。
(C)エチレン共重合体 本発明に使用するエチレン共重合体としてはエチレン構
成単位を82〜98.7モル%、炭素数1〜8のアルキル基を
有するアルキルアクリレート及びアルキルメタアクリレ
ートから選ばれるエステル構成単位を1〜15モル%、不
飽和ジカルボン酸無水物構成単位を0.3〜3モル%有し
てなるものである。
エチレン共重合体中に含まれるエステル構成単位を有す
る単量体としては例えばメチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレートメチルメタアクリレー
ト、エチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルメタ
アクリレートおよびブチルメタアクリレートなど(以下
不飽和エステル化合物と言う)が挙げられる。
エチレン共重合体中に含まれるエステル構成単位の量と
しては、1〜15モル%、好ましくは3〜12モル%の範囲
である。この範囲外では、充填剤含有ポリプロピレン樹
脂組成物とした場合に、ポリプロピレン系樹脂との相溶
性が悪くなったり、また耐衝撃値などの機械的特性の改
良効果が乏しくなり、好ましくない。
又不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を有する単量体と
しては例えば無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水
イタコン酸およびテトラヒドロフタル酸無水物などが挙
げられその中でも無水マレイン酸を用いるのが最も好ま
しい。
これら不飽和ジカルボン酸無水物構成単位のエチレン共
重合体中に含まれる量としては、0.3〜3モル%、好ま
しくは、0.5〜2.8モル%の範囲である。下限より少なけ
れば表面加工に参与する極性基が乏しくて改良効果に欠
け、上限より多ければ極性が強すぎてポリプロピレン系
樹脂とよく相溶しなくなる。
該エチレン共重合体の製法には格別の限定はなく、溶液
重合法、エマルジョン重合法、高圧バルク重合法など公
知の方法が適用される。なかでもラジカル発生剤の存在
下、500〜3000気圧、100〜300℃で適用な溶媒や連鎖移
動剤の存在下、または不存在下にエチレンと共重合させ
る高圧重合法が最も一般的である。かかる高圧重合法に
おいては、上記の不飽和ジカルボン酸無水物を上記の不
飽和エステル化合物に溶解した溶液を高圧ポンプにて昇
圧し直接に槽状または管状反応器に搬送導入する方法が
適当である。このようにして得られるエチレン共重合体
のメルトインデックス(JISK 6760に準拠)は0.5〜800g
/10分の範囲、好ましくは1〜200g/10分の範囲のものが
適している。
メルトインデックスが下限より小さい場合にはポリプロ
ピレン系樹脂との相溶性に欠け、また、上限より大きけ
れば、充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物とした場合
該組成物の特長である剛性や耐熱性、表面硬度の低下が
大きくなり、好ましくない。
(D)充填剤 本発明に使用する充填剤のうち無機質充填剤としては特
に制限はないが、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シ
リカ、珪藻士、アルミナ、亜鉛華、酸化マグネシウム、
マイカ、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カル
シウム、ガラス粉、ガラス繊維(シラン処理したものも
含む)、アスベスト、石コウ繊維などが好ましい。また
有機質充填剤としては、これも特に制限はないが、各種
の木粉、セルロース繊維、メラミンパウダー等が好まし
い。
これらは単独、あるいは必要に応じて混合して用いても
よい。さらには充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の
耐衝撃性及び耐熱性保持のバランスを考えるとタルク及
び/またはマイカがより好ましい。
又、本発明に使用する充填剤は、必要に応じて表面処理
を行うと、剛性、衝撃強度のバランスが向上し、更に高
水準の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物が得られ
る。
表面処理剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)
−γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシメトキシシランなどの有機シラン化合物が
挙げられるが、特にN−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラ
ンが反応性が高く、剛性と衝撃強度のバランスが最も高
水準の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物が得られ、
好ましい。
前記の表面処理剤の配合割合は、充填剤100重量部あた
り、0.1〜1.5重量部、好ましくは0.3〜1.0重量部の範囲
にある。
下限より少なければ成分(A)と成分(B)及び成分
(D)の結合が弱く、充填剤の充填効果による剛性が発
現されず、衝撃強度も劣る。上限以上では表面処理剤の
添加効果が飽和し、経済性が劣る。尚、処理装置として
はリボンミキサー、スーパーミキサーなどが好ましい。
(E)組成割合 本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造方
法における成分(B)不飽和ジカルボン酸無水物構成単
位を有する変性ポリプロピレン系樹脂の組成割合は成分
(A)のポリプロピレン系樹脂に対して3〜15重量%が
好ましい。
成分(B)の組成割合が3重量%未満では充填剤(D)
による所望の剛性が得られず、15%重量%以上では、充
填剤(D)による所望の剛性は充分達成されるが、衝撃
強度等の物性が低下し、また経済的にも有利ではない。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造方
法における成分(C)エチレン共重合体の組成割合は、
5〜30重量%であり、とりわけ10〜20重量%が好まし
い。
エチレン共重合体(C)の組成割合が5重量%未満では
接着性、塗装性及び印刷性などの表面加工性改質の効果
がほとんど認められず又30重量%を越えると得られる組
成物の剛性、耐熱性などの物性が低下しかつ表面加工性
改質についても増量効果が認められない。
本発明の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の製造方
法における充填剤(D)の組成割合は5〜40重量%であ
り、とりわけ10〜40重量%が好ましい。
充填剤(D)の組成割合が5重量%未満では本発明にお
ける該組成物の必須条件である高剛性、熱的特性(例え
ば熱変形温度など)が改良されず、又50重量%を越える
と該組成物の耐衝撃性が極端に低下し、自動車の内、外
装部品用材料としては実用性に欠け、かつ熱的特性改良
についても増量効果が認められない。
(F)製造方法及び成形方法 本発明による充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の物
性発現は、前記組成物の組成割合と、以下に特定する混
練製造方法が相まって初めて達成されるものである。
すなわち、混練の第一段階では成分(A)、成分(B)
及び成分(D)を溶融混合することにより組成物(E)
を得、次いで第二段階では組成物(E)と成分(C)と
を溶融混合して本発明による組成物が得られる。
また、本発明による充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成
物を混練製造するに際し該組成物が有している諸特性を
本質的に損なわない範囲内で必要に応じてスチレン−ブ
タジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体およびその水添物などの各種スチレン系エ
ラストマーや、非結晶性エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重
合体などの各種のポリオレフィン系エラストマー、更に
は、グリシジル基含有エチレン共重合体などの各種の官
能基含有ポリオレフィンを追加混合しても良い。
また酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、発泡剤着色剤な
どの各種添加剤などを適当量添加することも可能であ
る。
本発明による充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物を混
練製造する装置としてはバンバリーミキサー、1軸また
は2軸スクリユー方式の押出機、ロール混練機など通常
のプラスチックス用またはゴム用の混練装置を使用でき
るが、該組成物は極性を有するため、溶融状態において
金属との接着がみられるために、好ましくは押出機方式
の混練装置が良い。
また二つ以上のフィードゾーンを持つ押出機では一工程
で、第一段階の溶融混合、および第二段階の溶融混合を
行うことが出来、経済的なメリットが大きく非常に有用
である。
本発明により得られた組成物は、ポリプロピレン樹脂の
成形において一般に用いられている、射出成形法、押出
成形法及び吹込み成形法等を適用することによって所望
の成形品を得ることができる。
(G)特性、用途等 本発明による充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物は優
れた接着性、塗装性、および印刷性等を有し、かつ機械
的性質にも優れるが、さらには、下記の特徴も併せて発
揮する。すなわち、 (1) 充填剤含有ポリプロピレンが本来有している流
動性をほとんど低下させることなく、複雑で薄肉化され
た形状の射出成形品を従来の成形条件で得ることができ
る。
(2) 剛性度などの機械的特性の低下が小さく、とく
に耐衝撃性については非常に改良される。
(3) 充填剤含有ポリプロピレンを用いた場合、目立
ち易いウエルド(ウエルドとは溶融した樹脂が二方向以
上より流されて来て溶着することをいう)ラインが本発
明の組成物では目立ちにくい。
本発明によって得られる充填剤含有ポリプロピレン樹脂
組成物は以上の如き優れた効果を発揮するので接着、塗
装及び印刷が必要とされる分野で利用することができ
る。
代表的な用途例を列挙する。
バンパー、バンパーコーナーなどのような自動車外
装部品 インストルメントパネル、メーターケース、グロー
ブボックス、コンソールボックス、トリムおよびピラー
などのような自動車内装部品 フェンダー、レッグシールなどのような二輪車部品 洗濯機のフタ、掃除機ボディ、扇風機スタンド、換
気扇枠などのような家庭電気製品の部品。
〔実施例〕
以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらによって制約されるものではな
い。
(1)エチレン共重合体サンプルの製造方法 1.2リットルの撹拌機つき反応器に連鎖移動剤としての
少量のプロパンを含んだエチレンと、無水マレイン酸を
第1表記載の各種不飽和エステル化合物に溶解した溶液
を連続的に加圧供給し、重合温度を180℃にコントロー
ルしながら1,600kg/cm2の圧力条件下に1.5〜3.2kg/hrの
速度で共重合させ第1表の各種サンプルを得た。
(2) 本発明における物性測定法 濡れ張力:JISK 6768−1977に準拠し23℃で実施した。
測定用試験片として3.5オンスの日精樹脂工業(株)製
スクリユーインライン型射出成形機を用いて150mm×90m
m×2mmのプレートを成形し供した。
接着強度:濡れ張力テスト用に供したと同じプレート
に接着剤としてセメダイン社製G 250 97重量%とディス
モジユール3重量%との混合物約150g/m2をエアースプ
レーガンにて塗布し80℃2分間加熱する。一方これと平
行して表皮材として東レ製PPXを110℃、2分間加熱して
直ちに面圧0.2kg/cm2の圧力で押圧し接着する。23℃、6
5±5%RHの環境下で7日間放置した後、300mm/minの速
度で180゜剥離試験を行い強度を測定した。
塗装初期密着度:濡れ張力テスト用に供したと同じプ
レートを1,1,1−トリクロルエタン蒸気(74℃)の中で3
0秒間、表面洗浄して常温乾燥後、直接にウレタン系塗
料(日本ビーケミカル社製、フレキセン#101)をスプ
レー塗装し、120℃のオープン中で30分間焼き付け仕上
げをおこなった。
上記の塗装サンプルの塗膜にカミソリ刃にて2mm角のゴ
バン目100ケ(10縦×10横)を刻み、その上に24mm幅の
セロテープ (ニチバン株式会社製)を指で圧着した
後、その端面をつかんで一気に引きはがした時に残在し
たゴバン目の数を残率(%)として評価した。
アイゾット衝撃強度:JISK7110に準拠し23℃で実施し
た。測定用試験片として10オンスの住友重機械工業
(株)スクリューインライン型射出成形機を用いて成形
したものを供した。
熱変形温度:JISK7207に準拠し曲げ応力4.6kg/cm2を用
いて実施した。測定用試験片はアイゾット衝撃試験片と
同様に成形した。
曲げ弾性率:JISK7203に準拠し、23℃で実施した。測
定用試験片はアイゾット衝撃試験片と同様に成形した。
実施例1〜9および比較例1〜12 第2表の配分比率に従って、ポリプロピレン系樹脂とし
て住友ノーブレン AW564(メルトインデックス8g/10mi
n、エチレン含量6重量%、プロピレンとエチレン共重
合部のエチレン含量が40重量%、かつ該共重合部の135
℃テトラリン溶液での極限粘度が8dl/gであるエチレン
−プロピレンブロック共重合体)、無水マレイン酸構成
単位0.3モル%を有する変性ポリプロピレン系樹脂PS−I
I(エチレン含量10重量%のエチレン−プロピレン共重
合体)、無水マレイン酸構成単位0.05モル%を有する変
性ポリプロピレン系樹脂PP−III(エチレン含量10重量
%のエチレン−プロピレン共重合体)、エチレン共重合
体(各サンプルの詳細は第1表に示す)、充填剤(タル
ク;平均粒径(沈降式粒度分布測定によるもので50%の
累積分布に相当する)3.0μ、マイカ;平均粒径3.5μ)
及び充填剤の表面処理剤として各種アミノシラン化合物
(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン:東芝シリコ
ーン社製TSL8331、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン:東芝シリコーン社製
TSL8340、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルメチルトリメトキシシラン:東芝シリコーン社製TS
L8345、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン:東芝シリコーン社製TSL8350、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン:東芝シリコーン社製TSL8
370)の各々の所定量と、前記配合物の100重量部に対し
てイルガノックス 1010(チバガイギー社製)0.2重量
部、カルシウムステアレート0.05重量部及びウルトラノ
ックス 626(ボルグワーナー社製)0.05重量部を粉体
混合機で添加混合し続いてダイス温度220℃に設定した6
5mm径ベント付押出機(池貝鉄工製、L/D=28)で溶融混
練を行った。
第2表のうち比較例1〜6は、各成分を単に一段階で溶
融混練した組成物である。
実施例1〜9および比較例7〜12は、先づ第2表の上段
に記載の各成分の配合割合で溶融混練し(例えば、実施
例1の場合はAW564/PP−II/TSL8340(タルク100に対し
て1重量%)にて表面処理したタルク=55/5/30の割
合、即ち100重量部換算の割合で示すとAW564/PP−II/表
面処理タルク=61.1/5.6/33.3の配合割合)、ペレット
状の組成物(E)を得、次に、下段に記載の成分を、下
段記載の配合量で組成物(E)と65mm径押出機で溶融混
練した組成物である。(例えば、実施例1の場合、エチ
レン共重合体(C)/組成物(E)の配合割合は10/90
である。) これらの各種組成生物サンプルについて、前述の方法に
より濡れ張力、接着強度、塗装初期密着度、アイゾット
衝撃強度、熱変形温度及び曲げ弾性率の測定を実施し
た。
結果を第2表にまとめる。
第2表から明らかなように、本発明による実施例は、本
発明の構成要件を欠いた比較例に比べ、諸物性に関して
優れた物性バランスを有することがわかる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、優れた接着性、
塗装性及び印刷性などの表面加工性を有し、かつ耐衝撃
性、耐熱性を併せ有する充填剤含有ポリプロピレン樹脂
組成物の製造方法、および該方法による組成物およびそ
の成形品を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:08 23:26)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリプロピレン系樹脂27〜87重量% (B)不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を0.1〜3モ
    ル%有してなる変性ポリプロピレン系樹脂3〜15重量
    %、 (C)エチレン構成単位を82〜98.7モル%、炭素数1〜
    8のアルキル基を有するアルキルアクリレート及びアル
    キルメタアクリレートから選ばれるエステル構成単位を
    1〜15モル%,不飽和ジカルボン酸無水物構成単位を0.
    3〜3モル%有してなるエチレン共重合体5〜30重量
    %、及び (D)充填剤5〜40重量%、 からなる樹脂組成物の製造法において、先づ、第一段階
    で成分(A)、成分(B)及び成分(D)を溶融混合し
    組成物(E)を得、次いで該組成物(E)と成分(C)
    とを溶融混合することを特徴とする充填剤含有ポリプロ
    ピレン樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】成分(B)及び(C)を構成する不飽和ジ
    カルボン酸無水物が無水マレイン酸である特許請求の範
    囲第1項記載の充填剤含有ポリプロピレン樹脂組成物の
    製造方法。
  3. 【請求項3】成分(D)充填剤がタルクおよび/または
    マイカである特許請求の範囲第1項記載の充填剤含有ポ
    リプロピレン樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】成分(D)充填剤が、充填剤100重量%あ
    たり0.05〜2重量%のアミノシラン化合物で表面処理し
    てなる特許請求の範囲第1項記載の充填剤含有ポリプロ
    ピレン樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】成分(D)充填剤の表面処理用アミノシラ
    ン化合物が、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
    ロピルトリメトキシシラン及び/またはN−(β−アミ
    ノエチル)−γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシ
    ランである特許請求の範囲第4項記載の充填剤含有ポリ
    プロピレン樹脂組成物の製造方法。
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