JPH09308631A - 超音波診断装置 - Google Patents

超音波診断装置

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JPH09308631A
JPH09308631A JP12534396A JP12534396A JPH09308631A JP H09308631 A JPH09308631 A JP H09308631A JP 12534396 A JP12534396 A JP 12534396A JP 12534396 A JP12534396 A JP 12534396A JP H09308631 A JPH09308631 A JP H09308631A
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Takeshi Mochizuki
剛 望月
Mutsuhiro Akaha
睦弘 赤羽
Masanori Hirose
昌紀 広瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三次元超音波画像(立体的透視画像)を形成
する際に、その処理範囲を任意に設定できるようにし、
注目する物体以外のエコーの影響を排除する。 【解決手段】 三次元領域に対して超音波が送受波さ
れ、これにより立体的透視画像が形成される。その一
方、三次元領域の断層画像が表示される。その断層画像
上において、立体的透視画像を形成するための処理範囲
をカーソル線を利用して設定できる。また、終了点の深
さに応じて、超音波パルスの送信繰り返し周波数が制御
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波診断装置に関
し、特に、物体を立体的に表現できる三次元画像を形成
する超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断装置は、超音波の送受波によ
り物体(例えば、生体内臓器)の超音波画像を形成する
装置であり、生体診断、探傷検査、ソナーなどの分野で
活用されている。
【0003】近年、三次元領域に対して超音波の送受波
を行って、三次元超音波画像(以下、三次元画像)を形
成する各種の手法が提案されている。この三次元画像に
よれば、物体を空間的に把握できる利点がある。しか
し、その三次元画像をリアルタイムで形成できる装置は
いまだ実用化されていない。また、診断の用途に適合し
た満足のいく空間的な表現を行える三次元画像も提供さ
れていない。この問題は、特に医療用の超音波診断装置
で指摘されているが、他の分野でも同様の問題があるも
のと思われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人は、
特願平7−180107号(未公開の特許出願)におい
て、新しい画像処理方法を提案している。この画像処理
方法は、公知のボリューム・レンダリング(Volume Ren
dering)法を改良・発展させたものであり、物体の三次
元計測に適合する新しい画像処理手法である。かかる画
像処理によれば、物体の三次元画像(立体的透視画像)
をリアルタイムで形成できる。
【0005】しかし、観察対象となった物体の前側又は
後側に他の物体が存在すると、当該他の物体による影響
が画像に現れてしまい観察に支障が生じる。特に、生体
の超音波診断装置においては、観察したい臓器の前側に
他の臓器や組織が存在し、観察したい臓器の画像に影響
が出る可能性があった。
【0006】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされた
ものであり、その目的は、立体的透視画像を形成する際
のボクセル処理の処理範囲を任意に設定できる超音波診
断装置を提供することにある。
【0007】また、本発明の目的は、その処理範囲を簡
単かつ確実に設定できる超音波診断装置装置を提供する
ことにある。
【0008】さらに、本発明の目的は、処理範囲に連動
させて超音波パルスの送信繰り返し周波数(PRF)を
適応的に変更してフレームレートの向上、すなわち表示
速度の向上を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、三次元領
域に対して超音波を送受波し、三次元領域を構成する各
ボクセルのエコーデータを取り込む送受波手段と、超音
波ビームに沿ってボクセル処理を順次行うことにより、
その超音波ビームに対応する画素の画素値を求め、これ
により立体的透視画像を形成する立体的透視画像形成手
段と、前記三次元領域の断層画像を形成する断層画像形
成手段と、前記断層画像上において前記超音波ビームに
沿ったボクセル処理の開始点及び終了点の少なくとも一
方を設定する処理範囲指定手段と、を含むことを特徴と
する。
【0010】上記構成によれば、処理範囲指定手段によ
り、断層画像上でボクセル処理の開始点及び終了点の少
なくとも一方を設定でき、その指定された範囲内でボク
セル処理を行える。よって、観察対象となった物体の手
前側に開始点を設定すれば、送受波器(例えば、超音波
探触子)から開始点までのエコーデータを排除してボク
セル処理を行うことができ、また、観察対象となった物
体の奥側に終了点を設定すれば、物体後方のエコーデー
タを排除してボクセル処理を行うことができる。これに
より、立体的透視画像において物体を明瞭に表示でき、
診断精度を向上できる。本発明によれば、例えば、生体
の超音波診断において、胎児の立体的透視画像を形成す
る場合に、胎児周囲の胎盤などのエコーを排除して、胎
児のみの明瞭な立体的透視画像を形成できる。本発明に
おいて、終了点のみが設定される場合、ボクセル処理の
開始点は最も送受波器に近いボクセルに設定されるか、
あるいはノイズの影響を避けるために所定深度のボクセ
ルに設定される。一方、本発明において、開始点のみが
設定される場合、ボクセル処理の終了点は最も深いエコ
ーデータに設定され、あるいは後述する非透明度の加算
値が所定値に到達した時点のボクセルに設定される。な
お、本発明は、医療上の超音波診断装置に限られず、探
傷検査装置、ソナー装置などに適用できる。
【0011】(2)本発明の好適な態様では、前記立体
的透視画像形成手段は、エコーデータei に基づきボク
セルi の不透明度αi を演算する不透明度演算手段と、
エコーデータei に基づきボクセルi の透明度βi を演
算する透明度演算手段と、エコーデータei に不透明度
αi を乗算し、ボクセルi の発光量を演算する発光量演
算手段と、1つ前のボクセルi-1 の出力光量にボクセル
i の透明度βi を乗算し、ボクセルi の透過光量を演算
する透過光量演算手段と、前記発光量と前記透過光量と
を加算し、ボクセルi の出力光量を求める光量加算手段
と、を含み、終了ボクセルの出力光量を画素値に対応さ
せて画像を形成する。
【0012】上記構成によれば、三次元領域内で超音波
ビームが三次元的に走査され、その三次元領域内の各位
置でエコー値(すなわちエコーデータ)が取り込まれ
る。ここで、その三次元領域は、多数の「ボクセル」の
集合体として仮定される。このモデルでは、各ボクセル
は標本点(サンプル・ボリューム)に相当し、各ボクセ
ルは「ボクセル値」としてエコー値を有する。また、各
ボクセルには、以下のように「不透明度」及び「透明
度」が定義される。
【0013】各ボクセルi のボクセル処理は透視線(本
発明では超音波ビーム方向と一致)に沿って行われ、そ
のボクセル処理においては、まず、ボクセルi のエコー
データei に基づき不透明度αi と透明度βi が定義さ
れる。そして、エコーデータei に不透明度αi が乗算
されてボクセルiの発光量が演算され、また、1つ前の
ボクセルi-1 の出力光量にボクセルi の透明度βi が乗
算されてボクセルi の透過光量が演算される。
【0014】ここで、不透明度は、ボクセルi について
の周囲への超音波の拡散・散乱の度合いに関わるもの
で、発光量は、ボクセルi の音源(光源)としての強さ
を表すものと思われる。一方、透明度は、超音波の透過
率に関わるもので、透過光量は、ボクセルi を伝達媒体
として見た場合にその伝達率に相当するものと思われ
る。このような発光量と透過光量とが加算されてボクセ
ルi の出力光量が演算される。ここで、出力光量はボク
セルi の画素値への寄与度を表すものである。この出力
光量は、次のボクセルのボクセル処理(透過光量の演
算)に引き渡される。以上のボクセル処理が最終ボクセ
ルに到達すると、その最終ボクセルの出力光量が画素値
(輝度値、色相)に変換される。そして、各透視線の画
素値が求まれば、それらの画素値の集合として1枚の超
音波画像が形成される。
【0015】本発明では、超音波ビームに沿ってボクセ
ル処理が実行されるので、順次取り込まれるエコーデー
タを時系列の順番で逐次的にリアルタイム処理でき、ま
た、従来装置において必要であった三次元データメモリ
を不要にすることもできる。すなわち、本発明によれ
ば、取り込まれたエコーデータはその取り込み順序で処
理され、三次元データメモリにいったんすべてのエコー
データを格納させなくても、データ処理を行える。
【0016】上記の画像処理により形成される超音波画
像は、透視画像としての性格と立体画像としての性格と
を併せて有することが実験により確認されている。すな
わち、生体内の組織をレントゲン写真のように透かして
表現でき、また奥行き感をもって表現できる。もちろ
ん、不透明度及び透明度の定義を変化させることによっ
て、所望の超音波画像を構成でき、例えば透明感を強調
したり、または立体感を強調したりすることができる。
あるいは、組織表面を強調したり、または組織内部を強
調することができる。このような設定は、実験結果に基
づいて自動的に行うことができ、あるいは表示画像を確
認しながらオペレータがつまみをリアルタイムで操作す
ることにより実現することもできる。
【0017】(3)本発明の好適な態様では、エコーデ
ータei に基づきボクセルi の不透明度αi を演算する
不透明度演算手段と、前記エコーデータei 、前記不透
明度αi 、及び、1つ前のボクセルi-1 の出力光量に相
当する入力光量CINi に基づいて、ボクセルi の出力光
量COUTiを演算する出力光量演算手段と、を含み、終了
ボクセルの出力光量を画素値に対応させて前記立体的透
視画像を形成する。すなわち、透明度が不透明度によっ
て定義される場合において、透明度を計算上利用せずに
出力光量を演算するものである。望ましくは、出力光量
演算手段は、COU Ti=CINi +αi ・(ei −CINi
の演算を行う。
【0018】(4)本発明の好適な態様では、前記立体
的透視画像と前記断層画像は同一画面上に表示される。
また、本発明の好適な態様では、前記ボクセル処理の範
囲を示すカーソル線を前記断層画像上に表示するカーソ
ル線像形成手段を含む。
【0019】(5)本発明の好適な態様では、前記ボク
セル処理の終了点が指定された場合に、その終了点の深
さに基づいて超音波パルスの送信繰り返し周波数が制御
される。
【0020】すなわち、終了点が設定された場合、超音
波診断はその終了点の深さまで行えばよいことになるの
で、送受波器から終了点までの超音波の往復伝搬時間に
対応させて送信繰り返し周波数を必要最小限に制御する
ものである。この制御によれば、フレームレートを向上
でき、換言すれば表示速度を向上できる。
【0021】この制御によれば、例えば、もとの超音波
ビームの1/2の位置に終了点が設定される場合、各超
音波ビームごとにボクセル処理の演算量が半分になり、
フレームレートを2倍にできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
[画像形成の原理説明]本実施形態における三次元画像
形成方法(立体的透視画像形成方法)は、公知のボリュ
ーム・レンダリング(Volume Rendering)法を基礎とし、
リアルタイム画像処理にその手法を発展させたものであ
る。その際には、本発明特有の条件が加味されている。
そこで、まず、その画像処理の原理について、図1〜図
3を用いて説明する。
【0023】図1(A)に示すように、Y方向に向く超
音波ビームがX方向に走査されると、走査面10が形成
される。この走査面10をZ方向に移動させると、周知
のように三次元エコーデータ取込み空間12が形成され
る。この三次元エコーデータ取込み空間12に対して、
各超音波ビームに沿って本発明に係るボクセル処理を行
い、投影面16上に三次元エコーデータ取込み空間12
を投影したものが、図1(B)の超音波画像100であ
る。超音波画像100では、そのX方向の1ライン10
0aが1つの走査面10に相当する。換言すれば、超音
波ビーム(透視線)1本が超音波画像100内の1画素
に相当する。
【0024】さて、図2及び図3には、ボクセル20の
概念が示されている。1つのボクセルは、受信信号をA
/D変換して得られた1つのエコーデータに相当し、換
言すれば、そのA/D変換レートの1周期に相当するボ
リューム(標本点)に相当するものである。すなわち、
超音波ビームは、多数のボクセルの集合体として構成さ
れる。図2には各ボクセルがi−1からLLASTまで示さ
れている。開始ボクセルから順次処理を行って得られた
値が超音波画像を構成する1画素の輝度値P(x,y)
に対応する。
【0025】ここで、各ボクセルに対し、不透明度αと
透明度β[=(1−α)]を定義することにする。不透
明度αは、図3に示すようにボクセルの周囲への自発的
な発光に相当するものである。透明度(1−α)は1つ
前のボクセルからの光に対する当該ボクセル中の透過度
合いに相当するものである。不透明度αは0≦α≦1の
範囲に設定され、本発明において、その不透明度はエコ
ーデータ(エコー値)の関数として定義される。具体的
には、例えば、
【数1】 α=k1・ek2 …(1) として定義される。ここで、eはエコーデータの値であ
り、またk1は定数(係数)である。k2としては望ましく
は1よりも大きい数値が代入され、例えばk2=2又は3
である。すなわち、エコーデータの値eに対してαは非
線形に変化する。なお、定数k1は可変できるように構成
するのが望ましい。
【0026】図2に示されるように、あるボクセルiに
は、入力光量CINi と出力光量COU Tiとが定義され、そ
の入力光量CINi は1つ前のボクセルi−1の出力光量
OU Ti-1に等しい。すなわち、
【数2】 CINi =COUTi-1 …(2) の関係がある。ただし、ボクセル処理が開始される開始
ボクセルにおいてはCIN 1 =0である。本発明におい
て、その開始ボクセルは開始点として指定可能である。
【0027】各ボクセルには、上記の不透明度αと透明
度(1−α)に基づいて、発光量と透過光量が定義され
る。すなわち、ボクセルiの発光量は、不透明度とエコ
ーデータの積として定義され、αi ・ei である。ボク
セルiの透過光量は透明度と入力光量の積として定義さ
れ、(1−αi )・CINi である。
【0028】本発明において、図4に示すように、その
発光量と透過光量は以下のように加算され、当該ボクセ
ルの出力光量COUTiが決定される。
【0029】
【数3】 COUTi=(1−αi )・CINi +αi ・ei …(3) ただし、上記第2式からCINi =COUTi-1である。すな
わち、前のボクセルでの計算結果が次のボクセルの計算
に利用される。
【0030】そして、処理が指定された終了点のボクセ
ル(終了ボクセル)LLASTとなった場合に、処理は終了
する。なお、終了点が指定されない場合、上記の第3式
を開始ボクセルから次のボクセルへ、そして、その次の
ボクセルへと順次行っていく間において、各ボクセルの
不透明度αi を加算し、その加算値Σαi が1に到達し
た時点で、処理を終了させることができる。
【0031】この場合、処理の終了条件は、
【数4】 i=LLAST or Σαi =1 …(4) である。なお、Σαi =1での処理の終了は、不透明度
の総和が1に到達した時点で処理を停止させることを意
味し、もちろん、条件に応じて上記第4式の条件、特に
αi の最大加算値(終了判定値)を変更させてもよい。
また、処理が最後のボクセルとなった場合にそれを終了
ボクセルLLASTとしてもよい。
【0032】以上の終了ボクセルの出力光量COUT が、
対応する画素の輝度P(x,y)として利用される。そ
して、このような超音波ビームごとの画素値演算がすべ
ての超音波ビームについて行われると、超音波画像を構
成するすべての画素の画素値を得られる。すなわち、超
音波画像が形成される。
【0033】上記第3式が示すように、画素の輝度値P
(x,y)には、開始ボクセルから終了ボクセルまでの
すべてのエコーデータの値が反映されている。しかし、
それは従来のように単なる単純積算でなく、各ボクセル
での超音波の散乱と吸収の両方を反映したものとなって
いる。よって、あたかも光源から光が出て、各ボクセル
での散乱及び吸収を経て透過した光によって形成される
像のような奥行き感(立体感)と透明感がある超音波画
像を構成できる。
【0034】ところで、上記第3式においては、透明度
が(1−αi )で定義され、すなわち不透明度αi によ
って透明度を表すことができるので、演算式中から透明
度の概念を見掛け上消去することができる。よって、以
下のように第3式を式変形することにより、同じ原理に
基づいて、出力光量COUTiを演算できる。
【0035】
【数5】 COUTi=(1−αi )・CINi +αi ・ei …(3) =CINi +αi ・(ei −CINi ) …(5−1) =CINi +Δi …(5−2) (ここで、Δi =αi ・(ei −CINi )) 上記の第5−1式は第3式を書き換えたもので、その第
2項をΔi で置き換えると、第5−2式が得られる。す
なわち、ボクセルiの出力光量COUTiは、入力光量C
INi に修正光量Δi を加算したものとして定義できる。
この5−2式においても、上記の式変形の過程を見れば
明らかなように、透明度(1−αi )の概念は内包され
ており、原理上異ならない。
【0036】[好適な実施形態]以下、本発明の好適な
実施形態につき図面を用いて説明する。
【0037】図5には、本発明に係る超音波診断装置の
全体構成が示されており、図5はそのブロック図であ
る。
【0038】図5において、三次元データ取込み用超音
波探触子21は、超音波振動子22とそれを走査する走
査機構24とで構成される。超音波振動子22として
は、本実施形態ではリニアアレイ型の振動子が使用され
ているが、もちろんコンベックス型の振動子を使用して
もよい。超音波振動子22は、電子的に走査(リニア走
査、セクタ走査)され、これによりX−Y面内に走査面
10が形成される。この走査面10を走査機構24によ
り機械的にZ方向へ走査することによって、図1に示し
たような三次元エコーデータ取込み空間12が形成され
る。この実施形態では走査機構24によって自動的にZ
方向へ超音波振動子22が走査されているが、もちろん
手動により超音波振動子22を走査させてもよい。
【0039】図5において、走査制御部44によって制
御される送受信部30は超音波振動子22に対して送信
信号を供給すると共に、超音波振動子22から出力され
た受信信号を処理するものである。ここで、受信信号
は、図示されてはいないが、アンプによって増幅された
後、更にLOGアンプにおいて対数増幅される。そし
て、受信信号は、A/D変換器32にてデジタル信号に
変換された後に、断層画像形成部36及び立体的透視画
像形成部38に送られる。なお、クロック発生器35か
ら出力されたサンプリングクロックはA/D変換器32
及び立体的透視画像形成部38に供給されている。
【0040】断層画像形成部36は、例えば、立体的透
視画像上においてカーソルなど利用して任意指定された
位置の断層画像を形成するものであり、いわゆるBモー
ド画像形成部として機能する。
【0041】立体的透視画像形成部38は、上述した原
理に基づいて、立体的透視画像(ボル・モード(Vol-mo
de)画像)を形成するものであり、いわゆる三次元画像
形成部として機能する。本実施形態において、立体的透
視画像を形成するための処理範囲はユーザーにより指定
可能であり、その指定された範囲内でエコーデータの処
理を行って立体的透視画像が形成される。
【0042】断層画像形成部36から出力された画像情
報及び立体的透視画像形成部38から出力された画像情
報は、それぞれ表示制御部40に入力される。この表示
制御部40は、表示画像形成機能及び画像合成機能を有
し、すなわち、立体的透視画像と断層画像とを左右に並
べた1枚の表示画像を作成すると共に、後述するカーソ
ル線像形成部43から出力されたカーソル線の画像を断
層画像上に合成する。表示制御部40から出力された画
像情報はD/A変換器41を介して表示器42に送ら
れ、画像表示が行われる。
【0043】走査制御部44は、超音波の送波制御及び
受波制御を行うものであり、その制御には電子走査制御
及び機械走査制御が含まれる。また、走査制御部44
は、超音波パルスの送信繰り返し周波数(PRF)の制
御も行っており、後述する処理範囲設定部46から終了
点の位置を示す終了位置情報が入力されると、必要に応
じて、その終了点の位置に従って送信繰り返し周波数の
調整を行う。すなわち、超音波探触子から終了点までの
距離を超音波が往復する時間(必要であれば、それに一
定のマージン時間を加算した時間)に相当する送信繰り
返し周波数を設定する。
【0044】入力装置48は、表示された断層画像上で
ボクセル処理の開始点及び終了点のいずれか一方又は両
方を指定するための装置であり、例えばトラックボール
やキーボードなどで構成される。この入力装置48を利
用して設定された開始点又は終了点の位置は、処理範囲
設定部46により読み取られ、その処理範囲設定部46
からカーソル線像形成部43に開始・終了位置情報が出
力され、また立体的透視画像形成部38に処理範囲を示
す制御信号が出力されている。更に、上述のように、処
理範囲設定部46から必要に応じて走査制御部44へ終
了位置情報が出力されている。
【0045】カーソル線像形成部43では、開始点を現
すカーソル線像及び終了点を現すカーソル線像を形成す
るものである(図7参照)。カーソル線像は、表示制御
部40において、断層画像上に合成される。
【0046】本実施形態において、断層画像は図1にお
けるX−Y断面の画像であり、そのZ座標は入力装置4
8などにより任意に指定できる。そして、所望位置の断
層画像上でカーソル線を確認しながら、入力装置48を
用いて開始点及び終了点の指定を行える。図7には、電
子セクタ走査により形成された断層画像が示されてお
り、その場合には、深さを示すカーソル線は円弧状のラ
インとして表示される。もちろん、電子リニア走査が行
われる場合(図1参照)、カーソル線は直線として表示
される。
【0047】本実施形態では、開始点や終了点は、すべ
ての超音波ビーム間で同じ深さに、すなわち均一に設定
されているが、超音波ビームごとに開始点や終了点を可
変設定することもできる。また、楕円、矩形などの物体
を包み込む閉曲線、あるいは自由曲線などを利用して処
理範囲を設定することができる。
【0048】上記構成によれば、図7に示すように、リ
アルタイムで形成される断層画像上で所望の範囲を処理
範囲として任意に指定すれば、それが直ちに立体的透視
画像に反映される。最初に断層画像のみを表示させてお
き、その状態で処理範囲を指定して、立体的透視画像を
表示させることもできる。
【0049】図6には、図5に示した立体的透視画像形
成部38の具体的な構成例が示されている。
【0050】図6において、A/D変換後のエコーデー
タei は、ラッチ回路50においていったんラッチされ
た後、そのエコーデータei が発光量演算部52,不透
明度演算部54及び透明度演算部56に入力される。こ
こで、発光量演算部52は、乗算器58で構成され、そ
の乗算器58は、ei ×αi の計算を行って発光量を求
める。不透明度演算部54は、この実施形態においてα
ROMで構成され、すなわちエコーデータei と不透明
度αとの関係を示すテーブルで構成されている。これと
同様に、透明度演算部56は、(1−α)ROMで構成
され、すなわちエコーデータei と透明度(1−α)と
の関係を示すテーブルで構成されている。
【0051】従って、エコーデータei が不透明度演算
部54に入力されると、その出力から不透明度αi が出
力され、一方、そのエコーデータei が透明度演算部5
6に入力されると、その出力から透明度(1−αi )が
出力される。
【0052】これらの不透明度演算部54,透明度演算
部56,ラッチ回路50及びラッチ回路62には、AN
Dゲート64を介してクロック発生器35(図5)から
出力されたサンプリングクロックが供給されている。こ
のサンプリングクロックは、上記のように、A/D変換
器32に入力されるサンプリングクロックであり、すな
わち、図6に示す各回路はA/D変換器32の動作に同
期して動作する。
【0053】透過光量演算部66は、透明度演算部56
から出力された透明度(1−αi )に対してラッチ回路
62にてラッチされた1つ前のボクセルの出力光量C
OUTi-1を乗算するものであり、具体的には乗算器68で
構成される。すなわち、この透過光量演算部66から当
該ボクセルの入力光量に透明度を乗算した透過光量が出
力される。
【0054】光量加算部70は、上述した第3式に基づ
いて、発光量と透過光量とを加算し、当該ボクセルの出
力光量COUTiを出力する。具体的には、この光量加算部
70は加算器72により構成されている。光量加算部7
0から出力された出力光量COUTiは、ゲート機能を有す
るラッチ回路74と上述したラッチ回路62に送られて
いる。すなわち、ラッチ回路62を介して次のボクセル
の演算のために当該ボクセルの出力光量が帰還されてい
る。
【0055】図5に示した処理範囲設定部46は、前記
制御信号として、図6に示すゲート信号及び終了パルス
を出力している。ゲート信号はボクセル処理範囲を示す
ものであり、その信号はANDゲート64に入力され、
ボクセル処理範囲においてのみサンプリングクロックの
通過が許容される。終了パルスは、ラッチ回路74に送
られ、その終了パルスの入力により、光量加算部70か
ら出力された出力光量COUTiがラッチされて表示制御部
40へ出力される。その出力光量COUTiは当該超音波ビ
ームに対応する画素の輝度値P(x,y)となる。ここ
で、出力光量COUTiを色相に対応させることもできる。
【0056】以上説明したように、図6に示す回路構成
によれば、各超音波ビームごとにその超音波ビームに沿
って開始ボクセルからボクセル処理が開始され、そのボ
クセル処理が各ボクセルについて行われ、その際、光量
加算部70の出力が次のボクセル処理で利用される。そ
して、最終ボクセルの出力光量が当該超音波ビームに対
応する画素の輝度値Pとして利用される。1つの超音波
ビームに対する処理が終了した後、次の超音波ビームに
ついて処理がなされ、最終的に超音波画像1枚分につい
てのエコーデータの処理が完了する。その後、表示制御
部40からその超音波画像が読み出されて表示器42に
表示される。
【0057】なお、図6の実施形態では、開始点及び終
了点の両者が指定される場合の回路構成を示したが、開
始点のみが指定される場合、非透明度の加算値が1に到
達した時点又は処理が最後のボクセルに到達した時点を
判別する終了判定回路を付加すればよい。また、終了点
のみが指定される場合、最初に入力されたボクセルある
いは所定の深さのボクセルからボクセル処理を開始させ
る回路を付加すればよい。
【0058】上記実施形態では、不透明度は上述した第
1式に示される関数に従って決定され、その第1式にお
けるk1は不透明度調整部(図示せず)によって調整可能
である。すなわち、この不透明度調整部によって、表現
できる深さを調整でき、また透明感や立体感などを調整
できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
立体的透視画像を形成する際のボクセル処理の処理範囲
を任意に設定でき、これによって注目する物体の立体的
透視画像の画質向上を図ることができる。また、本発明
によれば、その処理範囲を簡単かつ確実に設定できる。
さらに、本発明によれば、処理範囲に連動させて超音波
パルスの送信繰り返し周波数(PRF)を適応的に変更
してフレームレートの向上、すなわち表示速度の向上を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 三次元データ取込み空間と投影画像との関係
を示す図である。
【図2】 各ボクセルの入力光量と出力光量との関係を
示す図である。
【図3】 各ボクセルの発光量を示す図である。
【図4】 ボクセルの出力光量を説明するための図であ
る。
【図5】 本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示
すブロック図である。
【図6】 図5に示す立体的透視画像形成部の具体的な
構成例を示す図である。
【図7】 本発明に係る表示例を示す図である。
【符号の説明】
21 三次元データ取込み用超音波探触子、36 断層
画像形成部、38 立体的透視画像形成部、43 カー
ソル線像形成部、44 走査制御部(PRF制御部)、
46 処理範囲設定部、48 入力装置、52 発光量
演算部、54不透明度演算部、56 透明度演算部、6
6 透過光量演算部、70 光量加算部。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元領域に対して超音波を送受波し、
    三次元領域を構成する各ボクセルのエコーデータを取り
    込む送受波手段と、 超音波ビームに沿ってボクセル処理を順次行うことによ
    り、その超音波ビームに対応する画素の画素値を求め、
    これにより立体的透視画像を形成する立体的透視画像形
    成手段と、 前記三次元領域の断層画像を形成する断層画像形成手段
    と、 前記断層画像上において前記超音波ビームに沿ったボク
    セル処理の開始点及び終了点の少なくとも一方を設定す
    る処理範囲指定手段と、 を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の装置において、 前記立体的透視画像形成手段は、 エコーデータei に基づきボクセルi の不透明度αi
    演算する不透明度演算手段と、 エコーデータei に基づきボクセルi の透明度βi を演
    算する透明度演算手段と、 エコーデータei に不透明度αi を乗算し、ボクセルi
    の発光量を演算する発光量演算手段と、 1つ前のボクセルi-1 の出力光量にボクセルi の透明度
    βi を乗算し、ボクセルi の透過光量を演算する透過光
    量演算手段と、 前記発光量と前記透過光量とを加算し、ボクセルi の出
    力光量を求める光量加算手段と、 を含み、 終了ボクセルの出力光量を画素値に対応させて前記立体
    的透視画像を形成することを特徴とする超音波診断装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の装置において、 エコーデータei に基づきボクセルi の不透明度αi
    演算する不透明度演算手段と、 前記エコーデータei 、前記不透明度αi 、及び、1つ
    前のボクセルi-1 の出力光量に相当する入力光量CINi
    に基づいて、ボクセルi の出力光量COUTiを演算する出
    力光量演算手段と、 を含み、 終了ボクセルの出力光量を画素値に対応させて前記立体
    的透視画像を形成することを特徴とする超音波診断装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の装置において、 前記立体的透視画像と前記断層画像は同一画面上に表示
    されることを特徴とする超音波診断装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の装置において、 前記ボクセル処理の範囲を示すカーソル線を前記断層画
    像上に表示するカーソル線像形成手段を含むことを特徴
    とする超音波診断装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の装置において、 前記ボクセル処理の終了点が指定された場合に、その終
    了点の深さに基づいて超音波パルスの送信繰り返し周波
    数が制御されることを特徴とする超音波診断装置。
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