JPH09304344A - イオン化分析装置 - Google Patents

イオン化分析装置

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JPH09304344A
JPH09304344A JP8125137A JP12513796A JPH09304344A JP H09304344 A JPH09304344 A JP H09304344A JP 8125137 A JP8125137 A JP 8125137A JP 12513796 A JP12513796 A JP 12513796A JP H09304344 A JPH09304344 A JP H09304344A
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JP
Japan
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needle
tip
electrolyte solution
ions
ionization
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JP8125137A
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English (en)
Inventor
Yutaro Yanagisawa
雄太郎 柳沢
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】質量分析等に供するイオンの発生効率を向上さ
せる分析装置を提供する。 【解決手段】イオン化室15内には、z方向に進退移動
可能な針22が内蔵され、試料を含む電解質溶液Lを供
給管18でイオン化室15内に供給する。供給管18に
は、イオン化室15内に貫通する孔20が穿設されてい
る。供給管18と針22の間に所定の電圧を印加した状
態で針22の先端を孔20に挿入して、電解質溶液に接
触させ、電解質溶液内のイオンを電気泳動によって針2
2の先端に付着させる。針22を引き上げた後に針22
の先端部にレーザ光を照射することによって、針22の
先端に付着しているイオンをイオン化室15内へ放出さ
せる。これにより、イオンを濃縮してソフトイオン化す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体高分子、タン
パク質、糖鎖、DNAまたはドラッグ等の難揮発性高分
子を分解することなくイオン化(所謂ソフトイオン化)
させ、その高分子の質量分析等を行うためのイオン化分
析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、これらの難揮発性高分子を試料と
して質量分析等を行うイオン化分析装置では、これらの
試料のソフトイオン化を行うためにレーザ脱離法、エレ
クトロスプレー法等の技術が用いられている。
【0003】まず、レーザ脱離法を用いた従来のイオン
化分析装置を図28に基づいて説明する。レーザ脱離法
で使用するイオン源は、試料と照射されたレーザを吸収
し試料の分解を防止する働きがあるマトリックスとを混
合して、これを基板9上に塗布し大気中で乾燥して作成
する。この基板9をイオン分析装置に取り付け、イオン
分析装置を真空ポンプ(図示せず)を用いて真空排気す
る。所定の真空度に達した後に、レーザ装置7により発
生したレーザ光をミラー72およびレーザ光導入窓71
を通してイオン源8に照射すると、マトリックスおよび
試料のイオンが蒸発する。イオン導入部4を介してこれ
らのイオンを質量分析計5に導入し、イオン検出器6で
検出することにより質量スペクトルが得られる。この方
法では、試料である難揮発性高分子のみにレーザを照射
するとその高分子が分解するので、試料のソフトイオン
化が実現できないという課題を解決している。
【0004】次に、エレクトロスプレー法を用いたイオ
ン化分析装置について、図29を用いて説明する。イオ
ン解離している試料を含む電解質溶液Lを内径が約10
0ミクロンメートル以下のキャピラリ1に供給する。こ
のキャピラリ1に印加されている高電圧で生じる電場に
より、その電解質溶液Lの先端部2は針状になり、した
がって、この先端部2から電解質溶液Lが噴霧化され
て、直径約1ミクロンメートル程度のイオン液滴3にな
って大気中Rに放出される。この大気中Rは、所定の供
給ポートからN2ガスを供給しつつ真空ポンプ(図示せ
ず)により差動排気されている。図30に示すように、
放出されたこのイオン液滴3は分裂したりまたはその溶
媒が蒸発したりして、次第にその体積が減少し、その表
面積も小さくなる。イオン液滴3の表面積が小さくなる
と、試料のイオンまたは溶媒のイオンが液滴の表面に移
動する。液滴の体積がさらに小さくなりその半径が所定
の臨界値(約10nm)に達すると、液滴内のイオン間
に働くクーロン反発力により液滴からイオンが放出(所
謂イオン蒸発)される。このイオンをイオン化分析装置
のイオン導入部4を介して質量分析計5に導入して、イ
オン検出器6で検出することにより、質量スペクトルを
得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、レーザ脱離法
を用いた方法にあっては、マトリックスの量が試料に対
して106倍と多量になり、この全てが蒸発するので、
試料のイオンが質量分析計に導入される効率は10ー6
10ー10と極めて低いという問題がある。また、イオン
源を作成するときは、マトリックスと試料を混合したも
のを1回〜数回ずつ基板に塗布し、大気中で乾燥させ
て、その基板をイオン分析装置に取り付けて、イオン分
析装置を真空排気するので、測定まで多くの時間を必要
としていた。
【0006】エレクトロスプレー法を用いた方法にあっ
ては、溶媒に対する試料の濃度を高くすると、イオン液
滴の体積が減少しその半径が上記臨界値に達するまで縮
小しないため、イオン蒸発を生じないという問題点があ
る。また、水などの非有機系の溶媒を用いる場合には、
霧状のイオン液滴3がキャピラリ1の先端から十分に放
出されないという問題がある。このような噴霧化が十分
になされないという事態を解消するために、大気中の電
場強度を上げ、噴霧化のためのエネルギーをさらに供給
するという方法がある。しかし、電場強度を上げると放
電が生じやすいという問題がある。さらに、このエレク
トロスプレー法によっても、試料だけではなく溶媒も全
部蒸発させ、この溶媒を差動排気によって排気するの
で、試料のイオンの質量分析装置への導入効率は、10
ー6〜10ー10と極めて低いという問題がある。
【0007】FD(field desorptio
n)法は、針上に試料を載せて乾燥させ、この試料を真
空雰囲気中に挿入して数kVの電圧を印加してこれによ
る電場によりイオンを蒸発させる方法である。しかし、
この方法は、試料を乾燥させる等に1日程度の時間を要
するので実用的な方法ではない。
【0008】また、FD法の煩雑な作業を省くために、
液体クロマトグラフ流出液をノズルに向けて噴出させ、
試料を載せた針に高電圧を印加することによって、試料
をイオン化させる提案(特開昭3ー285245号公
報)もなされている。しかし、この方法も、試料のイオ
ン化の効率が高いとはいい難く、また、異常放電を招来
したり、媒質自体がイオン化してしまうのでバックグラ
ウンドの原因となる等の問題がある。
【0009】したがって、本発明の目的は、イオンの発
生が短時間で可能であるため測定時間の短縮でき、また
イオンの測定を高感度に行うことができ、さらにイオン
の質量分析計への導入効率が高くできるイオン分析装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を解決す
るために本発明は次のような構成とした。
【0011】本発明においては、電解質溶液内に含まれ
る試料のイオンをイオン化室内の気中または真空中に放
出するイオン化分析装置であって、イオン化室内に設け
られた針と、電解質溶液中のイオンを含む液滴または電
解質溶液中のイオンを針に付着させる付着手段と、付着
液滴、付着イオンまたは針の少なくとも一つにレーザ光
を照射することにより、付着液滴中のイオンまたは付着
イオンをイオン化室内に放出させる放出手段とを具備す
る構成とした。
【0012】このようにイオン化室内に針を設け、この
針に電解質溶液中のイオンを含む液滴または電解質溶液
中のイオンを付着させるようにしたので、イオンの取り
出しが容易できる。また、この付着液滴、付着イオンま
たは針の少なくとも一つにレーザ光を照射するようにし
たので、イオン放出に要する時間を短縮することができ
る。
【0013】また、本発明においては、付着手段は、電
解質溶液をイオン室内に供給し、針を移動させることに
よりその先端を一時的に電解質溶液に接触させる移動手
段と、電解質溶液内でのイオンの電荷極性に対応して針
に所定極性の電圧を印加する手段とを有する構成として
もよい。
【0014】このように付着手段として、電解質溶液を
イオン室内に供給し、針を移動させることによりその先
端を一時的に電解質溶液に接触させる移動手段と、電解
質溶液内でのイオンの電荷極性に対応して針に所定極性
の電圧を印加する手段とを有する構成としたので、電解
質溶液内の所定の電荷極性のイオンを含んだ液滴または
所定の電荷極性のイオンを選択的に針の先端に付着させ
ることができるようになり、高感度のイオン分析ができ
る。
【0015】また、本発明においては、針は、イオン化
室内に固定され、付着手段は、電解質溶液を針の近傍ま
で供給する供給管と、供給管を振動させて電解質溶液の
表面を移動させることにより、電解質溶液を針の先端に
付着させる振動手段と、電解質溶液内のイオンの電荷極
性に対応して供給管と針間に所定極性の電圧を印加する
手段とを具備する構成としてもよい。
【0016】このように針をイオン化室内に固定し、付
着手段として電解質溶液を針の近傍まで供給する供給管
と、供給管を振動させて電解質溶液の表面を移動させる
ことにより、電解質溶液を針の先端に付着させる振動手
段と、電解質溶液内の前記イオンの電荷極性に対応して
供給管と針間に所定極性の電圧を印加する手段を具備す
る構成としたので、針を移動させる必要がなく装置の簡
素化を図ることができる。
【0017】また、本発明においては、付着手段は、電
解質溶液をイオン化室へ供給する供給管を有し、針は、
所定方向へ移動するとその先端部がイオン化室内へ突き
出すように、供給管内に対して進退移動可能に設けられ
ている構成としてもよい。
【0018】このようにイオン化室内に針を設け、この
針に電解質溶液中のイオンを含む液滴または電解質溶液
中のイオンを付着させ、この付着液滴、付着イオンまた
は針の少なくとも一つにレーザ光を照射するようにした
ので、操作が簡素である。
【0019】また、本発明においては、移動手段は、針
を振動させることによりその先端を一時的に電解質溶液
に接触させる構成としてもよい。
【0020】このように針の振動させることによりその
先端を一時的に電解質溶液に接触させて、針の先端に液
滴またはイオンを付着させるようにすると、短時間にイ
オンの放出を繰り返しすることができる。
【0021】また、本発明においては、振動手段は、超
音波振動子である構成としてもよい。
【0022】このように超音波振動子を用い、超音波振
動子を所定の振動数で振動させることにより、針先端へ
のイオンの付着が安定し効率良くイオンを放出させるこ
とができる。
【0023】また、本発明においては、針は、その表面
の少なくとも一部が誘電物、絶縁物、電解質溶液を弾く
物質または電解質溶液を吸着する物質で被覆されている
構成としてもよい。
【0024】このように針の先端部を誘電物で被覆すれ
ば、針の先端へ効率よくイオンを付着させることができ
る。絶縁物で被覆すれば、イオンを付着する際に電流を
流すことない。針の基部を電解質を弾く物質で被覆すれ
ば、針先端部のみに液滴を付着することができる。針の
先端部を電解質を吸着する物質で被覆すれば、針の先端
部に液滴を付着することができる。
【0025】また、本発明においては、針は、絶縁体層
をはさんだ外層導電体と内部導電体からなる層構造を針
の先端部に有し、さらに針の先端の絶縁層は、露出して
いる構成としてもよい。
【0026】このように絶縁体層をはさんだ外層導電体
と内部導電体からなる層構造を針の先端部に有し、さら
に針の先端の絶縁層は、露出している構造とすると、針
の先端に液滴等を付着させることができるので、付着液
滴を微小にできる。
【0027】また、本発明においては、針は、少なくと
もその先端部が光ファイバで形成され、レーザ光は、光
ファイバの根元から入射して、針内部を通して針先端部
へ導かれ、その先端部の付着液滴または付着イオンに照
射される構成としてもよい。
【0028】このように針を光ファイバで形成し、レー
ザ光を根元から入射させて、針の内部を通して針先端部
へ導いて、その先端部の付着液滴または付着イオンに照
射するようにしたので、レーザ光と針の位置合わせが不
要になり、またレーザ光を効率よく先端部の付着液滴ま
たは付着イオンに照射することができるようになる。
【0029】また、本発明においては、イオン化室は、
イオン分析部容器と一体に連結された容器として形成さ
れている構成としてもよい。
【0030】このようにして、差動排気することなくイ
オン化室をイオン分析部容器と一体に連結された気密容
器として形成するようにしたので、試料イオンをイオン
化室から質量分析計に高い転送効率で導入できるように
なる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下の説明において、電解質溶液
とは、被測定試料である物質(例えば、生体細胞、その
他の物質)を溶媒中に混入することによって作られた所
謂サンプル溶液をいうものとする。実施の形態の説明で
は、溶媒のpH濃度に応じて被測定試料が陽イオンと陰
イオンに解離した状態にある電解質溶液を導入し、この
電解質溶液から被測定試料のイオンを採取して質量分析
装置へ放出するイオン化分析装置について説明する。
【0032】(第1の実施の形態)本発明のイオン化分
析装置をTOF(time of flight)質量
分析装置に適用した場合の実施の形態を図面と共に説明
する。
【0033】まず、図1に基づいて、TOF質量分析装
置の概略構造について説明する。機密性を有しかつ真空
ポンプ(図示せず)によって内部が吸引されるイオン分
析部容器10内に、ドリフト領域11が設けられてい
る。ドリフト領域11の後方には、イオン検出器として
電子増倍機能を有するマイクロチャネルプレート12が
対向配置されており、ドリフト領域11の前方から入射
したイオンが、ドリフト領域11を通過してマイクロチ
ャネルプレート12に到達するようになっている。そし
て、マイクロチャネルプレート12のアノードから出力
される検出信号Sはプリアンプ13で増幅された後、高
速記録可能なトランジェントレコーダ等で構成される記
録部14で記録される。
【0034】次に、本発明のイオン化分析装置は、ドリ
フト領域11の前方側にイオン分析部容器10と一体に
連結された容器状のイオン化室15を有している。この
イオン化室15も機密性を有している。イオン化室15
内にはその下側端に設けられた供給ポート16からN2
ガスが供給され、上側端のポート17から真空ポンプ
(図示せず)によって排気が行われている。供給ポート
16からは、N2ガスに限らず不揮発性ガスを供給して
もよい。供給ポート16から不揮発性ガスを供給すれ
ば、電解質溶液中に含まれている被測定試料のイオンを
採取して放出する過程において、不要な蒸発物等が発生
するの抑制できる。また、このようなガスを供給するこ
となくイオン化室15を真空状態にしてもよい。
【0035】イオン化室15の下端には、電解質溶液L
を供給するための供給管18が設けられ、シュリンジポ
ンプ19等によって電解質溶液Lがこの供給管に供給さ
れる。供給管18の一側には、イオン化室15の内部と
連通する微小な孔20が窄設されている。なお、供給管
は細管でもよい。
【0036】さらに、イオン化室15内には、中空円筒
状のグリッド21が孔20に対して所定の間隔をもって
対向して固定されており、また、孔20に対して約1ミ
クロンメートル〜数10ミクロンメートル程度の範囲で
上下方向(図中のz方向)に移動可能な針22が、グリ
ッド21の中空内に挿入されている。
【0037】この針22の一端は、移動装置23に内蔵
されいるピエゾ素子や超音波振動素子に連結されている
ので、これらの素子が作動することにより針22の上下
方向への移動が制御される。針22と供給管18との間
には可変電圧源24と電流計25が直列に接続されてい
る。この可変電圧源24は、制御電圧E1をマイナスか
らプラスの範囲で制御することができる。したがって、
針22に対して供給管18の電位を高くする制御電圧E
1を出力したり、あるいは、針22に対して供給管18
の電位を低くする制御電圧E1を出力したり、あるい
は、針22と供給管18を同電位にする制御電圧E1
(すなわち、E1=0ボルト)を出力することができ、
夫々の電圧レベルも適宜に設定できる。
【0038】また、針22の先端にレーザ装置80で発
生したレーザ光を照射できるように、イオン化室15の
側面にはレーザ光導入用の窓81が設けられている。
【0039】グリッド21の上方には、グリッド27お
よび28が、ドリフト領域11の前方に設けられている
グリッド26と対向して平行に配置されている。グリッ
ド26は、ドリフト領域11と共にアース電位(0ボル
ト)に設定されている。グリッド27および28は、コ
ンピュータシステムからなる制御部29によって制御さ
れる電圧源30に接続されているので、パルス制御電圧
V1、V2(ただし、0<V2<V1)が所定のタイミ
ングで印加できる。そして、後述するように試料のイオ
ンがグリッド27および28の間に溜まり、所定のパル
ス制御電圧V1、V2が、それぞれグリッド27、28
に印加されると、陽イオンがグリッド26側へ加速され
てドリフト領域11に送り込まれ、質量分析等に供され
る。
【0040】さらに、グリッド21、27および28の
構造を図2に基づいて説明する。グリッド21は、絶縁
材料からなる円筒管の周壁に、レーザ加工によって多数
の穴を設けた後、表面全体に導電性の被膜を施すことに
よって形成されている。グリッド22の内径は、針22
を挿入できる内径であればよい。たとえば、約10ミク
ロンメートル〜約100ミクロンメートルが好ましい。
そして、グリッド21の上側端部21aとグリッド21
の下側端部21bとの間に電圧E2を印加することによ
り、グリッド21の円筒内部に所定の電場勾配を発生さ
せる。試料の陽イオンを処理する場合には、図2に示さ
れているように上側端部21aに対して下側端部21b
の電位を高くする電圧E2を適用する。試料の陰イオン
を処理する場合には、上側端部21aに対して下側端部
21bの電位を低くする電圧E2を適用する。グリッド
27および28は、共に平行な金属網で形成されてい
る。
【0041】図3は、グリッド21の別の構造を示した
ものである。図3では、グリッド21は、z方向に配列
された複数の金属リング21c〜21eを所定の間隔で
相互に平行に配置したものから構成される。このグリッ
ド21は、これらの金属リング21c〜21e間に所定
の電圧E20、E21を印加することにより、この金属
リング内に所定の電場勾配を発生させるようにしたもの
である。図3に示すグリッドの構造では、試料の陽イオ
ンを処理する場合は、金属リング21cに最も低い電位
にするように21c,21d,21eの順序で電圧E2
0,E21を印加する。また、試料の陰イオンを処理す
る場合は、金属リング21cに最も高い電位にするよう
に21c,21d,21eの順序で電圧E20,E21
を印加する。
【0042】なお、グリッド21の構造は、図2、図3
に示したような構造に限られるものではなく、針22の
先端部で生じた所定のイオンをグリッド27、28の間
に引き出すような電場勾配を形成できるものであればよ
い。また、グリッド27、28の構造は、図2に示した
ような構造に限られるものではなく、所定のパルス制御
電圧V1,V2を受けて、所定のイオンをドリフト領域
に加速できるものであればよい。
【0043】次に、かかる構造を有する当該実施の形態
の作動を説明する。以下、陽イオンを質量分析等する場
合を代表して説明する。したがって、電圧E2は、グリ
ッド21の下側端部21bを高電位にし、上側端部21
aを低電位にする設定とする。
【0044】図4に示すように、供給管18に電解質溶
液Lを流入させた状態で、針22を孔20側へ降下さ
せ、針22の先端を電解質溶液Lに接触させる。このと
き、制御電圧E1の極性を、針22に対して供給管18
の方が高い電位となるように設定すると、試料の陽イオ
ンが電気泳動によって針22の先端に移動するので、針
22の先端部には陽イオンが濃縮されて付着する。
【0045】次に、図5に示すように、E1を引き続き
印加したままで、針22を孔20から引き抜いて所定の
高さまで引き上げると、針22の先端には高濃度の陽イ
オンが付着したままとなる。
【0046】この後、図6Aに示すように、窓81を通
して針22の先端にレーザ装置80で発生したレーザ光
を照射すると、目的とする陽イオンが液滴の溶媒分子等
と共に放出される。レーザ光はパルス状に照射すること
が好ましい。また、針22を孔20から引き抜いて所定
の高さまで引き上げて、液滴中の溶媒を蒸発させた後の
固形物にレーザ光を照射してもよい。針22にレーザ光
を照射するに場合に、図6Bに示すように針22の先端
に付着した液滴または固着物に照射してもよく、図6C
に示すように針22の本体の部分に照射してもよい。ま
た、レーザ光は、針22と液滴または固着物に照射して
もよいし、針22と液滴と固着物に照射してもよい。針
22の本体に照射した場合は、レーザ光により針22の
先端部がパルス的に加熱され、この熱により液滴中の陽
イオンが放出される。照射するレーザ光は、紫外線から
赤外線のパルスレーザ光の好ましく、照射するエネルギ
ーは、数マイクロジュール〜数ミリジュールの出力が好
ましい。電解質溶液Lが、レーザ光吸収有機物を含んで
いると、この物質がレーザ光を吸収するので試料の分解
を防ぐバッファの役割を果たす。したがって、電解質溶
液が、照射するレーザ光に応じたレーザ光吸収有機物を
含んでいることが好ましい。
【0047】放出された陽イオンは、グリッド21によ
る電場勾配によってグリッド27、28の間に移動す
る。この後、電圧源30からグリッド27、28に前記
所定のパルス制御電圧V1、V2を印加することによ
り、グリッド27、28間に存在する陽イオンを加速
し、ドリフト領域11へ移動させる。TOF質量分析装
置では、被測定イオンの電荷と質量の比に応じてドリフ
ト領域11内の飛行速度が異なるので、ドリフト領域の
飛行時間が異なる。したがって、この飛行時間を測定す
ることにより質量スペクトルを求めることができる。す
なわち、パルス制御電圧V1,V2を印加したときから
の時間の関数として、マイクロチャネルプレート12に
到達した陽イオンを検出して、その検出信号Sを記録部
14で記録することにより、試料の質量スペクトルが求
められる。
【0048】針22の先端に陽イオンを付着させる方法
は、図4、図5に示したものに限られるものではない。
たとえば、図7に示すように、供給管18に電解質溶液
Lを流入させた状態で、供給管18の電位が針22の電
位に対して低くなるように電圧E1を印加して、針22
を孔20の電解質溶液Lの液面に近づける。この印加電
圧E1による電場により針22の近傍の液面には陽イオ
ンが引き寄せられて高濃度になっている。そして、この
印加電圧E1によって液面が局部的に盛り上がり、この
液面の盛り上がり(テーラーコーン)が針22の先端に
接触する。この場合、印加電圧E1は、50V〜200
Vが好ましい。図8に示すように、針22と供給管18
間の電圧差をゼロとすると、液面は元に戻り針22の先
端には高濃度の陽イオンが付着させることができる。ま
た、針22の先端に陽イオンを付着させる方法として
は、たとえば、図7に示すごとく針22が低電位になる
ように電圧E1を印加して、針22をピエゾ素子を用い
た移動装置23で10Hz〜100kHzの周波数で針
22の先端が液面に接触しないように繰り返しz方向に
移動させるようにしてもよい。このようにすると、きわ
めて安定にテーラーコーンが発達するので、針22の先
端に液滴を付着させることが容易になる。そして、この
周波数を変えることで従来では不可能であった放出され
るイオンの量を制御することができるようになり、ま
た、従来では不可能であった200ナノメートル程度の
液滴も発生できる。さらに、イオン化室の真空排気量と
この周波数を調整することによりイオン化室で放出され
たイオンのほとんどを質量分析装置へ転送できる。
【0049】また、図9に示すように、供給管18に電
解質溶液Lを流入させた状態で、針22と供給管18の
間に電圧E1を印加することなく、針22を孔20側へ
降下させ、針22の先端を電解質溶液Lに接触させて、
図10に示すように針22を再び上昇させることによっ
ても、イオンを針22の先端に付着することができる。
【0050】このように、本実施の形態では針22の先
端にイオンを付着させるのに、針22と供給管18の間
に所定の電圧を印加して所定の電荷極性のイオンを引き
寄せるようにしたので、所定の電荷極性のイオンを針2
2の先端に付着できる。そして、このイオンをレーザ光
で放出させるようにしたので、従来に比べて、イオンを
発生させるのが短時間でできるようになった。また、所
定の電荷極性のイオンを効率よく放出できるようになっ
た。針22を液面に接触させたり、針22に加える電圧
により液面を引き寄せて液滴を付着させるようにしたの
で、従来のエレクロトスプレー法で限界であった孔20
の直径が数ミクロンメートル程度の場合でも液滴を取り
出すことが容易となった。
【0051】本実施の形態の作動説明では、被測定試料
の陽イオンを採取して放出する場合に述べたが、陰イオ
ンを測定する場合には、図1における制御電圧E1,E
2とパルス制御電圧V1,V2の極性を上記の説明とは
逆に設定することになる。すなわち図4、図5に示す処
理過程では、供給管18に対して針22の電位を高くす
る制御電圧E1を印加し、制御電圧E2もグリッド2
7、28側が供給管18側に比べて高電位になるように
印加し、パルス制御電圧V1,V2は負電圧(V1<V
2<0)にする。
【0052】本実施の形態で使用している針22は、図
11(a)のように比較的単純な円錘台状の先端部分を
有する金属針であるが、これに限定されるものではな
い。たとえば、図11(b)に示すように、針の先端部
を誘電物の膜Cで被覆してもよい。図11(c)に示す
ように、針の全体を誘電物の膜Cで被覆してもよい。図
11(d)に示すように、針の先端部と基部の間にくび
れを形成するようにして、針の先端部をそのくびれ部の
径よりやや大きい直径を有する球形状の部分Bを設けも
よい。これにより、液滴の表面張力はその曲率によるの
で、針の先端部のみに液滴を付着することができる。図
11(e)に示すように、針の基部をテフロン等の電解
質溶液を弾く疎水性の物質で被覆してもよい。これによ
り、液滴が先端部のみに付着する。また、図11(f)
に示すように細い中空管からなる針を用いてもよい。図
11(g)に示すように針の先端部をくびらせてその先
端にくびれ部の直径よりやや大きい直径を有する球形状
の部分Bを設け、その球形部分の表面を誘電物または電
解質溶液を吸着する親水性の物質の膜Dで被覆し、針の
先端部の残りの部分をテフロン等の電解質溶液を弾く疎
水性の物質Cの膜で被覆してもよい。誘電物の代わりに
絶縁物を用いてもよいし、その両方を用いてもよい。図
11(h)に示すように、針の本体Gを導電体で形成
し、針の先端部をくびらせてその先端にくびれ部の直径
よりやや大きい直径を有する球形状の部分を設けて、針
の表面を絶縁体Eで覆い、さらに針の先端を除いて導電
体Fで覆うような構造としてもよい。図11(h)に示
す針は、試料イオンが正電荷のとき、GをFに対して低
い電圧とし、試料イオンが負電荷のとき、GをFに対し
て高い電圧とする。これにより、液滴または液滴を含む
イオンが針の先端部に付着するようになるので、付着液
滴を微小にできる。以上のような針に利用できる電解質
溶液を弾く物質としては、例えば、テフロン等がある。
【0053】針の先端部の形状と被覆膜は、針の先端部
に電解質溶液L中の陽イオンまたは陰イオンが付着し易
く、また放出させ易くなればよく、これらの態様の組み
合わせや他の形状であってもよい。たとえば、針の基部
表面の少なくとも一部が誘電物、絶縁物または電解質溶
液を弾く物質で被覆されていてもよく、また針の先端部
が誘電物、絶縁物または電解質溶液を吸着する物質で被
覆されていてもよい。また、針の断面形状も円に限るも
のではなく、例えば、楕円、もしくは、三角形、四角形
等の多角形でもよい。
【0054】また、針22の先端の直径は、図4、図5
のように陽イオンを相互のクーロン力に抗して針22の
先端に付着させるておくため、約100個の陽イオンに
対して約10ナノメートルとすることが望ましい。一般
に、針22の先端を鋭利にすれば局所的に電場が強くな
り、針の先端部分に高い濃度で陽イオンを付着させるこ
とができるが、本実施の形態の装置を一般的な質量分析
装置に適用することを考慮すると、針22の先端の直径
を約5ナノメートル〜0.5ナノメートルに設計するこ
とが望ましい。
【0055】さらに、針の先端部に電解質溶液L中の陽
イオンまたは陰イオンが付着し易く、また放出させ易い
ようにするために、針の形状に変化を持たせるだけでな
く、電解質溶液Lの供給管の構造を変えてもよい。例え
ば、図12に示すように、供給管18の構造を、中央部
に電解質溶液Lの吹き出し口を設け、その周囲に吹き出
し口と同軸に電解質溶液Lの吸収口を設けるようにして
もよい。
【0056】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図13に基づいて説明する。図13中の各構成要素
において図1と同一または相当する部分を同一符号で示
す。図1に示した第1の実施の形態との相違点を述べ
る。イオン化分析装置のイオン化室15の下端には、電
解質溶液Lをイオン化室内部に導入するキャピラリ管3
1が設けられている。キャピラリ管31内には、z方向
に進退移動可能な細い針32が挿入されている。針32
がイオン化室15の内部まで進行すると、針32の先端
がイオン化室15の内部に突き出し、針32がキャピラ
リ管31内を退行すると、その先端がキャピラリ管31
内に収納されるようになっている。さらに、キャピラリ
管31と針32の間には、所定の極性の制御電圧E1を
印加するための電圧源24が接続されている。
【0057】次に、イオン化分析装置の要部断面を示す
図13〜図15に基づいて、第2の実施の形態の作動を
陽イオンを分析する場合について説明する。この場合に
は、図13に示すように、グリッド21の下側端(針3
2の側)を高電位、上側端を低電位に設定する電圧E2
を印加することにより所定の電場勾配を設け、さらにグ
リッド21に対してキャピラリ管31が高電位となるよ
うに電圧E3を設定する。
【0058】次に、図14に示すように電解質溶液Lを
キャピラリ管31に供給し、針32をイオン化室15の
内部まで移動させる。このとき同時に、キャピラリ管3
1に対して針32を低い電位にする制御電圧E1を印加
する。この結果、キャピラリ管31と針32との間に生
じる電場により、電解質溶液L中の陽イオンが電気泳動
して針32の先端付近に移動し濃縮されて針32に付着
する。
【0059】次に、図15に示すように、電解質溶液L
の表面張力の及ばない距離の所まで針32の先端部を進
行させる。そして、レーザ光を針32の先端部Aまたは
針32の基部Bに照射する。このレーザ光照射により針
32に付着している陽イオンがイオン化室内に放出され
る。この陽イオンは、グリッド21の電場勾配によって
グリッド27、28の間に移動する。その後、電圧源3
0によりグリッド27、28に正のパルス制御電圧V
1,V2を印加することにより陽イオンをドリフト領域
11へ加速して飛行させる。そして、この陽イオンをマ
イクロチャネルプレート12で検出した信号Sに基づい
て記録部14が質量スペクトルを記録する。
【0060】このように第2の実施の形態では、針32
をイオン化室15の内部に移動させる際に針32に所定
の制御電圧E1を印加して針32の先端部分に電解質溶
液Lの陽イオンを濃縮して付着させ、針32をイオン化
室15のさらに内部に移動させてから、針32にレーザ
光を照射して陽イオンを放出させるので、極めて操作が
簡素である。また、被測定イオンが濃縮されているの
で、従来のように不要な電解質溶液を大量にイオン化し
て計測の妨げとなるという問題が解消される。さらに、
図11(b)〜(g)に示すように針32の先端または
全体を誘電膜32aで被覆し、針32の内部の金属部分
に制御電圧E1を印加することにより、針32の先端部
分に効率よく電場をかけることができる。さらに、ま
た、被膜32aをテフロン等の素材にすれば、針32の
先端部分に付着する電解質溶液とキャピラリ管31内の
電解質溶液Lとを容易に分離することができるので、イ
オンを放出させるための過程に迅速に移ることができ、
イオン放出のための全体の処理時間を短縮することがで
きる。
【0061】なお、第2の実施の形態の説明では、陽イ
オンを処理する場合について説明したが、陰イオンを処
理する場合には、上記の制御電圧E1〜E3およびパル
ス制御電圧V1,V2の極性を、陽イオンを処理する場
合と逆に設定することになる。
【0062】また、第2の実施の形態の変形例として、
電解質溶液を供給するための供給管の構造と針の配置を
図16のようにしてもよい。図16によれば、図15の
キャピラリ管31の代わりに供給管18を設けて、その
構造を供給管の中央部に電解質溶液Lの吹き出し口を設
け、さらにその周囲に吹き出し口と同軸に電解質溶液L
の吸収口を設けるようにしたものである。針32は、そ
の先端部をイオン化室方向に向けて供給管18の吹き出
し口内の中央部に配置されている。針32の先端にイオ
ンを付着させた後、針の先端部に窓81を通してレーザ
光を照射すると、針32の先端部からのイオンを効率よ
く放出させることができる。このとき、針先端部の気圧
は、大気圧でもよく、また大気圧より低い気圧でもよ
い。針の先端部にガスを吹き付けることにより、放出さ
れたイオンを効率よくグリッド27、28の間へ送るこ
とができる。
【0063】(第3の実施の形態)次に、本発明の実施
に形態を図17に基づいて説明する。なお、図17中の
各構成要素において図1と同一または相当する部分を同
一符号で示す。図1に示した実施の形態との相違点につ
いて説明する。イオン化室15の下端に、その内部ま
で、電解質溶液Lを導入するためのキャピラリ管40が
設けられており、さらにイオン化室15の内部には、グ
リッド21の中空部分を貫通しキャピラリ管40の先端
部分に対向して、針22が固定されている。この針の先
端部とキャピラリ管40の先端との間は、数ミクロンメ
ートル程度の隙間で隔離されている。キャピラリ管40
の先端部分には、超音波振動子41が取り付けられてい
る。また、キャピラリ管40と針22の間に、所定の極
性の制御電圧E1を印加する電圧源24が接続されてい
る。
【0064】次に、イオン化分析装置の要部断面を示す
図17〜図19に基づいて、第3の実施の形態の作動を
陽イオンを分析する場合について説明する。図17に示
すようにグリッド21の下側端(キャピラリ管40の
側)を高電位とし、また上側端を低電位とする電圧E2
を印加して、グリッド21に所定の電場勾配を生じさせ
ておく。
【0065】図18に示すように、電解質溶液Lをキャ
ピラリ管40に供給して、超音波振動子41を振動させ
ると、キャピラリ管40が振動するので、キャピラリ管
40内の電解質溶液Lも振動する。そして、キャピラリ
管40を高電位とし、針22を低電位とする制御電圧E
1を印加する。この超音波振動子による振動により、電
解質溶液Lの液面が盛り上がりテーラーコーンが発達す
る。そして、このテーラーコーンが針22の先端に接触
して、電解質溶液L中の陽イオンが、制御電圧E1によ
る電場によって電気泳動して針22の先端に付着する。
この場合には、針22を移動させることなく、その先端
に陽イオンを付着させることができる。
【0066】図19に示すように、超音波振動子41の
振動周波数を変化させて、電解質溶液Lの液面からが針
22が離れた状態にする。この状態で、針22にレーザ
光を照射して、陽イオンを放出させる。レーザ光の照射
は、針22の先端に付着したイオンに行ってもよく、針
22の基部に行ってもよい。このレーザ光の照射により
放出された陽イオンは、グリッド21の電場勾配によっ
てグリッド27、28の間に移動する。電圧源30によ
りグリッド27、28の正のパルス制御電圧V1,V2
を印加することにより陽イオンをドリフト領域11へ加
速して飛行させる。この陽イオンをマイクロチャネルプ
レート12で検出した信号Sに基づいて記録部14が質
量スペクトルを記録する。
【0067】このように、第3の実施の形態において
は、電解質溶液Lを超音波振動子41で振動させること
により、針22の先端部に陽イオンを付着させるので針
22を移動する必要がない。したがって、針の位置調整
が不要になり、装置の簡素化および機械精度の向上等を
図ることができる。また、針22を機械的に移動するこ
となく針22の先端に繰り返しイオンを付着することが
できるので、分析時間を短縮することができる。さら
に、超音波振動子を繰り返し動作させるとキャピラリ管
40内の電解質溶液Lの液面にテーラーコーンが極めて
安定に発達するので、針22の先端へのイオンの付着が
安定し、レーザ光の照射により効率よくイオンを放出す
ることができる。また、レーザ光照射の繰り返し動作の
周波数と超音波振動子の繰り返し周波数を一致させかつ
その同期をとると、超音波振動子の繰り返し動作の周波
数(約10Hz〜10kHz)でイオンを放出を繰り返
しさせることができるので、大量のイオンを短時間で発
生させることができる。
【0068】なお、第3の実施の形態の説明では、陽イ
オンを処理する場合について説明したが、陰イオンを処
理する場合には、上記の制御電圧E1、E2およびパル
ス制御電圧V1,V2の極性を、陽イオンを処理する場
合と逆に設定することになる。
【0069】また、第3の実施の形態の変形例として、
電解質溶液Lを針22に付着させるための構造として、
図20のようにしてもよい。図20は、図18、図19
に対応する部分断面図である。図17中のキャピラリ管
40の代わりに供給管18を設けたものである。供給管
18は、同一の中心軸を有す直径の異なる2つ円柱管に
より構成され、イオン化室15側端の中央部に電解質溶
液Lの吹き出し口を設け、その周囲に電解質溶液Lの吸
収口を設けるようにしたものである。そして、供給管1
8の吹き出し口の基部には、超音波振動子41を固定し
た。この超音波振動子により、供給管18の吹き出し口
端部を上下方向に振動させることができる。針22は、
その先端が供給管18の吹き出し口と対向するように固
定されている。針22と供給管18の間には、所定の電
圧E1が印加されている。このような構造でも、超音波
振動子41を繰り返し振動させることによりテーラコー
ンを安定に発生させることができるので、針22にイオ
ンを付着させることができる。そして、レーザ装置80
で発生されたレーザ光を窓81を介して針22に照射す
ることによりイオンを放出させることができる。放出さ
れたイオンは、グリッド27、28の間に移動し、質量
分析に供される。
【0070】(第4の実施の形態)第4の実施の形態を
図21に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態の
図1と同一または相当する構成要素は同一符号で示す。
図21においては、イオン化室15の下端には、このイ
オン化室にN2ガスを供給するキャピラリ管50が連結
され、このキャピラリ管50に対して略直交する方向か
ら電解質溶液Lを供給するためのキャピラリ管51が設
けられている。そして、キャピラリ管50と51の一側
には、レーザ加工等によって、直径が約1ミクロンメー
トル〜10ミクロンメートル程度の穴52が穿設される
ことにより、キャピラリ管51が孔52を介してイオン
化室15の内部と連通している。さらに、キャピラリ管
50には、孔52に対向する側壁にレーザ加工等によっ
て、10ミクロンメートル〜50ミクロンメートル程度
の穴53が穿設されている。穴53には針22が挿入さ
れ、可撓性を有する封止剤54により、穴53と針22
の間の隙間が密閉されている。針22は、移動装置23
内に収容されているピエゾ素子や超音波振動素子等に連
結される。これらの素子が針22を駆動することによ
り、針22の先端が孔52内に挿入されたり、引き出さ
れたりできるようになっている。また、針22とキャピ
ラリ管51との間に所定極性の制御電圧E1を印加する
ための電圧源24が接続されている。さらに、キャピラ
リ管50のうち、イオン化室15内に突出した部分の外
周面が、高抵抗の導電性材料からなる被膜で覆われてお
り、被膜55の上端(グリッド27、28側)と下端と
の間に所定極性の電圧E2が印加される。そして、グリ
ッド27、28以降の部分の構造は、図1と同様であ
る。
【0071】針22は、光ファイバーの先端を電解質溶
液Lの液滴を付着できるように加工したものである。そ
の構造は、例えば、図22(a)〜(c)に示すような
形状となっている。図22(a)では、針の先端から光
ファイバーのクラッド部57を除き、コア部56を露出
して、針の先端を球状にし、さらに針の先端を含む先端
部分を導電層58で被覆したものである。図22(b)
では、針の先端から光ファイバーのクラッド部57を除
き、コア部56を露出して、さらに針の先端を含む先端
部を導電層58で被覆したものである。図22(c)で
は、針の先端から光ファイバーのクラッド部57を除
き、コア部56を露出して、針の先端を球状にしたもの
である。針の先端を球状にすると、液滴の表面張力はそ
の液滴の極率によるので、針の先端のみに液滴が付着す
る。図22(a)〜(c)の針では、レーザ光は光ファ
イバの基部方向から先端方向へ入射させると(図22の
矢印方向)、針の先端にレーザ光を導入でき、また針の
先端部に近接場を作ることができる。
【0072】次に、本実施の形態の作動について陽イオ
ンを処理する場合について説明する。まず、電解質溶液
Lをキャピラリ管51によって供給し、針22の先端を
孔52内に挿入すると、針22の先端は電荷質溶液Lと
接触する。このとき、針22に対してキャピラリ管51
の電位を高くするように制御電圧E1の極性を設定する
と、針22の先端には、陽イオンが濃縮して付着する。
【0073】次に、針22を孔52から後退させて、針
22の先端を電解質溶液Lの液面から離す。レーザ装置
80で発生させたレーザ光を光ファイバー等で針22の
基部へ導き、針22にレーザ光を入射させる。針22の
先端に付着している陽イオンは、入射したレーザ光によ
るエバネッセント光または直接光によりキャピラリ管5
0内に放出される。放出されたイオンは、電圧E2と導
電性被膜55によって生じる電場勾配によってグリッド
27、28の間に移動させられる。グリッド27、28
にパルス制御電圧V1,V2が印加されると、これらの
イオンはドリフト領域11に導入される。
【0074】なお、針22の先端に付着した陽イオンが
放出される際に、その先端に付着している電解質溶液の
蒸発を防止するために、キャピラリ管50から供給する
ガスに溶媒と同質の水蒸気等を含ませることが望まし
い。また、本実施の形態でのイオン化室の真空度は、次
のように見積もられる。例えば、内径30ミクロンメー
トルでその長さが1センチメートルのキャピラリ管50
を適用した場合には、ガスのリーク量Qが4×10
ー3(Torr・l/sec)であり、またイオン化室1
5に接続されている排気用の真空ポンプの排気速度Vが
100(l/sec)〜1000(l/sec)とする
と、イオン化室の内部圧力は、Q/V=4×10ー6〜4
×10ー5(Torr)となるので、イオン化室15を十
分な真空状態にすることができる。
【0075】また、キャピラリ管50のガス導入端から
孔52までにの距離を短くして、孔52の位置での圧力
をこのガス導入端での圧力(1気圧)に近づけることに
より、電解質溶液Lの蒸発を抑制することが望ましい。
【0076】(第5の実施の形態)第5の実施の形態を
図23に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態と
の同一または相当する構成要素は同一符号で示す。図2
3に基づいて、第1の実施の形態との相違点を述べる
と、針22を収容するキャピラリ管60がイオン化室1
5内に設けられ、このキャピラリ管60の下端が、供給
管18に形成されている孔20に繋がり、他端が供給ポ
ート16の連通し、上端がグリッド27、28に対向し
て開放されている。また、キャピラリ管60の側面に
は、レーザ光導入窓82がある。さらに、キャピラリ管
60の外側面は、高抵抗の導電性膜61で被覆され、こ
の導電性膜61の上端と下端に所定の極性の電圧E2を
印加することによって、キャピラリ管60の中空内部に
電場勾配を発生させている。
【0077】かかる構成の本実施の形態も第1の実施の
形態と同様に、電圧E1と電圧E2を所定の極性に設定
して針22に電解質溶液Lのイオンを付着させ、レーザ
光を照射することによってイオンを放出させ、質量分析
に供することができる。
【0078】(第6の実施の形態)第6の実施の形態を
図24に基づいて説明する。なお、第3の実施の形態の
図17と、第5の実施の形態の図23と同一または相当
する構成要素は同一符号で示す。図24において第3、
第5の実施の形態との相違点を述べる。イオン化室15
の下端に、電解質溶液Lを供給するためのキャピラリ管
40が連結されると共に、キャピラリ管40の先端部分
に超音波振動子41が固定されている。さらに、針22
を収容するキャピラリ管60がイオン化室15内に設け
られて、このキャピラリ管60の下端が、キャピラリ管
40の上端に対向し、キャピラリ管60に他端が供給ポ
ート16に連通し、またキャピラリ管60の上端がグリ
ッド27、28に対向して開放されている。また、キャ
ピラリ管60の側面には、レーザ光導入窓82が設けら
れている。さらに、キャピラリ管60の外側面は、高抵
抗の導電性膜61で被覆されている。そして、この導電
性膜61の上端と下端に所定の極性の電圧E2を印加す
ることによってキャピラリ管60の中空内部に所定の電
場勾配を発生させている。
【0079】かかる構成の本実施の形態も第3の実施の
形態または第5の実施の形態と同様に、電圧E1と電圧
E2を所定の極性に設定して、超音波振動子41を振動
させることにより、針22を固定したままその先端に電
解質溶液Lのイオンを付着させることができる。そし
て、レーザ光を照射することによって針の先端に付着イ
オンを放出させ、質量分析に供することができる。
【0080】(第7の実施の形態)第7の実施の形態を
図25に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態の
図13と第5の実施の形態の図23と同一または相当す
る構成要素は同一符号で示す。図25において、第2、
第5の実施の形態との相違点を述べる。イオン化室15
の下端に、電解質溶液Lを供給するためのキャピラリ管
31が連結されている。キャピラリ管31内には、進退
移動可能な針32が挿入されている。さらに、イオン化
室15内にはその下端からグリッド27、28側へ延び
るキャピラリ管60が設けられて、その一端が供給ポー
ト16に連通している。キャピラリ管60の外側面には
高抵抗の導電性膜61で被覆されている。そして、導電
性膜61の上端と下端に所定の極性の電圧E2を印加し
て、キャピラリ管60の中空内部に電場勾配を発生させ
ている。
【0081】かかる構成の本実施の形態も第2、第5の
実施の形態と同様に、電圧E1と電圧E2を所定の極性
に設定すると、針32を移動させることにより電解質溶
液Lのイオンを針32の先端に付着させることができ
る。そして、レーザ光を照射することによって付着した
イオンを放出させ、質量分析に供することができる。
【0082】以上第1の実施の形態から第7の実施の形
態で説明したように、本発明のイオン化分析装置は、質
量分析計等と一体にできるので、放出したイオンを直接
に質量分析計等に導入できるため、きわめて高い転送効
率が得られる。
【0083】なお、以上の実施の形態の説明において
は、本発明をTOF質量分析装置に適用した場合につい
て説明したが、本発明の適用はTOF質量分析装置に限
られるものではなく、例えば、4重極質量分析装置等に
ついても適用することができる。
【0084】(第8の実施の形態)第8の実施の形態を
図26に基づいて説明する。なお、第1の実施の形態の
図1と同一または相当する構成要素は同一符号で示す。
図26において、第1の実施の形態との相違点を述べ
る。イオン化室15の下部側面に電解質溶液を供給する
ためのキャピラリ管40が設けられている。イオン化室
15の内面のキャピラリ管40に対向する位置には、穴
43が穿設されている。穴43には、その先端をキャピ
ラリ管40に向けて針22が挿入され、可撓性を有する
封止材44により、穴43と針22の隙間は密閉されて
いる。針22は、移動装置23内に収容されているピエ
ゾ素子に連結されている。また、イオン化室15の底面
には、N2ガスを供給するための供給管16が設けられ
ている。イオン化室15の側面には、針22の先端にレ
ーザ光を照射するために、レーザ光導入用の窓81が設
けられている。さらに、イオン化室15内には、スキマ
ー90がグリット27、28の下方であって針22の上
方に設けられ、イオン化室15をイオン放出室91とイ
オン蓄積室92に分離している。
【0085】次に、本実施の形態の作動について説明す
る。キャピラリ管40に電解質溶液Lを供給し、針22
に制御電圧E1を印加する。さらに移動装置23内に収
容されているピエゾ素子に振動電圧を印加すると、針2
2が振動して、電解質溶液の液面との距離が変化するこ
とにより、液面にテーラーコーンが周期的に発生して、
針22の先端には試料イオンまたは試料イオンを含む液
滴が付着する。この状態で、針22の先端の付着液滴や
付着イオンや液滴の吸着した後の固形物にレーザ光を照
射すると、イオンが放出される。このレーザ光はパルス
的に照射することが好ましい。また、試料のソフトイオ
ン化を好ましく行うようにするためには、電解質溶液L
には、レーザ光を吸収して試料の分解を防止する溶媒を
混合しておくことが望ましい。このようにして発生した
イオンは、スキマー90を通り、TOF質量分析装置に
導入される。導入方法は、供給管16から、N2ガスを
供給することによって吹き飛ばしてもよいし、N2ガス
を吹き付けないで導入してもよい。ここで、イオン放出
部91は、大気圧であることが好ましい。
【0086】また、第8の実施の形態の変形例として、
図27のようにしてもよい。図27は、図26のイオン
化室15内にスキマー93を設けて、イオン化室15を
イオン放出部91と差動排気室94とイオン蓄積室92
に分離したものである。差動排気室94は、ポート95
から低真空ポンプ(図示せず)により真空排気される。
【0087】ここで、図1から図25までの実施の態様
においては、図26および図27のようにスキマー9
0、93を設けていないが、従来のように、スキマーを
導入してもよく、また細管を導入してもよい。さらに、
差動排気を行うようにしてもよい。この場合、試料イオ
ンをイオン化させる量は、針22を振動させる時の振動
数で制御できる。例えば、イオン化させるイオンをすべ
てTOF質量分析装置に導入したい場合は、針22の振
動数を低くすればよい。
【0088】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
イオン化室に針を設け、この針の先端に電解質溶液Lの
試料イオン、試料イオンを含む液滴、または試料イオン
を含む液滴の固形物を付着させ、これにレーザ光を照射
してイオンを放出させるようにしたので、簡易にかつ短
時間で被測定試料のイオンを得ることができるようにな
り、イオン分析の時間を短縮することが可能なイオン分
析装置が提供できるようになった。
【0089】また、イオン化室に針を設け、この針の先
端に電解質溶液Lの試料イオン、試料イオンを含む液
滴、または試料イオンを含む液滴の固形物を付着させ、
これにレーザ光を照射してイオンを放出させるようにし
たので、簡易にかつ短時間で被測定試料のイオンを繰り
返し得ることができるようになり、連続運転も可能なイ
オン分析装置が提供できるようになった。
【0090】さらに、イオン化室に針を設け、この針の
先端に電解質溶液Lの試料イオン、試料イオンを含む液
滴、または試料イオンを含む液滴の固形物を付着させ、
これにレーザ光を照射してイオンを放出させるようにし
たので、微量のイオンを放出することができるようにな
り、従来に比べて高いイオン転送効率を達成できるよう
になった。その結果、質量分析計への導入効率が高くな
り、高感度なイオン分析装置を提供できるようになっ
た。
【0091】さらに、また、イオン化室に針を設け、こ
の針の先端に所定の電圧を印加して針の先端に電解質溶
液L中の所定の電荷極性のイオン、試料イオンを含む液
滴、または試料イオンを含む液滴の固形物を付着させ、
これにレーザ光を照射してイオンを放出するようにした
ので、針の先端に濃縮され付着したイオンが放出され、
従来よりも高精度のイオン分析が可能となった。
【0092】また、イオン化室と質量分析計を含むイオ
ン分析部容器とを一体となった構造とし、差動排気系を
なくしてイオン化させる溶液量を制御するようにしたの
で、全ての試料イオンと溶媒の蒸発物、入射N2ガス
を、TOF質量分析装置に導入できるようになり、試料
イオンをイオン化室から質量分析計に高い転送効率で導
入できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン分析装置の第1の実施の形態の
構成を示す縦断面図である。
【図2】図1中のグリッドの構成を示す斜視図である。
【図3】図1中のグリッドの他の構成を示す斜視図であ
る。
【図4】第1の実施の形態の作動を説明する部分断面図
である。
【図5】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部分
断面図である。
【図6】図6Aは、第1の実施の形態の作動をさらに説
明する部分断面図である。図6Bは、針へのレーザ光の
照射の説明をするための拡大斜視図である。図6Cは、
針へのレーザ光の照射の説明をするための拡大斜視図で
ある。
【図7】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部分
断面図である。
【図8】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部分
断面図である。
【図9】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部分
断面図である。
【図10】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図11】実施の形態に備えられた針の形状を示す部分
断面図である。
【図12】第1の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図13】本発明のイオン分析装置の第2の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図14】第2の実施の形態の作動を説明する部分断面
図である。
【図15】第2の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図16】第2の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図17】本発明のイオン分析装置の第3の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図18】第3の実施の形態の作動を説明する部分断面
図である。
【図19】第3の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図20】第3の実施の形態の作動をさらに説明する部
分断面図である。
【図21】本発明のイオン分析装置の第4の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図22】実施の形態に備えられた針の形状を示す部分
断面図である。
【図23】本発明のイオン分析装置の第5の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図24】本発明のイオン分析装置の第6の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図25】本発明のイオン分析装置の第7の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図26】本発明のイオン分析装置の第8の実施の形態
の構成を示す縦断面図である。
【図27】第8の実施の形態の作動を説明する縦断面図
である。
【図28】レーザ脱離法による従来のイオン分析装置の
構成を示す断面図である。
【図29】エレクトロスプレー法による従来のイオン分
析装置の構成を示す断面図である。
【図30】従来のイオン化分析装置の課題を説明するた
めの説明図である。
【符号の説明】
15…イオン化室、18…供給管、20、33…孔、2
1、27、28…グリッド、22、32…針、23…移
動装置、24…電圧源、31、40、50、60…キャ
ピラリ管、41…超音波振動子、80…レーザ装置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質溶液内に含まれる試料のイオンを
    イオン化室内の気中または真空中に放出するイオン化分
    析装置であって、 前記イオン化室内に設けられた針と、 前記電解質溶液中のイオンを含む液滴または前記電解質
    溶液中のイオンを前記針に付着させる付着手段と、 前記付着液滴、前記付着イオンまたは前記針の少なくと
    も一つにレーザ光を照射することにより、前記付着液滴
    中のイオンまたは前記付着イオンを前記イオン化室内に
    放出させる放出手段と、を具備することを特徴とするイ
    オン化分析装置。
  2. 【請求項2】 前記付着手段は、 前記電解質溶液を前記イオン室内に供給し、前記針を移
    動させることによりその先端を一時的に前記電解質溶液
    に接触させる移動手段と、 前記電解質溶液内での前記イオンの電荷極性に対応して
    前記針に所定極性の電圧を印加する手段と、を有するこ
    とを特徴とした請求項1に記載のイオン化分析装置。
  3. 【請求項3】 前記針は、前記イオン化室内に固定さ
    れ、 前記付着手段は、 前記電解質溶液を前記針の近傍まで供給する供給管と、 前記供給管を振動させて前記電解質溶液の表面を移動さ
    せることにより、前記電解質溶液を前記針の先端に付着
    させる振動手段と、 前記電解質溶液内の前記イオンの電荷極性に対応して前
    記供給管と前記針間に所定極性の電圧を印加する手段
    と、を具備することを特徴とする請求項1に記載のイオ
    ン化分析装置。
  4. 【請求項4】 前記付着手段は、 前記電解質溶液を前記イオン化室へ供給する供給管を有
    し、 前記針は、所定方向へ移動するとその先端部が前記イオ
    ン化室内へ突き出すように、前記供給管内に対して進退
    移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に
    記載のイオン化分析装置。
  5. 【請求項5】 前記移動手段は、 前記針を振動させることによりその先端を一時的に前記
    電解質溶液に接触させることを特徴とする請求項2に記
    載のイオン化分析装置。
  6. 【請求項6】 前記振動手段は、超音波振動子であるこ
    とを特徴とする請求項3記載のイオン化分析装置。
  7. 【請求項7】 前記針は、その表面の少なくとも一部が
    誘電物、絶縁物、電解質溶液を弾く物質または電解質溶
    液を吸着する物質で被覆されていることを特徴とする請
    求項1に記載のイオン化分析措置。
  8. 【請求項8】 前記針は、絶縁体層をはさんだ外層導電
    体と内部導電体からなる層構造を前記針の先端部に有
    し、さらに前記針の先端の前記絶縁層は、露出している
    ことを特徴とする請求項1に記載のイオン化分析措置。
  9. 【請求項9】 前記針は、少なくともその先端部が光フ
    ァイバで形成され、 前記レーザ光は、前記光ファイバの根元から入射して、
    前記針内部を通して前記針先端部へ導かれ、その先端部
    の前記付着液滴または前記付着イオンに照射されること
    を特徴とする請求項1に記載のイオン化分析装置。
  10. 【請求項10】 前記イオン化室は、イオン分析部容器
    と一体に連結された容器として形成されていることを特
    徴とする請求項1に記載のイオン化分析装置。
JP8125137A 1996-05-20 1996-05-20 イオン化分析装置 Pending JPH09304344A (ja)

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