JPH09301891A - 眼軸長制御剤、近視または遠視の予防および治療剤 - Google Patents

眼軸長制御剤、近視または遠視の予防および治療剤

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JPH09301891A
JPH09301891A JP9082263A JP8226397A JPH09301891A JP H09301891 A JPH09301891 A JP H09301891A JP 9082263 A JP9082263 A JP 9082263A JP 8226397 A JP8226397 A JP 8226397A JP H09301891 A JPH09301891 A JP H09301891A
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JP
Japan
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axial length
tgf
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inhibitor
eye
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Application number
JP9082263A
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English (en)
Inventor
Shigeru Honda
茂 本田
Noriko Watanabe
則子 渡辺
Takahiro Ogawa
貴裕 小河
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Senju Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 TGF−β調節物質を有効成分とする眼
軸長制御剤。詳細には、TGF−β活性化物質、特にプ
ラスミノーゲン活性化因子を有効成分とする眼軸長伸長
抑制剤、近視予防及び治療剤。また、TGF−β活性化
阻害物質、特にプラスミノーゲン活性化因子阻害剤を有
効成分とする眼軸長伸長剤、遠視予防及び治療剤。眼局
所用の上記医薬製剤。 【効果】 本発明の眼軸長制御剤は、眼軸長の伸縮制御
作用を有するので近視または遠視の予防及び治療に極め
て有用である。また、屈折性近視または遠視を含まない
完全な軸性近視または遠視眼の実験的動物モデルの作出
に非常に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トランスフォーミ
ング増殖因子TGF−β(以下、単にTGF−βと略称
する)調節物質を有効成分とする眼軸長制御剤、特にプ
ラスミノーゲン活性化因子(以下、PAと略称する場合
もある)を有効成分とする眼軸長伸長抑制剤、並びにプ
ラスミノーゲン活性化因子阻害剤(以下、PAIと略称
する場合もある)を有効成分とする眼軸長伸長剤に関す
る。また、本発明は近視または遠視の予防および治療剤
である上記眼軸長制御剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、我が国をはじめ世界各地で近視、
特に軸性近視患者が増加しており、重度の場合、近視性
網脈絡膜萎縮、さらに網膜剥離を引き起こして中途失明
を招くことも少なくない。軸性近視とは、眼軸長が長す
ぎるために無限遠からの光線が網膜の前で結像するもの
である。逆に、眼軸長が短すぎるために無限遠からの光
線が網膜の後方で結像するのが軸性遠視である。軸性遠
視は眼球が未発達なために引き起こされる。近視または
遠視の病因として、幼児期および学童期の視環境、遺伝
的因子等様々な学説が提出されているが、未だ実験的根
拠に基づく解明は為されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、眼軸長の伸縮に関与する生理活性物質を明らか
にし、該物質を有効成分とする眼軸長制御剤、ひいては
近視または遠視の予防および治療剤を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために種々研究を重ねた結果、形態覚遮断近
視眼モデルの網膜脈絡膜ではTGF−βのレベルが減少
していることを初めて見出した。本発明者らは、これら
の知見に基づいて、プラスミノーゲン活性化因子の投与
が眼軸長を縮小させ(および伸長を抑制し)、逆にプラ
スミノーゲン活性化因子阻害剤の投与が眼軸長を伸長さ
せる(および縮小を抑制する)作用を示すことを明らか
にした。本発明者らはさらに研究を進め、PAおよびP
AIは、網膜脈絡膜における活性型TGF−βのレベル
を調節することにより間接的に眼軸長の伸縮を制御する
ことを解明すると共に、これらの物質を有効成分とする
製剤が近視または遠視の予防および治療効果を有するこ
とを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明はTGF−β調節物質を有効
成分とする眼軸長制御剤である。詳細には、本発明はT
GF−β活性化物質、特にPA、就中ウロキナーゼ型プ
ラスミノーゲン活性化因子(以下、uPAと略称する)
を有効成分とする眼軸長伸長抑制剤、並びにTGF−β
活性化阻害物質、特にPAI、就中PAI−1(生理的
プラスミノーゲン活性化因子阻害物質の1つ)を有効成
分とする眼軸長伸長剤である。また、本発明は近視予防
および治療剤である上記眼軸長伸長抑制剤、並びに遠視
予防および治療剤である上記眼軸長伸長剤である。さら
にまた、本発明は眼局所投与用の形態である上記眼軸長
制御剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】TGF−βは、肝細胞や血管内皮
細胞、血球細胞、リンパ球等多くの細胞に対して増殖抑
制因子として作用するタンパク質であるが、網膜内では
視細胞(視覚受容の最も初期を担う光化学反応を担当す
る細胞)に局在している。TGF−βはまずプロ配列を
含む不活性な前駆体(潜在型TGF−β)タンパクとし
て合成された後、プロ配列が除かれて活性型(成熟型)
TGF−βとなる。
【0007】本発明においてTGF−β調節物質とは、
潜在型TGF−βのプロ配列を切断して活性型TGF−
βを産生させるTGF−β活性化物質、或いは該活性化
物質を阻害することによって活性型TGF−βの産生を
抑制するTGF−β活性化阻害物質を意味する。
【0008】TGF−β活性化物質はそれ自身が潜在型
TGF−βのプロ配列を切断するものであっても、間接
的に作用するものであってもよい。前者としては、プラ
スミンやカテプシンD、或いはストレプトキナーゼやス
タフィロキナーゼ等のプロテアーゼが例示される。また
後者としては、PAの他、TGF−β産生細胞に作用す
るレチノイド、ホルボールエステル、タモキシフェンお
よびインターロイキン−1等が挙げられる。これらのT
GF−β活性化物質は天然のものでも合成によるもので
あってもよい。天然のものはその由来に特に制限はな
く、例えば、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ等の哺乳
動物や、ニワトリ、ウズラ、ハト、シチメンチョウ等の
鳥類が挙げられる。また、遺伝子組換えによって得られ
た上記TGF−β活性化物質生産能を有する微生物由来
のものであってもよい。
【0009】一方、TGF−β活性化阻害物質として
は、上に例示のTGF−β活性化物質の各阻害剤等が挙
げられる。これらのTGF−β活性化阻害物質は天然の
ものでも合成によるものであってもよい。天然のものは
その由来に特に制限はなく、例えば、ヒト、ウシ、ウ
マ、ブタ、ヒツジ等の哺乳動物や、ニワトリ、ウズラ、
ハト、シチメンチョウ等の鳥類が挙げられる。また、遺
伝子組換えによって得られた上記TGF−β活性化阻害
物質生産能を有する微生物由来のものであってもよい。
【0010】本発明において使用されるTGF−β活性
化物質として、好ましくはPAが例示される。PAに
は、血管プラスミノーゲン活性化因子(vPA)、組織
プラスミノーゲン活性化因子(tPA)および尿性(ウ
ロキナーゼ型)プラスミノーゲン活性化因子(uPA)
があるが特に制限はない。より好ましくはuPAが挙げ
られる。また、本発明において使用されるTGF−β活
性化阻害物質として、好ましくは天然のPAI、就中P
AI−1が例示される。かかる物質は、いずれも生体内
成分であるため毒性が低く、安全に投与することができ
る。
【0011】本発明において、眼軸長とは、眼球の前極
部から後極部中心窩までの長さを意味する。また眼軸長
制御剤とは、眼軸長を縮小もしくは伸長させる、および
/または眼軸長の伸長もしくは縮小を抑制して眼軸長を
一定に保つための製剤のことであり、眼軸長伸張抑制剤
と眼軸長伸張剤とに分けられる。
【0012】眼軸長伸長抑制剤とは、眼軸長の伸長を抑
制する、および/または眼軸長を縮小させるための製剤
を意味し、また、眼軸長伸長剤とは、眼軸長を伸長させ
る、および/または眼軸長の縮小を抑制するための製剤
を意味する。
【0013】本発明の眼軸長伸長抑制剤は、眼軸長の伸
長を抑制する、および/または眼軸長を縮小させるの
で、近視、特に軸性近視に対する有効な予防および治療
剤でもある。また本発明の眼軸長伸長剤は、眼軸長を伸
長させる、および/または眼軸長の縮小を抑制するの
で、遠視、特に軸性遠視に対する有効な予防および治療
剤でもある。
【0014】本発明の近視または遠視の予防および治療
剤は、生体に内在するTGF−βの活性を調節すること
を特徴とするので、生体内のTGF−βの局在性を変化
させず、したがって、より副作用が少なく安全に投与で
きる。
【0015】本発明の眼軸長制御剤、ひいては近視また
は遠視の予防および治療剤は、上記TGF−β調節物質
と医薬上許容される担体とを混合することにより製造す
ることができる。医薬上許容される担体としては、固形
製剤において、賦形剤(例えば、乳糖、トウモロコシ澱
粉、マンニトール、結晶セルロース等)、潤滑剤(例え
ば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレン
グリコール、コロイドシリカ等)、結合剤(シロップ、
アラビアゴム、ゼラチン、トラガカントガム、ポリビニ
ルピロリドン等)、崩壊剤(例えば、馬鈴薯澱粉、カル
ボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロー
スナトリウム、キチン、キトサン等)などが、また液状
製剤において、非水性ビヒクル(例えば、エタノール、
プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、
オリーブ油、アーモンド油、ゴマ油、綿実油、ヒマシ
油、トウモロコシ油等の油脂類、油性エステルなど)、
溶解補助剤(例えば、ポリビニルピロリドン、シクロデ
キストリン、カフェイン、ポリエチレングリコール
等)、懸濁化剤(例えば、ステアリルトリエタノールア
ミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等
の界面活性剤、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ゼラチン、ソルビットシロップ等
の親水性高分子など)、増粘剤(例えば、卵黄レシチ
ン、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントガム、メチ
ルセルロース、ペクチン等)、等張化剤(例えば、ソル
ビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール、グル
コース、塩化ナトリウム等)、乳化剤(例えば、レシチ
ン、モノオレイン酸ソルビタン等)、緩衝剤(例えば、
リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酒石酸
緩衝剤、酢酸緩衝剤等)、無痛化剤(例えば、ベンジル
アルコール等)などが適宜配合される。また、必要に応
じて保存剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、
塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール等)、キレー
ト剤(例えば、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウ
ム、縮合リン酸ナトリウム等)、抗酸化剤(例えば、亜
硝酸塩、アスコルビン酸、システイン等)、着色剤(例
えば、タール色素、カンゾウエキス、リボフラビン
等)、甘味剤(グルコース、シュークロース、サッカリ
ン等)、着香剤(例えば、バニリン、メントール等)、
芳香剤(例えば、ウイキョウ油、メントール等)などを
常法に従って添加してもよい。
【0016】上記以外に、寒天、カゼイン、コラーゲン
等が医薬上許容される担体として例示される。
【0017】本発明の近視予防および治療剤は、製剤
に、さらに他の近視予防・治療剤(例えば、メチル硫酸
ネオスチグミン、トロピカミド等を有効成分とする薬剤
など)、他の薬効成分等を適宜添加してもよい。また、
本発明の遠視予防および治療剤は、製剤に、さらに他の
薬効成分等を適宜添加することができる。
【0018】本発明の眼軸長制御剤を水性液剤の形態で
使用する場合のpHは、TGF−β調節物質の安定性お
よび生理活性を考慮すると、4〜9であることが望まし
い。
【0019】経口用固形製剤としては、錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、散剤等が例示される。例えば錠剤は、TG
F−β調節物質に上記賦形剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤
等を適宜添加して圧縮成形することにより製造される。
また、所望により、圧縮成形後に上記甘味剤、着香剤、
芳香剤等をさらに添加してもよいし、腸溶性および/ま
たは安定化を図るために、自体公知のコーティング剤
(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメ
チルセルロースフタレート、オイドラギット等の合成ま
たは半合成物質、シェラック等の天然物、メタアクリル
酸とアクリル酸エチルエステルとの共重合体およびメタ
アクリル酸とメタアクリル酸メチルエステルとの共重合
体の混合物など)を用いてコーティングを行うこともで
きる。
【0020】経口用液体製剤としては、水性または油性
懸濁液、溶液、シロップ、エリキシル剤等が例示され
る。例えば懸濁液剤はTGF−β調節物質を上記溶剤中
に懸濁させることにより製造することができる。また、
所望により上記懸濁化剤を適宜添加して用いてもよい。
【0021】非経口用の製剤としては、例えば注射剤、
眼局所投与用の製剤が挙げられる。注射剤としては、球
後注射剤、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤等
が例示される。注射剤は水性または非水性のいずれでも
よく、また、溶液でも懸濁液であってもよい。眼局所用
の製剤としては、例えば点眼剤、眼軟膏剤、ゲル剤等が
挙げられるが、好ましくは点眼剤である。点眼剤は水性
または非水性のいずれでもよく、また、溶液でも懸濁液
であってもよいが、より好ましくは水性点眼剤である。
【0022】注射剤は、例えばTGF−β調節物質を保
存剤(例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベ
ンザルコニウム、クロロブタノール等)、等張化剤(例
えば、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコ
ール、グルコース、塩化ナトリウム等)等とともに注射
用滅菌精製水に溶解させることにより水性注射剤とし
て、または非水性ビヒクル(例えば、エタノール、プロ
ピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、オリ
ーブ油、アーモンド油、ゴマ油、綿実油、ヒマシ油、ト
ウモロコシ油等の油脂類、油性エステルなど)に溶解も
しくは懸濁させることにより非水性注射剤として製造す
ることができる。
【0023】水性点眼剤は、例えば精製水を加熱し保存
剤を溶解した後、必要に応じて溶解補助剤を添加し、次
いでTGF−β調節物質を加えて完全に溶解させること
により製造することができる。さらに、通常水性点眼剤
に用いられる添加剤、例えば緩衝剤、等張化剤、安定化
剤(キレート剤)、pH調整剤等を用いてもよい。
【0024】保存剤としては、例えばパラオキシ安息香
酸エステル類、逆性石鹸類(例えば塩化ベンザルコニウ
ム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジ
ン、塩化セチルピリジニウム等)、アルコール誘導体
(例えばクロロブタノール、フェネチルアルコール、ベ
ンジルアルコール等)、有機酸およびその塩類(例えば
デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸またはその塩類
等)、フェノール類(例えばパラクロルメトキシフェノ
ール、パラクロルメタクレゾール等)、有機水銀剤(例
えばチメロサール、硝酸フェニル水銀、ニトロメゾール
等)が用いられる。
【0025】また、溶解補助剤としては、ポリビニルピ
ロリドン、シクロデキストリン、カフェイン等が、緩衝
剤としては、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、クエン酸
塩、アミノ酸塩等が、等張化剤としては、塩化ナトリウ
ム、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリエ
チレングリコール、グルコース等が、安定化剤(キレー
ト剤)としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリ
ウム、縮合リン酸ナトリウム等が、pH調整剤として
は、塩酸、酢酸、メタリン酸、水酸化ナトリウム等が例
示される。
【0026】また、水溶性高分子化合物、界面活性剤等
を適宜配合して製剤することもできる。水溶性高分子化
合物としては、例えばセルロース誘導体(例えばメチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース等のアルキル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース等のヒドロキシアルキルセル
ロースなど)、ビニル系高分子化合物(例えばポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニ
ルポリマー、エチレン無水マレイン酸ポリマー等)、多
価アルコール化合物(例えばポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等)等が用いられる。界面活
性剤としては、ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤、第4級アンモニ
ウム塩等の陽イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩等の
陰イオン性界面活性剤、レシチン等の両性界面活性剤等
が例示される。
【0027】水性懸濁点眼剤は、上記水性点眼剤に用い
られる添加剤の他に、さらに通常用いられる懸濁化剤を
適宜選択して用いることにより製造することができる。
懸濁化剤としては、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコー
ル、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリソルベート8
0等が用いられる。
【0028】上記の水性点眼剤および水性懸濁点眼剤
は、点眼に通常使用されるpH範囲内に調整して用いる
のが望ましく、通常pH3〜8、好ましくはpH4〜6
に調整して用いられる。かかる調整には、塩酸、酢酸、
水酸化ナトリウム等が用いられる。
【0029】また、上記の水性点眼剤および水性懸濁点
眼剤は、点眼に通常使用される浸透圧範囲内に調整して
用いるのが望ましく、通常230〜450mOsm、好
ましくは260〜320mOsmに調整して用いられ
る。かかる調整には、例えば塩化ナトリウム、ホウ酸、
グリセリン、マンニトール等が用いられる。
【0030】また、非水性点眼剤は、TGF−β調節物
質を非水性ビヒクル〔アルコール類(例えばエタノー
ル、プロピレングリコール、グリセリン等)などの水溶
性溶剤または油脂類(例えばオリーブ油、アーモンド
油、ゴマ油、綿実油、ヒマシ油、トウモロコシ油等)な
どの油性溶剤〕に溶解または懸濁させることにより製造
することができる。
【0031】眼軟膏剤は、例えばワセリン、プラスチベ
ース、流動パラフィン等を基剤として適宜選択して用い
ることにより製造することができる。
【0032】眼科用ゲル剤は、例えばカルボキシビニル
重合体、エチレン無水マレイン酸重合体、ポリオキシエ
チレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ゲラ
ンゴム等を基剤として適宜選択して用いることにより製
造することができる。
【0033】本発明の近視または遠視の予防および治療
剤は、眼局所への投与用の形態であることが好ましい。
より好ましくは点眼剤、就中水性点眼剤の形態である。
また、本発明の近視または遠視の予防および治療剤の投
与量は、投与経路、患者の重篤度、年齢、体重等によっ
て異なるが、例えばPA製剤の場合、PAの投与量とし
て、成人1日あたり0.1〜1000単位/日程度(但
し、37℃、pH7.5の条件下で、プラスミノーゲン
を、ΔA275 =1.0/mL/分の量のα−カゼイン分
解物を生成せしめる量のプラスミンに転換するPA量を
1単位と定義する)である。またPAI製剤の場合、P
AIの投与量として成人1日あたり0.1〜1000単
位/日程度(但し、1単位のPAを阻害するPAI量を
1単位と定義する)が例示される。
【0034】本発明の近視または遠視の予防および治療
剤の投与方法としては、例えば有効成分であるTGF−
β調節物質を1〜1000単位/滴、好ましくは5〜5
00単位/滴程度含有する水性点眼剤として、成人の近
視または遠視患者1人に対し、症状に応じて1眼につき
1回あたり1〜数滴を、1日1〜数回、好ましくは2〜
5回程度投与する方法等が挙げられる。
【0035】以下に、実施例として製剤例を挙げて本発
明をさらに明確に説明し、試験例により本発明の効果を
明らかにするが、これらは単なる例示であって、これら
により本発明の範囲は何等限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
実施例1 水性点眼剤(1) uPAを有効成分とする眼軸長伸長抑制剤(近視予防・
治療剤)である水性点眼剤、またはPAI−1を有効成
分とする眼軸長伸長剤(遠視予防・治療剤)である水性
点眼剤の調製 〔配合処方〕 ヒト由来uPA凍結乾燥標品 100万単位 (またはヒト由来PAI−1凍結乾燥標品 10万単位) 酢酸ナトリウム 0.5g 塩化ベンザルコニウム 0.05g 塩化ナトリウム 6.5g 水酸化ナトリウム 適量 希塩酸 適量 滅菌精製水を加えて全量で 1000mL (pH6.0)
【0037】〔調製法〕滅菌精製水800mLを加熱
し、塩化ベンザルコニウムを加えて溶解した後、酢酸ナ
トリウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび希
塩酸を順次加えて溶解し、さらにヒト由来uPA(また
はヒト由来PAI−1)を加えて完全に溶解した。該溶
液を室温まで冷却後、滅菌精製水を加えて全量1000
mLとし、0.22μmメンブランフィルターにて滅菌
濾過した後、所定の容器に分注・充填して水性点眼剤と
した。
【0038】実施例2 水性点眼剤(2) uPAを有効成分とする眼軸長伸長抑制剤(近視予防・
治療剤)である水性点眼剤、またはPAI−1を有効成
分とする眼軸長伸長剤(遠視予防・治療剤)である水性
点眼剤の調製 〔配合処方〕 ヒト由来uPA凍結乾燥標品 10万単位 (またはヒト由来PAI−1凍結乾燥標品 1万単位) ホウ酸 16g ホウ砂 7g パラオキシ安息香酸メチル 0.26g パラオキシ安息香酸プロピル 0.14g 滅菌精製水を加えて全量で 1000mL (pH7.5)
【0039】〔調製法〕滅菌精製水800mLを加熱
し、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香
酸プロピルを加えて溶解した後、室温まで冷却した。該
溶液にホウ酸およびホウ砂を順次加えて溶解し、さらに
ヒト由来uPA(またはヒト由来PAI−1)を加えて
完全に溶解した。該溶液に滅菌精製水を加えて全量10
00mLとし、0.22μmメンブランフィルターにて
滅菌濾過した後、所定の容器に分注・充填して水性点眼
剤とした。
【0040】実施例3 水性懸濁点眼剤 uPAを有効成分とする眼軸長伸長抑制剤(近視予防・
治療剤)である水性懸濁点眼剤、またはPAI−1を有
効成分とする眼軸長伸長剤(遠視予防・治療剤)である
水性懸濁点眼剤の調製 〔配合処方〕 滅菌ヒト由来uPA凍結乾燥標品 500万単位 (または滅菌ヒト由来PAI−1凍結乾燥標品 50万単位) リン酸二水素ナトリウム 50g 塩化ナトリウム 9g ポリソルベート80 20g クロロブタノール 3g 水酸化ナトリウム 適量 滅菌精製水を加えて全量で 1000mL (pH5.0)
【0041】〔調製法〕滅菌精製水800mLを加熱
し、クロロブタノールを加えて溶解後、さらにリン酸二
水素ナトリウム、塩化ナトリウムおよびポリソルベート
80を順次加えて溶解し、室温まで冷却した。該溶液を
水酸化ナトリウムでpH5.0に調整後、滅菌精製水を
加えて全量1000mLとし、0.22μmメンブラン
フィルターにて滅菌濾過した。これに予め滅菌したuP
A(またはPAI−1)凍結乾燥標品を均一に分散さ
せ、該懸濁液を所定の容器に分注・充填して水性懸濁点
眼剤とした。
【0042】実施例4 非水性点眼剤 uPAを有効成分とする眼軸長伸長抑制剤(近視予防・
治療剤)である非水性点眼剤、またはPAI−1を有効
成分とする眼軸長伸長剤(遠視予防・治療剤)である非
水性点眼剤の調製 〔配合処方〕 滅菌ヒト由来uPA凍結乾燥標品 100万単位 (または滅菌ヒト由来PAI−1凍結乾燥標品 10万単位) 滅菌綿実油を加えて全量で 1000mL
【0043】〔調製法〕予め滅菌した綿実油に予め滅菌
したuPA(またはPAI−1)凍結乾燥標品を加え、
これを所定の容器に分注・充填して非水性点眼剤とし
た。
【0044】実施例5 水性注射剤 uPAを有効成分とする眼軸長伸長抑制剤(近視予防・
治療剤)である水性注射剤、またはPAI−1を有効成
分とする眼軸長伸長剤(遠視予防・治療剤)である水性
注射剤の調製 〔配合処方〕 ヒト由来uPA凍結乾燥標品 100万単位 (またはヒト由来PAI−1凍結乾燥標品 10万単位) 滅菌生理食塩水を加えて全量で 1000mL
【0045】〔調製法〕滅菌生理食塩水1000mLに
ヒト由来uPA(またはヒト由来PAI−1)凍結乾燥
標品を加えて溶解し、該溶液を0.22μmメンブラン
フィルターにて濾過滅菌した後、所定の容器に分注・充
填して水性注射剤とした。
【0046】参考例1 ニワトリ雛形態覚遮断近視眼の
網膜脈絡膜におけるTGF−β,PAおよびPAI−1
の発現量の変化 ニワトリ雛(白色レグホン系、雄性、第2日齢)の右眼
を深麻酔下で瞼々縫合し、形態覚遮断近視眼(以下、F
DMと略称する)を作製した。該動物を12時間明期/
12時間暗期サイクルに制御された飼育室内で10日間
飼育し、飼育終了後屠殺して両眼球を摘出し、以下の実
験1〜3に供した。(左眼は対照眼として使用し
た。)。
【0047】[実験1]RNA分析 摘出した眼球を前後半分に切り分け、後半球の眼杯から
網膜−網膜色素上皮−脈絡膜組織を分離した。該組織よ
りグアニジウムイソチオシアネート溶液を用いて全RN
Aを抽出し、塩化セシウム密度勾配超遠心によって精製
した。次いで、全RNAを鋳型として、RT−PCR法
によりTGF−βのmRNAを特異的に増幅させた。ま
ず、全RNA(5μg)を、ランダムヘキサマーをプラ
イマーとしてMMuLV由来逆転写酵素(東洋紡製)と
37℃で60分間反応させて一本鎖相補DNAを合成
し、75℃に5分間おいて逆転写酵素を失活させた後、
下記の2種のオリゴプライマー(TGF−β cDNA
の336bp断片を特異的に増幅する)を用いてPCR
反応を行った。 センスプライマー: 5'-GCCCTGGATACCAACTACTGC-3' (配列表配列番号1) アンチセンスプライマー: 5'-GCTGCACTTGCAGGAACGCCA-3' (配列表配列番号2) 上記プライマー、dNTPsおよびrTth DNAポ
リメラーゼを上記の逆転写反応液に加えて、94℃,1
分(変性)、60℃,1分(アニーリング)、および7
2℃,1.5分(伸張)の温度サイクルで35回増幅反
応を行った(最終の伸張反応は72℃で10分間行っ
た)。PCR反応液を1.5%のアガロースゲル電気泳
動にかけてエチジウムブロマイド染色にてバンドを検出
した。FDM処理の影響を受けずに構成的に発現するこ
とが知られているβ−アクチンの発現量をモニタリング
することにより、FDMと対照眼とのRNA量を揃え
た。結果を図1に示す。β−アクチンの発現量がFDM
と対照眼とで同程度であるのに対して、TGF−βの発
現量はFDMの方が対照眼に比して顕著に低かった。す
なわち、近視眼の網膜脈絡膜においてTGF−βの発現
が減少していることが示された。
【0048】[実験2] FDMにおけるTGF−βの
発現の免疫組織化学的分析 摘出した眼を0.2% ピクリン酸を含む4% p−ホ
ルムアミド中に24時間おいて固定した。30% シュ
クロースを含む0.1M リン酸緩衝液で洗浄後、眼を
凍結させ、クリオスタット上で厚さ10μmの切片を調
製した。該凍結切片を5% 正常ヤギ血清および0.0
3% Triton X−100を含むリン酸緩衝生理
食塩水(PBS)中で20分間インキュベートした後、
3% 正常ヤギ血清および0.03% Triton
X−100を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で
ウサギ抗TGF−β抗体(1:1000)と4℃で24
時間反応させた。PBSで洗浄後、該切片を50倍希釈
したFITC標識ヤギ抗ウサギIgG抗体溶液中、4℃
で2時間インキュベートした後蛍光顕微鏡にて観察し
た。その結果を図2に示す。TGF−β抗体との免疫反
応性は主として網膜中の光受容体層全体に観察された。
FDMでは、図2中矢印で示された部位において、対照
眼と比して有意に免疫反応性が減少していた。
【0049】[実験3] イムノブロット分析 上記の実験1と同様にして、網膜−網膜色素上皮−脈絡
膜組織を調製した。該組織をPBSで洗浄した後、氷冷
し、抽出バッファー〔100mMトリス塩酸(pH7.
4),100mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)
0.5mMフェニルメチルスルフォニルフルオリド(P
MSF)および20μMロイペプチン〕を加えてホモジ
ナイズし、1,000×gで20分間遠心して上清を回
収した。Lowry 法によりタンパク濃度を測定し、抽出バ
ッファーにて各試料のタンパク濃度を等しくなるように
調整した後、5%SDSおよび10%2−メルカプトエ
タノールを含むサンプルバッファーを加え、タンパク量
として20μgをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動〔TGF−β測定用ゲル(15%)、uPA、tP
AおよびPAI−1測定用ゲル(7.5%)〕に付し
た。泳動終了後、PVDFフィルター(ミリポア製,M
A,米国)に転写装置を用いてエレクトロトランスファ
ーし、さらに洗浄、ブロッキング(10%ゼラチンで1
2時間)を行った。一次抗体として、ウサギの抗TGF
ーβ、抗uPA、抗tPAおよび抗PAI−1ポリクロ
ーナル抗体を、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識し
たヤギ抗ウサギIgGをそれぞれ用いて抗原抗体反応を
行い、PBSでフィルターを洗浄後、エンハンスト・ケ
ミルミネッセンス・ディテクション・キット(Renaissa
nce, デュポン・NEN,MA,米国)を用いて発色さ
せ、TGFーβ、uPA、tPAおよびPAI−1の発
現を調べた。その結果を図3に示す。FDMでは、TG
F−βのバンドが消失し、反対にuPAの発現が認めら
れた。また、PAI−1の発現は対照眼に比べて減少し
ていた。なお、tPAについては、FDMと対照眼との
間に差異はなかった。以上の結果より、FDMの網膜脈
絡膜組織においては、PAおよびPAI非依存的なTG
F−βの減少が起こり、その修復機構として正視眼では
発現していないuPAが発現すると共に、その阻害剤で
あるPAI−1が減少するものと推測された。
【0050】試験例1 uPAを含む水性注射剤の投与
による眼軸長の縮小およびPAI−1を含む水性注射剤
の投与による眼軸長の伸長効果 ニワトリ雛(白色レグホン系、雄性、第2日齢)15羽
を3群(uPA群、PAI群、生食群;各5羽)に分
け、uPA群には、両眼に実施例5で製造したuPAを
含む水性注射剤を、PAI群には、両眼に実施例5で製
造したPAI−1を含む水性注射剤を、生食群には生理
食塩水を、それぞれ1日1回、50μLずつ10日間球
後注射にて投与した。この間、該動物は12時間明期/
12時間暗期サイクルに制御された飼育室内で飼育され
た。飼育終了時に、深麻酔下で超音波測定装置を用いて
前房深度(ACD)、水晶体厚(LT)、硝子体深度
(VCD)および眼軸長(AL)を測定した。その結
果、uPA群では生食群に比べてVCDおよびALの減
少が認められた。反対にPAI群では生食群に比べてV
CDおよびALが増加していた。ACDおよびLTにつ
いては両薬剤投与群とも生食群と有意な差は見られなか
った(表1)。本結果より、uPAは正視眼に対して眼
軸長の縮小、特に網膜、脈絡膜、強膜等の構造変化に伴
う眼軸長の縮小を引き起こす効果を有し、一方、PAI
−1は正視眼に対して眼軸長の伸長、特に網膜、脈絡
膜、強膜等の構造変化に伴う眼軸長の伸長を引き起こす
効果を有することが明らかとなった。
【0051】
【表1】
【0052】試験例2 uPAを含む水性注射剤の投与
による近視の予防・治療効果 ニワトリ雛(白色レグホン系、雄性、第2日齢)15羽
の右眼を深麻酔下で瞼々縫合し、FDMを作製した。こ
れを3群(uPA群、PAI群、生食群;各5羽)に分
け、縫合眼には試験例1と全く同様の手順で各薬剤を投
与し、非縫合眼(左眼)には、生食群の縫合眼と同様に
生理食塩水を投与してこれを対照眼とした。飼育終了時
に、深麻酔下で超音波測定装置を用いて前房深度(AC
D)、水晶体厚(LT)、硝子体深度(VCD)および
眼軸長(AL)を測定した。その結果を表2に示す。ま
ず、生食群の瞼々縫合眼は、対照眼に比べてACDが減
少し、LT、VCDおよびALの増加が認められた。特
にVCDおよびALの増加が著しかった。FDMは網
膜、脈絡膜、強膜等の構造変化に伴う眼軸長の伸長が主
要因であるから、本結果はFDMの特徴とよく一致す
る。uPA群では生食群に比べてVCDおよびALが減
少し、対照眼と同程度の数値が得られた。また、ACD
およびLTについては生食群と比較して有意な差は見ら
れなかった。これらの結果から、uPAの投与は眼軸長
の伸長、特に網膜、脈絡膜、強膜等の構造変化に伴う眼
軸長の伸長を抑制することが明らかとなった。即ち、u
PAは近視の予防および治療に有効であることが示され
た。一方、PAI群ではACD,LT、VCDおよびA
Lのいずれについても生食群と比べて有意な差は見られ
なかった。このことから、PAI−1は眼軸長の伸長を
直接的に制御しているのではないことが示唆された。
【0053】
【表2】
【0054】試験例1、2および参考例1の結果より、
uPAおよびPAI−1は、TGF−βの活性化を調節
することによって間接的に眼軸長を制御していることが
強く示唆された。即ち、uPAは網膜脈絡膜中の潜在型
TGF−βを活性化し、産生したTGF−βが増殖抑制
因子として作用して眼軸長を縮小させる(眼軸長の伸長
を抑制する)。一方、PAI−1は網膜脈絡膜中の潜在
型TGF−βの活性化を阻害することにより眼軸長を伸
長させる(眼軸長の縮小を抑制する)。試験例2におい
てPAI−1の投与により眼軸長の伸長が見られなかっ
たのは、FDMではPAI−1が阻害すべきTGF−β
そのものが減少しているために、PAI−1の効果が隠
れてしまったものと解される。逆にuPAを投与した場
合は、TGF−βの活性化による正の自己誘導が起こ
り、新たにTGF−βが生合成されたと考えられる。
【0055】
【発明の効果】本発明の眼軸長制御剤は、眼軸長を矯正
し、眼軸長の異常な伸長または縮小を抑制する効果を有
することから近視または遠視の予防および治療剤として
極めて有用である。また、本発明の眼軸長制御剤は、前
房深度や水晶体厚を変化させることなく、硝子体深度の
みを縮小または伸長させるので、屈折性近視または遠視
を含まない完全な軸性近視または遠視眼の実験的動物モ
デルの作出に非常に有効である。
【0056】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GCCCTGGATA CCAACTACTG C 21
【0057】配列番号:2 配列の長さ:22 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: GCTGCACTTG CAGGAACGCC AC 22
【図面の簡単な説明】
【図1】ニワトリ雛形態覚遮断近視眼(FDM)の網膜
脈絡膜におけるTGF−βの発現についてのRT−PC
R分析の結果を示す電気泳動像である。
【図2】ニワトリ雛形態覚遮断近視眼(FDM)の凍結
切片におけるTGF−βの発現についての免疫組織化学
的分析の結果を示す顕微鏡像である。図中、ONLは外
核層、PRLは光受容体層、RPEは網膜色素上皮、C
HOは脈絡膜、SCLは強膜を意味する。
【図3】ニワトリ雛形態覚遮断近視眼(FDM)の網膜
脈絡膜におけるTGF−β,uPA,tPAおよびPA
I−1の発現についてのイムノブロット分析の結果を示
す電気泳動像である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/215 A61K 37/54 AED 38/00 ABL 37/02 ABL 38/22 37/24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスフォーミング増殖因子TGF−
    β調節物質を有効成分とする眼軸長制御剤。
  2. 【請求項2】 トランスフォーミング増殖因子TGF−
    β活性化物質を有効成分とする眼軸長伸長抑制剤。
  3. 【請求項3】 トランスフォーミング増殖因子TGF−
    β活性化物質がプラスミノーゲン活性化因子である請求
    項2記載の眼軸長伸長抑制剤。
  4. 【請求項4】 プラスミノーゲン活性化因子がウロキナ
    ーゼ型である請求項3記載の眼軸長伸長抑制剤。
  5. 【請求項5】 近視予防および治療剤である請求項2〜
    4のいずれかに記載の眼軸長伸長抑制剤。
  6. 【請求項6】 トランスフォーミング増殖因子TGF−
    β活性化阻害物質を有効成分とする眼軸長伸長剤。
  7. 【請求項7】 トランスフォーミング増殖因子TGF−
    β活性化阻害物質がプラスミノーゲン活性化因子阻害剤
    である請求項6記載の眼軸長伸長剤。
  8. 【請求項8】 遠視予防および治療剤である請求項6ま
    たは7に記載の眼軸長伸長剤。
  9. 【請求項9】 眼局所投与用の形態である請求項1記載
    の眼軸長制御剤。
  10. 【請求項10】 眼局所投与用の形態である請求項2〜
    5のいずれかに記載の眼軸長伸長抑制剤。
  11. 【請求項11】 眼局所投与用の形態である請求項6〜
    8のいずれかに記載の眼軸長伸長剤。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004530456A (ja) * 2000-12-20 2004-10-07 アルコン、インコーポレイテッド 白内障を液化破壊により取り除くための溶液
JP2006137678A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Shionogi & Co Ltd インターロイキン−2組成物
WO2010010702A1 (ja) 2008-07-24 2010-01-28 国立大学法人大阪大学 軸性近視の予防または治療剤
JP2013517332A (ja) * 2010-12-27 2013-05-16 スクール オブ オフサルモロジー アンド オプトメトリー, ウェンジョウ メディカル カレッジ 近視の抑制方法及び近視を抑制する薬物とするアデニル酸シクラーゼ抑制剤の応用
WO2016171282A1 (ja) * 2015-04-24 2016-10-27 学校法人慶應義塾 近視予防剤及び近視進行抑制剤

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