JPH09299473A - 医用材料組成物及び医用成形物 - Google Patents

医用材料組成物及び医用成形物

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JPH09299473A
JPH09299473A JP8140724A JP14072496A JPH09299473A JP H09299473 A JPH09299473 A JP H09299473A JP 8140724 A JP8140724 A JP 8140724A JP 14072496 A JP14072496 A JP 14072496A JP H09299473 A JPH09299473 A JP H09299473A
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JP
Japan
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compound
medical
polyurethane
molded article
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JP8140724A
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English (en)
Inventor
Hiroto Kidokoro
広人 木所
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Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性が低く、引張強度及び伸びが大きく且つ
永久伸びが小さく、伸縮率の高い部分に好適に使用可能
な医用成形物及びこの成形物を得るための医用材料組成
物を提供する。 【解決手段】 ジフェニルメタンジイソシアナート及び
ポリオキシテトラメチレングリコールを仕込み、加熱攪
拌し、次いで、ポリオキシテトラメチレングリコール、
1,4−ブタンジオール及びポリブタジエンジオールを
さらに添加し、加熱攪拌し、数平均分子量約110,0
00、重量平均分子量/数平均分子量2.9、ヨウ素価
16、粘度6000cpのポリウレタンの溶液を得、こ
の溶液に、ジクミルパーオキサイド、レシチン及び2,
5−ジ−t−ブチルハイドロキノンを添加し、シャーレ
に流延し、窒素中で乾燥し、シート成形物を得、これを
窒素中加熱し架橋させて成形物を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医用成形物及び医用
材料組成物に関し、さらに詳しくは、カテーテルのバル
ーンのごとき伸縮率の高い部分に適用可能で、毒性が低
く、引張強度及び伸びが大きく且つ永久伸びが小さい医
用成形物及びこの成形物を得るための医用材料組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】生体の治療等に用いるカテーテル、人工
血管のごとき医用成形物は、毒性が低く、引張強度及び
伸びが大きく且つ永久伸びが小さいことが要求されるも
のである。バルーンカテーテルのバルーン用等の医用成
形物を得るための材料としては、天然ゴムがよく知られ
ている。しかし、天然ゴムは、生体適合性が低く、例え
ば血液中に放置しておくとその表面に血栓が生じやす
い。天然ゴム代替医用材料組成物として、熱可塑性ポリ
ウレタンが知られている。この熱可塑性ポリウレタン
は、ジイソシアナートと、ジオール又はジアミンとをほ
ぼ等しいモル割合で重付加反応して得られるポリマーで
ある。しかし、この熱可塑性ポリウレタンをバルーンカ
テーテルのバルーンのごとく500%以上の高伸縮率が
要求される部分に適用した場合には、そのバルーンが収
縮した時、バルーン表面に皺ができ、血流に淀みが生じ
るので、血栓が多量に発生することが知られている。ま
た、この熱可塑性ポリウレタンは、その成形物の引張強
度、伸びなどが天然ゴムに比べ小さいものであるため天
然ゴムの代替材料としては適当でなかった。または別の
代替組成物の候補として、低分子量のミラブル型ポリウ
レタンを架橋したものが知られているが、引張強度が低
く、永久伸びが大きいものしか得られていなかったた
め、医用途の材料として使用されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、毒性
が低く、引張強度及び伸びが大きく且つ永久伸びが小さ
く、伸縮率の高い部分に好適に使用可能な医用成形物及
びこの成形物を得るための医用材料組成物を提供するこ
とにある。本発明者らは、この目的を達成すべく鋭意研
究を行った結果、炭素−炭素二重結合を有する特定数平
均分子量のポリウレタンと、有機過酸化物または光重合
開始剤とを必須成分とする材料組成物を架橋することに
よって、前記目的を達成できることを見いだし、この知
見に基いて本発明を完成するに到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、(1) ヨウ素価0.1〜50及び数平均分子量7
0,000〜500,000のポリウレタン100重量
部と、架橋剤0.05〜6重量部とを必須成分とする医
用材料組成物が提供される。
【0005】本発明の医用材料組成物の好適な態様とし
て以下のものが提供される。 (2) ポリウレタンの重量平均分子量/数平均分子量
が1〜4であることを特徴とする前記(1)の医用材料
組成物。 (3) ポリウレタンが、多官能イソシアナート化合物
(a)と、炭素−炭素二重結合を有せず且つイソシアナ
ート基と重付加反応可能な官能基を有する化合物(b)
と、分子中に炭素−炭素二重結合を有し且つイソシアナ
ート基と重付加反応可能な官能基を有する化合物(c)
とを重付加反応してなるものであることを特徴とする前
記(1)の医用材料組成物。
【0006】(4) 多官能イソシアナート化合物
(a)がジフェニルメタンジイソシアナートであること
を特徴とする前記(3)の組成物。 (5) 化合物(b)が水酸基又はアミノ基を有するも
のであることを特徴とする前記(3)の組成物。 (6) 化合物(b)の数平均分子量が3000以下で
あることを特徴とする前記(3)の組成物。
【0007】(7) 化合物(c)が1,2−ビニル結
合を有するものであることを特徴とする前記(3)の組
成物。 (8) 化合物(c)の数平均分子量が3000以下で
あることを特徴とする前記(3)の組成物。
【0008】(9) ポリウレタンが化合物(a)と化
合物(b)の一部とを混合した後、化合物(c)と化合
物(b)の残部とを添加し加熱して得られたものである
ことを特徴とする前記(1)の組成物。 (10) 架橋剤が有機過酸化物であることを特徴とす
る前記(1)の組成物。 (11) さらにアルキルハイドロキノンまたは炭素原
子数10以上のアルキル鎖を有するリン脂質から選ばれ
る化合物を含有して成る前記(1)の組成物。
【0009】また、本発明によれば、前記の医用材料組
成物中のポリウレタンを架橋してなる医用成形物が提供
される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の医用材料組成物は、ポリ
ウレタンと、架橋剤とを必須成分とするものである。
【0011】本発明の医用材料組成物に用いるポリウレ
タンは、その分子鎖中に炭素−炭素二重結合などの不飽
和結合を有するものである。不飽和結合は、分子鎖の主
鎖中に有していても良いし、側鎖中に有していてもよ
い。不飽和結合の量の下限は、ヨウ素価表示で0.1、
好ましくは2であり、上限は50、好ましくは35であ
る。0.1未満では医用成形物の永久伸びが大きくな
り、50を超えると医用成形物の耐熱性、耐酸化性、生
体適合性が低くなる。なお、ヨウ素価は、100gのポ
リウレタンに吸収されるハロゲンの量をヨウ素のg数で
表した値である。
【0012】本発明に用いるポリウレタンは、その数平
均分子量の下限が70,000、好ましくは100,0
00であり、上限が500,000、好ましくは30
0,000である。70,000未満では、引張強度、
伸びが低下する。500,000を超えると架橋剤との
混練が困難になる。なお、ポリウレタンの分子量はテト
ラヒドロフラン溶媒でゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィを用いて測定し標準ポリスチレンの分子量に換算
した値である。
【0013】本発明に用いるポリウレタンの分子量分布
は特に限定されないがカテーテルのバルーン材料として
好適な物性を得るためには、重量平均分子量/数平均分
子量との比が、通常、1〜4、好ましくは1〜3の範囲
に入るような、分子量分布の狭いものが好ましい。
【0014】本発明に用いるポリウレタンは、通常、多
官能イソシアナート化合物(a)と、炭素−炭素二重結
合を有せず且つイソシアナート基と重付加反応可能な官
能基を有する化合物(b)と、分子中に炭素−炭素二重
結合を有し且つイソシアナート基と重付加反応可能な官
能基を有する化合物(c)とを重付加反応して得ること
ができる。
【0015】多官能イソシアナート化合物(a)は、イ
ソシアナート基を2個以上有する化合物である。具体的
には、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレン
ジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、テトラ
メチルキシレンジイソシアナート、キシレンジイソシア
ナートのごとき芳香族イソシアナート;ジシクロヘキサ
ンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロ
ンジイソシアナートのごとき脂肪族イソシアナートなど
が挙げられる。これら多官能イソシアナートのうちジフ
ェニルメタンジイソシアナートが生体に対する安全性が
高いので好ましい。
【0016】炭素−炭素二重結合を有せず且つイソシア
ナート基と重付加反応可能な官能基を有する化合物
(b)は、イソシアナート基と重付加反応可能な官能基
を2個以上有する飽和化合物である。イソシアナート基
と重付加反応可能な官能基は、活性水素を有する官能基
である。具体的には水酸基又はアミノ基が挙げられる。
なお、活性水素とは化合物の一部を構成する酸素原子又
は窒素原子に結合している水素原子のことをいう。化合
物(b)の量は、化合物(b)中のイソシアナート基と
重付加反応する官能基の量が多官能イソシアナート化合
物(a)中のイソシアナート基100モルに対して、通
常、65〜100モル、好ましくは75〜95モルの割
合になるものである。
【0017】炭素−炭素二重結合を有せず且つイソシア
ナート基と重付加反応する官能基を有する化合物(b)
は、その数平均分子量の上限が、通常、3000、好ま
しくは1500である。3000を超えると医用成形物
の永久伸びが大きくなる。
【0018】永久伸びを小さくするために、化合物
(b)として、数平均分子量700〜3000の化合物
(b1)と、数平均分子量500以下の化合物(b2)
とを併用することが好ましい。化合物(b1)の量は、
化合物(b1)中のイソシアナート基と重付加反応する
官能基の量が多官能イソシアナート化合物(a)中のイ
ソシアナート基100モルに対して、通常、60〜90
モル、好ましくは70〜80モルの割合になるものであ
る。60モル未満では医用成形物の永久伸びが大きくな
り、また伸びが小さくなる。逆に90モルを超えると永
久伸びが大きくなり、また引張強度が小さくなる。
【0019】化合物(b2)の量は、化合物(b2)中
のイソシアナート基と重付加反応する官能基の量が多官
能イソシアナート化合物(a)中のイソシアナート基1
00モルに対して、通常、5〜35モル、好ましくは5
〜25モルになる範囲のものである。5モル未満では医
用成形物の引張強度が小さくなり、35モルを超えると
医用成形物の伸びが小さくなる。
【0020】イソシアナート基と重付加反応する官能基
を有する化合物(b1)の具体例としては、ポリオキシ
テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコールやアルキレンオキサイド共重
合ポリオールのごときポリエーテルポリオール;アジピ
ン酸などの多価カルボン酸とグリコールやトリオール等
の多価アルコールとの脱水縮合物、ポリカーボネートジ
オールのごときポリエステルポリオール;等が挙げられ
る。
【0021】化合物(b2)の具体例としては、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ソルビトール、メチレングリコシド、
ショ糖のごときポリオール;エチレンジアミン、ヘキサ
メチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルメチレン
ジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニ
レンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンのごと
きポリアミン;オキシム;等が挙げられる。これら化合
物(b1)のうち、ポリエーテル、特にポリオキシテト
ラメチレングリコールは生体適合性が良く安全であるの
で好ましい。また、化合物(b2)のうちトリメチロー
ルプロパン、エチレンジアミン又は1,4−ブタンジオ
ールは、これらを用いることによって医用成形物の強度
が高くなるので好ましく用いられる。さらに、ポリオキ
シテトラメチレングリコールと、トリメチロールプロパ
ン、エチレンジアミン又は1,4−ブタンジオールとを
併用することによって生体適合性と強度とのバランスが
良く及び永久伸びが小さい医用成形物が得られる。
【0022】本発明の医用材料組成物において用いる化
合物(c)は、炭素−炭素二重結合を有し且つイソシア
ナート基と重付加反応する官能基を2個以上有する化合
物である。炭素−炭素二重結合は架橋剤により発生する
ラジカルとの反応活性が高いものであり、特に1,2−
ビニル結合が好ましい。
【0023】化合物(c)は、その数平均分子量の上限
が、通常、3,000、好ましくは1,500である。
3000を超えるものを用いると医用成形物の強度が低
下する。化合物(c)の具体例としては、2−ブテン−
1,4−ジオール、1−ブテン−1,4−ジオール、3
−ヘキセン−1,6−ジオール、2−ヘキセン−1,6
−ジオール;1,2−ポリブタジエンポリオール、1,
4−ポリブタジエンポリオール、1,4−ブテンジアミ
ンなどが挙げられる。
【0024】なお、該化合物(b)及び(c)の数平均
分子量は、500以上についてはゲルパーミエーション
クロマトグラフィを用いて、テトラヒドロフランをキャ
リアとして測定し、標準ポリスチレンの数平均分子量の
検量線を基に求めた値であり、500未満については質
量スペクトルを用いて測定して得られる値である。
【0025】化合物(b)と化合物(c)の合計量は、
化合物(b)中と化合物(c)中のイソシアナート基と
重付加反応する官能基の合計量が多官能イソシアナート
化合物(a)中のイソシアナート基100モルに対し
て、通常、80〜110モル、好ましくは90〜102
モルの割合になるものである。80モル未満では医用成
形物の引張強度が小さくなる。逆に110モルを超える
と永久伸びが大きくなり、また引張強度が小さくなる。
【0026】本発明の医用材料組成物に用いるポリウレ
タンは、その製造方法によって限定されない。ポリウレ
タンの製造は、通常、多官能イソシアナート化合物
(a)と化合物(b)とを混合し、加熱した後、化合物
(c)の溶液を添加して加熱するか、化合物(b)と化
合物(c)とを混合した後、多官能イソシアナート化合
物(a)を添加し加熱するか、多官能イソシアナート化
合物(a)と化合物(b)の一部とを混合し、加熱した
後、化合物(b)の残部及び化合物(c)を添加し加熱
する、などの方法で行う。これら製造法のうち、化合物
(a)と化合物(b)の一部(化合物(a)のイソシア
ナート基100モルに対して化合物(b)を通常40〜
60モル)とを混合した後、化合物(c)と化合物
(b)の残部とを添加し加熱する製造方法は分子量分布
の狭いポリウレタンが得られるので、バルーン材料とし
て好適な物性のものを得るために好適である。
【0027】本発明の医用材料組成物において用いる架
橋剤は、ジエン系重合体の架橋剤として通常使用されて
いるものである。具体的には、t−ブチルハイドロパー
オキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチルヘキ
サン−2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)、1,3
−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−
ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ブチルパー
オキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルカーボナート等の有機過酸化物、硫黄、塩化硫黄、二
塩化硫黄、ジスルフィド化合物等の硫黄系化合物、ジア
セチル、ベンジル等のα−ジケトン;ベンゾイン、ピバ
ロイン等のアシロイン;ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエー
テル等のアシロインエーテル;アントラキノン、1,4
−ナフトキノン等の多核キノン;など光を照射すること
により、ラジカルを発生し、炭素−炭素二重結合同士の
重合を開始させるものを挙げることができる。これら架
橋剤のうち、有機過酸化物が好適である。
【0028】架橋剤の量の下限は、ポリウレタン100
重量部に対して、0.05重量部、好ましくは0.3重
量部であり、上限は6重量部、好ましくは5重量部であ
る。0.05重量部未満では医用材料組成物を架橋して
なる医用成形物の永久伸びが大きくなり、逆に6重量部
を超えると医用成形物の引張強度が低下する。
【0029】本発明の医用材料組成物においては、前記
ポリウレタンと架橋剤との他に、アルキルハイドロキノ
ンまたは炭素原子数10以上のアルキル鎖を有するリン
脂質から選ばれる化合物を、医用材料組成物を架橋して
なる医用成形物の永久伸びを小さくし又は酸化や熱によ
る劣化を防止する目的で配合することが好ましい。
【0030】アルキルハイドロキノンはハイドロキノン
分子を構成する少なくとも1個の水素をアルキル基に置
換したものである。アルキル基は、少なくとも1個のア
ルキル基の炭素原子数が、通常、2〜7個のものであ
る。2個未満ではジエン系重合体(a)及びジエン系重
合体(b)に対しての相溶性が低くなるので医用成形物
の強度が低くなる。7個を超えるとアルキルハイドロキ
ノンを配合することによる効果が得られない。アルキル
ハイドロキノンの具体例としては、2,5−ジ−t−ア
ミルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロ
キノン、2−エチル−5−ブチルハイドロキノン、2−
イソプロピル−5−メチルハイドロキノン、2−ブチル
ハイドロキノン、2−ヘキシルハイドロキノン、ハイド
ロキノンジエチルエーテルなどが挙げられる。これらの
うち2,5−ジt−ブチルハイドロキノンのごとくハイ
ドロキノン分子のベンゼン環に直接結合する水素がアル
キル基に置換されたものが好適である。アルキルハイド
ロキノンの量は、ポリウレタン100重量部に対して、
通常、0.1〜1.5重量部である。多量になるとラジ
カルと反応して架橋反応を阻害する。
【0031】本発明の医用材料組成物に必要に応じて用
いる脂質は炭素原子数10個以上、好ましくは15〜2
0個のアルキル鎖を有するものである。脂質は、生体を
構成する物質の一つであり、具体的には単純脂質、複合
脂質または誘導脂質がある。単純脂質は、炭素、水素及
び酸素からなるものであり、具体的にはステアリン酸や
オレイン酸などの長鎖脂肪酸;トリアシルグリセロー
ル、コレステロールエステルなどの長鎖脂肪酸のアルキ
ルエステル等が挙げられる。複合脂質は、炭素、水素及
び酸素の他にアミノ基の窒素、リン、硫酸の硫黄などを
含むものであり、具体的にはホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリ
ル、ジホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリ
ンなどのリン脂質;グリセロ糖脂質、スフィンゴイド糖
脂質などの糖脂質等が挙げられる。また、単純脂質及び
複合脂質を加水分解して得られる誘導脂質も挙げられ
る。脂質の量は、ポリウレタン100重量部に対して、
通常、0.3〜1重量部である。多量になると医用材料
組成物を架橋してなる医用成形物のポリウレタンに対す
る相溶性が低下するので、強度が低下する。
【0032】本発明の医用材料組成物には、必要に応じ
て、無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸、リンゴ酸な
どのスコーチ防止剤;コロイダルシリカ、ホワイトカー
ボン、炭酸カルシウムなどの充填材;ジブチルフタレー
ト、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ(2−エ
チルヘキシル)アジペートなどの可塑剤;ホワイトオイ
ル、パラフィン等の軟化剤を配合できる。
【0033】本発明の医用材料組成物は、その性状が、
通常、溶液、分散液または固体のものであり、好ましく
は有機溶媒の溶液のものである。溶液に使用する有機溶
媒は、通常、水と相溶しないもの又は水と相溶して得ら
れる水溶液のpHが6〜8になるものである。具体的に
はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
テトラヒドロフタン、シクロヘキサノン等のエーテル;
メチルエチルケトン、イソブチルエチルケトン等のケト
ン;ヘキセン、ヘキサン等の脂環式炭化水素などが挙げ
られる。
【0034】本発明の医用材料組成物の調製は、ポリウ
レタンの溶液に架橋剤を添加攪拌するか、又はポリウレ
タンを練り、その練り物に架橋剤を添加攪拌する、など
の方法で行う。
【0035】本発明の医用材料組成物を構成するポリウ
レタンを、架橋剤で架橋することによって医用成形物を
得ることができる。架橋は医用材料組成物を成形後又は
成形前のいずれかに、好ましくは成形後に行う。成形
は、通常、押出成形法、溶融成形法、キャスティング成
形法、ディッピング成形法、好ましくは、押出成形法、
ディッピング成形法によって行われる。例えば、ディッ
ピング成形法では、所望の形状の型を、医用材料組成物
の有機溶媒溶液に浸漬し、引き上げて、放置する。
【0036】架橋は、医用材料組成物を加熱するかまた
は光を照射することにより行われる。加熱または光照射
は、医用材料組成物に含まれる溶媒、分散媒などの揮発
性成分の量を、医用材料組成物に対して、通常、3重量
%以下、好ましくは0.5重量%以下まで除去してから
行うのが好ましい。3重量%を超えると加熱または光照
射時の組成物が発泡して成形物に空隙ができてしまうの
で好ましくない。
【0037】加熱する場合に、その加熱温度は、通常、
50〜170℃、好ましくは120〜150℃である。
50℃未満では架橋度の制御が困難であり、170℃を
超えると分解反応が起きて成形物が劣化しやすいものと
なる。加熱時間は、成形物の形状によって異なるが、通
常、12〜120分、好ましくは15〜30分である。
時間が短いと架橋度の制御が困難になる。時間が長いと
分解反応が起きて医用成形物の引張強度が低下する。光
照射の場合に、その光の波長は、通常、200〜450
nmである。照射時間は、通常、1秒〜600秒であ
る。
【0038】なお、架橋を促進するために触媒を添加し
てもよい。触媒としては3級アミン、有機金属触媒など
が挙げられる。また硫黄系化合物を架橋剤とした場合は
酸化亜鉛などの酸化物などが架橋促進剤として挙げられ
る。架橋反応後、通常、4〜14日間室温下に放置し
て、架橋反応生成物(医用成形物)を熟成することが好
ましい。熟成することによって医用成形物の永久伸びが
より小さくなる。
【0039】本発明の医用成形物は、その破断時の引張
強度が、通常、15〜50MPa、好ましくは18〜4
0MPaであり、破断時の伸びが、通常、600%以
上、好ましくは700%以上であり且つ引張除力後の伸
びが、通常、20%以下、好ましくは10%以下である
ので、チューブ;バルーンカテーテルなどのカテーテ
ル;人工心臓;人工血管;人工弁などに適用できる。特
にバルーンカテーテルのバルーン部分のごとく高伸縮率
が要求される部分への適用が好ましい。
【0040】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものでな
い。
【0041】本実施例において行った評価方法を以下に
説明する。
【0042】(引張試験)2mm厚のシートを3号形ダ
ンベル(JIS K6301)で打ち抜き、これをJI
S K−6301に準じて、チャック間距離20mm、
引張速度500mm/分、温度23℃、相対湿度65%
の条件で、引っ張り破断時の伸び及び引張強度を求め
た。
【0043】(永久伸び)2mm厚のシートを3号形ダ
ンベル(JIS K6301)で打ち抜き、それの表面
に引張方向に2cm間隔で標線をマークした。チャック
間距離20mm、引張速度500mm/分、温度23
℃、相対湿度65%の条件で、伸度500%になるまで
引っ張り、その状態で10分間保持した。除力後10分
間放置し、標線の間隔を測定した。引張前後における標
線間隔の差を、引張前の標線間隔(2cm)に対する比
(%)で求め、永久伸びとした。
【0044】(抗血栓性試験)リーホワイト試験法によ
り測定した。
【0045】(加工性評価)ポリウレタンと架橋剤とを
含有する組成物を得るためにブラベンダーロールを用い
て、混練可能か否かにより判断した。混練可能な場合を
○、困難な場合は×とした。
【0046】実施例1 窒素置換した2000cm3の三口フラスコにジフェニ
ルメタンジイソシアナート100mmol及び数平均分
子量1003のポリオキシテトラメチレングリコール5
0mmolを仕込み、90℃で1時間加熱攪拌した。次
いで、数平均分子量1003のポリオキシテトラメチレ
ングリコール32mmol、1,4−ブタンジオール8
mmol及び数平均分子量1098のポリブタジエンジ
オール(1,2−ポリブタジエンを20%含有)7mm
olをジオキサン300cm3に溶解した溶液を前記フ
ラスコに添加し、90℃で1時間加熱攪拌し、数平均分
子量約110,000、重量平均分子量/数平均分子量
2.9、ヨウ素価16、粘度6000cpのポリウレタ
ンの溶液を得た。この溶液に、ポリウレタン100重量
部に対して0.5重量部のジクミルパーオキサイド、
0.5重量部のレシチン及び0.5重量部の2,5−ジ
−t−ブチルハイドロキノンを添加した後、直径100
mmのシャーレに流延し、窒素中で乾燥し、2mm厚の
シート成形物を得、これを窒素中160℃で10分間加
熱し架橋させて成形物を得た。この成形物の評価結果を
表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】実施例2〜6及び比較例1〜6 実施例1と同様にして数平均分子量及びヨウ素価の異な
るポリウレタンの溶液を得、実施例1と同様にしてシー
ト成形物を得た。これら成形物の評価結果を表1または
表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】実施例7 窒素置換した2000cm3の三口フラスコにジフェニ
ルメタンジイソシアナート100mmol及び数平均分
子量1003のポリオキシテトラメチレングリコール5
0mmolを仕込み、90℃で1時間加熱攪拌した。次
いで、数平均分子量1003のポリオキシテトラメチレ
ングリコール32mmol、1,4−ブタンジオール1
0mmol及び数平均分子量1050のジヒドロキシ−
1,2−ポリブタジエン5mmolをジオキサン300
cm3に溶解させた溶液を前記フラスコに添加し、90
℃で1時間加熱攪拌し、数平均分子量約150,00
0、重量平均分子量/数平均分子量2.8、ヨウ素価1
2、粘度4000cpのポリウレタンの溶液を得た。こ
のポリウレタン溶液に、ポリウレタン100重量部に対
して4重量部のベンゾインエチルエーテル、0.5重量
部のレシチン及び0.5重量部の2,5−ジ−t−ブチ
ルハイドロキノンを添加し、乾燥して溶媒を除去した
後、60℃のロールで混練し、2mm厚のシート成形物
を得た。次いで、この成形物に紫外線ランプを用いて2
0分間紫外線を照射した。この成形物の評価結果を表2
に示した。
【0051】参考例 実施例1で得られたポリウレタン溶液に、ポリウレタン
100重量部に対して0.3重量部のジクミルパーオキ
サイドを添加した後、長さ1.8m、外径4mmのステ
ンレス棒を浸漬し、引き上げて放置乾燥してディップ成
形した。乾燥後、窒素中160℃で10分間加熱し、冷
却後、ステンレス棒から成形物(チューブ)を取り外し
た。このチューブをポリアミド製のカテーテルの先端
(側孔が設けられている)に取付けて、バルーンカテー
テルを得た。
【0052】
【発明の効果】本発明の医用材料組成物を架橋してなる
成形物は、引張強度及び伸びが大きく且つ永久伸びが小
さく、アレルギなどの毒性がないものであるので、バル
ーンカテーテルのバルーン部分のごとき伸縮率の高い部
分に好適に使用することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヨウ素価0.1〜50及び数平均分子量
    70,000〜500,000のポリウレタン100重
    量部と、架橋剤0.05〜6重量部とを必須成分とする
    医用材料組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の医用材料組成物中のポリ
    ウレタンを架橋してなる医用成形物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1561479A1 (en) * 2004-02-03 2005-08-10 Nitto Denko Corporation Urethane film base material for adhesive skin patch

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