JPH09298885A - 直列形インバータ回路の保護方法 - Google Patents

直列形インバータ回路の保護方法

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JPH09298885A
JPH09298885A JP8132785A JP13278596A JPH09298885A JP H09298885 A JPH09298885 A JP H09298885A JP 8132785 A JP8132785 A JP 8132785A JP 13278596 A JP13278596 A JP 13278596A JP H09298885 A JPH09298885 A JP H09298885A
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Naoya Eguchi
直也 江口
Shigeo Konishi
茂雄 小西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トランスの一次側または二次側に短絡用の半
導体スイッチを設けると、大容量化して回路が大型化す
る。また、半導体スイッチ自体への過電圧印加について
は、考慮されていなかった。 【解決手段】 トランス2の一次巻線21が系統電源に
直列に接続されるとともに、トランス2の二次巻線22
がインバータ3の交流出力側に接続され、このインバー
タ3の交流出力電圧がトランス2を介し電源電圧に直列
に加算される直列形インバータ回路の保護方法に関す
る。トランス2に三次巻線23を設けるとともにその両
端に半導体スイッチ6を接続し、一次巻線21に過電流
が流れたときに三次巻線23の両端を半導体スイッチ6
のオンにより短絡し、その後、インバータ3をゲートブ
ロックする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FACTS(フレ
キシブル交流送電系統)機器としての半導体式移相器や
直列形アクティブフィルタなどに使用されるインバータ
回路であって、トランスを介して系統電源に直列に接続
される直列形インバータ回路を過電流や過電圧から保護
するための保護方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、直列形インバータ回路の基本構
成を示している。図において、系統電源1にはトランス
2の一次巻線が直列に接続され、その二次巻線には電圧
形インバータ3の交流出力側が接続されている。直列形
インバータ回路では、図7のような構成によってインバ
ータ3の出力電圧が電源電圧に直列に加算されることに
なるので、インバータ3の出力電圧を制御することによ
り、あたかも電源電圧を自在に制御できるような機能を
持つ。
【0003】ここで、図8に示すごとく何らかの故障に
より電源系統に事故電流が流れると、トランス2の二次
巻線を介してインバータ3の内部を事故電流が流れるた
め、インバータ3にとって過電流となる場合がある。そ
こで、この過電流からインバータ3を保護するため、図
9に示すような対策が取られている。
【0004】すなわち、図9において、トランス2の一
次巻線または二次巻線には短絡用スイッチとしての遮断
器4または5が並列に接続されている。事故時には、遮
断器4または5を短絡することにより事故電流がバイパ
スされるため、半導体スイッチ素子により構成されるイ
ンバータ3を過電流から保護することが可能になる。
【0005】しかるに、機械式のスイッチを用いて保護
する場合、過電流の立ち上がりが速い時にはその電流の
上昇速度によってインバータ3を完全に保護できない場
合がある。この点に鑑み、図10に示すごとく、トラン
ス2の一次巻線または二次巻線に並列に半導体スイッチ
6を接続し、上記機械的スイッチの有する欠点を解消し
て高速で短絡動作させることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10
の従来技術には次のような問題がある。まず、トランス
2の一次巻線に半導体スイッチ6を接続すると、この一
次側では一般に回路電圧が高いため、半導体スイッチ6
の設計上、大きな電圧定格が要求される。また、電源系
統にサージ電圧が重畳してくることが予想されるため、
これに対する保護回路が必要になり、回路が大型かつ複
雑になる。
【0007】更に、トランス2の二次巻線に半導体スイ
ッチ6を接続する場合には、一般にインバータ3の電圧
定格から低圧回路となり短絡電流が大電流となるため、
この電流責務に耐え得る半導体スイッチ6を用いなくて
はならない。特にこの場合には、インバータ3の交流出
力側を直接短絡することとなるため、その短絡電流がイ
ンバータ3にとって過電流となるおそれがあった。
【0008】つまり、従来の保護方法では、半導体スイ
ッチ6にとって過電流、過電圧となったときに十分な保
護機能を果たせないおそれがあり、これを防止するには
素子の大容量化や回路装置の大型化、複雑化を避けるこ
とができなかった。また、インバータ3の交流出力側を
直接短絡する限り、インバータ3に過電流が流れるおそ
れは解消されなかった。そこで本発明は、素子の大容量
化を招くことなく、比較的簡単な構成によりインバータ
を確実に保護することができる直列形インバータ回路の
保護方法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、トランスの一次巻線が系統
電源に直列に接続されるとともに、前記トランスの二次
巻線がインバータの交流出力側に接続され、このインバ
ータの交流出力電圧が前記トランスを介し電源電圧に直
列に加算される直列形インバータ回路において、前記ト
ランスに三次巻線を設けるとともにその両端に半導体ス
イッチを接続し、前記一次巻線に過電流が流れたときに
前記三次巻線の両端を前記半導体スイッチのオンにより
短絡し、その後、前記インバータをゲートブロックする
ものである。
【0010】例えば、負荷の短絡によりトランスの一次
巻線に短絡電流が流れると、二次巻線を介してインバー
タにも過電流が流入する。このとき、半導体スイッチを
オンして三次巻線を短絡すればトランスを等価的に短絡
することができ、二次回路に過電流が流れることはな
い。また、ゲートブロック(全ゲートオフ)によってイ
ンバータを過電流から確実に保護することができる。
【0011】請求項2記載の発明は、トランスの一次巻
線が系統電源に直列に接続されるとともに、前記トラン
スの二次巻線がインバータの交流出力側に接続され、こ
のインバータの交流出力電圧が前記トランスを介し電源
電圧に直列に加算される直列形インバータ回路におい
て、前記トランスに三次巻線を設けるとともにその両端
に半導体スイッチを接続し、かつ、前記インバータの交
流出力電流または交流出力電圧、もしくは前記三次巻線
の両端電圧を検出する手段を備え、これらの手段により
過電流または過電圧が検出された際に前記半導体スイッ
チをオンして前記三次巻線の両端を短絡し、その後、前
記インバータをゲートブロックするものである。
【0012】これにより、インバータの出力電流または
出力電圧等が許容範囲を超える場合に三次巻線を短絡し
てインバータを保護すると共に、ゲートブロックによっ
てインバータへの過電流流入を防止することができる。
【0013】請求項3記載の発明は、トランスの一次巻
線が系統電源に直列に接続されるとともに、前記トラン
スの二次巻線がインバータの交流出力側に接続され、こ
のインバータの交流出力電圧が前記トランスを介し電源
電圧に直列に加算される直列形インバータ回路におい
て、前記トランスに三次巻線を設けるとともにその両端
に半導体スイッチを接続し、この半導体スイッチに過電
圧が印加された際に半導体スイッチを自動的にオンして
前記三次巻線の両端を短絡し、そのオン状態を検出した
ら前記インバータをゲートブロックするとともに、前記
半導体スイッチを引き続きオンさせるべく前記半導体ス
イッチに対するオン指令を制御回路から与えるものであ
る。
【0014】これにより、保護回路として付加される半
導体スイッチ自体を過電圧から保護することができる。
また、ゲートブロックによってインバータへの過電流の
流入を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1は、請求項1に記載した発明の実施
形態を示す図である。図において、トランス2の一次巻
線21は図示されていない系統電源に接続され、二次巻
線22は電圧形インバータ3の交流出力側に接続されて
いる。トランス2には三次巻線23が設けられており、
この三次巻線23には、逆並列接続されたサイリスタ6
a,6bからなる半導体スイッチ6が並列に接続されて
いる。なお、半導体スイッチ6はトランジスタ等の他の
半導体スイッチ素子により構成してもよい。
【0016】図2は、前記トランス2の等価回路であ
る。図2において、x0は励磁インピーダンス、x1は一
次巻線21の漏れインピーダンス、x2は二次巻線22
の漏れインピーダンス、x3は三次巻線23の漏れイン
ピーダンスをそれぞれ示している。
【0017】三巻線トランスでは、その構造により各巻
線の漏れインピーダンス配分を調整することができ、例
えば三次巻線23の漏れインピーダンスx3を零にする
ことも可能である。この性質を利用して、三次巻線23
を短絡すれば、トランス2を等価的に短絡することがで
きる。
【0018】すなわち、この実施形態では、例えば負荷
の短絡時に一次巻線21に短絡電流が流れた時に、周知
の手段によりこれを検出して半導体スイッチ6を動作さ
せ、三次巻線23を短絡させることにより、二次巻線2
2に過電流が流れないようにしてインバータ3を保護す
ることができる。
【0019】その際、半導体スイッチ6を構成するサイ
リスタ6a,6bに流れる電流はトランス2の各巻線の
巻数によって調整することができる。これに応じてサイ
リスタ6a,6bの電圧、電流定格を任意に選定するこ
とができる。一般に、サイリスタを多数直列接続するこ
とは容易であるため、例えば電圧定格を上げれば半導体
スイッチ6の小型化を図ることができる。また、半導体
スイッチ6が直接、電源系統に接続されていないため、
雷サージの影響も受けにくく、保護回路が不要になって
回路構成の簡略化、小型化に一層寄与するものである。
【0020】なお、半導体スイッチ6のオンにより三次
巻線23を短絡した後は、インバータ3の全ゲートをオ
フすることでゲートブロックを行い、インバータ3に確
実に過電流が流れないようにする。
【0021】次に、図3は請求項2に記載した発明の実
施形態を示している。この実施形態は、図1の実施形態
を前提として構成されたものであり、図1と同一の構成
要素には同一の符号を付して説明を省略する。図3にお
いて、インバータ3の交流出力側には電流検出器11と
電圧検出器12とが接続されており、インバータ3の出
力電流、出力電圧が検出される。
【0022】上記構成において、図4に示すように、電
流検出器11または電圧検出器12により検出されたイ
ンバータ3の出力電流または出力電圧がインバータ3の
許容範囲を超えた場合には、トランス2の三次巻線23
に接続された前記半導体スイッチ6をオンして三次巻線
23を短絡し、その後、インバータ3をゲートブロック
する。ここで、電圧検出器12は、図3に示すごとく三
次巻線23に並列に接続しても良い。
【0023】この実施形態によれば、系統や負荷の故障
により、インバータ3の出力回路に実際に過電圧、過電
流が発生したとしても、これらを検出してトランス2の
三次巻線23を短絡することによりインバータ3を実質
的に系統から切り離し、その後のゲートブロックにより
インバータ3を出力短絡による過電流から確実に保護す
ることができる。
【0024】図4において、半導体スイッチ6のオン及
びインバータ3のゲートブロックは、過電流検出、過電
圧検出のいずれか一方を条件としているが、これらの両
方を条件としても良い。
【0025】次いで、図5は請求項3に記載した発明の
実施形態を示している。この実施形態も図1の実施形態
を前提としており、図1と同一の構成要素には同一の符
号を付して説明を省略する。
【0026】図5において、トランス2の三次巻線23
には電圧検出器12が並列に接続されている。また、半
導体スイッチ6を構成するサイリスタ6a,6bの各ゲ
ート・アノード間には、ブレークオーバーダイオード1
4a,14bと、その電流を制限する抵抗15a,15
bが接続されている。なお、13a,13bはサイリス
タ6a,6bのゲート電流検出器である。
【0027】上記構成において、例えばサイリスタ6a
のカソード・アノード間に過電圧が加わると、ゲート・
アノード間にも過電圧が生じ、ブレークオーバーダイオ
ード14aが導通するしきい値を超えると主回路からサ
イリスタ6aのゲートに電流が流れ込み、サイリスタ6
aが自動的に点弧する。他方のサイリスタ6bに過電圧
が加わった際の点弧動作もこれと同様である。
【0028】サイリスタ6aまたは6bのオンは、ゲー
ト電流検出器13aまたは13bにより検出されると同
時に、電圧検出器12によっても検出される。このう
ち、電圧検出器12は、半導体スイッチ6の両端電圧が
零またはこれに相当する値になったのを検出して、半導
体スイッチ6がオンしたことを判別するために用いられ
る。
【0029】図6は本実施形態における保護処理を示す
フローチャートであり、ゲート電流検出器13a,13
bや電圧検出器12により半導体スイッチ6のオンが検
出されると、インバータ3をゲートブロックすると共
に、当該半導体スイッチ6に対しては通常時にこれをオ
ンさせる制御回路によってオン指令を与え、その導通状
態を確実なものとする。
【0030】本実施形態では、サイリスタ6a,6bの
ゲート電流とサイリスタ6a,6bのカソード、アノー
ド間の電圧との両方を検出して半導体スイッチ6のオン
を検出しているが、これはいずれか一方でも良く、勿
論、他の方法によって検出しても良い。また、過電圧発
生時にサイリスタ6a,6bが自分自身で自動的に点呼
する手段としては、ブレークオーバーダイオード14
a,14bの代わりにツェナーダイオードを用いても良
い。
【0031】この実施形態では、保護回路として付加す
る半導体スイッチ6自体を過電圧から保護することがで
きる。そして、この半導体スイッチ6のオンによる三次
巻線23のの短絡、及びインバータ3のゲートブロック
によってインバータの過電流保護が可能になり、装置全
体の信頼性も向上する。
【0032】
【発明の効果】以上のように請求項1〜3記載の発明に
よれば、電源系統に直列接続されるトランスの一次回路
や二次回路(インバータの出力回路)に半導体スイッチ
を接続するのではなく、短絡用の三次巻線に半導体スイ
ッチを接続しているため、半導体スイッチの電圧や電流
定格を小さく設計でき、雷サージ等の影響を考慮する必
要もなく、回路装置の小型軽量化、低価格化が可能にな
る。
【0033】また、トランスの一次側での過電流やイン
バータの出力回路における過電流、過電圧、更には、三
次巻線の半導体スイッチ両端の過電圧等を検出して三次
巻線を短絡させ、続いてインバータをゲートブロックす
ることにより、過電流がインバータに流れるのを確実に
防止し、電源系統の信頼性を大幅に向上させるものであ
る。加えて、請求項3の発明によれば、半導体スイッチ
自体を過電圧から保護して装置全体の信頼性を一層向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載した発明の実施形態を示す回路
図である。
【図2】図1におけるトランスの等価回路図である。
【図3】請求項2に記載した発明の実施形態を示す回路
図である。
【図4】図3の実施形態の保護動作を示すフローチャー
トである。
【図5】請求項3に記載した発明の実施形態を示す回路
図である。
【図6】図5の実施形態の保護動作を示すフローチャー
トである。
【図7】直列形インバータ回路の基本構成図である。
【図8】図7における事故電流の経路を示す図である。
【図9】従来技術を示す主要部の回路図である。
【図10】従来技術を示す回路図である。
【符号の説明】
2 トランス 21 一次巻線 22 二次巻線 23 三次巻線 3 電圧形インバータ 6 半導体スイッチ 6a,6b サイリスタ 11 電流検出器 12 電圧検出器 13a,13b ゲート電流検出器 14a,14b ブレークオーバーダイオード 15a,15b 抵抗

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスの一次巻線が系統電源に直列に
    接続されるとともに、前記トランスの二次巻線がインバ
    ータの交流出力側に接続され、このインバータの交流出
    力電圧が前記トランスを介し電源電圧に直列に加算され
    る直列形インバータ回路において、 前記トランスに三次巻線を設けるとともにその両端に半
    導体スイッチを接続し、前記一次巻線に過電流が流れた
    ときに前記三次巻線の両端を前記半導体スイッチのオン
    により短絡し、その後、前記インバータをゲートブロッ
    クすることを特徴とする直列形インバータ回路の保護方
    法。
  2. 【請求項2】 トランスの一次巻線が系統電源に直列に
    接続されるとともに、前記トランスの二次巻線がインバ
    ータの交流出力側に接続され、このインバータの交流出
    力電圧が前記トランスを介し電源電圧に直列に加算され
    る直列形インバータ回路において、 前記トランスに三次巻線を設けるとともにその両端に半
    導体スイッチを接続し、かつ、前記インバータの交流出
    力電流または交流出力電圧、もしくは前記三次巻線の両
    端電圧を検出する手段を備え、これらの手段により過電
    流または過電圧が検出された際に前記半導体スイッチを
    オンして前記三次巻線の両端を短絡し、その後、前記イ
    ンバータをゲートブロックすることを特徴とする直列形
    インバータ回路の保護方法。
  3. 【請求項3】 トランスの一次巻線が系統電源に直列に
    接続されるとともに、前記トランスの二次巻線がインバ
    ータの交流出力側に接続され、このインバータの交流出
    力電圧が前記トランスを介し電源電圧に直列に加算され
    る直列形インバータ回路において、 前記トランスに三次巻線を設けるとともにその両端に半
    導体スイッチを接続し、この半導体スイッチに過電圧が
    印加された際に半導体スイッチを自動的にオンして前記
    三次巻線の両端を短絡し、そのオン状態を検出したら前
    記インバータをゲートブロックするとともに、前記半導
    体スイッチを引き続きオンさせるべく前記半導体スイッ
    チに対するオン指令を制御回路から与えることを特徴と
    する直列形インバータ回路の保護方法。
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