JPH09295999A - アポトーシスを誘起する物質のスクリーニング方法 - Google Patents

アポトーシスを誘起する物質のスクリーニング方法

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JPH09295999A
JPH09295999A JP9067499A JP6749997A JPH09295999A JP H09295999 A JPH09295999 A JP H09295999A JP 9067499 A JP9067499 A JP 9067499A JP 6749997 A JP6749997 A JP 6749997A JP H09295999 A JPH09295999 A JP H09295999A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 アポトーシスを誘起する物質のスクリーニン
グ方法等を提供する。 【解決手段】 IAP(Integrin Assoc
iated Protein)を発現している細胞を用
いてアポトーシス(apoptosis)を誘起する性
質を有する物質を探索することを特徴とするアポトーシ
スを誘起する物質のスクリーニング方法。細胞が、骨髄
球様細胞である上記のスクリーニング方法。上記スクリ
ーニング方法で得られる物質を有効成分としてなる医薬
組成物。 【効果】 本発明のスクリーニング方法により取得され
た骨髄球様細胞等にアポトーシスを引き起こす作用を有
する物質は、その特性を利用して、抗ガン剤、骨髄性白
血病の治療等の分野において有用な骨髄性白血病治療薬
剤等の医薬組成物の有効成分として使用し得るものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アポトーシス(a
poptosis)を誘起する物質のスクリーニング方
法等に関するものであり、更に詳しくは、IAP(In
tegrin Associated Protei
n)を発現している細胞を用いて、骨髄球様細胞等にア
ポトーシスを誘起する性質を有するモノクローナル抗体
等の物質を、簡便かつ高効率で探索することを可能とす
る新しいアポトーシスを誘起する物質のスクリーニング
方法、並びに、当該スクリーニング方法で得られるアポ
トーシスを誘起する物質、当該物質を有効成分としてな
る医薬組成物、IAPに結合能を有するアポトーシスを
誘起する物質、当該物質を有効成分としてなる医薬組成
物等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、顆粒球コロニー刺激因子、例え
ば、遺伝子組換え型顆粒球コロニー刺激因子(rG−C
SF)は、主に顆粒球系細胞の分化、増殖を促進させる
液性因子として知られているものであるが、マウスのi
n vivoの実験では、このrG−CSFを投与する
ことにより、骨髄の造血亢進のみならず、脾臓でも著し
い髄外造血が起こり造血幹細胞を始めとしてすべての造
血前駆細胞が脾臓で増殖することが報告されている。そ
して、この脾臓での髄外造血のメカニズムとして、rG
−CSFの刺激により脾臓の造血微小環境が変化し、造
血支持能力が亢進したことにより造血が生じたものであ
ると考えられた。
【0003】そこで、本発明者は、この脾臓での造血機
能を解明するために、rG−CSF連投後の脾臓の間質
細胞に着目し、間質細胞を介したrG−CSFによる造
血機能亢進の解析を試みるべく、rG−CSFを連投し
たマウス脾臓より造血間質細胞株(CF−1細胞)を樹
立し、かかる造血間質細胞を用いてその造血支持能を検
討したところ、in vitroでのコロニー刺激活性
およびin vivoでの造血幹細胞支持能が認められ
た〔Blood,80,1914(1992)〕。
【0004】しかしながら、この脾臓間質細胞について
は、その一部が細胞株(CF−1細胞)として樹立され
て、その細胞学的特性の検討等はなされているものの、
これまでに、その細胞表面抗原を認識する特定の抗体を
作製することはほとんど行われておらず、ましてやその
特性等については全く知られていない状況にあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
脾臓間質細胞に関する前記したような知見とこれまでの
研究成果を踏まえ、この脾臓間質細胞を識別し得る特定
の抗体を開発することを目標として鋭意研究を積み重ね
る中で、当該脾臓間質細胞株を感作抗原として使用して
モノクローナル抗体を作製したところ、これまでに報告
された例のない新規モノクローナル抗体が得られた。
【0006】そして、この取得されたモノクローナル抗
体の特性について検討したところ、当該モノクローナル
抗体は、骨髄球様細胞にアポトーシスを誘起する特性を
有するものであることを見い出し、既に報告したが、更
に、当該モノクローナル抗体が認識する抗原は、IAP
(Integrin Associated Prot
ein)と同一であること、また、IAPはアポトーシ
スに関する機能を有することを見い出すと共に、IAP
を発現している細胞を用いることによりアポトーシスを
誘起する抗体等の物質を識別、同定し、スクリーニング
することが可能であるとの知見を得て、鋭意研究を積み
重ねる中で、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、IAPを発現してい
る細胞を用いてアポトーシス(apoptosis)を
誘起する性質を有する物質をスクリーニングする方法を
提供することを目的とするものであり、更には、当該ス
クリーニング方法により取得された細胞にアポトーシス
を誘起する新しい物質、当該物質を有効成分としてなる
医薬組成物等を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記のモノクローナル抗
体は、骨髄球様細胞(myeloid cell)のア
ポトーシス(apoptosis)〔核クロマチンDN
Aがヌクレオソーム単位で切断(いわゆるラダー・フォ
ーメーション)されること等を特徴とし、その結果、細
胞を死に至らしめる現象で、細胞自滅とも云う〕を引き
起こす抗原等を特異的に認識する抗体として、これらを
識別、同定する機能を有するものとして、あるいは骨髄
球様細胞にアポトーシスを誘起させる機能を有するもの
として極めて有用なものである。尚、骨髄球様細胞に
は、リンパ球以外の細胞、例えば、好中球、巨核球、骨
髄芽球、骨髄球、肥満細胞、マクロファージ、単球、赤
芽球が含まれるが、本発明で云う骨髄球様細胞もこれと
同義のものを意味する。従来、一般に、骨髄球様細胞に
アポトーシスを誘起する特性を有するモノクローナル抗
体は前記の他に全く知られておらず、従って、前記モノ
クローナル抗体は、骨髄球様細胞にアポトーシスを誘起
する特性を有するすべてのモノクローナル抗体を包括す
るものとして定義される。
【0009】かかるモノクローナル抗体は、基本的に
は、例えば、次のようにして作製することができる。す
なわち、前記モノクローナル抗体は、例えば、rG−C
SF投与動物の脾臓間質細胞を感作抗原として使用し
て、基本的には、これを通常の免疫法を応用して免疫
し、通常の細胞融合法を応用して細胞融合させ、通常の
クローン化法を応用してクローン化することによって作
製することができる。
【0010】前記モノクローナル抗体の作製方法は、よ
り具体的には、例えば、前記感作抗原として、本発明者
らによって培養細胞株として樹立されたrG−CSF投
与マウスの脾臓間質細胞であるCF−1細胞〔Bloo
d,Vol.80,1914(1992)〕を使用し、
当該感作抗原で免疫した哺乳動物の形質細胞(免疫細
胞)を、マウス等の哺乳動物のミエローマ細胞と融合さ
せ、得られた融合細胞(ハイブリドーマ)をクローン化
し、その中から前記細胞株を認識する前記抗体を産生す
るクローンを選別し、これを培養して目的とする抗体を
回収する方法が好適なものとして例示される。しかしな
がら、かかる方法はあくまで一例に過ぎず、例えば、こ
の場合、前記感作抗原としては、前記CF−1細胞に限
らず、CF−1細胞の場合に準じて得られるヒト脾臓間
質細胞由来の細胞株を使用することも適宜可能であり、
前記CF−1細胞の場合と同様にして目的とするヒト骨
髄球様細胞と結合するモノクローナル抗体を作製するこ
とができる。
【0011】このようなモノクローナル抗体の作製方法
において、前記感作抗原で免疫される哺乳動物として
は、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用す
るミエローマ細胞との適合性などを考慮して選択するの
が好ましく、一般的には、マウス、ラット、ハムスター
等が好適なものとして使用される。
【0012】次に、免疫は、一般的方法により、例え
ば、前記CF−1細胞等の脾臓間質細胞を哺乳動物に腹
腔内注射等により投与することにより、行われる。より
具体的には、PBSや生理食塩水等で適当量に希釈、懸
濁したものを、動物に1ヶ月毎に数回投与することが好
ましい。免疫細胞としては、前記細胞株の最終投与後に
摘出した脾細胞を使用するのが好ましい。
【0013】次に、前記免疫細胞と融合される他方の親
細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞としては、すで
に公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3X63Ag
8.653)〔J.Immunol.,123,154
8(1978)〕、p3−U1〔Current To
pics in Micro−biology and
Immunology,81,1−7(197
8)〕、NS−1〔Eur.J.Immunol.,
6,511−519(1976)〕、MPC−11〔C
ell,8,405−415(1976)〕、Sp2/
0−Ag14〔Nature,276,269−270
(1978)〕、FO〔J.Immunol.Met
h.,35,1−21(1980)〕、S194〔J.
Exp.Med.,148,313−323(197
8)〕、およびR210〔Nature,277,13
1−133(1979)〕等が好適に使用される。
【0014】前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融
合は、基本的には通常の方法、例えば、ミルシュタイン
ら(Milstein et al.)の方法〔Met
hods Enzymol.,73,3−46(198
1)〕等に準じて行うことができる。
【0015】より具体的には、前記細胞融合は、例え
ば、融合促進剤の存在下に通常の栄養培地中で実施され
る。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコ
ール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用
され、更に、所望により融合効率を高めるためにジメチ
ルスルホキシド等の補助剤を適宜添加使用することもで
きる。免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例え
ば、ミエローマ細胞に対して、免疫細胞を1〜10倍程
度とするのが好ましい。また、前記細胞融合に用いる培
地としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好
適なRPMI−1640培地、MEM培地、その他、こ
の種の細胞培養に使用される通常の培地が使用可能であ
り、更に、牛胎児血清(FBS)等の血清補液を併用す
ることも可能である。
【0016】細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細
胞との所定量を前記培地内でよく混合し、予め37℃程
度に加温したPEG溶液、例えば、平均分子量1,00
0〜6,000程度のPEGを、通常、培地に約30〜
60%(W/V)の濃度で添加し、混合することによっ
て行われる。続いて、適当な培地を逐次添加し、遠心し
て上清を除去する操作を繰り返すことにより目的とする
ハイブリドーマが形成される。
【0017】当該ハイブリドーマは、通常の選択培地、
例えば、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン
およびチミジンを含む培地)で培養することにより選択
される。当該HAT培地による培養は、目的とするハイ
ブリドーマ以外の細胞(未融合細胞)が死滅するのに充
分な時間、通常、数日〜数週間継続する。次いで、通常
の限界希釈法に従って、目的とする抗体を産生するハイ
ブリドーマのスクリーニングおよび単一クローン化が実
施される。
【0018】このようにして作製される前記モノクロー
ナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地で継
代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期
保存することが可能である。
【0019】当該ハイブリドーマから前記モノクローナ
ル抗体を採取するには、当該ハイブリドーマを常法に従
って培養し、その培養上清から得る方法、あるいはハイ
ブリドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与して増
殖させその腹水から得る方法など適宜の方法が採用され
る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適した方法
であり、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適した
方法である。
【0020】更に、前記した方法により得られる抗体
は、塩析法、ゲル濾過法、アフィニティークロマトフラ
フィー等の通常の精製手段を応用して高純度に精製する
ことができる。
【0021】当該モノクローナル抗体は、後記する実施
例においてはBMAP−1を用いたが、それに限らず、
実施例において具体的に示す固有の特性、すなわち骨髄
球様細胞等にアポトーシスを誘起する機能を有するもの
であれば、如何なるものであってもよく、当該機能を有
するものであれば、その種類を問わず利用することがで
きる。次に、IAPを発現している細胞としては、骨髄
球様細胞等が例示されるが、例えば、マウスIAP遺伝
子(Genbank, Accession number Z25524)〔TheJournal o
f Cell Biology, 123, 485-496 (1993)〕を常法により
導入したジャーカット細胞(Transfectant
Jurkat Cell)等が好適なものとして使用
される。IAP遺伝子としては、マウスIAP遺伝子に
限定されるものではなく、他のIAP遺伝子、例えば、
ヒトIAP遺伝子等を使用することが可能である。その
他、IAPを発現している細胞(例えば、ヒト白血病細
胞等)であれば同様に使用できることは云うまでもな
い。そして、本発明に係るスクリーニング方法は、IA
Pを発現している細胞を用いる点に最大の特徴を有する
ものであり、当該細胞を用いてアポトーシスを誘起する
物質をスクリーニングする方法は、IAPを発現して無
い同一細胞をブランクとして、当該IAPを抗原として
特異的に認識するモノクローナル抗体、その断片等の物
質を、常法により識別、同定して、スクリーニングすれ
ば良く、その具体的方法は特に限定されるものではな
い。本発明のスクリーニング方法により取得されたモノ
クローナル抗体、その断片、IAPに結合能を有するア
ポトーシスを誘起する物質等は、その特性を利用して、
例えば、抗ガン剤、骨髄性白血病の治療等の分野におい
て有用な骨髄性白血病治療薬剤等の医薬組成物の有効成
分として使用し得るものである。
【0022】このようなモノクローナル抗体を利用して
骨髄球様細胞にアポトーシスを引き起こす抗原等を特異
的に認識する抗体として、これらを識別、同定するため
の、あるいは、当該モノクローナル抗体の固有の特性を
利用して抗ガン剤、骨髄性白血病治療薬剤等の医薬組成
物として使用するための具体的システムの構築、その改
変および応用等は、当業者にとって自明の通常の方法を
応用して実施されるものであることは云うまでもない。
【0023】
【発明の実施の形態】
【実施例】次に、本発明を参考例および実施例に基づい
て更に具体的に説明するが、本発明は当該実施例に限定
されるものではない。
【0024】参考例 脾臓間質細胞株の樹立とその性質 1)脾臓間質細胞株の樹立 rG−CSF連続投与による脾臓間質細胞株は、rG−
CSF100μg/kgを5日間投与したC57BL/
6Jマウスの脾臓細胞の初代培養から樹立された。すな
わち、rG−CSF投与後に無菌条件下に脾臓を摘出
し、25cm2 プラスチック・フラスコ(Cornin
g社製)で6週間培養し、10%非働化血清(FBS)
(三光純薬社製、東京)、100U/mlペニシリンお
よび100μg/mlストレプトマイシンを添加したI
scoveの改変Dulbecco培地(IMDM)
(Boehringer−Mannheim社製)で3
7℃、5%CO2 のインキュベータ内で培養し、週2回
新鮮培地に交換した。
【0025】コンフルエント培養から0.05%トリプ
シン+0.02%EDTA(Sigma Chemic
al社製)、Ca−Mg−free PBSを用いて付
着性細胞集団(間質細胞)を分取して別なフラスコに移
した。この継代培養を週に約1〜2回繰り返した。初期
の継代培養(1〜10回目)での細胞のsplitra
tioは1/4〜1/8であったが、その後の比率は1
/16〜1/32とした。約10回目の継代培養後に間
質細胞は均質な線維芽細胞様となった。20回目の継代
時に上述の方法で間質細胞を採集し、限界希釈法を用い
て細胞のクローニングを2回繰返して間質細胞株(CF
−1細胞株)を樹立した。
【0026】次いで、これらの細胞を10%非働化FB
Sを加えたIMDM5mlを入れた25cm2 フラスコ
(Corning社製)内で維持培養し、5日毎にsp
lit ratio 1/32で継代培養した。尚、他
の哺乳動物についても、その脾臓間質細胞株を樹立する
ことができ、例えば、ヒトの場合には、細胞をSV−4
0アデノウィルスベクターで形質転換すれば前述と同様
の方法でヒト脾臓間質細胞株を樹立することが可能であ
る〔J.Cell.Physiol.,148,245
(1991)〕。
【0027】2)CF−1細胞の特性 前記の如くして細胞株として樹立されたCF−1細胞に
ついては、標準的な細胞化学的手法を用いてアルカリ・
ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、β−グルクロニ
ダーゼ、α−ナフチルアセテイトエステラーゼおよびオ
イル・レッドOを検索すると共に下記のモノクローナル
およびポリクローナル抗体を用いて免疫酵素組織化学検
索によりその特性を検討した:MacI(Sero T
ec.社製)、第VIII関連抗原(Dakopatt
s社製)、I型コラーゲン、III型コラーゲンおよび
フィブロネクチン(Chemicon Interna
tional社製)、貪食能はラテックス・ビーズ(粒
子径:1.09μm,Sigma)を用い、また、脂肪
細胞への分化能は、25cm2 フラスコでコンフルエン
ト培養後10-6mol/lの燐酸ハイドロコルチゾン
(Sigma社製)を添加し、4週間の培養で検討し
た。
【0028】その結果、CF−1細胞は、アルカリ・ホ
スファターゼ、第VIII因子関連抗原、MacIおよ
び貧食能は陰性であったが、I型コラーゲン、III型
コラーゲンおよびフィブロネクチンは陽性であった。C
F−1細胞は、微かにリピッドを含むが、10-6mol
/lのハイドロコルチゾン存在下の4週間のコンフルエ
ント培養によっても脂肪細胞には分化しなかった。これ
らのデータから、CF−1細胞は、前脂肪細胞、マクロ
ファージおよび血管内皮細胞の特徴を備えていないと云
えることから、これらとは異なる間質細胞由来であるこ
とが明らかとなった。
【0029】3)CF−1細胞による造血幹細胞の維持 造血幹細胞がCF−1細胞によって維持されるか否かを
検討するため、Till&McCullochの方法に
よるCFU−S assay(脾コロニー形成法)を行
なった。マウス10匹/群に900cGyを照射(MB
R−1520R,Hitachi社製,東京)した後、
骨髄単核細胞(BM細胞)(1.0×105 /hea
d、5.0×104 /headまたは2.5×104
head)およびCF−1細胞(1.0×105 /he
ad)を静注し、12日目に脾臓内のコロニー数を算え
てCFU−S(脾臓コロニー)とした。
【0030】その結果、骨髄単核細胞(BM細胞)とC
F−1細胞とを放射線照射したマウスに同時に移植する
と、いずれのBM細胞群についても脾コロニー数は、C
F−1細胞を移植しなかったマウスに比し有意に増加し
(1.4〜1.8倍)、また、BM細胞とCF−1細胞
とを同時に移植したマウスの移植後12日目の生存率
は、BM細胞を単独移植したマウスよりも高く、死亡率
が低下することから、造血幹細胞がCF−1細胞によっ
て維持されることが明らかとなった。
【0031】実施例 モノクローナル抗体の作製 1)感作抗原と免疫法 感作抗原として、前述の参考例で取得したCF−1細胞
を用いて抗原感作を行った。細胞株は、10%牛胎児血
清(FBS、三光純薬社製)、Iscove改変Dul
becco培地(IMDM)(Boehringer−
Mannheim社製)を培地として使用し、5%CO
2 インキュベーター中で37℃の温度条件下で継代培養
を行った。
【0032】細胞は、1mMEDTA、PBS処理後、
軽いピペッティングによって培養フラスコより回収し
た。この細胞を約1×107 個/mlの細胞数で1mM
EDTA・PBSに懸濁し、浮遊させ、Wistar
Imamich系ラット(7週令、♀、動物繁殖研究
所)に免疫した。初回免疫には、約1×107 個/ml
の細胞1mlをラット腹腔内に注射し、1ヶ月後に1×
107 個/mlの細胞1mlを追加免疫した。更に、1
ヶ月間隔にて1×107 個/mlの細胞1mlを数回追
加免疫し、免疫されたラット抗体とCF−1細胞との反
応性を確認後、最終免疫として、1×108 個/mlの
細胞1mlを免疫した。最終免疫3日後にラットを屠殺
して脾臓を摘出した。
【0033】2)細胞融合 1匹のラットから摘出した脾臓を細切後、遊離した脾細
胞を遠沈した後、IMDM培地(Boehringer
−Mannheim社製)中に懸濁し、浮遊させ、充分
に洗浄を行った。一方、マウス・ミエローマ細胞株Sp
2/0−Ag14〔Nature,276,269−2
70(1978)〕を、10%牛胎児血清(FBS、三
光純薬社製)を含有するIMDM(Boehringe
r−Mannheim社製)培地にて培養して得た細胞
を、同様に前記IMDM培地で洗浄後、その1×108
個と、前記脾細胞2×108 個とを遠心管に入れ混合
し、ポリエチレングリコール4000(半井化学社製)
によって常法〔Clin.Exp.Immunol.,
42,458−462(1980)〕に従い細胞融合さ
せた。
【0034】次いで、得られた融合細胞を、20%FB
Sを含むIMDM培地にて96個のウエルプレートに分
注し、5%CO2 インキュベーター中で37℃で培養し
た。翌日よりHAT選択培地に徐々に置換させて培養を
続けた。培養開始後、上清を週2回の頻度に、それぞれ
新しいHAT培地に代え、培養を継続し、増殖維持させ
た。
【0035】次に、このようにして得られた融合細胞を
常法により限界希釈法を用いてクローニングした。すな
わち、前記融合細胞の培養上清中の抗体を利用して、感
作抗原との結合性を調べ、感作抗原と強い結合性を有す
るクローンだけを常法により限界希釈法を用いてクロー
ニングした。
【0036】3)スクリーニング 融合細胞(ハイブリドーマ)のスクリーニングは、フロ
ーサイトメトリー(Flow Cytometry)を
使った間接蛍光抗体法により行った。目的の抗体を産生
するクローンのスクリーニングは、ターゲット細胞とし
て、CF−1細胞を用いて行った。すなわち、反応バッ
ファー〔2%FBS,0.02%NaN3 を含むPB
S〕に懸濁した細胞を遠心し、ペレットとして回収した
後、ハイブリドーマ培養上清100μl中に浮遊させ
(約1×106 個/100μl)、4℃にて1時間反応
させた。 前記バッファーにより1回洗浄した後、FI
TC標識ヤギ抗ラットIgG(FC)抗体(Chemi
con社製)を加えて1時間インキュベーションした。
1回洗浄した後、フローサイトメトリー(Flow C
ytometry)(FACScan,ベクトン・デッ
キンソン社製)にて解析した。
【0037】4)抗体の精製 前記3)でスクリーニングした融合細胞を常法に従って
培養し、培養上清中に産生される抗体を常法により分離
し、精製した。すなわち、各ウエルのうち前記感作抗原
に対する抗体価の高かったウエルからハイブリドーマを
採取し、組織培養プラスチックディッシュ(Corni
ng社製)に広げて5%CO2 中で37℃にて継代培養
を行い、増殖させ、常法により精製することにより、モ
ノクローナル抗体GSPST−1、BMAP−1を得
た。
【0038】GSPST−1については、得られた細胞
をプリスタン投与を施行したBALB/cAJcl−n
u系ヌードマウス(8週令,♂,日本クレア社製)に腹
腔内注入した。10〜14日後、産生された腹水を採取
し、33%硫酸アンモニウムで塩析しPBSで透析し
た。また、BMAP−1抗体については、10%FBS
を含むIscove modified MEM培地に
て、大量培養し、培養上清を濃縮後、33%硫酸アンモ
ニウムで塩析し、PBSで透析後、プロテインAカラム
キット(アマシャム社製)により再度精製し、PBSに
より透析を行った。尚、上記の実施例においては、感作
抗原として、前記CF−1細胞を使用した場合について
例示したが、他の造血幹細胞支持能を有する間質細胞を
使用した場合にも同様にしてモノクローナル抗体を作製
することが可能である。
【0039】前記モノクローナル抗体のBMAP−1を
産生するハイブリドーマは、Wistar Imami
ch系ラット脾細胞とマウス・ミエローマ細胞株Sp2
/0−Ag14を親細胞として作製された新規な融合細
胞であり、公的微生物寄託機関である工業技術院生命工
学工業技術研究所に、BMAP−1(ラット マウスハ
イブリドーマ),受託番号FERM BP−4382と
して国際寄託されている。
【0040】5)抗体の性質 抗体の反応性 (CF−1細胞に対する反応性)上記のようにして得ら
れたモノクローナル抗体GSPST−1、BMAP−1
のCF−1細胞に対する反応性について免疫蛍光分析
(Immunofluorescence analy
sis)により検討した結果を図1〜図3に示す。ここ
で、図1は、抗体非存在下のコントロール、図2は、G
SPST−1とCF−1細胞との結合性、図3は、BM
AP−1とCF−1細胞との結合性、の解析結果を示
す。尚、図中、縦軸は相対細胞数を、横軸は蛍光強度
を、示す。図1〜図3から明らかなとおり、モノクロー
ナル抗体GSPST−1、BMAP−1はCF−1細胞
に対して結合性を有しており、CF−1細胞の表面抗原
を認識するものであることが分った。
【0041】(骨髄細胞に対する反応性)次に、GSP
ST−1、BMAP−1の正常の骨髄細胞に対する反応
性をフローサイトメトリー(Flow Cytomet
ry)(FACScan,ベクトン・デッキンソン社
製)により検討した結果を図4〜図6に示す。ここで、
図4は、抗体非存在下のコントロール、図5は、GSP
ST−1と骨髄細胞との結合性、図6は、BMAP−1
と骨髄細胞との結合性、の解析結果を示す。尚、図中、
縦軸は相対細胞数を、横軸は蛍光強度を、示す。図4〜
図6に示すように、GSPST−1は、骨髄細胞とは全
く結合せず、BMAP−1は、すべての骨髄細胞と結合
することが明らかとなった。
【0042】(骨髄性白血病細胞株(NFS−60)に
対する反応性)GSPST−1およびBMAP−1のN
FS−60細胞〔Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA,82,6687−6691(1985)〕
に対する反応性をフローサイトメトリー(Flow C
ytometry)(FACScan,ベクトン・デッ
キンソン社製)により検討した結果を図7〜図10に示
す。ここで、図7は、抗体非存在下のコントロール、図
8は、GSPST−1とNFS−60細胞との結合性、
図9は、市販のラットIgG1(Zymed社製)を用
いたコントロール、図10は、BMAP−1とNFS−
60細胞との結合性の解析結果を示す。尚、図中、縦軸
は相対細胞数を、横軸は蛍光強度を、示す。図7〜図1
0に示すように、GSPST−1は、NFS−60細胞
とは反応せず、BMAP−1は、NFS−60細胞と結
合することが明らかとなった。
【0043】(BMAP−1のNFS−60細胞に対す
る細胞増殖抑制試験)BMAP−1のNFS−60細胞
に対する作用を、G−CSF100ng/mlおよびサ
イクロヘキシミド10-9M存在下にて、MTTアッセイ
法により検討した結果を図11に示す。96穴の培養プ
レートを用い、NFS−60細胞を4×103 /wel
l/100μlに対し、BMAP−1は0,1,10,
100ng/ml,1,10μg/ml濃度のものをそ
れぞれ10μl/well添加し、その2日後に、MT
T法により生細胞数を測定した。その結果、図11に示
すように、NFS−60細胞はBMAP−1により著し
く増殖が抑制されていることが明らかとなった。
【0044】抗体のタイピング 次に、得られたモノクローナル抗体のIgGのサブクラ
スをタイピングしたところ〔ラットMono Ab−I
D・Spキット(Zymed社製)、およびビオチン標
識マウス抗ラットIgG1抗体(Zymed社製)を使
用〕、GSPST−1はIgG2a、BMAP−1はI
gG1であることが明らかとなった。
【0045】骨髄移植阻害作用 次に、これらの抗体を用いて骨髄移植阻害実試験を行
い、その特性について検討した。その結果を図12〜図
13に示す。図12〜図13に示されるように、BMA
P−1は、骨髄移植阻害効果を有するが、GSPST−
1には、その効果は認められなかった。すなわち、致死
量の放射線照射(900cGy)をしたC57BL/6
Jマウスに、1.0×105 /headの骨髄細胞およ
びモノクローナル抗体を、尾静脈より投与し、脾臓コロ
ニーの形成を観察したところ、上記の結果を得た。尚、
図13のNon−treatedは、これらを投与しな
かった場合を示す。
【0046】図13に示されるように、BMAP−1
が、骨髄移植阻害試験において、移植を完全に抑制する
のは、このモノクローナル抗体が、骨髄細胞に反応しア
ポトーシスを引き起こすことに因るものであることが確
認された。すなわち、BMAP−1産生のハイブリドー
マをヌードマウスに腹腔内投与すると腹水がわずかに貯
留する時期にマウスは死亡した。また、正常のC57B
L/6Jマウスに、50μg/headのBMAP−1
を静脈内投与することにより骨髄細胞がすべて死滅する
ことが判明し、図14にBMAP−1静脈内投与6日後
の骨髄細胞が死滅したことを裏付ける顕微鏡写真を示し
た。この顕微鏡写真から明らかなように、リンパ球ばか
りでなく、好中球、巨核球、骨髄芽球、骨髄球、肥満細
胞、マクロファージ、単球、赤芽球等(いわゆる骨髄球
様細胞)が死滅していることが確認された。また、30
μg/headのBMAP−1を投与したマウスの骨髄
細胞のDNAを検討したところ、図15に示すように、
明らかにラダー・フォーメーションが認められ、BMA
P−1の骨髄細胞に対する前記反応は、アポトーシスに
因るものであることが確認された。
【0047】なお、BMAP−1抗体について、そのI
gGのFc領域をペプシン(Sigma社製)により切
断し、F(ab′)2 としてGPCカラムにより精製し
た後、C57BL/6Jマウスにその33.5μg/h
ead(完全なIgGの50μg/headに相当する
量)を静脈内投与した結果、骨髄において、骨髄細胞が
死滅することが認められた。このことにより、BMAP
−1による骨髄細胞の死滅には、抗体依存性細胞障害お
よび補体依存性細胞障害は関与していないことが明らか
となった。
【0048】ところで、アポトーシスを引き起こす抗原
としては、細胞表面蛋白質のFas抗原が既に報告され
ているが、このFas抗原は、胸腺、心臓、肝臓、肺、
卵巣などでmRNAの発現が認められているが、骨髄で
はそのmRNAがほとんど検出されないことから〔J.
Immunol.,148,1274−1279(19
92)〕、BMAP−1が認識する抗原は、従来知られ
ているFas抗原とは異なるものであることは明らかで
ある。
【0049】更に、BMAP−1が認識する抗原が、T
NFレセプターか否かを明らかにするため、TNFに反
応し細胞死を起こすL−929細胞を用い、BMAP−
1の作用を検討した。マウスTNFα(Genzyme
社製)の最終濃度は、0,1,10,100pg/m
l,1,10,100ng/ml,1μg/mlとし、
BMAP−1の最終濃度は、0,10,100pg/m
l,1,10,100ng/ml,1,10μg/ml
とし、TNFαおよびBMAP−1添加後2日目に、L
−929細胞の生細胞数をMTT法により測定した。そ
の結果、図16、17に示すように、TNFαによりL
−929細胞は著明に減少するのに対し、BMAP−1
はL−929細胞に対し作用を及ぼさなかった。従っ
て、BMAP−1が認識する抗原はTNFレセプターで
ないことが明らかとなった。
【0050】BMAP−1が認識する抗原が、MHCc
lassI抗原であるか否かをフローサイトメトリー
(Flow Cytometry)(FACScan,
ベクトン・デッキンソン社製)により検討した結果を図
18〜図21に示す。ここで、図18は、市販のラット
IgG2a(Zymed社製)を用いたコントロール、
図19は、抗マウスMHCclassI抗体(ラットI
gG2a,BMA社製)とBWV1細胞(BW5147
細胞由来のマウスリンパ腫)との結合性、図20は、市
販のラットIgG1(Zymed社製)を用いたコント
ロール、図21は、BMAP−1とBWV1細胞との結
合性の解析結果を示す。尚、図中、縦軸は相対細胞数
を、横軸は蛍光強度を、示す。その結果、BMAP−1
はBWV1細胞を認識しないが、MHCclassI抗
体は、BWV1細胞と反応した。
【0051】以上のように、BMAP−1は、骨髄球様
細胞にアポトーシスを引き起こす作用を有するものであ
ることが実験的に確認されたが、本発明者の知るところ
によれば、前述の如く、従来、骨髄球様細胞にアポトー
シスを誘起するモノクローナル抗体について報告された
例はなく、かかる作用を有するモノクローナル抗体は、
本発明者が見い出したものである。
【0052】前記BMAP−1が認識する抗原について
は、直接発現クローニング(Direct Expre
ssion Cloning)によりマウスIAPであ
ることが明らかとなった。次に、BMAP−1の作用を
マウスIAPを遺伝子導入した組み換え体細胞を用いて
検討した。すなわち、マウスIAP(Integrin
Associated Protein)を発現して
無いJurkat細胞(Jurkat Cell)に常
法によりIAP遺伝子を導入し、マウスIAPを発現し
ている細胞(Recombinant Jurkat
Cell)を用い、BMAP−1の当該IAP発現細胞
に対する作用をMTS法およびフローサイトメトリーに
よるDNA断片化の検索により検討した。その結果を図
22〜26に示す。
【0053】MTS法は生細胞数を測定するアッセイ法
(プロメガ社)であり、この方法によりBMAP−1の
組み換え体Jurkat細胞への作用を検討した。すな
わち、96穴の培養プレートを用い、G418(1mg
/ml最終濃度)(ギブコBRL社製)の存在下で、組
み換え体Jurkat細胞を1×104 /well/1
00μlに対し、BMAP−1を最終濃度で1、10、
100ng/mlおよび1、10μg/ml、対照とし
てIgG1を10μg/ml添加し、2日間培養後に、
MTS法により生細胞数を測定した。その結果、図22
に示すように、組み換え体Jurkat細胞はBMAP
−1により著しく増殖が抑制されていることが明らかと
なった。BMAP−1による組み換え体Jurkat細
胞のDNA断片化の解析は、フローサイトメトリー(E
PICS(登録商標) XL−MCL、コールター社
製)を用いて行った。すなわち、6穴の培養プレートを
用いG418(1mg/ml最終濃度)(ギブコBRL
社製)の存在下で、組み換え体Jurkat細胞を1.
5×105 /well/3mlに対し、IgG1および
BMAP−1を最終濃度1μg/ml添加し2日間培養
後、測定に供した。細胞を培養プレートより回収し20
0×gで細胞ペレットを2mlの冷70%エタノール中
に4℃で60分間固定した。次いで、細胞を遠心し、1
mlのPBS中に再懸濁した。0.5mlの細胞サンプ
ルに対して0.5mlのRNAse(Type I−
A、Sigma、St.Louis、MO、USA、1
mg/ml in PBS)を加え、次いで、1mlの
ヨウ化プロビジウム(PI、Sigma、100μg/
ml in PBS)溶液に混合した。混合した細胞は
暗所で室温にて15分間インキュベーションした後、4
℃の暗所に保持し、フローサイトメトリーによる測定に
供した。
【0054】その結果、図26に示すように、マウスI
AP遺伝子を導入した細胞はBMAP−1によりアポト
ーシスが誘起されていることが明らかとなった。一方、
発現Vectorのみを導入しマウスIAPを発現して
無いJurkat細胞に対しては、BMAP−1の上記
の作用は見られなかった(図24)。これらのことか
ら、BMAP−1抗体が認識する抗原は、IAPと同一
であること、また、IAPがアポトーシスに関する機能
を有することが明らかとなった。
【0055】現時点での情報では、IAPの機能として
は、インテグリンのαv β3 のβ鎖に結合しαv β3
そのリガンド(Ligand)であるビトロネクチン
(Vitronectin)との結合を支持する作用
(J.Cell.Biol.,123,485−496
(1993))、好中球と血管内皮との接着に際し血管
内皮にCa2+の流入を誘導する作用(J.Biol.C
hem.,268,19931−19934(199
3))、あるいは好中球が血管内皮を通過することを支
持する作用が報告されているが(Proc.Natl.
Acad.Sci.USA,92,3978−3982
(1995))、アポトーシスに関する機能は報告され
ていない。
【0056】BMAP−1は、上記のように、骨髄球様
細胞と結合し、骨髄球細胞にアポトーシスを誘起するモ
ノクローナル抗体の一種であることから、当該BMAP
−1抗体が特異的に認識する抗原としてのIAPを発現
している細胞を利用すれば、骨髄球様細胞等にアポトー
シスを引き起こす物質を識別、同定し、スクリーニング
することが可能となる。
【0057】以上のように、本発明は、BMAP−1抗
体が認識する抗原は、IAPと同一であること、また、
IAPがアポトーシスに関する機能を有すること、を明
らかとしたものであり、かかる知見に基づいて、IAP
遺伝子を導入した細胞あるいはIAPを発現している細
胞を用いることにより、骨髄球様細胞等にアポトーシス
を誘起する物質を簡便かつ高効率にスクリーニングする
方法を確立したものである。
【0058】そして、本発明のスクリーニング方法によ
って取得されたモノクローナル抗体、その断片、IAP
に結合能を有するアポトーシスを誘起する物質等の物質
の骨髄球様細胞等に対するアポトーシス作用を利用する
ことにより、当該モノクローナル抗体等の物質は、例え
ば、その抗原の発現が高いと考えられる骨髄性白血病細
胞を死滅させることが可能であると考えられることか
ら、前記骨髄球様細胞にアポトーシスを誘起するモノク
ローナル抗体、その断片等の物質は、抗ガン剤、骨髄性
白血病治療薬剤等の医薬組成物の有効成分として有用な
ものである。
【0059】以上、本発明のスクリーニング方法につい
て実施例を示して具体的に説明したが、本発明で云うと
ころのアポトーシスを誘起する物質は、前記具体例とし
て例示したものが代表的なものとしてあげられるもの
の、必ずしもこれに限定されるものではなく、同様にス
クリーニングされた同様の特性および機能を有するすべ
ての物質を包含するものであることは云うまでもない。
【0060】
【発明の効果】本発明は、IAPを発現している細胞を
用いることにより、骨髄球様細胞にアポトーシスを引き
起こす抗体等の物質を、その特異的結合反応を利用し
て、それらを識別、同定し、簡便かつ高効率でスクリー
ニングすることを可能とする。本発明のスクリーニング
方法により取得された骨髄球様細胞等にアポトーシスを
引き起こす作用を有する物質は、その特性を利用して、
抗ガン剤、骨髄性白血病の治療等の分野において有用な
骨髄性白血病治療薬剤等の医薬組成物の有効成分として
使用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】イムノフルオレッセンスによる解析(抗体非存
在下の対照,CF−1細胞)。
【図2】イムノフルオレッセンスによるGSPST−1
抗体とCF−1細胞との結合性の解析。
【図3】イムノフルオレッセンスによるBMAP−1抗
体とCF−1細胞との結合性の解析。
【図4】イムノフルオレッセンスによる解析(抗体非存
在下の対照,骨髄細胞)。
【図5】イムノフルオレッセンスによるGSPST−1
抗体と骨髄細胞との結合性の解析。
【図6】イムノフルオレッセンスによるBMAP−1抗
体と骨髄細胞との結合性の解析。
【図7】イムノフルオレッセンスによる解析(抗体非存
在下の対照,NFS−60)。
【図8】イムノフルオレッセンスによるGSPST−1
とNFS−60細胞との結合性。
【図9】イムノフルオレッセンスによる解析(ラットI
gG1による対照,NFS−60)。
【図10】イムノフルオレッセンスによるBMAP−1
とNFS−60細胞との結合性。
【図11】モノクローナル抗体の細胞増殖抑制試験(B
MAP−1)。
【図12】モノクローナル抗体の骨髄移植阻害試験(G
SPST−1)。
【図13】モノクローナル抗体の骨髄移植阻害試験(B
MAP−1)。
【図14】本発明のモノクローナル抗体のBMAP−1
投与6日後の死滅した骨髄細胞(2)、抗体非存在下の
対照(1)、を示す説明図である〔骨髄標本(生物の形
態)の顕微鏡写真(H.E.染色)(×400)〕。
【図15】本発明のモノクローナル抗体のBMAP−1
を投与した場合にみられる骨髄細胞のDNAのラダー・
フォーメーションを示す説明図である(電気泳動クロマ
トグラフィーの泳動写真)。
【図16】TNFによる細胞障害試験。
【図17】モノクローナル抗体の細胞障害試験(BMA
P−1)。
【図18】イムノフルオレッセンスによる解析(ラット
IgG2aによる対照,BWV1)。
【図19】イムノフルオレッセンスによる抗マウスMH
CclassI抗体とBWV1細胞との結合性。
【図20】イムノフルオレッセンスによる解析(ラット
IgG1による対照,BWV1)。
【図21】イムノフルオレッセンスによるBMAP−1
とBWV1細胞との結合性。
【図22】BMAP−1の細胞(マウスIAP遺伝子を
導入したジャーカット細胞)に対する増殖抑制作用。
【図23】Apoptosisの解析───発現Vec
torのみを導入したJurkat cellsに対す
る作用(IgG1 1μg/ml,A:Apoptos
is ratio,6.2%)。
【図24】Apoptosisの解析───発現Vec
torのみを導入したJurkat cellsに対す
るBMAP−1の作用(BMAP−1 1μg/ml,
A:Apoptosis ratio,3.5%)。
【図25】Apoptosisの解析───マウスIA
P遺伝子を導入したJurkatcellsに対する作
用(IgG1 1μg/ml,A:Apoptosis
ratio,3.2%)。
【図26】Apoptosisの解析───マウスIA
P遺伝子を導入したJurkatcellsに対するB
MAP−1の作用(BMAP−1 1μg/ml,A:
Apoptosis ratio,25.6%)。
【符号の説明】
a BMAP−1投与したマウス胸腺のDNA(24時
間) b BMAP−1投与したマウス骨髄のDNA(24時
間) c BMAP−1投与したマウス骨髄のDNA(8時
間) d BMAP−1投与したマウス骨髄のDNA(4時
間) e 無処理マウスの骨髄のDNA(骨髄細胞) f 分子量マーカー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 C12N 5/00 B G01N 33/15 9282−4B 15/00 C //(C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 IAP(Integrin Assoc
    iated Protein)を発現している細胞を用
    いてアポトーシス(apoptosis)を誘起する性
    質を有する物質を探索することを特徴とするアポトーシ
    スを誘起する物質のスクリーニング方法。
  2. 【請求項2】 細胞が、骨髄球様細胞である請求項1記
    載のスクリーニング方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のスクリー
    ニング方法で得られるアポトーシスを誘起する物質。
  4. 【請求項4】 アポトーシスを誘起する物質が抗体であ
    るところの請求項3記載の物質。
  5. 【請求項5】 請求項3および/または請求項4記載の
    物質を有効成分としてなる医薬組成物。
  6. 【請求項6】 医薬組成物が抗ガン剤であるところの請
    求項5記載の医薬組成物。
  7. 【請求項7】 医薬組成物が骨髄性白血病治療薬剤であ
    るところの請求項5記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 IAPに結合能を有するアポトーシスを
    誘起する物質。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の物質を有効成分としてな
    る医薬組成物。
  10. 【請求項10】 医薬組成物が抗ガン剤であるところの
    請求項9記載の医薬組成物。
  11. 【請求項11】 医薬組成物が骨髄性白血病治療薬剤で
    あるところの請求項10記載の医薬組成物。
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