JPH09295937A - シグマレセプター結合阻害剤 - Google Patents

シグマレセプター結合阻害剤

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JPH09295937A
JPH09295937A JP13107396A JP13107396A JPH09295937A JP H09295937 A JPH09295937 A JP H09295937A JP 13107396 A JP13107396 A JP 13107396A JP 13107396 A JP13107396 A JP 13107396A JP H09295937 A JPH09295937 A JP H09295937A
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JP
Japan
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butyl
trans
heptylpyrrolidine
compound
formula
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Application number
JP13107396A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Nakayama
宏 中山
Kazue Shono
和重 正野
Kazuo Kumagai
和夫 熊谷
Yukihiro Ono
行弘 大野
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精神分裂病および脳血管障害や老年期痴呆に
伴う精神疾患に対する治療剤として有用なシグマレセプ
ター結合阻害剤の提供。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 (式中、nは1または2を表す。R1 およびR2 は、各
々独立して、アルキル基を表す。)で表されるジアルキ
ルピロリジンまたはジアルキルピペリジンを有効成分と
して含有する医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、シグマレセプター
結合阻害活性を有する新規な医薬に関する。詳しくは、
シグマレセプターに特異的に高い親和性を示し、精神分
裂病および脳血管障害や老年期痴呆に伴う精神疾患に対
する治療剤として有用な医薬に関する。
【0002】
【従来技術】抗精神病薬は精神分裂病治療だけでなく、
脳血管障害・老年期痴呆における問題行動(攻撃的行
動、精神興奮、徘徊、せん妄など)の治療にも用いられ
ている。しかしながら、従来の抗精神病薬よりもさらに
錐体外路障害の弱い、より選択性のあるものが望まれて
いる。この問題を解決するため、近年の抗精神病薬の開
発は従来の薬物の作用機序とは全く異なった側面からの
アプローチがなされている。その一つがシグマレセプタ
ー結合阻害剤である。シグマレセプターは、幻覚症状な
ど精神異常に関与するレセプターと考えられ、このレセ
プターに特異的に親和性を有する化合物は錐体外路障害
が少ない抗精神病作用を示す(S.I.Deutsc
h,A.Weizman and M.E.Goldm
an;Clin.Neuropharmacol.(1
988),11,105−119)。
【0003】この種の化合物として、たとえばリムカゾ
ール(Remcazole)が知られているが、シグマ
レセプターに対する親和性及び特異性は未だ十分ではな
い。このような状況において、高選択性を示すシグマレ
セプター結合阻害剤の開発が求められている。
【0004】トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロ
リジンについては、これまでに蟻毒成分として単離され
た報告例がある(M.Blum,T.Jones,B.
Holldobler,H.Fales and T.
Jaouni;Naturwiss.(1980),6
7,144.) 。しかし、この物質の医薬としての応
用および中枢作用については未だ報告はない。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は高親和性およ
び高選択性を示すシグマレセプター結合阻害剤を提供す
ることにある。例えば、強い抗精神病作用を有し、錐体
外路障害の少ないシグマレセプター結合阻害剤を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの背
景のもと、特異的かつ高親和性を有するシグマレセプタ
ー結合阻害剤を探索した結果、一般式(1)
【化2】 (式中、nは1または2を表す。R1 およびR2 は、各
々独立して、アルキル基を表す。)で表されるジアルキ
ルピロリジンまたはジアルキルピペリジンを有効成分と
して含む医薬が特異的かつ高親和性を有するシグマレセ
プター結合阻害剤であることを見いだし本発明を完成す
るに至った。
【0007】本発明の有効成分の結合阻害剤はアンタゴ
ニスト、アゴニストを含有するものである。アルキル基
としては直鎖状または分枝状の炭素原子数3〜10のア
ルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基としては例
えば、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル等が挙げられる。分枝状のアルキル基とし
ては例えば、1−メチル−エチル基、2−メチル−プロ
ピル基、1−メチル−プロピル基、1−ジメチル−エチ
ル基、3−メチル−ブチル基、2−メチル−ブチル基、
1−メチル−ブチル基、2−エチル−プロピル基、1−
エチル−プロピル基、1−ジメチル−プロピル基等の炭
素数1〜3個のアルキル基で置換された炭素数2〜7の
アルキル基が挙げられる。
【0008】前記一般式(1)で表される化合物は文献
記載の方法で、または文献記載の方法に準じて合成する
ことができる。例えば一般式(2)
【化3】 (式中、R1 およびR2 は前記と同じ意味を表す。)で
表されるトランスおよびシス−2,5−ジアルキルピロ
リジンを合成する場合は、 S.Arseniyadis, P.Q.Huang,
D.Piveteau and H.-P.Husson; Tetrahedron(1988) 4
4. 2457.記載の方法に基づいて、下記スキーム1の手順
で合成することができる。
【0009】
【化4】 (式中、R1 およびR2 は前記と同じ意味を表す) まずR−フェニルグリシノール(3)をホルムアルデヒ
ド、亜硫酸水素ナトリウムおよびシアン化カリウムと反
応させることにより、アミノニトリル化合物(4)が得
られる。これをさらに3−ブロモプロピオンアルデヒド
と反応させることにより、ジアステレオマー環状化合物
(5)が生成する。化合物(5)とリチウムジイソプロ
ピルアルミニウム(LDA)およびN,N,N’,N’
−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の存在
下、アルキルブロミド(R1 Br)を反応させると、ジ
アステレオマー生成比1:1で化合物(6)が得られ
る。この化合物(6)は、さらに液体アンモニア中、金
属リチウムによる還元反応でシアノ基の脱離を選択的に
進行させた後、通常のシリカゲル等によるカラムクロマ
トグラフィー精製を行うことによって化合物(7)が得
られる。化合物(7)にグリニャール試薬(R2 MgB
r)を反応させると、2種類のジアステレオマーの化合
物(8)および化合物(9)の混合物が得られる。これ
らからそれぞれ酢酸中、10%Pd/C存在下での接触
還元によってそれぞれ目的の化合物、2,5−ジアルキ
ルピロリジンの光学活性なトランス体(10)およびシ
ス体(11)を得ることができる。
【0010】例えば、スキーム1においてR1 がブチル
基、R2 がヘプチル基である原料を用いることにより、
光学活性なトランスおよびシス−2−ブチル−5−ヘプ
チルピロリジンを得ることができる。
【0011】また別法として、一般式
【化5】 (式中、R10及びR20は、各々独立して、アルキル基を
表す。)で表すことができる(±)−トランスおよびシ
ス−2,5−ジアルキルピロリジンは、J. J. Tufariel
lo and J. M. Puglis ; Tetrahedron Lett. (1986) 27.
1489.記載の方法に基づいて下記スキーム2の手順で実
施することができる。
【0012】
【化6】 (式中、R10及びR20は前記と同じ意味を示す。) まず、ピロリジン(13)を過酸化水素、タングステン
酸ナトリウムと反応させることにより1−ピロリン−N
−オキシドを合成し、そこにさらに種々のアルキル基を
有する1−アルケンを付加させると化合物(14)が得
られる。この生成物中の窒素−酸素結合を、メタクロロ
過安息香酸等(m−CPBA)で酸化的に切断すること
により、ピロリン−N−オキシド誘導体(15)に変換
できる。ここでまた同様にして種々のアルキル鎖を有す
る1−アルケンと反応させ、得られる生成物をリチウム
水素化アルミニウム(LAH)で還元的に切断すると2
位、5位にヒドロキシルアルキル基が付加した化合物
(16)が得られる。そしてさらにヒドロキシル基及び
アミンをメタンスルフォニルクロリド(MsCl)でメ
タンスルフォニル化した後、LiAlEt3 H還元によ
るスルフォキシル基の脱離反応、及び[(CH3 OCH
2 CH2 O)2 AlH2 ]Na還元によるスルフォニル
アミドの切断反応を行うことによって、目的の化合物
(12)を得ることができる。
【0013】また一般式(17)
【化7】 (式中、R11およびR21は、各々独立して、アルキル基
を表す。)で表すことができる2,6−ジアルキルピペ
リジン誘導体は T. H. Jones ; J.Nat. Product, (199
0), 53, 429.記載の方法に基づいて得ることができる。
【0014】
【化8】 (式中、R11およびR21は前記と同じ意味を表す。) すなわち2,6−ルチジン(18)に対して1当量のブ
チルリチウム存在下、アルキルブロミドを反応させる
と、2−アルキル−6−メチルピリジン誘導体(19)
が得られる。これにさらに1当量のブチルリチウム存在
下、アルキルブロミドを加えて反応させると2,6−ジ
アルキルピリジン誘導体(20)が得られる。この化合
物(20)にNaBH3 CN等を用いる還元反応を行う
ことにより、目的のジアルキルピペリジン誘導体(1
7)を合成できる。
【0015】光学活性体は一般的手法に従って得ること
ができる。例えば、(±)−2,5−ジアルキルピロリ
ジンまたは(±)−2,6−ジアルキルピペリジンをベ
ンゼンスルフォニルクロリドを用いて一般式(21)
【化9】 (式中、R1 、R2 およびnは前記と同じ意味を表
す。)で表されるスルフォニルアミド誘導体に変換した
のち、光学活性カラムを用いるHPLC等で光学異性体
を分離し、次いでスルホニルアミド基を還元することに
より光学活性の化合物を得ることができる。
【0016】本発明のシグマレセプター結合阻害剤の有
効成分の一例である(2R)−トランス−2−ブチル−
5−ヘプチルピロリジンは、ストレプトミセス属に属し
(2R)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジン生産能を有する微生物を培養することにより得るこ
とができる。ストレプトミセス属に属し(2R)−トラ
ンス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン生産能を有
する微生物としては、例えば本発明者らが米国カンザス
州土壌より分離した放線菌#525(生命研菌寄第15
557号)が挙げられる。またこの化合物についてドー
パミンD2 レセプターに対する結合阻害活性測定も行っ
たが、結合阻害活性は全く見られず、本化合物がシグマ
レセプターに対して高い選択性を持っていることが見い
だされた。
【0017】#525は次のような菌学的性質を有す
る。 (a)形態的性質 ISP培地No.2〜5にて26℃、3週間培養したと
きの#525株の形態的性質は、次のようなものであ
る。基生菌糸はよく伸長し単純分岐をなし、気菌糸を形
成する。気菌糸上に胞子の長い連鎖(20個以上)を作
り、その形態はゆるい螺旋状である。胞子の表面は平滑
で、大きさは直径0.4〜0.5mm、長さ0.9〜
1.2mm位の短桿状である。気菌糸および基生菌糸の
分断、および胞子のう、鞭毛胞子、菌核等の特殊な構造
は認められない。
【0018】(b)培養的性質 ISP培地No.2〜5にて26℃、3週間培養した#
525株の培養的性質を表1に示す。
【0019】
【表1】 表1 各種培地上の生育状態 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 寒天培地 生育 気菌糸の形成と色調 可溶性色素 基生菌糸の色調 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− イースト・麦芽 良好 形成僅少、ピンク なし (ISP培地No.2) 赤色がかったオレンジ オートミール 良好 形成良好、ピンクがかった白色 なし (ISP培地No.3) 黄色がかった赤色 スターチ・無機塩 良好 形成良好、淡いピンク なし (ISP培地No.4) ピンク グリセリン・ 良好 形成僅少、ピンク なし アスパラギン 赤色がかったオレンジ (ISP培地No.5) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0020】(c)生理学的性質 1.生育温度範囲(ISP培地No.2)
【表2】
【0021】 2.メラニン様色素の生成 ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP培地 No.6) 陽性 チロシン寒天培地(ISP培地 No.7) 陰性
【0022】3.炭素源の利用性
【表3】
【0023】4.化学分類学的性質 菌体にLL−ジアミノピメリン酸が存在する。
【0024】以上の菌学的性質より、#525株と類似
の放線菌種を検索すると、E. B. Shirlingと D. Gottli
ebにより1972年にISP株として記載されたストレ
プトミセス・ロンギスポロルーバー(Streptomyces lon
gispororuber [International Journal of Systematic
Bacteriology, 22, 316, (1972)])と性質がよく一致す
る。以上より、#525株を Streptomyces longisporo
ruber と同定した。
【0025】上記放線菌の培養に使用される培地は液状
でも固体でもよいが、通常は液体培地による振盪培養ま
たは通気攪拌培養が有利である。使用する培地は、特に
限定されるものではないが、炭素源として、生産菌が利
用できる糖類としては、例えばグルコース、ラクトー
ス、グリセリン、デンプン、デキストリン、糖蜜等が挙
げられる。窒素源としては、例えばポリペプトン、カザ
ミノ酸等の蛋白質加水分解物、肉エキス、酵母エキス、
大豆粕、コーンスティープリカー、アミノ酸類等の有機
窒素源やアンモニウム塩や硝酸塩等の無機窒素源が挙げ
られる。その他、浸透圧調整、pH調整、微量成分の補
給等のために、各種リン酸塩、硫酸マグネシウム、塩化
ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩類を培地に添加
することも可能である。さらに菌の生育を促進する目的
で、各種ビタミン類、核酸関連化合物等を培地に添加し
てもよい。なお、培養期間中に、シリコン、ポリプロピ
レングリコール誘導体、大豆油等の消泡剤を培地に添加
することも可能である。
【0026】培養温度としては、好ましくは20〜37
℃の範囲、更に好ましくは25〜30℃の範囲の温度が
挙げられる。培養期間としては例えば、4〜6日間の範
囲が挙げられる。培地のpHとして例えば、中性付近の
範囲が挙げられる。
【0027】培養液から本発明のシグマレセプター結合
阻害剤の有効成分の一例であるトランス−2−ブチル−
5−ヘプチルピロリジンを単離するには、微生物の生産
する代謝物の培養液から、通常使用される単離手段が使
用できる。培養液上清中からの単離法としては、培養濾
液からの通常の単離法、例えば溶媒抽出法、イオン交換
樹脂法または吸着もしくは分配クロマトグラフィーおよ
びゲル濾過クロマトグラフィー等が挙げられる。これら
の単離法は単独または組み合わせて行うことができる。
また高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層ク
ロマトグラフィーなどにより単離精製もできる。培養菌
体からの目的物を単離する場合は、濾過もしくは遠心分
離等の手段で集めた菌体を、アセトン等の細胞壁を破壊
する作用を有する溶媒を用いて直接、菌体から抽出でき
る。抽出物は培養液上清からの単離精製法と同様の方法
で、目的物を得ることができる。
【0028】本発明医薬は、経口的または非経口的に投
与することができる。すなわち通常用いられる投与形
態、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ
剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あ
るいは、例えば、その溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にし
たものを注射の型で非経口投与することができる。坐剤
の型で直腸投与することもできる。前記の適当な投与剤
型は、例えば、許容される通常の担体、賦型剤、結合
剤、安定剤、希釈剤等に有効成分を配合することにより
製造することができる。注射剤型で用いる場合には、例
えば、薬学的に許容される緩衝剤、溶解補助剤、等張剤
等を添加することもできる。
【0029】投与量および投与回数は、投与法と患者の
年齢、体重、病状等によって異なるが、経口投与の場合
は、通常、成人の一日当たり投与量は0.1〜1000
mg、好ましくは1〜500mgの範囲で選択すればよ
い。
【0030】
【実施例】実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】実施例1 (±)−トランスおよびシス−2−ブチル−5−ヘプチ
ルピロリジンの製造 (±) −トランスおよびシス−2−ブチル−5−ヘプチ
ルピロリジンは J. J.Tufariello and J. M. Puglis; T
etrahedron Lett. (1986) 27. 1489.記載の方法にした
がって合成した。それぞれの物性値は J. E. Backvall
and H. E. Schink; J. Org. Chem.(1990), 55, 826に
記載されている値と一致した。
【0032】実施例2 (2R)および(2S)−トランス−2−ブチル−5−
ヘプチルピロリジンの製造 ステップa (±)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジ
ンから(±)−トランス−1−ベンゼンスルフォニル−
2−ブチル−5−ヘプチルピロリジンの合成 実施例1で得られた(±)−トランス−2−ブチル−5
−ヘプチルピロリジン22mg(0.1mmol)をク
ロロホルム1mlに溶解し、この溶液に20%水酸化ナ
トリウム水溶液を加えて弱アルカリ性になるように調整
した。こうして調製された溶液に、クロロホルム0.5
mlにベンゼンスルフォニルクロリド30mg(0.1
5mmol)を溶解し、それを氷冷下、3分間かけて滴
下した。滴下終了後、そのまま30分間攪拌し、さらに
室温にし、30分間攪拌した。反応液に1N塩酸10m
lを加えることにより反応を停止させ、ジエチルエーテ
ルで抽出した。有機層を減圧下、溶媒留去し、得られた
粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ5
×20cm)に付し、ヘキサン:ジエチルエーテル=2
0:1混液で溶出させ、(±)−トランス−1−ベンゼ
ンスルフォニル−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン
20mgを得た。
【0033】ステップb (±)−トランス−1−ベンゼンスルフォニル−2−ブ
チル−5−ヘプチルピロリジンの光学分割 ステップaで得られた(±)−トランス−1−ベンゼン
スルフォニル−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジンを
CHIRALCEL OD(商品名:ダイセル;φ4.
6mm×25cm)を用いるHPLCに付し、254n
mの紫外吸収でモニターしながら1%(容積比)2−プ
ロパノール−ヘキサンで流速1.0ml/minで展開
した。この条件でS体、R体はそれぞれ保持時間7.9
分、9.9分の箇所にシングルピークとして溶出され
た。同様の条件でHPLCの分取を繰り返し、ラセミ体
10mgから3.8mgの(2R)−トランス−1−ベ
ンゼンスルフォニル−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジン{[α]D 25 =−59.9(c=0.3,ジクロロ
メタン)}、4.2mgの(2S)−トランス−1−ベ
ンゼンスルフォニル−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジン{[α]D 25 =+70.2(c=0.3,ジクロロ
メタン)}を得た。
【0034】ステップc (2R)および(2S)−トランス−1−ベンゼンスル
フォニル−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジンから
(2R)および(2S)−トランス−2−ブチル−5−
ヘプチルピロリジンの合成 トルエン2ml中に、ステップbで得られた(2R)ま
たは(2S)−トランス−1−ベンゼンスルフォニル−
2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン4mg(0.01
mmol)と水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アル
ミニウムナトリウム(70%トルエン溶液)500mg
(1.7mmol)を加え、48時間加熱還流した。反
応液に水2mlを加えて反応を停止させ、さらに10%
水酸化ナトリウム5mlを加え、ジエチルエーテル(1
0ml×3)で抽出した。得られた有機層を減圧下、溶
媒留去し、無色液体の(2R)−トランス−2−ブチル
−5−ヘプチルピロリジン2.0mgおよび(2S)−
トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン2.5
mgをそれぞれ得た。得られた化合物のIR, 1H−N
MRスペクトルは実施例1のそれぞれのスペクトルと完
全に一致した。
【0035】実施例3 (2R)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジンの製造 ステップa ストレプトミセス・ロンギスポロルーバー#525(生
命研菌寄第15557号)の培養 グルコース0.4%、麦芽エキス1%、乾燥酵母エキス
0.4%を含み、pH7.2に調整した培地100ml
を500mlの坂口フラスコに分注してオートクレーブ
で滅菌した。これに斜面培養したストレプトミセス・ロ
ンギスポロル−バ−#525株を1白金耳接種し、27
℃で4日間振盪培養して前培養とした。グルコース3
%、大豆粉1.5%、乾燥酵母エキス0.3%、炭酸カ
ルシウム0.2%を含み、pH7.2に調整した培地3
リットルを5リットルのジャーファーメンターに仕込
み、加熱滅菌した後、上記の前培養液60mlを添加
し、27℃で回転数300rpm、通気量1.5リット
ル/分の条件で5日間通気攪拌培養した。
【0036】ステップb (2R)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジンの抽出 ステップaのようにして得られた培養液計36リットル
を回転数10,000rpmで15分間遠心分離して上
清液と菌体に分離し、上清液を酢酸エチル36リットル
で3回抽出した。計108リットルの酢酸エチル抽出液
を減圧下、濃縮し、粗抽出物11.1gを得た。
【0037】ステップc (2R)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリ
ジンの精製 ステップbで得られた抽出物11.1gをクロロホルム
30mlに溶解し、シリカゲル(ワコーゲル(登録商
標)C−200・和光純薬工業製)を用いるカラムクロ
マトグラフィー(φ5×20cm)に付し、1%トリエ
チルアミンを含む、ヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル=
20:1(容積比、以下同じ)混液、ヘキサン:酢酸エ
チル=10:1混液、ヘキサン:酢酸エチル=5:1混
液、ヘキサン:酢酸エチル=2.5:1混液、ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1混液、それぞれ2リットルずつ
でステップワイズに溶出を行った。活性物質は、ヘキサ
ン:酢酸エチル=10:1混液で溶出された。これを集
めて減圧下、溶媒を留去し、粗製物22.3mgを得
た。この粗製物をSephadex(登録商標)LH−
20(ファルマシア・バイオテック)を用いてゲル濾過
クロマトグラフィ−(φ1.6×50cm、Vt=10
0ml)し、メタノールで溶出させ、10mlずつ分画
した。活性物質は10本目の分画に溶出され、これを減
圧下、溶媒を留去することによって無色油状の(2R)
−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン5.
7mgを得た。この化合物の物性値は、実施例1の
(±)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジ
ンの値に完全に一致した。
【0038】実施例4 トランスおよびシス−2−ブチル−6−ヘキシルピペリ
ジンの合成 ステップa 2−ブチル−6−メチルピリジンの合成 室温下、ジエチルエーテル50ml中に2,6−ルチジ
ン2.56g(24mmol)、n−ブチルリチウム
(1.67Mヘキサン溶液)14.6ml(25mmo
l)を加え、10分間攪拌した後、1−ブロモプロパン
3.2g(26mmol)をジエチルエーテル50ml
にとかし、20分間かけて滴下し、さらに1時間攪拌し
た。反応液に飽和食塩水100mlを加え、反応を停止
させ、ジエチルエーテル(100ml×3)で抽出し
た。抽出液を減圧下、溶媒を留去して2−ブチル−6−
メチルピリジンを3.1g得た。
【0039】ステップb 2−ブチル−6−ヘキシルピリジンの合成 ジエチルエーテル溶液25mlにステップaで得られた
生成物1.5g(10mmol)を溶かし、室温でn−
ブチルリチウム(1.67Mヘキサン溶液)6.9ml
(11mmol)を加え、10分間攪拌し、ジエチルエ
ーテル溶液25mlに1−ブロモペンタン1.5g(1
0mmol)を溶かしたものを20分間かけて滴下し、
1時間攪袢した。飽和食塩水を加えて反応を停止させ、
ジエチルエーテルで抽出した。抽出液を減圧下、溶媒留
去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーに付し、ヘキサン:ジエチルエーテル=20:
1混液で溶出、精製し、2−ブチル−6−ヘキシルピリ
ジン1.8gを得た。
【0040】ステップc トランスおよびシス−2−ブチル−6−ヘキシルピペリ
ジンの合成 ステップbで得られた生成物500mg(0.44mm
ol)をエタノール150mlに溶かし、窒素気流下、
ナトリウム3gを加え、3時間加熱還流した。反応液を
十分に冷却した後、水100mlを加えて、減圧下、エ
タノールを留去し、残った水層をジエチルエーテルで抽
出した。抽出液を減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣
にメタノール50mlを加え、1N塩酸水溶液でpHを
6に調整し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム500mg
(8.0mmol)を加え、室温で10時間反応させ
た。1N塩酸水溶液100mlを加えて反応を停止さ
せ、メタノールを減圧下、留去し、残った水層に水酸化
ナトリウムを加えてアルカリ性にしてジエチルエーテル
で抽出した。抽出液を減圧下、溶媒を留去して得られた
残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、1
%アンモニア水を含むヘキサン:酢酸エチル=5:1混
液で溶出、精製し、2−ブチル−6−ヘキシルピペリジ
ンのトランス体100mgおよびシス体52mgを得
た。これらの化合物の物性値は次のとおりであった。
【0041】トランスおよびシス−2−ブチル−6−ヘ
キシルピペリジンの物性値 *トランス体 性状 無色液体1 H-NMR (δppm, CDCl3, 270 MHz): 2.45 (m, 2 H), 1.8
- 1.2 (m, 20 H), 0.95 - 0.80 (m, 6 H).13 C-NMR (δppm, CDCl3, 54 MHz): 57.0 (2C), 37.4, 3
7.3, 32.7 (2C), 25.8,25.6, 25.4, 24.9, 24.8, 22.8,
22.6, 14.1, 14.0. *シス体 性状 無色液体1 H-NMR (δppm, CDCl3, 270 MHz ): 2.45 (m, 2 H), 1.
8 - 1.2 (m, 20 H), 0.95 - 0.80 (m, 6 H).13 C-NMR (δppm, CDCl3, 54 MHz):50.1 (2C), 37.1, 3
7.0, 32.7 (2C), 25.7 (2C), 25.4, 22.6, 22.4, 14.1
(2C).
【0042】実施例5 シグマレセプターおよびドーパミンD2 レセプター結合
阻害活性の測定 本発明の化合物のシグマレセプター結合阻害活性の評果
は、E. Weber et.al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1
986), 83, 8784-8788記載のラジオバインディングアッ
セイ法に従って行った。即ち被検化合物、シグマレセプ
ターとしてモルモット脳ホモジネートシナプス膜画分、
放射能標識したリガンドとして1,3−ジトリルグアニ
ジン( 3H−DTG)(4nM)を緩衝液(Tris−
HCl,pH=7.4)中に加え、またディスプレーサ
ーとしてハロペリドール(10μM)を用いて25℃に
て90分間反応させた。反応液はその後グラスフィルタ
ー濾過しフィルターに残った放射能量を液体シンチレー
ションカウンターでシグマレセプター結合阻害率を測定
した。ドーパミンD2 レセプター結合阻害活性は、被検
化合物、ドーパミンD2 レセプターとしてラット脳線条
体から得られるシナプス膜画分を、放射能標識したリガ
ンドとしてスピペロン( 3H−Spiperone)
(0.5nM)を緩衝液(Tris−HCl,pH=
7.4)中に加え、ディスプレーサーとしてスピペロン
(10μM)を用い、上に示したシグマレセプター結合
阻害活性の測定法と同様に行った。これらの測定結果を
表4に示す。
【0043】
【表4】 表4 シグマおよびD2 レセプター阻害活性(IC50) ---------------------------------------------------------------------- 被検化合物 シグマ阻害 D2 阻害 (ng/ml) (ng/ml) ---------------------------------------------------------------------- (±)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン 0.8 >10000 (±)−シス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン 1.4 >10000 (R)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン 1.4 >10000 (S)−トランス−2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン 2.3 >10000 (±)−トランス−2−ブチル−6−ヘキシルピペリジン 0.86 >10000 (±)−トランス−2−ブチル−6−ヘキシルピペリジン 0.30 >10000 ----------------------------------------------------------------------
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 211/12 C07D 211/12 (C12P 17/10 C12R 1:465) (72)発明者 大野 行弘 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友製薬株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、nは1または2を表す。R1 およびR2 は、各
    々独立して、アルキル基を表す。)で表される化合物を
    有効成分として含有する医薬。
  2. 【請求項2】 R1 およびR2 が直鎖のアルキル基であ
    る請求項1記載の医薬。
  3. 【請求項3】 R1 がブチル基であり、R2 がヘキシル
    基またはヘプチル基である請求項2記載の医薬。
  4. 【請求項4】 有効成分が2−ブチル−5−ヘプチルピ
    ロリジンである請求項1記載の医薬。
  5. 【請求項5】 有効成分が2−ブチル−6−ヘキシルピ
    ペリジンである請求項1記載の医薬。
  6. 【請求項6】 シグマレセプター結合阻害剤である請求
    項1、2、3、4または5記載の医薬。
  7. 【請求項7】 精神分裂病の治療剤または脳血管障害も
    しくは老年期痴呆に伴う精神疾患の治療剤である請求項
    6記載の医薬。
  8. 【請求項8】 トランスまたはシス−2−ブチル−6−
    ヘキシルピペリジン。
  9. 【請求項9】 ストレプトミセス属に属するトランス−
    2−ブチル−5−ヘプチルピロリジン生産菌を培養し
    て、その培養液からトランス−2−ブチル−5−ヘプチ
    ルピロリジンを採取することを特徴とするトランス−2
    −ブチル−5−ヘプチルピロリジンの製造法。
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