JPH09292466A - 生体組織スライス標本のポジトロン撮影装置 - Google Patents
生体組織スライス標本のポジトロン撮影装置Info
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- JPH09292466A JPH09292466A JP10956196A JP10956196A JPH09292466A JP H09292466 A JPH09292466 A JP H09292466A JP 10956196 A JP10956196 A JP 10956196A JP 10956196 A JP10956196 A JP 10956196A JP H09292466 A JPH09292466 A JP H09292466A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 生体組織標本における放射性核種標識化合物
の挙動を、その組織本来の生物活性の動態と関連させて
画像化することのできる新しい撮影装置を提供する。 【解決手段】生体組織スライス標本7を保持するための
培養容器3と、この培養容器3を載置するβ+ 粒子感応
フィルム4とによって構成されており、培養容器3は、
遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜5を底面に備えた外ケース体
2と、周壁下方の同一水平位置に複数の小孔8を等間隔
で有し、かつ底面にネット6を備えた内ケース体1とか
らなり、ネット6上に生体組織スライス標本7を保持し
た内ケース体1を外ケース体2内に下降させることによ
って外ケース体2内の培養液11が内ケース体1底面の
ネット6および周壁の小孔8を通じて内ケース体1内に
均等に流入する。
の挙動を、その組織本来の生物活性の動態と関連させて
画像化することのできる新しい撮影装置を提供する。 【解決手段】生体組織スライス標本7を保持するための
培養容器3と、この培養容器3を載置するβ+ 粒子感応
フィルム4とによって構成されており、培養容器3は、
遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜5を底面に備えた外ケース体
2と、周壁下方の同一水平位置に複数の小孔8を等間隔
で有し、かつ底面にネット6を備えた内ケース体1とか
らなり、ネット6上に生体組織スライス標本7を保持し
た内ケース体1を外ケース体2内に下降させることによ
って外ケース体2内の培養液11が内ケース体1底面の
ネット6および周壁の小孔8を通じて内ケース体1内に
均等に流入する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、生物活性を保持
した生体組織スライス標本のポジトロン撮影装置に関す
るものである。さらに詳しくは、この発明は、様々な生
体組織における代謝物質等の挙動を in vitro で簡便か
つ正確に画像化することのできる新しいポジトロン撮影
装置に関するものである。
した生体組織スライス標本のポジトロン撮影装置に関す
るものである。さらに詳しくは、この発明は、様々な生
体組織における代謝物質等の挙動を in vitro で簡便か
つ正確に画像化することのできる新しいポジトロン撮影
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】オートラジオグラフィー (Au
toradiography)法は、試料中の放射性核種やその標識化
合物の分布を肉眼または顕微鏡で視認可能に記録する写
真技術として、従来より化学、生物学等の分野で広く利
用されている。しかしながら、従来のオートラジオグラ
フィー法では、例えば生体組織を対象とする場合には、
組織標本を凍結させ、乾燥させ、数日間もフィルムに露
呈させるため、当然のことながら組織標本は本来の代謝
機能等の生物活性を消失していまう。このため、生きて
いる組織において標識化合物の挙動を追跡することはで
きず、また複数の試験を同一標本に対して実施すること
も不可能であった。さらには、生物活性を有する組織に
のみ生じる幾つかの重要な生物反応を計測できないとい
う不都合も存在した。
toradiography)法は、試料中の放射性核種やその標識化
合物の分布を肉眼または顕微鏡で視認可能に記録する写
真技術として、従来より化学、生物学等の分野で広く利
用されている。しかしながら、従来のオートラジオグラ
フィー法では、例えば生体組織を対象とする場合には、
組織標本を凍結させ、乾燥させ、数日間もフィルムに露
呈させるため、当然のことながら組織標本は本来の代謝
機能等の生物活性を消失していまう。このため、生きて
いる組織において標識化合物の挙動を追跡することはで
きず、また複数の試験を同一標本に対して実施すること
も不可能であった。さらには、生物活性を有する組織に
のみ生じる幾つかの重要な生物反応を計測できないとい
う不都合も存在した。
【0003】生体の組織を生体外(in vitro)に取り出
し、統制された条件下でその構造および機能を調べるこ
とは、その組織をより詳細に理解するために不可欠の手
法であるが、従来の放射化学標識物質によるオートラジ
オグラフィーは、上記のとおりの理由により不十分なも
のであった。このため、代謝機能等の生物活性を保持し
た状態の生体組織標本に標識化合物を取り込ませて、そ
の挙動を簡便かつ正確に可視化することのできる手段が
待望されていた。
し、統制された条件下でその構造および機能を調べるこ
とは、その組織をより詳細に理解するために不可欠の手
法であるが、従来の放射化学標識物質によるオートラジ
オグラフィーは、上記のとおりの理由により不十分なも
のであった。このため、代謝機能等の生物活性を保持し
た状態の生体組織標本に標識化合物を取り込ませて、そ
の挙動を簡便かつ正確に可視化することのできる手段が
待望されていた。
【0004】この発明は、以上のとおりの事情に鑑みて
なされたものであって、生体組織標本における放射性核
種標識化合物の挙動を、その組織本来の生物活性の動態
と関連させて画像化することのできる新しい撮影装置を
提供することを目的としている。
なされたものであって、生体組織標本における放射性核
種標識化合物の挙動を、その組織本来の生物活性の動態
と関連させて画像化することのできる新しい撮影装置を
提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するものとして、β+ 粒子貫通薄膜を介してβ+粒
子感応フィルム上に保持された生体組織スライス標本中
のポジトロン核種標識化合物から放出されるβ+ 粒子を
感応フィルムに定着させ、このフィルムの放射活性部位
を画像化することによって生体組織スライス標本におけ
る上記化合物の挙動を撮影するための装置であって、生
体組織スライス標本を保持するための培養容器と、この
培養容器を載置するβ+ 粒子感応フィルムとによって構
成されており、培養容器は、遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜
を底面に備えた外ケース体と、周壁下方の同一水平位置
に複数の小孔を等間隔で有し、かつ底面にネットを備え
た内ケース体とからなり、ネット上に生体組織スライス
標本を保持した内ケース体を外ケース体内に下降させる
ことによって外ケース体内の培養液が内ケース体底面の
ネットおよび周壁の小孔を通じて内ケース体内に均等に
流入することを特徴とする生体スライス標本のポジトロ
ン撮影装置を提供する。
解決するものとして、β+ 粒子貫通薄膜を介してβ+粒
子感応フィルム上に保持された生体組織スライス標本中
のポジトロン核種標識化合物から放出されるβ+ 粒子を
感応フィルムに定着させ、このフィルムの放射活性部位
を画像化することによって生体組織スライス標本におけ
る上記化合物の挙動を撮影するための装置であって、生
体組織スライス標本を保持するための培養容器と、この
培養容器を載置するβ+ 粒子感応フィルムとによって構
成されており、培養容器は、遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜
を底面に備えた外ケース体と、周壁下方の同一水平位置
に複数の小孔を等間隔で有し、かつ底面にネットを備え
た内ケース体とからなり、ネット上に生体組織スライス
標本を保持した内ケース体を外ケース体内に下降させる
ことによって外ケース体内の培養液が内ケース体底面の
ネットおよび周壁の小孔を通じて内ケース体内に均等に
流入することを特徴とする生体スライス標本のポジトロ
ン撮影装置を提供する。
【0006】また、この発明のポジトロン撮影装置にお
いては、上記の遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜が、ポリプロ
ピレン・フィルムであること、β+ 粒子感応フィルム
が、蓄燐光体フィルムであることをそれぞれ好ましい態
様としている。すなわち、この発明の装置においては、
生物個体から取り出した組織のスライス標本に、ポジト
ロン核種で標識した化合物を取り込ませ、このポジトロ
ン核種が放出するβ+ 粒子をフィルムに定着させてその
放射活性部位を画像化する。このポジトロン核種で標識
した化合物は、従来より、ポジトロン断層撮影法(Posi
tron emission tomography、PET)において用いられ
ている。このPET法では、サイクロトロンで作成した
ポジトロン(陽電子、Positron)核種を用いてポジトロ
ン標識化合物を合成し、これを生体内に投与後、標識化
合物から放出された放射線粒子をPETで画像化する方
法である。このポジトロン核種は炭素、窒素、酸素等の
生体構成元素が主であることから(例えば、15O、
11C、18F)、体内で代謝される各種物質や薬剤を、そ
の構造を変化させることなく標識できるという特徴があ
る。また、ポジトロン核種は、生物医学的研究等におい
て一般的に用いられている放射性同位体(例えば、
3H、14C、125I等)に比較して強いエネルギーのβ+
粒子を放出し、しかもその半減期が短時間(15O:2.
07分、11C:20.4分、18F:109.7分)であ
るという特徴を有している。これらの特徴は、標識化合
物の高特異的な放射活性検出を可能とする。すなわち、
その強いエネルギーによって、β+ 粒子が液体や生体組
織に数百ミクロンの深さまで侵入し、生体組織のスライ
ス標本を生きたままの状態で培養している間にその放射
活性を検出することが可能である。しかも、その放射活
性の強度はポジトロン核種の濃度に依存するため、標識
化合物のスライス標本における挙動を正確に検出するこ
とができる。
いては、上記の遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜が、ポリプロ
ピレン・フィルムであること、β+ 粒子感応フィルム
が、蓄燐光体フィルムであることをそれぞれ好ましい態
様としている。すなわち、この発明の装置においては、
生物個体から取り出した組織のスライス標本に、ポジト
ロン核種で標識した化合物を取り込ませ、このポジトロ
ン核種が放出するβ+ 粒子をフィルムに定着させてその
放射活性部位を画像化する。このポジトロン核種で標識
した化合物は、従来より、ポジトロン断層撮影法(Posi
tron emission tomography、PET)において用いられ
ている。このPET法では、サイクロトロンで作成した
ポジトロン(陽電子、Positron)核種を用いてポジトロ
ン標識化合物を合成し、これを生体内に投与後、標識化
合物から放出された放射線粒子をPETで画像化する方
法である。このポジトロン核種は炭素、窒素、酸素等の
生体構成元素が主であることから(例えば、15O、
11C、18F)、体内で代謝される各種物質や薬剤を、そ
の構造を変化させることなく標識できるという特徴があ
る。また、ポジトロン核種は、生物医学的研究等におい
て一般的に用いられている放射性同位体(例えば、
3H、14C、125I等)に比較して強いエネルギーのβ+
粒子を放出し、しかもその半減期が短時間(15O:2.
07分、11C:20.4分、18F:109.7分)であ
るという特徴を有している。これらの特徴は、標識化合
物の高特異的な放射活性検出を可能とする。すなわち、
その強いエネルギーによって、β+ 粒子が液体や生体組
織に数百ミクロンの深さまで侵入し、生体組織のスライ
ス標本を生きたままの状態で培養している間にその放射
活性を検出することが可能である。しかも、その放射活
性の強度はポジトロン核種の濃度に依存するため、標識
化合物のスライス標本における挙動を正確に検出するこ
とができる。
【0007】さらに、β+ 粒子感応フィルムから離れて
存在するβ+ 粒子はβ- 粒子と衝突して消滅する可能性
が高く、β+ 粒子感応フィルムに定着する確率は低下す
る。従って、生体スライス標本には取り込まれていない
ポジトロン標識化合物がその周囲に多量に存在していて
も、それらの化合物の存在は定量的画像化を損なうこと
はない。このことは、同一標本における標識化合物の取
り込み・結合の過程を経時的に画像化することを可能に
する。
存在するβ+ 粒子はβ- 粒子と衝突して消滅する可能性
が高く、β+ 粒子感応フィルムに定着する確率は低下す
る。従って、生体スライス標本には取り込まれていない
ポジトロン標識化合物がその周囲に多量に存在していて
も、それらの化合物の存在は定量的画像化を損なうこと
はない。このことは、同一標本における標識化合物の取
り込み・結合の過程を経時的に画像化することを可能に
する。
【0008】この発明の装置は、以上の原理からなる生
体組織スライス標本のポジトロン撮影を、簡便かつ確実
に実施するための装置である。以下、その実施の形態に
ついて詳しく説明する。
体組織スライス標本のポジトロン撮影を、簡便かつ確実
に実施するための装置である。以下、その実施の形態に
ついて詳しく説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明のポジトロン撮影装置
は、例えば図1に斜視図を例示したようなものとして構
成することができる。例えば、この図1に例示した装置
は、内外2つのケース体(1)(2)によって構成され
た培養容器(3)が、β+ 粒子感応フィルム(4)の上
に載置されている。外ケース体(2)は、その上部およ
び下部が開放で、底面が遮水性の薄膜(5)で封止され
ていることによって、この培養容器(3)内に培養液を
満たすことができるようになっている。一方、内ケース
体(1)は、同じくその上部および下部が開放で、底面
にナイロンネット(6)を備えており、このナイロンネ
ット(6)上に生体スライス標本(7)を保持するよう
になっている。
は、例えば図1に斜視図を例示したようなものとして構
成することができる。例えば、この図1に例示した装置
は、内外2つのケース体(1)(2)によって構成され
た培養容器(3)が、β+ 粒子感応フィルム(4)の上
に載置されている。外ケース体(2)は、その上部およ
び下部が開放で、底面が遮水性の薄膜(5)で封止され
ていることによって、この培養容器(3)内に培養液を
満たすことができるようになっている。一方、内ケース
体(1)は、同じくその上部および下部が開放で、底面
にナイロンネット(6)を備えており、このナイロンネ
ット(6)上に生体スライス標本(7)を保持するよう
になっている。
【0010】外ケース体(2)の薄膜(5)はまた、β
+ 粒子を効率良く貫通させるため、この薄膜(5)上の
ナイロンネット(6)に保持させたスライス標本(7)
から放出されるβ+ 粒子が薄膜(5)下の感応フィルム
(4)に確実に定着する。このような遮水性のβ+ 粒子
貫通薄膜(5)としては、例えばポリプロピレン・フィ
ルムを用いることができる。また、β+ 粒子感応フィル
ム(4)としては、X線フィルム等を用いることもでき
るが、X線フィルムより高感度で、しかもより広いダイ
ナミックレンジを有する蓄燐光体スクリーンを用いるの
が好ましい。
+ 粒子を効率良く貫通させるため、この薄膜(5)上の
ナイロンネット(6)に保持させたスライス標本(7)
から放出されるβ+ 粒子が薄膜(5)下の感応フィルム
(4)に確実に定着する。このような遮水性のβ+ 粒子
貫通薄膜(5)としては、例えばポリプロピレン・フィ
ルムを用いることができる。また、β+ 粒子感応フィル
ム(4)としては、X線フィルム等を用いることもでき
るが、X線フィルムより高感度で、しかもより広いダイ
ナミックレンジを有する蓄燐光体スクリーンを用いるの
が好ましい。
【0011】そして、この発明のポジトロン撮影装置
は、その特徴として、内ケース体(1)がその周壁下方
の同一水平位置に複数の小孔(8)を等間隔で有してお
り、これによって複数の生体スライス標本(7)を試験
する場合でも、全てを同一の条件で培養液に浸すことが
できるようになっている。すなわち、実際の測定に際し
ては、図2(A)に示したように、先ず、培養容器
(3)から内ケース体(1)を取り出し、そのナイロン
ネット(6)にスライス標本(7)を保持させる。具体
的には、この図2に示したように、スライス標本(7)
と略同一の厚みを有し、上部にネット(9)を貼り合わ
せた金属リング(10)内に生体スライス標本(7)を
載置するようにすればよい。次いで、培養液(11)を
満たした外ケース体(2)内にこの内ケース体(1)を
静かに下降させる。この時、外ケース体(2)内の培養
液(11)は、内ケース体(1)の底面のナイロンネッ
ト(6)および周壁下方の小孔(8)から内ケース体
(1)内に流入するため、複数個のスライス標本(7)
が、時間的、空間的にほぼ均一に培養液(11)と接触
するようになる。また、スライス標本(7)は金属リン
グ(10)とその上部のネット(9)によって一定位置
に保持され、培養液(11)の流入によっても移動する
ことがなく、全ての標本を同一条件下で測定するが可能
である。そして、図2(B)に示したように内ケース体
(1)を外ケース体(2)に重ね合わせた後、これらを
β+ 粒子感応フィルム(4)上に載置して測定を開始す
る。
は、その特徴として、内ケース体(1)がその周壁下方
の同一水平位置に複数の小孔(8)を等間隔で有してお
り、これによって複数の生体スライス標本(7)を試験
する場合でも、全てを同一の条件で培養液に浸すことが
できるようになっている。すなわち、実際の測定に際し
ては、図2(A)に示したように、先ず、培養容器
(3)から内ケース体(1)を取り出し、そのナイロン
ネット(6)にスライス標本(7)を保持させる。具体
的には、この図2に示したように、スライス標本(7)
と略同一の厚みを有し、上部にネット(9)を貼り合わ
せた金属リング(10)内に生体スライス標本(7)を
載置するようにすればよい。次いで、培養液(11)を
満たした外ケース体(2)内にこの内ケース体(1)を
静かに下降させる。この時、外ケース体(2)内の培養
液(11)は、内ケース体(1)の底面のナイロンネッ
ト(6)および周壁下方の小孔(8)から内ケース体
(1)内に流入するため、複数個のスライス標本(7)
が、時間的、空間的にほぼ均一に培養液(11)と接触
するようになる。また、スライス標本(7)は金属リン
グ(10)とその上部のネット(9)によって一定位置
に保持され、培養液(11)の流入によっても移動する
ことがなく、全ての標本を同一条件下で測定するが可能
である。そして、図2(B)に示したように内ケース体
(1)を外ケース体(2)に重ね合わせた後、これらを
β+ 粒子感応フィルム(4)上に載置して測定を開始す
る。
【0012】なお、培養液(11)は、測定対象である
生体組織スライス標本(7)の生物活性を維持するのに
最も適したものを使用し、適宜必要に応じて酸素、二酸
化炭素等を培養液(11)中に供給するようにしてもよ
い。培養容器(3)のサイズ等については特段の制限は
なく、一度に試験するスライス標本(7)の数量等に応
じて適宜とすることができる。また、その形状も方形の
箱型に限定されるものではなく、円形等とすることもで
きる。
生体組織スライス標本(7)の生物活性を維持するのに
最も適したものを使用し、適宜必要に応じて酸素、二酸
化炭素等を培養液(11)中に供給するようにしてもよ
い。培養容器(3)のサイズ等については特段の制限は
なく、一度に試験するスライス標本(7)の数量等に応
じて適宜とすることができる。また、その形状も方形の
箱型に限定されるものではなく、円形等とすることもで
きる。
【0013】スライス標本(7)は、動物個体の各器官
から単離した正常組織、または癌組織等から公知の方法
に従って作成することができる。例えば、脳のスライス
標本は、神経科学の研究領域で広く用いられている Yam
amoto & MacIlwain の方法(J. Neurochem., 13, p1333-
1343, 1966)に従って作成することができる。また、ポ
ジトロン核種標識化合物は、生体組織におけるその挙動
追跡を目的とする物質を15O、11C、18F等によって公
知の方法に従い標識することによって作成することがで
きる。そして、この標識化合物を含有した培養液中にス
ライス標本を一定時間浸すことによって、スライス標本
中に標識化合物を取り込ませることができる。
から単離した正常組織、または癌組織等から公知の方法
に従って作成することができる。例えば、脳のスライス
標本は、神経科学の研究領域で広く用いられている Yam
amoto & MacIlwain の方法(J. Neurochem., 13, p1333-
1343, 1966)に従って作成することができる。また、ポ
ジトロン核種標識化合物は、生体組織におけるその挙動
追跡を目的とする物質を15O、11C、18F等によって公
知の方法に従い標識することによって作成することがで
きる。そして、この標識化合物を含有した培養液中にス
ライス標本を一定時間浸すことによって、スライス標本
中に標識化合物を取り込ませることができる。
【0014】次に、この発明の撮影装置を用いて脳スラ
イス標本のポジトロン撮影を行った実施例を示し、この
発明についてさらに詳しく説明する。
イス標本のポジトロン撮影を行った実施例を示し、この
発明についてさらに詳しく説明する。
【0015】
【実施例】上記 Yamamoto & MacIlwain の方法に従って
麻酔下のラットから素早く脳を取り出し、脳冠状断面ス
ライス標本(300μm)を作成し、図1および図2に
示した装置の内ケース体(1)に配置した後、通常の培
養液を満たした第1の外ケース体(2)内に内ケース体
(1)を移し、酸素95%:二酸化炭素5%存在下37
℃で脳スライス標本を予備培養した。一方、ポジトロン
核種11Cをサイクロトロンにおいて作成し、この11Cに
よってベンゾジアゼピン受容体のリガンド(Ro15−
1788)を標識し、この11C標識化リガンドを希釈し
た培養液(11)を第2の外ケース体(2)に満たし
た。そして、予備培養した脳スライス標本を内ケース体
(1)ごと第2の外ケース体(2)内に移し、この第2
のケース体(2)をβ+ 粒子感応フィルム(4)上に載
置して、酸素95%:二酸化炭素5%存在下37℃で2
0分間培養し、11C標識化リガンドの結合部位を画像化
した。
麻酔下のラットから素早く脳を取り出し、脳冠状断面ス
ライス標本(300μm)を作成し、図1および図2に
示した装置の内ケース体(1)に配置した後、通常の培
養液を満たした第1の外ケース体(2)内に内ケース体
(1)を移し、酸素95%:二酸化炭素5%存在下37
℃で脳スライス標本を予備培養した。一方、ポジトロン
核種11Cをサイクロトロンにおいて作成し、この11Cに
よってベンゾジアゼピン受容体のリガンド(Ro15−
1788)を標識し、この11C標識化リガンドを希釈し
た培養液(11)を第2の外ケース体(2)に満たし
た。そして、予備培養した脳スライス標本を内ケース体
(1)ごと第2の外ケース体(2)内に移し、この第2
のケース体(2)をβ+ 粒子感応フィルム(4)上に載
置して、酸素95%:二酸化炭素5%存在下37℃で2
0分間培養し、11C標識化リガンドの結合部位を画像化
した。
【0016】結果は図3に示したとおりであり、大脳皮
質、海馬等に強い放射活性が検出され、このことからベ
ンゾジアゼピン受容体がこれらの脳部位に存在すること
が確認された。
質、海馬等に強い放射活性が検出され、このことからベ
ンゾジアゼピン受容体がこれらの脳部位に存在すること
が確認された。
【0017】
【発明の効果】以上、詳しく説明したとおり、この発明
によって、生体組織標本における各種の物質の挙動を、
その組織本来の生物活性の動態と関連させて画像化する
ことのできるポジトロン撮影装置が提供される。これに
よって、生体組織の構造および機能をより詳細に解析す
ることが可能となる。
によって、生体組織標本における各種の物質の挙動を、
その組織本来の生物活性の動態と関連させて画像化する
ことのできるポジトロン撮影装置が提供される。これに
よって、生体組織の構造および機能をより詳細に解析す
ることが可能となる。
【図1】この発明のポジロトン撮影装置の構成を例示し
た斜視図である。
た斜視図である。
【図2】(A)(B)は、各々、図1に示した装置の使
用方法を例示した側断面図である。
用方法を例示した側断面図である。
【図3】この発明の撮影装置によって撮影したラットの
脳スライス標本と、そのポジトロン撮影の結果を示した
図面に代わる写真である。
脳スライス標本と、そのポジトロン撮影の結果を示した
図面に代わる写真である。
1 内ケース体 2 外ケース体 3 培養容器 4 β+ 粒子感応フィルム 5 β+ 粒子貫通薄膜 6 ナイロンネット 7 生体組織スライス標本 8 小孔 9 ネット 10 金属リング 11 培養液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マッツ・ベルイストレーム スウェーデン ウプサラ S−751 85 ウプサラユニバーシティ ピーイーティー センター内 (72)発明者 ベングト・ロングストレーム スウェーデン ウプサラ S−751 85 ウプサラユニバーシティ ピーイーティー センター内
Claims (3)
- 【請求項1】 β+ 粒子貫通薄膜を介してβ+ 粒子感応
フィルム上に保持された生体組織スライス標本中のポジ
トロン核種標識化合物から放出されるβ+ 粒子を感応フ
ィルムに定着させ、このフィルムの放射活性部位を画像
化することによって生体組織スライス標本における上記
化合物の挙動を撮影するための装置であって、生体組織
スライス標本を保持するための培養容器と、この培養容
器を載置するβ+ 粒子感応フィルムとによって構成され
ており、培養容器は、遮水性のβ + 粒子貫通薄膜を底面
に備えた外ケース体と、周壁下方の同一水平位置に複数
の小孔を等間隔で有し、かつ底面にネットを備えた内ケ
ース体とからなり、ネット上に生体組織スライス標本を
保持した内ケース体を外ケース体内に下降させることに
よって外ケース体内の培養液が内ケース体底面のネット
および周壁の小孔を通じて内ケース体内に均等に流入す
ることを特徴とする生体スライス標本のポジトロン撮影
装置。 - 【請求項2】 遮水性のβ+ 粒子貫通薄膜が、ポリプロ
ピレン・フィルムである請求項1のポジトロン撮影装
置。 - 【請求項3】 β+ 粒子感応フィルムが、蓄燐光体フィ
ルムである請求項1のポジトロン撮影装置。
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