JPWO2002031492A1 - 異常増殖組織等を識別、定量する二次元定量画像化法 - Google Patents

異常増殖組織等を識別、定量する二次元定量画像化法 Download PDF

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Abstract

本発明は、悪性腫瘍等の異常増殖中の組織又は細胞を有する生体内に投与された薬物の薬理効果を、早い段階で可視的に表示し、新薬候補品のスクリーニングや、治療薬の適正な使用法の確立を短時間に行う方法を提供する。本発明は、生体内における異常増殖組織又は細胞を、[2−14C]チミジン及び/又は[1,3−N]蛍光チミジンを指標とする二次元画像を得て正常増殖組織又は細胞から識別し、定量する方法である。また、上記方法に基づき、新薬候補品のスクリーニング、治療薬の適性な使用処方の確立、強エネルギー粒子線の至適投与量又は致死効果の判定、薬物の器官特異的薬効の判定を行う方法である。

Description

技術分野
本発明は、哺乳動物を用いた生体を材料として、短期間に新薬候補のスクリーニングを行う方法や短期間に治療薬の適性な処方を確立する方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、悪性腫瘍等の異常増殖中の組織又は細胞を有する生体内に投与する薬物の薬理効果(増殖抑制又は阻止)を早い段階で可視的に表示し、短期間に新薬候補品のスクリーニングを行う方法、短期間に治療薬の適性な使用処方を確立する方法、更に、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等に関する。
背景技術
悪性腫瘍等の異常組織又は細胞の増殖及びそれに伴う転移を抑制又は阻止させる著効のある薬物の開発や治療薬の適正な処方の確立は、恒に望まれている。一方、多くの既存の制癌剤は、腫瘍細胞の増殖抑制のみならず、正常組織の細胞再生をも阻止するものである。従って、既存の制癌剤は、激越な副作用を患者にもたらし、そのため、患者に早期死亡を招来させている。
癌の治療法に、制癌効果のある薬品を用いる化学療法がある。これらの薬品の主たるものは、核酸合成に関わる基質の阻害剤又は拮抗剤である。近年、核酸合成に関わる合成酵素(DNA→RNA複製→mRNA→蛋白質の合成過程)に係る抗体蛋白質(モノクロナール抗体)がバイオテクノロジーを利用して合成され、利用されようとしている。しかし、これら抗体蛋白質は、何れも、異常組織と正常組織とを選別する機能が小さく、また、毒性(細胞死)の抑止効果も小さいものである。そのため、2〜3の血液腫瘍に対する免疫関連のCD20、CD30等の抗体が、近時、米国FDAで許可されているにすぎない(Retaxan)。
また、放射性医薬品に関しては、従来、我が国をはじめ世界的に、in vivo診断薬が主流となっている。また、in vitro診断薬については、血中ホルモン又は生体内含有微量成分を検査する薬品として125Iが使用されてきた。in vivo診断薬は、主に57Fe、51Cr、99mTc、131I、115mIn、72Ga等が使用されている。また、治療用には、198Au、89Sr、131I、60Co(外部からの照射)等、極めて限られた放射性核種が使用されている。また、β放射線源は、線源を埋め込んだ針を体内の局所に留置することが行われている。
しかし、これまでの治療法や放射性医薬品等を用いても、生体内における異常組織又は細胞と正常組織又は細胞とを識別するのが困難であり、短期間に新薬候補品のスクリーニングを完了させることや短期間に治療薬の適正な処方を確立することができなかった。
異常組織又は細胞と正常組織又は細胞とを識別するには、先ず異常組織又は細胞と正常組織又は細胞の両者について細胞分裂の頻度、体内局在部位を特定することが必要である。そして、正常部位が薬物で致死的影響を受けた場合に、その部位が移植等の技術によって再生可能か否かを明らかにする必要がある。このためには、哺乳動物を用いてモデル的に概略的な情報を得ることが行われてきたが、未だ十分な情報を得るには至っていない。
そして、短期間に新薬候補品のスクリーニングを完了し又は短期間に治療薬の適正な処方を確立するためには、異常組織又は細胞中のDNA複製過程において、その過程の特異期にごく短期間にのみ関与し、その後は全く関与しなくなる標識指示薬の開発が必要である。細胞分裂のS期(DNAの複製期)にのみ利用される化合物としては、チミジンが良く知られている。しかし、組織又は細胞に新たに取り込まれたチミジンを識別することが困難であることから、チミジンが組織又は細胞で有効に作用する時期及び取り込まれなかった大部分のチミジンの行方については不明であった。
従来、異常増殖の組織又は細胞と正常増殖の組織又は細胞との識別は、培養細胞又はHistologyでの分裂S期の細胞を同定することにより行われてきた。この識別に際して、例えば、[6−H]チミジン、[2−14C]チミジン、[メチル−14C]チミジン、[メチル−1’、2’−H]チミジン、[5’−H]チミジン、[メチル−H]チミジン等の標識チミジンが使用されてきた。しかし、異常、正常増殖部分の組織又は細胞を可視的に識別し且つそれぞれを定量すること、特に、全身を対象とした器官、組織レベル(マクロ)で可視的に識別し、定量することは、これまでに為されていなかった。
また、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる目的で強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を生体内に投与した場合には、生体内に蓄積された放射線量に注目する必要がある。骨や消化管については、ICRP(国際放射線防護委員会)が許容線量の規制値を定めている。また、全身分布については、国が規制値を定めている。従来、放射線計測機を使用して組織別に線量を計数し、生体内に取り込まれた線量が、これら線量規制値以下であるか否かを推定することが行われてきた。しかし、これらの計数は、放射性核種の生体内における線量分布を可視的に識別し、定量するものではない。
そこで、本発明の目的は、悪性腫瘍等の異常増殖中の組織又は細胞を有する生体内に投与された薬物の薬理効果(増殖抑制又は阻止)を早い段階で可視的に表示し、短期間に新薬候補のスクリーニングを完了できる方法や短期間に治療薬の適正な処方を確立する方法、更には、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、鋭意研究した結果、「チミジン」を静脈内投与した「ラット」において、投与したチミジンが利用されるのは、細胞分裂のS期においてのみであること、更に、厳密にはチミジン投与後3分以内であることの知見を得た。これは、「チミジン」の化学構造のうち、「2」位の炭素を14Cで置換したものを用いて、投与したチミジンの行方を追跡して得られた知見である。そして、細胞分裂の際に取り込まれなかったチミジンは、肝臓、白血球等で速やかに代謝分解され、炭酸ガスとして大部分が体外に排泄されることの知見を得た。そして、本発明者らは、上記の知見に基づいて、生体内における増殖細胞の分裂頻度の指標及び体内局在部位の特定の指標として、この「2」位の炭素を14Cに置換したチミジンが、極めて重要であるとの知見を得た。同様に、チミジンの1、3位の窒素に蛍光物質を結合させた[1,3−N]チミジンも、標識チミジンとして使用するとの知見を得た。
本発明は、上記各知見に基づきなされたもので、異常増殖組織又は細胞を、[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンの指標による二次元画像解析によって、異常増殖組織又は細胞を正常増殖組織又は細胞から識別し、定量することを特徴とする二次元定量画像化法を提供するものである。そして、この二次元画像は、マクロオートラジオグラフにより表現することができる。
本発明は、生体内に、強エネルギー粒子線を放出する放射性核種と[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンとを投与した後、その生体から切片を作製し、該切片の上に、X線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレート(IPと略することがある)を重層させて露光させるか又は蛍光分析測定装置によって、前記放射性核種及び前記チミジンそれぞれの二次元画像を同時に得ることを特徴とする二次元定量画像化法を提供するものである。この際、前記強エネルギー粒子線として、α線、−β電子線又は重粒子線を使用することができる。
また、本発明は、上記二次元定量画像化法に基づいて、短期間に新薬候補品のスクリーニングを行う方法、短期間に治療薬の適性な使用処方を確立する方法、更に、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等である。
即ち、まず、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を正常増殖組織又は細胞から経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法である。この際、強エネルギー粒子線として、α線、−β電子線又は重粒子線を使用することができる。
次に、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を正常組織又は細胞から経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定する方法である。
三番目に、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時聞に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって、異常増殖組織又は細胞を正常組織又は細胞から経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞に及ぼす強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法である。
四番目に、生体内に器官特異的薬効を示す薬物を投与し、該薬物を投与する前又は後の、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を正常組織又は細胞から経時的に識別し、定量することにより、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法である。
五番目に、生体内に90Yを投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を正常組織又は細胞と経時的に識別し、定量することにより、90Y異常増殖組織又は細胞からなる特定腫瘍部位の増殖抑制及びそれに伴う疼痛軽減のために適用する90Y線量を定める適用90Y線量設定方法である。
更に、本発明は、前記二次元定量画像化法又はそれらを用いた前記の強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等を利用する、新薬候補のスクリーニングを行うこと特徴とする迅速新薬スクリーニングシステムである。
以上、標識チミジンを生体内に投与して、生体内における異常増殖組織又は細胞を、[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンの指標による二次元定量画像、好適にはマクロオートラジオグラフによって、正常増殖組織又は細胞から識別し、定量することができること、放射性核種及び前記チミジンの各二次元定量画像を同時に得る二次元定量画像化法を可能にすること、更に、前記二次元画像化法を利用して、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法、新薬候補のスクリーニングを行う迅速新薬スクリーニングシステムを可能にすることを明らかにした。
以上説明してきた手法は、単に、生体内の組織又は細胞を対象にするのみならず、生体の組織又は細胞を生体外に摘出した組織又は細胞をも同様に対象にして、二次元定量画像化法が可能であり、該二次元定量画像化法に基づいて、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、適用、90Y線量を設定する方法、新薬候補のスクリーニングシステムを提供することできる。
具体的には、生体内組織又は細胞の一部を生体外に摘出した生体の組織又は細胞を対象にして、培養する過程を追加して同様に処理することにより、同様の結果を得ることができる。
本発明は、生体内から一部分の組織又は細胞を体外に摘出し、その摘出した部分に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与し、培養した後、切片を作製し、該切片の上に放射線又は蛍光感光材を密着させて前記チミジンの放射線又は蛍光の二次元画像解析により、異常組織又は細胞を正常組織又は細胞から識別し、定量することを特徴とする二次元定量画像化法である。そして、この二次元画像を、マクロオートラジオグラフにより表現することができる。
また、二次元定量画像化法において、放射線核種と標識チミジンとを併せて使用することができる。即ち、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種と[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与、培養した後、その組織又は細胞から切片を作製し、該切片の上にX線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレートを重層させて露光させるか又は蛍光分析測定装置によって測定することにより、前記放射性核種及び前記チミジンそれぞれの二次元画像を同時に得ることを特徴とする二次元定量画像化法である。そして、強エネルギー粒子線として、α線、−β電子線又は重粒子線を利用することができる。
上記二次元定量画像化法に、基づいて、特に、癌医療分野において予防、治療に有用な手法を導き出すことができる。
即ち、まず、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、前記二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定することを特徴とする強エネルギー粒子線の至適投与量判定方法である。
次に、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、前記二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定することを特徴とする判定方法である。
三番目には、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、前記二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞に及ぼす強エネルギー粒子線の致死効果の判定を迅速に行うことを特徴とする致死効果判定方法である。
四番目に、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に器官特異的薬効を示す薬物を投与し、該薬物を投与する前又は後の所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、前記二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定することを特徴とする薬効判定方法である。
五番目に、生体内から体外に摘出した組織又は細胞に、90Yを投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、前記二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、90Yの異常増殖組織又は細胞からなる特定腫瘍部位の増殖抑制及びそれに伴う疼痛軽減のために適用する90Y線量を定めることを特徴とする適用90Y線量設定方法である。
更に、前記二次元定量画像化法又は前記二次元定量画像化法を利用した強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等に基づいて、新薬候補のスクリーニングを行うことを特徴とする新薬候補スクリーニングシステムである。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の二次元定量画像化法は、異常増殖組織又は細胞を、[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジン(以下、これらを「標識チミジン」ということもある)の指標による二次元画像を解析し、正常増殖組織又は細胞から識別し、定量するものである。
本発明に係る二次元画像は、マクロオートラジオグラフにより表現することが好ましい(図1等参照)が、特にこれに限らず、バイオプシイー(生検針によって採取された組織小片を材料として、1mLの培養液中に前記小片を浮かせて、前記標識チミジンを加えて培養1時間後に薄切り切片を作り、放射線感光材と密着露光し、二次元画像化すること)によって表現することもできる。
本発明において、マクロオートラジオグラフによる二次元画像化に用いる写真感光材の代わりに、赤色レーザ光で励起された近紫外光を記録するFLA3000測定機を使用し、二次元画像をマクロルミノグラフイによって表現することもできる。このようなマクロルミノグラフイによれば、特に、器官特異的薬効を示す薬物を生体内へ投与する前又は後に、器官、組織に固有の生理活性度の指標となる前記標識チミジンを静脈内注射し、該生体の全身又は一部の組織を材料として、当該薬物の薬理効果(薬効)を容易に判定することができる。
また、本発明の二次元定量画像化法を適用する生体の対象として、ヌードマウス、ビーグル犬、ミニブタ、担癌ラット、担癌マウスのような病態モデル等の哺乳動物が挙げられる。
本発明の二次元定量画像化法を適用する異常増殖組織又は細胞の対象として、骨肉腫、骨、肝硬変病態、移植後の各器官の細胞生検材料等の組織又は細胞が挙げられ、中でも骨肉腫及び骨への適用は効果的である。
本発明において、異常増殖組織又は細胞の正常増殖組織又は細胞からの識別は、前述の通り、[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンの指標による二次元画像解析によって行う。前述の通り、[2−14C]チミジンは、「チミジン」の化学構造のうち「2」位の炭素を14Cで置換したものであり、[1,3−N]蛍光チミジンは、ピリミジン環の1又は3の位置の窒素に蛍光物質を結合させたものである。
これらの標識チミジンは、組織の成育、再生に伴う細胞分裂の前期におけるDNA複製のごく短期間(約3分)にのみ機能するものである。そして、正常細胞組織で分裂を定期的に認められる部位は、消化管粘膜基底層と脾臓T細胞、若い年齢の精巣に限られる。[2−14C]チミジンは、異常増殖組織又は細胞の細胞分裂S期のDNA合成時にのみ細胞核内に取り込まれるか又は骨髄白血球細胞から骨に吸収されるので、これを二次元画像解析することによって、識別可能になる。[2−14C]チミジンが有する14Cは放射性β線を放出する(半減期は5700年)。この放出エネルギーが切片上の写真乳剤(乾燥状態)のハロゲン化銀にヒットすれば物理現象銀となり、それが化学処理により銀粒子(図2〜図5中の黒い小点)となる。その黒い小点が細胞の核の上に集積していれば、その細胞は1日後に2個の細胞に分裂する。これに対して、核の周辺にのみ散在していれば(リンパ球、中性白血球)分解作用のみで細胞分裂は生じない。
一方、[1,3−N]蛍光チミジンは、その化学構造式中におけるピリミジン環の1位又は3位の窒素に蛍光体を結合させたもので、[2−14C]チミジンのDNA合成系への取り込みと同様に、細胞核へ取り込まれ、不要の分子はすべて尿中に排泄される。取り込まれた[1,3−N]蛍光チミジンの蛍光を検出することにより、該[1,3−N]蛍光チミジンを取り込んだ組織又は細胞を識別することができる。
この二次元画像解析による異常増殖組織又は細胞の定量は、該細胞核中に取り込まれた標識チミジンを、任意の面積当りの核の数を数えて他の部分と比較するか、または単位面積(mm)当りの画像の濃度を測定することによって、容易に行うことができる。
本発明によれば、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種と「2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与した後、その生体から切片を作製し、該切片の上に、X線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレートを重層させて露光させるか又は蛍光分析することによって、前記放射性核種及び前記チミジンそれぞれの二次元定量画像を同時に得ることができる。
この方法に基づいて、強エネルギー粒子線を放射する放射性核種標識化合物投与の効果を判定することができる。強エネルギー粒子線のエネルギー投与が標的組織又は細胞に十分な効果を与えたときには、細胞分裂が将来に亘って阻止され、また、その粒子線放射の線量が不十分のときには細胞分裂の阻止が不十分であることから確認することができる。即ち、強エネルギー粒子線が充分に作用した異常組織又は細胞には、標識チミジンは検出されないが、放射線が充分に作用せず阻止効果が不十分な場合は、異常組織又は細胞に取り込まれた標識チミジンが検出される。
ここで、前記強エネルギー粒子線としては、α線、−β電子線、重粒子線等が挙げられ、中でも、−β電子線は、標的となっている異常増殖組織の近傍にのみ集中的に殺生力を与えるため好ましく使用される。尚、重粒子線とは、He線、N、O、Ne等をイオン化した粒子線を総称するものである。
また、前記強エネルギー粒子線を放出する放射性核種としては、32P、33P、90Y、89Sr、166Ho等が挙げられる。生体から切片を調製するに際して、その厚さが好ましくは30〜60μm、更に好ましくは、40〜60μm程度となるように作製する。
X線感光材としては、例えば、X線フィルム、冷光高感度感光材(例えば、イメージングプレート)、輝尽性発光体等が使用される。放射線吸収材としては、例えば、アルミ箔、ポリアクリル膜、ポリアクリル板、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン膜やテフロン(商標)膜等が使用される。イメージングプレート(IP)とは、冷光高感度感材の一種で、付与された光や粒子の飛跡エネルギーを長時間保存し、別波長のエネルギー(レーザ光等)によって励起することで発光する物質(例えば、Eu+2からEu+3に転換することによって放射線エネルギーを保存したもの)からなるものである。IPは輝尽性発光体であり、これにより録画することができ、コンピュータに取り込みむことができ、デジタル画像を得ることができる。デジタル画像は、25μm×25μmの面を1単位(単位:ピクセル)にして表示、記録される。具体的には、例えば、富士フィルム、コダック、パッカード社製のIP等の市販品を使用することができる。
前記切片に、これらのX線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレートを重層させた後露光し、化学現象処理又は赤レーザ光による励起光の捕捉によったデジタル画像を得ることができる。蛍光分析測定装置として、FLA3000等が挙げられる。
また、本発明によれば、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像化解祈によって異常増殖組織又は細胞を経時的に正常組織又は細胞から識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定することができる。強エネルギー粒子線としては、同様に、α線、−β電子線、重粒子線を使用することができ、特に、−β電子線が好ましい。
ここで、強エネルギー粒子線を放出する放射性核種の生体内に対する投与量は、生体の体重25g当たり3.7kBq〜370kBqが好ましい。これは、生体の体重60kg当たりでは、8.8MBq〜880MBq(240μCi〜24mCi)に相当する。[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与する際の1回当たりの投与量は、生体の体重25g当たり、3.7kBq〜370kBqが好ましい。
異常増殖組織又は細胞の識別、定量は、標識チミジンを1回投与した後に所定の時間に、経時的に複数回行われるか、または、標識チミジンを複数回投与した後に所定の時間に、経時的に複数回行われる(以下の方法でも同様である)。標識チミジンを生体内に投与する「所定の時間」とは、例えば、30分、1時間、6時間、24時間、3日、7日等をいう(以下の各方法の場合も同じ)。
そして、異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量して得られた結果を基にして、それらを予め記録された正常組織又は細胞の分裂能と比較定量し、正常組織又は細胞が損なわれないで異常組織又は細胞の細胞核内への標識チミジンの取り込みを停止することを確認することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定することができる。
また、本発明は、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって、異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定する方法を提供する。
ここで、強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬の生体内に対する投与量は、生体の体重25g当たり、放射性核種量が5×10−13〜50×10−13gとなる量が好ましい。[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与する際の1回当たりの投与量は、0.05〜5.0ngが好ましい。
異常増殖組織又は細胞を経時的に識別、定量して得られた結果を基にして、強エネルギー粒子線核種と結合していた親化合物から体内代謝によって遊離した部分が正常組織部位に移動蓄積する割合を定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定することができる。
治療薬の化学的安定性を保持した部分というのは、例えば、90Yはモノクロナール抗体と結合させて使用するが、90Yがモノクロナール抗体と結合している部分のことである。90Yがモノクロナール抗体と結合していない状態では、異常組織又は細胞には90Yが作用せず、異常組織又は細胞が増殖するので、その組織又は細胞に取り込まれた標識チミジンが検出されることから、治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定することができる。
更に、本発明は、生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞の致死効果の判定を迅速に行うことができる。ここで、強エネルギー粒子線を放出する放射性核種の生体内に対する投与量は、生体の体重25g当たり、3.7kBq〜370kBqが好ましい。[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与する際の1回当たりの投与量は、生体の体重25g当たり、0.37kBq〜37kBqが好ましい。
そして、異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量して得られた結果を基にして、強エネルギー粒子線を放出する放射性核種によって、異常増殖組織又は細胞核内への標識チミジンの取り込みが停止されていることを確認することにより、異常増殖組織又は細胞の致死効果の判定を迅速に行うことができる。
本発明は、生体内に器官特異的薬効を示す薬物を投与し、該薬物を投与する前又は後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像解析によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法を提供する。ここで、薬物の生体内に対する投与量は、生体の体重25g当たり、0.05pg〜5.0pgが好ましい。薬物の具体例としては、90YCl、90YNO90SO90Y・CD20抗体、90Y・CD11抗体等が挙げられる。[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与する際の1回当たりの投与量は、生体の体重25g当たり0.05〜5.0ngが好ましい。
異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量して得られた結果を基にして、異常増殖部への致死効果が継続している期間が正しく判定される。更に、当該期間経過後に細胞分裂を再開する部分の有無を確認することにより、薬物の薬効を判定することができる。
本発明の二次元定量画像化法を用いれば、特に、全身を対象とした器官、組織レベル(マクロ)での90Y集積の全体像を得ることができる。特に、90Yの骨肉腫、骨髄、骨への集積及び90Yの一部分の肝臓及び腎臓における分布が二次元画像として確認できる。
本発明は、生体内に90Yを投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、二次元画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、90Yの異常増殖組織又は細胞からなる特定腫瘍部位の増殖抑制及びそれに伴う疼痛軽減のために適用する90Y線量を定める適用90Y線量設定方法を提供する。
本発明に使用される90Yは、いわゆるキャリアフリー(全ての原子が90Y)であり、近年利用しようとしている89Y→90Y(n→r)で製造されるものとは全く異なるものである。
因みに、米国等で医薬品として許可されている89Srは、末期骨癌患者に対する疼痛軽減のために使用される。この89Srは、88Sr(安定同位元素)を原子炉でn→r反応によって製造されるもので、収率が1/100〜1/1000程度と低く、しかも、生体内注入に際しては、89Sr中に多量に含有する88Srは、89Srとともに生体内に注入され、骨に永続的に沈着する。このものは、骨の再生機能(造骨と破骨)に影響を及ぼすおそれがある。また、89Srは、β放射線を放出する核種で、そのエネルギーは、1.2MeV程度であるが、その半減期は50日程度で、90Y(半減期2.5日)より遥かに長く、全身に対しての放射線影響を与える。
これに対し、本発明における好適な放射性核種である90Yは、前述の通り、キャリアフリーであり、元素としてのY元素の骨への沈着は無視される量である。そして、Sr元素の哺乳類体内の局在沈着部分は、骨及び消化管であるのに対し、90Yは消化管への沈着も放射線影響も皆無である。
90Yの骨への沈着に伴う90Y放射線エネルギーの骨髄への影響は、90Y投与量の増加に伴って大きくなることが予想される。本発明においては、5μCi/25g程度で、90Y沈着部の近傍の細胞群に致死的影響が認められた。しかし、これによる骨癌形成部に強く伝播する疼痛は軽減されるので、十分な制癌治療の後に新鮮骨髄(肝細胞も可)移植を行うことにより、患者の治療に顕著な効果を期待することができる。
本発明は、悪性腫瘍等の異常増殖中の組織又は細胞を有する生体内に投与された薬物の薬理効果(増殖抑制又は阻止)を早い段階で可視的に表示することができる。そして、本発明の二次元画像化法を使用すれば、画像化の反応時間が24時間程度、結果判定のための二次元解析画像の作製までの所要期日が3日程度で、短期間に新薬候補品のスクリーニングを完了することが可能となる。
本発明は、組織の成育、再生に伴う細胞分裂の前期におけるDNA複製のごく短期間(約3分)にのみ機能する[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを用いているもので、正常と異常両者の細胞分裂を抑制する閾値の差を有する抗癌薬のスクリーニングが可能となる。即ち、本発明は、正常と異常それぞれの細胞分裂を抑制する場合のそれぞれの違った閾値を有する抗癌剤を提供することが可能となる。
更に、本発明は、前記二次元定量画像化法又はそれらを用いた前記の強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等を利用する、新薬候補のスクリーニングを行うこと特徴とする迅速新薬スクリーニングシステムを提供することができる。
以上説明してきた実施形態は、単に、生体内の組織又は細胞を対象とするのみならず、生体の組織又は細胞の一部生体外に摘出した組織又は細胞をも同様に対象にして、二次元定量画像化法を適用することができ、該二次元定量画像化法に基づいて、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等を利用する、新薬候補のスクリーニングを行うこと特徴とする迅速新薬スクリーニングシステムを提供することできる。
生体内の組織又は細胞を対象とする実施形態は、いずれも、培養する過程を追加する他は、そのまま生体の組織又は細胞を生体外に摘出した組織又は細胞を対象にする場合に適用できるので、生体の組織又は細胞を生体外に摘出した組織又は細胞を対象とする実施形態についての重複する説明は省略する。しかし、これにより、本発明を限定するものではない。
生体の組織又は細胞を生体外に摘出した組織又は細胞を対象とする実施形態は、癌医療分野の予防方法、治療方法、更には、予防方法、治療方法の具体的な処方箋を明確にする上で、極めて重要かつ有用なものである。例えば、個人別に最適な治療薬の適正投与量を明確にすることができ、癌の予防、治療が的確になり、医療の進歩に大きく貢献するものである。
実施例
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これらの実施例に何等限定されるものではない。
実施例1
Balb Cヌードマウスの背部に、平面培養で育てたHu09株(ヒト骨肉腫)を10個接種し、3週間後やや増殖した肉芽からコラーゲン層を形成している個体を実験に供した。1匹当たり、[2−14C]チミジン(アマーシャムファルマシアジャパン株式会社製)の55mci/mmol(2GBq)のごく一部2μCi(3.6MBq)を尾静脈内に投与し、1時間後にエーテルで麻酔死させ液体窒素で急凍した。この個体をLeica Macrocutを用いて、縦側断面の厚み50μmの全身切片を作製し、それら切片を密閉容器に収めて真空下凍結乾燥させた。この乾燥切片と富士イメージングプレートを暗箱内で密着露光後、IPを富士BAS2000で処理しデジタル画像を作製した(図1)。図1に示すように、14C軟電子線画像からマウスの背部に骨肉腫が黒化像として認められた。その他の14C画像は消化管粘膜・骨髄と骨・脾臓および皮膚に認められ、その他の主要組織上には黒化像を認められなかった。
この結果から、上記部分を除くマウス体内組織では、[2−14C]チミジンの利用は皆無と見なしてよいことが判る。これら黒化像陽性の部分についてミクロオートラジオグラフを解析した結果、DNA複製に関与していない部分は骨及び骨髄であった。骨には黒化銀粒子の真下には分裂細胞の像はなく、また、骨髄の黒化銀はリンパ細胞の周縁に派生して認められる(図2、図3、図4及び図5)。
ここで、図1〜図5について詳述する。図2は、図1に示すマウスの消化管(小腸)の光学顕微鏡レベルでのオートラジオグラフとして拡大した写真図(ミクロオートラジオグラフ)である。図2によれば、小腸粘膜上皮の基部で新生の粘膜、絨毛細胞群の核上に標識チミジンが取り込まれた状態(黒点)が示されていることが判る。
図3は、図1に示すマウスの大腿骨の断面における骨髄(左下部)及び硬骨(右上部)を示すミクロオートラジオグラフである。図3によれば、骨髄中の多数のリンパ細胞表面には、標識チミジン由来のHCOイオン(小さい黒点部分)が示され、また、硬骨中にも黒点が認められることが判る。
図4は、リンパ細胞の増殖時の正常細胞分裂を示す脾臓のミクロオートラジオグラフ(免疫細胞のうちのT細胞群)である。図4におけるT細胞群(黒点)は、骨髄の細胞とは異なり細胞が将来新生すると予定されることを示し、細胞核の真上にあることが示されている。
図5は、異常増殖部(HU90)の増殖細胞を示すミクロオートラジオグラフである。図5における細胞の真上に黒点があるところは、将来細胞増殖することを予定しているため標識チミジンの取り込みを示している。
黒化像の認められた部分の消化管粘膜、骨髄、骨、脾臓、皮膚及び骨肉腫についてそれぞれ密閉型のフラスコの中に一定部分を移し、2N硫酸を加えて窒素ガス通気下加熱したところ、14COの発生が認められた。骨髄、骨、脾臓の3部分に、特に、骨で多くの14COガスの発生があった。骨肉腫も一部分の14CO発生が認められた。
実施例2
上記実施例1と同様条件で調製した[2−14C]チミジンを、正常マウスに静脈内投与し、投与3分後の正常マウスの全身マクロオートラジオグラフを図6に示した。図6は、消化管内容物上の黒化像を除いては、ほぼ均一の黒化像を示している。しかし、14Cの放射線による黒化像を詳細に観察すると、消化管粘膜、脾臓及び皮膚の部位には、他部分より強い黒化像が認められる。このことから、投与後3分でマウスの細胞分裂を惹起している部分は、[2−14C]チミジンがDNA複製時に利用されたことわかる。図6で、黒化像の認められる他の部分は、骨と骨髄を除いて、投与1時間後にはすべて体外に14C成分が排泄されてしまうことは、図1から明らかである。
正常マウス(Balb C)の尾静脈に、[2−14C]チミジン2μCi/0.1ml水溶液を注射した3分後に、液体窒素で凍結し、Leica Macrocutでスライスした。次いで、IPとコンタクトさせ、16時間後にコンピュータ画像化し解析した。解析の結果、全身はほぼ均等化した分布を示したが、腸粘膜が示される図6の下の図(正中面)では、骨(脊椎)に高い濃度となり、図6の上の図及び中央の図では、腎皮質と脾臓に高い濃度となった。
実施例3
接種されたヒト肉腫HU09の成育に伴う新生細胞群(proliferating cells)とヌードマウス正常組織中の新生細胞群との間における90Yによる強エネルギー粒子線(−β電子線)に対する影響の差を調べた。90YClは、90Srを母核とする娘核として得られる90Yの塩酸塩である。それ故に、90Yは、89Y以外に他の同位体元素を含まない(いわゆるキャリアフリー)ものでである。90Srは、285Uの崩壊により生じ、235Uの全崩壊娘核中約7%含有するが、この90Srのみを純粋に分離するには優れた技術を必要とする。特に、医薬品として治療に用いる際には、235Uから派生するα粒子発生核種が混入することは、我が国では認められていない。
さて、このような90Yをマウス尾静脈に投与した後の体内局在分布を下記の実験により調べた。先の実施例1及び2に記載のBalb Cマウス(体重25g)と同様の入手先から入手した動物を用いた。雄性マウスの1匹当たり0.5μCi(18.5kBq)の90YClクエン酸水溶液を尾静脈内に投与後、経時的に10分、1、6、24及び48時間の合計5時点に、それぞれの動物をエーテル麻酔下で死亡させ、先の実施例1および2と同様の要領でマクロ全身オートラジオグラフを作製した(図7、図8、図9、図10、図11)。
各時点のIP画像から、90Yはマウス体内に局在し、骨格部分に最大濃度の集積(全投与量の70%以上)が認められた。その他の部分は、投与後の時間経過に伴って速やかに減少し、投与24時間後の個体では僅かに肝臓、脾臓及び腎臓に90Yの残留が認められた。また、骨肉腫HU09の部分は、マウス本体の骨組織と全く同等の黒化像を示した。この画像の解析結果から、常時組織の新生、再生が行われる皮膚、消化管及び血管等の上皮組織には90Yが局在せず、骨、骨髄に局在があり、また、肝臓と脾臓に僅かに局在があることが明らかとなった。実施例3の結果は極めて重要であり、90Y核種の発生する−β粒子線(電子線)のエネルギーは2.28MeVに達し、本核種集積部分の約20mm直径範囲内の生存組織細胞は多かれ少なかれ生存の異常生理活性状況に置かれることとなる。90Yの放射線量が十分に高ければ、勿論致死することは当然である。この線量率は、完全に周辺細胞活性の異常化と鋭敏に比例し、かつ90Y局在部位からの距離の二乗に反比例している。
実施例4
90Yは、マウス体内に局在することが明らかとなったので、その放射線量の増加に伴う局在部位の細胞分裂能との関係を明らかにする目的で下記の実験を行った。
雄性Balb Cマウス群の尾静脈内に、90YClの0.5μCi(18.5kBq)、2μCi(74kBq)及び10μCi(370kBq)の3群の放射線量がそれぞれ各投与群6匹ずつ(合計18匹)に注射した。各90Y投与群は、投与1、6、24、48、72及び168時間後に、[2−14C]チミジンの2μCiを投与し、その1時間後にエーテル麻酔死させて実施例1と同様にマクロオートラジオグラフを作製した。第一群の0.5μCi投与においては、ごく僅かな骨髄細胞中のリンパ球による[2−14C]チミジンの分解機能が低下していた(図12)。尚、図12は、90Y投与48時間後に[2−14C]チミジンを投与し、1時間後にマウスを処理したときの骨髄組織を示す骨髄のミクロオートラジオグラフである。図12が示すように、骨及び骨髄中のリンパ細胞上で、黒化銀が殆ど認められないことが判る。
図12の画像を得るに際して、[2−14C]チミジンを投与して1時間後にマウスを死亡させ、マウス凍結の薄切り切片を作製し、直ちに切片の上に10μm厚のアルミ箔を5枚重ねてからIPと密着させることで90Yの画像のみを得た。これだけでは[2−14C]チミジンの画像は得られないので、90Yの6半減期(2.5日×6=15日)以上を経てから、IPに保存されていた上記の全身薄切り切片を密着露光させることで[2−14C]チミジンの画像が得られる。ここで、もしも、両放射線核種の画像を同時に得ようとすれば、前記薄切り切片に工業用X線フィルムを密着させ、その上に前記アルミ箔を5枚重ねてからIPを載せ密着させて暗箱に保存する。そして、約7日後に取り出さしたX線フィルムを、常法通り写真処理して画像化し、IPはFuji BAS 2000でコンピュータ処理して画像化する。この方法によって、主として14Cを工業用X線フィルム画像で得ることができる。また、90YをIP画像で得ることができる。
本実施例で得たマウス異常及び正常増殖細胞に及ぼす90Yの放射線量の影響を示す結果を集計し、表1に示す。尚、表1は、[2−14C]チミジンのDNA複製時取り込みを指標としたマウス異常増殖組織又は細胞及び正常増殖組織又は細胞に及ぼす90Yの放射線量と細胞分裂抑止力の相関関係(指標組織消化管粘膜(m)、骨髄(b)、腫瘍(T))を示す。
Figure 2002031492
以上の実施例の結果から、次のことが判る。1)[2−14C]チミジンは、DNA複製時の細胞を分裂時の約1日前に予知するための優れた指示薬としての働きを示す、2)[2−14C]チミジンは、哺乳類体内に注入後3分未満でDNAに取り込まれ、その後はその機能を速やかに失って分解代謝し、14Cは体内で14COとなり体外へ放出され、指示薬として何ら結果に影響を与えない、3)14COの骨形成反応の活性の指標に有用であり、これを活用して骨肉腫内の骨形成ならびに硬骨に発生した骨肉腫の異常骨形成の活性度の指標となる。
更に、90Yは2.28MeVの極めて高いエネルギーの−β線を放射し、生体細胞への影響はその放射線量に比例した効果を示す。しかし、その放射線エネルギーの飛程は、短距離に限定されていて、生体内有効最大飛程半径は10mm程度である。また、90Yの半減期は僅かに2.5日程度である。しかし、その取り扱いは、多くの工夫が、安全上求められている。本発明は、90Yを生体内の特定局在部位で活用するための優れた方法を提案するものである。本発明によって、90Yを安全且つ最大の効果を保証できる適用量で利用する道が拓けたこととなる。物理的、化学的に純度の高い90Yであれば、生体内(ヒトを含めて)への2μCi/25g(ヒト体重に換算して5.6mCi/70kg)の静脈内投与によって、投与後6時間以降168時間に亘って骨肉腫の異常増殖をポジティブに抑制し、増殖に伴って予想される不眠、疫病、頭痛、発熱、食欲不振、下痢等の抑制に効果があるものと期待される。これにより、モルヒネ投与など麻薬使用を軽減又は中止され得れば、癌の化学療法の進歩と相補って制癌治療薬としての効能も現実化される可能性が高い。
実施例5
実施例2と同様に、[2−14C]チミジンをマウスの静脈内に注射し、注射3分後の生体切片のマクロオートラジオグラフイ二次元画像解析を行った。このマクロオートラジオグラフイにおいて、すでに小腸、大腸などの消化管粘膜上の基底層に[2−14C]チミジンの取り込みを示唆するオートラジオグラフイ特有の現象が認められたことから、僅かに3分程度の時間の範囲でも、S1期(分裂の過程を分類した分裂前期)のごく短い時間で将来細胞分裂を行う細胞に、[2−14C]チミジンが取り込まれることが明らかとなった。これに基づいて、下記の実施例に示すようなin vitro(生体から取り出した培養液内実験)の実験系で[2−14C]チミジンの小腸基底部への取り込み実験を行った。
材料として、健常Wistar系雄性ラット7週令の空腸部を用いた。まず、エチルエーテル麻酔下に腹部を開き、空腸部を露出させ、その部位にメチレンブルーをマーカーとして、マークを施した。その近辺に[2−14C]チミジンの0.05mlの水溶液中5μCi(185kBq)を筋層と粘膜層の境界の支持組織中に注入し、5分間放置後、マーカー部を2cm長に結紮して取り出し、液体窒素を用いて、凍結固定した。その後ミクロトームによって、凍結切片を作製後、セミミクロオートラジオグラフを作製した。図13にその結果を示した。黒化像は、明らかに腸管粘膜基底層に記録されていた。
次に、健常Wistar系雄性ラット7週令の空腸部を用い、エチルエーテル麻酔下腹部を開き、空腸部分を約2〜4cm長切除した。この切除空腸の筋層と粘膜層の境界の支持組織部分に先に記載した方法で[2−14C]チミジン水溶液0.05ml中5μCi(185kBq))を注入し、直ちにWaymouth培養液度法(プロタミン12×10%含有)中に浴遊させ、10分間37℃で培養を行った。その後、直ちに液体窒素中で凍結して、ミクロトームによって、凍結切片とした。この切片からセミミクロオートラジオグラフを作製した。
図14に結果を示した。図14から明らかなように、腸管粘膜基底層に顕著な黒化像を認めた。[2−14C]チミジンの取り込み事実から、in vitroの実験系においても十分に細胞分裂能の有無を判定できることが明らかとなった。
これらの実験結果から、簡単な試験管内試験(in vitro)の系であっても[2−14C]チミジンは、細胞分裂能(その試薬が細胞核内に取り込まれた場合は1〜2日の期間中に細胞分裂が確実に生起することから、取り込みの実証される細胞数と非取り込みの細胞数の割合からそれら細胞群(組織と呼称)の分裂能を定量的に表示できる)の評価法として極めて鋭敏であり、簡単なin vitroの試験結果が複雑な生体を用いたin vivo試験の結果を容易に定量的に推定できることが明らかとなり、その実用価値は極めて大きい。
産業上の利用可能性
本発明は、悪性腫瘍等の異常増殖中の組織又は細胞を有する生体内に投与された薬物の薬理効果(増殖抑制又は阻止)を早い段階で可視的に表示し、短期間に新薬候補品のスクリーニングを完了し、短期間に治療薬の適性な使用処方を確立する方法を提供する。更に、強エネルギー粒子線の至適投与量を判定する方法、治療薬の化学的安定性保持部分の割合等を判定する方法、強エネルギー粒子線の致死効果を判定する方法、器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定する方法、90Yの適用線量を設定する方法等を提供する。これらは、癌医療分野に於ける癌の予防と治療の両面に、極めて有益な手法を提供し、以て、癌医療の進歩に大きく貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、癌移植後7日日のBalb Cマウスに[2−14C]チミジンを静脈内投与した1時間後の全身オートラジオグラフである。
図2は、図1に示すマウスの消化管(小腸)のミクロオートラジオグラフである。基底部腸腺細胞を示している。
図3は、図1に示すマウスの大腿骨の断面における骨髄(左下部)及び硬骨(右上部)のミクロオートラジオグラフである。
図4は、脾臓(大部分が白血球とリンパ細胞とからなる)のミクロオートラジオグラフ(免疫細胞のうちのT細胞群)である。
図5は、異常増殖部(Hu09)の増殖細胞を示すミクロオートラジオグラフである。
図6は、[2−14C]チミジンを静脈内投与後3分の正常マウスの全身マクロオートラジオグラフである。
図7は、正常Balb Cマウスに90Yを静脈内投与10分後の全身オートラジオグラフである。
図8は、正常Balb Cマウスに90Yを静脈内投与1時間後の全身オートラジオグラフである。
図9は、正常Balb Cマウスに90Yを静脈内投与6時間後の全身オートラジオグラフである。
図10は、正常Balb Cマウスに90Yを静脈内投与24時間後の全身オートラジオグラフである。
図11は、正常Balb Cマウスに90Yを静脈内投与48時間後の全身オートラジオグラフである。
図12は、90Yを投与後48時間に「2−14C]チミジンを投与1時間後のマウスを処理したときの骨髄組織を示す骨髄のミクロオートラジオグラフである。
図13は、露出させたマウス空腸部に[2−14C]チミジンを注入処理したときのミクロオートラジオグラフである。
図14は、切除した空腸部に[2−14C]チミジン90Yを投与後48時間に[2−14C]チミジンを注入処理したときのミクロオートラジオグラフである。

Claims (22)

  1. 生体内における異常増殖組織又は細胞を、[2−14C]チミジン又は[1,3N]蛍光チミジンを指標とする二次元画像解析によって、正常増殖組織又は細胞から識別し、定量することを特徴とする二次元定量画像化法。
  2. 前記二次元画像を、マクロオートラジオグラフにより表現することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の二次元定量画像化法。
  3. 生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種と[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与した後、その生体から切片を作製し、該切片の上にX線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレートを重層させて露光させるか又は蛍光分析測定装置によって測定することにより、前記放射性核種及び前記チミジンそれぞれの二次元画像を同時に得ることを特徴とする二次元定量画像化法。
  4. 前記強エネルギー粒子線がα線、−β電子線又は重粒子線であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の二次元定量画像化法。
  5. 生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定することを特徴とする強エネルギー粒子線の至適投与量判定方法。
  6. 前記強エネルギー粒子線が、α線、−β電子線又は重粒子線であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の至適投与量判定方法。
  7. 生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定することを特徴とする治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間判定方法。
  8. 生体内に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、強エネルギー粒子線による異常増殖組織又は細胞の致死効果の判定を迅速に行うことを特徴とする致死効果判定方法。
  9. 生体内に器官特異的薬効を示す薬物を投与し、該薬物を投与する前又は後の所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定することを特徴とする薬効判定方法。
  10. 生体内に、90Yを投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与し、請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、90Yの異常増殖組織又は細胞からなる特定腫瘍部位の増殖抑制及びそれに伴う疼痛軽減のために適用する90Y線量を定めることを特徴とする適用90Y線量設定方法。
  11. 請求の範囲第1項〜第4項の何れかに記載の二次元定量画像化法又は請求の範囲第5項〜第10項の何れかに記載の方法を使用して、新薬候補のスクリーニングを行うことを特徴とする新薬候補スクリーニングシステム。
  12. 生体内から一部分の組織又は細胞を体外に摘出し、その摘出した部分に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与し、培養した後、切片を作製し、該切片の上に放射線及び蛍光感光材を密着させて前記チミジンの放射線又は蛍光の二次元画像解析により、異常組織又は細胞を正常組織又は細胞から識別し、定量することを特徴とする二次元定量画像化法。
  13. 前記二次元画像を、マクロオートラジオグラフにより表現することを特徴とする請求の範囲第12項に記載の二次元定量画像化法。
  14. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種と[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを投与、培養した後、その組織又は細胞から一切片を作製し、該切片の上にX線感光材、放射線吸収材及びイメージングプレートを重層させて露光させるか又は蛍光分析測定装置によって測定することにより、前記放射性核種及び前記チミジンそれぞれの二次元画像を同時に得ることを特徴とする二次元定量画像化法。
  15. 前記強エネルギー粒子線がα線、−β電子線又は重粒子線であることを特徴とする請求の範囲第15項に記載の二次元定量画像化法。
  16. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、請求の範囲第12項〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させる強エネルギー粒子線の至適投与量を判定することを特徴とする強エネルギー粒子線の至適投与量判定方法。
  17. 前記強エネルギー粒子線が、α線、−β電子線又は重粒子線であることを特徴とする請求の範囲第16項に記載の至適投与量判定方法。
  18. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を含む治療薬を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、請求の範囲第12〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、異常増殖組織又は細胞を不活性化させるための治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間を迅速且つ正確に判定することを特徴とする治療薬の化学的安定性を保持した部分の割合及び保持時間判定方法。
  19. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に強エネルギー粒子線を放出する放射性核種を投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、請求の範囲第12項〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、強エネルギー粒子線による異常増殖組織又は細胞の致死効果の判定を迅速に行うことを特徴とする致死効果判定方法。
  20. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に器官特異的薬効を示す薬物を投与し、該薬物を投与する前又は後の所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、請求の範囲第12項〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより器官特異的薬効を示す薬物の薬効を判定することを特徴とする薬効判定方法。
  21. 生体内から体外に摘出した組織又は細胞に、90Yを投与した後、所定時間に[2−14C]チミジン又は[1,3−N]蛍光チミジンを単回又は複数回投与、培養した後、請求の範囲第12項〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法によって異常増殖組織又は細胞を経時的に識別し、定量することにより、90Yの異常増殖組織又は細胞からなる特定腫瘍部位の増殖抑制及びそれに伴う疼痛軽減のために適用する90Y線量を定めることを特徴とする適用90Y線量設定方法。
  22. 請求の範囲第12項〜第15項の何れかに記載の二次元定量画像化法又は請求の範囲第16項〜第21項の何れかに記載の方法を使用して、新薬候補のスクリーニングを行うことを特徴とする新薬候補スクリーニングシステム。
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