JPH09291333A - 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法 - Google Patents

接種調製快削鋳鉄及びその切削方法

Info

Publication number
JPH09291333A
JPH09291333A JP10516796A JP10516796A JPH09291333A JP H09291333 A JPH09291333 A JP H09291333A JP 10516796 A JP10516796 A JP 10516796A JP 10516796 A JP10516796 A JP 10516796A JP H09291333 A JPH09291333 A JP H09291333A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting
cast iron
weight
cutting tool
cao
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10516796A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroaki Iwabori
弘昭 岩堀
Kunio Naito
国雄 内藤
Kazutaka Okura
和孝 大庫
Hiroichi Shirakawa
博一 白川
Shuzo Kamiguchi
周三 上口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10516796A priority Critical patent/JPH09291333A/ja
Publication of JPH09291333A publication Critical patent/JPH09291333A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】接種剤の組成と添加量及び切削条件を改良する
ことで、機械的性質と切削工具の寿命の両方を向上させ
る。 【解決手段】Si:70〜75重量%、Al:2.0〜
3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重量%、残部Fe
よりなる接種剤を鋳鉄溶湯に0.1〜0.5重量%添加
してなる鋳鉄を鋳造後、TiCを含有又は被覆した切削
工具で切削し切削工具表面にCaO−SiO2 −Mn2
3 、SiO2 −CaO及びFe2 3 −CaO−Si
2 から選ばれる少なくとも一種の保護酸化物層を形成
する。保護酸化物層により切削工具の耐摩耗性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接種剤の接種効果
により快削性を有する鋳鉄と、その鋳鉄の切削方法に関
する。本発明の接種調製快削鋳鉄は、機械的性質が向上
するとともにきわめて良好な快削性を示す。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄の製造に際して、鋳鉄溶湯に接種剤
を添加することが一般に行われている。この接種剤を添
加する目的は、 (1)鋳鉄の白銑化によるチル化防止 (2)黒鉛化の促進 (3)黒鉛形状の改良と微細化 (4)共晶セル数の増加による組織の緻密化 (5)肉厚差による組織の不均一性の解消 (6)機械的性質の向上 などであり、目的に応じて種々の接種剤が用いられてい
る。
【0003】接種剤の種類としては、Fe−Si系(S
i:40〜80重量%)、Ca−Si系(Ca:35〜
40重量%)及び黒鉛系などが知られている。このうち
Fe−Si系接種剤は最も一般的な接種剤であるが、接
種効果が小さく、しかも不安定であるため比較的低級な
品位の鋳鉄に使用されている。またFe−Si系接種剤
に、さらにCa、Ba、Sr、C、Zr、Alなどを
0.5〜3.0重量%混合した接種剤も、主としてチル
化防止の目的で採用されている。しかし冷却速度の遅い
中型大型の鋳造品の場合には、このようなFe−Si系
接種剤を添加しても方向性を有する黒鉛形状しか得られ
ず、均一な黒鉛形状を得ることは困難である。
【0004】一方、Caが35〜40重量%含まれるC
a−Si系接種剤は、チル化防止、組織の均一化、機械
的性質の向上などに優れた効果をもち、また中型大型の
鋳造品でも均一な黒鉛形状が得られる。しかし、Ca−
Si系接種剤は溶解性が悪いことや、多量のスラグを発
生するといった使用上の問題が多い。さらに黒鉛系接種
剤は、チル化防止には優れた効果をもつものの、接種剤
中のCが5重量%以上になると粗大黒鉛を発生すること
が多い。またCが5重量%未満では、接種剤としてのC
の作用が少ない。
【0005】このような事情に鑑み、特開昭57−35
607号公報には、小型鋳造品を量産する場合のチル化
を防止するとともに、接種効果が時間の経過とともに減
退するフェーディング現象を防止する接種剤が開示され
ている。また特開平2−47213号公報には、中型大
型の鋳造品の組織を改善して均一化を図るとともに、溶
解性を改善してスラグの発生を抑制できる接種剤が開示
されている。
【0006】また特開平6−279917号公報には、
Si含有量を特定の範囲とし、またその粒度を従来より
微細化することにより、5mm以下の薄肉球状黒鉛鋳鉄
でもチル化防止と微細黒鉛粒の生成を促進できるFe−
Si系接種剤が開示されている。ところで鋳鉄は鉄鋼に
比べて快削性を示し、鋳造後の切削加工における工具寿
命についてはそれほど注目されていない。しかし現在社
会においては、地球規模的に省資源技術が要求され、鋳
鉄においてもさらなる切削性の向上が求められている。
ところが鋳鉄の快削性は機械的性質と背反関係にあり、
快削性を向上させるために硬度を低くすれば機械的性質
が低下し、機械的性質を満足させるために硬度を高くす
れば切削工具の寿命が短くなるという問題がある。
【0007】例えば球状黒鉛鋳鉄FCD系は、電気炉や
キューポラ内で地金材料を溶融し、黒鉛の球状化処理を
行い、球状化した黒鉛粒数の確保及び均一分散のために
接種処理を行った後に鋳型で鋳造され、その後製品形状
に切削加工される。ところが従来の球状黒鉛鋳鉄は、原
材料の銘柄や配合比及び鋳込み順序などにより、同一硬
度であっても切削性にばらつきが生じていた。そのた
め、加工精度不良や工具折損事故が発生しやすいという
問題がある。また自動切削の場合には、切削性の異なる
部位で自動切削機が停止してしまうという問題がある。
そこでこのような不具合を防止するために、切削速度な
どの切削条件を下げて対処しているが、生産性が低下す
るという問題がある。
【0008】そこで特開平6−108199号公報に
は、不純物元素であるPの含有量を制御することで被削
性を制御することが開示されている。つまりPは切削刃
上に生成する構成刃先の成長を制御すると考えられ、P
の含有量を多くすることで快削性が向上するが、多く含
有しすぎると機械的性質が低下するためこの公報では上
限値を設けている。
【0009】一方、片状黒鉛鋳鉄FC系では、CBN切
削工具を用いて切削速度800〜1000m/minの
条件でフライス切削を行うと、切削速度300〜500
m/minで切削した場合に比べて工具寿命が延長され
ることが報告されている(「機械と工具」、11(19
93)22)。この現象は、片状黒鉛鋳鉄内の非金属介
在物であるFe2 3 −SiO2 及びMn2 3 −Si
2 がCBN切削工具表面に溶着し、それによって工具
の耐摩耗性が向上するためと考えられている。
【0010】すなわちFe2 3 −SiO2 及びMn2
3 −SiO2 の溶融温度と、切削速度800〜100
0m/minで切削した時の摩擦熱による温度とが近似
しているため、CBN工具内のAl2 3 系成分とFe
2 3 −SiO2 及びMn23 −SiO2 との間の親
和性が高まり、Fe2 3 −SiO2 及びMn2 3
SiO2 が工具表面に溶着物層を形成して、それにより
切削工具が保護されるためと考えられている。
【0011】同様に、被削材内の非金属介在物が切削工
具表面に溶着し、それによって耐摩耗性が向上する挙動
は、例えば特公平7−84612号公報に記載されてい
るように、脱酸調製快削鋼の場合にも認められている。
これは、鋼材の製造時にCa−Si又はFe−Si脱酸
を行うことによって、低溶融温度の非金属介在物である
CaO−SiO2 −Al2 3 系酸化物が鋼材内に生成
し、切削加工時に切削工具表面に溶着することによって
耐摩耗性が向上するものである。
【0012】そしてこのような挙動を示す非金属介在物
としては、CaO−2SiO2 −Al2 3 、2CaO
−SiO2 −Al2 3 などが例示され、これらの非金
属介在物の溶融温度が切削温度に近づいた時に工具内の
TiCがTiOに変化するとともに非金属介在物との間
で親和性が発生し、非金属介在物が切削工具表面に溶着
することで耐摩耗性が向上すると考えられている。
【0013】しかし切削時の切粉形状を観察すると、鉄
鋼の場合には刃先部近傍の鋼内に激しい塑性変形が発生
するために連続型であり、鋳鉄では脆性材料の破砕現象
に近似した分断型である。この事実から両者の切削温度
では、鋳鉄に比べて鉄鋼の場合の方が高温であると推定
される。したがってCaO−2SiO2 −Al2 3
2CaO−SiO2 −Al2 3 などの非金属介在物
は、鋼材の切削加工時には有効に作用するものの、鋳鉄
の場合にはそれほど切削温度が上昇しないので耐摩耗性
の向上効果は得られない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、鋳鉄
の快削性は機械的性質と背反関係にあり、快削性を向上
させるために硬度を低くすれば機械的性質が低下し、機
械的性質を満足させるために硬度を高くすれば切削工具
の寿命が短くなってしまう。本発明は接種剤の組成と添
加量及び切削条件を改良することで、この背反事象を両
方とも満足させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載の本発明の接種調製快削鋳鉄の特徴は、Si:
70〜75重量%、Al:2.0〜3.5重量%、C
a:1.0〜6.0重量%、残部Fe及び不可避の不純
物よりなる接種剤を鋳鉄溶湯に0.1〜0.5重量%添
加してなる鋳鉄であって、鋳造後TiCを含有又は被覆
した切削工具で切削した際に切削工具表面にCaO−S
iO2 −Mn2 3 、SiO2 −CaO及びFe2 3
−CaO−SiO2 から選ばれる少なくとも一種の保護
酸化物層を形成可能としたことにある。
【0016】また上記課題を解決する請求項4記載の本
発明の接種調製快削鋳鉄の切削方法の特徴は、Si:7
0〜75重量%、Al:2.0〜3.5重量%、Ca:
1.0〜6.0重量%、残部Fe及び不可避の不純物よ
りなる接種剤を鋳鉄溶湯に0.1〜0.5重量%添加し
てなる鋳鉄を鋳造後、TiCを含有又は被覆した切削工
具で切削し切削工具表面にCaO−SiO2 −Mn2
3 、SiO2 −CaO及びFe2 3 −CaO−SiO
2 から選ばれる少なくとも一種の保護酸化物層を形成す
ることにある。
【0017】なお、請求項2及び請求項5に記載のよう
に、接種剤としてSi:70〜75重量%、Al:2.
0〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重量%、B
a:0.3〜0.5重量%、残部Fe及び不可避の不純
物よりなるものを用いることもできる。また請求項3及
び請求項6に記載のように、接種剤の添加量は鋳鉄溶湯
に0.15〜0.30重量%の範囲とすることが特に好
ましい。
【0018】そして鋳鉄として片状黒鉛鋳鉄FC系を用
いる場合には、請求項7に記載のように200〜500
m/minの切削速度で切削することが望ましく、球状
黒鉛鋳鉄FCD系又はバーミキュラ黒鉛鋳鉄FCV系を
用いる場合には、請求項8に記載のように100〜30
0m/minの切削速度で切削することが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】前記したように、接種剤の添加は
鋳鉄における黒鉛の生成を助長するためにその核となる
こと、またその成長過程を制御することで黒鉛形状及び
共晶セルの数と形状を制御し鋳鉄組織を安定化させるこ
とを目的としている。一方、片状黒鉛鋳鉄をCBN切削
工具で切削した場合、又はCa−Si脱酸鋼をTiCを
含む切削工具で切削した場合に、被削材内の非金属介在
物が切削工具上で溶着物層を生成し、これにより耐摩耗
性が向上することがわかっている。
【0020】これらの知見より、本発明者らは接種剤の
組成と添加量を選定することにより、接種剤本来の目的
である黒鉛形状及び共晶セルの数と形状を調整して鋳鉄
組織を安定化させるとともに、鋳造後の切削加工時の切
削工具寿命を延長することを想起した。そこで従来のF
e−Si系接種剤に注目すると、Fe−Si系接種剤は
最も一般的な接種剤であるが、接種効果が小さく、しか
も不安定であるためCa、Ba、Sr、C、Zr、Al
などを0.5〜3.0重量%混合して用いられている。
しかし本発明の目的を達成するためには、切削工具の寿
命を延長する適切な酸化物の生成を促進させるAlとC
aの適量添加が必要となる。
【0021】またCa−Si系接種剤に注目すると、こ
れはCaを35〜40重量%と多く含むために、生成が
予想される保護酸化物層中のCaO成分が多くなる。そ
のため酸化物の溶融温度が2000℃を超える高温側と
なり、切削速度を高速としても切削温度を溶融温度に近
似させることが困難となる。したがって切削工具表面に
保護酸化物層を形成することが困難となり、工具寿命を
延長することは困難である。
【0022】さらに黒鉛系接種剤に注目すると、Siと
Alが十分に含有されていないため、切削工具表面に保
護酸化物層を生成させることは困難である。そこで本発
明ではFe−Si系接種剤に注目し、切削工具の寿命を
延長する適切な酸化物の生成を促進させるAlとCaを
適量添加することとした。これにより鋳造後TiCを含
有又は被覆した切削工具で切削した際に、切削工具表面
にCaO−SiO2 −Mn2 3 、SiO2 −CaO及
びFe2 3 −CaO−SiO2 から選ばれる少なくと
も一種の保護酸化物層が形成される。これらの酸化物
は、本発明にいう接種剤及び鋳鉄に含まれる元素から生
成される。
【0023】ここで、Siは接種処理に大きな役割をも
つため、あまり少なくすることはできない。またAlと
Caの量が多いと、切削時に生成するべき保護酸化物層
の溶融温度が2000℃を超えてしまい、切削工具表面
に耐摩耗性を示す保護酸化物層を形成することが困難と
なる。一方AlとCaの量が少ないと、保護酸化物層の
生成が不十分となる。したがって本発明では、Si:7
0〜75重量%、Al:2.0〜3.5重量%、Ca:
1.0〜6.0重量%、残部Fe及び不可避の不純物よ
りなる接種剤を用いることとした。
【0024】Siを75重量%を超えて含有させると、
AlとCaの添加量が少なくなり過ぎて保護酸化物層の
生成が不十分となる。また70重量%より少ないと、S
iO 2 の生成量が減少するため生成する酸化物の溶融温
度が2000℃を超えてしまい、切削工具表面に耐摩耗
性を示す保護酸化物層が形成されない。AlとCaは、
Fe−Si系の接種剤に安定した接種効果を与え、かつ
保護酸化物層の生成を促進させるものであり、それぞれ
Al:2.0〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重
量%の範囲とする。Al及びCaの添加量がこの範囲よ
り少ないと保護酸化物層の生成が困難となり、この範囲
より多く添加するとCaOやAl2 3 が複数個連結し
た構造の酸化物が生成してその溶融温度が2000℃を
超えてしまう。
【0025】なお上記接種剤には、さらにBaを0.3
〜0.5重量%含むことが好ましい。Baの存在により
各元素の相乗作用が発揮され、接種剤が黒鉛生成の核と
なって安定した成長が一層促進される。これにより引張
り強度を始めとする機械的性質が一層向上する。Baの
添加量が0.3重量%より少ないとこの効果が得られ
ず、0.5重量%を超えて添加しても効果が飽和すると
ともにコストが高騰する。
【0026】上記接種剤は、鋳鉄溶湯中に0.1〜0.
5重量%添加される。この添加量が0.1重量%より少
ないと保護酸化物層の生成が困難となり、0.5重量%
を超えて添加すると多量のスラグが発生し鋳造作業の妨
げとなる。片状黒鉛鋳鉄の場合にはこの範囲の添加量幅
で十分であるが、通常の安定した地金材料を用いる場合
には0.15〜0.30重量%の範囲とすることが好ま
しい。
【0027】鋳鉄としては、片状黒鉛鋳鉄FC系、球状
黒鉛鋳鉄FCD系、バーミキュライト黒鉛鋳鉄FCV
系、チルド鋳鉄、クロム鋳鉄などを用いることができ
る。本発明の接種調製快削鋳鉄は、鋳造後TiCを含有
又は被覆した切削工具で切削される。切削工具の材質と
しては、WC−Co合金などの超硬合金、TiC−Ni
−Mo系サーメットなどのサーメット、セラミックスな
どが例示される。
【0028】つまり本発明の接種調製快削鋳鉄をTiC
を含有又は被覆した切削工具で切削加工すると、切削加
工時に結合エネルギーの小さいTiCはTiOに変化
し、生成される酸化物と親和性を有するようになる。し
たがって生成する酸化物が切削工具表面に付着又は溶着
し易くなり、切削工具表面に保護酸化物層を形成する。
この保護酸化物層により切削工具の耐摩耗性が向上す
る。
【0029】そして片状黒鉛鋳鉄FC系から形成された
本発明の接種調製快削鋳鉄では、切削加工時の切削速度
を200〜500m/minとする。切削速度が200
m/minより低速であると、切削温度が低すぎるため
に酸化物が生成しないか又は生成しても溶着が困難とな
り、保護酸化物層を形成することが困難となるため耐摩
耗性が低下する。また切粉の一部がFe2 3 に変化
し、それが切削工具と親和性が高いために切削工具に凝
着剥離が生じる場合があり、鋳鉄中に存在する非金属介
在物による切削工具表面の擦過も生じて、耐摩耗性が一
層低下する。
【0030】一方切削速度が500m/minより高速
となると、切削温度が高くなりすぎて生成する酸化物が
十分に溶融して低粘度となり、切削工具表面における溶
着力が減少するため保護酸化物層の形成が困難となる。
また球状黒鉛鋳鉄FCD系又はバーミキュラ黒鉛鋳鉄F
CV系は片状黒鉛鋳鉄FC系に比べて引張り強度が高
く、基地の硬度が高い。したがって片状黒鉛鋳鉄FC系
に比べて低い100〜300m/minの範囲の切削速
度とすれば、上記と同様の作用により切削工具表面に保
護酸化物層を確実に形成することができる。
【0031】すなわち本発明の接種調製快削鋳鉄は、鋳
造後TiCを含有又は被覆した切削工具で切削されるこ
とにより、切削工具表面にCaO−SiO2 −Mn2
3 、SiO2 −CaO及びFe2 3 −CaO−SiO
2 から選ばれる少なくとも一種の保護酸化物層が形成さ
れる。ここでCaO−SiO2 −Mn2 3 は溶融温度
が約1280℃であり、SiO2 −CaO及びFe2
3 −CaO−SiO2 は溶融温度が約1230℃であっ
て、鋳鉄の切削加工時の切削温度と近似している。また
切削工具に含有又は被覆されたTiCは、切削温度によ
りTiOに変化し、同じ酸化物どうしであるため上記酸
化物との親和性が高い。したがって接種剤及び鋳鉄の成
分元素から派生して生成した上記酸化物が切削工具表面
に溶着しやすくなり、切削工具表面に耐摩耗性に優れた
保護酸化物層が形成される。
【0032】さらに接種剤の組成内に含まれる各元素
は、灰鋳鉄における黒鉛生成時の核となり、黒鉛粒子の
形状を均一化させるとともにその成長を促進させる。ま
た共晶セルを微細化させるとともに不純物の偏析が分散
して粒界を不明瞭とするため、粒界すべりが抑制されて
引張り強度が向上する。また結晶中の転移の移動も粒界
表面積の増加によって抑制されるので、引張り強度が向
上する。そして例えばチルド鋳鉄やクロム鋳鉄などで
は、接種剤中の各元素は脱酸剤としても作用し、清純鋳
鉄となることから不純物によるクラックの進展が防止さ
れる。
【0033】本発明において切削工具表面に形成される
CaO−SiO2 −Mn2 3 、SiO2 −CaO及び
Fe2 3 −CaO−SiO2 から選ばれる少なくとも
一種の保護酸化物層は、鋳鉄中に含まれそれが切削工具
表面に溶着または付着してもよく、鋳鉄中には含まれず
切削加工時に生成して切削工具表面に溶着又は付着する
ものであってもよい。また保護酸化物層の構造は結晶で
あってもよいし、非晶質であってもよい。なお、保護酸
化物層を構成するCaO−SiO2 −Mn2 3 及びS
iO2 −CaO及びFe2 3 −CaO−SiO2 は、
それぞれCaO−xSiO2 −Mn2 3 、xSiO2
−CaO及びFe2 3 −CaO−xSiO2 と表さ
れ、SiO2 のモル比を示すxの好ましい範囲はそれぞ
れ1≦x≦3である。xの範囲がこの範囲を外れると、
切削工具表面への保護酸化物層の形成が困難となる。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明の作用
効果を具体的に説明する。 (実施例1・比較例1・比較例2)表1にも示すよう
に、Si:70〜75重量%、Ca:1.2〜1.5重
量%、Al:2.6〜3.1重量%、残部不可避の不純
物とFeからなる接種剤を調製し、片状黒鉛鋳鉄FC系
溶湯中に0.2重量%添加した。そして接種処理された
溶湯から、鋳造により丸棒形状の試験片を作製し、実施
例1の接種調製鋳鉄を得た。
【0035】表1にも示すように、Si:45〜56重
量%、Ca:18.0〜19.0重量%、Al:1.2
〜1.5重量%、残部不可避の不純物とFeからなる接
種剤を調製し、片状黒鉛鋳鉄FC系溶湯中に0.2重量
%添加した。そして接種処理された溶湯から、鋳造によ
り丸棒形状の試験片を作製し、比較例1の接種調製鋳鉄
を得た。
【0036】表1にも示すように、Si:27〜35重
量%、C:44〜54、Ca:0.4〜1.0重量%、
Al:0.5重量%未満、残部不可避の不純物とFeか
らなる接種剤を調製し、片状黒鉛鋳鉄FC系溶湯中に
0.2重量%添加した。そして接種処理された溶湯か
ら、鋳造により丸棒形状の試験片を作製し、比較例2の
接種調製鋳鉄を得た。
【0037】
【表1】 それぞれの試験片の平均硬度、基地硬度、引張り強度を
測定し、結果を表2に示す。また顕微鏡観察により組織
の共晶セル数と黒鉛面積率を測定し、表2に合わせて示
す。さらに実施例1と比較例2の組織の顕微鏡写真を図
1及び図2に示す。
【0038】
【表2】 表2より、実施例1の接種調製鋳鉄は比較例1,2に比
べて硬度及び引張り強度が向上しており、また実施例1
では共晶セル数が比較例に比べて多い。すなわち実施例
1では、共晶セル数の増加に伴って組織が緻密化したた
めに、機械的性質が向上していることがわかる。
【0039】また図1と図2の比較より、実施例1では
比較例2に比べて粒界が不明瞭となっている。すなわち
実施例1では、接種剤の添加によって黒鉛核の発生数が
増加し、それによる共晶セル数の増加に伴って共晶セル
が微細化し、粒界表面積が増加するため不純物偏析が分
散され、組織が緻密化していることが明らかである。次
に、上記3種類の試験片について、Al2 3 −TiC
系セラミックスよりなる切削工具を用い、切削速度50
0m/min、切り込み0.5mm、工具送り0.2m
m/revの条件にて、それぞれ丸棒外周の乾式3次元
旋削を切削距離25kmまで行った。そして切削後の切
削工具の横逃げ面摩耗幅をそれぞれ測定し、結果を図3
に示す。
【0040】図3より、比較例1,2では切削距離が長
くなるにつれて逃げ面摩耗幅が増大しているのに対し、
実施例1の接種調製鋳鉄では逃げ面摩耗幅が切削距離2
5kmまで僅かに増加しただけであり、摩耗量が比較例
1,2に比べて大きく減少している。これは、本実施例
の接種調製鋳鉄がきわめて良好な快削性を有しているこ
とを示している。
【0041】このように実施例と比較例とで逃げ面摩耗
幅に大きな差異が生じた原因を解明するために、EPM
Aにより実施例1と比較例2について切削工具のすくい
面表面を観察したところ、実施例1では切削工具の切刃
稜側でCa、Si、Mn及びOの分布が比較例2より多
いことがわかった。そこでEPMA分析により、切削工
具の正常な表面と切削工具摩耗部表面とについて元素の
詳細な定量分析を行い、結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表3より、比較例2における切削工具摩耗
部の元素組成は切削工具の正常部とほとんど一致してい
るのに対し、実施例1の場合には切削工具摩耗部の元素
組成が正常部と大きく異なり、Si、Mn、Fe、Ca
及びOの濃度が高く、TiとAlの濃度が低くなってい
る。これは、Si、Mn、Fe、Ca及びOが多く付着
したために、切削工具母材の主元素であるTiとAlが
相対的に減少したことで説明される。
【0044】以上の付着元素の観察から、実施例1にお
ける切削工具の摩耗部表面には、CaO−SiO2 −M
2 3 系酸化物又はFe2 3 −CaO−SiO2
酸化物が付着していることが推定された。そこで実施例
1における切削工具の摩耗部表面について、X線回折を
用いて付着物層の物質同定を行った。付着物層はきわめ
て薄いことが顕微鏡観察からわかっていたので、X線の
照射時間を120minと長くし、さらにX線の入射角
度を20度にした傾斜X線回折法を利用した。結果を図
4に示す。
【0045】図4より、結晶構造をもつCaO−SiO
2 −Mn2 3 及びSiO2 −CaOの存在が認められ
る。なお、α−Al2 3 とTiCは切削工具の主成分
であり、AuはEPMAで観察した際に蒸着された成分
である。すなわち、実施例1の接種調製快削鋳鉄が快削
性を示し、切削工具の耐摩耗性が優れているのは、鋳鉄
及び接種剤から派生したCaO−SiO2 −Mn2 3
及びSiO2 −CaOの酸化物層が切削工具表面に形成
されたためと判断される。
【0046】(実施例2)Caの濃度が種々異なること
以外は実施例1と同様の接種剤を用い、実施例1と同様
にして丸棒形状の試験片をそれぞれ製作した。そして実
施例1と同様の切削工具を用いて、切削距離が6kmま
での間における切削工具の横逃げ面摩耗幅を測定し、結
果を図5に示す。
【0047】図5より、接種剤のCa濃度が3重量%の
ときに摩耗幅が最低となり、1重量%及び6重量%では
摩耗幅が僅かに増大する。これから、接種剤中のCa濃
度は1.0〜6.0重量%の範囲が最適であることがわ
かる。 (実施例3)次に、実施例1で調製された丸棒形状の試
験片を用い、表4に示す材質の切削工具を用いて、切削
速度を200m/minと500m/minの2水準採
用したこと以外は実施例1と同じ切削条件で、切削距離
100mまで切削した。そのときの切削工具の横逃げ面
摩耗幅をそれぞれ測定し、結果を図6に示す。
【0048】
【表4】 図6より、TiCを含有する工具(A)及びTiCが被
覆された工具(E)の場合には、いずれの切削速度にお
いても摩耗幅が小さく、酸化物層により切削工具の耐摩
耗性が向上していることがわかる。しかしながら、他の
工具では0.04mm以上の摩耗が認められ、切削工具
におけるTiCの存在が必須であることがわかる。
【0049】すなわち、切削工具表面でTiCがTiO
に変化することから、鋳鉄及び接種剤から派生したCa
O−SiO2 −Mn2 3 及びSiO2 −CaOとの親
和力が発生し、積極的な切削工具表面への付着により形
成された保護酸化物層により耐摩耗性が向上したものと
考えられる。 (実施例4)次に実施例1で調製された丸棒形状の試験
片を用い、表4に示す工具A(Al 2 3 +TiC系)
を用いて、切削速度を100m/minから650m/
minの間で変化させたこと以外は実施例1と同じ切削
条件で、切削距離100mまで切削した。そのときの切
削工具の横逃げ面摩耗幅をそれぞれ測定し、結果を図7
に示す。
【0050】図7より、切削速度が100m/minで
は切刃に破損が生じている。この理由は、切削温度が低
いために酸化物層が形成されなかったこと、及び切粉の
一部がFe2 3 となり、切削工具母材のAl2 3
の間に親和性が発生して凝着剥離を起こしたこと、によ
るものと推定される。また切削速度が650m/min
では摩耗幅が急に増大している。この理由は、切削温度
がCaO−SiO2 −Mn2 3 及びSiO2 −CaO
の溶融温度より高くなったために、CaO−SiO2
Mn2 3 及びSiO2 −CaOが工具表面に溶着する
余裕がなく保護酸化物層が形成されにくくなったことに
よるものと推定される。
【0051】(実施例5・比較例3)実施例1と同様の
接種剤を用い、球状黒鉛鋳鉄FCD系溶湯中に0.2重
量%添加した。そして接種処理された溶湯から、鋳造に
より丸棒形状の試験片を作製し、実施例5の接種調製鋳
鉄を得た。一方、比較例2と同様の接種剤を用い、球状
黒鉛鋳鉄FCD系溶湯中に0.2重量%添加した。そし
て接種処理された溶湯から、鋳造により丸棒形状の試験
片を作製し、比較例3の接種調製鋳鉄を得た。
【0052】それぞれの試験片の平均硬度、基地硬度、
引張り強度を測定し、結果を表5に示す。
【0053】
【表5】 表5より、実施例1に用いた接種剤は球状黒鉛鋳鉄FC
D系にも有効であり、球状黒鉛の成長を均一化させたも
のと考えられる。なお、顕微鏡による組織観察では、実
施例5と比較例3の間に明確な差異は認められなかっ
た。
【0054】上記2種類の接種調製鋳鉄から、実施例1
と同様にして丸棒形状の試験片を鋳造し、表4に示す工
具A(Al2 3 +TiC系)を用いて、切削速度を2
00m/minとしたこと以外は実施例1と同様にして
切削距離25kmまで切削した。そして切削工具の横逃
げ面摩耗幅をそれぞれ測定し、結果を図8に示す。図8
に示すように、比較例3では横逃げ面摩耗幅が切削距離
が長くなるにつれて増大しているのに対し、実施例5の
接種調製鋳鉄では横逃げ面摩耗幅が切削距離25kmま
で僅かに増加しただけであり、摩耗量が比較例3に比べ
て大きく減少している。これは、本実施例の接種調製鋳
鉄がきわめて良好な快削性を有していることを示してい
る。
【0055】このように実施例と比較例とで横逃げ面摩
耗幅に大きな差異が生じた原因を解明するために、EP
MAとX線回折により実施例5と比較例3について切削
工具の摩耗部の組成を調査したところ、実施例5では切
削工具の切刃稜側でCa、Si、Mn及びOの分布が比
較例3より多く、CaO−SiO2 −Mn2 3 系及び
Fe2 3 −CaO−SiO2 系の非晶質複合酸化物、
CaO−SiO2 −Mn2 3 系酸化物、CaO−Si
2 系酸化物が付着していることが推定された。すなわ
ち、実施例5の接種調製快削鋳鉄が快削性を示し、切削
工具の耐摩耗性が優れているのは、鋳鉄及び接種剤から
派生した各種酸化物からなる保護酸化物層が切削工具表
面に形成されたためと判断される。
【0056】(比較例4)次に実施例5で調製された丸
棒形状の試験片を用い、表4に示す切削工具B(Al2
3 系)を用いて実施例5と同じ切削条件で、切削距離
25kmまで切削した。その結果、切削工具の横逃げ面
摩耗幅は0.8mmを示し、比較例2とほぼ同等の耐摩
耗性に劣る結果となった。
【0057】すなわち切削工具BにはTiCが含まれて
いないために、実施例5と同一の接種剤が含まれている
にもかかわらず酸化物と切削工具表面との間の親和性が
発生せず、酸化物層が形成されなかったと考えられ、比
較例2と同様の摩耗進行が生じたと考えられる。 (実施例6・比較例5)実施例1と同様の接種剤を用
い、難削材であるクロム鋳鉄系溶湯中に0.2重量%添
加した。そして接種処理された溶湯から、鋳造により丸
棒形状の試験片を作製し、実施例6の接種調製鋳鉄を得
た。
【0058】一方、比較例2と同様の接種剤を用い、ク
ロム鋳鉄系溶湯中に0.2重量%添加した。そして接種
処理された溶湯から、鋳造により丸棒形状の試験片を作
製し、比較例5の接種調製鋳鉄を得た。次にそれぞれの
試験片を切断し、内部の非金属介在物をEPMA分析に
より調査した。面積1.4mm2 当たりの各成分粒子の
個数を表6に示す。
【0059】
【表6】 表6より、実施例6では比較例5に比べて硬質の非金属
介在物が少なくなっていることがわかる。つまり実施例
1で用いた接種剤をクロム鋳鉄系に用いることにより、
クロム鋳鉄系内部の高硬度非金属介在物を減少させて清
浄化することから、切削加工時に切削工具表面の擦過現
象が低減され工具寿命を延長することができる。また鋳
造品が機能部品として使用され負荷が作用したときに、
クラック発生の核となる介在物が少ないことから、機械
的性質が向上する。
【0060】上記2種類の試験片について、超硬合金P
10よりなる切削工具を用い、切削速度を50m/mi
nとしたこと以外は実施例1と同様にして切削距離15
0mまで切削した。その結果、実施例6では切削工具の
横逃げ面摩耗幅は0.28mmであったのに対し、比較
例5では0.43mmであり、実施例6の試験片の方が
耐摩耗性に優れていた。
【0061】次に実施例6で用いた切削工具の摩耗部に
付着した物質を、EPMAとX線回折により同定した。
その結果、付着物はCaO−SiO2 −Mn2 3 系及
びFe2 3 −CaO−SiO2 系の非晶質複合酸化
物、及びCaO−SiO2 −Mn2 3 系酸化物、Ca
O−SiO2 系酸化物であることが確認された。
【0062】
【発明の効果】すなわち本発明の接種調製快削鋳鉄によ
れば、鋳造品の機械的性質が向上するとともに、切削加
工時に切削工具に保護酸化物層を形成できるので切削工
具の寿命が延長される。したがって機械的性質が向上し
ても従来と同等以上の快削性を維持することができる。
【0063】そして本発明の接種調製快削鋳鉄の切削方
法によれば、切削加工時における切削工具の摩耗が防止
されるので、切削工具の寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の接種調製快削鋳鉄の金属組織を示す
顕微鏡写真である。
【図2】比較例2の接種調製快削鋳鉄の金属組織を示す
顕微鏡写真である。
【図3】切削距離と摩耗幅の関係を示すグラフである。
【図4】実施例1における切削工具表面の付着物のX線
回折チャートである。
【図5】切削距離と摩耗幅の関係を示すグラフである。
【図6】工具の材種と摩耗幅の関係を示すグラフであ
る。
【図7】切削速度と摩耗幅の関係を示すグラフである。
【図8】切削距離と摩耗幅の関係を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 国雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 大庫 和孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 白川 博一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 上口 周三 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:70〜75重量%、Al:2.0
    〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重量%、残部F
    e及び不可避の不純物よりなる接種剤を鋳鉄溶湯に0.
    1〜0.5重量%添加してなる鋳鉄であって、 鋳造後TiCを含有又は被覆した切削工具で切削した際
    に該切削工具表面にCaO−SiO2 −Mn2 3 、S
    iO2 −CaO及びFe2 3 −CaO−SiO2 から
    選ばれる少なくとも一種の保護酸化物層を形成可能とし
    たことを特徴とする接種調製快削鋳鉄。
  2. 【請求項2】 前記接種剤はSi:70〜75重量%、
    Al:2.0〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重
    量%、Ba:0.3〜0.5重量%、残部Fe及び不可
    避の不純物よりなることを特徴とする請求項1記載の接
    種調製快削鋳鉄。
  3. 【請求項3】 前記接種剤は前記鋳鉄溶湯に0.15〜
    0.30重量%添加されていることを特徴とする請求項
    1又は請求項2記載の接種調製快削鋳鉄。
  4. 【請求項4】 Si:70〜75重量%、Al:2.0
    〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重量%、残部F
    e及び不可避の不純物よりなる接種剤を鋳鉄溶湯に0.
    1〜0.5重量%添加してなる鋳鉄を鋳造後、TiCを
    含有又は被覆した切削工具で切削し該切削工具表面にC
    aO−SiO2 −Mn2 3 、SiO 2 −CaO及びF
    2 3 −CaO−SiO2 から選ばれる少なくとも一
    種の保護酸化物層を形成することを特徴とする接種調製
    快削鋳鉄の切削方法。
  5. 【請求項5】 前記接種剤はSi:70〜75重量%、
    Al:2.0〜3.5重量%、Ca:1.0〜6.0重
    量%、Ba:0.3〜0.5重量%、残部Fe及び不可
    避の不純物よりなることを特徴とする請求項4記載の接
    種調製快削鋳鉄の切削方法。
  6. 【請求項6】 前記接種剤は前記鋳鉄溶湯に0.15〜
    0.30重量%添加されていることを特徴とする請求項
    4又は請求項5記載の接種調製快削鋳鉄の切削方法。
  7. 【請求項7】 前記鋳鉄は片状黒鉛鋳鉄FC系であり、
    前記切削工具を用いて200〜500m/minの切削
    速度で切削することを特徴とする請求項4又は請求項5
    記載の接種調製快削鋳鉄の切削方法。
  8. 【請求項8】 前記鋳鉄は球状黒鉛鋳鉄FCD系又はバ
    ーミキュラ黒鉛鋳鉄FCV系であり、前記切削工具を用
    いて100〜300m/minの切削速度で切削するこ
    とを特徴とする請求項4又は請求項5記載の接種調製快
    削鋳鉄の切削方法。
JP10516796A 1996-04-25 1996-04-25 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法 Pending JPH09291333A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10516796A JPH09291333A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10516796A JPH09291333A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09291333A true JPH09291333A (ja) 1997-11-11

Family

ID=14400135

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10516796A Pending JPH09291333A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09291333A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107841588A (zh) * 2017-12-13 2018-03-27 南京浦江合金材料股份有限公司 一种防球铁铸件缩松的硅铝镧孕育剂及其制备工艺
JP2019073801A (ja) * 2013-03-19 2019-05-16 フェロペム 表面粒子を伴う接種剤
JP2019189921A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 いすゞ自動車株式会社 推定装置、推定方法及び、推定プログラム
KR20230079896A (ko) * 2021-11-29 2023-06-07 한국생산기술연구원 구상 흑연 주철의 제조 방법

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019073801A (ja) * 2013-03-19 2019-05-16 フェロペム 表面粒子を伴う接種剤
CN107841588A (zh) * 2017-12-13 2018-03-27 南京浦江合金材料股份有限公司 一种防球铁铸件缩松的硅铝镧孕育剂及其制备工艺
JP2019189921A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 いすゞ自動車株式会社 推定装置、推定方法及び、推定プログラム
KR20230079896A (ko) * 2021-11-29 2023-06-07 한국생산기술연구원 구상 흑연 주철의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Dawson et al. The effect of metallurgical variables on the machinability of compacted graphite iron
EP1316624B1 (en) Steel for machine structural use having good machinability and chip-breakability
CN102560232B (zh) 一种用于渣浆泵叶片的亚共晶高铬铸铁及热处理加工工艺
US4065301A (en) Method for producing titanium nitride-base sintered alloys
CN101619410B (zh) 工程机械用纳米晶高铬铸铁复合孕育剂及其制备和应用方法
JP2003055735A (ja) 超硬工具切削性にすぐれた機械構造用の快削鋼
US6746550B1 (en) Compacted graphite cast iron alloy and its method of making
JPH09291333A (ja) 接種調製快削鋳鉄及びその切削方法
EP1430160B1 (en) Metal matrix composites of aluminum, magnesium and titanium using calcium hexaboride
JPH02190438A (ja) 工具用サーメット
CN115976390A (zh) 镍基碳化钨复合合金粉及其应用以及镍基碳化钨复合涂层的制备方法
JP4527304B2 (ja) 高強度高靱性球状黒鉛鋳鉄
CN111893353B (zh) 一种高强耐热铝合金材料及其制备方法
JP2003049240A (ja) 快削鋼
Kankaanpää et al. Machinability of calcium-treated steels using TiN-coated high-speed steel tools
JP2001329335A (ja) 熱間延性に優れた低炭素硫黄系bn快削鋼
JP3901582B2 (ja) 金型用快削鋼
CN113061795A (zh) 一种铝合金表面激光合金化材料、耐磨涂层及其制备方法和应用
Liu et al. Study on Melting–Precipitation Evolution of WC in Ni/WC-12Co Coating during Laser Cladding and Tribological Properties
CN102337479A (zh) 适用于单晶金刚石切削的超细晶钢及其制备方法
CN110331399B (zh) 抑制激光熔覆制备含铬镍基合金-cBN复合涂层中cBN颗粒分解的方法
CN111235467A (zh) 基于氧化物的铁基复合中间合金及其制备方法和应用
MXPA01011990A (es) Aceros de maquinado libre que contienen estano, antimonio, y/o arsenico.
CN111020559A (zh) 钛合金表面耐高温自润滑涂层及其制备方法
CN108277373A (zh) 一种Al-Ti-C-La合金及其制备方法