JPH09291064A - アリールエステル化合物およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

アリールエステル化合物およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物

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JPH09291064A
JPH09291064A JP10564496A JP10564496A JPH09291064A JP H09291064 A JPH09291064 A JP H09291064A JP 10564496 A JP10564496 A JP 10564496A JP 10564496 A JP10564496 A JP 10564496A JP H09291064 A JPH09291064 A JP H09291064A
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epoxy resin
group
ester compound
aryl
aryl ester
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JP10564496A
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Yasuhiro Endo
康博 遠藤
Toshiaki Hayashi
利明 林
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のエポキシ樹脂の耐熱性、接着性、加工性
を損なう事無く低誘電率、低誘電正接の硬化物が得られ
るようなエポキシ樹脂硬化剤およびその組成物を提供す
ること。 【解決手段】下記一般式(1) 【化1】 (Ar、Ar’は、炭素数6〜20のアリール基を表
す。P、Qは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜1
0のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、
炭素数6〜20のアリール基、あるいは炭素数7〜20
のアラルキル基を表す。Y、Zは、それぞれ独立に、水
素原子あるいは炭素数1〜20のアシル基を表すが、全
てのY、Zのうち少なくとも一つは、炭素数1〜20の
アシル基である。g、hは、0以上4以下の整数値を表
し、m、nは、0以上5以下の整数値を表すが、(g+m) お
よび (h+n)は、どちらも5を超えることはなく、(m+n)
は3以上である。Xは、カルボニル基、スルホン基、−
CF2−、あるいは−C(CF3)2−を表す。)で表され
るアリールエステル化合物、およびそれを用いたエポキ
シ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低誘電率であり且つ
低誘電正接の硬化物を与える、エポキシ樹脂硬化剤とし
て主に用いることが出来るアリールエステル化合物と、
それを用いたエポキシ樹脂組成物に関する。これらは、
特に高周波対応の電気・電子用途、例えば、積層板用樹
脂やIC封止用樹脂に適するが、成形用材料、塗料用材
料、接着用材料、土木・建築用材料などにも用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】電気・電子用途に用いられるエポキシ樹
脂のうちプリント配線基板の材料としては、従来主とし
てビスフェノール型エポキシ樹脂とジシアンジアミドの
組み合わせが用いられている。近年、プリント配線基板
の薄型化、多層化に伴い、信号速度向上と回路のインピ
ーダンス整合の目的から樹脂の低誘電率性が、また信号
の高周波化に伴い、信号の伝送損失低減の目的から樹脂
の低誘電正接性が要求されてきている。それに対して従
来のエポキシ樹脂に低誘電率、低誘電正接の熱可塑性樹
脂を組み合わせる方法が考案されている。例えば反応性
ポリブタジエン樹脂で変性する方法、ポリテトラフルオ
ロエチレン樹脂の粉末を分散させる方法等である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来の
技術においては、基本となるエポキシ樹脂の誘電率が高
いため望ましい誘電率を達成するには組み合わせる熱可
塑性樹脂の占める割合が大きくなり、エポキシ樹脂の特
長である耐熱性、接着性、寸法安定性、耐薬品性等が損
なわれてしまう。そこで従来のエポキシ樹脂の耐熱性、
接着性、加工性を損なう事無く低誘電率、低誘電正接の
硬化物が得られるようなエポキシ樹脂硬化剤およびその
組成物が切望されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、エポキシ
樹脂と熱硬化反応し得る化合物の官能基構造、骨格構造
について鋭意研究を続けた結果、特定の官能基構造、骨
格構造を持つ化合物を用いたエポキシ樹脂組成物が前記
目的を満足することを見出し、本発明を完成させるに至
った。すなわち、本発明は次のとおりである。 〔1〕下記一般式(1)
【0005】
【化3】 (式中、Ar、Ar’は、それぞれ独立に、炭素数6〜
20のアリール基を表す。P、Qは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜2
0のアリール基、あるいは炭素数7〜20のアラルキル
基を表す。Y、Zは、それぞれ独立に、水素原子あるい
は炭素数1〜20のアシル基を表すが、全てのY、Zの
うち少なくとも一つは、炭素数1〜20のアシル基であ
る。g、hは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数値を
表し、m、nは、それぞれ独立に、0以上5以下の整数値
を表すが、(g+m) および (h+n)は、どちらも5を超える
ことはなく、(m+n)は3以上である。Xは、カルボニル
基、スルホン基、−CF2−、あるいは−C(CF3)2
を表す。)で表されるアリールエステル化合物、および
〔2〕(1)エポキシ樹脂と、(2)上記アリールエス
テル化合物と、(3)硬化促進剤とを必須成分とするエ
ポキシ樹脂組成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のアリールエステル化合物
としてより好ましいものとしては、下記一般式(2)
【0007】
【化4】 (式中、X、Y、Zは一般式(1)と同様に定義され
る。)で表される、アリールエステル化合物である。本
発明のアリールエステルは、下記一般式(3)、
【0008】
【化5】 (式中、Ar、Ar’、P、Q、X、g、h、m、nは
一般式(1)と同様に定義される。)で表される、多価
フェノール化合物に、塩基存在下で、炭素数1〜20の
有機酸あるいは誘導体と反応してエステル化することに
より得ることが出来るが、これに限定されない。ここで
多価フェノールとは、カルボニル基、スルホン基、−C
2−、あるいは−C(CF3)2−によって連結された2
つのアリール基のうち、一分子平均で少なくとも3箇所
がOH基で核置換された化合物のことであり、例示する
と、2,4,4'-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,2,4'-
テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシナフ
トフェノン、テトラヒドロキシナフトフェノン、2,4,4'
-トリヒドロキシジフェニルスルホン、2,4,2,4'-テトラ
ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4,4'-トリヒドロキ
シジフェニルジフルオロメタン、2,4,2,4'-テトラヒド
ロキシジフェニルジフルオロメタン、2-(2,4-ジヒドロ
キシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3
-ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェ
ニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパンなどが挙げ
られる。
【0009】有機酸およびその誘導体について例示する
と、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリ
ン酸、ステアリン酸、フェニル酢酸、ブロモ酢酸等の脂
肪族モノカルボン酸およびそれらの酸ハロゲン化物およ
び酸無水物、安息香酸、メチル安息香酸、ナフトエ酸、
ビフェニルカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸および
それらの酸ハロゲン化物および酸無水物、シクロペンタ
ンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプ
タンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸およびそれら
の酸ハロゲン化物および酸無水物等を挙げることができ
るが、これらに限定されるものではない。エステル化反
応で使用する塩基性化合物について例示すると水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムのような無機塩基化合物、ピ
リジン、トリエチルアミン、トリフェニルホスフィン、
イミダゾール化合物のような有機塩基化合物等が挙げら
れる。
【0010】また、エステル化反応においては、公知の
有機溶媒を用いてよく、トルエン、キシレン、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミドなどが例示されるが、トルエン、キシレン、メ
チルイソブチルケトンが好ましい。エステル化反応の際
に用いる全部の有機酸あるいはその誘導体の、多価フェ
ノールのOH基に対するモル当量比は、0.3〜2.0で行う
が、より好ましくは、0.5〜1.5である。この範囲を超え
ると、過剰の有機酸の残存あるいは生成物のエステル化
率が少なくなる問題が生じる。また反応温度は、20〜
200℃で行うが、より好ましくは、40〜150℃で
ある。この範囲を超えると、温度の低い場合は添加率が
下がり、温度が高い場合は副生成物が多量に生じる。反
応時間は2〜50時間、より好ましくは4〜30時間で
ある。この範囲を超えると、時間が短い場合は、反応が
不完全になり、これ以上長時間行っても収率は変化しな
いため、経済的でない。
【0011】エステル化反応の際に、有機酸自体を原料
として用いる場合は、反応により生じる水を、系から除
いても除かなくても構わない。除く場合は、トルエン、
キシレン、メチルイソブチルケトンなどの共沸脱水可能
な溶媒を用いて、系内の水分を除きながら反応させるこ
との出来るディーンスターク管などの装置を使って反応
させれば良い。また、脱水を促進させるために減圧下で
反応させてもよい。本発明のアリールエステル化合物を
具体的に例示すれば、2,4,4'-トリスアセトキシベンゾ
フェノン、2,4,2,4'-テトラキスアセトキシベンゾフェ
ノン、トリスアセトキシナフトフェノン、テトラキスア
セトキシナフトフェノン、2,4,4'-トリスアセトキシジ
フェニルスルホン、2,4,2,4'-テトラキスアセトキシジ
フェニルスルホン、2,4,4'-トリスアセトキシジフェニ
ルジフルオロメタン、2,4,2,4'-テトラキスアセトキシ
ジフェニルジフルオロメタン、2-(2,4-ビスアセトキシ
フェニル)-2-(4-アセトキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘ
キサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビスアセトキシフェ
ニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,4,4'-
トリスプロピオニロキシベンゾフェノン、2,4,2,4'-テ
トラキスプロピオニロキシベンゾフェノン、トリスプロ
ピオニロキシナフトフェノン、テトラキスプロピオニロ
キシナフトフェノン、2,4,4'-トリスプロピオニロキシ
ジフェニルスルホン、2,4,2,4'-テトラキスプロピオニ
ロキシジフェニルスルホン、2,4,4'-トリスプロピオニ
ロキシジフェニルジフルオロメタン、2,4,2,4'-テトラ
キスプロピオニロキシジフェニルジフルオロメタン、2-
(2,4-ビスプロピオニロキシフェニル)-2-(4-プロピオニ
ロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパ
ン、ビス(2,4-ビスプロピオニロキシフェニル)-1,1,1-
3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,4,4'-トリスラウロ
イロキシベンゾフェノン、2,4,2,4'-テトラキスラウロ
イロキシベンゾフェノン、トリスラウロイロキシナフト
フェノン、テトラキスラウロイロキシナフトフェノン、
2,4,4'-トリスラウロイロキシジフェニルスルホン、2,
4,2,4'-テトラキスラウロイロキシジフェニルスルホ
ン、2,4,4'-トリスラウロイロキシジフェニルジフルオ
ロメタン、2,4,2,4'-テトラキスラウロイロキシジフェ
ニルジフルオロメタン、2-(2,4-ビスラウロイロキシフ
ェニル)-2-(4-ラウロイロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-
ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビスラウロイロキ
シフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,
4,4'-トリスメタクリロイロキシベンゾフェノン、2,4,
2,4'-テトラキスメタクリロイロキシベンゾフェノン、
トリスメタクリロイロキシナフトフェノン、テトラキス
メタクリロイロキシナフトフェノン、2,4,4'-トリスメ
タクリロイロキシジフェニルスルホン、2,4,2,4'-テト
ラキスメタクリロイロキシジフェニルスルホン、2,4,4'
-トリスメタクリロイロキシジフェニルジフルオロメタ
ン、2,4,2,4'-テトラキスメタクリロイロキシジフェニ
ルジフルオロメタン、2-(2,4-ビスメタクリロイロキシ
フェニル)-2-(4-メタクリロイロキシフェニル)-1,1,1-
3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビスメタク
リロイロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプ
ロパン、2,4,4'-トリスアセトキシベンゾフェノン、2,
4,2,4'-テトラキスアセトキシベンゾフェノン、トリス
アセトキシナフトフェノン、テトラキスアセトキシナフ
トフェノン、2,4,4'-トリスアセトキシジフェニルスル
ホン、2,4,2,4'-テトラキスアセトキシジフェニルスル
ホン、2,4,4'-トリスアセトキシジフェニルジフルオロ
メタン、2,4,2,4'-テトラキスアセトキシジフェニルジ
フルオロメタン、2-(2,4-ビスアセトキシフェニル)-2-
(4-アセトキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロ
プロパン、ビス(2,4-ビスアセトキシフェニル)-1,1,1-
3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,4,4'-トリスベンゾ
イロキシベンゾフェノン、2,4,2,4'-テトラキスベンゾ
イロキシベンゾフェノン、トリスベンゾイロキシナフト
フェノン、テトラキスベンゾイロキシナフトフェノン、
2,4,4'-トリスベンゾイロキシジフェニルスルホン、2,
4,2,4'-テトラキスベンゾイロキシジフェニルスルホ
ン、2,4,4'-トリスベンゾイロキシジフェニルジフルオ
ロメタン、2,4,2,4'-テトラキスベンゾイロキシジフェ
ニルジフルオロメタン、2-(2,4-ビスベンゾイロキシフ
ェニル)-2-(4-ベンゾイロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-
ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビスベンゾイロキ
シフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,
4,4'-トリスナフトイロキシベンゾフェノン、2,4,2,4'-
テトラキスナフトイロキシベンゾフェノン、トリスナフ
トイロキシナフトフェノン、テトラキスナフトイロキシ
ナフトフェノン、2,4,4'-トリスナフトイロキシジフェ
ニルスルホン、2,4,2,4'-テトラキスナフトイロキシジ
フェニルスルホン、2,4,4'-トリスナフトイロキシジフ
ェニルジフルオロメタン、2,4,2,4'-テトラキスナフト
イロキシジフェニルジフルオロメタン、2-(2,4-ビスナ
フトイロキシフェニル)-2-(4-ナフトイロキシフェニル)
-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビス
ナフトイロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロ
プロパン、2,4,4'-トリスシンナモイロキシベンゾフェ
ノン、2,4,2,4'-テトラキスシンナモイロキシベンゾフ
ェノン、トリスシンナモイロキシナフトフェノン、テト
ラキスシンナモイロキシナフトフェノン、2,4,4'-トリ
スシンナモイロキシジフェニルスルホン、2,4,2,4'-テ
トラキスシンナモイロキシジフェニルスルホン、2,4,4'
-トリスシンナモイロキシジフェニルジフルオロメタ
ン、2,4,2,4'-テトラキスシンナモイロキシジフェニル
ジフルオロメタン、2-(2,4-ビスシンナモイロキシフェ
ニル)-2-(4-シンナモイロキシフェニル)-1,1,1-3,3,3-
ヘキサフルオロプロパン、ビス(2,4-ビスシンナモイロ
キシフェニル)-1,1,1-3,3,3-ヘキサフルオロプロパンな
どがあげられる。
【0012】本発明で使用するエポキシ樹脂とは、分子
内に2個以上のエポキシ基を含む公知の化合物のことで
あり、特にその化学構造を限定するものではない。例示
すれば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、テ
トラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテルの
ような2官能型エポキシ、あるいは、トリス(4−ヒド
ロキシフェニル)メタンのグリシジルエーテル、1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのグ
リシジルエーテルのような3官能型エポキシ、あるい
は、フェノールノボラックのグリシジルエーテル、クレ
ゾールノボラックのグリシジルエーテル、フェノール類
とヒドロキシアリールアルデヒド類との脱水縮合によっ
て得られるノボラックのグリシジルエーテル、ポリ(4
−ヒドロキシスチレン)のグリシジルエーテル、フェノ
ール変性ポリブタジエンのグリシジルエーテル、フェノ
ール−ジシクロペンタジエン付加物のグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールAノボラックのグリシジルエーテル
のような多官能型エポキシ、エポキシ樹脂とビスフェノ
ールA、レゾルシノール、テトラブロモビスフェノール
AあるいはテトラクロロビスフェノールA等のフェノー
ル化合物を予め反応させて得られた生成物、2種以上の
エポキシ樹脂の混合物などが挙げられるが、さらに本発
明の目的とする低誘電性を与えるのには、置換基とし
て、少なくとも1分子中に1つ炭素数4以上のアルキル
基を芳香核に有するエポキシ樹脂がより好ましく、例示
すれば、2−t−ブチル−5−メチルフェノールのノボ
ラックのグリシジルエーテル、シクロヘキシルフェノー
ルノボラックのグリシジルエーテル、オクチルフェノー
ルノボラックのグリシジルエーテル、1,1−(4−ヒ
ドロキシ−5−t−ブチル−2−メチルフェニル)ブタ
ンのジグリシジルエーテル、リモネンビス(2−sec
−ブチルフェノール)のジグリシジルエーテルなどが挙
げられる。
【0013】本発明におけるエポキシ樹脂とアリールエ
ステル化合物との量的割合は、エポキシ樹脂中のエポキ
シ基のモル数とアリールエステル化合物中のエステル基
のモル数との比率が1対0.3〜1対1.5になるよう
に配合することが好ましく、さらに好ましくは1対0.
5〜1対1.2の範囲である。この範囲を外れると硬化
不良が起こり、良好な硬化物が得られない。本発明にお
ける硬化促進剤とはエポキシ樹脂と硬化剤の硬化反応を
促進させる通常の化合物のことであり、例示すると2−
エチル−4−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾ
ールの様なイミダゾール類、トリエチルアミン、ベンジ
ルジメチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]ウンデ
センの様な3級アミン類、臭化テトラn−ブチルアンモ
ニウム、臭化テトラn−アミルアンモニウムの様な4級
アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィンの様なリン
系化合物等が挙げられる。またその量的割合は全樹脂中
に0.05〜3重量%になるように添加することが望ま
しい。また、本発明の効果を損なわない程度に、エポキ
シ樹脂以外の他の熱硬化性樹脂あるいは官能基を有する
熱可塑性樹脂等を併用することも可能である。具体的に
は、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、グリシジル修飾
ポリブタジエン、無水マレイン酸修飾ポリエチレン等で
ある。本発明では、目的に応じて組成物中に難燃剤、表
面処理剤等の公知の添加剤を加えても良い。難燃剤とし
ては三酸化アンチモン、水酸化アルミ、赤リン等を、表
面処理剤としてはシランカップリング剤を挙げることが
できる。本発明のアリールエステルは、低誘電率であ
り、かつ低誘電正接の硬化物を与えるエポキシ樹脂用の
硬化剤として主に用いることができる。本発明のエポキ
シ樹脂組成物は、低誘電性を生かして高周波対応の電気
・電子用途、例えば、積層板用樹脂やIC封止用樹脂に
適するが、他に成形用材料、接着用材料、土木・建築用
材料などにも用いることができる。
【0014】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。例中、エポキシ当量と
は、エポキシ基1個あたりのエポキシ樹脂の分子量で定
義され、OH当量とはOH基1個あたりのポリフェノール化
合物の分子量で定義される。 合成例1 本合成例は、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いるエポ
キシ樹脂の原料である、2−t−ブチル−5−メチルフ
ェノールのノボラックのグリシジルエーテルの製法に関
するものである。2−t−ブチル−5−メチルフェノー
ル 2231.0g(13.58 OHmol eq.)、p−トルエンスルホン
酸 12.9g(0.068mol)、イオン交換水 223.2g を温度計、
攪拌装置、冷却管、滴下管を付けた5リットル4つ口丸
底フラスコに仕込み、100℃に昇温する。37%ホルマ
リン 218.4g(2.715mol)を2時間かけて滴下した後、100
℃で2時間保温して反応を行った。その後 80℃まで冷
却し、10%NaOH水溶液 27.7g(0.069mol)で中和した。分
液後の有機層を700gのイオン交換水で2回洗浄した。洗
浄後の有機層を減圧濃縮 (180℃/10mmHg/1時間)して樹
脂状物857.2gを得た。得られた樹脂状物の OH当量は17
6.0 g/eqであった。上記のように得られた反応生成物 2
46.4g(1.4 OHmol eq.)、エピクロロヒドリン 906.5g(9.
8 mol)、ジメチルスルホキシド 453.3g、イオン交換水
14.0gを、温度計、攪拌装置、分離管付き冷却管を付け
た2リットル4つ口丸底フラスコに仕込み、49℃ 42tor
rの条件下で48.6%苛性ソーダ水溶液 108.31g (1.316m
ol) を5時間かけて滴下する。この間、温度は49℃に保
ちながら、共沸するエピクロロヒドリンと水を冷却液化
し、有機層を反応系内に戻しながら反応させた。反応終
了後は、未反応のエピクロロヒドリンを減圧濃縮により
除去し、副生塩とジメチルスルホキシドを含むエポキシ
化物をメチルイソブチルケトンに溶解させ、副生塩とジ
メチルスルホキシドを温水洗浄により除去した。減圧下
で溶媒を除くことによりにより、エポキシ樹脂 304.9g
を得た。このようにして得られたエポキシ樹脂のエポキ
シ当量は256 g/eqであった。赤外吸収スペクトル測定の
結果、フェノール性OHの吸収3200-3600cm -1は消失し、
エポキシドの吸収1240、910cm -1の吸収を有することが
確認された。
【0015】合成例2 本合成例は、合成例1で得られたエポキシ樹脂とテトラ
ブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル、およ
びテトラブロモビスフェノールAとの付加反応により、
末端エポキシ樹脂を得る方法に関するものである。合成
例5で得られたエポキシ樹脂 83.8 g 、テトラブロモ
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(住友化学工
業(株)製、商品名スミエポキシESB-400、エポキシ当
量403g/eq)75.5 g、テトラブロモビスフェノールA 17.
5 g、メチルエチルケトン 15.9 gを、温度計、冷却管お
よび攪拌装置を付けた300 ml4つ口丸底フラスコに仕込
み、110℃で加熱溶融させた。その後、トリフェニルホ
スフィンの10%メチルエチルケトン溶液 0.71 g (ト
リフェニルホスフィンの対樹脂重量比 4×10-4)を加
え、110℃で4時間保持しエポキシ基とフェノール性水
酸基の付加反応を行った。反応後、系内を90℃まで冷却
しプロピレングリコールモノメチルエーテル63.5gを滴
下しながら加えて樹脂固形分70wt%の樹脂溶液250 gを得
た。得られた樹脂付加物のエポキシ当量は、固形分換算
で390.0 g/eq.であった。
【0016】実施例1 本実施例は、本発明のアリールエステルの合成に関する
ものである。冷却管、温度計、撹拌装置、滴下装置を付
けた2リットル4つ口フラスコに、2,4,2',4'-テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン(商品名スミソーブ150 、住友
化学工業(株)製)98.6 g(1.6 moleq.)、MIBK 386.8
g、トリエチルアミン177.8 g(1.76 moleq.)を仕込み、6
0℃に昇温する。無水酢酸 179.5 g(1.76 moleq.)を1時
間で滴下し、90℃に昇温して4時間保温する。水洗で塩
を除いた後、減圧で溶媒を除いて、樹脂状固体 154.0g
を得る。 赤外吸収スペクトル:1760(酢酸エステルのカルボニル
伸縮), 1660, 1600,1485, 1420, 1370, 1280, 1250, 1
200, 1140, 1100, 1010, 975, 905 cm -1 OH伸縮振動による吸収はみられなかった。
【0017】実施例2〜3 エポキシ樹脂としてo-クレゾールノボラックのグリシジ
ルエーテル(住友化学工業(株)商品名スミエポキシES
CN-195、エポキシ当量 195g/eq)、合成例2で得られた
エポキシ樹脂を用い、これらと実施例1で得られた化合
物、および硬化促進剤の2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール(四国化成工業(株)商品名キュアゾール2E4M
Z)とを表1に示す割合で配合し溶剤に溶解して均一な
樹脂ワニスとした。樹脂ワニスから溶媒を加熱留去して
得られる樹脂混合物をプレス成形して厚さが一定の樹脂
硬化板を得た。樹脂硬化板の1GHzでの誘電率、誘電正接
は、両面を研磨した硬化サンプルを、日本ヒューレット
・パッカード社製インピーダンスアナライザ HP4291Aと
誘電体測定電極 HP 16453Aを用いて測定した。配合と結
果を表1に示す。
【0018】比較例1〜4 エポキシ樹脂としてビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテル(住友化学工業(株)製、商品名スミエポキシ E
LA-128)、あるいはビスフェノールAのジグリシジルエ
ーテルとテトラブロモビスフェノールAとを付加反応さ
せて得られる末端エポキシ樹脂(住友化学工業(株)
製、商品名スミエポキシ ESB-500)を、硬化剤にフェノ
ールノボラック樹脂(荒川化学工業(株)商品名タマノ
ル 758)あるいはジシアンジアミドを用い、硬化促進剤
に2−エチル−4−メチルイミダゾール(キュアゾール
2E4MZ)を用いて実施例2〜3と同様に樹脂硬化板を作
成し、 1GHzでの誘電率、誘電正接を測定した。配合と
結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】本発明のアリールエステル化合物は、エ
ポキシ樹脂の硬化剤として用いると、従来のものに比べ
低誘電率、低誘電正接な硬化物を与える。これを用いた
エポキシ樹脂組成物は、特に高速演算処理用あるいは高
周波通信用の多層プリント配線板用樹脂に好適である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1) 【化1】 (式中、Ar、Ar’は、それぞれ独立に、炭素数6〜
    20のアリール基を表す。P、Qは、それぞれ独立に、
    水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル
    基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜2
    0のアリール基、あるいは炭素数7〜20のアラルキル
    基を表す。Y、Zは、それぞれ独立に、水素原子あるい
    は炭素数1〜20のアシル基を表すが、全てのY、Zの
    うち少なくとも一つは、炭素数1〜20のアシル基であ
    る。g、hは、それぞれ独立に、0以上4以下の整数値を
    表し、m、nは、それぞれ独立に、0以上5以下の整数値
    を表すが、(g+m) および (h+n)は、どちらも5を超える
    ことはなく、(m+n)は3以上である。Xは、カルボニル
    基、スルホン基、−CF2−、あるいは−C( CF3)2
    を表す。)で表されるアリールエステル化合物。
  2. 【請求項2】下記一般式(2) 【化2】 (式中、X、Y、Zは一般式(1)と同様に定義され
    る。)で表される、請求項1記載のアリールエステル化
    合物。
  3. 【請求項3】(1)エポキシ樹脂と、(2)請求項1あ
    るいは2記載のアリールエステル化合物と、(3)硬化
    促進剤とを必須成分とするエポキシ樹脂組成物。
JP10564496A 1996-04-25 1996-04-25 アリールエステル化合物およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物 Withdrawn JPH09291064A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2021039558A1 (ja) * 2019-08-27 2021-09-27 Dic株式会社 フェノール樹脂、硬化性樹脂組成物及びその硬化物

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