JPH09287411A - タービンケーシングの支持構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータ荷重、真空荷重等によってロータ軸
受、ロータ及びケーシング等が下方に沈み込み変形し、
ロータのアライメントを狂わせないようにした支持構造
を提供することを課題とする。 【解決手段】 タービンケーシングをタービン台座に載
置するフランジに、箱型の補強リブを配設し、箱型リブ
の保有する高いねじり剛性を活用してロータ荷重や真空
荷重等によるロータ軸受、ロータ、ケーシング等の下降
を防ぎ、ロータのアライメントを狂わせることなく正し
く維持し、作動の安定を確保するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はタービンケーシング
の支持構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３は従来のタービン構造を示す斜視
図、図４は図３のものの要部の横断面図である。タービ
ンケーシングは、上部ケーシング９と下部ケーシング１
０からなる圧力容器であり、ロータ１はタービンケーシ
ングの前面板２より突設された軸受箱３の内部に設置さ
れた軸受４によって支持されている。軸受箱３およびフ
ランジ６はタービン台座５に架乗するように構成されて
いる。

【０００３】即ちこの構造においては、フランジ６は、
タービンケーシングがタービン運転中の真空荷重による
変形や温度分布に起因する熱変形を受けるのを拘束しな
いように、前記軸受箱３およびフランジ６はタービン台
座５に重力のみを支持するように乗せられているだけで
ある。

【０００４】なお、前面板２の変形を低減し、曲げ剛性
を増大するために、フランジ６と前面板２の間に複数の
垂直リブ７が間隔をおいて配設されているが、その効果
は局所的であり、フランジ６部の回転を含む前面板２全
体の倒れを防止する能力はない。

【０００５】すなわち、図５に真空荷重によるタービン
ケーシングの変形を示すように、タービンケーシングは
タービン運転時に真空荷重によって図中に破線で表示し
たように変形する。この時、従来構造においては、フラ
ンジ６部の回転を伴って前面板２及び軸受箱３のケーシ
ング内面方向への倒れが、タービン台座５の角部を支点
として生じる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記した従来構造のも
のでは、軸受支持剛性の大部分をケーシングの前面板２
およびコーン部８が負担することとなり、したがって、
ロータ１を安全に回すのに必要な軸受支持剛性を確保す
るために、同前面板２、コーン部８等を剛強な構造とす
ること、例えば部材の板厚を増大するといった対策が必
要となる。これは、ケーシングの重量が増大し、コスト
アップにつながる。

【０００７】また一方、前記したように、ケーシングの
フランジ６及び軸受箱３は、タービン台座５に乗せられ
ているだけなので、ロータ１荷重や運転中の真空荷重の
ためフランジ６の回転を含む前面板２の倒れによって軸
受４が沈み込み、ロータ１のアライメントが狂って、軸
振動問題や静止部との接触問題が発生する等の不具合が
ある。

【０００８】本発明は従来のものにおけるこのような問
題点を解消し、ロータ荷重や真空荷重等に耐え、変形せ
ず、安定した支持構造を提供することを課題とするもの
である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するべくなされたもので、前面板、軸受箱、コーン部等
を含んで構成されるタービンケーシングをタービン台座
に載置するフランジに、箱型の補強リブを配設したター
ビンケーシングの支持構造を提供し、箱型補強リブであ
ることにより保有する高いねじれ剛性により、タービン
ケーシングの真空荷重等による変形に耐え、ケーシング
を構成する前面板、軸受箱、コーン部等の倒れを防止、
軽減するようにしたものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を図１及び
図２に基づいて説明する。なお、本実施の形態におい
て、前記した従来のものと同一の部位については、図中
に同一の符号を付して示し、重複する説明については省
略する。

【００１１】５はタービン台座を示し、このタービン台
座５の上に下部ケーシング１０の接地部のフランジ６及
び軸受箱３が載置されタービンケーシング構造は支持さ
れている。そしてこのタービン台座５接地部のフランジ
６には、ケーシング全周にわたって箱型リブ１１，１２
が配設されている。

【００１２】なお、ここでは、箱型リブ１１，１２が垂
直リブ７の間に嵌め込まれて両隣りの垂直リブ７，７と
の間の箱型リブ１１又は１２が一体的構造となったもの
を示しているが、箱型リブ１１，１２を、６面が全て板
面となった密ぺい状の箱体で構成すれば、垂直リブを除
いて箱型リブ１１，１２のみを配列して構成することも
できる。

【００１３】本実施の形態は前記したようにタービンケ
ーシングが据付けられるタービン台座５の接地部のフラ
ンジ６にねじれ剛性の高い箱型の補強リブ１１，１２を
配設したので、フランジ６の回転（ねじれ）が低減され
軸受支持剛性に大きく影響するケーシングの前面板２、
コーン部８及び軸受箱３のタービン運転時の真空荷重等
による倒れを減少することができる。

【００１４】すなわち、従来のものとして図３に基づい
て説明したように、前面板２とフランジ６とのコーナー
部に断続的に配設された垂直リブ７による支持構造を、
図１に示すように垂直リブ７と箱型リブ１１、又は１２
を一体化したもの、若しくは、６面全てを板面とした箱
体で構成した箱型リブ１１，１２に変更し、かつ、この
箱型リブ１１，１２をタービン台座５で支持されるフラ
ンジ６，１３の全周に亘って配置している。

【００１５】この結果、前面板２とフランジ６とのコー
ナー部について考えた場合、Ｌ型開断面材に対するねじ
り剛性が、箱型閉断面材に対するねじり剛性となり、単
純なサンブナンのねじりで試算すると、約１００倍の剛
性アップとなる。このためフランジ６の回転が大幅に減
少し、これに付随する前面板２の倒れを減少することが
できる。

【００１６】なお、前述の剛性アップ率は箱型リブ１１
の端部での回転も完全に拘束した場合に実現できるもの
であるが、この点に関し本実施の形態では、フランジ６
に配設した箱型リブ１１の端部と、同フランジ６と直交
方向のフランジ１３に配設した箱型リブ１２の端部がコ
ーナー部で接合されており、このため互いの回転モーメ
ントをここで支持しあうことになり、箱型リブ１１及び
１２相互の端部での回転拘束度を増加させる構造になっ
ている。

【００１７】このように本実施の形態によれば、補強用
箱型リブ１１、１２を配設することにより、これら補強
用箱型リブ１１、１２が、タービンケーシングの重力を
台座５で支持するためにのみ設置されていた接地部のフ
ランジ６の回転を補強拘束するように作用し、結果的に
フランジ６に連がる前面板２、コーン部８及び軸受箱３
の倒れが減少し、したがって軸受支持剛性を高めること
ができる。

【００１８】また、前記前面板２、コーン部８及び軸受
箱３接地部のフランジ６に配設された箱型リブ１１自体
の回転モーメントの反力は、フランジ６に直交するケー
シング軸方向の下部ケーシング１０の接地部のフランジ
１３に配設された箱型リブ１２が支持することとなる。

【００１９】このことはまた、逆にリブ１２の回転モー
メント反力をリブ１１が支持するということであり、こ
の相関々係により結局タービンケーシング全体の剛性を
高める効果を奏することになる。

【００２０】以上、本発明を図示の実施の形態について
説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、
本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて
よいことはいうまでもない。

【００２１】

【発明の効果】以上本発明によればタービンケーシング
の台座接地部のフランジに箱型リブを配設し、同箱型リ
ブの持つ高いねじれ剛性を活用することによって、ター
ビンの軸受支持剛性が増大し、タービン運転時の真空荷
重やロータ荷重による軸受の下降に起因するロータのア
ライメントの狂いを防止し、これによって発生する軸振
動や回転部と静止部との接触を回避することができたも
のである。

【００２２】また、軸受支持剛性が増大することによっ
て、ロータの危険速度が向上し、その分だけロータを軽
量化でき、前面板の薄肉化とともに、タービンケーシン
グのコストダウンにつなげることができたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係るタービンケーシン
グの斜視図。

【図２】図１のタービンケーシングの要部の横断面図。

【図３】従来のタービンケーシングの斜視図。

【図４】図３のタービンケーシングの要部の横断面図。

【図５】図４のタービンケーシングの真空荷重による変
形を示す説明図。

【符号の説明】

１ ロータ ２ 前面板 ３ 軸受箱 ４ 軸受 ５ タービン台座 ６，１３ フランジ ７ 垂直リブ ８ コーン部 ９ 上部ケーシング １０ 下部ケーシング １１，１２ 箱型リブ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前面板、軸受箱、コーン部等を含んで構
   成されるタービンケーシングをタービン台座に載置する
   フランジに、箱型の補強リブを配設したことを特徴とす
   るタービンケーシングの支持構造。