JPH09287012A - 竪型精錬炉の炭材装入方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】炭材充填型竪型精錬炉の炉頂から複数本の装入
管を経由して炉内に炭材を供給する場合に炉内の炭材層
厚を一様になるように調整する。 【解決手段】装入管の下端の開口の他に管壁に１又は複
数個の開口部を設け、この開口部から炭材を溢流させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、竪型精錬炉の炭材
装入方法及び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】竪型精錬炉における原料装入技術とし
て、炉頂に設けた単独又は複数本の装入筒又は装入管
（以下装入筒、装入管等を総称して装入管とする）か
ら、鉱石、ペレット又はコークス、石炭等の炭材を炉内
に供給する技術が知られている。竪型精錬炉の一つであ
る高炉の多くでは、ベル式やベルレス式の炉頂装入装置
を用いて原料が装入されるが、これらベル式やベルレス
式の炉頂装入装置と比較して装入管は構造が簡単である
ことから、設備費が安価で、かつ高温の炉頂温度に耐え
られる点で有利である。

【０００３】このような装入管を用いた原料の装入方法
に関して、特開平５−１４８５２２号公報には、複数本
の装入管を炉の垂直断面に関して調節可能に設けて構成
することが開示されている。これは、炉内の不均一なガ
ス流れを解消するために、とくに原料層厚の制御の観点
から開発されたもので、還元シャフト炉などのシャフト
を含むプラントを対象とし、複数本の固定の装填チュー
ブと装填チューブ下端部に設けられた可動の管状のマウ
スピースを炉の垂直断面に調節可能に設けることによっ
て、装入面を平坦にし、原料層厚を一定にすることで炉
内のガス流れの均一化を図るものである。ここで複数本
の固定の装填チューブと装填チューブ下端部に設けられ
た可動の管状のマウスピースは本願における装入管に相
当するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、管
状マウスピースを駆動するための駆動構造、具体的には
変位用シリンダ、ピストン、変更用プーリ、ジブ、ラン
ナから構成される複雑な駆動機構が必要である。また、
堆積した原料を突き崩して管状マウスピースを駆動する
場合に、駆動構造に大きな荷重が掛かるためにこの駆動
構造は十分に強度を持たせる必要がある。この結果装入
管の構造は複雑化し、大型化するため、構造が簡単であ
るという装入管本来の特徴が減じてしまう。設備費はよ
り高価となり、かつ、構造が複雑なことから高温の炉頂
温度に耐えることは難しい。

【０００５】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであり、上記条件下において用いる竪型
精錬炉の炭材装入方法及び装置を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、次の技術手段を講じたことを特徴とす
る。すなわち本発明は、複数本の鉛直装入管を垂下した
装入ホッパから装入管を経由して炉内に炭材を供給する
に当り、前記装入管下端開口とは別の開口を装入管の壁
に設け、炭材を装入管内に充満させ該別の開口から溢流
させて供給し、竪型精錬炉内の炭材層厚の調整を行うこ
とを特徴とする竪型精錬炉の炭材装入方法である。

【０００７】この方法を好適に実施することができる本
発明の装置は、装入ホッパから垂下し下端開口を有する
複数本の鉛直装入管の管側壁に、装入管に充満した炭材
が溢流する側面開口を設けたことを特徴とする竪型精錬
炉の炭材装入装置である。この場合、前記側面開口とし
て装入管の側壁に１又は複数個の切欠及び又は孔を設け
るとよく、また、前記側面開口を鉛直装入管が竪型炉炉
壁と対面する方法の装入管側壁に設けると好適である。

【０００８】

【発明の実施の形態】図７は、装入ホッパ３５へ炭材を
供給する均排圧機能を有するホッパ３３を有し、装入ホ
ッパ３５から３本以上の複数本の装入管３９を経由して
炉内に炭材４２を供給する竪型炉３８の全体構成であ
る。装入ベルトコンベヤ３１、レシービングシュート３
２、均排圧ホッパ３３、レシービングシュート３２の下
端に設けた上部シール弁３４、装入ホッパ３３、均排圧
ホッパ３３の下端に設けた下部シール弁３６、ゲート弁
３７、竪型炉本体３８、装入ホッパ下端に設けた装入管
３９からなり、羽口４０、４１を備えている。

【０００９】装入ベルトコンベヤ３１から装入されたコ
ークス又は石炭等の装入炭材４２は、レシービングシュ
ート３２の下端に設けた上部シール弁３４を閉じ、均排
圧ホッパ３３への炭材の装入を完了した後、レシービン
グシュート３２の下端に設けられた上部シール弁３４を
閉じ、均排圧ホッパ３３内部と装入ホッパ３５内部の圧
力が等しくなるように均排圧ホッパ３３内部を加圧す
る。ついで、下部シール弁３６、ゲート弁３７の順で開
放し、均排圧ホッパ３３に一時貯えられた装入炭材を装
入ホッパ３５に排出する。ここでゲート弁３７、下部シ
ール弁３６の順で閉じる。装入ホッパ３５に堆積したコ
ークス又は石炭等の装入原料は、炉本体３８で酸素又は
二酸化炭素等との反応によって消費されるので、その消
費量に応じて装入ホッパ３５下端に設けられた装入管３
９内を降下して装入管３９先端から炉内に供給され、炉
内炭材を補償する。装入ホッパ３５内の炭材量があらか
じめ設定した下限値に至ったときに、再度、炭材装入操
作を繰り返す。

【００１０】本発明者は、このような炭材装入操作の過
程で装入炭材が炉内に形成する堆積形状について検討し
た。炉内で装入炭材が形成する表面形状２０は、図３
（ａ）に示すように、装入管１を頂点として周囲に向か
って下り勾配の斜面を有する円錐台形である。この表面
形状２０を水平面２１、２２、２３で切断してその平面
形状を示すと図３（ｃ）に示す水平面２１、２２、２３
のとおりである。

【００１１】装入管が複数本ある場合には、装入管ごと
に形成される円錐形状が重ねあわさり、最終的に装入炭
材の表面が決まる。図４（ａ）（ｂ）に、装入管本数が
４本で同心円上に等間隔に配置されているものを示し
た。図４（ａ）は側面図、図４（ｂ）は平面図である。
炉内は４つの相等しい領域に分割され、装入管直下が最
も高く、例えば装入管１ａと装入管１ｃとの間の方位の
炉壁部の堆積層厚みと炉中心部の堆積層厚みが薄くな
る。

【００１２】この結果、炉内での不均一な堆積層厚みに
起因して、炉壁部円周方向で炉壁温度の不均一の原因と
なり、鉄皮又は耐火物の損傷に悪影響を与える。後者
は、炉内でのガス利用効率を低下させる。これを解消す
るためには、原因である原料層厚を好適に制御すること
が重要である。装入面を平坦にし、原料層厚を一定にす
ることで、炉内のガス流れの均一化が実現できる。

【００１３】ここで、装入管の配置に起因した竪型精錬
炉内の原料層厚の不均一については、装入管の本数を十
分に多くして炉内に均等に分散させて解消することが容
易に考えられる。しかし、装入管の本数をいたずらに多
くすることは、設備費の上昇につながり、さらには設備
保全が難しくなり、修繕の頻度が増えることから修繕費
の上昇につながる。

【００１４】このような背景のもとで本発明者は、装入
管下端部の構造に着目し、炉内の原料層厚の好適な制御
を目的として、従来、各装入管の下端のみが開口してい
たコークス排出開口部に加えて装入管下端の装入管側壁
面に切欠及び又は開口孔を設けることとした。さらには
開口部が堆積層厚が薄い方位に対向するように配置し、
装入原料の供給を促進すればよいとの結論に達した。

【００１５】

【実施例】図２に示すように、装入ホッパ１１を有し、
装入ホッパ１１から竪型炉１２内に４本の装入管１ａ、
１ｂ、１ｃ、１ｄを経由して炭材の供給を行う内容積１
４０ｍ³ の竪型炉を用いて、装入管に変更を加えた場合
の効果を確認した。なお、炉の諸元は表１に示す通りで
ある。

【００１６】

【表１】

【００１７】図１に本発明の竪型精錬炉の装入管の形状
の例を示した。実施例は筒状の装入管１の管側壁に切欠
又は開口孔を有するものである。図１（ａ）は、装入管
１の下端の開口２の横の側壁に側壁を斜に切断する切欠
３を設けたもの、図１（ｂ）は下端の開口２の横の側壁
に側壁を縦に切断する切欠４を設けたもの、図１（ｃ）
はこの切欠４と同様の切欠５を複数設けたもの、図１
（ｄ）は、下端の開口とは独立に管側壁に開口孔６を設
けたものである。これらの切欠又は開口孔は併用して設
けてもよい。また、大きさ、数等に制約もなく、竪型炉
の寸法形状構造、ホッパや装入管の数、位置、寸法、配
列等に応じ、また、挿入物の物性、挿入スケジュール等
に応じて、例えば模型実験、シミュレーション等を利用
し、次元解析により適切に定めることができる。

【００１８】図５（ａ）に側面図を、図５（ｂ）に平面
図を示す竪型炉１２の装入管１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄの
下端部の装入物の炉壁部の堆積形状に着目して図６を得
た。図６は図５の装入管の下端部の堆積状況を説明する
ものである。従来の下端にのみ開口を有する装入管の場
合、竪型炉の円周部の不均一な堆積形状を曲線５０で示
した。図６において、縦軸は炉の中心挿入物面高さを基
準として、炉壁部挿入物面の高さを示し、横軸は円周方
向の展開を示している。曲線５０は、炉中心に対して高
い部分と低い部分とにばらついている。曲線５１はこの
装入管の炉壁部側に図１（ａ）に示すような切欠３をそ
れぞれ設けた場合を示している。この場合、曲線５０と
比較して、炉内挿入物の上面は炉中心部より上方に均一
化し、挿入面は全体としてより平坦となっている。

【００１９】ここで炉壁部に着目したのは以下の理由に
よる。炉壁部での円周方向の堆積厚みの不均一は、ガス
流れに対する抵抗が不均一であることを意味し、実際、
炉壁部でのガス流れの円周方向の付近位置が原因して、
鉄皮表面温度が円周方向に付近位置な状態になった。炉
壁部の炭材堆積層の厚みを円周方向で一定にすることが
重要であり、炉壁部の炭材堆積層の厚みを円周方向で一
定にすることによって鉄皮表面温度の円周方向の付近位
置は解消された。

【００２０】さらにその効果は、炉壁残厚測定結果に表
われて、円周方向の局所的な損耗の進行を押えることが
可能となった。さらに、研究を重ねた結果、装入管先端
開口部形状として図１（ａ）に限定する必要はなく、図
１（ｂ）、図１（ｃ）としてもよく、図１（ｄ）の形状
とし、あるいはこれらの形状を併用して、開口部を炉内
炭材層厚の薄い方位に向けるとともに炭材供給態様との
関係を調整することにより、さらにきめ細かく炭材堆積
層の平坦化を図ることができた。

【００２１】これらの技術によって、竪型炉内の円周方
向で従来の不均一な堆積形状と比較して、炉内に炭材層
厚みは均一化し、挿入面はより平坦となり、炉内ガス流
れはより均一となり、効果は大きい。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、竪型精錬炉における炭
材装入方法において、炉内の炭材の装入分布の均一化が
極めて簡単な構造によって実現することができた。特
に、装入管本体を駆動するような大掛かりな装置を用い
ることなく、装入管方式が原因した堆積形状の円周方向
の不均一を解消することができるので、装入管方式の特
徴である簡単な構造という特徴を生かすことができる。
或は、装入管の本数をいたずらに増やす場合は設備費と
保全比が上昇するが、本発明ではそのような問題はな
い。

【００２３】さらに、装入管を用いて精錬炉内に炭材を
供給する竪型精錬炉の操業において、特に、炉壁部のみ
に優先的にガスが流れることを防止し、炉壁に対する負
荷の上昇を防ぎ、炉壁の損耗を抑制することができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の竪型精錬炉の炭材装入管の構造を示す
説明図である。

【図２】竪型精錬炉の炭材装入部を説明する斜視図であ
る。

【図３】装入管の位置と炉内堆積形状を示す説明図であ
る。

【図４】装入管の位置と炉内堆積形状を示す説明図であ
る。

【図５】竪型精錬炉の炭材装入部を説明する斜視図であ
る。

【図６】装入管の位置と炉内堆積形状を示す説明図であ
る。

【図７】竪型精錬炉の全体縦断面図である。

【符号の説明】

１１ 装入ホッパ １２ 竪型炉 ２０ 表面形状 ２１，２２，２３ 平面 ３１ 装入ベルトコンベヤ ３２ レシービングシュート ３３ 均排圧ホッパ ３４ 上部シール弁 ３５ 装入ホッパ ３６ 下部シール弁 ３７ ゲート弁 ３８ 竪型炉本体 ３９ 装入管 ４０ 羽口 ４１ 羽口 ４２ 炭材 ５０，５１ 曲線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牛島 嵩 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 児子 精祐 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本の鉛直装入管を垂下した装入ホッ
   パから装入管を経由して炉内に炭材を供給するに当り、
   前記装入管下端開口とは別の開口を壁に設け、炭材を装
   入管内に充満させ該別の開口から溢流させて供給し、竪
   型精錬炉内の炭材層厚の調整を行うことを特徴とする竪
   型精錬炉の炭材装入方法。
2. 【請求項２】 装入ホッパから垂下し下端開口を有する
   複数本の鉛直装入管の管壁に、装入管に充満した炭材が
   溢流する側面開口を設けたことを特徴とする竪型精錬炉
   の炭材装入装置。
3. 【請求項３】 前記側面開口として装入管の側面に１又
   は複数個の切欠及び又は孔を設けたことを特徴とする請
   求項２記載の竪型精錬炉の炭材装入装置。
4. 【請求項４】 前記側面開口を鉛直装入管が竪型炉炉壁
   と対面する装入管壁に設けたことを特徴とする請求項２
   記載の竪型精錬炉の炭材装入装置。