JPH09286798A - 活性蛋白質組成物の製造方法 - Google Patents
活性蛋白質組成物の製造方法Info
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Abstract
造方法を提供する。 【構成】 熱に不安定な生物学的に活性な蛋白質を特異
的に断片化し、熱に不安定な部分を除去して安定な部分
のみを調製し、これを加熱する。 【効果】 生物学的に活性な蛋白質を生理的機能を保持
させたまま加熱し、感染性夾雑ウイルスを含まない安全
な蛋白質組成物を提供することができる。
Description
漿蛋白質組成物の製造方法に関する。とりわけ、血漿か
ら調製される所望の蛋白質に対する夾雑ウイルスの不活
化を目的とした加熱処理を含んでなる、所望の蛋白質の
製造方法に関する。さらに詳細には、血漿より調製され
る蛋白質を酵素で断片化し、熱に不安定な部分を除去し
た後、得られる所望の血漿蛋白質断片を液状あるいは凍
結乾燥後の加熱によって夾雑ウイルスを不活性化し、そ
の感染性を除く方法を提供する。従って、本願発明は上
記方法によって加熱された蛋白質断片に生化学あるいは
医学的意義が存する分野、例えば治療薬、補充療法薬の
分野において広く利用される。
分画製剤は、多くのヒトの血漿をプールしたものを原料
として調製されている。ヒト血漿には、例えば肝炎ウイ
ルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の血液を媒介と
して感染するウイルスが存在することが認められてお
り、それらが血漿分画製剤を通して感染した事例も報告
されている。そのため、今日では多くの分画製剤は加熱
等による夾雑ウイルスの不活性化工程を経て製造され
る。夾雑ウイルスの不活性化は、強い物理的化学的な処
理を施すことによって達成されるが、血漿分画製剤の本
態をなす蛋白質によってはこれらの処理に対して不安定
なものがある。従って、多くの場合、調製した蛋白質を
凍結乾燥した後加熱する方法(凍結乾燥加熱)や液状で糖
類やアミノ酸類等の蛋白質安定剤存在下で加熱しウイル
スを特異的に不活化する方法が実施されている。
から成り、各アミノ酸間の相互作用によってその蛋白質
に固有の高次構造及びサブユニット構造を形成してい
る。従って、高次構造あるいはサブユニット構造を不可
逆的に破壊するような処理は、その蛋白質に対して蛋白
質変性を導くような影響を及ぼすことが避けられないも
のである。本願発明者は、生物学的に活性な蛋白質を形
成するアミノ酸残基から熱に対して不安定な部分を事前
に除去することでより強力なウイルスの不活性化が可能
であるとの視点に立ち、この理論を実証するべく鋭意研
究を重ねた。
して先ずプラスミノーゲンのリジン結合断片の加熱及び
それに引き続く製造方法について検討した。その理由は
以下のとおりである。プラスミノーゲンは分子量80,000
の血漿蛋白質で、血液の凝固線溶系に関与する酵素前駆
体である。プラスミン、ウロキナーゼ、ティッシュプラ
スミノーゲンアクチベータ(tPA)等によって限定分解
を受け、活性型であるプラスミンに変換され、このプラ
スミンはフィブリン凝塊物を分解する働きがある。プラ
スミノーゲンは、その分子中にリジンと結合し得る部分
(リジン結合部)と上述の活性発現を担う活性中心が存在
する部分に分けることができる。リジン結合断片はフィ
ブリンとの結合に重要な働きを示すもので、かつ、最近
その部分に血管新生の抑制の働きがあることが証明され
た(O'Reilly.M.S et al. Angiostatin: a novelangioge
nesis inhibitor that mediates the suppression of m
etastases by alewis lung carcinoma. Cell,79,p.315-
328,(1994))。リジン結合断片の血管新生抑制作用は、
癌治療最大の問題である癌転移の抑制に当該リジン結合
断片の投与が有効であることを示唆しており、この部分
を血漿から調製し且つ好適な加熱を行なうことができれ
ばウイルス感染等の危険性のない安全な癌転移抑制剤が
得られることが期待される。
ルコール分画部分からリジンをリガンドとしたカラムを
用いることによって、ほぼ選択的に完全な形態で調製す
ることができる。プラスミノーゲンは、例えばε-アミ
ノカプロン酸存在下で加熱する方法によって安定的に夾
雑ウイルスを不活化することができる(特許出願公告昭
和62年第35756号)。しかし、これら安定剤はア
フィニティークロマトグラフィーの結合を阻害するもの
であり、所望の物質のアフィニティー精製のためには前
記安定剤を除去するために透析等の操作を要する。ある
いはその後のプラスミノーゲン分解部分を得るための分
解工程を必要とする。また、凍結乾燥状態での加熱に関
しても、凍結乾燥という特殊な装置を要する操作自体が
不可欠であり、さらにこの工程においても蛋白質安定剤
の存在を要することがしばしばである。上記の条件を満
たさない限り、より強力な条件を加えることはできな
い。従って、従来の方法でプラスミノーゲンをウイルス
不活化処理し、そのリジン結合断片を分離するには上述
の種々の問題点があり、これを克服するためには何らか
の飛躍的な技術が必要であった。
は、生物学的に活性な蛋白質の製造方法を提供する。本
願発明者等は、プラスミノーゲンのうち熱に不安定な部
分(活性中心の部分)を蛋白質分解酵素によって分離・分
解し、リジン結合断片のみを特異的に採取し、これを加
熱した時リジン結合断片の機能を失わせることなくウイ
ルスを選択的に不活化し得ることを見出した。本願発明
は上述の知見に基づいて達成されたものである。
した生物活性を有する多くの蛋白質について適用可能で
あるが、血漿蛋白質の混合物からプラスミノーゲンを分
離しこれを選択的に分解して所望のプラスミノーゲンリ
ジン結合断片を得、夾雑ウイルスを加熱不活化してプラ
スミノーゲンリジン結合断片組成物を製造すること、も
しくは、血漿蛋白質の混合物からフィブロネクチンを調
製しこれを選択的に分解してフィブロネクチンのヘパリ
ン結合断片を得、夾雑ウイルスの加熱不活化処理後所望
のフィブロネクチンヘパリン結合断片組成物を製造する
ことに対して特に適する。以下、生物学的に活性な蛋白
質としてプラスミノーゲンを例に取り、本願発明を解説
する。
スミノーゲンを酵素的に分解して熱に対して不安定な部
分を除去し、その後に加熱処理することに大きな特徴を
有する。図1に本願発明の概略を示した。図1に示した
ように、プラスミノーゲンには熱に安定な部分と不安定
な部分がある。プラスミノーゲンをそのまま加熱した場
合、安定な部分の蛋白質も不安定な部分に巻き込まれ、
それに引きずられて熱変性を起こしてしまう。この状態
のものは、酵素の基質特異的な切断を受けずさらなる調
製を不可能にする。しかし、加熱する前に予め不安定部
分を切断し除去した場合には、加熱に対して寛容にな
る。
よりなる。 調製されたプラスミノーゲンの選択的分解:プラスミ
ノーゲンを選択的に分解し、生物活性を有し夾雑ウイル
ス加熱不活化の対象となるプラスミノーゲンリジン結合
断片を生成させる。 プラスミノーゲンの熱不安定部分の除去:上記選択的
分解によって生じた熱不安定部分を溶液系から除去す
る。 夾雑ウイルスの不活性化:
する蛋白質の母体物質であるプラスミノーゲンは、報告
されているいくつかの方法に従って調製することがで
き、その調製に際しては特別の制約はない。好適な例と
して、新鮮凍結血漿よりリジンを担体に結合させたクロ
マトグラフィー(リジンクロマトグラフィー)を用いて調
製することができる(Chibber,B.A.K. et al., Plasmino
gen Methods in Enzymology,34,p.424-432)。
的に分解して、熱に安定なリジン結合断片と熱に不安定
な断片に分解する。この分解は、例えば、Gross等(Gros
s Eet al.,J. Biol. Chem.,237,p.1856-(1962))に報告
されているようなブロモシアンによる化学的切断等も適
用され得るが、反応の選択性の観点からエラスターゼ等
の酵素による選択分解は好ましい態様である(Davidson
J.F. et al., Raven Press, New York,3,p.191-209,(19
78))。エラスターゼを担体に固定したレジンに好適な反
応比、例えば酵素基質比が1:100でプラスミノーゲ
ンを反応させ、後処理後、反応液をリジンクロマトグラ
フィーに通液して素通り画分を分取する。レジンに吸着
したプラスミノーゲンリジン結合断片(Plasminogen Lys
ine Binding Site)を適当な、例えば20mMアミノヘ
キサン酸を含む溶出緩衝液で溶出して分取する。必要な
場合は、分取液を分子ふるい(ゲル濾過)クロマトグラフ
ィーによって所望の分子量を有する蛋白質画分を得る。
を含有する溶液に対して、好適な手段によって夾雑の可
能性のある感染性ウイルスの不活性化の工程が施され
る。感染性ウイルスの不活性化は、一般に汎用されてい
る加熱不活化処理が適用され得る。溶液状態もしくは凍
結乾燥状態での低温加熱殺菌が推奨され、少なくとも5
0℃の温度において少なくとも10時間加熱することが
要求される。加熱に際して、必要な場合、糖、アミノ酸
あるいはε-アミノカプロン酸もしくはその塩等を共存
させると、目的の生物活性を有する蛋白質の活性低減を
抑制することが可能となる。かくして、本願発明の方法
により、加熱による該蛋白質の活性の低下が認められず
さらに感染性夾雑ウイルスが不活化された、有効且つ安
全性が保証されたプラスミノーゲンリジン結合断片を含
有する組成物が提供される。
片化することによって新しい活性が認められるものにフ
ィブロネクチンのヘパリン結合断片がある。Homandberg
等はフィブロネクチンをCathepsin及びα-thrombinで限
定分解後、分子中の29K-daからなるヘパリン結合断
片を調製し、その断片に血管新生阻害効果があることを
示した(Homandberg G.A. et al., Am. J. Pathol.,120,
p.327-332(1985))。フィブロネクチンも前述のリジン結
合断片と同様に熱に対して不安定な物質の一つである。
本願発明者は、フィブロネクチンから上述のHomandberg
等の方法に従い、フィブロネクチンヘパリン結合断片を
調製し、これに対して60℃で10時間の液状での加熱
を行なった。
びCathepsinによって得られる72K-da断片は蛋白変性
を起こし、濾過後の蛋白回収率は5%以下であったのに
対し、29K-daは液の白濁化を認めず、蛋白の回収率
は90%以上であった。また、フィブロネクチン及び7
2K-da断片の熱変性沈澱にα-Thrombinを作用させてみ
ても、29K-da断片は理論値の10%にも満たない回
収率であった。加熱前後の29K-da断片を血管内皮細
胞の増殖系に添加し、その抑制効果を評価したところ、
加熱したヘパリン結合断片は非加熱のそれと同等の活性
を示した。
のうちプラスミノーゲン及びフィブロネクチンを例示し
て記したが、その範囲はこれらに制約されることはな
い。つまり、最近のレセプターとリガンドの概念には、
蛋白質全体の機能のほかにそのリガンドとしての活性が
注目されているものがある。リガンドとなる部分はその
蛋白質の一部分であり、本法と同様に、酵素的に蛋白質
を断片化してその部分を血漿蛋白質から調製できる場合
がある。当該リガンド部分を製剤化する際、加熱処理が
実施されるが、本願発明によってもたらされる方法と同
様の加熱が行なわれた場合もこれに該当する。また、生
体内に微量に存在する熱に安定な断片を、不安定断片を
熱処理し除去することによって選択的に調製することも
可能である。
例に沿って説明するが、本願発明はこれらの実施例にな
んら限定されるものではない。
mMベンツアミジン、1mMPMSF、100U/mlアプ
ロチニン(トラジオール(ハ゛イエル社))を加え室温で冷融解
を行なった。その後、浮遊物を高速遠心機(トミー精工 RS-
20IV)で8,000rpm、4℃、20分間遠心処理し上清
を得た。上清を、50mM Tris/0.5M NaCl(pH7.
5)で平衡化したリジン-セファロース(Lysine-Shepharo
se) 4Bカラム(φ5.0 x 30cm、ファルマシア社製)に流速1.0
ml/minで通液し、さらに5倍容の同緩衝液で洗浄した。
その後、緩衝液を10mMアミノヘキサン酸を含む同緩
衝液に代え溶出した。溶出液は、0.1M 炭酸アンモニ
ウム緩衝液に対して4℃で一晩透析した。
社製 Tyep IV:From Porcine Pancreas)50mgを0.5M
NaClを含む0.1M炭酸水素ナトリウムで溶解後、さ
らに一晩4℃で同緩衝液に対して透析した。エラスター
ゼを固定化するゲルはCNBr-Activated Sepharose 4
Fast Flow(ファルマシア社製)を用い、そのカップリング
は、5mg Elastase/ml Gelの用量で使用説明書に従って
行なった。
LBS-I,LBS-II)の調製)実施例1のリジンアフィニティー
ゲルによって調製したプラスミノーゲンを、Davidson等
の方法に従い実施例2で調製したエラスターゼで分解し
(Davidson J.F. et al., Raven Press, New York,3,p.1
91-209,(1978))、引続きリジンアフィニティーゲルによ
ってプラスミノーゲンのエラスターゼ分解物を分離し
た。すなわち、精製プラスミノーゲン10mg/mlにアプ
ロチニン100U/ml(トラジロール、ハ゛イエル社)を加え、
0.1M炭酸アンモニウムに溶解した。これにエラスタ
ーゼ-Sepharoseを酵素基質比が1:100になるように
加え、25℃で一晩攪拌させながら反応させた。反応終
了後、反応液をガラスフィルターで濾過し、濾液を0.
1M炭酸アンモニウム緩衝液で平衡化させたリジン-Sep
harose(ファルマシア社)に通液し、同緩衝液で洗浄した。素通
り画分(ミニ フ゜ラスミノーケ゛ン)は、フラクションコレクター(LK
B社 Redirac E)で採取した。リジン-Sepharose結合画分
は20mMアミノヘキサン酸を含む同緩衝液で溶出し
た。素通り画分及び結合画分(Plasminogen Lysine Bind
ingSite I;以下LBS-I, Plasminogen Lysin Binding Sit
e II ;以下LBS-II、混合液)をそれぞれプールした後、
限外濾過膜(YM-10 Amicon社製)で濃縮し、0.1M炭酸
ナトリウム及びリン酸緩衝液(pH7.2)でそれぞれ一
晩冷房で透析した。濃縮した結合画分は0.1M炭酸ア
ンモニウムで平衡化したSephadex G-75 (ファルマシア社製)φ
5.0 x 40cmに通液し、LBS-I(前画分)、LBS-II(後画分)
を分離した。
片(LBS-I画分)を精製水で透析した後、各々3mlをバイ
アルに分注し、100℃で煮沸して所定の時間ごとにサ
ンプリングした。
の方法で加熱したLBS-I画分をLysine-リガンドカラムに
通液し、Lysine-リガンドへの非結合画分と結合画分の
量を検討することによって、LBS-I画分の本来有するリ
ジン結合能を比較した。50mM Tris/0.1M NaCl
/5mM EDTA(pH7.5)の緩衝液で平衡化されたL
ysine-Sepharose 4カラム(φ1.5 x 15cm)に通液し、同
緩衝液で洗浄後、20mMアミノヘキサン酸を含む同緩
衝液でグラジエント溶出した。なお、洗浄時及び溶出時
の280nmでの吸光度はモニターし、溶出の面積比を
もってその安定性を評価した。図2に加熱、非加熱のリ
ジン結合断片のリジン-Sepharose 4Bからの溶出パター
ンを示した。図に示すように、100℃、3分の加熱で
リジン-Sepharoseに非吸着の蛋白質量は全体の5%にも
満たないものであり、且つカラムからの溶出パターンは
非加熱の蛋白質のそれと同一であった。
物活性について、O'Reilly等の方法に従いリジン結合断
片の血管新生阻害作用を血管内皮細胞の増殖能を用いて
評価した。すなわち、Folkman等(Folkman, J., Haudens
child,C.C., and Zetter, B. R.Long-term culture of
capillary endothelial cells. Proc. Natl. Acad. Sc
i.USA 76,p.5217-5221,(1979))の方法に従い、取得及び
管理した血管内皮細胞を2,500cells/mlに調製し、細胞
を24ウェルのプレート(ヌンク社製:NUNCLONE)に0.5
ml/wellで播種し、24時間37℃のCO2インキュベー
タ(CO2濃度 10%)で培養した。0.25mlのDMEM、
5%BCS、1%カナマイシンを含む培地に実施例4で
加熱したリジン結合断片を10μg/mlになるように加
え、さらに20分間培養した。その後、1ng/mlFGF
を含む同緩衝液を加え全量を500μlにした後、さら
に72時間培養した。なお、対象としては加熱を行なっ
ていないリジン結合断片を加えた。培養後、ウェルをト
リプシンで剥離した後、細胞数を計測した。その結果、
リジン結合断片を添加していない対照を100%とした
場合、加熱断片は56%、非加熱断片は58%の血管内
皮細胞の抑制効果を示し、加熱したリジン結合断片は非
加熱のそれと同等の血管内皮細胞増殖抑制効果が確認さ
れた。
管新生阻害効果の比較)in vivo での血管新生阻害効果
はAbe等の方法を用い、dorsal airsac法で評価した(Abe
T. et al., J.Clin.Invest.92,p.54-61(1993))。即
ち、C57BL6/Jマウスの背部皮下にミリポアチャンバーを
左右2個挿入し、マウスルイス肺癌3LL-SA1×1
06個をこのチャンバーに注入した。この際、一方のチ
ャンバーには腫瘍細胞を注入せず対照とした。実施例4
の方法で調製した加熱したプラスミノーゲンリジン結合
断片及び非加熱の断片を1mg/kgでマウスの腹腔内に投
与し、5日間飼育した。新生血管はミリポアチャンバー
直下の血管を画像解析装置に入力し、その面積(占有率)
を比較した。プラスミノーゲンリジン結合断片非投与群
の血管占有率は対照チャンバーが15.0±4.3%、腫
瘍挿入チャンバーで30.3±5.8%であったのに対し
て、加熱断片投与群は対照チャンバーが16.1±8.4
%、腫瘍挿入チャンバーで20.6±7.7%であり、非
加熱断片投与群は対照チャンバーが19.8±10.4
%、腫瘍挿入チャンバーで22.3±9.0%であり、腫
瘍に由来する血管新生を抑制していた。
制効果の比較)C57BL6/Jマウスの背部皮下にルイス肺癌
(LL/2)を106cells移植後、その重量が500〜70
0mgに達した時点で腫瘍を摘出し、更に14〜17日間
飼育した。以後、実施例4の方法で調製した加熱したプ
ラスミノーゲンリジン結合断片及び非加熱の断片を1mg
/kgでマウスの腹腔内に毎日投与し、更に7〜10日間
飼育後肺を摘出し、肺転移増殖を肺転移数及び重量を測
定し比較した。なお、対照としては、プラスミノーゲン
リジン結合断片の代わりに生理食塩水を100μl投与し
た。肺重量は非加熱断片投与群で0.24±0.06gで
あったのに対して、加熱断片は0.25±0.12gであ
り、対照群の0.59±0.43gに較べ共に腫瘍の増殖
を抑制していた。
断片溶液に1/10量のPseudorabies Virus108.5 T
CID50/mlを添加し3分間水浴上で煮沸した。感染価
の測定はVero細胞を用い、50%感染終末点(TCID50)法
を用いて行なった。加熱前に107.5 TCID50/mlの
ウイルスを含む溶液が、3分間100℃の加熱後は10
0.5>TCID50/mlとなりウイルスは速やかに不活化さ
れていることが確認された。
omandberg G.A. et al., Arch. Biochem. Biophys.238,
p.652-663(1985))の記述に従って調製した。ヒト血漿よ
りゼラチンSepharoseで精製し、部分還元したものを使
用した。0.1Mホウ酸緩衝液(pH3.7)で0.8μg/m
lのCatepsin D(Sigma社製)と1mg/mlのフィブロネクチ
ンを30℃3時間反応させた後、反応を終了させ、ゼラ
チンSepharoseに通液してその結合断片(72K-da分子)
を回収した。結合断片を50mMNaCl/20mMTris緩衝
液(pH7.4)で透析後1Uのα-Thrombinと反応させ、
さらに29K-daの断片と50K-daの断片に分解した。
29K-daの断片はゼラチンSepharoseの非結合画分とし
て得られた。
ン断片の加熱 フィブロネクチン及びフィブロネクチン断片(72K-d
a、29K-da)は生理食塩水に透析後、60℃で10時
間、液状で加熱した。なお、60℃で10時間の加熱条
件はヒト血清アルブミンで肝炎ウイルス等のウイルス伝
播を阻止し得る条件である。加熱した各検体は、3,000r
pmで遠心後、メンブランフィルター(MILEX-HA 0.45μm:
ミリポア社製)で濾過し、その回収率は蛋白質量を測定
して求めた。上述の方法で調製した加熱後の72K-da
蛋白断片を、Furie等の方法に従い、さらにα-Thrombin
で分解し29K-daの蛋白断片を調製した(Furie M.B.et
al.,J.Biol.Chem.,255,p.4391-4394(1980))。
蛋白変性を起こし、濾過後の蛋白回収率は5%以下であ
ったのに対し、29K-daは液の白濁化を認めず、蛋白
の回収率は90%以上であった。また、フィブロネクチ
ン及び72K-da断片の熱変性沈澱にα-Thrombinを作用
させてみても、29K-da断片は理論値の10%にも満
たない回収率であった。
加熱前後の活性の評価 実施例6に記載の方法に準じて、加熱前後の蛋白断片
(29K-da)の血管内皮細胞増殖抑制効果を判定した。
加熱前後の29K-daを実施例6で示した血管内皮細胞
の増殖系に添加し、その抑制効果を評価した結果、加熱
したヘパリン結合断片は非加熱のそれと同等の活性を示
した。
でのリジンへの結合能を示す図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 (a)生物学的に活性な蛋白質を含有する
溶液から、物理的あるいは化学的方法によって熱に不安
定な蛋白質部分を分離し除去する工程、及び(b)前記工
程(a)の熱に不安定な蛋白質部分除去後の生成物を、夾
雑する感染性ウイルスのすべてを不活性化するために十
分な条件下で処理するウイルス不活性化工程、を含んで
なることを特徴とする感染性を有する夾雑ウイルスを実
質的に含有しない生物学的に活性な蛋白質組成物を製造
する方法。 - 【請求項2】 工程(a)の熱に不安定な蛋白質部分の分
離が、酵素的な蛋白質分解に基づくものである請求項1
記載の方法。 - 【請求項3】 工程(a)の生成物に対して、溶液中に存
在する全ての夾雑ウイルスの不活性化を確実にするため
に十分な条件下に、低温加熱殺菌する請求項1記載の方
法。 - 【請求項4】 低温殺菌工程が、溶液もしくは凍結乾燥
状態で、少なくとも50℃の温度において少なくとも1
0時間加熱することを含む請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 選択的に、糖、アミノ酸、あるいはε-
アミノカプロン酸もしくはその塩を共存させる請求項3
記載の方法。 - 【請求項6】 工程(a)の熱に不安定な蛋白質部分除去
後の生成物が、プラスミノーゲン分解物質である請求項
1〜請求項5のいずれかに記載の方法。 - 【請求項7】 工程(a)の熱に不安定な蛋白質部分除去
後の生成物が、プラスミノーゲンのリジン結合断片であ
る請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】 工程(a)の熱に不安定な蛋白質部分除去
後の生成物が、フィブロネクチンヘパリン結合断片であ
る請求項1〜請求項5のいずれかに記載の方法。
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1996
- 1996-04-19 JP JP12233096A patent/JP3947247B2/ja not_active Expired - Fee Related
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