JPH09285904A - 工具保持装置および工具ホルダ - Google Patents

工具保持装置および工具ホルダ

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JPH09285904A
JPH09285904A JP3733797A JP3733797A JPH09285904A JP H09285904 A JPH09285904 A JP H09285904A JP 3733797 A JP3733797 A JP 3733797A JP 3733797 A JP3733797 A JP 3733797A JP H09285904 A JPH09285904 A JP H09285904A
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JP
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engagement
fitting
rotation
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JP3733797A
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English (en)
Inventor
Hajime Mizutani
肇 水谷
Kazuo Nomoto
和男 野本
Takefusa Sasamori
竹房 笹森
Yasuo Kato
泰男 加藤
Kazuhiro Takasaki
多弘 高崎
Hideo Moronuki
秀雄 諸貫
Akinori Tsujino
明範 辻野
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Toyota Motor Corp
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Fuji Bellows Co Ltd
Fuji Seiko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互いに着脱される二部材の軸方向の相対移動
を阻止し、耐久性の高い工具保持装置,工具ホルダを提
供する。 【解決手段】 鋼球132を保持するカラー120をド
リルホルダ36に軸方向に移動可能かつ回転可能に嵌合
し、鋼球132をカム溝138に嵌入させる。引張コイ
ルスプリング146がカラー120を回転方向に付勢
し、圧縮コイルスプリング128が軸方向に付勢する。
スリーブ10の先端部に係合フランジ172,トルク伝
達切欠174を設ける。嵌合軸部38を嵌合穴18に嵌
合し、係合突部126がトルク伝達切欠174を通って
ストッパ面176に当接した状態から更に嵌合すれば鋼
球132がカム溝138の軸方向溝部から傾斜溝部に入
り、スプリング146がカラー120を回転させ、鋼球
132が傾斜溝部内を移動し、係合突部126が係合フ
ランジ172に係合し、端面112を端面16に押し付
け、軸方向の相対移動を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は工作機械に加工工具
を取り付けるための工具保持装置および加工工具を保持
する工具ホルダに関するものであり、特に、工作機械側
に設けられる部材と加工工具を保持してその部材に着脱
される部材との軸方向の相対移動の防止に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】この種の工具保持装置には、加工工具を
保持する部材が別の部材を介して工作機械に取り付けら
れる装置がある。この工具保持装置は、(A)第一嵌合
部と第一当接面とを備えて工作機械側に設けられる第一
部材と、(B)前記第一嵌合部と相対回転不能に嵌合可
能な第二嵌合部と、それら両嵌合部が嵌合された状態で
前記第一当接面と当接可能な第二当接面と、加工工具を
保持する加工工具保持部とを備えて第一部材に対して着
脱される第二部材と、(C)前記第一当接面と前記第二
当接面とを当接した状態に保つ当接状態維持装置とを含
むように構成される。
【0003】実公昭57−3687号公報に記載の工具
保持装置は、その一例である。この工具保持装置は、加
工工具を工作機械の主軸に取り付けるための装置であ
り、主軸に固定される第一部材たる保持部材と、チップ
取付部および保持部材に保持される保持部を備えて第二
部材として機能するバイトとを有する。保持部材は、主
軸の保持穴に嵌合される小径の嵌合部と、嵌合部より径
が大きく、当接状態維持装置の構成部材が取り付けられ
る大径部とを有し、嵌合部において主軸に嵌合されると
ともに、大径部が主軸の先端面に当接させられ、大径部
においてボルトにより主軸に固定されている。
【0004】保持部材には、軸線上を貫通する保持孔が
形成されるとともに、保持孔より外周側には円環状溝が
同心に形成されており、これら保持孔と円環状溝とは環
状の仕切壁により仕切られている。この仕切壁には半径
方向に貫通する6個の貫通穴が形成されるとともに、そ
れぞれ鋼球が嵌合され、円環状溝にはクランプスリーブ
が軸方向に移動可能に嵌合されている。クランプスリー
ブは圧縮コイルスプリングにより主軸に向かって付勢さ
れており、かつ、クランプスリーブの内周面には、主軸
に近い側から順に、軸方向に対する傾斜角度が大きい急
傾斜面と、傾斜角度が小さい緩傾斜面とが形成されてい
る。また、保持部材の大径部の外側には操作スリーブが
軸方向に移動可能に嵌合されるとともに、ロッドにより
クランプスリーブと連結されている。大径部には、半径
方向に貫通するとともに、軸方向に長い貫通孔が形成さ
れており、上記ロッドは貫通孔内に配設されるととも
に、両端部がクランプスリーブと操作スリーブとに固定
されている。
【0005】バイトは、チップ取付部と、保持部材の保
持孔に嵌合される嵌合部と、それらチップ取付部と嵌合
部との間において半径方向外向きに延び出させられたフ
ランジ部と、嵌合部とフランジ部との間に形成され、嵌
合部側ほど軸線から離れる向きに傾斜させられたテーパ
面を有するクランプ用突部とを備えている。
【0006】バイトの保持部材への取付け時には、操作
スリーブを操作し、クランプスリーブを圧縮コイルスプ
リングの付勢力に抗して移動させるとともに、ロック手
段により移動を止める。この状態では急傾斜面が鋼球に
対向し、鋼球は保持孔の内周面から円環状溝側へ引っ込
み、クランプ用突部と鋼球との干渉を生ずることなく嵌
合部が保持孔に嵌合されることを許容する。嵌合後、ロ
ック手段のロックを解けば、クランプスリーブが圧縮コ
イルスプリングにより付勢され、まず急傾斜面が鋼球に
係合する向きに移動させられる。それにより鋼球が貫通
穴内に押し込まれるとともに保持孔の内周面から突出さ
せられ、バイトのクランプ用突部のテーパ面に係合す
る。その後、緩傾斜面が鋼球に係合して鋼球を貫通穴内
に強く押し込むため、クランプ用突部の斜面の作用によ
りバイトが保持孔内へ強く引き込まれ、バイトのフラン
ジ部が保持部材の先端面に当接させられて、バイトは保
持部材により軸方向の隙間なく保持される。そのため、
加工中にバイトと保持部材とが軸方向の相対移動を繰り
返すことに伴って、工具保持装置の各部が衝突や摺動を
繰り返し、へたり(塑性変形)や摩耗が生じて寿命が低
下することが良好に回避され、耐久性に優れた工具保持
装置が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】請求項1ないし6に係
る第一ないし第六発明はそれぞれ、上記公報に記載の工
具保持装置とは別の構成により、第二部材を第一部材に
対する軸方向の隙間なく保持することができる工具保持
装置を提供することを課題として為されたものであり、
請求項7に係る第七発明は、工作機械側に設けられる第
一部材に軸方向の隙間なく取り付け可能な工具ホルダを
提供することを課題として為されたものである。特に、
第一発明は、第一部材と第二部材との一方に嵌合された
回転部材の回転を軸方向の移動に変換することにより、
第二部材を第一部材に軸方向の隙間なく取り付け得るよ
うにすることを課題として為されたものであり、第二発
明は、カムおよびカムフォロワを用いて回転部材の回転
を容易に軸方向の移動に変換することを課題として成さ
れたものであり、第三発明は、回転部材の回転が軸方向
の移動に変換されない状態を得ることを課題として為さ
れたものである。第四発明は、第一発明の課題に加え
て、耐久性に優れた工具保持装置を提供することを課題
として為されたものであり、第五発明は、保持操作が容
易な工具保持装置を得ることを課題として為されたもの
であり、第六発明は形成の容易な工具保持装置を得るこ
とを課題として為されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
第一発明は、上記の課題を解決するために、前記(A)
の第一部材,(B)の第二部材および(C)の当接状態
維持装置を含む工具保持装置の当接状態維持装置を、
(a)第一部材と第二部材との一方に回転可能かつ軸方
向に移動可能に嵌合されるとともに、その一方の部材に
設けられた軸方向当接面に対向する第二係合面を有する
係合部を備えた回転部材と、(b)第一部材と第二部材
とのうち、回転部材が嵌合されていない部材に、その部
材に設けられた当接面とは逆向きに設けられた第一係合
面と、(c)回転部材と、その回転部材が嵌合された部
材との間に設けられ、回転部材を回転方向に付勢する回
転付勢手段と、(d)回転部材とその回転部材が嵌合さ
れた部材との間に設けられ、回転付勢手段の付勢力に基
づく回転部材の回転を、係合部が、回転部材が嵌合され
た部材の当接面に接近し、第二係合面が第一係合面に係
合する向きの軸方向の移動に変換する変換装置とを含む
ものとしたことを要旨とするものである。
【0009】第二部材を第一部材に保持させる際には、
回転部材が回転付勢手段の付勢力に抗して回転させら
れ、係合部が軸方向当接面から離れた状態とされる。そ
れにより、係合部の第二係合面と、回転部材が嵌合され
た部材の当接面との間に、回転部材が嵌合されていない
部材の当接面および第一係合面を位置させる隙間が得ら
れる。そして、この隙間に回転部材が嵌合されていない
部材の当接面および第一係合面が位置させられた状態で
回転部材が回転付勢手段の付勢力に基づいて回転させら
れれば、変換装置の変換作用により回転部材が軸方向に
移動させられ、係合部が回転部材が嵌合された部材の当
接面に接近させられるとともに、第二係合面が第一係合
面に係合し、第一当接面と第二当接面とが互いに押し付
けられて当接状態に維持する。回転部材は回転付勢手段
によって付勢されており、係合部が当接面から離れる向
きに移動する方向へ回転させられることはなく、第一,
第二当接面は当接状態に保たれる。回転部材を付勢手段
の付勢力に抗して回転させれば、係合部が当接面から離
れて第一,第二当接面の当接維持状態が解かれ、その状
態で第一部材と第二部材とを互いに離れる向きに相対移
動させることにより、両者を互いに外すことができる。
【0010】回転部材は、発明の実施の形態において説
明するように、第二部材に嵌合してもよく、あるいは第
一部材に嵌合してもよい。第一,第二部材のうち、回転
部材が嵌合されていない部材には、第一係合面を設けれ
ばよく、構成が簡易で製造が容易である。特に、複数の
第二部材が共通の第一部材に選択的に保持される場合、
回転部材を第一部材に設ければ、複数の第二部材の構成
が簡易で製造が容易であることにより、装置コストを低
減することができる。また、第一発明は、主軸に回転切
削工具や研削工具を取り付けるための工具保持装置に限
らず、旋盤の心押し台や刃物台に切削工具を取り付ける
ための工具保持装置等他の工具保持装置にも適用するこ
とができる。
【0011】本第一発明によれば、加工中に第一部材と
第二部材とが軸方向において相対移動し、工具保持装置
の各部が繰り返し衝突,摺動してへたりや摩耗が生ずる
ことがなく、耐久性の高い工具保持装置が得られる。ま
た、第一部材と第二部材との軸方向の相対移動に起因し
て加工工具に欠損が生ずることも良好に回避される。さ
らに、本発明に係る工具保持装置において互いに嵌合さ
れる部材は、第一部材または第二部材と回転部材との二
部材であり、半径方向の寸法を小さく、コンパクトに構
成することが容易である。
【0012】第二発明においては、第一発明に係る工具
保持装置の前記変換装置が、(ア)前記第一部材と前記
第二部材とのうち前記回転部材が嵌合された部材と回転
部材との一方に設けられたカムフォロワと、(イ)他方
に設けられ、回転部材が前記回転付勢手段の付勢力によ
り回転させられるとき、カムフォロワと係合して、回転
部材を、前記係合部が回転部材が嵌合された部材の当接
面に接近する向きに移動させる向きに周方向に対して傾
斜させられた傾斜部を含むカム部とを含むものとされ
る。
【0013】この装置においては、回転部材は回転付勢
手段の付勢力に基づいて回転させられるとき、傾斜部の
斜面の作用により係合部が当接面に接近する向きに移動
させられ、第一当接面と第二当接面とが当接状態に維持
される。回転部材の回転方向に対する傾斜部の傾斜角度
を45度より小さくすれば、回転付勢手段の付勢力は傾
斜部の作用により倍力され、第一,第二当接面は強固に
当接状態に維持される。なお、カムフォロワおよびカム
部は、発明の実施の形態において説明するように、カム
フォロワを回転部材に設け、カム部を第二部材に設けて
もよく、あるいは逆でもよい。また、カムフォロワを回
転部材に設け、カム部を第一部材に設けてもよく、ある
いは逆でもよい。カム部は、後に延べるように溝でもよ
く、突条でもよく、あるいは傾斜面でもよく、カムフォ
ロワは、溝に嵌入する突起,突条と嵌合する凹部を有す
る突起,溝に嵌入しあるいは傾斜面に係合する突起,転
動体の一種である球体やローラ等、種々の態様のものが
採用可能である。
【0014】第三発明においては、第一または第二発明
に係る工具保持装置の前記回転部材が、前記係合部が前
記第二係合面が対向する当接面から離れる向きに付勢す
る軸方向付勢手段を含むものとされるとともに、前記カ
ム部が、前記傾斜部の、回転部材が前記回転付勢手段の
付勢力により回転させられ、前記カムフォロワが傾斜部
に沿って相対移動する際の移動方向において上流側の端
部から、軸方向に平行に、かつ、傾斜部と鈍角を成す向
きに延び出させられた軸方向部を含むものとされる。
【0015】カムフォロワが軸方向部に係合する状態で
は、回転部材は軸方向付勢手段により付勢され、係合部
が当接面から離れるとともに、軸方向付勢手段の付勢力
に基づいてカムフォロワが軸方向部の傾斜部から離れた
側に位置する向きに移動させられる。この状態では、回
転付勢手段により付勢されてカムフォロワが軸方向部に
回転方向において係合し、回転部材の回転が防止され、
係合部が当接面から離れた状態に保たれる。そして、係
合部の第二係合面と回転部材が嵌合された部材の当接面
との間に、他方の部材の当接面および第一係合面が位置
させられた状態で、回転部材が軸方向付勢手段の付勢力
に抗して、係合部が当接面に接近する向きに移動させら
れ、カムフォロワが傾斜部に係合する位置まで移動させ
られれば、回転部材は回転付勢手段の付勢力に基づいて
回転させられるとともに軸方向に移動させられ、第二係
合面が第一係合面に係合して第一当接面と第二当接面と
を当接状態に保つ。
【0016】第二部材の第一部材からの取外し時には、
回転部材を回転付勢手段の付勢力に抗して回転させ、カ
ムフォロワを傾斜部から離脱させて軸方向部に係合可能
な状態とする。それにより係合部が第一係合面から離間
させられて第一,第二当接面の保持が解除される。この
とき、軸方向付勢手段の付勢力に基づいて回転部材と、
回転部材が嵌合された部材とが相対移動させられ、カム
フォロワが軸方向部に係合し、回転部材の回転が阻止さ
れるため、作業者は、回転部材の回転を阻止することな
く、回転部材と回転部材が嵌合された部材との少なくと
も一方を持って回転部材が嵌合されていない部材から取
り外すことができる。
【0017】このように本発明によれば、カム部が軸方
向部を有し、係合部が当接面から離れた状態に保たれる
ようにされているため、係合部の第二係合面と、回転部
材が嵌合された部材の当接面との間に第一係合面および
他方の部材の当接面を位置させるとき、作業者が回転部
材を回転付勢手段の付勢力に抗して第二係合面が当接面
から離れた状態に保っておく必要がなく、第一,第二部
材の取付け操作を容易に行うことができる。また、作業
者が片手で取付けを行うことが容易である。回転部材が
係合部が軸方向当接面から離れた位置に保たれているの
であれば、あとは、必要に応じて、第一部材と第二部材
とを軸方向に相対移動させたり、相対回転させたりすれ
ばよく、これらの操作は、回転部材が嵌合されていない
部材が支持部材等により支持されていれば、片手で行う
ことができるのである。回転部材の、回転部材が嵌合さ
れた部材に対する回転がカムフォロワと軸方向部との係
合により阻止されるため、作業者は第一,第二部材の取
外し操作も容易に行うことができる。
【0018】第四発明においては、第一発明に係る工具
保持装置の当接状態維持装置が、(α)前記第一部材と
第二部材との一方に相対回転および軸方向移動可能に嵌
合された回転部材と、(β)その回転部材を一方向に回
転する向きに付勢する回転付勢手段と、(γ)前記回転
部材に設けられ、前記第一部材と第二部材との他方に設
けられた第一係合面に、その他方から前記一方に向かう
向きに係合する第二係合面と、(δ)前記第一部材と第
二部材との一方と前記回転部材とにそれぞれ回転部材の
周方向に対して傾斜して設けられ、互いに面接触する第
一傾斜面と第二傾斜面とであって、傾斜の向きが、前記
回転部材が前記回転付勢手段の付勢力により回転させら
れるにつれて回転部材を前記第二係合面が前記第一係合
面に係合する向きに移動させる向きに設定されたものと
を含むものに変えられる。
【0019】回転部材が回転付勢手段の付勢力に抗して
回転させられた状態で、第二係合面と当接面との間の隙
間に、回転部材が嵌合されていない側の部材の当接面お
よび第一係合面が位置させられ、その後、回転部材が回
転付勢手段の付勢力に基づいて回転させられれば、第一
傾斜面と第二傾斜面との斜面の作用により、回転部材
は、第二係合面が第一係合面に接近する向きに移動させ
られる。そして、第二係合面が第一係合面に係合し、第
一当接面と第二当接面とが互いに押し付けられて当接状
態に維持される。回転部材は回転付勢手段によって付勢
されており、第二係合面が当接面から離れる向きに移動
する方向へ回転させられることはなく、第一,第二当接
面は当接状態に保たれる。回転部材を付勢手段の付勢力
に抗して回転させれば、第二係合面が当接面から離れ、
第一,第二当接面の当接状態が解かれ、その状態で第一
部材と第二部材とを互いに離れる向きに相対移動させる
ことにより、第二部材を第一部材から取り外すことがで
きる。
【0020】本第四発明によれば、回転部材は回転付勢
手段の付勢力に基づいて回転させられるとき、第一,第
二傾斜面の斜面の作用により軸方向に移動させられるよ
うにされており、回転部材の回転を軸方向の移動に変換
する2つの部材の接触面積が大きいため、面圧が低く、
摩耗が少なく、寿命の長い工具保持装置が得られる。
【0021】第五発明においては、第四発明に係る工具
保持装置の前記第一傾斜面と前記第二傾斜面との一方が
傾斜溝の側面とされ、他方がその傾斜溝に嵌入可能な突
起の側面とされる。回転部材が回転付勢手段の付勢力に
基づいて回転させられるとき、突起が傾斜溝内を相対移
動し、第二係合面が第一係合面に係合させられて第二部
材が第一部材に保持される。
【0022】本発明に係る工具保持装置においては、傾
斜溝と突起との嵌合により、回転部材と、第一部材およ
び第二部材のうち、回転部材が嵌合された部材とが軸方
向に関して互いに拘束され、離れることはないため、そ
れら2つの部材の取扱いが容易であり、第二部材の第一
部材への着脱時の回転部材の操作も容易に行うことがで
きる。突起は、第一部材および第二部材のうち、回転部
材が嵌合された部材と一体に形成してもよく、別の突起
形成部材を固定することにより設けてもよい。
【0023】第六発明においては、第五発明における工
具保持装置の前記傾斜溝が前記回転部材の内周面に形成
され、前記突起が前記第二部材の外周面に形成される。
回転部材に傾斜溝を設け、第二部材の外周面に突起を形
成すれば、両者を逆に形成する場合に比較して、形成が
容易となる。
【0024】第七発明においては、前記課題を解決する
ために、第一嵌合部と、第一当接面と、その第一当接面
とは反対向きの第一係合面とを備えて工作機械側に設け
られる第一部材に着脱可能に取り付けられる工具ホルダ
が、(1)前記第一嵌合部と相対回転不能に嵌合可能な
第二嵌合部と、それら両嵌合部が嵌合された状態で前記
第一当接面と当接可能な第二当接面と、加工工具を保持
する加工工具保持部とを備えて第一部材に対して着脱さ
れる第二部材と、(2)その第二部材に回転可能かつ軸
方向に移動可能に嵌合されるとともに、前記第二当接面
に対向する第二係合面を有する係合部を備えた回転部材
と、(3)その回転部材と前記第二部材との間に設けら
れ、回転部材を回転方向に付勢する回転付勢手段と、
(4)前記回転部材と前記第二部材との間に設けられ、
前記回転付勢手段の付勢力に基づく回転部材の回転を、
前記係合部の第二係合面が、前記第二当接面に接近し、
前記第一係合面に係合する向きの軸方向の移動に変換す
る変換装置とを含むものとされる。
【0025】このように構成された工具ホルダにおいて
は、前記工具保持装置におけると同様に、回転付勢手段
の付勢力が軸方向の締付力に変換されて第二部材が第一
部材に軸方向に隙間なく取り付けられる。変換装置は、
第二,第三発明に係る工具保持装置と同様に構成しても
よく、あるいは第四ないし第六発明に係る工具保持装置
におけると同様に、回転部材の回転を2つの傾斜面の斜
面の作用により、軸方向の移動に変換するものとしても
よい。また、工具ホルダは、以下の発明の望ましい実施
態様および発明の実施の形態に記載されている工具保持
装置のうち、第一部材側の部分以外の部分として構成す
ることができる。
【0026】
【発明の望ましい実施態様】本発明は上記各請求項に記
載の態様の外に、下記の態様でも実施可能である。実施
の態様は、便宜上、請求項と同じ形式の実施態様項とし
て記載する。ただし、複数の請求項または実施態様項に
従属する実施態様項にさらに従属する実施態様項は、そ
れら複数の請求項または実施態様項のすべてについて読
み得るとは限らず、論理的矛盾を生じることなく読み得
る項のみについて読まれるべきものとする。 (1)前記カム部がカム溝であり、前記カムフォロワが
そのカム溝に嵌入するカム突起である請求項2または3
に記載の工具保持装置。カム突起は、回転部材あるいは
第一部材および第二部材のうち回転部材が嵌合される部
材であって、カム突起が設けられる部材と一体に形成し
てもよく、あるいは、例えば、円柱状のピン等のカム突
起形成部材をカム突起が設けられる部材に固定して設け
てもよく、あるいは実施態様項2に記載されているよう
に、回転可能な転動体たる球体により構成してもよい。 (2)前記カム突起が回転可能な球体で構成されている
実施態様項1に記載の工具保持装置。カム突起が回転可
能な球体で構成されていれば、回転部材が回転し、カム
突起がカム溝内を相対移動する際の摩擦抵抗が少なくて
済み、耐久性が向上する。また、球体は、回転部材と、
第一部材および第二部材のうち、回転部材が嵌合された
部材との2部材に跨がって保持されるため、各部材の球
体保持部(一方の部材の球体保持部はカム溝である)
を、球体をほぼ半分ずつ保持するものとすることによ
り、球体が両部材に確実に係合し、回転部材が回転させ
られるとき、回転部材を球体とカム溝との斜面の効果に
より確実に軸方向に移動させることができる。 (3)さらに、前記回転部材と、前記第一部材と前記第
二部材とのうち回転部材が嵌合された部材との間に設け
られ、回転部材を前記回転付勢手段の付勢力に抗して一
定角度回転させた待機位相に維持する待機位相維持装置
を含む請求項1ないし6,実施態様項1,2のいずれか
1つに記載の工具保持装置。 (4)前記待機位相維持装置が、前記第一部材と前記第
二部材とのうち、前記回転部材が嵌合された部材と回転
部材とにそれぞれ設けられ、係合位置において前記回転
付勢手段の付勢力に基づいて互いに係合するとともに、
軸方向の相対移動により係合が外れる係合離脱位置へ移
動可能な第一待機位相維持部および第二待機位相維持部
と、それら第一,第二待機位相維持部を前記係合位置へ
付勢する軸方向付勢手段とを含む実施態様項3に記載の
工具保持装置。第一,第二待機位相維持部は、発明の実
施の形態において説明するように、第一嵌合部と第二嵌
合部との嵌合,離脱に基づいて係合離脱位置へ相対移動
するようにしてもよく、あるいは作業者により相対移動
させられるようにしてもよい。また、軸方向付勢手段
は、第一,第二待機位相維持部のうち、回転部材の側に
設けられるものを付勢するものとしてもよく、あるいは
第一部材と第二部材とのうち回転部材が嵌合される部材
の側に設けられるものを付勢するものとしてもよい。 (5)前記回転部材を、前記係合部が前記第二係合面が
対向する当接面から離れる向きに付勢する軸方向付勢手
段を含み、前記カム部が、前記傾斜部の、前記回転部材
が前記回転付勢手段の付勢力により回転させられ、前記
カムフォロワが傾斜部に沿って相対移動する際の移動方
向において上流側の端部から、軸方向に平行に、かつ、
傾斜部と鈍角を成す向きに延び出させられた軸方向部を
含み、カム部の軸方向部が前記第一待機位相維持部を構
成し、カムフォロワが前記第二待機位相維持部を構成
し、前記軸方向付勢手段と共に前記待機位相維持装置を
構成している実施態様項4に記載の工具保持装置。カム
フォロワが軸方向部に係合(カムフォロワを回転部材に
設けるのであれば、軸方向部の、回転部材の回転付勢手
段の付勢力に基づく回転方向において下流側の部分に係
合し、カムフォロワを第一,第二部材のうち、回転部材
が嵌合される部材に設けるのであれば、軸方向部の、回
転部材の回転付勢手段の付勢力に基づく回転方向におい
て上流側の部分に係合)することにより、回転部材が待
機位相に維持され、カムフォロワが軸方向部に対する軸
方向の相対移動により軸方向部から外れれば、回転部材
が回転付勢手段の付勢力に基づいて回転させられる。回
転部材の回転を軸方向の移動に変換する変換装置を構成
するカムフォロワが第二待機位相維持部を兼ねており、
待機位相維持装置の構成部材が少なくて済み、簡易かつ
安価に構成することができる。 (6)前記待機位相維持装置が、前記第一部材と前記第
二部材とのうち前記回転部材が嵌合された部材に軸方向
に移動可能に保持された前記第一待機位相維持部たる可
動待機位相維持部材と、前記回転部材に固定的に設けら
れ、可動待機位相維持部材と係合して回転部材を前記待
機位相に維持する前記第二待機位相維持部たる固定待機
位相維持部と、前記可動待機位相維持部材を固定待機位
相維持部と係合する位置に向かって付勢する軸方向付勢
手段とを含む実施態様項4に記載の工具保持装置。 (7)さらに、前記第一嵌合部と前記第二嵌合部との嵌
合に伴って前記待機位相維持装置の待機位相維持状態を
解除する待機解除装置を含む実施態様項3ないし6のい
ずれか1つに記載の工具保持装置。 (8)前記待機解除装置が、前記第一部材と前記第二部
材とのうち前記回転部材が嵌合された側とは反対側の部
材に設けられ、前記第一嵌合部と前記第二嵌合部との嵌
合に伴って、前記回転部材に係合し、その回転部材を前
記軸方向付勢手段の付勢力に抗して移動させ、前記カム
フォロワを前記軸方向部から前記傾斜部へ進入する位置
へ相対移動させる待機解除部を含む実施態様項7に記載
の工具保持装置。 (9)前記待機解除装置が、前記第一部材と前記第二部
材とのうち前記回転部材が嵌合された部材とは反対側の
部材に設けられ、前記第一嵌合部と前記第二嵌合部との
嵌合に伴って前記可動待機位相維持部材に係合し、その
可動待機位相維持部材を前記軸方向付勢手段の付勢力に
抗して前記固定待機位相維持部から離脱させる待機解除
部を含む実施態様項7に記載の工具保持装置。 (10)前記第一嵌合部が円形断面の嵌合穴とその嵌合穴
より半径方向外側の位置に設けられたトルク伝達切欠と
を含み、前記第二嵌合部が前記嵌合穴に相対回転可能に
嵌合する嵌合突部とその嵌合突部の半径方向外側の位置
に、前記トルク伝達切欠に軸方向に嵌入可能に設けられ
たトルク伝達突起とを含む請求項1〜6,実施態様項1
〜9のいずれか1つに記載の工具保持装置。 (11) 前記可動待機位相維持部材が前記トルク伝達切欠
に嵌入し、前記トルク伝達突起を兼ねる実施態様項10
に記載の工具保持装置。本態様によれば、部品点数が少
なくて済み、装置コストを低減し得る。 (12)前記回転部材が半径方向内向きの係合突部を備
え、前記第一部材が円筒部を備え、その円筒部の中央穴
が前記嵌合穴、先端面が前記第一当接面をそれぞれ構成
するとともに、その円筒部の外周面から半径方向外向き
に突出する係合フランジが形成され、その係合フランジ
の前記先端面とは逆向きの面が前記第一係合面を構成
し、かつ前記先端面から少なくとも前記係合フランジを
軸方向に貫通する深さを有し、前記係合突部が通過可能
な切欠が形成され、前記係合突部の前記第一係合面と対
向する向きの面が前記第二係合面を構成する請求項1〜
6,実施態様項1〜11のいずれか1つに記載の工具保
持装置。 (13)前記係合フランジに形成された切欠が前記トルク
伝達切欠を構成する実施態様項12に記載の工具保持装
置。係合フランジに形成された切欠がトルク伝達切欠と
して機能するため、係合フランジに切欠を1種類設ける
のみでよく、係合フランジの形成が容易である。 (14) 前記係合突部が通過可能な切欠が前記トルク伝達
切欠を兼ね、前記可動待機位相維持部材がそのトルク伝
達切欠に嵌入することにより前記トルク伝達突起を兼ね
るとともに、前記係合突部が前記可動待機位相維持部材
に軸方向に平行に形成された係合凹部に係合することに
より前記固定待機位相維持部を兼ねる実施態様項12に
記載の工具保持装置。 (15)前記第二部材が半径方向外向きに延び出たフラン
ジ部を備え、そのフランジ部の一方の端面が前記第二当
接面を構成する請求項1〜6,実施態様項1〜14のい
ずれか1つに記載の工具保持装置。フランジ部を設けて
第二当接面を形成すれば、第二部材のフランジ部に対し
て第二当接面とは反対側に他部材を配設するスペースを
得ることができる。 (16)前記回転部材が、前記第二嵌合部の前記第一嵌合
部への嵌合時に、前記係合フランジに形成された前記切
欠を軸方向に通過する半径方向内向きの係合突部を備
え、前記第二部材に形成されたフランジ部に、前記係合
突部の通過を許容する断面形状で軸方向に貫通する軸方
向切欠が形成されている実施態様項15に記載の工具保
持装置。回転部材は第二部材に、フランジ部の第二当接
面が形成されていない端面側から嵌合され、係合突部は
軸方向切欠を通過させられて第二当接面と対向させられ
る。第二部材の第一部材への取付け時には、係合突部
は、さらに係合フランジに形成された切欠を通過させら
れる。回転部材が回転付勢手段の付勢力に基づいて回転
させられた状態では、係合突部が第一係合面の切欠が形
成されていない部分に係合し、係合フランジに形成され
た切欠からもフランジ部に形成された軸方向切欠からも
抜け出すことなく、第一,第二当接面を当接状態に保
つ。 (17)前記第一部材が、工作機械の主軸に取外し可能に
着脱するための取付部を有する請求項1〜6,実施態様
項1〜16のいずれか一つに記載の工具保持装置。この
態様の装置においては、第一部材に対して第二部材が着
脱可能であるとともに、第一部材自体も主軸に対して着
脱可能であるため、工具保持装置の使い勝手が向上す
る。例えば、第一部材を自動工具交換装置により工作機
械に着脱可能とし、その第一部材に保持される第二部材
を機外で交換可能とすることができるのである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、第七発明の実施形態である
ドリルホルダを含み、第一〜第三発明に共通の実施形態
であるドリル保持装置を図面に基づいて詳細に説明す
る。図1において、10は第一部材たるスリーブであ
る。スリーブ10は半径方向外向きのフランジ部12を
備えている。また、スリーブ10には、先端部(図1に
おいて左端部)から基端部(図1において右端部)に向
かって延び、端面16に開口する有底の嵌合穴18が形
成されている。
【0028】一方、フランジ部12の端面22側には、
取付部24が形成されている。取付部24はフランジ部
12から遠ざかるほど径の小さいテーパ外周面26を有
している。また、取付部24の端面28には軸方向穴3
0が形成されている。軸方向穴30の端面28側の部分
は雌ねじ部32とされており、図示しないプルスタッド
の雄ねじ部が螺合されるようになっている。さらに、フ
ランジ部12にはトルク伝達部たる切欠34が形成され
ており、工作機械側のトルク伝達突部と係合させられる
ようになっている。
【0029】図示は省略するが、工作機械のスピンドル
穴は取付部24のテーパ外周面26に対応するテーパ内
周面を有しており、スリーブ10の取付部24が上記係
合突部と切欠34との位相が合致した状態でスピンドル
穴に嵌合され、スピンドル穴内の把持部材によりプルス
タッドが把持されてスピンドル穴内に引き込まれること
により、フランジ部12の切欠34に係合突部が係合さ
せられるとともに、取付部24のテーパ外周面26とス
ピンドル穴のテーパ内周面とが締まり嵌合し、スリーブ
10が工作機械のスピンドルに軸方向に相対移動不能か
つ相対回転不能に取り付けられるようになっている。ス
リーブ10とスピンドルとは、それぞれに設けられた相
対回転阻止部の係合により、相対回転が阻止されるとと
もに、スリーブ10に設けられた被保持部がスピンドル
に設けられた保持部材により保持されるのである。
【0030】スリーブ10の嵌合穴18には、工具ホル
ダとしてのドリルホルダ36が着脱可能に嵌合されるよ
うになっている。ドリルホルダ36の第二部材たるホル
ダ本体44は、嵌合穴18に嵌合される嵌合突部たる嵌
合軸部38と、その先端部(図1において左端部)に加
工工具たるドリル40(図1に二点鎖線で示す)を保持
する加工工具保持部42とを備えている。嵌合軸部38
は段付状を成し、後端側(図1において右端側)に設け
られた小径軸部43からスリーブ10の嵌合穴18に嵌
合される。
【0031】ホルダ本体44は概して円筒状を成してお
り、軸方向に延びる工具挿入穴46を有している。工具
挿入穴46の軸方向の中央部は雌ねじ穴48とされてお
り、内部にはねじ部材たるアジャスト部材50が螺合さ
れている。雌ねじ穴48にはまた、工具駆動部材たるド
ライバ52が軸方向に移動可能に嵌合されるとともに、
アジャスト部材50に軸方向に相対移動不能かつ相対回
転可能に係合させられている。
【0032】ドライバ52はアジャスト部材50に係合
させられた側とは反対側の先端面に工具係合部たる工具
係合溝56を備えており、ドリル40のタングと相対回
転不能に係合するとともに軸方向において互いに当接す
るようになっている。ドライバ52の外周面には、回転
伝達溝が一対形成されている。回転伝達溝は、本実施形
態においては、断面形状がほぼ半円形の軸方向溝とされ
ており、それら軸方向溝にそれぞれ、回転伝達部材が嵌
合されている。本実施形態においては、回転伝達部材
は、円柱状部材であるピン62とされており、各ピン6
2は、ドライバ52に嵌合させられた状態で、ほぼ半分
の部分がドライバ52の外周面から半径方向外向きに突
出させられている。一方、雌ねじ穴48の内周面には、
一対の回転伝達溝が形成されている。この回転伝達溝
は、軸方向に延び、ほぼ半円形の断面形状を有する案内
溝64とされており、これら案内溝64に各ピン62の
突出部がそれぞれ係合させられることにより、ドライバ
52の軸方向の案内が行われる。また、一対のピン62
がドライバ52の雌ねじ穴48内での回転を阻止する回
転阻止突起として機能している。
【0033】したがって、ホルダ本体44に加えられる
回転トルクが、ピン62およびドライバ52を介してド
リル40に伝達される。また、ドリル40の軸方向の位
置は、アジャスト部材50の位置を変更することにより
調整される。アジャスト部材50を移動させてドライバ
52の位置を変更することにより、ドリル40のホルダ
本体44からの突出長さを変え得るのである。
【0034】ドリルホルダ36は、ドリル40をコレッ
トチャックにより保持する。工具挿入穴46の軸方向の
前端部(図1において左端部)はテーパ穴70とされて
おり、コレット72が嵌合されている。コレット72
は、概して円筒状の部材に両端面から交互に軸方向の複
数本ずつのすり割り溝が、反対側の端面までは達しない
長さで形成されたものであり、軸方向のあらゆる部分に
おいて縮径が可能である。テーパ穴70は先端側ほど径
が大きくされており、図2に示すように、コレット72
は、テーパ穴70の内周面に対応して形成されたテーパ
外周面74においてテーパ穴70に嵌合される一方、軸
方向に平行に形成された内周面76において、ドリル4
0のシャンク部の外周面に密着してこれを把持し、切削
時にドリル40が受ける軸方向力を受けるようになって
いる。コレット72の外周面にはさらに、テーパ外周面
74が形成された部分に隣接して矩形断面の環状溝80
が形成されるとともに、環状溝80を挟んでテーパ外周
面74が形成された部分とは反対側の外周面には、先端
側ほど径の小さいテーパ面82が形成されている。
【0035】コレット72の先端部にはコレットキャッ
プ84が被せられている。コレットキャップ84の内周
面には、環状溝80に嵌入可能な環状突起86と、コレ
ット72のテーパ面82に対応するテーパ面88とが形
成されており、コレット72を縮径させつつ、コレット
キャップ84の環状突起86をコレット72の環状溝8
0内に嵌入させた後、コレット72を自然状態に戻せ
ば、コレットキャップ84が軸方向に移動不能な状態で
コレット72に被せられる。この状態では、テーパ面8
8がテーパ面82に密着し、コレットキャップ84がコ
レット72に相対移動および相対回転不能に取り付けら
れる。
【0036】なお、環状突起86の厚さは環状溝80の
幅よりやや小さくされており、環状突起86は環状溝8
0内でコレット72の軸方向に一定距離移動可能であ
る。また、コレットキャップ84とホルダ本体44の先
端面92との間には、コレットキャップ84がコレット
72と共に軸方向移動可能な大きさの隙間が設けられて
いる。
【0037】ホルダ本体44の先端部の外周面には、雄
ねじ部98が形成されており、この雄ねじ部98にはク
ランプナット100がホルダ本体44と同軸に螺合され
ている。クランプナット100はホルダ本体44から突
出した部分においてコレットキャップ84に嵌合されて
おり、これらクランプナット100とコレットキャップ
84とは、両者の間に介在する多数のボール102によ
って互いに相対回転可能、かつ軸方向移動不能とされて
いる。クランプナット100の内周面とコレットキャッ
プ84の外周面との互いに対応する部分には、それぞれ
半円形断面の環状溝が形成されており、それら環状溝に
よって形成される円形断面の環状空間に、クランプナッ
ト100に形成された図示しない半径方向の貫通穴から
多数のボール102が供給された後、貫通穴がプラグに
よって閉塞されているのである。
【0038】したがって、クランプナット100が雄ね
じ部98に締め込まれる方向に回転操作された場合に
は、コレットキャップ84がホルダ本体44に向かって
移動させられるとともに、コレットキャップ84のテー
パ面88によってコレット72のテーパ面82が押さ
れ、コレット72がテーパ穴70内へ押し込まれて、弾
性的に縮径させられる。それにより、コレット72の内
周面76にドリル40のシャンク部が把持されるととも
に、把持状態においては、ホルダ本体44に対するコレ
ット72の相対回転が摩擦力によって防止される状態と
なる。
【0039】なお、104は、クランプナット100を
回転させる締付け用工具を係合させるための工具係合溝
であり、クランプナット100の外周面に等角度間隔に
複数個(本実施形態においては6個であり、図1には1
個のみ示されている)形成されている。また、コレット
72の両端面から形成されたすり割り溝は、それぞれテ
ーパ穴70内において終わっており、そのためにコレッ
ト72はホルダ本体44とドリル40との間の液密を保
持し得るものとされている。
【0040】ホルダ本体44の嵌合軸部38と加工工具
保持部42との間の部分には、図1に示すように半径方
向外向きに延び出す当接フランジ110が形成されてい
る。当接フランジ110の後端面、すなわち嵌合軸部3
8側の端面112の直径方向に隔たった2箇所にはそれ
ぞれ、図3に示すようにトルク伝達突起114が突設さ
れている(図3には1個のみ示されている)。これら嵌
合軸部38およびトルク伝達突起114が第二嵌合部を
構成している。当接フランジ110にはまた、トルク伝
達突起114から外れるとともに、直径方向に隔たった
2箇所にそれぞれ、軸方向に貫通する切欠116が設け
られている(図3には1個のみ示されている)。
【0041】ホルダ本体44の当接フランジ110が設
けられた部分およびその前後の部分には、図1に示すよ
うに円筒状のカラー120が軸方向に相対移動可能かつ
相対回転可能に嵌合されている。カラー120は、図2
に示すように、一端部がホルダ本体44に嵌合される嵌
合部122とされ、他端部は、内径が当接フランジ11
0の直径より大きい環状部124とされており、嵌合部
122においてホルダ本体44のクランプナット100
が螺合された部分と当接フランジ110との間に嵌合さ
れるとともに、環状部124は当接フランジ110に被
せられている。
【0042】環状部124の嵌合部122とは反対側の
端部の内周面には、図4に示すように、直径方向に隔た
った2箇所にそれぞれ、半径方向内向きに延び出す係合
突部126が形成されており、係合突部126の当接フ
ランジ110の端面112と対向する面が第二係合面1
27を構成している(図2参照)。カラー120は、軸
方向付勢手段の一種である弾性部材としての圧縮コイル
スプリング128により、係合突部126が第二係合面
127が当接フランジ110の端面112から離れる向
きに付勢されている。圧縮コイルスプリング128は、
ホルダ本体44に取り付けられたスプリングリテーナ1
29と、カラー120の嵌合部122の端面に開口する
有底穴130(図2参照)との間に配設され、一部がカ
ラー120内に収容されている。
【0043】カラー120の嵌合部122の直径方向に
隔たった2箇所であって、2個の係合突部126とそれ
ぞれ回転方向の位相が一致する位置にそれぞれ、球体た
る鋼球132が嵌合されている。嵌合部122には、図
2に示すように、半径方向に貫通する2個の貫通孔13
4(図2には1個のみ示されている)が形成されるとと
もに鋼球132が移動可能に嵌合され、ピン136によ
って貫通孔134からの抜出しを防止されている。これ
ら鋼球132はそれぞれ、外周部の一部がカラー120
の内周面から突出させられ、ホルダ本体44の外周面に
形成されたカム溝138の各々に嵌入させられている。
図3には、カム溝138は1個のみ図示されている。
【0044】これらカム溝138はそれぞれ、図3に示
すように、カラー120の軸方向に平行に延びる軸方向
溝部140と、軸方向溝部140の当接フランジ110
から遠い側の端部から周方向へ延び出させられるととも
に、延出端ほど当接フランジ110から離れる向きに傾
斜させられ、カラー120の周方向に対して傾斜させら
れた傾斜溝部142とを有する。軸方向溝部140は傾
斜溝部142から鈍角を成す向きに延び出させられてい
るのである。傾斜溝部142の傾斜角度は、本実施形態
では3度とされている。また、これら2つのカム溝13
8は、軸方向溝部140の回転方向の位相がそれぞれト
ルク伝達突起114と一致する位置に形成されている。
ドリルホルダ36がスリーブ10から取り外された状態
では、カラー120は圧縮コイルスプリング128の付
勢により、鋼球132が軸方向溝部140の傾斜溝部1
42が延び出させられた側とは反対側の端面に当接させ
られ、第二係合面127が端面112から離れた非作用
位置に位置させられている。
【0045】カラー120の嵌合部122とホルダ本体
44の当接フランジ110との間には、図2に示すよう
に、環状部124を周壁とする円環状の隙間144が形
成され、この隙間144に回転付勢手段の一種である弾
性部材としての引張コイルスプリング146が配設され
ている。引張コイルスプリング146はホルダ本体44
に巻き付けられ、一端部がホルダ本体44に嵌合された
ピン148に係止され、他端部はカラー120の内周面
に係止されており、カラー120は引張コイルスプリン
グ146により、鋼球132が傾斜溝部142内を軸方
向溝部140から離れる方向へ移動する向きに付勢され
ている。
【0046】カラー120は、ドリルホルダ36がスリ
ーブ10から取り外された状態では、圧縮コイルスプリ
ング128の付勢力により軸方向に移動させられ、鋼球
132が軸方向溝部140の傾斜溝部142が延び出さ
せられた側とは反対側の端面に当接させられる。また、
カラー120が引張コイルスプリング146によって付
勢されることにより、鋼球132が軸方向溝部140の
軸方向に延びる溝側面に係合させられてカラー120の
ホルダ本体44に対する回転が阻止される。このときの
鋼球132のカラー120の中心線に平行な方向におけ
る位置が係合位置である。
【0047】カラー120をホルダ本体44に取り付け
る場合には、まず、引張コイルスプリング146の一端
部をカラー120の内周面に係止させる。そして、嵌合
部122をホルダ本体44に加工工具保持部42側から
嵌合するとともに、引張コイルスプリング146の他端
部を環状部124内から引っ張り出してピン148に係
止させる。このとき、引張コイルスプリング146は自
由長から僅かに延ばされた状態とされる。そして、カラ
ー120を更にホルダ本体44に嵌合しつつ、引張コイ
ルスプリング146を延ばす向きに回転させて係合突部
126と当接フランジ110の切欠116との位相を一
致させ、係合突部126に切欠116を通過させるとと
もに、係合突部126をトルク伝達突起114より軸方
向において突出した位置へ移動させる。通過後、カラー
120を更に引張コイルスプリング146を延ばしつつ
回転させ、係合突部126と当接フランジ110のトル
ク伝達突起114との位相を一致させる。この位置で
は、鋼球132が嵌合される貫通孔134と、カム溝1
38の軸方向溝部140の傾斜溝部142が延び出させ
られた側とは反対側の部分との回転方向の位相が一致
し、貫通孔134から鋼球132を入れて軸方向溝部1
40に嵌入させる。カラー120の嵌合後、圧縮コイル
スプリング128を取り付け、カラー120を付勢させ
る。引張コイルスプリング146の付勢力により鋼球1
32が軸方向溝部140の溝側面に係合し、カラー12
0は、係合突部126とトルク伝達突起114との位相
が一致し、引張コイルスプリング146の付勢力に抗し
て一定角度回転させられた待機位相に維持され、圧縮コ
イルスプリング128の付勢により、第二係合面127
が端面112から離れた状態に保たれる。なお、トルク
伝達突起114と係合切欠116とは、回転方向におい
て、後述するようにカラー120が回転させられてドリ
ルホルダ36がスリーブ10に取り付けられるとき、係
合突部126が係合切欠116に至らない間隔で形成さ
れている。
【0048】嵌合軸部38の当接フランジ110に隣接
する部分には、図2に示すように、コレット154が嵌
合されるとともに、付勢手段の一種である弾性部材とし
ての皿ばね156により当接フランジ110から離れる
向きに付勢されている。コレット154は概して円筒状
を成し、外周面はテーパ外周面158とされるととも
に、内周面は軸方向に平行なストレート内周面160と
されている。嵌合軸部38には浅い円環状溝162が形
成され、コレット154は拡径させられた状態で嵌合軸
部38の後部から嵌められるとともに、円環状溝162
内に嵌合されており、ドリルホルダ36がスリーブ10
から取り外された状態では、皿ばね156の付勢力によ
り移動させられ、円環状溝162の当接フランジ110
から遠い後側溝側面164に当接させられている。
【0049】前記スリーブ10の先端部には、図5およ
び図6に示すように、外周面に開口する円環状の円環状
溝170が形成されており、それによりスリーブ10の
先端には、半径方向外向きの係合フランジ172が設け
られている。スリーブ10の係合フランジ172を含む
部分の直径方向に隔たった2箇所にはそれぞれ、トルク
伝達切欠174が形成されている。トルク伝達切欠17
4は、スリーブ10の端面16と、係合フランジ172
の外周面とに開口させられているが、半径方向において
嵌合穴18までは至らず、また、円環状溝170の係合
フランジ172を形成する溝側面であって、端面16と
は反対向きの第一係合面175を越えて円環状溝170
内に達するが、円環状溝170の他方の溝側面であって
第一係合面175とは反対側のストッパ面176までは
至らない深さとされている。これら嵌合穴18およびト
ルク伝達切欠174が第一嵌合部を構成している。ま
た、嵌合穴18の先端部には、前記コレット154のテ
ーパ外周面158に対応するテーパ内周面178が形成
されている。
【0050】スリーブ10の嵌合穴18の底部には、図
1に示すように、一方向クラッチ180が取り付けられ
ている。一方向クラッチ180は、ケーシングと、ケー
シングに収容された転動体の一種である複数のローラ1
82とを有する。ケーシングは円筒状を成し、嵌合穴1
8に圧入されており、ケーシングの内周面に開口する複
数の凹部が等角度間隔に形成されている。これら凹部の
各々は、周方向の一端部から他端部に向かうに従ってケ
ーシングの中心からの距離が短くなる向きに傾斜させら
れたカム面を備えており、それにより楔形の隙間が形成
され、この隙間にリテーナにより保持されたローラ18
2が収容されている。リテーナはケーシングに固定され
ており、ローラ182はリテーナにより嵌合軸部38と
嵌合穴18との相対回転方向に移動可能に保持され、一
部が上記凹部に収容されるとともに、それぞれ付勢手段
の一種であるばねにより各隙間の小さい側に向かって付
勢されている。一方向クラッチ180は、ドリルホルダ
36のスリーブ10に対する切削抵抗に基づく向きの相
対回転は許容するが、逆向きの相対回転は阻止するもの
とされている。
【0051】以上のように構成されたドリル保持装置の
ドリルホルダ36のスリーブ10への取付けを説明す
る。ドリルホルダ36には、スリーブ10への取付けに
先立ってドリル40が保持される。まず、工具挿入穴4
6内にドリル40のシャンクを挿入し、ドライバ52の
工具係合溝56にタングを係合させる。そして、アジャ
スト部材50の六角穴に工具を係合させて回転させ、ド
ライバ52を任意の量だけ軸方向に移動させてドリル4
0の工具挿入穴46への深さを調節する。ドリル40の
適宜の挿入深さが決まれば、クランプナット100の工
具係合溝104に工具を係合させて回転させ、コレット
キャップ84を介してコレット72を締め付ければ、コ
レット72がテーパ穴70内へ押し込まれつつ縮径させ
られ、ドリル40がコレット72に締め付けられて保持
される。
【0052】続いて、ドリルホルダ36をスリーブ10
に取り付ける。スリーブ10は自動工具交換装置付き加
工装置用のものであり、加工時以外にはスピンドルから
取り外され、図示しない保持装置において保持部材によ
り保持されており、ドリルホルダ36は保持装置に保持
されたスリーブ10に取り付けられる。ドリルホルダ3
6のスリーブ10への取付け時には、カラー120の係
合突部126と当接フランジ110のトルク伝達突起1
14とは回転方向の位相が一致しており、これらとスリ
ーブ10のトルク伝達切欠174との位相を合わせた状
態で嵌合軸部38を嵌合穴18内に挿入する。この際、
まず、係合突部126がトルク伝達切欠174内に進入
し、図7(a)に示すように、円環状溝170のストッ
パ面176に当接して係合突部126全体が円環状溝1
70内に位置し、第二係合面127が第一係合面175
を超えた位置に位置させられるとともに、当接フランジ
110のトルク伝達突起114の一部がトルク伝達切欠
174内に嵌入する。
【0053】この状態から嵌合軸部38を更に嵌合穴1
8内へ挿入するとき、カラー120は係合突部126が
円環状溝170のストッパ面176に当接して移動でき
ないため、ドリルホルダ36が圧縮コイルスプリング1
28を圧縮しつつカラー120に対してスリーブ10側
へ移動させられ、トルク伝達突起114がトルク伝達切
欠174内へ更に進入させられる。また、ホルダ本体4
4とカラー120との相対移動により、鋼球132が軸
方向溝部140内を傾斜溝部142側へ移動する。
【0054】当接フランジ110の端面112がスリー
ブ10の端面16に当接したとき、あるいは当接する直
前に、鋼球132が軸方向溝部140から傾斜溝部14
2内へ進入し得る係合離脱位置に至り、カラー120が
引張コイルスプリング146の付勢力によって回転させ
られることが許容される状態となる。スリーブ10のス
トッパ面176が形成された部分が、カラー120を圧
縮コイルスプリング128の付勢力に抗して移動させ、
鋼球132を軸方向溝部140から傾斜溝部142へ進
入する位置へ移動させる待機解除部を構成しているので
ある。カラー120が引張コイルスプリング146の付
勢力により回転させられることにより、鋼球132が傾
斜溝部142内を軸方向溝部140から離れる向きに移
動させられる。
【0055】カラー120の回転により、係合突部12
6はトルク伝達切欠174から外れた位置へ回転させら
れ、第二係合面127が第一係合面175と対向させら
れる。また、傾斜溝部142は軸方向溝部140からの
延出端部ほど当接フランジ110から離れる向きに傾斜
させられているため、カラー120が引張コイルスプリ
ング146により引っ張られて回転させられ、圧縮コイ
ルスプリング128の付勢力に抗して係合突部126が
当接フランジ110に接近する向きに移動させられると
ともに、ドリルホルダ36が当接フランジ110がスリ
ーブ10の端面16に接近する向きに移動させられ、図
7(b)に示すように係合突部126の第二係合面12
7がスリーブ10の係合フランジ172の第一係合面1
75に係合するとともに、当接フランジ110の端面1
12が端面16に押し付けられる。引張コイルスプリン
グ146がカラー120を引っ張る力は、傾斜溝部14
2の傾斜により倍力され、端面112は端面16に強固
に押し付けられ、ドリルホルダ36がスリーブ10に軸
方向の隙間なく取り付けられる。このカラー120の係
合突部126の第二係合面127が第一係合面175に
係合し、端面112が端面16に押し付けられる際の回
転方向の位相が係合位相であり、中心線方向においては
作用位置に位置することとなる。
【0056】本実施形態においては、第二係合面127
を有する係合部たる係合突部126を備えた回転部材た
るカラー120,回転付勢手段たる引張コイルスプリン
グ146,第一係合面175がカムフォロワたる鋼球1
32およびカム部たるカム溝138を含む変換装置と共
に、ドリルホルダ36の端面112とスリーブ10の端
面16とを軸方向において当接した状態に保つ当接状態
維持装置を構成し、第一当接面の一種であり、スリーブ
10の軸方向に直角な第一軸方向当接面たる端面16お
よび第二当接面の一種であり、ホルダ本体44の軸方向
に直角な第二軸方向当接面たる端面112と共に軸方向
移動阻止装置を構成しているのである。
【0057】本ドリル保持装置において、スリーブ10
の回転は、トルク伝達切欠174とトルク伝達突起11
4との係合によりドリルホルダ36に伝達される。ま
た、嵌合軸部38が嵌合穴18に嵌合されるとき、小径
軸部43が一方向クラッチ180の複数のローラ182
の中に嵌合され、ドリルホルダ36のスリーブ10に対
する切削抵抗に基づく向きとは逆向きの回転が一方向ク
ラッチ180により阻止される。そのため、トルク伝達
突起114とトルク伝達切欠174との間には、回転方
向において係合のためのクリアランスがあるが、トルク
伝達切欠174のトルク伝達面とトルク伝達突起114
とが一旦係合した後は、係合したままの状態に保たれ
る。
【0058】トルク伝達切欠174とトルク伝達突起1
14とは、加工開始に先立って予めドリルホルダ36と
スリーブ10とを相対回転させ、トルク伝達切欠174
のトルク伝達面をトルク伝達突起114に係合させてお
くことが望ましい。加工開始時にスリーブ10が回転さ
せられるとき、上記係合クリアランス分、スリーブ10
がドリルホルダ36に対して回転し、トルク伝達切欠1
74がトルク伝達突起114に衝突することを回避する
ことができるからであり、特に、本実施形態のドリル保
持装置においては、カラー120が回転および移動させ
られて端面112と16とが当接状態に維持される前に
スリーブ10とドリルホルダ36とを相対回転させ、ト
ルク伝達切欠174のトルク伝達面をトルク伝達突起1
14に当接させておくことが望ましい。係合突部126
が係合フランジ172に係合し、端面112が端面16
に押し付けられた状態では、両面の間の摩擦力に抗して
ドリルホルダ36とスリーブ10とを相対回転させるこ
とが容易ではないからである。そのため、例えば、カラ
ー120の係合突部126が円環状溝170のストッパ
面176に当接した状態から更に嵌合軸部38を嵌合穴
18に挿入する前に、ドリルホルダ36とスリーブ10
とを相対回転させる。この相対回転は、一方向クラッチ
180により許容される方向、すなわち切削抵抗に基づ
く方向の相対回転であり、両者の逆向きの相対回転は一
方向クラッチ180により阻止されているため、トルク
伝達切欠174のトルク伝達面が、トルク伝達切欠17
4に一部が嵌入した状態にあるトルク伝達突起114に
当接させられた後は、当接状態に保たれる。
【0059】ドリルホルダ36のスリーブ10への取付
け時に、トルク伝達切欠174のトルク伝達面をトルク
伝達突起114に当接させることを作業者が忘れても、
加工が開始されれば、スリーブ10の回転によりトルク
伝達突起114とトルク伝達切欠174との各トルク伝
達面が当接させられ、以後は両者が当接した状態に保た
れるため支障はない。
【0060】このようにドリルホルダ36のスリーブ1
0に対する切削抵抗に基づく向きとは逆向きの相対回転
は一方向クラッチ180により阻止されるため、トルク
伝達突起114とトルク伝達切欠174との間には、両
者を係合させるために回転方向において僅かなクリアラ
ンスがあるが、ドリルホルダ36とスリーブ10とが相
対回転することがなく、トルク伝達突起114とトルク
伝達切欠174との相対回転による衝突,摺動等、ドリ
ル保持装置各部の衝突,摺動の繰返しにより、へたりや
摩耗が生じて寿命が低下することが良好に回避される。
【0061】ドリルホルダ36とスリーブ10との正,
逆両方向の相対回転は種々の場合に生ずる。例えば、ド
リル40によって貫通穴を加工する場合、ドリル40の
先端が貫通穴から抜け出たとき、切削抵抗が急に消滅し
てドリルが逆方向に回転させられることがあるのであ
る。しかし、ドリルホルダ36のスリーブ10との切削
抵抗に基づく向きの相対回転は、トルク伝達切欠174
とトルク伝達突起114との係合により阻止され、切削
抵抗に基づく向きとは逆向きの相対回転が一方向クラッ
チ180により阻止されており、ドリルホルダ36とス
リーブ10とは正逆いずれの方向においても相対回転し
ないため、トルク伝達切欠174とトルク伝達突起11
4との衝突,摺動等が生ぜず、ドリル保持装置の耐久性
が向上する。
【0062】トルク伝達切欠174が第一周方向当接部
を構成し、トルク伝達突起114が第二周方向当接部を
構成し、これらを備えた当接型相対回転阻止装置が一方
向クラッチ180と共に、ドリルホルダ36とスリーブ
10との限られた角度を超える相対回転を阻止する相対
回転限定装置の一種である相対回転完全阻止装置を構成
しているのである。
【0063】さらに、ドリルホルダ36の嵌合軸部38
を嵌合穴18に嵌合するとき、コレット154のテーパ
外周面158が嵌合穴18のテーパ内周面178に当接
し、テーパ内周面178により押されて縮径させられつ
つ、皿ばね156の付勢力に抗して円環状溝162内を
当接フランジ110側へ移動させられ、円環状溝162
の当接フランジ110側に位置する前側溝側面にも、反
対側に位置する後側溝側面164にも当接しない状態に
なる。
【0064】ドリルホルダ36がスリーブ10に軸方向
において隙間なく取り付けられた状態では、コレット1
54は皿ばね156の付勢力により縮径した状態に保た
れ、ストレート内周面160が嵌合軸部38に密着する
とともに、テーパ外周面158がテーパ内周面178に
密着し、嵌合軸部38の嵌合穴18に対する径方向の相
対移動が阻止される。
【0065】また、一方向クラッチ180が嵌合軸部3
8と嵌合穴18との径方向の微動を防止する役割も果た
す。一方向クラッチ180のケーシングが嵌合穴18に
圧入されていて、両者間に径方向のクリアランスがな
く、かつ、ローラ182がばねの付勢力により嵌合軸部
38に押し付けられ、ローラ182はケーシングの凹部
の内面と嵌合軸部38の外周面との間に挟まれた状態に
保たれるからである。特に、一方向クラッチ180は嵌
合穴18の底部に設けられ、軸方向においてコレット1
54とは離れた位置に設けられているため、軸方向に隔
たった2箇所において嵌合軸部38と嵌合穴18との間
の径方向の微動が防止されており、加工時における嵌合
軸部38の嵌合穴18に対する嵌合クリアランスに基づ
く相対移動が確実に防止される。そのため、嵌合軸部3
8と嵌合穴18との相対移動により加工精度が低下した
り、両者の相対移動に伴ってドリル保持装置の各部が衝
突や摺動を繰り返し、塑性変形や摩耗が生じて寿命が低
下することが良好に回避される。
【0066】本実施形態においては、コレット154お
よび皿ばね156ならびに一方向クラッチ180が、嵌
合軸部38と嵌合穴18との嵌合クリアランスに基づく
径方向の相対移動を減少させる径方向相対移動減少装置
の一種であり、径方向の相対移動を0まで減少させ、嵌
合軸部38と嵌合穴18との径方向の相対移動を阻止す
る径方向相対移動阻止装置を構成しているのである。な
お、一方向クラッチ180は、嵌合穴18の奥であって
端面16から離れた位置に設けられており、スリーブ1
0とドリルホルダ36とが傾いて、前記当接状態維持装
置により当接させられた端面16と112とが離れるこ
とを阻止することを助け、端面16と112とが離れる
ことを確実に阻止することができる。
【0067】なお、コレット154は皿ばね156の付
勢力により縮径状態に保たれ、嵌合軸部38,テーパ内
周面178に当たった状態に保たれるため、コレット1
54のテーパ外周面158,ストレート内周面160,
嵌合穴18のテーパ内周面178および嵌合軸部38を
それほど精度良く形成しなくても、テーパ外周面15
8,ストレート内周面160をテーパ内周面178,嵌
合軸部38に密着させて、嵌合軸部38と嵌合穴18と
の径方向の遊びを除去し、両者の径方向における微動を
防止することができる。
【0068】このように本実施形態のドリル保持装置
は、ドリルホルダ36とスリーブ10との軸方向の相対
移動,相対回転,嵌合軸部38と嵌合穴18との径方向
の相対移動がいずれも阻止されており、加工中にドリル
保持装置の各部が衝突,摺動してへたりや摩耗が生ずる
ことがなく、耐久性の高いドリル保持装置が得られる。
【0069】ドリルホルダ36をスリーブ10から取り
外す場合には、カラー120を引張コイルスプリング1
46の付勢力に抗して回転させ、鋼球132を傾斜溝部
142から軸方向溝部140に進入可能な位置に位置さ
せる。それによりカラー120,鋼球132,カム溝1
38による端面112の端面16への押付けが解除され
るとともに、ホルダ本体44は圧縮コイルスプリング1
28の付勢力により、カラー120に対して嵌合軸部3
8が嵌合穴18から抜け出す向きに移動させられ、鋼球
132が軸方向溝部140に進入し、鋼球132が引張
コイルスプリング146の付勢力により、軸方向溝部1
40の軸方向に平行な溝側面に係合し、カラー120の
ホルダ本体44に対する回転が阻止される。そして、作
業者はカラー120を引張コイルスプリング146の付
勢力に抗して回転させた状態に保つことなく、カラー1
20あるいはホルダ本体44を持ってスリーブ10から
取り外すことができる。
【0070】このように、ドリルホルダ36をスリーブ
10に取り付ける場合、カラー120は圧縮コイルスプ
リング128により付勢され、鋼球132が軸方向溝部
140内にあってカラー120が待機位相に維持されて
おり、嵌合軸部38を嵌合穴18に嵌合してカラー12
0が待機位相に維持された状態を解除すればよく、保持
部材により保持されたスリーブ10にドリルホルダ36
を片手で取り付けることができる。また、取外し時に
も、カラー120を回転させるとともに、軸方向へ移動
させることにより、ドリルホルダ36をスリーブ10か
ら片手で取り外すことができる。しかし、ドリルホルダ
36をスリーブ10から取り外すとき、カラー120を
回転させた後、一方の手でカラー120を回転させた状
態に保ち、他方の手でホルダ本体44を移動させてスリ
ーブ10から外してもよい。
【0071】なお、上記実施形態においては、トルク伝
達突起114と嵌合軸部38との間に半径方向において
隙間が形成され、トルク伝達突起114とコレット15
4とが半径方向において重なって設けられていたが、図
8に示すドリルホルダ190のように、コレット192
を当接フランジ194に突設されたトルク伝達突起19
6から軸方向に外れた位置に設けてもよい。
【0072】ドリルホルダ190のホルダ本体198の
トルク伝達突起196が設けられた部分より嵌合軸部2
00側の部分は、径が小さくされるとともに浅い円環状
溝202が形成され、コレット192が収容されるとと
もに、皿ばね204により付勢されている。このように
すれば、トルク伝達突起196と嵌合軸部200との間
に半径方向においてコレット192を配設するための隙
間を形成する必要がなく、トルク伝達突起196の形成
が容易である。
【0073】また、上記実施形態においては、ドリルホ
ルダ36,190にトルク伝達突起114,196が設
けられ、スリーブ10にトルク伝達切欠174が形成さ
れ、それら相対回転阻止部の一種である回転伝達部がス
リーブの回転をドリルホルダに伝達するようにされてい
たが、逆に、ドリルホルダにトルク伝達切欠を形成し、
スリーブにトルク伝達突起を形成して両者を係合させ、
回転トルクが伝達されるようにしてもよい。例えば、図
8に示すドリルホルダ190において、当接フランジ1
94を、トルク伝達突起196の幅を加えた幅の厚いも
のとし、トルク伝達突起196に代えてトルク伝達切欠
を形成し、スリーブ10においては、トルク伝達切欠1
74に代えて、直径方向の2箇所に隔たった位置にそれ
ぞれ、トルク伝達突起を形成するのである。この場合に
も、コレットをドリルホルダの当接フランジに対して軸
方向においてずれた位置に設ければ、当接フランジおよ
びトルク伝達切欠を容易に形成することができる。
【0074】第七発明の更に別の実施形態であるドリル
ホルダを含み、第一ないし第三発明に共通の更に別の実
施形態であるドリル保持装置を図9に示す。本実施形態
は、図1〜図7に示す実施形態において、コレットを設
ける代わりに、嵌合軸部と嵌合穴とを軸方向に隔たった
2箇所においてテーパ嵌合させたものである。図1〜図
7に示す実施形態と同じ部分については同一の符号を付
して説明を省略し、異なる部分を説明する。
【0075】ドリルホルダ800のホルダ本体802
は、加工工具保持部804および嵌合軸部806を備え
るとともに、加工工具保持部804と嵌合軸部806と
の間には、半径方向外向きに延び出す当接フランジ80
8が設けられている。嵌合軸部806は段付状を成し、
最も当接フランジ808側の大径嵌合軸部810の基端
部には、当接フランジ808から離れるほど直径が漸減
する第一テーパ外周面812が形成されている。また、
大径嵌合軸部810に続いて設けられ、大径嵌合軸部8
10より小径の小径嵌合軸部814の突出端には、小径
嵌合軸部814より径の小さい係合突部816が突設さ
れるとともに、係合突部816の突出端部には、突出端
ほど直径が漸減する第二テーパ外周面818が形成され
ている。さらに、当接フランジ808の嵌合軸部806
側の端面820には、直径方向に隔たった2箇所にそれ
ぞれ、トルク伝達突起822が突設されている。このト
ルク伝達突起822は、前記嵌合軸部806と共に第二
嵌合部を構成している。
【0076】スリーブ824の嵌合穴826は有底の段
付状を成し、スリーブ824の端面828に開口する大
径嵌合穴部830の開口端部には、前記第一テーパ外周
面812に対応する第一テーパ内周面832が形成され
ている。また、大径嵌合穴部830の底面には、一方向
クラッチ834が嵌合されている。この一方向クラッチ
834は、前記一方向クラッチ180と同様に構成され
ており、ドリルホルダ800のスリーブ824に対する
切削抵抗に基づく向きの相対回転は許容するが、逆向き
の相対回転は阻止する。この嵌合穴826はトルク伝達
切欠174と共に第一嵌合部を構成している。
【0077】嵌合穴826の小径嵌合穴部836の底面
には、テーパ部材の一種である有底円筒状のテーパリン
グ840が軸方向に移動可能に嵌合されるとともに、付
勢手段の一種である弾性部材としての皿ばね842によ
って嵌合穴826の開口側に付勢されている。小径嵌合
穴部836の底面にはボルト844が立設されており、
ねじ部846にばね受け848が嵌合され、ボルト84
4によってスリーブ824に固定されている。ばね受け
848は有底円筒状を成し、テーパリング840は、底
壁部850においてボルト844の軸部852およびば
ね受け848の円筒部854に軸方向に相対移動可能に
嵌合されるとともに、円筒部856において小径嵌合穴
部836に軸方向に相対移動可能に嵌合されている。円
筒部856の外周面は軸方向に平行なストレート外周面
であり、このストレート外周面および小径嵌合穴部83
6の内周面はそれぞれ精度良く加工され、円筒部856
は小径嵌合穴部836に径方向のクリアランスが殆どな
い状態で嵌合されている。皿ばね842は、これらテー
パリング840の底壁部850とばね受け848との間
に配設されている。また、テーパリング840の円筒部
856の開口端部内周面には、前記第二テーパ外周面8
18に対応する第二テーパ内周面860が形成されてい
る。
【0078】本実施形態のドリル保持装置においてドリ
ルホルダ800のスリーブ824への取付け時には、嵌
合軸部806が係合突部816側から嵌合穴826に挿
入される。そして、前記図1〜図7に示す実施形態にお
けると同様に、カラー120の係合突部126がスリー
ブ824の嵌合溝170のストッパ面176に当接する
とともに、当接フランジ808の端面820に突設され
たトルク伝達突起822がトルク伝達切欠174に進入
した後、ホルダ本体802が圧縮コイルスプリング12
8を圧縮しつつカラー120に対して前進させられれ
ば、カラー120が回転させられるとともに軸方向に移
動させられ、ドリルホルダ800の当接フランジ808
の端面820がスリーブ824の係合フランジの端面8
28に押し付けられる。なお、カラー120の係合突部
126がストッパ面176に当接し、トルク伝達突起8
22の一部がトルク伝達切欠174に嵌入した状態で、
作業者がドリルホルダ800とスリーブ824とを相対
回転させ、トルク伝達突起822をトルク伝達切欠17
4の回転トルク伝達面に当接させておくことが望ましい
ことは、前記実施形態と同じである。
【0079】当接フランジ808の端面820がスリー
ブ824の端面828に当接する前に、係合突部816
がテーパリング840に嵌合され、第二テーパ外周面8
18が第二テーパ内周面860に当接させられる。嵌合
軸部806は、その状態から更に皿ばね842の付勢力
に抗してテーパリング840を後退させつつ挿入され
る。そのため、カラー120の係合突部126の第二係
合面862が第一係合面175に係合し、端面828と
当接フランジ808の端面820とが強固に押し付けら
れた状態では、テーパリング840が皿ばね842によ
り付勢され、第二テーパ外周面818と第二テーパ内周
面860とが皿ばね842の付勢力により互いに密着さ
せられ、両面間には実質的にクリアランスがない状態に
なる。テーパリング840は小径嵌合穴部836に径方
向のクリアランスが極めて小さい状態で嵌合されてお
り、嵌合軸部806と嵌合穴826との間の径方向のク
リアランスは極めて小さく、それらが径方向に相対移動
することは殆どない。また、嵌合軸部806は、第一テ
ーパ外周面812と第一テーパ内周面832とにおいて
テーパ嵌合される。当接フランジ808の端面820が
スリーブ824の端面828に押し付けられるため、第
一テーパ外周面812と第一テーパ内周面832とは密
着せず、径方向にクリアランスが残るが、このクリアラ
ンスは極めて小さい。テーパ面であれば、傾斜により嵌
合が案内されるため、嵌合を容易にするためのクリアラ
ンスが不要であるからである。このように嵌合軸部80
6は嵌合穴826に、軸方向に隔たった2箇所におい
て、嵌合クリアランスに基づく径方向の相対移動が極め
て小さい状態で保持されており、しかも、一方向クラッ
チ834が一種のコレットとして機能し、嵌合軸部80
6と嵌合穴826との径方向の微動を阻止するため、加
工中にドリル保持装置の各部が衝突,摺動してへたりや
摩耗を生ずることがなく、極めて耐久性の高いドリル保
持装置が得られる。
【0080】なお、一方向クラッチ834に異常が生
じ、径方向の相対移動阻止機能を果たさなくなることが
あっても、ドリルホルダ800とスリーブ824との径
方向のクリアランスは2箇所のテーパ嵌合によって極め
て小さくされており、両者の径方向の相対移動は小さく
て済む。
【0081】上記実施形態において、第一テーパ外周面
812,第一テーパ内周面832を省略してもよい。一
方向クラッチ834および皿ばね842により付勢され
たテーパリング840と係合突部816とのテーパ嵌合
により、径方向の相対移動を十分に阻止,減少させるこ
とが可能であるからである。また、テーパリングを嵌合
軸部に設け、嵌合穴にテーパリングが嵌合されるテーパ
穴を設けてもよい。
【0082】第七発明の別の実施形態であるドリルホル
ダを含み、第一ないし第三発明に共通の更に別の実施形
態であるドリル保持装置を図10に示す。本実施形態
は、嵌合軸部と嵌合穴とを軸方向に隔たった2箇所にお
いてテーパ嵌合させる代わりに、コレットを設けて嵌合
軸部と嵌合穴との径方向の微動を阻止するようにしたも
のである。その他の構成は、図9に示す実施形態と同じ
であり、対応する部分には同一の符号を付して説明を省
略し、異なる部分を説明する。
【0083】ドリルホルダ900の嵌合軸部901は、
前記ドリルホルダ800の嵌合軸部806と同様に構成
されており、突出端部に第二テーパ外周面902が形成
された係合突部903を有し、トルク伝達突起822と
共に第二嵌合部を構成している。嵌合軸部901の当接
フランジ808に隣接する部分には、浅い円環状溝90
4が形成されるとともに、第一コレット905が嵌合さ
れている。第一コレット905は、概して円筒状の部材
に両端面から交互に軸方向に複数本ずつのすり割り溝
が、反対側の端面まで達しない長さで形成されたもので
あり、軸方向のあらゆる部分において縮径が可能であ
る。この第一コレット905の外周面は、当接フランジ
808から離れるほど直径が漸減する第一テーパ外周面
906とされ、内周面は軸方向に平行なストレート内周
面908とされている。第一コレット905は、当接フ
ランジ808との間に配設された皿ばね910の付勢力
により後退させられ、ドリルホルダ900がスリーブ9
12から取り外された状態では、第一コレット905は
円環状溝904の当接フランジ808から遠い側の後側
溝側面914に当接させられている。
【0084】スリーブ912の嵌合穴916は前記スリ
ーブ824の嵌合穴826と同様に段付状を成し、大径
嵌合穴部918の開口端部には、第一コレット905の
第一テーパ外周面906に対応する第一テーパ内周面9
20が形成されている。大径嵌合穴部918の底面には
一方向クラッチ922が圧入され、小径嵌合穴部924
の底面には第二コレット926が配設されている。嵌合
穴916は、トルク伝達切欠174と共に第一嵌合部を
構成している。
【0085】第二コレット926は概して有底円筒状を
成し、底壁部928において、小径嵌合穴部924の底
面に立設されたボルト930の軸部932とばね受け9
34の円筒部936とに軸方向に相対移動可能に嵌合さ
れている。第二コレット926は、底壁部928とばね
受け934との間に配設された付勢手段の一種である弾
性部材としての皿ばね938により、嵌合穴916の開
口側に向かって付勢されている。
【0086】第二コレット926の円筒部の外周面は、
軸方向に平行なストレート外周面940とされ、小径嵌
合穴部924に軸方向に相対移動可能に嵌合されてい
る。第二コレット926の内周面の開口端部には、前記
係合突部903の第二テーパ外周面902に対応する第
二テーパ内周面942が形成されている。第二コレット
926の円筒部には、円筒部の先端面から底壁部928
に向かって延びる軸方向のすり割り溝が複数本形成され
ており、拡径可能である。
【0087】本実施形態のドリル保持装置においてドリ
ルホルダ900のスリーブ912への取付けは、図9に
示す実施形態と同様に行われる。ドリルホルダ900の
嵌合軸部901がスリーブ912の嵌合穴916に嵌合
されるとき、端面820が端面828に当接する前に係
合突部903が第二コレット926に嵌合され、第二テ
ーパ外周面902が第二テーパ内周面942に係合し、
嵌合軸部901が更に嵌合穴916に嵌合されれば、係
合突部903は第二コレット924の円筒部を半径方向
外向きに押し拡げつつ嵌合される。それによりストレー
ト外周面940が小径嵌合穴部924の内周面に密着さ
せられるとともに、第二テーパ内周面942が第二テー
パ外周面902に密着させられ、係合突部903の嵌合
穴916に対する径方向の相対移動が阻止される。
【0088】また、嵌合軸部901の嵌合穴916への
挿入時には、第一テーパ内周面920が第一コレット9
05の第一テーパ外周面906に係合して第一コレット
905を前方へ押し、第一コレット905は縮径させら
れつつ皿ばね910の付勢力に抗して前進させられ、後
側溝側面914から離間させられる。当接フランジ80
8がスリーブ912の先端面に押し付けられてドリルホ
ルダ900がスリーブ912に取り付けられた状態で
は、第一コレット905は皿ばね910により縮径した
状態に維持され、第一テーパ外周面906,ストレート
内周面908がそれぞれ第一テーパ内周面920,嵌合
軸部901に密着し、嵌合軸部901は前部においても
嵌合穴916に対する径方向の相対移動を阻止される。
【0089】このように嵌合軸部901は嵌合穴916
に、軸方向に隔たった2箇所において嵌合クリアランス
に基づく径方向の相対移動を阻止された状態で嵌合され
るため、加工時に嵌合軸部901と嵌合穴916とが径
方向において相対移動することがなく、耐久性の高いド
リル保持装置が得られる。特に、コレットが2個設けら
れる上、一方向クラッチ922が設けられており、一方
向クラッチ922の径方向の相対移動阻止機能により、
嵌合軸部901と嵌合穴916との径方向の相対移動は
極めて確実に阻止される。そのため、加工時にドリル保
持装置の各部同士が繰り返し衝突,摺動することがなく
なって、極めて耐久性の高いドリル保持装置が得られ
る。また、一方向クラッチ922に異常が生じて径方向
の相対移動阻止機能を果たさなくなっても、第一,第二
コレット905,926により、嵌合軸部901の嵌合
穴916に対する径方向の相対移動が阻止される。
【0090】ドリルホルダ900とスリーブ912との
回転方向の相対移動を阻止するためには一方向クラッチ
922を設けることが望ましいが、径方向の相対移動を
阻止するという点では2個のコレットに加えて一方向ク
ラッチを設けることは不可欠ではなく、省略してもよ
い。また、第二コレットをホルダ本体に設け、嵌合穴に
第二コレットが嵌合されるテーパ穴を設けてもよい。
【0091】第七発明の更に別の実施形態であるドリル
ホルダを含み、第一〜第三発明に共通の更に別の実施形
態であるドリル保持装置を図11〜図13に基づいて説
明する。本実施形態は、一方向クラッチを省略し、スリ
ーブの回転をドリルホルダに伝達するトルク伝達切欠と
トルク伝達突起とを傾斜面同士で係合させ、スリーブと
ドリルホルダとの回転方向のクリアランスを減少させ、
相対移動を減少させるようにしたものである。その他の
構成は、図1〜図7に示す実施形態と同じであり、対応
する部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる
部分を説明する。
【0092】ドリルホルダ1200の嵌合軸部1202
には、半径方向外向きに延び出す当接フランジ1204
が形成されるとともに、この当接フランジ1204と、
カラー120を付勢する引張コイルスプリング146が
設けられた部分との間に係合部材1206が軸方向に移
動可能に嵌合されている。係合部材1206は円形断面
のリング状を成し、ドリルホルダ1200に嵌合される
嵌合部1207と、嵌合部1207の軸方向に隔たった
一方の端面の直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、軸
方向に延び出す向きに突設されたトルク伝達突起たる係
合突起1208とを有する。
【0093】係合突起1208は、図13に示すよう
に、基端部は軸方向に延びる二側面がいずれも軸方向に
平行であって、幅が一定の幅一定係合部1210とさ
れ、幅一定係合部1210に続く突出端部は、軸方向に
延びる二側面の一方が軸方向に平行な平行面1212、
他方が基端部側から突出端部側に向かうに従って平行面
1212に接近する向きに傾斜し、軸方向に対する傾斜
角度が15度の傾斜面1214である片傾斜係合部12
16とされている。これら2個の係合突起1208の各
片傾斜係合部1216は、スリーブ1220とドリルホ
ルダ1200との加工抵抗に基づく正方向と逆方向との
相対回転をそれぞれ、平行面1212において阻止する
向きに形成されている。片傾斜係合部1216は、嵌合
軸部1202と共に第二嵌合部を構成している。
【0094】これら係合突起1208はそれぞれ、当接
フランジ1204に形成された2個の幅一定切欠122
2に軸方向に相対移動可能に嵌入させられている。係合
部材1206は、図12に示すように、ばね受け122
4との間に配設された付勢手段の一種である弾性部材と
しての圧縮コイルスプリング1226により、係合突起
1208が当接フランジ1204の嵌合軸部1202側
の端面1228から突出する向きに付勢され、幅一定係
合部1210が幅一定切欠1222に嵌入させられてい
る。
【0095】なお、幅一定切欠1222は、カム溝13
8の軸方向溝部と回転方向において同じ位相の位置に形
成されており、鋼球132が軸方向溝部の傾斜溝部から
離れた側に位置させられ、カラー120が軸方向におい
ては係合突部126が当接フランジ1204から離れた
非作用位置にあり、回転方向においては待機位相にある
とき、係合突起1208とカラー120の係合突部12
6とは回転方向において同じ位相に位置する。係合部材
1206は、カラー120の取付け前にドリルホルダ1
200に取り付けられ、カラー120は図1〜図7に示
す実施形態において説明したのと同様にしてドリルホル
ダ1200に取り付けられる。当接フランジ1204に
は、図示は省略するが、前記当接フランジ110の2つ
の切欠116と同様の2つの切欠が形成されており、こ
れら切欠と2個の幅一定切欠1222とは、回転方向に
おいて、カラー120が回転させられてドリルホルダ1
200がスリーブ1220に取り付けられるとき、係合
突起1208が切欠に至らない間隔で設けられている。
また、係合部材1206の嵌合部1207およびばね受
け1224にはそれぞれ、直径方向に隔たった2箇所で
あって、当接フランジ1204に形成された上記切欠と
回転方向の位相が一致する位置にそれぞれ、軸方向に貫
通する切欠1230,1232が形成されており、カラ
ー120の取付け時には、係合突部126はこれら切欠
1230,1232を通り、係合部材1206,ばね受
け1224と干渉することはない。
【0096】スリーブ1220の先端部には、図12
(a)および図13に示すように、環状の円環状溝12
38が形成され、それにより係合フランジ1240が形
成されており、円環状溝1238の係合フランジ124
0を確定する側面が第一係合面1242を構成し、反対
側の側面がストッパ面1244を構成している。スリー
ブ1220の先端部の係合フランジ1240を含む部分
の直径方向に隔たった2箇所にはそれぞれ、トルク伝達
切欠を構成する片傾斜切欠1246が形成されている。
これら片傾斜切欠1246は、嵌合穴18と共に第一嵌
合部を構成している。
【0097】片傾斜切欠1246は、スリーブ1220
の先端面である端面1248および係合フランジ124
0の外周面に開口させられるとともに、円環状溝123
8に至る深さを有するが、半径方向において嵌合穴18
には至らない大きさを有する。片傾斜切欠1246のス
リーブ1220の軸方向に延びる二側面の一方は軸方向
に平行な平行面1250とされ、他方はスリーブ122
0の後端側ほど、すなわち係合突起1208が片傾斜切
欠1246から離脱した非作用位置側から、幅一定切欠
1226および片傾斜切欠1246に跨がって係合する
作用位置側へ向かうに従って平行面1250に接近する
向きに傾斜させられ、軸方向に対する傾斜角度が15度
の傾斜面1252とされている。
【0098】これら2個の片傾斜切欠1246は、回転
方向に対して互いに逆向きに形成されており、各片傾斜
切欠1246の平行面1250がそれぞれ、前記2個の
係合突起1208の各片傾斜係合部1216の平行面1
212に当接し、スリーブ1220とドリルホルダ12
00との正方向と逆方向との相対回転をそれぞれ阻止す
る。また、2個ずつの係合突起1208,片傾斜切欠1
246はそれぞれ、片傾斜係合部1216が片傾斜切欠
1246に回転方向において隙間なく係合した状態にお
いて、係合部材1206のそれ以上の移動を阻止し、係
合部材1206の嵌合部1207を当接フランジ120
4から離れた状態に保つ大きさとされている。
【0099】ドリルホルダ1200のスリーブ1220
への取付け時には、カラー120の係合突部126およ
び係合部材1206の係合突起1208と片傾斜切欠1
246との回転方向の位相を合わせた状態で、嵌合軸部
1202をスリーブ1220の嵌合穴18に嵌合する。
嵌合軸部1202はまず、図12(a)に示すように、
係合突部126が円環状溝1238のストッパ面124
4に当接するまで、嵌合穴18に嵌合され、この状態で
は係合突起1208の片傾斜係合部1216の先端部が
片傾斜切欠1246に嵌入する。この状態から更に嵌合
軸部1202が嵌合穴18に嵌合され、カラー120が
圧縮コイルスプリング128の付勢力に抗してホルダ本
体44に対して移動させられ、鋼球132が傾斜溝部1
42内へ移動し得る位置に至れば、カラー120が引張
コイルスプリング146の付勢により回転させられると
ともに軸方向に移動させられ、係合突部126の第二係
合面127が係合フランジ1240の第一係合面124
2に係合し、端面1248を当接フランジ1204の端
面1228に押し付け、両者を当接状態に保つ。
【0100】このとき、片傾斜係合部1216は片傾斜
切欠1246に更に嵌合され、両者が係合させられると
ともに、図12(b)に示すように、係合部材1206
は圧縮コイルスプリング1226の付勢力に抗して僅か
に後退させられ、端面1228,1248の当接を許容
する。係合突起1208の幅一定係合部1210と幅一
定切欠1222との間には嵌合のために回転方向におい
て僅かにクリアランスがあるが、片傾斜係合部1216
と片傾斜切欠1246との間にはなく、ドリルホルダ1
200とスリーブ1220との間の回転方向のクリアラ
ンスが少なくて済む。係合突起全部の幅が一定であれ
ば、係合突起とホルダ本体およびスリーブとの間にそれ
ぞれ係合のためのクリアランスが必要であるのに対し、
クリアランスが半減され、あるいは更に小さくされるの
であり、それにより加工時におけるドリルホルダ120
0のスリーブ1220に対する回転方向の相対移動が軽
減され、耐久性が向上する。ドリルホルダ1200のス
リーブ1220からの取外しは、図1〜図7に示す実施
形態におけると同様に行われる。
【0101】本実施形態のドリル保持装置においては、
ドリルホルダ1200に嵌合された係合部材1206の
係合突起1208がドリルホルダ1200とスリーブ1
220とに跨がって係合し、スリーブ1220の回転を
ドリルホルダ1200に伝達するようにされており、係
合部材1206がスリーブ1220とドリルホルダ12
00との相対回転量を限定し、スリーブ1220の回転
をドリルホルダ1200に伝達する相対回転限定部材と
して機能するが、加工中に係合突起1208が片傾斜切
欠1246から抜け出すことがない。以下、それについ
て説明する。切削抵抗に基づくスリーブ1220とドリ
ルホルダ1200との相対回転が傾斜面同士の当接によ
り阻止されれば、斜面の作用により係合突起1208が
片傾斜切欠1246から抜け出す向きの力が加えられ
る。斜面の作用による係合突起1208の押出し力が、
係合突起1208と幅一定切欠1222,片傾斜切欠1
246との摩擦力と、圧縮コイルスプリング1226の
付勢力との和より小さければ、係合突起1208は片傾
斜切欠1246から抜け出さないように考えられがちで
あるが、実際には振動により摩擦係数が見かけ上、小さ
くされるため、傾斜面の傾斜角度を相当小さくしても係
合突起1208は片傾斜切欠1246から抜け出してし
まう。それに対し、本実施形態のドリル保持装置と、従
来のドリル保持装置、すなわち相対回転限定部材により
スリーブの回転がドリルホルダに伝達されるとともに、
相対回転限定部材の係合突起および係合突起が跨がって
係合する2つの係合切欠(スリーブとホルダ本体とにそ
れぞれ形成されている)がいずれも幅が一定であるドリ
ル保持装置とにおいてはいずれも、切削抵抗に基づくド
リルホルダとスリーブとの相対回転が平行面同士の当接
により阻止されるため、斜面の作用により係合片が第
一,第二係合片から抜け出させられることはない。
【0102】それなのに、従来のドリル保持装置におい
ては係合突起の係合切欠からの抜出しが生じ、本ドリル
保持装置においては生じない。その理由は不明である
が、従来のドリル保持装置においては、係合突起が係合
切欠から抜け出し、本ドリル保持装置においては加工中
に係合突起1208の片傾斜係合部1216が片傾斜切
欠1246から抜け出すことがなく、ドリルホルダ12
00がスリーブ1220に対して相対回転可能な状態に
なることがないことが実験により確認されている。
【0103】この実験は、係合突起1208と同様の係
合突起を有し、ドリルホルダとスリーブとの相対回転を
限定する相対回転限定部材(ただし、逆方向の相対回転
を平行面1212において阻止する係合突起は有しない
もの。正傾斜品と称する。)を有するドリル保持装置に
ついて、主軸により回転させられるスリーブと工具を保
持する工具ホルダとの相対回転を限定して行うととも
に、比較のために、従来のように、幅が一定の係合突起
を有する相対回転限定部材(従来品と称する)によりス
リーブと工具ホルダとの相対回転を限定するドリル保持
装置と、片傾斜係合部および片傾斜切欠の傾斜面の形成
位置が上記のものとは逆である相対回転限定部材(逆傾
斜品と称する)によりスリーブと工具ホルダとの相対回
転を限定するドリル保持装置とについても同じ条件で実
験を行った。なお、幅がそれぞれ一定の係合突起と係合
切欠とについては、回転方向の両側クリアランスを0.
1mm〜0.3mmとし、正傾斜品および逆傾斜品の係合突
起の幅一定係合部と幅一定切欠とについては、回転方向
の両側クリアランスを0.01mm〜0.03mmとした。
【0104】また、従来品,正傾斜品および逆傾斜品を
それぞれ有するドリル保持装置は、実公平5−4680
2号公報に記載の工具保持装置において、相対回転限定
部材としてそれぞれ従来品,正傾斜品および逆傾斜品を
用いた構成とされている。この公報に記載の工具保持装
置においては、スリーブの嵌合穴の開口部に半径方向内
向きの内向きフランジが設けられ、工具ホルダの軸方向
に距離を隔てた2箇所にそれぞれ、半径方向外向きの外
向きフランジと、半径方向外向きの複数の半径方向突起
とが設けられており、工具ホルダはスリーブに、半径方
向突起が内向きフランジ部に形成された切欠を通って嵌
合された状態で回転させられることにより、半径方向突
起が内向きフランジの切欠が形成されていない部分と軸
方向に離脱不能に係合させられ、内向きフランジが外向
きフランジと半径方向突起との間に挟まれて工具ホルダ
のスリーブに対する軸方向の相対移動が限られた距離に
制限されるのである。相対回転限定部材は、工具ホルダ
に軸方向に相対移動可能に嵌合されるとともに、係合突
起が外向きフランジに形成された係合切欠に係合させら
れ、工具ホルダが軸方向の相対移動を限定された状態で
スリーブにより保持された状態では、圧縮コイルスプリ
ングの付勢力により、係合突起が上記内向きフランジに
形成された切欠に嵌入し、スリーブの回転をドリルホル
ダに伝達する状態となる。従来品を有する工具保持装置
においては、内向きフランジに形成された切欠が幅一定
切欠とされ、正傾斜品および逆傾斜品をそれぞれ有する
工具保持装置においては、片傾斜切欠とされている。
【0105】工具模型は、断面形状が円形の棒状を成
し、工具模型を工具保持装置に保持させた状態で200
0r.p.m.で回転させつつ、荷重付与部材により荷重を加
えた。荷重付与部材も断面形状が円形の棒状を成すもの
であり、工具模型に対して直角に配設し、それの先端面
を工具模型の外周面の、加工工具保持部の先端面からの
突出長さが80mm、片傾斜係合部と片傾斜切欠との係合
位置からの距離が108mmの位置に1177N (120
kgf )の力で押しつけたのであり、それによって、工具
模型には、1177N の半径方向の力と、この半径方向
の力と直角で大きさが半径方向の力と摩擦係数との積で
ある周方向の力とが加えられることとなる。その結果、
逆傾斜品については実験開始直後に係合突起が係合切欠
から抜け出し、従来品については0.2m (分)経過後
に抜け出したのに対し、正傾斜品については60m
(分)経過後も抜け出さないため、実験を終了した。
【0106】実際の加工時にも、加工工具に半径方向の
荷重が加えられることがある。例えば、中ぐり工具では
当然に半径方向の荷重が加えられるし、ドリルであって
も、穴をあけるべき面がドリルの回転中心線に対して傾
斜しているとき、滑りによってドリルが撓まされ、横方
向の荷重が加えられることがあるのである。このような
場合でも、係合突起を本発明に従って片傾斜係合部を有
するものとしておけば、係合突起が係合切欠から抜け出
して加工ができなくなることがない。
【0107】なお、もし、2個の係合突起1208の片
傾斜係合部1216が、共にスリーブ1220とドリル
ホルダ1200との正方向の相対回転を阻止する向きに
形成されていれば、ドリルホルダ1200に加工時とは
逆向きの回転トルクが加えられた場合、例えば、ドリル
ホルダ1200にドリルを保持させて貫通穴を加工する
際にドリルが貫通穴を抜け出た瞬間にドリルホルダ12
00にそれまでとは逆向きの回転トルクが作用し、斜面
の効果により係合突起1208の片傾斜係合部1216
が片傾斜切欠1246から押し出される恐れがあるが、
本実施形態においては、2個の係合突起1208の片傾
斜係合部1216が、前述のようにそれぞれスリーブ1
220とドリルホルダ1200との正方向と逆方向との
相対回転を阻止する向きに形成されているため、ドリル
ホルダ1200に加工時と逆向きの回転トルクが加えら
れても、その回転トルクが平行面により受けられ、片傾
斜係合部1216が片傾斜切欠1246から押し出され
ることはない。
【0108】さらに、幅一定係合部1210と幅一定切
欠1222との間には回転方向において僅かなクリアラ
ンスが設けられるが、係合突起1208は片傾斜係合部
1216において片傾斜切欠1246に隙間なく係合す
るため、幅一定係合部1210と幅一定切欠1222と
の間のクリアランスの大きさを、従来の幅が一定の係合
突起と係合切欠との間のクリアランスの大きさと同等と
し、あるいはそれより小さくすれば、係合突起と二つの
係合切欠との間の回転方向のクリアランスを従来より小
さくでき、それによりスリーブ1220とドリルホルダ
1200との相対回転可能量が減少し、耐久性に優れた
工具保持装置が得られる。特に、係合突起1208は嵌
合部1207からの突出端部が片傾斜係合部1216と
されており、作業者による片傾斜係合部1216の片傾
斜切欠1246からの離脱操作が容易となるとともに、
係合突起1208の加工が容易である利点がある。
【0109】例えば、図14に示すように、ドリルホル
ダのフランジ部220,スリーブの外向きフランジ22
2を含む部分にそれぞれ形成された第一,第二係合切欠
を第一,第二片傾斜切欠224,226とし、カラーに
設けられた係合片228を第一,第二片傾斜切欠22
4,226に対応した片傾斜係合部230とすることも
可能である。第一,第二片傾斜切欠224,226は、
各二側面のうちの一方の平行面232,234が同一平
面上に位置する状態で、他方の傾斜面236,238同
士も一平面内に位置させられており、平行面232,2
34,傾斜面236,238を片傾斜係合部230が隙
間なく嵌合される寸法を狙って共加工することにより、
片傾斜係合部230の第一,第二片傾斜切欠224,2
26に係合させられる2部分のうちのいずれか一方が隙
間なく係合し、他方も極めて小さなクリアランスで係合
するようにすることができるのである。
【0110】しかし、スリーブからドリルホルダへの回
転トルク伝達時に、傾斜面236,238の斜面の作用
により係合片228に第一,第二片傾斜切欠224,2
26から抜け出す向きの力が作用する。傾斜面236,
238の傾斜角度を係合片228と傾斜面236,23
8との間の摩擦角より著しく小さく(単に摩擦角より小
さくするのみでは、振動により摩擦係数が見かけ上低下
するため不十分である)すれば、係合片228の第一,
第二片傾斜切欠224,226からの抜出しを防止する
ことができるが、係合片228と第一,第二片傾斜切欠
224,226の一方とが締まり嵌合することとなるた
め、ドリルホルダのスリーブからの取外し時に係合片2
28を第一,第二片傾斜切欠224,226から抜き出
すことが困難となる。
【0111】また、傾斜角度を摩擦角より大きくすれ
ば、係合片228を第一,第二片傾斜切欠224,22
6の一方から抜き出すことは容易になるが、回転トルク
が加えられたときに係合片228が第一,第二片傾斜切
欠224,226から押し出されることを回避するため
に、圧縮コイルスプリング等の付勢手段の付勢力を大き
くすることが必要となる。そのため、ドリルホルダの取
外し時に作業者が大きな付勢力に抗して係合片228を
第一,第二片傾斜切欠224,226から離脱させるこ
とが必要となり、結局、離脱操作が困難になるのであ
る。
【0112】それに対し、本実施形態におけるように、
係合突起1208の一部が片傾斜係合部1216であっ
て、第一係合切欠が片傾斜切欠1246,第二係合切欠
が幅一定切欠1222であれば、スリーブ1220から
係合部材1206に加えられる回転トルクが平面で受け
られ、ホルダ本体44に平面で伝達されるため、係合突
起1208を切欠1222,1246から抜け出させる
力が生ぜず、圧縮コイルスプリング1226の付勢力は
係合突起1208が片傾斜切欠1246に係合する程度
の大きさでよく、片傾斜切欠1246の傾斜面1252
の傾斜角度を摩擦角に近い大きさとし、あるいはそれよ
り大きくして、取外しを容易とすることができる。
【0113】また、図15に示すように、係合片250
の基端部側に片傾斜係合部252を設け、突出端部を幅
一定係合部254とすることも可能である。この場合、
ドリルホルダのフランジ部256に形成される第二係合
切欠が片傾斜切欠258とされ、スリーブの外向きフラ
ンジ259を含む部分に形成される第一係合切欠が幅一
定切欠260とされる。この係合片250によっても、
スリーブから加えられる回転トルクを平面で受け、平面
でドリルホルダに伝達することができる。しかし、係合
片250の基端部に片傾斜係合部252を形成すること
は容易ではない。それに対し、本実施形態の係合突起1
208は突出端部に片傾斜係合部1216が形成されて
おり、加工を容易に行うことができる。
【0114】なお、上記実施形態において、片傾斜係合
部1216,片傾斜切欠1246の傾斜面1214,1
252の軸方向に対する傾斜角度は15度とされていた
が、この傾斜角度は15度には限らない。傾斜面の傾斜
角度が大きいほど、斜面の作用により生ずる係合片を片
傾斜切欠から抜け出させる向きの力が大きく、片傾斜係
合部が片傾斜切欠から抜け出し易く、その点からは傾斜
角度は小さいことが望ましい。しかし、傾斜角度が小さ
過ぎれば片傾斜係合部を片傾斜切欠から離脱させ難くな
り、また、傾斜面同士の係合により係合片の係合切欠へ
の嵌入限度を規定する場合、嵌入限度位置が不正確にな
る。そのため、片傾斜係合部,片傾斜切欠の傾斜面の傾
斜角度は、下限が8度以上であることが望ましく、10
度以上であることが特に望ましい。また、上限は、30
度以下であることが望ましく、20度以下とすることが
特に望ましい。
【0115】第七発明の更に別の実施形態であるドリル
ホルダを含み、第四〜第六発明に共通の実施形態である
ドリル保持装置を図16〜図39に示す。図16におい
て、1300は第一部材たるスリーブである。スリーブ
1300は、図1〜図7に示す実施形態のスリーブ10
と同様に、半径方向外向きのフランジ部1302の端面
1304から延び出させられた取付部1306を有して
おり、取付部1306内には、端面1308に開口する
軸方向穴1310が形成されるとともに、軸方向穴13
10の端面1308側の部分は雌ねじ部1312とされ
ており、図示しないプルスタッドの雄ねじ部が螺合され
る。
【0116】スリーブ1300は、フランジ部1302
に形成された切欠1314と工作機械側の係合突部との
位相が合致した状態で取付部1306が工作機械のスピ
ンドル穴に嵌合され、切欠1314に係合突部が係合さ
せられるとともに、取付部1306のテーパ外周面13
16とスピンドル穴のテーパ内周面とが締まり嵌合させ
られることにより、スピンドルに軸方向に相対移動不能
かつ相対回転不能に取り付けられる。
【0117】スリーブ1300の取付部1306が設け
られた側とは反対側の先端部(図16において左端部)
は円筒状を成し、その円筒部の中央穴は、先端部から基
端部(図16において右端部)に向かって延びる円形断
面の嵌合穴1320を構成し、先端の端面1322が第
一当接面の一種であり、軸方向に直角な第一軸方向当接
面を構成している。嵌合穴1320は、前記軸方向穴1
310より径が大きく、ストレートな有底穴であり、軸
方向穴1310に連通させられている。
【0118】スリーブ1300の先端部には、端面13
22より小距離基端部側の部分に、スリーブ1300の
外周面に開口する円環状溝1326が形成されており、
それによりスリーブ1300の先端には、半径方向外向
きに突出する係合フランジ1328が形成されている。
また、スリーブ1300の先端部の直径方向に隔たった
2箇所にはそれぞれ、図17および図18に示すよう
に、端面1322,嵌合穴1320および係合フランジ
1328の外周面に開口し、係合フランジ1328の端
面1322とは反対側の円環状の第一係合面1330を
超えて円環状溝1326に至る深さのトルク伝達切欠1
332が形成されている。これら嵌合穴1320および
トルク伝達切欠1332が第一嵌合部を構成している。
【0119】スリーブ1300の嵌合穴1320には、
図16に示すように、工具ホルダとしてのドリルホルダ
1340が着脱可能に嵌合されるようになっている。ド
リルホルダ1340の第二部材たるホルダ本体1342
は、嵌合軸部1344と、その先端部(図16において
左端部)に加工工具たるドリル1346(図16に二点
鎖線で示す)を保持する加工工具保持部1348とを備
え、嵌合軸部1344の後端側(図16において右端
側)からスリーブ1300の嵌合穴1320に嵌合され
る。
【0120】ホルダ本体1342は概して円筒状を成し
ており、図1〜図7に示す実施形態のホルダ本体44と
同様に、軸方向に延びる工具挿入穴1352内に形成さ
れた雌ねじ穴1354に、工具係合溝1356を備えた
ドライバ1358が軸方向に移動可能に嵌合されるとと
もに、アジャスト部材1360が螺合されている。ドラ
イバ1358の外周面に形成された一対の回転伝達溝1
362(図16には1個のみ示されている)にはそれぞ
れ、回転伝達部材1364が嵌合され、回転伝達部材1
364のドライバ1358の外周面からの突出部は、雌
ねじ穴1354の内周面に形成されて軸方向に延びる一
対の回転伝達溝1366に軸方向に移動可能に係合させ
られている。これら回転伝達部材1364および回転伝
達溝1362,1366はいずれも断面形状が円形を成
し、これらの係合により、ドライバ1358の軸方向の
移動が案内されるとともに、ドライバ1358の雌ねじ
穴1354内における回転を阻止し、ホルダ本体134
2に加えられる回転トルクがドリル1346に伝達され
る。なお、雌ねじ穴1354のホルダ本体1342の後
端側の開口部には止め輪1368が取り付けられ、アジ
ャスト部材1360の雌ねじ穴1354からの脱落が防
止されている。図27においては、止め輪1368の図
示は省略されている。
【0121】加工工具保持部1348は、図1〜図7に
示す実施形態におけると同様に、コレットチャックによ
りドリル1346を保持するように構成されている。加
工工具保持部1348の構成は図1〜図7に示す実施形
態と同じであり、同一の符号を付して対応関係を示し、
説明を省略する。
【0122】ホルダ本体1342の加工工具保持部13
48と嵌合軸部1344との間の部分には、図19に示
すように半径方向外向きに突出する当接フランジ138
0が形成されている。当接フランジ1380の直径方向
に隔たった2箇所にはそれぞれ、図19および図21に
示すように、当接フランジ1380を軸線方向に貫通す
るキー溝1382が形成されるとともに、各キー溝13
82にはそれぞれ、ドライブキー1384が嵌合され、
固定手段1386により当接フランジ1380に固定さ
れている。ドライブキー1384の一端部は、当接フラ
ンジ1380の嵌合軸部1344側の面であって第二当
接面たる端面1388から嵌合軸部1344側へ突出さ
せられ、トルク伝達突起を構成している。これら嵌合軸
部1344およびドライブキー1384が第二嵌合部を
構成している。
【0123】当接フランジ1380にはまた、図19〜
図22に示すように、直径方向に隔たった2箇所であっ
て、ホルダ本体1342に固定された2個のドライブキ
ー1384に対して周方向の位相を異にする位置にそれ
ぞれ、キー溝1390が形成されている。これらキー溝
1390は、当接フランジ1380の外周面および端面
1388に開口させられており、図26に示すように、
それぞれ可動待機位相維持部材たる待機位相維持キー1
392がホルダ本体1342の軸線に平行な方向に移動
可能に嵌合されている。
【0124】待機位相維持キー1392は、ほぼL字形
を成し、L字の一方のアーム部である待機解除部139
4においてキー溝1390に嵌合され、他方のアーム部
であり、待機解除部1394に対して直角な待機位相維
持部1396はホルダ本体1342の半径方向に平行と
なり、当接フランジ1380の外周面から外方へ突出さ
せられている。待機位相維持部1396の突出部の端面
1398(図26,図28参照)は、部分円筒面とされ
ている。待機位相維持キー1392は、キー溝1390
の底面との間に配設された付勢手段の一種である弾性部
材としての圧縮コイルスプリング1400により、端面
1388から突出する向きに付勢されている。
【0125】当接フランジ1380には更に、図23,
図24に示すように、直径方向に隔たった2箇所であっ
て、2個ずつのドライブキー1384および待機位相維
持キー1392に対して周方向の位相を異にする位置に
それぞれ、キー溝1402が形成されている(図24に
は1個のみ図示されている)。これらキー溝1402は
ホルダ本体1342の周方向に対して5度傾斜させられ
ており、一方のキー溝1402には、その底面に開口す
る円形断面の加工基準穴1404が形成されている。キ
ー溝1402の傾斜の方向については、後に説明する。
【0126】上記一対のキー溝1402にはそれぞれ、
図25に示すように、傾斜キー1408が圧入されてい
る。傾斜キー1408は、互いに平行な一対の平面状の
側面1410,1411を備え、それら側面1410,
1411がキー溝1402の傾斜方向と平行となる姿勢
でキー溝1402に圧入されており、ホルダ本体134
2の周方向に対して傾斜させられている。傾斜キー14
08の当接フランジ1380の外周側の部分は、図23
に示すように、当接フランジ1380の外周面から外方
へ突出させられている。
【0127】ホルダ本体1342にはまた、図26に示
すように、当接フランジ1380が設けられた部分より
先端側の部分に、リング状のシール保持部材1412が
圧入されている。シール保持部材1412には、外周面
に開口する円環状溝1414が形成されるとともに、リ
ング状のシール部材1416が嵌め入れられている。シ
ール部材1416は、シール保持部材1412の外周面
から外方へ僅かに突出させられている。
【0128】上記ホルダ本体1342の当接フランジ1
380が設けられた部分およびその前後の部分にわたっ
て、回転部材たるカラー1420が相対回転可能かつ軸
方向に相対移動可能に嵌合されている。図16および図
29に示すように、カラー1420の中心線方向におい
て一方の端部の穴1422の直径は、前記スリーブ13
00の係合フランジ1328が設けられた先端部の通過
を許容する大きさとされている。また、カラー1420
の穴1422に隣接する部分には、カラー1420の内
周面に開口し、内径が穴1422の直径より大きい円環
状溝1424が形成されるとともに、リング状のシール
部材1426が嵌め入れられている。なお、このシール
部材1426および前記シール部材1416は、例え
ば、ゴムあるいはフェルトにより作られている。
【0129】カラー1420のシール部材1426を保
持する部分に隣接する部分の内周面には、直径方向に隔
たった2箇所にそれぞれ、半径方向内向きに突出する係
合突部1428が設けられており、これら係合突部14
28の穴1422側とは反対側の端面が第二係合面14
30を構成している。カラー1420にはまた、係合突
部1428が設けられた部分に隣接する部分に、カラー
1420の内周面に開口する円環状溝1432が形成さ
れている。円環状溝1432の直径は、前記スリーブ1
300の係合フランジ1328の外径より大きく、幅
(カラー1420の中心線方向の寸法)は、係合フラン
ジ1328の厚さ(スリーブ1300の軸線方向の寸
法)より大きくされている。
【0130】カラー1420にはさらに、円環状溝14
32に隣接する位置に、カラー1420の内周面から半
径方向内向きに突出する内向きフランジ1434が形成
されている。内向きフランジ1434は、カラー142
0の中心線方向に長く、内向きフランジ1434の直径
方向に隔たった2箇所であって、カラー1420の一対
の係合突部1428に対して周方向の位相を異にする位
置にはそれぞれ、図29および図31に示すように、カ
ラー1420の中心線を中心とする部分円弧状の相対回
転許容切欠1436が形成されている。これら相対回転
許容切欠1436はそれぞれ、内向きフランジ1434
の内周面および内向きフランジ1434の円環状溝14
32側とは反対側の端面に開口させられ、内向きフラン
ジ1434の円環状溝1432側の端部近傍に至る長さ
を有する。
【0131】これら相対回転許容切欠1436の周方向
において一方の側の端部にはそれぞれ、相対回転許容切
欠1436の底面1438および内向きフランジ143
4の内周面に開口する固定待機位相維持部たる係合切欠
1440が形成されている。係合切欠1440の断面形
状は図31に示すように弓形を成し、その側面は、前記
待機位相維持キー1392の待機位相維持部1396の
端面1398より大きい径の部分円筒面状を成し、図2
8に示すように、待機位相維持部1396の当接フラン
ジ1380の外周面から突出した部分が嵌合されてい
る。
【0132】一対ずつの係合切欠1440と係合突部1
428との形成角度間隔は、前記一対ずつのドライブキ
ー1384と待機位相維持キー1392との配設角度間
隔と等しくされており、待機位相維持キー1392の待
機位相維持部1396が係合切欠1440に嵌入した状
態では、係合突部1428とドライブキー1384との
カラー1420の周方向の位相が一致する。
【0133】さらに、カラー1420の中心線方向にお
いて前記穴1422が設けられた側とは反対側の端部に
は、前記シール保持部材1412より僅かに径の大きい
穴1442が形成されている。穴1442は、シール保
持部材1412に半径方向において僅かな隙間を残して
嵌合され、その内周面にシール部材1416が接触させ
られている。
【0134】さらにまた、カラー1420の中心線方向
において相対回転許容切欠1436,係合切欠1440
が形成された部分と同じ部分の直径方向に隔たった2箇
所であって、周方向において2個の相対回転許容切欠1
436の間の部分にはそれぞれ、図32に展開して示す
ように傾斜溝1450が形成されている(図32には一
方の傾斜溝1450のみが図示されている)。これら傾
斜溝1450はそれぞれ、カラー1420を厚さ方向に
貫通し、カラー1420の周方向に対して、5度傾斜し
て形成されている。傾斜溝1450の傾斜の方向は後に
説明する。
【0135】傾斜溝1450には、図23および図32
に示すように、前記傾斜キー1408の当接フランジ1
380の外周面からの突出端部が嵌合されている。傾斜
溝1450の幅(傾斜溝1450の長手方向と直角な方
向の寸法)は、傾斜キー1408の幅より僅かに大き
く、傾斜キー1408は幅方向において隙間を残して傾
斜溝1450に嵌合されている。カラー1420の傾斜
溝1450が形成された部分には、リング状のカバー1
452(図16参照)が嵌合され、固定されており、傾
斜溝1450内への埃等の侵入が防止されている。
【0136】カラー1420とホルダ本体1342との
間には、回転付勢手段の一種である弾性部材としての引
張コイルスプリング1454が設けられている。図31
に概略的に示すように、引張コイルスプリング1454
は、その一端部がホルダ本体1342のピン孔1455
(図21参照)に取り付けられピン1456に係止さ
れ、ホルダ本体1342に巻き付けられるとともに、他
端部はカラー1420のピン孔1457(図31参照)
に取り付けられたピン1458に係止されている。
【0137】カラー1420は引張コイルスプリング1
454により、ホルダ本体1342に対して、係合切欠
1440が待機位相維持キー1392から外れる方向に
付勢されており、待機位相維持キー1392と係合切欠
1440との周方向の位相が一致した状態では、待機位
相維持キー1392は圧縮コイルスプリング1400の
付勢力により前進させられて待機位相維持部1396が
係合切欠1440に嵌入させられ、係合切欠1440の
側面の引張コイルスプリング1454の付勢力に基づく
カラー1420のホルダ本体1342に対する回転方向
において上流側の部分に係合し、カラー1420のホル
ダ本体1342に対する回転を阻止する。
【0138】カラー1420の、係合切欠1440と待
機位相維持キー1392との位相が一致し、両者の係合
により回転が阻止される位相が待機位相であり、両者の
位相がずれ、後述するように係合突部1428が係合フ
ランジ1328に係合する位相が係合位相である。ま
た、待機位相維持キー1392の圧縮コイルスプリング
1400の付勢力に基づいて待機位相維持部1396が
係合切欠1440に係合させられた位置が係合位置であ
り、待機位相維持部1396が係合切欠1440から離
脱した位置が係合離脱位置である。
【0139】前記傾斜溝1450のカラー1420の周
方向に対する傾斜の方向およびキー溝1402(傾斜キ
ー1408)のホルダ本体1342の周方向に対する傾
斜の方向はそれぞれ、カラー1420が引張コイルスプ
リング1454の付勢力により回転させられるにつれ
て、前記係合突部1428の第二係合面1430と当接
フランジ1380の端面1388とが互いに接近する向
きに設定されている。前記傾斜キー1408の一対の側
面1410,1411および傾斜溝1450の一対の側
面1480,1482のうち、カラー1420が引張コ
イルスプリング1454の付勢力により回転させられる
際に互いに接近させられ、係合させられる側面141
0,1480がそれぞれ、第一傾斜面および第二傾斜面
を構成している。
【0140】カラー1420は、次のようにして製造さ
れる。カラー1420の製造時には、図33(a)に示
すように、まず、円柱状の素材1460の軸線方向の一
方の端部に前記穴1442(図29参照)が形成され
る。なお、素材1460の軸方向の一方の側の端部は僅
かに大径とされ、穴1442は素材1460の大径部側
の端部に形成される。次に、穴1442より径の小さい
有底穴1462が形成され、前記内向きフランジ143
4となるべき段部が形成される。有底穴1462の深さ
(素材1460の軸線方向の長さ)は、内向きフランジ
1434のカラー1420の中心線方向の長さより長
く、後に形成される係合突部1428の穴1442側の
端面(第二係合面1430)を形成する位置に至る深さ
を有する。
【0141】次いで、図33(b)に示すように、エン
ドミル1464により、内向きフランジ1434の直径
方向に隔たった2箇所にそれぞれ、内向きフランジ14
34の穴1442側の端面,内向きフランジ1434の
内周面に開口する弓形断面の切欠1466が形成され
る。切欠1466の素材1460の軸線方向の寸法は、
次に形成される相対回転許容切欠1436より長くされ
る。なお、エンドミル1464は、素材1460の周方
向へ小角度移動させられて切欠1466が形成される。
次いで、図33(c)に示すように、エンドミル146
8により、切欠1466を一方の端とする相対回転許容
切欠1436が形成される。それにより、切欠1466
のうち、内向きフランジ1434の穴1442側とは反
対側の部分が残り、相対回転許容切欠1436の底面1
438に開口する係合切欠1440が形成される。
【0142】次に、図34(a)に示すように、素材1
460の軸線方向の他方の端部に有底穴1472が形成
される。有底穴1472の直径は前記穴1422の直径
に等しく、また、深さは、後に形成される係合突部14
28の穴1422側の端面に至る深さとされる。次に、
図34(b)に示すように、有底穴1472と穴144
2とを連通させ、直径が係合突部1428の内径に等し
い穴1474が形成される。続いて、図34(c)に示
すように、有底穴1472の内周面に開口する円環状溝
1424が形成される。また、円環状溝1432も形成
される。
【0143】次に、図34(d)に示すように、穴14
74の形成により形成された半径方向内向きのフランジ
部の直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、エンドミル
1476により、素材1460の軸線を中心とする部分
円弧状の切欠1478が形成される。切欠1478の径
は、係合突部1428の内径より大きく、それにより一
対の係合突部1428が形成される。最後に傾斜溝14
50が形成される。なお、係合突部1428の第二係合
面1430の面あらさは小さくされ、寸法精度も高くさ
れる。また、図34(d)においては、理解を容易にす
るために、穴1422の内周面の図示は省略されてい
る。
【0144】カラー1420をホルダ本体1342に嵌
合する際には、カラー1420の内周面に突設されたピ
ン1458に引張コイルスプリング1454の一端部を
係止させ、他端部を穴1442から外へ引き出し、カラ
ー1420とホルダ本体1342との回転方向の位相
を、一対ずつの係合突部1428とドライブキー138
4との位相が一致する状態に合わせ、カラー1420を
嵌合軸部1344側から嵌合する。そして、引張コイル
スプリング1454を自由長から伸長させてホルダ本体
1342に巻き付けるとともに、ピン1456に係止さ
せる。
【0145】係合突部1428とドライブキー1384
との位相が一致させられているため、カラー1420を
ホルダ本体1342に嵌合するとき、待機位相維持キー
1392の待機位相維持部1396が係合切欠1440
に嵌入し、カラー1420のホルダ本体1342に対す
る回転が阻止される。この状態でカラー1420の外側
から、傾斜溝1450を通ってキー溝1402に傾斜キ
ー1408を圧入した後、カバー1452を被せる。カ
ラー1420のホルダ本体1342からの抜出しは、傾
斜キー1408と傾斜溝1450との係合により阻止さ
れ、待機位相維持キー1392のホルダ本体1342か
らの抜出しは、待機位相維持部1396とカラー142
0(係合切欠1440)との係合により阻止される。
【0146】ドリルホルダ1340のスリーブ1300
への取付けを説明する。なお、スリーブ1300は前記
実施形態におけると同様に、スピンドルから外されて図
示しない保持装置の保持部材に保持されており、この保
持部材により保持されたスリーブ1300に対してドリ
ルホルダ1340が取付け、取外しされるものとする。
【0147】ドリルホルダ1340がスリーブ1300
から取り外された状態では、図35(a)に示すよう
に、待機位相維持キー1392の待機位相維持部139
6が係合切欠1440に嵌入し、カラー1420が待機
位相にあり、一対ずつの係合突部1428とドライブキ
ー1384との周方向の位相が一致し、傾斜キー140
8は、図32に実線で示すように、傾斜溝1450の、
カラー1420の引張コイルスプリング1454の付勢
力に基づく回転方向において下流側に位置している。
【0148】なお、図35は、ドリルホルダ1340の
スリーブ1300への取付け時におけるドライブキー1
384,待機位相維持キー1392,係合キー140
8,カラー1420の係合突部1428,相対回転許容
切欠1436,係合切欠1440およびスリーブ130
0のトルク伝達切欠1332の回転方向における位置関
係を模型的に示す図であり、理解を容易にするために、
係合突部1428が半径方向外方へ突出する向きに図示
され、スリーブ1300がカラー1420やドリルホル
ダ1340に対して実際より大きく図示されている。
【0149】ドリルホルダ1340のスリーブ1300
への取付け時には、図35(a)に示すように、ドライ
ブキー1384および係合突部1428とトルク伝達切
欠1332との位相を合わせた状態で嵌合軸部1344
を嵌合穴1320に挿入する。この挿入に伴って図36
(a)に示すように、待機位相維持キー1392の待機
解除部1394がスリーブ1300の端面1322に当
接し、図36(b)に示すように、ドライブキー138
4がトルク伝達切欠1332に嵌入させられるととも
に、係合突部1428がトルク伝達切欠1332を通っ
て円環状溝1326に進入する。
【0150】嵌合軸部1344が嵌合穴1320に更に
嵌合されれば、待機位相維持キー1392が圧縮コイル
スプリング1400の付勢力に抗してホルダ本体134
2およびカラー1420に対して後退させられ、図37
(a)に示すように、待機位相維持キー1392は待機
位相維持部1396が係合切欠1440から抜け出させ
られた係合離脱位置へ移動する。このとき、係合突部1
428は、まだトルク伝達切欠1332内にある。その
ため、カラー1420は、待機位相維持キー1392が
係合離脱位置へ移動しても回転しないが、引張コイルス
プリング1454の付勢力により係合突部1428がト
ルク伝達切欠1332の側面に当接する状態となる。ま
た、図37(b)に示すように、ドライブキー1384
は、トルク伝達切欠1332に更に深く嵌入させられ
る。
【0151】この状態から嵌合軸部1344が嵌合穴1
320に更に嵌合されれば、係合突部1428はトルク
伝達切欠1332の側面に当接したままの状態で円環状
溝1326内へ更に進入させられる。そして、図38
(a),(b)に示すように、係合突部1428全体が
円環状溝1326内に進入すれば、カラー1420は引
張コイルスプリング1454の付勢力により係合位相に
向かって回転させられる。このとき、待機位相維持キー
1392は、相対回転許容切欠1436内を移動する。
【0152】このカラー1420の回転により、図35
(b)に示すように、係合突部1428がトルク伝達切
欠1332から外れ、係合フランジ1328のトルク伝
達切欠1332が形成されていない第一係合面1330
と対向する状態となり、また、傾斜キー1408が図3
2に二点鎖線で示すように、傾斜溝1450内を相対的
に移動し、傾斜溝1450および傾斜キー1408の各
側面1480,1410の傾斜により、ホルダ本体13
42が、当接フランジ1380がスリーブ1300の端
面1322に接近する向きに移動させられる。
【0153】傾斜キー1408は、傾斜溝1450に幅
方向において僅かに隙間を残して嵌合されており、側面
1410が側面1480に係合するまでは、カラー14
20は回転するのみであって軸方向には移動しない。側
面1410,1480が係合した後、斜面の作用によ
り、ホルダ本体1342が、当接フランジ1380がス
リーブ1300の端面1322に接近する向きに移動さ
せられ、図39(a),(b)に示すように、第二係合
面1430が第一係合面1330に係合し、当接フラン
ジ1380の端面1388がスリーブ1300の端面1
322に強固に押し付けられ、ドリルホルダ1340が
スリーブ1300に軸方向の隙間なく取り付けられる。
引張コイルスプリング1454がカラー1420を引っ
張る力は、側面1410,1480の斜面の作用により
倍力され、端面1322は端面1388に強固に押し付
けられ、ドリルホルダ1340がスリーブ1300に軸
方向の隙間なく取り付けられる。このとき、待機位相維
持キー1392の待機位相維持部1396は、相対回転
許容切欠1436の底面1438から離間させられてい
る。
【0154】ドリルホルダをスリーブ1300から取り
外すときには、カラー1420を引張コイルスプリング
1454の付勢力に抗して回転させる。それにより第
一,第二係合面1330,1430の係合が緩む。カラ
ー1420は、待機位相維持キー1392の待機位相維
持部1396が相対回転許容切欠1436の係合切欠1
440側の端に当たるまで回転させられ、この状態では
待機位相維持キー1392と係合切欠1440との周方
向の位相が一致する。しかし、待機位相維持キー139
2の待機解除部1394がスリーブ1300の端面13
22に当たっていて、待機位相維持部1396が係合切
欠1440内に入れず、カラー1420のホルダ本体1
342に対する回転は阻止されない。
【0155】この状態では、係合突部1428とトルク
伝達切欠1332との位相が一致しており、カラー14
20を引張コイルスプリング1454の付勢力に抗して
回転させた状態を保ちつつ、スリーブ1300から離れ
る向きに移動させれば、係合突部1428がトルク伝達
切欠1332内に進入し、カラー1420のホルダ本体
1342に対する回転が阻止されるとともに、傾斜キー
1408および傾斜溝1450の側面1411,148
2の係合により、ホルダ本体1342はカラー1420
と共にスリーブ1300から離れる向きに移動させられ
る。
【0156】それにより、当接フランジ1380が端面
1322から離れ、待機位相維持キー1392は圧縮コ
イルスプリング1400の付勢力により移動させられ、
待機位相維持部1396が係合切欠1440に嵌入させ
られてカラー1420とホルダ本体1342との相対回
転を阻止する。そのため、作業者はカラー1420とホ
ルダ本体1342とが引張コイルスプリング1454の
付勢力により相対回転させられることを防止しなくても
よく、片手で嵌合軸部1344を嵌合穴1320から抜
き出すことができる。
【0157】このように本実施形態のドリル保持装置に
よれば、ドリルホルダ1340がスリーブ1300に軸
方向の隙間なく取り付けられる。また、ドリルホルダ1
340のスリーブ1300への取付け時には、ドリルホ
ルダ1340の嵌合軸部1344をスリーブ1300の
嵌合穴1320に嵌合し、取外し時にはカラー1420
を回転させるとともに軸方向に移動させればよく、取付
け,取外しいずれの場合にも作業者は片手で作業を行う
ことができる。さらに、スリーブ1300には、第一係
合面1330を構成する係合フランジ1328およびト
ルク伝達切欠1332を設けるのみでよく、これら係合
フランジおよびトルク伝達切欠を有するスリーブを備え
た工具保持装置に本発明を適用することができる。工具
保持装置のスリーブは係合フランジおよびトルク伝達切
欠を有することが多く、従来の工具保持装置のスリーブ
を使用しながら本発明に係る工具保持装置を容易に得る
ことができるのである。
【0158】第七発明の更に別の実施形態であるドリル
ホルダを含み、第四〜第六発明に共通の実施形態である
ドリル保持装置を図40〜図48に示す。本実施形態
は、カラーを引張コイルスプリングの付勢力に抗して一
定角度回転させた待機位相に維持するための可動待機位
相維持部材に、スリーブの回転をドリルホルダに伝達す
るトルク伝達突起を兼ねさせたものである。その他の構
成は、図16〜図39に示す実施形態と同じであり、対
応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0159】図40において1500は第一部材たるス
リーブである。スリーブ1500は、図16〜図39に
示す実施形態のスリーブ1300と同様に構成されてお
り、先端部は円筒状を成し、その円筒部の中央穴は、先
端部(図40において左端部)から基端部に向かって延
びる円形断面の嵌合穴1502を構成し、先端の端面1
504が第一当接面の一種であり、軸方向に直角な第一
軸方向当接面を構成している。
【0160】スリーブ1500の先端部には、端面15
04より小距離基端部側の部分に、スリーブ1500の
外周面に開口する円環状溝1506が形成されており、
それによりスリーブ1500の先端には、半径方向外向
きに突出する係合フランジ1508が形成されている。
また、スリーブ1500の先端部の直径方向に隔たった
2箇所にはそれぞれ、図41に示すように、端面150
4,嵌合穴1502および係合フランジ1508の外周
面に開口し、係合フランジ1508の端面1504とは
反対側の円環状の第一係合面1510を超えて円環状溝
1506に至る深さのトルク伝達切欠1512が形成さ
れている(図41には、トルク伝達切欠1512は1個
のみ図示されている)。符号1514は、トルク伝達切
欠1512の切欠端面である。前記嵌合穴1502およ
びトルク伝達切欠1512が第一嵌合部を構成してい
る。
【0161】スリーブ1500の嵌合穴1502には、
図40に示すように、工具ホルダとしてのドリルホルダ
1520が着脱可能に嵌合されるようになっている。ド
リルホルダ1520の第二部材たるホルダ本体1522
は、嵌合軸部1524と、その先端部(図43において
左端部)に加工工具たるドリル(図示省略)を保持する
加工工具保持部1526とを備えている。
【0162】加工工具保持部1526は、図16〜図3
9に示す実施形態におけると同様に、コレットチャック
によりドリルを保持するように構成されている。ただ
し、本実施形態においては、テーパ外周面1530およ
び軸方向に平行な内周面1532を有するコレット15
34が、ホルダ本体1522のテーパ穴1536にテー
パ嵌合されるとともに、テーパ穴1536からの突出端
部に雄ねじ部1538が形成され、クランプナット15
40が螺合されている。クランプナット1540は、ホ
ルダ本体1522の先端部に多数のボール1542を介
して相対回転可能かつ軸方向に移動不能に嵌合されてい
る。
【0163】したがって、クランプナット1540を雄
ねじ部1538に締め込む方向に回転操作すれば、コレ
ット1534がテーパ穴1536内へ押し込まれて弾性
的に縮径させられ、内周面1532にドリルのシャンク
部が把持される。また、クランプナット1540を雄ね
じ部1538との螺合を緩める方向に回転操作すれば、
コレット1534がテーパ穴1536から出て来るとと
もに拡径し、ドリルのシャンク部を解放する。
【0164】ホルダ本体1522の加工工具保持部15
26と嵌合軸部1524との間の部分には、図40に示
すように半径方向外向きに突出する当接フランジ155
0が形成されている。当接フランジ1550の直径方向
に隔たった2箇所にはそれぞれ、図42に示すように、
当接フランジ1550の外周面と、嵌合軸部1524側
の面であって、第二当接面たる端面1552とに開口す
るキー溝1554が形成されている(図42には1個の
み図示されている)。これらキー溝1554にはそれぞ
れ、ドライブキー1556が幅方向には移動不能であっ
て、ホルダ本体1522の軸線に平行な方向に移動可能
に嵌合されるとともに、キー溝1554のドライブキー
1556の移動方向と直角な端面1555との間に配設
された付勢手段の一種である弾性部材たる圧縮コイルス
プリング1557によりキー溝1554から突出する向
きに付勢されている。ドライブキー1556はトルク伝
達突起を構成し、嵌合軸部1524と共に第二嵌合部を
構成している。
【0165】ドライブキー1556は、図43〜図46
に示すように、キー溝1554の底面に当接する側の面
は平らな摺接面1558とされ、反対側の面のうち、ド
ライブキー1556の移動方向において一方の側は、当
接フランジ1550の外周面の一部に相当する部分円筒
面1560とされている。ドライブキー1556の移動
方向において部分円筒面1560が設けられた側とは反
対側の部分は、部分円筒面1560とは凹凸が逆向きの
部分円筒面に沿って切り欠かれ、係合凹部1562が設
けられている。係合凹部1562の部分円筒面1560
側とは反対側の端部であって、ドリルホルダ1520の
スリーブ1500への取付け時におけるカラー(カラー
については後述する)の回転方向において下流側の部分
は、摺接面1558に平行な平面に沿って切り欠かれて
切欠1564が形成されている。
【0166】ドライブキー1556にはまた、係合凹部
1562が設けられた側の端部であって、ホルダ本体1
522の周方向の両端部にそれぞれ、面取りが施されて
案内面1566が形成されている。ドライブキー155
6にはさらに、移動方向において係合凹部1562が設
けられた側とは反対側の端面と、摺接面1558とに開
口し、移動方向に平行に延びる溝1568が設けられ、
前記圧縮コイルスプリング1557が収容されるように
なっている。
【0167】当接フランジ1550にはまた、図42に
示すように、直径方向に隔たった2箇所であって、周方
向においてドライブキー1556が嵌合された部分とは
位相を異にする位置にそれぞれ、ホルダ本体1522の
周方向に対して傾斜したキー溝1570が形成されると
ともに、前記傾斜キー1408と同様の傾斜キー(図示
省略)が圧入されている。
【0168】図40に示すように、ホルダ本体1522
の当接フランジ1550が設けられた部分およびその前
後の部分にわたって、回転部材たるカラー1580が相
対回転可能かつ軸方向に相対移動可能に嵌合されてい
る。カラー1580の中心線方向において一方の側に
は、内周面に開口する円環状溝1581が形成されてい
る。円環状溝1581は、スリーブ1500の係合フラ
ンジ1508全体が嵌入可能な幅(カラー1580の中
心線に平行な方向の寸法)を有する。カラー1580の
端部であって、円環状溝1581の溝壁を形成する部分
の直径方向に隔たった2箇所にはそれぞれ、図40およ
び図45に示すように、カラー1580の内周面から半
径方向内向きに突出する係合突部1582が突設されて
おり、係合突部1582の当接フランジ1550側の端
面が第二係合面1584を構成している(図40および
図45には、係合突部1582は1個のみ図示されてい
る)。
【0169】また、カラー1580には、図示は省略す
るが、前記実施形態のカラー1420と同様に、周方向
に対して傾斜した傾斜溝が形成されるとともに、前記傾
斜キーが嵌合されており、さらに、ホルダ本体1522
との間に付勢手段の一種である弾性部材としての引張コ
イルスプリング1586(図40参照)が配設されてい
る。符号1588はカバーであり、カラー1580の傾
斜溝が形成された部分に嵌合され、固定されている。カ
ラー1580のホルダ本体1522からの抜出しは、傾
斜キーと傾斜溝との係合により阻止され、ドライブキー
1556のホルダ本体1522からの抜出しは、係合突
部1582とドライブキー1556との係合により阻止
されている。なお、図40においてスリーブ1500お
よび当接フランジ1550は、周方向において、係合突
部1582が係合フランジ1508に係合した位相で示
されている。
【0170】ドリルホルダ1520がスリーブ1500
から取り外された状態では、図47(a)に示すよう
に、係合突部1582がドライブキー1556の係合凹
部1562の切欠1564が形成されていない部分に嵌
入し、カラー1580のホルダ本体1522に対する回
転が阻止されるとともに、係合突部1582とドライブ
キー1556との回転方向の位相が一致している。係合
突部1582は、カラー1580が引張コイルスプリン
グ1586によって付勢されることにより、図45に示
すように、係合凹部1562の、引張コイルスプリング
1586の付勢力に基づくカラー1580の回転方向に
おいて下流側の端に係合している。
【0171】ドリルホルダ1520のスリーブ1500
への取付け時には、嵌合軸部1524を嵌合穴1502
に嵌合するとともに、ドライブキー1556とトルク伝
達切欠1512との位相を合わせ、嵌合する。このと
き、ドライブキー1556に係合させられた係合突部1
582もトルク伝達切欠1512内に進入する。図47
(a)に示すように、ドライブキー1556がトルク伝
達切欠1512の切欠端面1514に当接した後、更に
嵌合軸部1524を嵌合穴1502に嵌合する。カラー
1580は、傾斜キーと傾斜溝との係合によりホルダ本
体1522に係合させられており、ホルダ本体1522
と共に移動させられる。それにより、図47(b)に示
すように、係合突部1582がドライブキー1556の
切欠1564が形成された部分に至り、カラー1580
はドライブキー1556に対して、すなわちホルダ本体
1522に対して回転可能となる。しかし、この状態で
は、係合突部1582はまだトルク伝達切欠1512内
に位置するため、カラー1580は回転せず、係合突部
1582は引張コイルスプリング1586の付勢力によ
りトルク伝達切欠1512の側面に当接させられる。
【0172】嵌合軸部1524が嵌合穴1502に更に
嵌合されれば、図47(c)に示すように、スリーブ1
500の係合フランジ1508全体が円環状溝1581
内に進入するとともに、係合突部1582全体がトルク
伝達切欠1512から抜け出して円環状溝1506内に
入り、カラー1580の回転が許容される。ドライブキ
ー1556の係合凹部1562が設けられた部分も円環
状溝1506内に進入しているが、係合凹部1562に
は切欠1564が形成されており、係合突部1564は
切欠1564を通って回転することができる。カラー1
580は、引張コイルスプリング1586の付勢力によ
りホルダ本体1522およびスリーブ1500に対して
回転させられ、傾斜溝および傾斜キーの斜面の作用によ
りホルダ本体1522がスリーブ1500側へ移動させ
られ、図47(d)に示すように、第二係合面1584
が第一係合面1510に係合し、当接フランジ1550
の端面1552がスリーブ1500の端面1504に押
し付けられてドリルホルダ1520がスリーブ1500
に軸方向に移動不能かつ回転不能に保持される。
【0173】ドリルホルダ1520をスリーブ1500
から取り外す際には、カラー1580を引張コイルスプ
リング1586の付勢力に抗して回転させ、係合突部1
582とドライブキー1556との位相を一致させる。
この際、係合突部1582を係合フランジ1508に押
し付けつつカラー1580を回転させる。それにより、
係合突部1582とトルク伝達切欠1512との位相が
一致したとき、係合突部1582がトルク伝達切欠15
12に入って両者の位相が一致したことが作業者にわか
り、カラー1580をスリーブ1500から離れる向き
に移動させれば、傾斜溝と傾斜キーとの係合によりホル
ダ本体1522がスリーブ1500から離脱させられ
る。
【0174】この際、係合突部1582のトルク伝達切
欠1512内への進入により、カラー1580の回転が
阻止される。カラー1580およびホルダ本体1522
がスリーブ1500から離れる向きに移動させられると
き、ドライブキー1556は圧縮コイルスプリング15
57の付勢により切欠端面1514に当接した状態に保
たれ、係合突部1582はトルク伝達切欠1512から
抜け出す前に、ドライブキー1556の係合凹部156
2の切欠1564が設けられていない部分に嵌入し、カ
ラー1580のホルダ本体1522に対する回転が阻止
される。作業者は係合突部1582がトルク伝達切欠1
512内に進入した後は、カラー1580を引張コイル
スプリング1586の付勢力に抗して回転させた状態に
保つことなく、ドリルホルダ1520をスリーブ150
0から外すことができるのである。
【0175】なお、ドリルホルダ1520がスリーブ1
500から外された状態では、ドライブキー1556は
圧縮コイルスプリング1557の付勢により係合突部1
582より嵌合軸部1524側へ突出しているため、ド
リルホルダ1520をスリーブ1500に取り付けると
き、作業者がドライブキー1556を見ながら作業を行
い、トルク伝達切欠1512に嵌合すれば、ドライブキ
ー1556がトルク伝達切欠1512に入り損なうこと
はない。しかし、例えば、作業者がドライブキー155
6を見ないで作業を行えば、係合突部1582とトルク
伝達切欠1512との位相は一致しているが、ドライブ
キー1556とトルク伝達切欠1512との位相がず
れ、ドライブキー1556がトルク伝達切欠1512に
嵌合されず、スリーブ1500の端面1504に当接す
る事態が生ずることがある。この場合、嵌合軸部152
4の嵌合穴1502への嵌合に伴って係合突部1582
はトルク伝達切欠1512内に進入することができる
が、ドライブキー1556は端面1504に当接したま
まであって、圧縮コイルスプリング1557を圧縮しつ
つホルダ本体1522に対して後退する。しかし、ドラ
イブキー1556が後退端位置、すなわちキー溝155
4の端面1555(図42参照)に当接する位置まで後
退しても、係合突部1582はまだトルク伝達切欠15
12内にあり、ドライブキー1556がトルク伝達切欠
1512に嵌合されていないにもかかわらず、カラー1
580が回転してドリルホルダ1520がスリーブ15
00に保持されてしまうことがない。
【0176】図48に示すように、係合突部1582の
カラー中心線に平行な方向の寸法L 1 と、ドリルホルダ
1520がスリーブ1500から取り外された状態にお
ける係合突部1582のドライブキー1556の先端か
らの引込距離L2 と、スリーブ1500の係合フランジ
1508の幅(軸線に平行な方向の寸法)L3 との和
は、ドライブキー1556の後退可能距離、すなわちド
ライブキー1556がキー溝1554の端面1555に
当接するに至るまでの距離L4 より大きくされている。
そのため、ドライブキー1556がスリーブ1500の
端面1504に当接したままの状態で嵌合軸部1524
が嵌合穴1502に嵌合されても、係合突部1582全
体が円環状溝1506内に進入する前にドライブキー1
556がキー溝1554の端面1555に当たり、それ
以上の嵌合軸部1524の嵌合が阻止され、カラー15
80が回転することはないのである。
【0177】作業者は、嵌合軸部1524を嵌合穴15
02に挿入できなくなってもカラー1580が回転しな
いことから、ドライブキー1556がトルク伝達切欠1
512に嵌合していないことがわかり、ホルダ本体15
22をカラー1580およびスリーブ1500に対して
正方向あるいは逆方向に回転させる。ドライブキー15
56の先端部には面取りが施され、案内面1566が設
けられているため、ドライブキー1556がトルク伝達
切欠1512に嵌合可能な位相になれば、案内面156
6により案内され、ドライブキー1556はトルク伝達
切欠1512内に確実に進入することができる。ドライ
ブキー1556は圧縮コイルスプリング1557の付勢
力により前進させられてトルク伝達切欠1512に嵌合
され、係合突部1582全体が円環状溝1506内に進
入するまで嵌合軸部1524を嵌合穴1502に嵌合す
ることができ、カラー1580が回転し、ドリルホルダ
1520がスリーブ1500に保持される。
【0178】なお、図40〜図48に示す実施形態のド
リル保持装置のカラー1580についても、図16〜図
39に示す実施形態のカラー1420と同様に、シール
部材を保持させてカラーとスリーブとの間への塵埃の侵
入を防止し、それと共に、あるいはそれとは別に、ホル
ダ本体とカラーとのいずれか一方にシール部材を保持さ
せて両者の間への塵埃の侵入を防止するようにしてもよ
い。カラーにシール部材を保持させてカラーとスリーブ
との間への塵埃の侵入を防止する場合、カラー1420
について図16に示すように、シール部材がカラーの中
心線方向の一端部に設けられ、係合突部はそれより内側
へ引っ込んだ位置に設けられることとなる。そのため、
ドリルホルダをスリーブから外したとき、ドライブキー
はカラーに隠れて作業者に見えず、ドリルホルダをスリ
ーブに取り付ける際にドライブキーをトルク伝達切欠に
嵌合し損なう事態が生じ易く、上記のように、嵌合し損
なってもドリルホルダがスリーブに保持されてしまうこ
とがなく、カラーを正方向あるいは逆方向に回転させれ
ばドライブキーをトルク伝達切欠に嵌合させることがで
き、ドリルホルダをスリーブに保持させることができる
構成は特に有効である。
【0179】図11〜図13に示す実施形態において、
図1〜図7に示す実施形態におけると同様に一方向クラ
ッチを設けてもよい。一方向クラッチを設ければ、ドリ
ルホルダとスリーブとの切削抵抗に基づく向きとは逆向
きの相対回転は一方向クラッチにより阻止されることと
なるが、スリーブの回転をドリルホルダに伝達する係合
突起および係合切欠が傾斜面で係合させられて回転方向
のクリアランスが減少させられていれば、例えば、一方
向クラッチに異常が生じて相対回転を阻止できなくなっ
ても、ドリルホルダとスリーブとの回転方向の相対移動
が少なくて済み、耐久性の低下が防止される。
【0180】また、図11〜図13に示す実施形態にお
いては、係合突起1206の突出端部の一方の側面が傾
斜面1214とされていたが、基端部の一方の側面を傾
斜面としてもよく、あるいは二つの係合切欠をいずれも
片傾斜切欠とし、係合突起のそれら係合切欠と係合する
部分をいずれも片傾斜係合部としてもよい。後者の場
合、係合片の2箇所の片傾斜係合部の各平行面の一方
は、係合部の軸方向に延びる一対の側面の一方に設けら
れ、平行面の他方は他方の側面に設けられる。また、二
つの片傾斜切欠の各平行面はそれぞれ、片傾斜係合部が
係合させられた状態において、回転方向において互いに
反対側の位置に設けられ、二つの片傾斜切欠の各平行面
および2箇所の片傾斜係合部の各平行面は、加工抵抗に
より互に当接させられて加工抵抗に基づく第一,第二部
材の相対回転を阻止する位置に形成される。二つの係合
切欠が片傾斜切欠であり、係合突起の2箇所が片傾斜係
合部である場合に、相対回転限定部材の係合突起が二つ
の係合切欠から抜け出した非作用位置側から、二つの係
合切欠に係合する作用位置側への移動限度が片傾斜切欠
と片傾斜係合部との係合により規定されるのであれば、
いずれか一方の片傾斜係合部の傾斜面が片傾斜切欠の傾
斜面に当接して相対回転限定部材の上記移動限度が規定
される。
【0181】また、後者の場合、第一,第二係合切欠が
いずれも片傾斜切欠であるが、両者が共に係合片と回転
方向のクリアランスなく係合することは実際上期待でき
ない。第一,第二係合切欠のいずれか一方と係合片とは
回転方向のクリアランスなく係合するが、他方の係合切
欠と係合片との間にはクリアランスが残ることを避け得
ないのである。しかし、片傾斜切欠の非作用位置側の部
分の幅は、係合片の片傾斜係合部の作用位置側の端部の
幅より大きいため、片傾斜切欠と片傾斜部とを係合させ
る場合には、幅一定係合部と幅一定切欠とを係合させる
場合のように意図的にクリアランスを設ける必要はな
い。設計上、第一,第二係合切欠と係合片とが係合した
状態で両者の互いに対応する部分の幅を互いに同一にし
ておくことができ、いずれか一方がクリアランスなく係
合した場合の他方のクリアランスも殆ど0にできるので
ある。したがって、第一,第二部材の相対回転可能量を
特に小さくできる。
【0182】本発明は、ドリルを保持するドリル保持装
置に限らず、タップ等、他の加工工具を保持する工具保
持装置にも適用することができる。タップを保持する装
置を、図11〜図13に示すドリル保持装置と同様に、
第一部材と第二部材との相対回転をカラー等の相対回転
限定部材により限定する装置し、相対回転限定部材にそ
れぞれ片傾斜係合部を有する係合突起を2個設ける場
合、図11〜図13に示す実施形態におけると同様に、
それら2個の係合突起の片傾斜係合部が第一部材と第二
部材との正方向と逆方向との相対回転をそれぞれ、係合
切欠と平行面同士で当接して阻止する向きに形成するこ
とが望ましい。タップと被加工物とが正方向に相対回転
させられて雌ねじが形成されるときには、タップに切削
抵抗と摩擦抵抗が加えられる。タップが加工時とは逆向
きに回転させられ、加工された雌ねじ穴から抜き出され
るときには、切削抵抗は加えられないが摩擦抵抗は加え
られる。タップには、正逆いずれの方向の回転時にも大
きな回転抵抗が加えられるのであり、係合突起が切削抵
抗に基づく第一,第二部材の相対回転のみを平行面の当
接により阻止するようにされていれば、タップの加工穴
からの抜出し時に係合片が係合切欠から抜け出す恐れが
あるのに対し、正逆いずれの回転時にも、第一,第二部
材との相対回転が平行面同士の当接により阻止されるの
であれば、タップの加工穴からの抜き出し時にも係合片
が係合切欠から抜け出すことがないのである。
【0183】また、相対回転限定部材に係合突起を複数
設けることは不可欠ではなく、1個でもよい。さらに、
複数設けるとともに、各係合突起にそれぞれ片傾斜係合
部を1箇所ずつ設ける場合、第一部材と第二部材との加
工抵抗に基づく相対回転のみを阻止する向きに設けても
よい。加工工具としてタップを用いる場合のように、加
工工具と被加工物とが逆向きに相対回転させられること
がなければ、すべての片傾斜係合部を第一,第二部材の
加工抵抗に基づく相対回転を阻止する向きに形成すれば
十分なのである。
【0184】さらに、前記実施形態においてコレットを
付勢手段の一種である弾性部材としての皿ばねにより付
勢することは不可欠ではなく、皿ばねは省略してもよ
い。ドリルホルダがスリーブに嵌合され、フランジ部が
スリーブの先端面に押し付けられたとき、ちょうどコレ
ットが嵌合穴のテーパ内周面とドリルホルダの嵌合軸部
とに密着するようにコレット,テーパ内周面および嵌合
軸部を加工すればよいのである。
【0185】さらにまた、前記実施形態において、一方
向クラッチは1個設けられていたが、2個以上設けても
よい。一方向クラッチを複数個設ける場合、2個の一方
向クラッチについて、阻止する相対回転方向を逆にすれ
ば、スリーブからドリルホルダへの回転トルクの伝達が
一方の一方向クラッチにより為され、切削抵抗の急な消
滅時のドリルホルダのスリーブに対する相対回転が他方
の一方向クラッチにより阻止されることとなる。一方向
クラッチを複数個設ける場合、軸方向に隔たった複数箇
所に設けてもよく、軸方向に隣接させて設けてもよく、
軸方向に隣接させて設けるとともに、軸方向に隔たった
複数箇所に設けてもよい。
【0186】また、第二部材を第一部材に取り付ける場
合、第一部材が保持装置の保持部材により保持されてい
ることは不可欠ではなく、主軸に取り付けられた状態の
第一部材に対して第二部材を取付け、取外ししてもよ
い。また、第一部材が主軸や保持部材により保持されて
いることは不可欠ではなく、作業者が第一,第二部材を
持って両者を取付け、取外ししてもよい。
【0187】さらに、前記実施形態においては、工作機
械の主軸に取付け,取外しされるスリーブが第一部材を
構成していたが、主軸そのものを第一部材としてもよ
い。
【0188】また、図16〜図39に示す実施形態にお
いて、カラーとホルダ本体との間に設けられたシール部
材は、ホルダ本体に固定のシール保持部材により保持さ
れていたが、シール保持部材をカラーの内周面に圧入
し、カラーにシール部材を保持させてもよい。
【0189】さらに、第一部材に回転部材を設け、それ
ら第一部材と回転部材との間に、回転付勢手段の付勢力
に基づく回転部材の回転を軸方向の移動に変換する変換
装置を設け、あるいは第一部材と回転部材とにそれぞれ
第一,第二傾斜面を設けてもよい。
【0190】また、図16〜図39,図40〜図48に
示す実施形態において、図1〜図7,図8,図9,図1
0に示す各実施形態におけると同様に、コレットおよび
一方向クラッチを設け、あるいは嵌合軸部と嵌合穴とを
テーパ嵌合させてもよい。また、一方向クラッチを複数
個設けてもよい。
【0191】さらに、図11〜図13に示す実施形態に
おいて、図16〜図39,図40〜図48に示す各実施
形態におけると同様に、第一,第二傾斜面の係合によ
り、回転部材の回転が軸方向の移動に変換されるように
してもよい。
【0192】また、本発明は、上記各実施形態の構成要
素の組合わせを変えた態様で実施することができる。そ
の他、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知
識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を
実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第七発明の実施形態であるドリルホルダを含
み、第一ないし第三発明に共通の実施形態であるドリル
保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図2】上記ドリル保持装置の構成要素であるドリルホ
ルダを示す正面図(一部断面)である。
【図3】上記ドリルホルダのホルダ本体のカム溝が設け
られた部分を示す正面図である。
【図4】上記ドリルホルダに嵌合されたカラーを示す右
側面図である。
【図5】上記ドリル保持装置の構成要素であるスリーブ
を示す左側面図である。
【図6】上記ドリル保持装置の構成要素であるスリーブ
を示す正面図(一部断面)である。
【図7】上記ドリルホルダのスリーブへの取付けを説明
する図である。
【図8】第七発明の別の実施形態であるドリルホルダを
含み、第一ないし第三発明に共通の別の実施形態である
ドリル保持装置のドリルホルダとスリーブとの係合部を
取り出して示す正面断面図である。
【図9】第七発明の更に別の実施形態であるドリルホル
ダを含み、第一ないし第三発明に共通の更に別の実施形
態であるドリル保持装置を示す正面図(一部断面)であ
る。
【図10】第七発明の更に別の実施形態であるドリルホ
ルダを含み、第一ないし第三発明に共通の更に別の実施
形態であるドリル保持装置を示す正面図(一部断面)で
ある。
【図11】第七発明の更に別の実施形態であるドリルホ
ルダを含み、第一ないし第三発明に共通の更に別の実施
形態であるドリル保持装置を示す正面図(一部断面)で
ある。
【図12】図11に示すドリル保持装置のドリルホルダ
のスリーブへの取付けを説明する図である。
【図13】図11に示すドリルホルダに設けられた係合
突起とスリーブに設けられた片傾斜切欠とが係合させら
れた状態を示す正面図である。
【図14】図11に示すドリル保持装置の係合突起の片
傾斜係合部および片傾斜切欠の効果を説明するために、
別の態様の係合突起および第一,第二係合切欠を示す図
である。
【図15】図11に示すドリル保持装置の係合突起の片
傾斜係合部および片傾斜切欠の効果を説明するために、
更に別の態様の係合突起および第一,第二係合切欠を示
す図である。
【図16】第七発明の更に別の実施形態であるドリルホ
ルダを含み、第四ないし第六発明に共通の一実施形態で
あるドリル保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図17】図16に示すドリル保持装置の構成要素であ
るスリーブの先端部を示す正面断面図である。
【図18】図16に示すスリーブの左側面図である。
【図19】図16に示すドリル保持装置の構成であるド
リルホルダのホルダ本体を示す正面図(一部断面)であ
る。
【図20】上記ホルダ本体を示す底面図である。
【図21】上記ホルダ本体を示す左側面図である。
【図22】上記ホルダ本体を示す右側面図である。
【図23】図19におけるXXIII-XXIII 断面図である。
【図24】上記ホルダ本体の当接フランジのキー溝が形
成された部分およびその周辺部を示す正面図である。
【図25】上記当接フランジのキー溝が形成された部分
を示す正面図である。
【図26】上記ドリルホルダを示す正面図(一部断面)
である。
【図27】上記ドリルホルダの右側面図である。
【図28】図26におけるXXVIII-XXVIII 断面図であ
る。
【図29】上記ホルダ本体に嵌合されたカラーを示す正
面図(一部断面)である。
【図30】上記カラーを示す右側面図である。
【図31】上記カラーを示す左側面図である。
【図32】上記カラーの傾斜溝が形成された部分を示す
正面図である。
【図33】上記カラーの形成を軸方向の一方の側におい
て説明する図である。
【図34】上記カラーの形成を軸方向の他方の側におい
て説明する図である。
【図35】上記ドリルホルダのスリーブへの取付け時に
おける両者の回転方向の位相の変化を説明する図であ
る。
【図36】上記ドリルホルダのスリーブへの取付け開始
時の状態を示す図である。
【図37】上記ドリルホルダのスリーブへの取付けを説
明する図である。
【図38】上記ドリルホルダのスリーブへの取付けを説
明する図である。
【図39】上記ドリルホルダがスリーブに取り付けられ
た状態を示す図である。
【図40】第七発明の更に別の実施形態であるドリルホ
ルダを含み、第四ないし第六発明に共通の別の実施形態
であるドリル保持装置を示す正面図(一部断面)であ
る。
【図41】図40に示すドリル保持装置の構成要素であ
るスリーブの先端部を示す正面断面図である。
【図42】図40に示すドリルホルダのホルダ本体を示
す正面図である。
【図43】図42に示すホルダ本体に取り付けられたド
ライブキーを示す平面図である。
【図44】図43に示すドライブキーを示す正面図であ
る。
【図45】図43に示すドライブキーを示す右側面図で
ある。
【図46】図43に示すドライブキーを示す左側面図で
ある。
【図47】図40に示すドリルホルダのスリーブへの取
付けを説明する図である。
【図48】図40に示すドリルホルダを構成するカラー
の係合突部の寸法およびドライブキーの移動距離の設定
を説明する図である。
【符号の説明】
10 スリーブ 16 端面 18 嵌合穴 36 ドリルホルダ 38 嵌合軸部 40 ドリル 42 加工工具保持部 112 端面 114 トルク伝達突起 120 カラー 126 係合突部 127 第二係合面 132 鋼球 138 カム溝 146 引張コイルスプリング 175 第一係合面 190,800 ドリルホルダ 806 嵌合軸部 822 トルク伝達突起 824 スリーブ 826 嵌合穴 900 ドリルホルダ 901 嵌合軸部 912 スリーブ 916 嵌合穴 1200 ドリルホルダ 1202 嵌合軸部 1220 スリーブ 1228,1248 端面 1300 スリーブ 1320 嵌合穴 1322 端面 1330 第一係合面 1340 ドリルホルダ 1342 ホルダ本体 1344 嵌合軸部 1346 ドリル 1348 加工工具保持部 1388 端面 1408 傾斜キー 1411 側面 1420 カラー 1428 係合突部 1430 第二係合面 1450 傾斜溝 1454 引張コイルスプリング 1460 側面 1500 スリーブ 1502 嵌合穴 1504 端面 1510 第一係合面 1512 トルク伝達切欠 1520 ドリルホルダ 1524 嵌合軸部 1526 加工工具保持部 1552 端面 1556 ドライブキー 1580 カラー 1582 係合突部 1584 第二係合面 1586 引張コイルスプリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹森 竹房 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 加藤 泰男 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 高崎 多弘 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 諸貫 秀雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 辻野 明範 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一嵌合部と第一当接面とを備えて工作
    機械側に設けられる第一部材と、 前記第一嵌合部と相対回転不能に嵌合可能な第二嵌合部
    と、それら両嵌合部が嵌合された状態で前記第一当接面
    と当接可能な第二当接面と、加工工具を保持する加工工
    具保持部とを備えて第一部材に対して着脱される第二部
    材と、 前記第一当接面と前記第二当接面とを当接した状態に保
    つ当接状態維持装置とを含む工具保持装置において、 前記当接状態維持装置を、 前記第一部材と前記第二部材との一方に回転可能かつ軸
    方向に移動可能に嵌合されるとともに、その一方の部材
    に設けられた当接面に対向する第二係合面を有する係合
    部を備えた回転部材と、 前記第一部材と第二部材とのうち、前記回転部材が嵌合
    されていない部材に、その部材に設けられた当接面とは
    逆向きに設けられた第一係合面と、 前記回転部材と、その回転部材が嵌合された部材との間
    に設けられ、回転部材を回転方向に付勢する回転付勢手
    段と、 前記回転部材とその回転部材が嵌合された部材との間に
    設けられ、前記回転付勢手段の付勢力に基づく回転部材
    の回転を、前記係合部が、回転部材が嵌合された部材の
    当接面に接近し、前記第二係合面が前記第一係合面に係
    合する向きの軸方向の移動に変換する変換装置とを含む
    ものとしたことを特徴とする工具保持装置。
  2. 【請求項2】 前記変換装置が、 前記第一部材と前記第二部材とのうち前記回転部材が嵌
    合された部材と回転部材との一方に設けられたカムフォ
    ロワと、 他方に設けられ、回転部材が前記回転付勢手段の付勢力
    により回転させられるとき、前記カムフォロワと係合し
    て、回転部材を、前記係合部が回転部材が嵌合された部
    材の当接面に接近する向きに移動させる向きに周方向に
    対して傾斜させられた傾斜部を含むカム部とを含むこと
    を特徴とする請求項1に記載の工具保持装置。
  3. 【請求項3】 前記回転部材を、前記係合部が前記第二
    係合面が対向する当接面から離れる向きに付勢する軸方
    向付勢手段を含み、 前記カム部が、前記傾斜部の、前記回転部材が前記回転
    付勢手段の付勢力により回転させられ、前記カムフォロ
    ワが傾斜部に沿って相対移動する際の移動方向において
    上流側の端部から、軸方向に平行に、かつ、傾斜部と鈍
    角を成す向きに延び出させられた軸方向部を含むことを
    特徴とする請求項2に記載の工具保持装置。
  4. 【請求項4】 第一嵌合部と第一当接面とを備えて工作
    機械側に設けられる第一部材と、 前記第一嵌合部と相対回転不能に嵌合可能な第二嵌合部
    と、それら両嵌合部が嵌合された状態で前記第一当接面
    と当接可能な第二当接面と、加工工具を保持する加工工
    具保持部とを備えて第一部材に対して着脱される第二部
    材と、 前記第一当接面と前記第二当接面とを当接した状態に保
    つ当接状態維持装置とを含む工具保持装置において、 前記当接状態維持装置を、 前記第一部材と第二部材との一方に相対回転および軸方
    向移動可能に嵌合された回転部材と、 その回転部材を一方向に回転する向きに付勢する回転付
    勢手段と、 前記回転部材に設けられ、前記第一部材と第二部材との
    他方に設けられた第一係合面に、その他方から前記一方
    に向かう向きに係合する第二係合面と、 前記第一部材と第二部材との一方と前記回転部材とにそ
    れぞれ回転部材の周方向に対して傾斜して設けられ、互
    いに面接触する第一傾斜面と第二傾斜面とであって、傾
    斜の向きが、前記回転部材が前記回転付勢手段の付勢力
    により回転させられるにつれて回転部材を前記第二係合
    面が前記第一係合面に係合する向きに移動させる向きに
    設定されたものとを含むことを特徴とする工具保持装
    置。
  5. 【請求項5】 前記第一傾斜面と前記第二傾斜面との一
    方が傾斜溝の側面であり、他方がその傾斜溝に嵌入可能
    な突起の側面であることを特徴とする請求項4に記載の
    工具保持装置。
  6. 【請求項6】 前記傾斜溝が前記回転部材の内周面に形
    成され、前記突起が前記第二部材の外周面に形成された
    ことを特徴とする請求項5に記載の工具保持装置。
  7. 【請求項7】 第一嵌合部と、第一当接面と、その第一
    当接面とは反対向きの第一係合面とを備えて工作機械側
    に設けられる第一部材に着脱可能に取り付けられる工具
    ホルダであって、 前記第一嵌合部と相対回転不能に嵌合可能な第二嵌合部
    と、それら両嵌合部が嵌合された状態で前記第一当接面
    と当接可能な第二当接面と、加工工具を保持する加工工
    具保持部とを備えて第一部材に対して着脱される第二部
    材と、 その第二部材に回転可能かつ軸方向に移動可能に嵌合さ
    れるとともに、前記第二当接面に対向する第二係合面を
    有する係合部を備えた回転部材と、 その回転部材と前記第二部材との間に設けられ、回転部
    材を回転方向に付勢する回転付勢手段と、 前記回転部材と前記第二部材との間に設けられ、前記回
    転付勢手段の付勢力に基づく回転部材の回転を、前記係
    合部の第二係合面が、前記第二当接面に接近し、前記第
    一係合面に係合する向きの軸方向の移動に変換する変換
    装置とを含むことを特徴とする工具ホルダ。
JP3733797A 1996-02-22 1997-02-21 工具保持装置および工具ホルダ Pending JPH09285904A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1299868C (zh) * 2003-04-18 2007-02-14 奥林巴斯株式会社 工件夹持装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN1299868C (zh) * 2003-04-18 2007-02-14 奥林巴斯株式会社 工件夹持装置

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