JPH092843A - 屈折率分布型ガラスの製造方法 - Google Patents

屈折率分布型ガラスの製造方法

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JPH092843A
JPH092843A JP15452695A JP15452695A JPH092843A JP H092843 A JPH092843 A JP H092843A JP 15452695 A JP15452695 A JP 15452695A JP 15452695 A JP15452695 A JP 15452695A JP H092843 A JPH092843 A JP H092843A
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glass
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temperature
distribution
gel
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JP15452695A
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Yuko Morita
祐子 森田
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Olympus Optical Co Ltd
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 屈折率分布型ガラスの屈折率分布形状を修正
して、光学系に適したガラスを作製する。 【構成】 屈折率分布型ガラスを局所的に温度を変え
て、再加熱して屈折率分布を局所的に修正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラ、顕微鏡等の光
学機器に応用可能な屈折率分布型ガラスを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】屈折率分布型レンズを作製する方法とし
て、イオン交換法、ゾルゲル法等が知られている。イオ
ン交換法は例えば、Tl2 Oを含有するガラスロッドを
カリウムまたはナトリウムの溶融塩と接触させて、ガラ
ス中のタリウムイオンと溶融塩中のカリウムイオンまた
はナトリウムイオンを交換して、拡散させることにより
ロッドの径方向に屈折率分布を付与するものである。
【0003】ゾルゲル法は一般に、シリコンアルコキシ
ド等の有機金属化合物を加水分解、重縮合反応させるこ
とにより、シリコン等の金属原子と酸素原子の共有結合
からなる三次元状のゲル骨格の隙間にアルコール、H2
O等が充填されたゲル多孔質体を作製し、このゲル多孔
質体を乾燥、焼結することによりガラスとしている。こ
のゾルゲル法では、乾燥を行う前の湿潤ゲルを各種の溶
液に浸漬することにより、ゲル中に種々の成分を浸透あ
るいは溶出し、組成を媒質中で連続的に変化させたガラ
スを得ることができる。特公平6−8179号公報で
は、このゾルゲル法に際して屈折率への寄与の大きな成
分を導入して、屈折率分布型光学ガラスを作製してい
る。
【0004】ところで、得られた屈折率分布型ガラスを
実際に光学素子として使用するためには、精密な屈折率
分布形状の制御が必要である。イオン交換法で屈折率分
布を調製する方法としては、特公昭63−63502号
公報に記載されるように、塩浴中でのイオン交換を終え
たのちに再びガラスを転移温度域まで加熱し、ガラス中
のタリウムイオンとカリウムイオンを移動させて、目的
の分布に近づけることがなされている。
【0005】ゾルゲル法で屈折率分布を調整する方法と
しては、ゾルを作製する際のバッチ組成を変える方法、
金属成分に分布を付与する工程において、分布を付与す
る時間や、液濃度等を調整する方法により行われている
(Applied Optics31、25(199
2)参照)。
【0006】なお、一般にガラスの屈折率は、溶融ガラ
スの冷却速度により、屈折率にして10-3のオーダーで
変化することが知られている。これは、熱処理によりガ
ラス網目の3次元構造の状態が変わっていることによ
る。このような網目構造は再熱処理することにより変化
するので、再熱処理により屈折率を変化させることが可
能である。一般の均質ガラスでは、このような再熱処理
により屈折率の調整を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
屈折率分布型レンズを光学系に適用する際に、光学設計
上要求される屈折率分布形状の公差は、かなり厳しいも
のであり、従来より行われている技術で作製された屈折
率分布型ガラスの端面を研磨し、屈折率分布形状を測定
すると、公差範囲外となってしまうことが多かった。
【0008】このような場合、上述のような分布修正お
よび分布制御を行うが、特公昭63−63502号公報
の方法は、イオン交換法で屈折率寄与金属成分として用
いられる一価のイオンがガラス内を移動可能であり、分
布の修正ができるが、2価以上のイオンを屈折率寄与金
属成分として用いてゾルゲル法により作製した屈折率分
布ガラス体の場合には、イオンが拡散しないため、分布
の修正を行うことができなかった。
【0009】また、ゾルゲル法で作製した2価以上のイ
オンを屈折率寄与成分として用いた屈折率分布型ガラス
は、一旦焼結無孔化してしまうと、その屈折率分布形状
の修正を思いどおりに行うことが難しい。そこで、屈折
率分布の制御をゾルの調製工程や、濃度分布を付与する
工程にまで逆上がって行っているが、それでは折角得た
ガラスを無駄にすることになるとともに、日程もかかる
ため量産に適さず、コストも非常に高くなるという問題
があった。
【0010】特公昭63−63502号公報の方法で
は、イオン交換法で作製した屈折率分布ガラスについ
て、濃度分布の勾配がポテンシャルとなってイオンの拡
散を起こしているため、拡散の方向、すなわち屈折率分
布の変化方向は、分布勾配がゆるくなる方向のみに定ま
ってしまうという問題があった。
【0011】一般に、光学ガラスを製造する場合に用い
る再熱処理では、ガラス塊全体を均等にアニールし、目
標とする屈折率に合わせればよい。これに対し、屈折率
分布型ガラスでは、単に屈折率だけでなく、屈折率分布
の形状が光学特性に大きく影響する。また、部分により
ガラス組成が変化しているので、ある温度で再熱処理を
施しても、全体の屈折率が均等にシフトするわけではな
く、さらに屈折率分布形状まで任意に調整することは困
難であった。
【0012】本発明は以上の問題点を解決し、屈折率分
布型レンズを始めとする屈折率分布型ガラスの屈折率分
布形状を修正して、光学系への適用に適した特性を有し
たガラスの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1の方法は、作製した屈折率分布型ガラスを局所的に
温度を変えて、再加熱することを特徴とする。
【0014】請求項2の方法は、ゾルゲル法により作製
した湿潤ゲルを溶液に浸漬してゲル中の金属成分に濃度
分布を付与した後、ゲル中の溶媒を乾燥し、焼成して無
孔化することにより屈折率分布型ガラスとした後、無孔
化温度付近まで再加熱することを特徴とする。
【0015】請求項3の方法は、金属成分としてPb、
Ti、Ba、Nb、La、Y、Zr、Geより選ばれた
少なくとも一種の金属種を使用するものである。これら
の金属種はガラス中に濃度勾配を有して分布していると
き、特に有効となる。
【0016】請求項4の方法は、ゾルゲル法により作製
した屈折率分布型ガラスに対して局所的に温度を変え
て、再加熱することを特徴とする。
【0017】請求項5の方法は上記再加熱を赤外線集光
加熱炉により行うものである。
【0018】
【作用】請求項1の作用を以下に説明する。ある組成の
ガラスを、ある温度に一定時間加熱した場合、ガラス骨
格構造がその温度での平衡状態に向かって変化する。こ
の平衡状態と比較してガラス骨格構造が急冷ガラスのよ
うに疎である場合、すなわち密度が低い場合は、より高
温で加熱した方が密度は高く、屈折率も高く変化する。
逆に、ガラス構造の平衡状態と比較してガラス骨格構造
が徐冷ガラスのように密である場合、すなわち密度が高
い場合には、骨格構造を変化させるのに十分な高温で再
加熱すると密度は低くなり、このとき屈折率は低くなる
ように変化する。
【0019】これらの屈折率分布の変化は、処理温度に
依存する。そして、この処理温度は、ガラス転移温度と
密接に関係するものである。たとえば、イオン交換法に
より作製したTl(タリウム)が径方向に中心部で高く
周辺にいくに従って低くなるような分布をしており、K
(カリウム)がTlと逆の方向に分布している屈折率分
布型光学素子について説明する。このような屈折率分布
型ガラスは図1に示すような屈折率分布を有している。
同図において、縦軸は屈折率であり、横軸はガラスの径
である。これに対して、ガラス転移点はガラス中でほぼ
均一な分布をしている。これは、アルカリ金属であるT
lとKが1対1の割合で交換しているため、屈折率は径
方向に変化するが、ガラス転移点はあまり変化していな
いためと考えられる。これはイオン交換法により作製さ
れた屈折率分布型レンズの特徴である。そのため処理温
度が均一であると、ガラス転移点が部分により変わらな
いために、屈折率分布の修正能力にも限界がある。
【0020】イオン交換温度から室温に戻すときには、
急冷されたガラス構造が疎になりやすく、このガラスを
再加熱したときには、密度が高くなる場合が多い。そこ
でこのガラスを局所的に温度を変えて再加熱、例えば、
その骨格構造を変化させるのに十分に高い温度でガラス
の中心部分を加熱し、中心部分より低い温度となるよう
な熱分布を持って再加熱処理すると、高温で処理される
中心部分では屈折率の増大方向への変化量が大きく、周
辺部分の屈折率の増大方向への変化量が小さくなる。す
なわち、図2の特性曲線〜のように処理温度を分布
させたときの屈折率の変化量、すなわち修正後の屈折率
−修正前の屈折率の分布は図3の特性曲線〜ように
なる。
【0021】請求項2の作用を以下に説明する。ゾルゲ
ル法により屈折率分布型ガラスを作製する場合、まずシ
リコンアルコキシドと、このアルコキシドの加水分解重
縮合反応に必要な水や、酸、アルカリ等の触媒、さらに
必要により屈折率分布特性や熱膨張係数分布を付与する
ための金属成分を混合してゾルとし、このゾルを注型し
ゲル化させる。このゲルを数種類の溶液に浸漬して、金
属成分に濃度分布を付与する。分布を付与した後、ゲル
中の金属成分分布が崩れないような処理をし、ゲル中の
溶媒を乾燥させて乾燥ゲルを得、これを加熱し焼結させ
る(第1の加熱)。この焼結時の昇温スケジュールは、
乾燥ゲル中の水分の離脱や、有機物の分解により生じる
CO2 ガス等の放出を考慮して、これらの反応が急激に
起きてゲルを破壊することのないように決定される。ま
た、第1の加熱の最高温度は、ゲル細孔が収縮し、無孔
化する温度(無孔化温度)で決定される。この温度はガ
ラスの組成により異なる。
【0022】このようにして第1の加熱により無孔化し
たガラスロッドの両端の光軸方向の屈折率分布を有する
部分を図4のように切断し、径方向にのみ屈折率が分布
したロッドとした後、両面を研磨して、屈折率分布形状
を測定し、目標とする分布との違いを比較する。
【0023】その後、再熱処理を行う。この再熱処理の
温度は屈折率分布ガラスの組成分布及び屈折率分布形状
の修正範囲により、細かく検討し、決定されなければな
らない。再熱処理は屈折率変化量を大きくするとき、無
孔化温度付近まで加熱することが望ましい。ガラス組成
分布は、屈折率調整分だけでなく、熱膨張係数、ガラス
転移点分布を調整する成分の分布など、ガラス中に含ま
れるすべての成分を合わせて考慮することが必要であ
る。
【0024】また、再熱処理温度は低くとも無孔化温度
の2分の1までとすべきである。無孔化温度以上の温度
で加熱することも可能だが、無孔化温度よりあまり高い
温度で再熱処理を行うと、結晶化による失透や、無孔化
後のガラス中に残存する−OH基からの脱水反応による
発泡等の問題が出てくるので上限温度の設定には注意が
必要である。
【0025】さらに厳密には、屈折率分布型ガラスのガ
ラス転移点は、多くの場合、ガラス中で均一ではないこ
とを考慮しながら、再熱処理の温度を選択しなければな
らない。すなわち、SiO2 、PbOおよびK2 Oがそ
れぞれ図5のように分布しているとき、ガラス転移点の
分布は図6のようになる。このとき、T2 の温度以下の
ある温度に均一に加熱すると、もっともガラス転移点が
低いガラスの中心近傍で骨格構造の変化が大きくなり、
この部分の屈折率変化量がもっとも大きくなる。図7は
600℃から630℃までの間で処理温度を10℃ずつ
変化させたときの径方向の各位置における処理前と後の
屈折率の変化量をプロットしたものである。
【0026】請求項3の作用を説明する。多価金属であ
るPb、Ti、Ba、Nb、La、Y、Zr、Ge等よ
り選ばれた少なくとも一種の金属種を屈折率分布型ガラ
スが含有するときには、特に本発明の屈折率修正方法が
有効となる。これは、これらの金属成分に濃度勾配を持
たせたときには、光学特性の優れた屈折率分布型ガラス
を得ることができるのと同時に、これらの金属成分は一
価の金属種と比較して屈折率や分散特性への単位モル量
当たりの寄与率が大きいため、組成分布の形状が屈折率
分布形状や分散分布特性に対する影響が大きく、逆に組
成成分の微細な形状の乱れが、屈折率分布形状や分散分
布特性の乱れになることがあるためである。
【0027】請求項4の作用を説明する。図8に示すよ
うなガラス転移点(Tg)分布を有するガラスを中心部
でもっとも高温となるような再加熱をすることによっ
て、更に位置による屈折率調整分の差を大きくすること
ができる。すなわち、中心部の屈折率変化量を大きく、
また周辺部の屈折率変化量はさらに小さくすることがで
きる。
【0028】図9に示すような中心部で高く周辺で低い
ガラス転移点(Tg)分布を有する屈折率分布型ガラス
を、中心部でもっとも高温となるような再加熱をする
と、ガラス転移点の分布に合わせて再加熱温度に分布を
設けることにより、ガラスの径方向全体にわたって屈折
率を変化させ、修正することができる。このような局所
的な加熱は、加熱処理による屈折率の調整のバリエーシ
ョンを増やすことができる。
【0029】請求項5の作用を説明する。赤外線集光加
熱炉は断面が楕円状の鏡面を有し、この鏡面の楕円の一
方の焦点に熱源を配置することにより、鏡面により反射
集光して、他方の焦点部分を加熱することができる。こ
の焦点部分に屈折率分布型ガラスの中心部分を配置する
ことにより、中心部分の温度を周辺部より高くすること
が可能となる。また、鏡面の形状を変化させることによ
り集光位置や集光範囲を変えることができるので、温度
分布を3次元的に制御することができる。局所的な加熱
の方法としては、赤外線集光加熱炉が最も好ましいが、
局所的な加熱の方法はこれに限定されるものではなく、
他の方法を用いることも可能である。
【0030】また、適用する光学系により定まる公差の
特徴により、屈折率の修正が予想される位置の屈折率を
選択的に修正できるように予めガラス転移点を低くし
て、アニールが効きやすくなるような金属成分を添加し
ておくことも有効である。
【0031】再加熱による屈折率変化量は、第1の加熱
での最高処理温度や、処理時間、無孔化後の冷却スピー
ドにより変化する。そのため、第1の加熱での熱処理を
予め、再加熱による変化量が大きくなるように設定する
ことで、実際の屈折率分布形状を計測したあとに、確実
に目的の分布とすることが可能となる。
【0032】
【実施例】
(実施例1)シリコンテトラメトキシドを塩酸水溶液で
部分加水分解した溶液へ、酢酸鉛水溶液と酢酸の混合溶
液を加え攪拌してゾルを得た。このゾルを内径20mm
の円筒へ注ぎ、静置してゲル化させた。このゲルを酢酸
鉛をイソプロパノール/水=6/4(体積比 以下同
様)の混合溶液に溶解させた溶液に24時間浸漬した
後、イソプロパノール/アセトン=10/0,8/2,
5/5,0/10の混合溶媒に順に浸漬し、ゲル中に酢
酸鉛の微結晶を析出させた。
【0033】次に、酢酸カリウムのエタノール溶液の中
にこのゲルを浸漬することにより、酢酸鉛をゲル外へ溶
出し、酢酸カリウムをゲル中へ導入し、Pb,Kの濃度
分布を付与した。その後、再びイフプロパノール/アセ
トン=5/5,0/10の混合溶媒に順に浸漬して分布
を固定した後、30℃で乾燥、600℃まで加熱焼成す
ることにより、無孔化し、鉛成分が径方向に凸状に、カ
リウム成分が凹状に分布した径6.7mmの屈折率分布
型ガラスを作製した。
【0034】このガラスは中心部の組成67SiO2
28PbO−6K2 O、周辺部の組成67SiO2 −1
6PbO−13K2 Oであり、中心から端へ向かってP
bOとK2 Oが反対方向に分布するものであった。この
ガラスを端から4mmの位置で切断し、屈折率分布を測
定した。この測定結果を図10の実線に示す。
【0035】続いて、このガラスを再び600℃まで加
熱し、10時間保持した後、5℃/Hourで550℃
まで降温し、10℃/Hourで350℃まで、40℃
/Hourで室温まで降温する処理を施した。この処理
の後に、ガラスロッド表面を再研磨して屈折率分布を測
定した結果、目標である図10の破線の示す屈折率分布
に変化していることがわかった。
【0036】このガラスのガラス転移点分布は、径方向
に凸状をしており、上述した処理温度では周辺部分で特
にガラス構造が大きく変化したため、周辺部の屈折率を
特に修正することができたと考えられる。
【0037】(実施例2)シリコンテトラメトキシドを
塩酸水溶液で部分加水分解した溶液へ、酢酸鉛水溶液と
酢酸カリウム水溶液および酢酸の混合溶液を加え攪拌し
てゾルを得た。このゾルを内径40mmの円筒体へ注
ぎ、静置してゲル化させた。このゲルを酢酸鉛と酢酸カ
リウムを溶解したエタノール溶液に40時間浸漬したの
ち、イソプロパノール/アセトン=5/5,0/10の
混合溶媒に順に浸漬し、ゲル中に酢酸鉛および酢酸カリ
ウムの微結晶を析出させた。
【0038】次に酢酸カリウム、エタノール溶液の中に
このゲルを浸漬することにより、酢酸カリウムをゲル外
へ溶出し、酢酸鉛をゲル中へ導入し、Pbに凹,kの濃
度分布を付与した。その後、再びイソプロパノール/ア
セトン=5/5,0/10の混合溶媒に順に浸漬して分
布を固定した後、30℃で乾燥、625℃まで加熱焼成
することにより、無孔化し、鉛成分が径方向に凸状に、
カリウムが凸状に分布した径14.2mmの屈折率分布
型ガラスを作製した。
【0039】このガラスは中心部の組成70SiO2
10PbO−13K2 O、周辺部の組成70SiO2
18.2PbO−5.5K2 Oであり、中心から端へ向
かってPbOとK2 Oが反対方向に分布するものであっ
た。このガラスを端から7mmの位置で切断し、屈折率
分布を測定した。測定結果を図11の実線に示す。
【0040】続いて、このガラスを再び610℃まで加
熱し、10時間保持したあと5℃/Hourで560℃
まで降温し、10℃/Hourで350℃まで、40℃
/Hourで室温まで降温する処理を施した。その後、
この屈折率分布を測定した結果、目標である図11の点
線の示す屈折率分布に変化していた。
【0041】このガラスのガラス転移点分布は、径方向
に凸状をしており、上述の処理温度では周辺部分で特に
ガラス構造が大きく変化したと考えられる。
【0042】(実施例3)中心部の組成が68SiO2
−18BaO−10TiO2 −4K2 0、周辺部の組成
が68SiO2 −9BaO−10TiO2 −5K2 0で
あり、屈折率が0中心から周辺に向かってほぼ放物線状
に減少する図12の実線のような分布をしている径16
mmの屈折率分布型レンズをゾルゲル法により作製し
た。本実施例では、この屈折率分布を図12の点線の分
布形状にするために、赤外線集光加熱炉を用いて再加熱
した。赤外線集光加熱炉では、ガラスの中心部分の温度
と周辺部分の温度差が5℃であり、これを用いることに
より図12の点線の分布が得られた。
【0043】ところで、この屈折率分布型ガラスのガラ
ス転移点分布は、図13のようにほぼ平坦な分布をして
いたため、均熱炉を用いた再加熱では径方向全体の屈折
率がほぼ均等に変化した。これに対して、本実施例では
赤外線集光加熱炉を用いた再加熱を行うことにより、上
述のような要求する分布を得ることができた。
【0044】(実施例4)Na2 O12%、Tl2 O1
2%、B2 3 23%、SiO2 53%のガラスを溶融
して、直径5mmのガラスロッドを得た。このガラスロ
ッドを520℃に保たれた硝酸カリウムの融液中に79
0時間浸し、ガラス中のタリイウムイオンとナトリウム
イオンを融液中のカリウムイオンと交換して、屈折率分
布型ガラスロッドを得た。このガラスを端から4mmの
位置で切断し、屈折率分布を測定した。この測定結果を
図14の実線に示す
【0045】続いて、このガラスの屈折率分布を図14
の点線の分布形状にするために、赤外線集光加熱炉を用
いた再加熱を行った。赤外線集光加熱炉では、ガラスの
中心部分の温度と周辺部分の温度差が5℃であり、これ
を用いることにより図14の点線の分布が得られた。
【0046】イオン交換法により作製されたガラスは、
アルカリ金属を1対1に交換するのでガラスの径方向で
ガラス転移点の差が少ない。このため、均熱炉で行う再
加熱では、屈折率分布形状の修正幅が狭く、十分に屈折
率を修正することができないが、上述のような赤外線集
光加熱炉による温度分布を有した屈折率調整を行うこと
により、屈折率分布の調整幅を拡げることができた。
【0047】(実施例5)無孔化のための第1の加熱の
工程までを、実施例1と同様に行って屈折率分布型ガラ
スを作製した。第1の加熱を600℃まで行った後、2
00℃まで2時間で降温した。この降温は、ゾルゲル法
により屈折率分布ガラスを作製するときに行う一般的な
降温熱膨張係数がガラス内で均一になるように組成設計
しておくことにより割れを生じないようにすることがで
きる。
【0048】このように速い降温スピードで処理したガ
ラスの屈折率は、再加熱することにより、実施例1のと
きと比較し、大きく変化させることができた。これは、
再加熱による屈折率の修正幅を拡げることが可能となる
ことを示し、再加熱処理による微調整を行うことによっ
ても修正不能な分布を有するガラスを減らすことがで
き、歩留りを向上させることができる。
【0049】なお、本発明の方法によれば、大量のガラ
スを同時に一つの炉内で焼成する際に、第1の加熱時の
炉内の温度分布により、個々のガラスの熱履歴が変化し
て屈折率分布のばらつきを生じた場合等に、再熱処理を
行い、この再熱処理によりこれらのガラスの屈折率分布
のばらつきを減らすことも可能である。
【0050】
【発明の効果】本発明は屈折率分布型レンズを再加熱処
理することで、その屈折率分布形状を修正するため、光
学系への適用に適した特性を有する屈折率分布型レンズ
とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈折率分布形状を示す特性図。
【図2】再熱処理温度をガラスの部分により変化させた
ときの温度分布を示す特性図。
【図3】再熱処理温度をガラスの部分により変化させた
ときの屈折率変化量分布を示す特性図。
【図4】屈折率分布ガラスの断面における等屈折率線と
切断位置を示す平面図。
【図5】屈折率分布ガラスの組成分布を示す特性図。
【図6】屈折率分布ガラスのガラス転移点分布を示す特
性図。
【図7】屈折率分布ガラスの屈折率変化量分布を示す特
性図。
【図8】屈折率分布ガラスのガラス転移点分布を示す特
性図。
【図9】屈折率分布ガラスのガラス転移点分布を示す特
性図。
【図10】実施例1により得られた屈折率分布ガラスの
屈折率分布を示す特性図。
【図11】実施例2により得られた屈折率分布ガラスの
屈折率分布を示す特性図。
【図12】実施例3により得られた屈折率分布ガラスの
屈折率分布を示す特性図。
【図13】実施例3により得られた屈折率分布ガラスの
ガラス転移点分布を示す特性図。
【図14】実施例4により得られた屈折率分布ガラスの
屈折率分布を示す特性図。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作製した屈折率分布型ガラスを局所的に
    温度を変えて、再加熱することを特徴とする屈折率分布
    型ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 ゾルゲル法により作製した湿潤ゲルを溶
    液に浸漬してゲル中の金属成分に濃度分布を付与した
    後、ゲル中の溶媒を乾燥し、焼成して無孔化することに
    より屈折率分布型ガラスとした後、無孔化温度付近まで
    再加熱することを特徴とする屈折率分布型ガラスの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記金属成分としてPb、Ti、Ba、
    Nb、La、Y、Zr、Geより選ばれた少なくとも一
    種の金属種を使用することを特徴とする請求項2記載の
    屈折率分布型ガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ゾルゲル法により作製した屈折率分
    布型ガラスに対して局所的に温度を変えて、再加熱する
    ことを特徴とする請求項2記載の屈折率分布型ガラスの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記再加熱を赤外線集光加熱炉により行
    うことを特徴とする請求項1、2、4のいずれかに記載
    の屈折率分布型ガラスの製造方法。
JP15452695A 1995-06-21 1995-06-21 屈折率分布型ガラスの製造方法 Withdrawn JPH092843A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012211051A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Asahi Glass Co Ltd 化学強化ガラスの製造方法

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