JPH0928413A - 運動靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 舌片が前方に押し込まれたり、あるいは、装
着後に位置ずれするのを防止し得ると共に、装着時間が
短く、かつ、快適なフィット感の得られる運動靴を提供
する。 【解決手段】 ２つの両舌片１，２が、それぞれ、前後
方向の中間において括れた括れ部１０，２０を有すると
共に、前記第１舌片１が前記括れ部１０の前後において
内側部３１に向って突出する前舌片部１１および後舌片
部１２を有し、一方、前記第２舌片２が前記括れ部２０
の前後において外側部３０に向って突出する前舌片部２
１および後舌片部２２を有する。装着状態においては、
前記第１舌片１と第２舌片２とが前記括れ部１０，２０
で上下に交差して、前記括れ部１０，２０の前後で第１
舌片１と第２舌片２との上下の重なりが逆になる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は運動靴の舌片の構造
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、運動靴の舌片は、甲被の先端部
の内側面に固定されており、そのため、運動靴に足を挿
入する際に、舌片が足と伴に運動靴の先端に押し込まれ
易く、違和感が生じ易い。また、舌片を足の左右方向に
拘束しておらず、そのため、装着後に舌片が左右方向に
もずれ易い。

【０００３】そこで、実開平２−９８７０６号公報に開
示された運動靴が提案されている。これを図９に示す。
図９において、足を挿入する開口部１００の前方には、
甲被１０１の外側部１０２から内側部１０３に向って突
出する第１舌片１０４と、甲被１０１の内側部１０３か
ら外側部１０２に向って突出する第２舌片１０５とが設
けられている。前記第１舌片１０４は第２舌片１０５の
上方に重なっている。

【０００４】この先行技術では、各舌片１０４，１０５
を甲被１０１の外側部１０２または内側部１０３におい
て縫合していることにより、各舌片１０４、１０５が前
方に押し込まれたり、あるいは、装着後に左右に位置ズ
レするのを防止せんとしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、トライアス
ロンのように運動靴を履き替える競技においては、シュ
ーズの着脱時間が記録に直接係わってくる。これに対
し、前記先行技術では、紐締め方式であるから、運動靴
の着脱に時間がかかる。

【０００６】そこで、図１０のように、上側の舌片１０
４にベルト１０７を設けて、ベルト締めにして、着脱時
間を短縮することも考えられるが、このようにすると、
下側の舌片１０５を左右方向に引っ張ることができず、
そのため、十分な締結力が得られない。しかも、ベルト
１０７によって一方の舌片１０４のみを、一方向に引っ
張るので、締結力が不均等になり易い。このように、十
分な締結力が得られず、また、締結力が不均等になる
と、快適なフィット感が得られない。

【０００７】本発明は前記従来の問題に鑑みてなされた
もので、その目的は、舌片が前方に押し込まれたり、あ
るいは、装着後に位置ずれするのを防止し得ると共に、
装着時間が短く、かつ、快適なフィット感の得られる運
動靴を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第１発明は、第１舌片および第２舌片が、それぞ
れ、前後方向の異なる箇所において甲被の上側または下
側の少なくとも一方に重なる舌片部を備えている。

【０００９】一方、第２発明は、両舌片が、それぞれ、
前後方向の中間において括れた括れ部を有すると共に、
第１舌片が括れ部の前後において内側部に向って突出す
る前舌片部および後舌片部を有し、一方、第２舌片が括
れ部の前後において外側部に向って突出する前舌片部お
よび後舌片部を有し、装着状態において、第１舌片と第
２舌片とが括れ部で上下に交差して、括れ部の前後で第
１舌片と第２舌片との上下の重なりが逆になるように設
定されている。

【００１０】また、第３発明は、両舌片が、それぞれ、
前後方向の中間において括れた括れ部を有すると共に、
第１舌片が括れ部の前後において内側部に向って突出す
る前舌片部および後舌片部を有し、一方、第２舌片が括
れ部の前後において外側部に向って突出する前舌片部お
よび後舌片部を有し、括れ部の前方において一方の舌片
の前舌片部が他方の舌片の前舌片部の上側に重なり、括
れ部の後方において他方の舌片の後舌片部が一方の舌片
の後舌片部の上側に重なって足に装着される。なお、第
２、第３発明における「前後方向の中間」とは、「前後
方向の真中」という意味ではなく、「前後方向の両端を
除いた部分」という意味である。

【００１１】これらの発明によれば、両舌片は、それぞ
れ、上側に重なる舌片部を有しているので、左右の舌片
の上側の舌片部を同時に引っ張って締め付けることによ
り、両舌片を均等でかつ大きな力で引っ張ることができ
るから、舌片を含む甲被が足にフィットするので、快適
なフィット感が得られる。また、両舌片を同時に閉じる
ことができ、したがって、装着時間が短くなる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
したがって説明する。図１〜図５は第１実施形態を示
す。図１において、この運動靴は左足用のもので、運動
靴の後部には開口部４０が設けられている。この開口部
４０は、運動靴を足に装着した装着状態において足が上
方に出る部分である。開口部４０の前方Ｆには、甲被３
に一体的に連設された第１舌片１および第２舌片２が設
けられている。第１舌片１は、甲被３の外側部３０から
内側部３１に向って突出している。一方、第２舌片２
は、甲被３の内側部３１から外側部３０に向って突出し
ている。

【００１３】図２に示すように、両舌片１，２は、それ
ぞれ、前後方向の中間において括れた括れ部１０，２０
を有している。第１舌片１は、括れ部１０の前後におい
て内側部３１に向って突出する第１前舌片部（第１舌片
部）１１および第１後舌片部１２を有している。一方、
第２舌片２は括れ部２０の前後において外側部３０に向
って突出する第２前舌片部２１および第２後舌片部（第
２舌片部）２２を有している。

【００１４】図１に明示するように、括れ部１０，２０
の前方Ｆにおいては、第１前舌片部１１が第２前舌片部
２１の上側に重なっており、一方、括れ部１０，２０の
後方Ｂにおいては、第２後舌片部２２が第１後舌片部１
２の上側に重なっている。すなわち、図１の装着状態に
おいては、第１舌片１と第２舌片２とが括れ部１０，２
０で上下に交差して、括れ部１０，２０の前後で、第１
舌片１と第２舌片２との上下の重なりが逆になるように
設定されている。

【００１５】前記第１前舌片部１１は、甲被３の外側部
３０からのみ甲被３に一体的に連設されており、一方、
第２前舌片部２１は、甲被３の内側部３１からのみ甲被
３に一体的に連設されている。すなわち、両前舌片部１
１，２１の前方Ｆには、切欠部３２が形成されており、
各前舌片部１１，１２の前縁１１ａ，２１ａが切欠部３
２に臨んでいる。したがって、図２のように、各舌片
１，２を開くと、各後舌片部１２，２２だけでなく、各
前舌片部１１，２１も、大きく左右に開くので、足の挿
入を極めて迅速に行うことができる。さらに、図３のよ
うに、両舌片１，２を完全に開けば、図４および図５の
開口部４０の後端から前方Ｆの切欠部３２までの範囲Ａ
が開口するので、運動靴の全長の約３／４が開くから、
足の挿入が容易になる。

【００１６】図１の上側の第１前舌片部１１および第２
後舌片部２２には、それぞれ、前ベルト（ベルト部）５
Ｆおよび後ベルト（ベルト部）５Ｂが固着されている。
これらの各ベルト５Ｆ，５Ｂの先端部には、図２の第１
および第２面ファスナ５１，５２が設けられている。甲
被３の外側部３０には、前記第１面ファスナ５１に係合
する第３面ファスナ５３が設けられている。一方、甲被
３の内側部３１には、前記第２面ファスナ５２に係合す
る第４面ファスナ５４が設けられている。また、甲被３
には、前ベルト５Ｆを通して折り返すためのＤ型の第１
リング６１と、後ベルト５Ｂを通して折り返すためのＤ
型の第２リング６２が取り付けられている。

【００１７】したがって、前ベルト５Ｆは第１リング６
１を通して折り返され、図１のように第１面ファスナ５
１が第３面ファスナ５３に係合して、運動靴内の足の前
足部を締め付ける。つまり、第１舌片１は、第１前舌片
部１１が前ベルト５Ｆを介して甲被３の外側部３０に係
合する。また、後ベルト５Ｂは、第２リング６２を通し
て折り返されて第２面ファスナ５２が第４面ファスナ５
４に係合して、運動靴内の足の中足部を締め付ける。つ
まり、第２舌片２は、第２後舌片部２２が後ベルト５Ｂ
を介して甲被３の内側部３１に係合する。

【００１８】このように、２つの舌片１，２は、舌片部
１１，１２，２１，２２が側部３０，３１に向って突出
しているので、各舌片１，２が装着時に前方に押し込ま
れたり、あるいは、位置ズレしたりするおそれがない。
さらに、上側の舌片部１１，２２を介して、一対の舌片
を大きな力で、かつ、均等に左右に締め付けることがで
きるから、締結力が偏らず、しかも、大きな力で包み込
むようにして足を均等に締め付けることができる。

【００１９】また、２つの舌片１，２は、それぞれ、一
方の舌片部１１，２２が他方の舌片部１２，２１の上側
に重なっているので、各舌片１，２の上側の舌片部１
１，２２に固着されたベルト５Ｆ，５Ｂを同時に引っ張
って各舌片１，２を同時に閉じることができる。しか
も、図２のように、各ベルト５Ｆ，５Ｂを係合させる第
３および第４面ファスナ５３，５４が、甲被３の一方の
側部３０，３１に設けられているのではなく、外側部３
０と内側部３１とに分かれて設けられているので、前ベ
ルト５Ｆを左手で引っ張って操作し、一方、後ベルト５
Ｂを右手で引っ張って操作することができる。したがっ
て、ベルト５Ｆ，５Ｂによる締結けを両手を使って同時
に行うことができるから、運動靴を迅速に装着すること
ができる。

【００２０】また、括れ部１０，２０および切欠部３２
を有しているので、足の運動に応じて甲被３の余分な力
が逃げ易いから、運動靴が甲にフィットし易い。

【００２１】ところで、前記第１実施形態では、リング
６１，６２を設けて、前ベルト５Ｆ，後ベルト５Ｂを折
り返したが、本発明では、図６に示すように、リングを
設けなくてもよい。

【００２２】また、前記各実施形態では、上側の舌片部
１１，２２にベルト５Ｆ，５Ｂを固着したが、本発明で
は、必ずしもそうする必要はない。たとえは、図７のよ
うに、上側の舌片部１１，２２自体でベルト部を構成し
て、上側の舌片部１１，２２の裏面に、それぞれ、第１
および第２面ファスナ５１，５２を設け、一方、甲被３
の表面に第３および第４面ファスナ５３，５４を設けて
もよい。

【００２３】また、前記各実施形態では、図１の第１舌
片１の第１前舌片部１１および第２舌片２の第２後舌片
部２２を上側にしたが、逆に、第１舌片１の第１後舌片
部１２および第２舌片２の第２前舌片部２１が上側にな
るように設定してもよい。なお、この場合、図２の第３
面ファスナ５３を内側部３１に設け、一方、第４面ファ
スナ５４を外側部３０に設ける。

【００２４】また、前記各実施形態では、各舌片１およ
び２がそれぞれ一対の舌片部１１，１２および２１，２
２を有していたが、本発明では、図８のように、第１舌
片１に前舌片部１１のみを設け、一方、第２舌片２に後
舌片部２２のみを設けてもよい。また、図８において前
舌片部１１は甲被３の上面に重なり、一方、後舌片部２
２は甲被３の上面に重なっているが、前舌片部１１を甲
被３の下側（下面）に重ね、一方、後舌片部２２を甲被
３の上側（上面）に重ねてもよい。

【００２５】ところで、本発明において、「甲被３」と
は、第１舌片１および第２舌片２を含む概念であり、し
たがって、請求項１の発明の範囲には、請求項２および
３の発明が含まれる。

【００２６】また、前記各実施形態では、２つの上側の
舌片部１１と２２とを同様な方法で止めたが、本発明で
は、２つの上側の舌片部１１，２２を互いに異なる方法
で止めてもよい。たとえば、第１前舌片部１１を図７の
ように止め、一方、第２後舌片部２２を図６のように止
めてもよい。

【００２７】また、前記各実施形態では、図１の各ベル
ト５Ｆ，５Ｂと甲被３とを係合させる方法として、面フ
ァスナを用いたが、本発明では、面ファスナに代えて、
樹脂の弾性を利用した係合要素などを用いてもよい。

【００２８】また、前記各実施形態では、各舌片１，２
が甲被３から一体的に連設されているが、本発明では、
各舌片１，２を甲被３に縫合して固着してもよい。ま
た、各舌片１，２を甲被３の内張材に連設して設けても
よい。さらに、本発明は、トライアスロン用などのスポ
ーツ用のシューズの他に日常的な運動靴として用いるこ
とができる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
各舌片が甲被の一方の側部から他方の側部に向って突出
しているので、各舌片が前方に押し込まれたり、あるい
は、装着後に左右に位置ズレするのを防止し得る。特
に、本発明は、単に一対の舌片が内外の側部に向って突
出しているのみならず、各舌片の舌片部が甲被の上側
（または下側）に重なるので、この上側に重なった左右
の舌片部を突出方向（左右方向）に引っ張ることによっ
て、２つの舌片を左右方向に大きな力で締め上げること
ができる。したがって、締付力が偏らず、また、大きな
力で包み込むようにして足を均等に締め付けることがで
きる。その結果、快適なフィット感が得られる。しか
も、各舌片は、各々、上側に重なる舌片部を有している
ので、各舌片の上側の舌片部を同時に引っ張って、両舌
片を同時に閉じることができ、したがって、装着時間が
短くなる。

【００３０】特に、請求項４の発明のように、上側に重
なった舌片部をベルト部を介して甲被に係合させれば、
紐締めと異なり、舌片を左右に大きく開くことができる
と共に、ベルト締めであるため、より一層迅速に装着す
ることができる。

【００３１】さらに、請求項５の発明によれば、各前舌
片部が内側部または外側部からのみ甲被に連設されてお
り、舌片部の前縁が甲被に連設されていないから、各舌
片部が左右に大きく開く。したがって、両舌片を開いた
際には、大きな開口ができるので、足の挿入が容易にな
ると共に、着脱時間も短縮し得る。

【００３２】また、請求項６の発明によれば、ベルト部
の一方が甲被の内側に係合し、他方が甲被の外側部に係
合しているので、両方のベルトを左右の手で同時に引っ
張って操作することができる。したがって、ベルトの締
付けを両手を使って同時に行うことができるから、運動
靴を迅速に着脱することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態の運動靴を装着状態で示
す前方から見た概略斜視図である。

【図２】装着前後の状態で示す前方から見た斜視図であ
る。

【図３】舌片を完全に開いた状態で示す斜視図である。

【図４】外側方から見た側面斜視図である。

【図５】内側方から見た側面斜視図である。

【図６】第２実施形態を装着状態で示す前方から見た概
略斜視図である。

【図７】第３実施形態を装着状態で示す前方から見た概
略斜視図である。

【図８】第４実施形態を装着状態で示す前方から見た概
略斜視図である。

【図９】従来の運動靴の平面図である。

【図１０】本発明に含まれない運動靴の斜視図である。

【符号の説明】

１：第１舌片 １０：括れ部 １１：第１前舌片部 １２：第１後舌片部 ２：第２舌片 ２０：括れ部 ２１：第２前舌片部 ２２：第２後舌片部 ３：甲被 ３０：外側部 ３１：内側部 ４０：開口部 ５Ｆ，５Ｂ：ベルト

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 運動靴を足に装着した装着状態において
   足が上方に出る開口部と、この開口部の前方において、
   甲被の外側部から内側部に向って突出する第１舌片と、
   前記甲被の内側部から外側部に向って突出する第２舌片
   とを備えた運動靴であって、 前記第１舌片および第２舌片が、それぞれ、前後方向の
   異なる箇所において前記甲被の上側または下側の少なく
   とも一方に重なる舌片部を備えている運動靴。
2. 【請求項２】 運動靴を足に装着した装着状態において
   足が上方に出る開口部と、この開口部の前方において、
   甲被の外側部から内側部に向って突出する第１舌片と、
   前記甲被の内側部から外側部に向って突出し、前記第１
   舌片と上下に重なる第２舌片とを備えた運動靴であっ
   て、 前記両舌片が、それぞれ、前後方向の中間において括れ
   た括れ部を有すると共に、前記第１舌片が前記括れ部の
   前後において内側部に向って突出する前舌片部および後
   舌片部を有し、一方、前記第２舌片が前記括れ部の前後
   において外側部に向って突出する前舌片部および後舌片
   部を有し、 前記装着状態において、前記第１舌片と第２舌片とが前
   記括れ部で上下に交差して、前記括れ部の前後で第１舌
   片と第２舌片との上下の重なりが逆になるように設定さ
   れている運動靴。
3. 【請求項３】 運動靴を足に装着した装着状態において
   足が上方に出る開口部と、この開口部の前方において、
   甲被の外側部から内側部に向って突出する第１舌片と、
   前記甲被の内側部から外側部に向って突出する第２舌片
   とを備えた運動靴であって、 前記両舌片が、それぞれ、前後方向の中間において括れ
   た括れ部を有すると共に、前記第１舌片が前記括れ部の
   前後において内側部に向って突出する前舌片部および後
   舌片部を有し、一方、前記第２舌片が前記括れ部の前後
   において外側部に向って突出する前舌片部および後舌片
   部を有し、 前記括れ部の前方において一方の舌片の前舌片部が他方
   の舌片の前舌片部の上側に重なり、前記括れ部の後方に
   おいて前記他方の舌片の後舌片部が前記一方の舌片の後
   舌片部の上側に重なって足に装着される運動靴。
4. 【請求項４】 請求項１，２もしくは３において、 前記第１舌片および第２舌片は、それぞれ、上側に重な
   った舌片部がベルト部を介して甲被に係合する運動靴。
5. 【請求項５】 請求項１，２，３もしくは４において、 前記各舌片部が内側部または外側部からのみ甲被に連設
   されている運動靴。
6. 【請求項６】 請求項４において、前記ベルト部の一方
   が甲被の内側部に係合し、他方が甲被の外側部に係合し
   ている運動靴。