JPH09281878A - ホログラム感光剤,ホログラム感光材料,並びにホログラム及びその製造方法 - Google Patents

ホログラム感光剤,ホログラム感光材料,並びにホログラム及びその製造方法

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JPH09281878A
JPH09281878A JP11575296A JP11575296A JPH09281878A JP H09281878 A JPH09281878 A JP H09281878A JP 11575296 A JP11575296 A JP 11575296A JP 11575296 A JP11575296 A JP 11575296A JP H09281878 A JPH09281878 A JP H09281878A
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Japan
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hologram
triphenylmethane
dye
triphenylmethane dye
leuco
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JP11575296A
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English (en)
Inventor
Kazumasa Kurokawa
和雅 黒川
Hiroyuki Tarumi
浩幸 樽見
Yoshiharu Iinuma
芳春 飯沼
Isao Nakanishi
功 中西
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Yamada Chemical Co Ltd
Denso Corp
Original Assignee
Yamada Chemical Co Ltd
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長波長レーザ光に対して,優れた感度と高い
回折効率を発揮することができるホログラム感光剤,ホ
ログラム感光材料,並びにホログラム及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 ホログラム感光剤は,六価クロム化合物
とトリフェニルメタン系色素とトリフェニルメタン系色
素のロイコ体と水溶性高分子とからなる。トリフェニル
メタン系色素と上記ロイコ体とは,同一の側鎖を有する
ことが好ましい。トリフェニルメタン系色素に対するロ
イコ体の重量比は0.1〜20であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,ホログラム感光材料やフィルタ
ー等に用いられるホログラム感光材料に関するものであ
り,特に,長波長レーザ光に対して,優れた感度を発揮
することができるホログラム感光剤,ホログラム感光材
料,並びにホログラム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】ホログラムは,ホログラム感光剤からなる
感光層に,レーザ光等の可干渉性の光を照射することに
より,干渉縞を記録したものである。ホログラム感光剤
としては,重クロム酸ゼラチン等を用いたものがある。
【0003】ところで,光学素子などの用途に用いるホ
ログラムにおいては,赤色のホログラムを作製したいと
いう要望がある。そして,赤色等の長波長領域のホログ
ラムを作製する際には,半導体レーザ(約780nm)
やHe−Neレーザ(約633nm)等の長波長レーザ
光を用いる。
【0004】
【解決しようとする課題】しかし,上記従来のホログラ
ム感光材料は,紫外線領域から560nm程度の比較的
短い波長のレーザ光に対しては感度があるが,上記長波
長のレーザ光に対する感度は極めて低い。そのため,赤
色などの長波長領域におけるホログラムの記録が不鮮明
になり,良好なホログラムを得ることが困難である。
【0005】この問題を解決すべく,従来より種々の提
案がされている。その一例として,特公昭54−357
68号公報には,重クロム酸アンモニウムとチアジン系
色素のメチレンブルー増感剤をアンモニア水に溶解した
感光液中にゼラチン膜を浸漬し,次いで,これをアンモ
ニア雰囲気下で乾燥して,感光層を作製する方法が記載
されている。しかし,このものは,アンモニア雰囲気下
で乾燥しなければならず,工程が複雑である。また,色
素が析出しやすいという問題がある。更に,長波長の半
導体レーザ等に対しては,依然として感度が不十分であ
る。
【0006】また,他の例として,Graube,Op
t.Commun.,8,251(1973)には,増
感色素としてのAcid Fast Violet B
Gと重クロム酸アンモニウムとを含むホログラム感光剤
について記載されている。しかし,ホログラム感光剤中
のAcid Fast Violet BGと重クロム
酸アンモニウムとの溶解度積は1×10-4(mol/リ
ットル)2 と極めて小さい。
【0007】そのため,これらはゼラチン溶液中に溶解
しにくい。それ故,長波長領域に対して優れた感度を有
するホログラム感光剤が得られない。また,かかるホロ
グラム感光剤を用いてホログラムを作製した場合,良質
な回折効率を有するホログラムが得られない。
【0008】また,特開平7─110648号公報に
は,六価クロム化合物とトリフェニルメタン系色素とバ
インダーとからなり,かつ長波長レーザ光の光吸収率が
7%以上であることを特徴とするホログラム感光材料が
開示されている。しかし,このホログラム感光材料によ
っても,未だ十分な感度,性能が得られない。
【0009】そこで,本発明はかかる従来の問題点に鑑
み,長波長レーザ光に対して,優れた感度と高い回折効
率を発揮することができるホログラム感光剤,ホログラ
ム感光材料,並びにホログラム及びその製造方法を提供
しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,六価クロ
ム化合物と,トリフェニルメタン系色素と,トリフェニ
ルメタン系色素のロイコ体と,水溶性高分子とを有する
ことを特徴とするホログラム感光剤である。
【0011】上記ホログラム感光剤において最も注目す
べきことは,トリフェニルメタン系色素とトリフェニル
メタン系色素のロイコ体とを用いていることである。
【0012】次に,トリフェニルメタン系色素の基本骨
格構造を図1に示す。トリフェニルメタン系色素は,一
般に,水溶性を有する色素である。
【0013】また,上記トリフェニルメタン系色素とし
ては,図3に示すトリフェニルメタン系色素のカルビノ
ール体に酸性処理を施したものを用いることができる。
上記カルビノール体を単に水に溶解した水溶液は無色透
明であるが,該水溶液に酸を加え酸性水溶液,例えばp
H2〜4の水溶液とすることにより,上記カルビノール
体がトリフェニルメタン系色素に変化し,水溶液が青
色,緑色又は紫色に発色する。上記水溶液に加える酸と
しては,例えば,塩酸,しゅう酸,硝酸,又は硫酸等の
鉱酸を用いることができる。
【0014】次に,トリフェニルメタン系色素のロイコ
体は,無色透明であり,その基本骨格構造は図2に示す
とおりである。
【0015】次に,上記六価クロム化合物は,560n
m以短のレーザ光に感ずる六価クロムを有し,水溶性で
ある。六価クロム化合物は,光照射及びトリフェニルメ
タン系色素により還元されて三価クロムとなる。この三
価クロムは,橋かけ硬化反応により,ゼラチン中のカル
ボニル基(>C=O)やアミノ基(─NH2 )と配位結
合し,ゼラチン等の水溶性高分子に固着する。
【0016】次に,上記ホログラム感光剤の作用効果に
ついて説明する。本発明のホログラム感光剤において,
上記トリフェニルメタン系色素は,波長500nm〜8
00nmの長波長レーザ光に対して増感作用を有する。
そのため,長波長レーザ光を吸収することにより,トリ
フェニルメタン系色素は,六価クロム化合物の橋かけ硬
化反応を引き起こす。
【0017】この橋かけ硬化反応は,以下の作用機序に
より起こると推測される。即ち,トリフェニルメタン系
色素が長波長レーザ光を吸収すると,水溶性高分子と反
応して光還元される。このとき,トリフェニルメタン系
色素のロイコ体が生成する。そして,このロイコ体自ら
が酸化されることにより六価クロム化合物が還元され
る。これにより,六価クロム化合物の橋かけ硬化反応が
引き起こされるものと推測される。
【0018】そして,本発明においては,光照射前に,
トリフェニルメタン系色素のロイコ体を添加することに
より,六価クロム化合物の還元が一層促進される。これ
により,六価クロム化合物の橋かけ硬化反応が更に促進
される。
【0019】そのため,上記ホログラム感光剤は,長波
長レーザ光(波長600nm〜720nm程度)に対し
て,優れた感度を有し,50%以上という高い回折効率
を発揮することができる。それ故,上記ホログラム感光
剤に赤色光などの長波長領域の光を照射することによ
り,ホログラムを作製することができる。従って,上記
ホログラム感光剤によれば,ホログラム記録用の半導体
レーザやHe−Neレーザやクリプトンイオンレーザ等
の長波長レーザ光により,高い回折効率を有し,かつ鮮
明で良質のホログラムを作製することができる。
【0020】また,短波長領域のレーザ光に対しては,
六価クロム化合物自身が感光する。そのため,上記ホロ
グラム感光剤は,長波長領域から短波長領域までの広域
波長光に対して優れた感度を有する。以上のごとく本発
明によれば,長波長レーザ光に対して,優れた感度と高
い回折効率とを発揮することができるホログラム感光剤
を提供することができる。
【0021】次に,上記トリフェニルメタン系色素のロ
イコ体としては,例えば,請求項2に記載のように,上
記トリフェニルメタン系色素自体が還元されることによ
り得られるトリフェニルメタン系色素の還元体を用い
る。トリフェニルメタン系色素に併用するロイコ体は,
このように該トリフェニルメタン系色素自体の還元体
(言い換えればトリフェニルメタン系色素とロイコ体と
が同一骨格を有する場合)であっても,該トリフェニル
メタン系色素とは異なるトリフェニルメタン系色素の還
元体(言い換えればトリフェニルメタン系色素とロイコ
体とが異なる骨格を有する場合)であってもよい。
【0022】次に,請求項3に記載のように,上記トリ
フェニルメタン系色素に対する上記ロイコ体の重量比
は,0.1〜20であることが好ましい。これにより,
上記ロイコ体がトリフェニルメタン系色素の反応を最も
効果的に促進させる。そのため,優れた回折効率を有す
るホログラムを得ることができる。一方,両者の重量比
が0.1未満の場合,又は20を越える場合には,トリ
フェニルメタン系色素の反応を促進させることができな
いおそれがある。
【0023】更に,上記トリフェニルメタン系色素に対
する上記ロイコ体の重量比は,1〜10であることが好
ましい。これにより,最も高い回折効率のホログラムを
得ることができる。
【0024】上記六価クロム化合物としては,例えば,
請求項4に記載のように,重クロム酸アンモニウムを用
いることができる。次に,上記水溶性高分子としては,
例えば,請求項5に記載のゼラチンを用いることができ
る。
【0025】次に,請求項6に記載の発明は,透明部材
の表面を感光層により被覆してなるホログラム感光材料
であって,上記感光層は,請求項1〜5のいずれか一項
のホログラム感光剤を透明部材に塗布し,乾燥させたも
のであることを特徴とするホログラム感光材料である。
【0026】上記のホログラム感光材料は,上記ホログ
ラム感光剤を用いて透明部材の表面に感光層を形成した
ものである。そのため,長波長領域で高い回折効率を発
揮することができる。
【0027】次に,請求項7に記載の発明は,六価クロ
ム化合物と,トリフェニルメタン系色素と,トリフェニ
ルメタン系色素のロイコ体と,水溶性高分子とからなる
ホログラム感光剤を水に溶解して感光液を調製し,次い
で,該感光液を透明部材に塗布し,乾燥し,水分量を調
節して,上記透明部材の表面を感光層により被覆したホ
ログラム感光材料を作製し,次いで,該ホログラム感光
材料にレーザ光を照射して上記感光層の所望部分を露光
し,次いで,上記ホログラム感光材料を洗浄して,上記
感光層内から六価クロム化合物とトリフェニルメタン系
色素とトリフェニルメタン系色素のロイコ体とを除去
し,次いで,上記感光層を現像することを特徴とするホ
ログラムの製造方法である。
【0028】上記ホログラムの製造方法は,上記ホログ
ラム感光剤を用いてホログラムを製造する方法である。
このホログラムの製造方法において用いるトリフェニル
メタン系色素,トリフェニルメタン系色素のロイコ体,
六価クロム化合物,及び水溶性高分子としては,上記ホ
ログラム感光剤に用いるものと同様のものを用いること
が好ましい。
【0029】また,請求項8〜請求項11に記載のよう
に,トリフェニルメタン系色素と上記トリフェニルメタ
ン系色素のロイコ体との骨格,両者の濃度,六価クロム
化合物の種類,水溶性高分子の種類は,上記の請求項2
〜5と同様であることが好ましい。また,請求項12に
記載のように,上記のごとく製造されたホログラムがあ
る。このホログラムは,上記ホログラム感光剤を用いて
いるため,高い回折効率を発揮することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかるホログラムについて,図4
〜図10を用いて説明する。本例のホログラムを製造す
るに当たっては,図4に示すごとく,六価クロム化合物
とトリフェニルメタン系色素(図8)とトリフェニルメ
タン系色素のロイコ体(図9)と水溶性高分子とを有す
るホログラム感光剤を調製する(S21,S22)。
【0031】次いで,これを透明部材に塗布し(S2
3),乾燥し(S24),水分量を調節して感光層を形
成する(S25)。次いで,感光層を露光し(S2
6),洗浄し(S27),現像し(S28),その後シ
ールする(S29)。これにより,上記ホログラムが得
られる。以下,これを詳細に説明する。
【0032】まず,S21において,六価クロム化合物
として,重クロム酸アンモニウム(以下,DCAとい
う。)を準備した。この20gのDCAに,イオン交換
水を加えて1000mlとした。これをDCA原液とし
た。
【0033】また,トリフェニルメタン系色素のカルビ
ノール体0.08gを,3mlの2N塩酸に溶解するこ
とにより,酸性処理を施した。上記カルビノール体とし
ては,図7に示すHSD−47カルビノール体(4,
4′−ビス(ジメチルアミノ)−4′′−ヒドロキシ−
トリフェニルカルビノール)を用いた。これにより,ト
リフェニルメタン系色素であるHSD−47(図8)
(p−ヒドロキシマラカイトグリーン)を得た。
【0034】次いで,この中に,トリフェニルメタン系
色素のロイコ体であるHSD−47ロイコ体(図9)
(4,4’−ビス(ジメチルアミノ)─4’’−ヒドロ
キシ─トリフェニルメタン)を0.072g溶解し,イ
オン交換水を加えて,100mlとした。これを,色素
・ロイコ体混合原液とした。
【0035】また,水溶性高分子としてのゼラチン4g
を200ml三角フラスコにとった。これにイオン交換
水を加えて,ゼラチンとイオン交換水との合計重量を1
00gとした。これを40℃のウォータバス内で2時間
振とうし,これをゼラチン水溶液とした。振とう速度
は,125回/分とした。ゼラチンとしては,新田ゼラ
チン工業(株)製p−2406を用いた。
【0036】次に,S22において,上記で作製したゼ
ラチン水溶液1000gに,DCA原液7mlを加え
て,1分間攪拌した。これに,上記で作製した色素・ロ
イコ体混合原液を7ml加え,3分間攪拌した。攪拌
は,長さ20mmの羽攪拌子を用いて行った。羽攪拌子
の回転数は,最大1400rpmとした。次いで,これ
を濾過紙(No.41)を用いて濾過し,その濾液を感
光液とした。
【0037】次に,S23において,透明部材の表面に
上記ホログラム感光剤を塗布し,乾燥した。透明部材と
しては,大きさ100mm×125mmのガラスを用い
た。上記ホログラム感光剤の塗布に当たっては,ホット
プレートとコールドプレートとを用いた。ホットプレー
トは,38℃(温度精度±0.5℃以下,温度分布±1
℃)に調温した。コールドプレートは,5℃(温度精度
±0.5℃以下,温度分布±1℃)に調温した。また,
コールドプレートの表面湿度は,20℃における湿度に
換算して50RH以下になるように調湿した。
【0038】次に,ホットプレートの上に,上記透明部
材を載置した。次いで,ガラス面に感光液を10ml塗
布した。その後,感光液を10秒以下の短時間内に素早
くガラス面の全体に広げ,続いて透明部材をホットプレ
ート上からコールドプレート上へと移動させた。次い
で,S24において,コールドプレートの上にて3分間
放置し,ゼラチンをゲル化して,感光層を形成した。感
光層の厚みは,800μmであった。
【0039】次いで,S25において,上記透明部材
を,20℃50%RHの恒温恒湿槽内に移し,透明部材
を水平に保持しながら18時間乾燥した。次に,感光層
内水分量が43重量%となるように水分調節をした。
【0040】上記感光層内水分量Mをもとめるにあた
り,以下の算出式を用いた。 M=100×(W−Wo)/W
【0041】このとき,Wは感光層と透明部材との合計
重量,Woは120℃の恒温槽内に感光層及び透明部材
を30分間放置した後の感光層の重量である。この恒温
槽(120℃)に30分間放置した後の感光層内の水分
量を,0%とした。感光層内水分量は,恒温恒湿槽内の
湿度に比例するため,これを変化させて調節した。これ
により,透明部材の表面に感光層を被覆してなるホログ
ラム感光材料を得た。
【0042】次に,S26において,図5に示すごと
く,ホログラム感光材料1に,平行参照光711と物体
光721とを照射することにより,感光層の所望部分を
露光した。即ち,まず,ホログラム感光材料1の感光層
面に,インデックスマッチング液(シリコンオイル)を
用いてミラー78を密着させた。
【0043】次いで,クリプトンイオンレーザ発振器7
10から発せられたレーザ光71を,反射レンズ79に
より反射させた。このレーザ光71を,対物レンズ73
およびレンズ74を透過させて平行参照光711とし
た。該平行参照光711をホログラム感光材料1の透明
部材の側に照射した。更に,ホログラム感光材料1を透
過した平行参照光711をミラー78により反射させて
これを物体光721とし,該物体光721をホログラム
感光材料1の感光層の側に照射した。これにより,参照
光711と物体光721とを感光層において干渉させ
た。レーザ光71としては,波長647.1nmのクリ
プトンイオンレーザを用いた。露光量は,200mJ/
cm2 以上であることが好ましい。平行参照光711
は,ホログラム感光材料の法線に対して30°で入射さ
せた。
【0044】次いで,ホログラム感光材料1からミラー
78を剥がした。次いで,ホログラム感光材料をエタノ
ールにより洗浄した。このエタノール洗浄は,ホログラ
ム感光材料を,順に,70容量%エタノール水溶液に1
分間,90容量%エタノール水溶液に1分間,100容
量%エタノール水溶液に1分間,浸漬した。
【0045】次いで,S27において,20℃の水槽に
ホログラム感光材料を5分間浸漬して,感光層からDC
Aを除去した。浸漬中,ホログラム感光材料は十分に振
とうした。更に,20℃の水槽にホログラム感光材料を
15分間浸漬して,感光層からトリフェニルメタン系色
素及びトリフェニルメタン系色素のロイコ体を除去し
た。浸漬中,ホログラム感光材料は十分に振とうした。
次いで,ホログラム感光材料を,Kodak社製ラピッ
ドフィクサーの50%水溶液(温度20℃)に3分間浸
漬し,その後,流水にて10分間水洗した。
【0046】次いで,S28において,感光層を現像し
た。その際の温度は31℃であった。現像手順は,湯浴
に1分間,70重量%IPA(イソプロピルアルコール
を意味する。以下,同様)水溶液に2分間,90重量%
IPA水溶液に1分間,100重量%IPAに3分間,
順に,ホログラム感光材料を浸漬した。
【0047】次いで,S29において,ホログラム感光
材料を80℃で10分間乾燥した。次いで,ホログラム
感光材料を120℃で60分間加熱処理をした。次い
で,ホログラム感光材料を,ガラス板等のカバー材によ
り被覆し,両者は,光学接着剤(ノートランドNOA6
1)によりシールした。以上により,本例のホログラム
を得た。
【0048】また,比較例1として,トリフェニルメタ
ン系色素のロイコ体を添加しないでホログラムを作製し
た。
【0049】次に,これらのホログラムについて,図6
に示す波長選択性測定器6を用いて,再生光波長に対す
るホログラムの回折効率の関係を測定した。ホログラム
10は,光ファイバー65により導いたハロゲンランプ
610の平行光61(再生光)を照射した。ホログラム
10により回折した回折光62を,光ファイバー66に
よりスペクトルメータ67(MCPD−1000,大塚
電子製)に導いた。上記入射光に対する回折光の比を,
ホログラムの回折効率として定義した。上記の測定結果
を図10に示した。
【0050】同図より知られるように,本例のホログラ
ムは,平行光の波長が720〜740nmの領域内にあ
る場合に,約56%以上の高い回折効率が得られた。一
方,比較例1のホログラムは,それよりもかなり低い回
折効率であった。このことから,トリフェニルメタン系
色素とそのロイコ体と六価クロム化合物とを用いてホロ
グラムを作製することにより,回折効率の高いホログラ
ムが得られることがわかる。また,露光前のホログラム
感光材料についての光の透過率及び吸収率を,分光光度
計(日立製,U−4000)により測定した。測定の結
果,波長647.1nmの再生光を照射した場合のホロ
グラムの透過率は,42%であった。このことから,十
分に赤色光を吸収することができ,なおかつホログラム
に図5の光学系で参照光と物体光とを照射した場合,両
者の光の比が適切であることがわかる。
【0051】実施形態例2 本例においては,トリフェニルメタン系色素としてHS
D−35色素(図11)を,トリフェニルメタン系色素
のロイコ体としてHSD−35ロイコ体(図12)を用
いた。HSD−35色素は,Ο−メチルマラカイトグリ
ーンであり,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−
2′′−メチル−トリフェニルカルビノールに酸性処理
を施すことにより得られる。また,HSD−35ロイコ
体は,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−2′′−メ
チル−トリフェニルメタンである。その他は,実施形態
例1と同様である。図13に示すごとく,本例において
も,高い回折効率を有するホログラムを得ることができ
た。
【0052】実施形態例3 本例においては,トリフェニルメタン系色素としてHS
D−39色素(図14)を,トリフェニルメタン系色素
のロイコ体としてHSD−39ロイコ体(図15)を用
いた。HSD−39色素は,p−メトキシマラカイトグ
リーンであり,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−
4′′−メトキシ−トリフェニルカルビノールに酸性処
理を施すことにより得られる。また,HSD−39ロイ
コ体は,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−4′′−
メトキシ−トリフェニルメタンである。その他は,実施
形態例1と同様である。図16に示すごとく,本例にお
いても,実施形態例1と同様に高い回折効率を有するホ
ログラムを得ることができた。
【0053】実施形態例4 本例においては,トリフェニルメタン系色素としてHS
D−45色素(図17)を,トリフェニルメタン系色素
のロイコ体としてHSD−45ロイコ体(図18)を用
いた。HSD−45色素は,Ο−ブロモマラカイトグリ
ーンであり,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−
2′′−ブロモ−トリフェニルカルビノールに酸性処理
を施すことにより得られる。また,HSD−45ロイコ
体は,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−2′′−ブ
ロモ−トリフェニルメタンである。
【0054】その他は,実施形態例1と同様である。図
19に示すごとく,本例においても,実施形態例1と同
様に高い回折効率を有するホログラムを得ることができ
た。本例のホログラムは,ロイコ体無添加の比較例4に
比べて,長波長領域において高い回折効率を示した。
【0055】実施形態例5 本例においては,トリフェニルメタン系色素としてHS
D−46色素(図20)を,トリフェニルメタン系色素
のロイコ体としてHSD−46ロイコ体(図21)を用
いた。HSD−46色素は,p−ブロモマラカイトグリ
ーンであり,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−
4′′−ブロモ−トリフェニルカルビノールに酸性処理
を施すことにより得られる。また,HSD−46ロイコ
体は,4,4′−ビス(ジメチルアミノ)−4′′−ブ
ロモ−トリフェニルメタンである。
【0056】その他は,実施形態例1と同様である。図
22に示すごとく,本例においても,実施形態例1と同
様に高い回折効率を有するホログラムを得ることができ
た。本例のホログラムは,ロイコ体無添加の比較例5に
比べて,長波長領域において高い回折効率を示した。
【0057】また,本発明において,トリフェニルメタ
ン系色素としては,マラカイトグリーン系色素(カラー
インデックス番号(以下,「C.I.」という。)42
000〜42175),ローズアニリン系色素(C.
I.42500〜42800),ローゾル酸系色素
(C.I.43800〜43875),或いはその他の
色素(C.I.43500〜43570,又は4400
0〜44535)等がある。各トリフェニルメタン系色
素が吸収する吸収光の色を表1に示す。
【0058】上記トリフェニルメタン系色素の中におい
て,表2に示したものは特に長波長領域の光吸収率が大
きい。そのため,長波長領域の光を十分に吸収できる。
従って,これらの色素を,ロイコ体及び六価クロム化合
物と共に用いることにより,高い回折効率を有するホロ
グラムを得ることができる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】また,上記ゼラチン水溶液(4wt%ゼラ
チン)におけるクロムの濃度は,六価クロム化合物とし
て重クロム酸アンモニウムを用いた場合,0.1〜10
g/リットル(4×10-4mol/リットル〜4×10
-2mol/リットル)であることが好ましい。0.1g
/リットル未満の場合には,ゼラチン中のカルボキシル
基やアミノ基に配位結合するクロム含量が少なくなり,
不鮮明なホログラムが形成されるおそれがある。10g
/リットルを越える場合には,ホログラム感光材料の暗
反応などが多くなり,使用不能になるおそれがある。
【0062】次に,上記六価クロム化合物としては,上
記重クロム酸アンモニウムのほかに,クロム酸アンモニ
ウム,重クロム酸カリウム,クロム酸カリウム等のクロ
ム酸塩,又は酸化クロム等を用いることもできる。上記
水溶性高分子としては,上記ゼラチンのほかに,ポリビ
ニールアルコール等を用いることもできる。
【0063】上記感光層の厚みは,1μm〜100μm
であることが好ましい。1μm未満の場合には,感光層
に干渉縞を記録することができず,ホログラムの回折効
率が低くなるおそれがある。一方,100μmを越える
場合には,ホログラムのノイズが大きくなるおそれがあ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における,トリフェニルメタン系色素の
基本骨格構造を示す説明図。
【図2】本発明における,トリフェニルメタン系色素の
ロイコ体の基本骨格構造を示す説明図。
【図3】本発明における,トリフェニルメタン系色素の
カルビノール体の基本骨格構造を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,ホログラムの製造方法
を示す説明図。
【図5】実施形態例1における,感光層の露光方法を示
す説明図。
【図6】実施形態例1における,ホログラムの回折効率
の測定方法を示す説明図。
【図7】実施形態例1における,トリフェニルメタン系
色素のカルビノール体(HSD−47カルビノール体)
の説明図。
【図8】実施形態例1における,トリフェニルメタン系
色素(HSD−47色素)の説明図。
【図9】実施形態例1における,トリフェニルメタン系
色素のロイコ体(HSD−47ロイコ体)の説明図。
【図10】実施形態例1における,ホログラムに照射す
る再生光の波長とホログラムの回折効率との関係を示す
説明図。
【図11】実施形態例2における,トリフェニルメタン
系色素(HSD−35色素)の説明図。
【図12】実施形態例2における,トリフェニルメタン
系色素のロイコ体(HSD−35ロイコ体)の説明図。
【図13】実施形態例2における,ホログラムに照射す
る再生光の波長とホログラムの回折効率との関係を示す
説明図。
【図14】実施形態例3における,トリフェニルメタン
系色素(HSD−39色素)の説明図。
【図15】実施形態例3における,トリフェニルメタン
系色素のロイコ体(HSD−39ロイコ体)の説明図。
【図16】実施形態例3における,ホログラムに照射す
る再生光の波長とホログラムの回折効率との関係を示す
説明図。
【図17】実施形態例4における,トリフェニルメタン
系色素(HSD−45色素)の説明図。
【図18】実施形態例4における,トリフェニルメタン
系色素のロイコ体(HSD−45ロイコ体)の説明図。
【図19】実施形態例4における,ホログラムに照射す
る再生光の波長とホログラムの回折効率との関係を示す
説明図。
【図20】実施形態例5における,トリフェニルメタン
系色素(HSD−46色素)の説明図。
【図21】実施形態例5における,トリフェニルメタン
系色素のロイコ体(HSD−46ロイコ体)の説明図。
【図22】実施形態例5における,ホログラムに照射す
る再生光の波長とホログラムの回折効率との関係を示す
説明図。
【符号の説明】
1...ホログラム感光材料, 10...ホログラム,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯沼 芳春 京都市南区上鳥羽上調子町1番地1 山田 化学工業株式会社内 (72)発明者 中西 功 京都市南区上鳥羽上調子町1番地1 山田 化学工業株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六価クロム化合物と,トリフェニルメタ
    ン系色素と,トリフェニルメタン系色素のロイコ体と,
    水溶性高分子とを有することを特徴とするホログラム感
    光剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記トリフェニルメ
    タン系色素のロイコ体は,上記トリフェニルメタン系色
    素自体が還元されることにより得られるトリフェニルメ
    タン系色素の還元体であることを特徴とするホログラム
    感光剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記トリフェ
    ニルメタン系色素に対する上記ロイコ体の重量比は,
    0.1〜20であることを特徴とするホログラム感光
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記六価クロム化合物は,重クロム酸アンモニウムであ
    ることを特徴とするホログラム感光剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項において,
    上記水溶性高分子は,ゼラチンであることを特徴とする
    ホログラム感光剤。
  6. 【請求項6】 透明部材の表面を感光層により被覆して
    なるホログラム感光材料であって,上記感光層は,請求
    項1〜5のいずれか一項のホログラム感光剤を透明部材
    に塗布し,乾燥させたものであることを特徴とするホロ
    グラム感光材料。
  7. 【請求項7】 六価クロム化合物と,トリフェニルメタ
    ン系色素と,トリフェニルメタン系色素のロイコ体と,
    水溶性高分子とからなるホログラム感光剤を水に溶解し
    て感光液を調製し,次いで,該感光液を透明部材に塗布
    し,乾燥し,水分量を調節して,上記透明部材の表面を
    感光層により被覆したホログラム感光材料を作製し,次
    いで,該ホログラム感光材料にレーザ光を照射して上記
    感光層の所望部分を露光し,次いで,上記ホログラム感
    光材料を洗浄して,上記感光層内から六価クロム化合物
    とトリフェニルメタン系色素とトリフェニルメタン系色
    素のロイコ体とを除去し,次いで,上記感光層を現像す
    ることを特徴とするホログラムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記トリフェニルメ
    タン系色素と,上記トリフェニルメタン系色素のロイコ
    体とは,同一の骨格を有することを特徴とするホログラ
    ムの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8において,上記トリフェ
    ニルメタン系色素に対する上記ロイコ体の重量比は,
    0.1〜20であることを特徴とするホログラムの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のいずれか一項におい
    て,上記六価クロム化合物は,重クロム酸アンモニウム
    であることを特徴とするホログラムの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10のいずれか一項におい
    て,上記水溶性高分子は,ゼラチンであることを特徴と
    するホログラムの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項7〜11のいずれか一項により
    製造されてなることを特徴とするホログラム。
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