JPH09280689A - 地下水を熱源とするヒートポンプ設備 - Google Patents

地下水を熱源とするヒートポンプ設備

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JPH09280689A
JPH09280689A JP8864996A JP8864996A JPH09280689A JP H09280689 A JPH09280689 A JP H09280689A JP 8864996 A JP8864996 A JP 8864996A JP 8864996 A JP8864996 A JP 8864996A JP H09280689 A JPH09280689 A JP H09280689A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下水を利用するヒートポンプ設備において
井戸の設置スペースと施工コストの削減を図る。 【解決手段】 不透水性土層1の上下に上部帯水層2お
よび下部帯水層3が存在している地盤に下部帯水層に達
する井戸20を設け、その内部を不透水性土層の位置で
パッカー24により上下に仕切り、上部帯水層および下
部帯水層に通じる上部スクリーン22および下部スクリ
ーン23を設ける。パッカーの近傍にヒートポンプ装置
25を配置する。パッカーの上下に季節により選択的に
運転されてヒートポンプ装置に地下水を供給する上部ポ
ンプ26および下部ポンプ27、もしくは地下水の供給
経路を切替え可能な単独のポンプを設置する。ヒートポ
ンプ装置は第1水熱交換器28および第2水熱交換器2
9を有する。地表部には第2水熱交換器に対して熱媒体
を循環供給するポンプ30を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下水を熱源として
利用するヒートポンプ設備に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地下水が保有している熱エネルギ
を有効利用するべく、地下水をヒートポンプの熱源とし
て利用しようとする機運があり、図3に示すような設備
が検討されている。これは、不透水性土層1を挟んでそ
の上下に上部帯水層2および下部帯水層3が存在してい
る地盤に対し、上部帯水層2に達する井戸4と、不透水
性土層1を貫通して下部帯水層3に達する井戸5とを設
け、季節によりそれら井戸4,5のいずれか一方より地
下水を揚水して熱源として利用した後、他方の井戸を通
して環水(リチャージ)するようにしたものである。符
号6は井戸4,5の壁面を形成しているケーシング、7
は各帯水層2,3の位置に対応してケーシング6に設け
られているスクリーン、8a,8bは井戸4,5内に設
置された揚水ポンプである。
【0003】また、符号9は地表部に設置されたヒート
ポンプ装置であって、これは、通常のヒートポンプ装置
の場合と同様に圧縮器や膨張弁等を含む冷媒循環系統
(図示せず)を備えるとともに、いずれも蒸発器あるい
は凝縮器として選択的に機能しかつ一方が蒸発器として
機能するときに他方は凝縮器として機能する第1水熱交
換器10および第2水熱交換器11を有するものであ
る。そして、このヒートポンプ装置9における第1水熱
交換器10に対して上記の2台のポンプ8a,8bのい
ずれかにより地下水が供給されるとともに、第2水熱交
換器11に対してはポンプ(一次ポンプ)12により熱
媒体としての水が循環供給されて冷水(夏季)あるいは
温水(冬季)が得られ、得られた冷水あるいは温水はタ
ンク13に貯留され、二次ポンプ14により利用設備た
とえば冷暖房装置や給湯設備へ供給されるようになって
いる。
【0004】図3(a)は夏季に冷水を得る場合の系統
を示すものである。この場合は、下部帯水層3の地下水
をポンプ8bにより井戸5から揚水してヒートポンプ装
置9へ供給し、凝縮器として機能する第1水熱交換器1
0を通って水温の上昇した地下水を井戸4を通して上部
帯水層2に環水させる(この際、井戸4内のポンプ8a
は休止している)。蒸発器として機能する第2水熱交換
器11にはポンプ12により熱媒体としての水が循環供
給されて冷水が得られ、得られた冷水はタンク13から
二次ポンプ14により冷房装置等へ供給されて利用され
る。
【0005】図3(b)は冬季に温水を得る場合の系統
を示すものである。この場合は、上部帯水層2の地下水
をポンプ8aにより井戸4から揚水してヒートポンプ装
置9へ供給し、蒸発器として機能する第1水熱交換器1
0を通って水温の低下した地下水を井戸5を通して下部
帯水層3に環水させる(この際、井戸5内のポンプ8b
は休止している)。凝縮器として機能する第2水熱交換
器11にはポンプ12により熱媒体としての水が循環供
給されて温水が得られ、得られた温水はタンク13から
二次ポンプ14により暖房装置や給湯装置等へ供給され
て利用される。
【0006】上記の設備によれば、低位なエネルギでは
あるものの地下水が保有している無尽蔵ともいえるクリ
ーンな熱エネルギを有効に利用することができることは
もとより、利用後の地下水を環水するので地下水位の低
下やそれに起因する地盤沈下が生じることはないし、揚
水した帯水層とは別の帯水層へ環水するので地下水温が
過度に上昇あるいは低下してしまうこともない。
【0007】そして、この設備においては、各帯水層
2,3が長期間にわたって蓄熱効果を発揮し得る大容量
の蓄熱槽として機能することが期待でき、それにより年
間を通じて優れた熱効率が得られるものである。つま
り、上部帯水層2は夏季に水温の上昇した地下水が環水
されることで温かい地下水を貯留する温水槽として機能
し、そこに貯留された温かい地下水が冬季に揚水されて
利用されることで冬季における熱効率が高められるもの
である。同様に、下部帯水層3は冬季に水温の低下した
地下水が環水されることで冷たい地下水を貯留する冷水
槽として機能し、そこに貯留された冷たい地下水が夏季
に揚水されて利用されることで夏季における熱効率が高
められるのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の設備
にあっては、各帯水層2,3に対する2本の井戸4,5
を個別に設ける必要があることから、2本の井戸4,5
を設置し得るだけのスペースが必要であることはもとよ
り、特に井戸4,5の施工に多額の費用を要するもので
あり、したがって地下水の熱エネルギを有効に利用し得
るといえども設備全体を償却するまでには長期間を要
し、これが普及促進を阻む一因となっていた。
【0009】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、地下水を熱源として利用するヒートポンプ設備を設
置するに当たり、特に井戸の設置スペースと施工コスト
の削減を図り得る有効な手段を提供することを目的とし
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
地下水を熱源として利用するヒートポンプ設備であっ
て、不透水性土層を挟んでその上下に上部帯水層および
下部帯水層が存在している地盤に前記不透水性土層を貫
通して下部帯水層に達する井戸を設け、該井戸の内部を
前記不透水性土層の位置でパッカーにより上下に仕切る
とともに、該パッカーの上下に前記上部帯水層および前
記下部帯水層に通じて地下水を取水しかつ環水させ得る
上部スクリーンおよび下部スクリーンをそれぞれ設け、
前記井戸内における前記パッカーの近傍の位置にはヒー
トポンプ装置を配置するとともに、前記パッカーの上下
にはいずれか一方が選択的に運転される上部ポンプおよ
び下部ポンプをそれぞれ設置し、前記ヒートポンプ装置
は、いずれも蒸発器および凝縮器として選択的に機能す
るとともに、一方が蒸発器として機能するときに他方が
凝縮器として機能する第1水熱交換器および第2水熱交
換器を有し、前記上部ポンプは前記上部スクリーンより
取水した上部帯水層の地下水を前記ヒートポンプ装置の
第1水熱交換器に供給するとともに下部スクリーンを通
して下部帯水層に環水せしめるものとする一方、前記下
部ポンプは前記下部スクリーンより取水した下部帯水層
の地下水を前記ヒートポンプ装置の第1水熱交換器に供
給するとともに上部スクリーンを通して上部帯水層に環
水せしめるものとし、かつ、地表部には前記ヒートポン
プ装置の第2水熱交換器に対して熱媒体を循環供給する
ポンプを設けてなることを特徴とするものである。
【0011】請求項2に係る発明は、前記井戸内に、前
記上部ポンプおよび前記下部ポンプに代えて単独のポン
プを設け、該ポンプは、前記上部帯水層と下部帯水層の
いずれか一方から選択的に地下水を取水するとともにそ
の地下水を前記ヒートポンプ装置の前記第1水熱交換器
を通過させて他方の帯水層に環水せしめる構成としたこ
とを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態を示す
ものである。本実施形態の設備は単一の井戸により上記
従来のものと同様の運転を行い得るようにされたもので
ある。すなわち、本実施形態の設備は、不透水性土層1
を挟んでその上下に上部帯水層2、下部帯水層3が存在
する地盤に、不透水性土層1を貫通して下部帯水層3に
達する単一の井戸20を設け、その井戸20の壁面を形
成しているケーシング21の上下に上部スクリーン2
2、下部スクリーン23をそれぞれ設けて、上部スクリ
ーン22を通して上部帯水層2の地下水が取水かつ環水
でき、下部スクリーン23を通して下部帯水層3の地下
水が取水かつ環水できるようにされている。
【0013】また、井戸20の内部を不透水性土層1の
位置でパッカー24により上下に仕切り、各帯水層2,
3の地下水がこの井戸20を通して相互に流通してしま
うことが防止されるようになっている。パッカー24と
しては適宜の形式のものがあるが、たとえば空気が注入
されることで膨張してケーシング21内面に密着するも
のが採用可能である。
【0014】そして、パッカー24のやや上部の位置に
はヒートポンプ装置25が設置されているとともに、パ
ッカー24の上下には季節によりいずれか一方が選択的
に使用される上部ポンプ26および下部ポンプ27がそ
れぞれ設置されている。
【0015】ヒートポンプ装置25は、通常のヒートポ
ンプ装置の場合と同様に圧縮器や膨張弁等を含む冷媒循
環系統(図示せず)を備えるとともに、いずれも蒸発器
あるいは凝縮器として選択的に機能しかつ一方が蒸発器
として機能するときに他方は凝縮器として機能する第1
水熱交換器28および第2水熱交換器29を有するもの
である。
【0016】また、上部ポンプ26は図1(b)に示す
ように、上部スクリーン22より取水した上部帯水層2
の地下水をヒートポンプ装置25の第1水熱交換器28
に供給するとともに、下部スクリーン23を通して下部
帯水層3に環水せしめるものとされている。逆に、下部
ポンプ27は図1(a)に示すように、下部スクリーン
23より取水した下部帯水層3の地下水をヒートポンプ
装置25の第1水熱交換器28に供給するとともに、上
部スクリーン22を通して上部帯水層2に環水せしめる
ものとされている。
【0017】さらに、地表部には、ヒートポンプ装置2
5の第2水熱交換器29に対して熱媒体としての水(夏
季は冷水、冬季は温水)を循環供給するためのポンプ
(一次ポンプ)30が設置され、その冷水あるいは温水
はタンク31に貯留されて二次ポンプ32により利用設
備たとえば冷暖房装置や給湯設備へ供給されるようにな
っている。
【0018】図1(a)は夏季に冷水を得る場合の系統
を示すものである。この場合は、下部スクリーン23を
通して取水した下部帯水層3の地下水を下部ポンプ27
によりヒートポンプ装置25へ供給し、凝縮器として機
能する第1水熱交換器28を通って水温の上昇した地下
水を上部スクリーン22を通して上部帯水層2に環水さ
せる(この際、上部ポンプ26は休止している)。蒸発
器として機能する第2水熱交換器29へはポンプ30に
より熱媒体としての水が循環供給されて冷水が得られ、
得られた冷水はタンク31から二次ポンプ32により冷
房装置等へ供給されて利用される。
【0019】図1(b)は冬季に温水を得る場合の系統
を示すものである。この場合は、上部スクリーン22を
通して取水した上部帯水層2の地下水を上部ポンプ26
によりヒートポンプ装置25へ供給し、蒸発器として機
能する第1水熱交換器28を通って水温の低下した地下
水を下部スクリーン23を通して下部帯水層3に環水さ
せる(この際、下部ポンプ27は休止している)。凝縮
器として機能する第2水熱交換器29へは熱媒体として
の水が循環供給されて温水が得られ、得られた温水はタ
ンク31から二次ポンプ32により暖房装置や給湯装置
等へ供給されて利用される。
【0020】なお、上部および下部スクリーン22,2
3は季節ごとに地下水の流通方向が逆になるので自ずと
目詰まりが生じにくいものであるが、仮に目詰まりが生
じた場合には一時的に他方のポンプに切り替えて運転す
ることのみで、容易にスクリーン22,23を逆洗し得
て目詰まりを解消させることができる。
【0021】以上のように、本実施形態の設備によれ
ば、地下水の保有熱エネルギを有効に利用でき、また、
各帯水層2,3が年間を通じての熱貯留槽として機能す
ることも期待できるものであり、したがって優れた熱効
率が得られるものである。そして、本実施形態の設備
は、そのようなことを取水と環水(リチャージ)を兼用
する単一の井戸20により実現することができるもので
あり、このため、各帯水層2,3ごとに独立した井戸
4,5を別個に設ける必要があった従来一般の場合に比
して井戸20の施工コストを半減させることができるこ
とは言うに及ばず、所要設置スペースを大幅に削減でき
るとともに、配管長も短縮でき、つまりは設備全体を格
段に簡略化でき、コスト削減を充分に図ることができ
る。
【0022】図2は本発明の他の実施形態を示すもので
ある。先に説明した実施形態では、井戸20内に2台の
ポンプすなわち上部ポンプ26と下部ポンプ27とを設
置してそれらを季節ごとに選択的に運転するようにした
のであるが、本実施形態ではそれら2台のポンプ26,
27に代えて単独のポンプ40を井戸20の底部に設置
し、そのポンプ40により地下水の供給経路を切替える
ことで上記と同様の運転を行うようにしている。すなわ
ち、夏季においては図2(a)に示すようにポンプ40
により下部帯水層3から取水して第1水熱交換器28を
通過させた後に上部帯水層2に環水せしめ、冬季におい
ては図2(b)に示すように同じポンプ40により上部
帯水層2から取水して第1水熱交換器28を通過させた
後に下部帯水層3に環水せしめるのである。この場合も
全く同様の運転を行えるとともに、ポンプが1台で済む
ので設備全体がより簡略なものとなる。
【0023】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明は、複数
の帯水層に対する取水と環水を兼用する単一の井戸を設
けてその内部をパッカーにより上下に仕切り、その井戸
内にヒートポンプ装置を設置するとともに、井戸内に設
置した2台のポンプを選択的に運転することにより、も
しくは単独のポンプにより地下水の供給経路を切替えて
運転することにより、いずれか一方の帯水層から取水し
た地下水をヒートポンプ装置に供給して他方の帯水層に
環水させる構成であるので、高効率のヒートポンプ運転
を通年にわたって行い得ることはもとより、井戸の施工
コストおよび所要設置スペースを大幅に削減できるとい
う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるヒートポンプ設備の
概要図である。
【図2】本発明の他の実施形態であるヒートポンプ設備
の概要図である。
【図3】従来検討されているヒートポンプ設備の概要図
である。
【符号の説明】
1 不透水性土層 2 上部帯水層 3 下部帯水層 20 井戸 21 ケーシング 22 上部スクリーン 23 下部スクリーン 24 パッカー 25 ヒートポンプ装置 26 上部ポンプ 27 下部ポンプ 28 第1水熱交換器 29 第2水熱交換器 30 ポンプ(一次ポンプ) 31 タンク 32 二次ポンプ 40 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 明 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下水を熱源として利用するヒートポン
    プ設備であって、不透水性土層を挟んでその上下に上部
    帯水層および下部帯水層が存在している地盤に前記不透
    水性土層を貫通して下部帯水層に達する井戸を設け、 該井戸の内部を前記不透水性土層の位置でパッカーによ
    り上下に仕切るとともに、該パッカーの上下に前記上部
    帯水層および前記下部帯水層に通じて地下水を取水しか
    つ環水させ得る上部スクリーンおよび下部スクリーンを
    それぞれ設け、 前記井戸内における前記パッカーの近傍の位置にはヒー
    トポンプ装置を配置するとともに、 前記パッカーの上下にはいずれか一方が選択的に運転さ
    れる上部ポンプおよび下部ポンプをそれぞれ設置し、 前記ヒートポンプ装置は、いずれも蒸発器および凝縮器
    として選択的に機能するとともに、一方が蒸発器として
    機能するときに他方が凝縮器として機能する第1水熱交
    換器および第2水熱交換器を有し、 前記上部ポンプは前記上部スクリーンより取水した上部
    帯水層の地下水を前記ヒートポンプ装置の第1水熱交換
    器に供給するとともに下部スクリーンを通して下部帯水
    層に環水せしめるものとする一方、前記下部ポンプは前
    記下部スクリーンより取水した下部帯水層の地下水を前
    記ヒートポンプ装置の第1水熱交換器に供給するととも
    に上部スクリーンを通して上部帯水層に環水せしめるも
    のとし、 かつ、地表部には前記ヒートポンプ装置の第2水熱交換
    器に対して熱媒体を循環供給するポンプを設けてなるこ
    とを特徴とする地下水を熱源とするヒートポンプ設備。
  2. 【請求項2】前記井戸内に、前記上部ポンプおよび前記
    下部ポンプに代えて単独のポンプを設け、該ポンプは、
    前記上部帯水層と下部帯水層のいずれか一方から選択的
    に地下水を取水するとともにその地下水を前記ヒートポ
    ンプ装置の前記第1水熱交換器を通過させて他方の帯水
    層に環水せしめる構成としたことを特徴とする請求項1
    記載の地下水を熱源とするヒートポンプ設備。
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