JPH09279290A - 良硬化性合金鋳鉄材 - Google Patents

良硬化性合金鋳鉄材

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JPH09279290A
JPH09279290A JP11317696A JP11317696A JPH09279290A JP H09279290 A JPH09279290 A JP H09279290A JP 11317696 A JP11317696 A JP 11317696A JP 11317696 A JP11317696 A JP 11317696A JP H09279290 A JPH09279290 A JP H09279290A
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Susumu Nishikawa
進 西川
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琢也 山下
Mikio Saito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フレーム加熱などの簡易加熱後、自然冷却で
焼き入れが可能な鋳鉄。 【解決手段】 鋳鉄に対し、合金成分としてMn、N
i、Cr、Moを適宜添加したものである。Cを3.0
〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、Mnを
2.0〜4.0重量%、Tiを0.15〜0.25重量
%含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる共晶状
黒鉛鋳鉄あるいは擬球状黒鉛鋳鉄としたもの。また、C
を3.0〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量
%、Mnを2.0〜4.0重量%含み、残部がFe及び
不可避的不純物からなる球状黒鉛鋳鉄としたもの。ま
た、前記共晶状黒鉛鋳鉄、擬球状黒鉛鋳鉄、又は球状黒
鉛鋳鉄に、Ni、Cr、Moの中の1種又は2種以上を
合計で0.6重量%以下添加した鋳鉄としたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波加熱装置あ
るいは加熱炉設備等の特別な加熱装置、並びに水冷装置
あるいは油冷装置を必要とせず、火炎加熱後、自然冷却
あるいは風冷することにより、簡単に焼き入れが可能な
良硬化性合金鋳鉄材に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋳鉄の焼き入れ方法には、高周
波加熱焼き入れ、火炎焼き入れがあり、小物部品を対象
とする油焼き入れ等がある。いずれの焼き入れ方法によ
る場合でも、強制冷却して所望の硬さを得ていおり、加
熱炉や高周波加熱装置のような高価な加熱設備、及び大
型の油槽や水槽のような冷却設備を必要とする場合が多
い。また、大型部品の一部を表面焼き入れしたい場合に
は、前記の焼き入れ方法では非常に困難であり、割れな
どが生じないようにするための高度の技術が必要であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の鋳鉄の焼き入れ
には、加熱設備と冷却設備の設備費が嵩む上にランニン
グ費用が嵩む問題がある。また、高度の技術を必要とす
る点にも問題がある。本発明は、このような問題点を解
決しようとするものであり、特別な加熱装置や冷却装置
を用いることなく、アセチレンフレーム加熱あるいはプ
ロパンバーナ加熱などの簡易加熱後、自然冷却あるいは
風冷するだけで全体あるいは部分焼き入れが可能な鋳鉄
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、鋳鉄に対し、
合金成分としてMn、Ni、Cr、Moを適宜添加する
ことにより、自然冷却あるいは風冷するだけで十分な焼
き入れ硬さが得られることを見いだして完成に至ったも
のである。第1の発明の良硬化性合金鋳鉄材は、Cを
3.0〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、
Mnを2.0〜4.0重量%、Tiを0.15〜0.2
5重量%含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる
共晶状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする。
【0005】第2の発明の良硬化性合金鋳鉄材は、Cを
3.0〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、
Mnを2.0〜4.0重量%含み、残部がFe及び不可
避的不純物からなる球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とす
る。
【0006】第3の発明の良硬化性合金鋳鉄材は、Cを
3.0〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、
Mnを2.0〜4.0重量%、Tiを0.15〜0.2
5重量%含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる
擬球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする。
【0007】第4の発明の良硬化性合金鋳鉄材は、第
1、第2、又は第3の発明の良硬化性合金鋳鉄材に、N
i、Cr、Moの中の1種又は2種以上を合計で0.6
重量%以下添加したことを特徴とする。
【0008】本発明の各々において、Cは、Siと共に
鋳鉄の諸性質に大きく影響する元素である。Cの含有量
が3.0重量%未満では、凝固後の鋳鉄中の黒鉛量が少
なく、凝固収縮が大きいため健全な鋳鉄品が得にくい。
一方、Cの含有量が4.0重量%を越えれば、黒鉛が粗
大となり、鋳鉄の靭性を損なう。従って、第1、第2、
第3、第4の発明において、Cの含有量を3.0〜4.
0重量%とした。Siは、黒鉛化を促進し、基地のフェ
ライト化を助長する元素であるが、多すぎるとオーステ
ナイト化温度上昇させ、焼き入れ性を阻害するため、S
iの含有量を2.5〜3.5重量%とした。Mnは、焼
き入れ性を改善する元素であるが、2.0重量%未満で
は加熱後、自然冷却あるいは風冷では焼き入れが不十分
であり、十分な硬さが得れない。一方、4.0重量%を
越えると鋳放し組織中にベイナイトが生成し、また炭化
物が著しく多く発生して切削加工性に悪影響を及ぼすの
で好ましくない。よって、Mnの含有量の適正範囲は
2.0〜4.0重量%とした。
【0009】Tiは、共晶状黒鉛組織を得る目的で添加
するものであり、0.15重量%未満では均一な共晶状
黒鉛は得にくく、0.25重量%を越えてもその効果は
変わらないので、第1及び第3の発明において、Tiの
含有量は0.15〜0.25重量%とした。また、共晶
状黒鉛とする目的は、黒鉛を微細な状態で基地中に分布
させることで基地中への炭素の拡散を容易にし、良好な
焼き入れ組織を得るためである。但し、球状黒鉛組織を
得る場合は、Tiの含有量はできる限り低い方が望まし
い。従って、第2の発明においては、Tiは添加しな
い。
【0010】第4の発明において、Ni、Cr、Mo
は、焼き入れ性を改善する元素であり、Mnの作用を補
助する目的で添加する。添加量が多すぎると、鋳放し基
地中のベイナイトあるいは炭化物の多量生成により切削
加工性が低下し、また焼き入れ後の残留応力が増大して
割れの原因となるので、第4の発明において、Ni、C
r、Moの合計添加量は0.6重量%以下とした。
【0011】
【発明の実施の形態】第1の発明の実施の形態は、Cを
3.0〜4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、
Mnを2.0〜4.0重量%、Tiを0.15〜0.2
5重量%含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる
ように原材料配合して、溶解し、通常の砂型等を使用し
て所望形状の鋳鉄材に鋳造し、あるいは周知の連続鋳造
によって鋳造したものである。得られた鋳鉄材は良硬化
性の、すなわち、簡単な火炎加熱と自然冷却又は風冷に
より良好に焼き入れできる、共晶状黒鉛鋳鉄である。こ
の鋳鉄材を用いて機械部品等を製造する場合は、例え
ば、鋳造した鋳鉄材を焼鈍して機械加工性を向上させ、
機械加工し、硬化所望の部分を火炎加熱して自然冷却又
は風冷すればよい。前記焼鈍は省略する場合もある。
【0012】第2の発明の実施の形態は、Cを3.0〜
4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、Mnを
2.0〜4.0重量%含み、残部がFe及び不可避的不
純物からなるように原材料を配合し、溶解し、球状化処
理剤、例えばMgを用いて球状化処理を行い、通常の砂
型等を使用して所望形状の鋳鉄材に鋳造し、あるいは周
知の連続鋳造によって鋳造したものである。得られた鋳
鉄材は、良硬化性の、すなわち、簡単な火炎加熱と自然
冷却又は風冷により良好に焼き入れできる、球状黒鉛鋳
鉄である。この鋳鉄材を用いて機械部品等を製造する場
合は、例えば、鋳造した鋳鉄材を焼鈍して機械加工性を
向上させ、機械加工し、硬化所望の部分を火炎加熱して
自然冷却すればよい。前記焼鈍は省略する場合もある。
【0013】第3の発明の実施の形態は、Cを3.0〜
4.0重量%、Siを2.5〜3.5重量%、Mnを
2.0〜4.0重量%、Tiを0.15〜0.25重量
%含み、残部がFe及び不可避的不純物からなように原
材料を配合し、溶解し、球状化処理剤、例えばMgを用
いて球状化処理を行い、通常の砂型等を使用して所望形
状の鋳鉄材に鋳造し、あるいは周知の連続鋳造によって
鋳造したものである。得られた鋳鉄材は、良硬化性の、
すなわち、簡単な火炎加熱と自然冷却又は風冷により良
好に焼き入れできる、擬球状黒鉛鋳鉄である。この鋳鉄
材を用いて機械部品等を製造する場合は、例えば、鋳造
した鋳鉄材を焼鈍して機械加工性を向上させ、機械加工
し、硬化所望の部分を火炎加熱して自然冷却すればよ
い。前記焼鈍は省略する場合もある。
【0014】
【実施例】
実施例1(第1の発明の実施例);Cを3.39重量
%、Siを3.00重量%、Mnを3.06重量%、T
iを0.21重量%となるように原材料を配合して、溶
解し、鋳造した鋳鉄材を、焼鈍したのち、焼き入れ試験
用サンプルに加工した。図1(a)はこの鋳鉄材の金属
顕微鏡組織である。基地はフェライトとパーライトの混
在組織であり、黒鉛は微細な共晶状黒鉛である。この状
態での硬さはHRB92.3であり切削による加工性は
良好であった。次に、酸素−アセチレン火炎により加熱
し、所定の加熱温度に到達後、自然冷却して加熱面の硬
さを測定した。表1は加熱温度と加熱面の硬さを示すも
のである。
【0015】
【表1】
【0016】図1(b)は、前記表1の加熱温度が90
0°Cのもので、自然冷却したサンプルの加熱表面の断
面金属顕微鏡組織である。900°Cに加熱後、自然冷
却することにより基地は針状のマルテンサイト組織に変
態しており、焼き入れが十分行われており、表1から明
らかなように十分な焼き入れ硬さが得られている。
【0017】実施例2(第2の発明の実施例);Cを
3.50重量%、Siを3.12重量%、Mnを3.0
9重量%となるように原材料を配合して、溶解し、黒鉛
球状化処理後に鋳造した鋳鉄材を、焼鈍したのち、焼き
入れ試験用サンプルに加工した。図2(a)は、この鋳
鉄材の金属顕微鏡組織である。基地はフェライトとパー
ライトの混在組織であり、黒鉛は球状黒鉛である。この
状態での硬さはHRB94.7であり切削による加工性
は良好であった。次に、酸素−アセチレン火炎により加
熱し、所定の加熱温度に到達後、自然冷却して加熱面の
硬さを測定した。表2は加熱温度と加熱面の硬さを示す
ものである。
【0018】
【表2】
【0019】図2(b)は、前記表2の加熱温度が90
0°Cのもので、自然冷却したサンプルの加熱表面の断
面金属顕微鏡組織である。900°Cに加熱後、自然冷
却することにより基地は針状のマルテンサイト組織に変
態しており、焼き入れが十分行われており、表2から明
らかなように十分な焼き入れ硬さが得られている。
【0020】実施例3(第3の発明の実施例);Cを
3.52重量%、Siを2.87重量%、Mnを2.8
2重量%、Tiを0.21重量%となるように原材料を
配合して、溶解し、黒鉛球状化処理後に鋳造した鋳鉄材
を、焼鈍したのち、焼き入れ試験用サンプルに加工し
た。図3(a)はこの鋳鉄材の金属顕微鏡組織である。
基地はフェライトとパーライトの混在組織であり、黒鉛
球状化阻害元素であるTiを含有するため、黒鉛は擬球
状黒鉛である。この状態での硬さは、HRB95.6で
あり、切削による加工性は良好であった。次に、酸素−
アセチレン火炎により加熱し、所定の加熱温度に到達
後、自然冷却して加熱面の硬さを測定した。表3は加熱
温度と加熱面の硬さを示すものである。
【0021】
【表3】
【0022】図3(b)は、前記表3の加熱温度が90
0°Cのもので、自然冷却したサンプルの加熱表面の断
面金属顕微鏡組織である。900°Cに加熱後、自然冷
却することにより基地は針状のマルテンサイト組織に変
態しており、焼き入れが十分行われており、表3から明
らかなように十分な焼き入れ硬さが得られている。
【0023】実施例4(第4の発明の実施例);Cを
3.42重量%、Siを2.87重量%、Mnを2.5
8重量%、Tiを0.16重量%、Niを0.28重量
%、Moを0.25重量%となるように原材料を配合し
て、溶解し、鋳造した鋳鉄材を、焼鈍したのち、焼き入
れ試験用サンプルに加工した。図4(a)はこの鋳鉄材
の金属顕微鏡組織である。基地はフェライトとパーライ
トの混在組織であり、黒鉛は微細共晶状黒鉛である。こ
の状態での硬さは、HRB94.0であり、切削による
加工性は良好であった。次に、酸素−アセチレン火炎に
より加熱し、900°Cに到達後、自然冷却して加熱面
の硬さを測定した。その結果、HRC53.1の硬さを
得た。図4(b)は、このサンプルの加熱表面の断面金
属顕微鏡組織である。900°Cに加熱後、自然冷却す
ることにより、基地は針状のマルテンサイト組織に変態
しており、焼き入れが十分行われており、十分な焼き入
れ硬さが得られている。
【0024】なお、図5は前記実施例1〜4に共通した
焼き入れ状態を示す図であり、同図において、1は焼き
入れ試験用サンプルで直径35mm、長さ40mmの円
柱であり、その下端面から上端面近くに達する小孔を穿
設してあり、2は酸素−アセチレントーチ、3は火炎、
4は温度測定用の熱電対である。
【0025】
【発明の効果】本発明は、高価且つ特殊な焼き入れ装置
を必要とせず、酸素−アセチレンフレームやプロパンバ
ーナ等のフレームにより、加熱後自然冷却あるいは風冷
するだけで必要な部分を簡単且つ安価に焼き入れできる
良硬化性合金鋳鉄材を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例1(第1の発明の実施
例)の焼き入れ前の金属組織を示す顕微鏡組織写真、
(b)は同実施例1の焼き入れ後の金属組織を示す顕微
鏡組織写真である。
【図2】(a)は本発明の実施例2(第2の発明の実施
例)の焼き入れ前の金属組織を示す顕微鏡組織写真、
(b)は同実施例2の焼き入れ後の金属組織を示す顕微
鏡組織写真である。
【図3】(a)は本発明の実施例3の焼き入れ前の金属
組織を示す顕微鏡組織写真、(b)は同実施例3の焼き
入れ後の金属組織を示す顕微鏡組織写真である。
【図4】(a)は本発明の実施例4(第3の発明の実施
例)の焼き入れ前の金属組織を示す顕微鏡組織写真、
(b)は同実施例4の焼き入れ後の金属組織を示す顕微
鏡組織写真である。
【図5】本発明の各実施例の焼き入れ試験を説明する模
式図である。
【符号の説明】
1 焼き入れ試験用サンプル 2 酸素−アセチレントーチ 3 火炎 4 熱電対
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 幹雄 兵庫県姫路市大津区勘兵衛町3丁目12 虹 技株式会社姫路東工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cを3.0〜4.0重量%、Siを2.
    5〜3.5重量%、Mnを2.0〜4.0重量%、Ti
    を0.15〜0.25重量%含み、残部がFe及び不可
    避的不純物からなる共晶状黒鉛鋳鉄であることを特徴と
    する良硬化性合金鋳鉄材。
  2. 【請求項2】 Cを3.0〜4.0重量%、Siを2.
    5〜3.5重量%、Mnを2.0〜4.0重量%含み、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる球状黒鉛鋳鉄で
    あることを特徴とする良硬化性合金鋳鉄材。
  3. 【請求項3】 Cを3.0〜4.0重量%、Siを2.
    5〜3.5重量%、Mnを2.0〜4.0重量%、Ti
    を0.15〜0.25重量%含み、残部がFe及び不可
    避的不純物からなる擬球状黒鉛鋳鉄であることを特徴と
    する良硬化性合金鋳鉄材。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2、又は請求項3に記
    載の良硬化性合金鋳鉄材に、Ni、Cr、Moの中の1
    種又は2種以上を合計で0.6重量%以下添加したこと
    を特徴とする良硬化性合金鋳鉄材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107779738A (zh) * 2017-11-07 2018-03-09 德清雄峰铸造有限公司 球墨铸铁

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