JPH09278672A - 薬物含有脂肪乳剤 - Google Patents

薬物含有脂肪乳剤

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JPH09278672A
JPH09278672A JP9126496A JP9126496A JPH09278672A JP H09278672 A JPH09278672 A JP H09278672A JP 9126496 A JP9126496 A JP 9126496A JP 9126496 A JP9126496 A JP 9126496A JP H09278672 A JPH09278672 A JP H09278672A
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fat emulsion
drug
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residue
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JP9126496A
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Inventor
Hiroshi Matsuda
寛 松田
Tadaaki Inoue
忠昭 井上
Reiko Tsutsumiuchi
玲子 堤内
Norishige Imaeda
憲重 今枝
Yasuo Ueda
泰生 上田
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Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 血中での薬物の滞留性が向上する薬物含有脂
肪乳剤を提供する。 【解決手段】 薬物、油成分、乳化剤、ポリアルキレン
グリコール部分および疎水性部分を有する化合物Z、お
よび水を含有する薬物含有脂肪乳剤。化合物Zは、ポリ
エチレングリコール修飾されたリン脂質であり、さらに
は下記一般式(I)で表されるグリセロリン脂質であ
る。 (式中、RおよびRはそれぞれ独立して脂肪酸残基
を表し、Rは水素原子またはアルキル基を表し、Xは
単結合または−O−Y−などを表し、Yは置換基を
有していてもよいアルキレンなどを表し、nは5〜50
0の整数を表す)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬物含有脂肪乳剤
に関し、より詳しくは血中で薬物の滞留性が向上する薬
物含有脂肪乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】植物油、リン脂質及び水からなる脂肪乳
剤は、特異な薬物運搬体(ドラッグキャリアー)として
用いられてきた。このドラッグキャリアーの特徴は、血
管内皮、細網内皮系、特に貧食細胞(マクロファージ
等)に特異的親和性を有し、これに取り込まれることに
より、薬物の効果を発現せしめる点にある。すなわち、
炎症部位、癌部位等の貧食細胞が多く存在する部位に薬
物が取り込まれて集積することによる効果発現及び滞留
による効果の持続が立証されている。
【0003】脂肪乳剤は、血液中に入るとそのコア部分
である油成分のトリアシルグリセロール(TG)がリポ
プロテインリパーゼ(LPL)等により加水分解を受け
てグリセロールとエステル化されていない脂肪酸(NE
FA)となり、血中から消失する。従って脂肪粒子の血
中からの消失が遅い程、脂肪粒子に含有されている薬物
の血中滞留性が向上し、効力が持続すると期待される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血中
での滞留性に優れた脂肪乳剤を提供することにあり、ひ
いては薬物の効果が更に持続する薬物含有脂肪乳剤を提
供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、脂肪乳剤の組
成において、ポリアルキレングリコール部分および疎水
性部分を有する化合物Zを用いることにより、血中での
脂肪乳剤および薬物の滞留性が向上し、薬物の効力がさ
らに持続することを見出し、本発明を完成した。
【0006】本発明は、かかる新知見に基づいて完成さ
れたものであり、ポリアルキレングリコール部分および
疎水性部分を有する化合物Zを含有することを特徴とす
る薬物含有脂肪乳剤である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
脂肪乳剤は、少なくとも薬物、油成分、ポリアルキレン
グリコール部分および疎水性部分を有する化合物Zおよ
び水を含有する。好ましくは、薬物、油成分、乳化剤、
ポリアルキレングリコール部分および疎水性部分を有す
る化合物Zおよび水を含有する。
【0008】本発明に用いられる油成分としては、一般
には植物油あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(MC
T)等が挙げられる。植物油としては大豆油、オリーブ
油、サフラワー油、コーン油、ごま油、綿実油、落花生
油、ヒマシ油等が例示される。好ましくは大豆油であ
る。油成分の添加量は、好ましくは脂肪乳剤中1〜50
%(w/v)、より好ましくは2〜30%(w/v)で
ある。
【0009】本発明に用いられるポリアルキレングリコ
ール部分および疎水性部分を有する化合物Zとしては、
ポリアルキレングリコール修飾されたリン脂質(グリセ
ロリン脂質、スフィンゴリン脂質)、ポリアルキレング
リコール修飾されたコレステロール等が挙げられる。
【0010】ポリアルキレングリコールとしては、例え
ばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0011】ポリアルキレングリコール修飾されたリン
脂質としては、下記一般式(I)で表されるポリエチレ
ングリコール修飾されたグリセロリン脂質を用いること
が好ましい。
【0012】
【化5】
【0013】(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立し
て脂肪酸残基を表し、R3 は水素原子またはアルキル基
を表し、Xは単結合または
【0014】
【化6】
【0015】(Y1 は置換基を有していてもよいアルキ
レンまたは
【0016】
【化7】
【0017】で表される2価の有機基を表し、Y2 は置
換基を有していてもよいアルキレンを表し、Aは−O
−、−CO−、−NH−、−NR4 −(R4 はアルキル
基を表す)、−S−、−COO−、−O−CO−、−C
ONH−、−NHCO−または−S−S−を表す)、n
は5〜500の整数を表す。)
【0018】一般式(I)において、R1 、R2 の脂肪
酸残基とは、直鎖状または分枝状のいずれでもよく、好
ましくは炭素数が8〜24、より好ましくは炭素数が1
0〜22の脂肪酸残基である。この脂肪酸残基は、2重
結合、3重結合を有していてもよい。具体的には、アラ
キジル、ステアロイル、ミリストイル、パルミトイル、
ラウロイル、オレオイル、リノレオイル、リノレノイ
ル、パルミトオレイル、アラキドイル等が例示される。
【0019】一般式(I)において、R3 のアルキル基
とは、直鎖状または分枝状のいずれでもよく、好ましく
は炭素数が1〜5、より好ましくは炭素数が1〜3のア
ルキル基である。具体的には、メチル、エチル、n−プ
ロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、
tert−ブチル、イソブチル等が例示される。
【0020】一般式(I)において、Y1 、Y2 のアル
キレンとは、直鎖状または分枝状のいずれでもよく、好
ましくは炭素数が1〜5、より好ましくは炭素数が2〜
4のアルキレン基である。具体的には、メチレン、エチ
レン、トリメチレン、テトラメチレン等が例示される。
当該アルキレンは置換基を有していてもよい。このよう
な置換基としては、カルボキシル基、アルキルオキシカ
ルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシア
ルキル基等が例示される。
【0021】アルキルオキシカルボニル基におけるアル
キル部は、直鎖状または分枝状で、好ましくは炭素数が
1〜5、より好ましくは炭素数が2〜4であり、具体的
には、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニ
ル、n−プロピルオキシカルボニル等が例示される。ヒ
ドロキシアルキル基におけるアルキル部は、上記のR 3
の定義と同様である。
【0022】一般式(I)において、nは5〜500、
好ましくは10〜400である。
【0023】上記一般式(I)のうち、特に好ましいポ
リエチレングリコール修飾されたグリセロリン脂質とし
ては、
【0024】
【化8】
【0025】が、ホスファチジルエタノールアミン残
基、ホスファチジルコリン残基、ホスファチジルセリン
残基、ホスファチジルイノシトール残基、ホスファチジ
ルグリセロール残基またはホスファチジン酸残基を有し
ていることである。
【0026】また、ポリアルキレングリコール修飾され
たコレステロールも上記のリン脂質の場合と同様に定義
することができる。具体的には{N−〔2−(コレステ
リルカルボキシアミノ)エチル〕カルバモイルメチル}
ポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0027】ポリアルキレングリコール部分および疎水
性部分を有する化合物Zの添加量は、当該脂肪乳剤中、
好ましくは0.01〜10%(w/v)、より好ましく
は0.1〜5%(w/v)である。
【0028】本発明の脂肪乳剤は、さらに乳化剤を含有
してもよい。乳化剤としては、医薬品に添加可能なもの
であれば特に制限はないが、保存安定性が良好となる点
で、公知のリン脂質、例えば卵黄レシチン、大豆レシチ
ン、あるいはこれらの完全または部分水素添加物、ホス
ファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、
ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、
ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、スフ
ィンゴミエリン等が挙げられる。これらのリン脂質の添
加量は、脂肪乳剤中、好ましくは5.0%(w/v)以
下、より好ましくは2.0%(w/v)以下である。
【0029】また、この分野における既知の他の乳化補
助剤を添加することもできる。例えば直鎖状または分枝
状の炭素数2〜22の第1級アミン、第2級アミン等の
脂肪族アミンまたはその薬理学的に許容される塩等、具
体的にはエタノールアミン、プロピルアミン、オクチル
アミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、リノレイ
ルアミン等が好ましいものとして例示される。また、こ
れらの薬理学的に許容される塩としては、例えば、鉱酸
塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸
塩、リン酸塩など)、有機酸塩(酢酸塩、乳酸塩、コハ
ク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石
酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩など)等を挙げ
ることができる。この脂肪族アミンの添加量は、脂肪乳
剤中、好ましくは1.0%(w/v)以下、より好まし
くは0.5%(w/v)以下である。
【0030】また、例えば、炭素数6〜22、好ましく
は12〜20の脂肪酸またはその薬理学的に許容される
塩等を添加することもできる。この脂肪酸は医薬品に添
加可能なものであれば特に制限はなく、直鎖状、分枝状
のいずれでもよいが、具体的には直鎖状のステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、リノレン
酸、ミリスチン酸等を用いるのが好ましい。またこれら
の塩としては、薬理学上許容される塩、例えばアルカリ
金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類
金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)等を挙げる
ことができる。これらの乳化補助剤の添加量は、脂肪乳
剤中、好ましくは1.0%(w/v)以下、より好まし
くは0.5%(w/v)以下である。
【0031】さらに必要に応じて、安定化剤、高分子物
質、等張化剤等を添加することもできる。
【0032】安定化剤としては、脂肪乳剤中、好ましく
は5%(w/v)以下、より好ましくは1%(w/v)
以下のコレステロール類、グリセリンまたはその脂肪酸
モノエステル(例えば、モノパルミチン、モノステアリ
ン、モノオレイン、モノリノレイン等)、糖類、例えば
単糖類(例えばブドウ糖、果糖等)、二糖類(例えば、
麦芽糖、ショ糖等)、糖アルコール(例えは、ソルビト
ール、キシリトール等)、抗酸化剤(例えばトコフェロ
ール類)等が例示される。コレステロール類等は、医薬
用として使用が可能なものであれば特に制限はない。
【0033】高分子物質としては、例えばアルブミン、
デキストラン、ビニル重合体(例えば、ポリビニルピロ
リドン、ポリビニルアルコール等)、非イオン性界面活
性剤、ゼラチン、ヒドロキシエチル澱粉等が例示され
る。ここで、アルブミンとしては、抗原性の問題からヒ
ト由来のものが好ましい。これらの高分子物質の添加量
は、脂肪乳剤中、好ましくは5%(w/v)以下、より
好ましくは1%(w/v)以下である。
【0034】非イオン性界面活性剤としては、ポリアル
キレングリコール(例えば、平均分子量1,000 〜20,00
0、好ましくは2,000 〜10,000のポリエチレングリコー
ル)、ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、平均分
子量1,000 〜20,000、好ましくは2,000 〜10,000のポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、硬
化ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例えば、硬化
ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテル、同
−(40)−エーテル、同−(100)−エーテル
等〕、ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例えば、
ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテル、同
−(40)−エーテル、同−(100)−エーテル等〕
等が用いられる。
【0035】等張化剤としては、例えはグリセリン、単
糖類(例えばブドウ糖、果糖等)、二糖類(例えば、マ
ルトース、ショ糖等)、糖アルコール(例えば、ソルビ
トール、キシリトール等)、電解質(例えば、塩化ナト
リウム等)等が例示され、等張化のために必要な量が最
低限添加されていればよい。
【0036】本発明に用いられる薬物としては特に制限
はなく、各種広範な薬物を用いることができる。具体的
には、プロスタグランジン(E1 、E2 、F1 α、F2
α、A1 、I2 、B1 、D2 等)、ステロイド系抗炎症
剤(デキサメタゾン、ハイドロコルチゾン、プレドニゾ
ロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、メチルプレド
ニゾロン等)、非ステロイド系抗炎症剤(インドメタシ
ン、アセメタシン、フルルビプロフェン、アスピリン、
イブプロフェン、フルフェナム酸、ケトプロフェン、ピ
ロキシカム、フェニルブタゾン等)、制癌剤(5−フル
オロウラシル、アドリアマイシン、ベンゾイルウレア系
化合物、ダウノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイ
シン等)、ビタミン(A、K、E、D、CoQ10等)、
放射性同位元素(99m Tc等)、抗生物質(セファロス
ポリン類、ペニシリン類、キノロン類、セフェム類、エ
リスロマイシン等)、降圧剤(ジヒドロピリジン類
等)、全身麻酔剤(バルビタール類、チオバルビタール
類、抱水クロラール、トリブロモエタノール等)、局所
麻酔剤(プロカイン、リドカイン等)、向精神剤(フェ
ノチアジン類、ブチロフェノン類、ベンゾジアゼピン類
等)、麻薬性鎮痛剤(ペンタゾシン等)、男性ホルモン
(テストステロン等)、女性ホルモン(卵胞ホルモン
(エストロゲン、例えばエストラジオール等)、黄体ホ
ルモン(例えばプロゲステロン等)等)、抗真菌剤(ポ
リエン類、ミコナゾール等)、免疫抑制剤(サイクロス
ポリン等)、神経節遮断剤(メカミルアミン等)、酸素
運搬剤(ヘモグロビン等)、抗狭心症剤(ニトログリセ
リン等)、抗不整脈剤(キニジン等)、利尿剤(トリア
ムテレン等)、タンパク・ペプチド(ウロキナーゼ、ス
トレプトキナーゼ、成長ホルモン、インシュリン、イン
ターフェロン、カルシトニン、肝炎抗原等)等、その他
の体性神経系薬剤、自律神経系薬剤、心臓・血管系薬
剤、平滑筋系薬剤、中枢神経系薬剤、呼吸器系薬剤、抗
アレルギー剤、抗炎症剤、泌尿器系薬剤、血液系薬剤、
消化器系薬剤、内分泌腺系薬剤、消化器ホルモン、ビタ
ミン、抗病原微生物剤、抗悪性腫瘍剤またはこれらの誘
導体などが挙げられる。好ましくは疎水性、脂溶性、あ
るいは親油性を有する薬物である。
【0037】該薬物の脂肪乳剤中の含有量は、薬物の種
類、乳剤の形態及び用途等によって適宜増減することが
できる。
【0038】本発明に関する脂肪乳剤は公知の製法が用
いられ、例えば次の方法によって製造される。即ち、所
定量の油成分(例えば、大豆油)、上記のポリアルキレ
ングリコール部分および疎水性部分を有する化合物Z、
薬物及び必要に応じてその他前記の添加剤等を混合、必
要があれば加熱して溶液となし、常用のホモジナイザー
(例えば、高圧噴射型ホモジナイザー、超音波ホモジナ
イザー等)を用いて均質化処理することにより油中水型
分散液を作り、次いでこれに必要量の水を加え、再び前
記ホモジナイザーで均質化を行って水中油型乳剤に変換
することにより製造することができる。製造上の都合に
よっては、脂肪乳剤の生成後に安定化剤、等張化剤等の
添加剤を加えてもよい(特開昭56−167161号公
報、同58−222014号公報)。また、従来の製法
で調製される通常の薬物含有脂肪乳剤、すなわち、薬
物、油成分、リン脂質および水を含有する脂肪乳剤に、
ポリアルキレングリコール部分を付加させることが可能
な試薬を添加して、リン脂質中の官能基に当該ポリアル
キレングリコール部分を結合させることにより、本発明
の薬物含有脂肪乳剤を調製することもできる。このよう
なポリアルキレングリコール化試薬としては、ホスファ
チジルエタノールアミンあるいはホスファチジルセリン
等のアミノ基への結合用としては、O−サクシニル体、
O−サクシニルサクシンイミド体、O−イミドエステル
体等が挙げられ、ホスファチジルチオエタノール等のチ
オール基への結合用としては、O−マレイミド体等が挙
げられる。
【0039】このようにして製造された本発明の薬物含
有脂肪乳剤は、従来の卵黄リン脂質を乳化剤とした脂肪
乳剤よりも、脂肪粒子が血中から消失しにくく、従って
薬物の効力が持続する。また極めて微細で、脂肪粒子の
平均粒子は約0.05〜0.5μmである。
【0040】本発明に関する薬物含有脂肪乳剤は、注
射、持続点滴等の非経口で投与され、例えば、静脈内、
動脈内、皮下、皮内、筋肉内などに投与されるが、特に
静脈内投与が好ましい。
【0041】
【実施例】以下、実施例及び実験例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるもの
ではない。
【0042】実施例1 油成分として精製大豆油200g、薬物としてデキサメ
タゾンパルミテート(以下、DPALと記す)4g、下
記式に示す平均分子量2000のポリエチレングリコー
ル修飾されたジステアロイルホスファチジルエタノール
アミン(以下、PEG2000−DSPEと記す)5g
および適量の注射用蒸留水をとり、乳化剤として卵黄レ
シチン(YPL)7gを混合し、全量を1000mlと
してホモミキサーを用いて粗乳化を行った。さらに、こ
れはマントン−ガウリン型ホモジナイザーを用い、合計
圧550kg/cm2 の加圧下で10分間乳化した。これに
より均質化された極めて微細なDPALを含有する脂肪
乳剤を得た。該乳剤の平均粒子径は0.1〜0.2μm
であった。
【0043】
【化9】
【0044】実施例2 実施例1において、PEG2000−DSPEの配合量
を10g、乳化剤であるYPLの配合量を2gとしたこ
と以外は、実施例1と同様にして脂肪乳剤を得た。
【0045】実施例3 実施例1において、PEG2000−DSPEの代わり
に下記式で表される平均分子量5000のポリエチレン
グリコール修飾されたジステアロイルホスファチジルエ
タノールアミン(以下、PEG5000−DSPEと記
す)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして脂肪
乳剤を得た。
【0046】
【化10】
【0047】実施例4 実施例1において、PEG2000−DSPEの代わり
に下記式で表される平均分子量2000のポリエチレン
グリコール修飾されたジパルミトイルホスファチジルエ
タノールアミン(以下、PEG2000−DPPEと記
す)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして脂肪
乳剤を得た。
【0048】
【化11】
【0049】実験例1 実施例1で調製された薬物含有脂肪乳剤と、PEG20
00−DSPEを用いずに卵黄リン脂質(YPL)12
gのみを用いたこと以外は実施例1と同様の薬物含有脂
肪乳剤を用い、以下の方法により、TGの安定性につい
て調べた。
【0050】リポプロテインリパーゼ(LPL)と薬物
含有脂肪乳剤とを混合し、経時的に大豆油の加水分解生
成物であるNEFAを測定した。0.1Mトリス緩衝液
(pH8.0)0.9mlに、10%ウシ血清アルブミ
ン(BSA)の0.1Mトリス緩衝液(pH8.0)
0.2mlおよび薬物含有脂肪乳剤を水で5倍に希釈し
たもの0.1mlを添加し、よく混和した後、37℃で
10分間プレインキュベートした。ここに、LPL2単
位/mlの0.1Mトリス緩衝液(pH8.0)0.1
mlを添加し、37℃でインキュベートした。経時的に
反応液0.05mlを採取し、キットによるNEFAの
測定に供した。その結果を図1に示す。図1より、本発
明の脂肪乳剤は、YPLのみを乳化剤とした従来の脂肪
乳剤よりもTGの加水分解率が低く安定であることがわ
かる。
【0051】実験例2 実験例1で使用した2種の薬物含有脂肪乳剤を用い、以
下の方法により、DPALの安定性について調べた。
【0052】体重約200gのWistar系雄性ラッ
ト50匹を18時間絶食後、ヘパリン20単位/kg体
重/mlを尾静脈よりボーラス投与した。ヘパリン投与
10分後、クロロホルム麻酔下でラットを開腹し、心臓
よりEDTA採血した。これを3000rpmで20分
間遠心してラットポストヘパリン血漿を得た。ラットポ
ストヘパリン血漿は50匹分プールし、使用まで−80
℃で保存した。
【0053】ラットポストヘパリン血漿と薬物含有脂肪
乳剤とを混合し、経時的に液体クロマトグラフィーでD
PALおよびその加水分解物であるデキサメタゾン(D
EXA)を測定した。ラットポストヘパリン血漿1.0
mlに10%BSAの0.1Mトリス緩衝液(pH8.
0)0.2mlを添加し、よく混和した後、37℃で1
0分間プレインキュベートした。ここに、薬物含有脂肪
乳剤を水で5倍に希釈したもの0.1mlを添加し、3
7℃でインキュベートした。経時的に反応液0.1ml
を採取し、液体クロマトグラフィーによるDPALおよ
びDEXAの分析に供した。その結果を図2に示す。図
2より、本発明の脂肪乳剤は、YPLのみを乳化剤とし
た従来の脂肪乳剤よりもDPALの加水分解率が低く安
定であることがわかる。
【0054】実験例3 実験例1で使用した2種の薬物含有脂肪乳剤のそれぞれ
に、さらにグリセリントリパルミチン酸エステルのパル
ミチンが14CでラベルされたTGと、 3H−DPPC
(ジパルミトイルホスファチジルコリン)を添加した脂
肪乳剤を調製した。この脂肪乳剤をラット静脈内に投与
し(200mg TG/kg体重)、血漿中の14Cおよ
3Hの放射能レベルの経時変化を検討した。その結果
を図3および図4に示す。また、投与30分後の血漿、
肝臓、腎臓、脾臓、肺および心臓における、14Cおよび
3Hの放射能レベルを図5および図6に示す。
【0055】図3および図4より、PEG2000−D
SPEを用いた脂肪乳剤においては、リン脂質およびT
Gは血漿中で高値を維持した。一方、YPLのみを用い
た脂肪乳剤においては、リン脂質は血漿中で高値を維持
したものの、TGの血漿中の濃度は速やかに低下した。
従って、本発明の脂肪乳剤は、YPLのみを用いた脂肪
乳剤よりも、TGが加水分解を受けにくいことがわか
る。また図5および図6より、YPLのみを用いた脂肪
乳剤は、PEG2000−DSPEを用いた脂肪乳剤よ
りも肝臓や他の臓器への分布が非常に多いことがわか
る。
【0056】実験例4 実験例1で使用した2種の薬物含有脂肪乳剤を用い、こ
の脂肪乳剤をラット静脈内に投与し(200mgTG/
kg体重)、血漿中のDPALレベルを液体クロマトグ
ラフィーにより測定した。その結果を図7に示す。図7
より、PEG2000−DSPEを用いた脂肪乳剤にお
いては、DPALの血漿中レベルは高値を維持した。一
方、YPLのみを用いた脂肪乳剤においては、DPAL
の血漿中レベルは速やかに低下した。従って、本発明の
脂肪乳剤は、YPLのみを用いた脂肪乳剤よりも、DP
ALの血中滞留性に優れていることがわかる。
【0057】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、脂肪粒子のコア部分であるTGがLPL等によ
る加水分解を受けにくく血中滞留性に優れ、従って薬物
の効力が持続するような脂肪乳剤を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤におけるL
PLによるTGの加水分解率の経時変化を示すグラフで
ある。なお、図中のPEGは本発明の脂肪乳剤を、YP
Lは従来の脂肪乳剤を示す。以下の図に関しても同様で
ある。
【図2】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤におけるラ
ットポストヘパリン血漿によるDPALの加水分解率の
経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤における 3
Hのラット血漿中の放射能レベルの経時変化を示すグラ
フである。
【図4】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤における14
Cのラット血漿中の放射能レベルの経時変化を示すグラ
フである。
【図5】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤における、
ラット各臓器中の 3Hの放射能レベルを示すグラフであ
る。
【図6】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤における、
ラット各臓器中の14Cの放射能レベルを示すグラフであ
る。
【図7】本発明の脂肪乳剤と従来の脂肪乳剤における、
ラット血漿中のDPALレベルの経時変化を示すグラフ
である。
フロントページの続き (72)発明者 今枝 憲重 大阪府枚方市招提大谷2丁目25−1 株式 会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 上田 泰生 大阪府枚方市招提大谷2丁目25−1 株式 会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレングリコール部分および疎
    水性部分を有する化合物Zを含有することを特徴とする
    薬物含有脂肪乳剤。
  2. 【請求項2】 薬物、油成分、化合物Zおよび水を含有
    することを特徴とする請求項1に記載の薬物含有脂肪乳
    剤。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコールが、ポリエチ
    レングリコールであることを特徴とする請求項1に記載
    の薬物含有脂肪乳剤。
  4. 【請求項4】 化合物Zが、ポリアルキレングリコール
    修飾されたリン脂質であることを特徴とする請求項1に
    記載の薬物含有脂肪乳剤。
  5. 【請求項5】 ポリアルキレングリコール修飾されたリ
    ン脂質が、下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立して脂肪酸残基
    を表し、 R3 は水素原子またはアルキル基を表し、 Xは単結合または 【化2】 (Y1 は置換基を有していてもよいアルキレンまたは 【化3】 で表される2価の有機基を表し、Y2 は置換基を有して
    いてもよいアルキレンを表し、Aは−O−、−CO−、
    −NH−、−NR4 −(R4 はアルキル基を表す)、−
    S−、−COO−、−O−CO−、−CONH−、−N
    HCO−または−S−S−を表す)、 nは5〜500の整数を表す。)で表されるポリエチレ
    ングリコール修飾されたグリセロリン脂質であることを
    特徴とする請求項4に記載の薬物含有脂肪乳剤。
  6. 【請求項6】 上記一般式(I)において、 【化4】 が、ホスファチジルエタノールアミン残基、ホスファチ
    ジルコリン残基、ホスファチジルセリン残基、ホスファ
    チジルイノシトール残基、ホスファチジルグリセロール
    残基またはホスファチジン酸残基を有していることを特
    徴とする請求項5に記載の薬物含有脂肪乳剤。
  7. 【請求項7】 脂肪乳剤がさらに乳化剤を含有すること
    を特徴とする請求項2に記載の薬物含有脂肪乳剤。
  8. 【請求項8】 乳化剤がリン脂質であることを特徴とす
    る請求項7に記載の薬物含有脂肪乳剤。
  9. 【請求項9】 乳化剤が卵黄レシチンまたは大豆レシチ
    ンであることを特徴とする請求項8に記載の薬物含有脂
    肪乳剤。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1241172A1 (en) * 2001-03-02 2002-09-18 Nof Corporation Polyalkylene oxide-modified phospholipid and production method thereof
JP2004517835A (ja) * 2000-12-07 2004-06-17 ユニベルシテイト、ユトレヒト、ホールディング ベスローテン、フェンノートシャップ 炎症性疾患の治療用組成物
WO2005065676A1 (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. パクリタキセルまたはドセタキセルを含む脂肪乳剤
WO2005065677A1 (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. パクリタキセルまたはドセタキセルを溶解または分散させるための脂肪乳剤
JP2010534555A (ja) * 2007-07-26 2010-11-11 シェンヤン ファーマシューティカル ユニバーシティ 複合型乳化剤及びそれを用いて調製された乳剤並びにその調製方法

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