JPH09271513A - 自給機能付き香料発香装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、香りの発生器に関し、発香本体を、
ペルチェ素子により加熱又は冷却し、熱伝導により発香
本体内に装着した形状記憶合金コイルを伸縮せしめ、蓋
の開閉とピストンの昇降を行うことによって香料の自給
と香りの発香・停止の制御を行う自給機能付き香料発香
装置を提供する。 【構成】ペルチェ素子（１０）の一面にヒートシンク
（１１）を固着し、ペルチェ素子の他の一面に発香本体
（１）を固着して、制御部（１２）よりペルチェ素子へ
通電する電流方向を司令部（１３）の発香スイッチ（１
４）により切替可能にして、発香本体の内孔部にアウタ
ーチューブ（３）を固着し、チューブホルダー（４）を
介してインナーチューブ（５）を固定して、ピストン
（６）を設け、発香本体内孔部に形状記憶合金コイル
（２）を入れ、下端を発香本体内孔底部に固着し、上端
を蓋部に接続し、インナーチューブとアウターチューブ
を延長接続し、香料瓶（２０）に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、家庭用芳香器、オフ
ィス空調用香発生器、アロマテラピー用香発生器、香合
成器などの液体香料の発香装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】これまで、液体香料の発香には、香料容
器の蓋を取り除き、室温での自然拡散による放置式の発
香と、液体香料の容器に細管を立てて毛管現象により管
内を上昇する香料を温めて発香する毛管蒸発式の発香が
主に用いられてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】香料は、原料によって
天然香料と合成香料に大別し使用され、これらを目的に
あわせて調合した調合香料としても多く使用されてい
る。天然香料のうち原料が植物より得られるものを植物
性香料、動物から得られるものを動物性香料という。近
年の香に関する研究から、香りが人の精神作用に、大き
く影響を及ぼすことが次第に明確になってきたことか
ら、この香の効果を積極的に活用したいとのニーズが増
加している。ハーブや果実から抽出した天然植物精油
が、より自然で安全な効果をもたらすとして注目を浴び
ているがこれら天然植物精油は一般に粘度が高く、毛管
現象では十分な浸透力が得られず、発香量が精油の種
類、粘度により大きく異なるため、多くの種類の香料に
柔軟に対応することが出来ず、毛管蒸発式は、粘度の低
い合成香料の発香に主に用いられている。また、毛管蒸
発式は、香りの発香・停止の制御機能を持たないことか
ら、定常的な香りの発生となり、人の香りに対する慣れ
から、香りの感知能力が低下し、香料の無駄な消費につ
ながっている。自然放置式は容器蓋を取り除き放置する
ので、香りの発香・停止などのコントロールを行わない
ことから、香料を無駄に消費することも多く、経済的な
面から香料の種類を選定してしまい、香の効果を十分に
活用しきれていないのが現状である。本発明は、これら
の課題を解決し、香の効果を幅広く積極的に活用するた
めになされたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】ペルチェ素子（１０）の
一面にヒートシンク（１１）を固着し、ペルチェ素子の
他の一面に発香本体（１）を固着して、制御部（１２）
よりペルチェ素子へ通電する電流方向を司令部（１３）
の発香スイッチ（１４）により切替可能にして、且つ、
司令部の温度設定器（１５）で発香本体（１）の温度を
設定し、温度センサー（１６）で検知しつつ設定温度に
制御する。発香本体（１）の内孔部にアウターチューブ
（３）を固着し、アウターチューブ（３）内の下端にチ
ューブホルダー（４）を介してインナーチューブ（５）
を固定する。チューブホルダー（４）には、流体流通用
の溝を設け風道（ト）とする。アウターチューブ（３）
上端部内径とインナーチューブ（５）外形に沿って作動
することの出来る段付き円筒状のピストン（６）を設け
る。ピストン（６）の上端部の外形を広げバネ受け座と
し、蓋（８）のブロー室（ロ）内でバネ（７）を介して
連結し、蓋（８）の開閉作動に伴ってにバネ（７）を介
してピストン（６）が上下駆動されるようにする。段付
き円筒状のピストン（６）の上部にピストン窓（ヘ）を
設け、中間段部の平面部に圧抜き穴（ニ）を設け、下部
端面付近にリターン孔（ホ）を切り欠き設け、ピストン
が上昇限でリターン孔（ホ）がアウターチューブ（３）
の上端面より若干上方に重なり位置するようにする。蓋
（８）の下側中心部にブロー室（ロ）を設け、ブロー室
（ロ）の側壁上部外周にパッキン（９）を取り付け、そ
の下方に蓋窓（ハ）を設け、下部にコイル止め穴（イ）
を設ける。蓋（８）の下端面は、ピストン（６）の圧抜
き穴（ニ）をバネ（７）の取り付け荷重で封止する。形
状記憶合金コイル（２）をアウターチューブ（３）の外
側と発香本体（１）内孔部間に入れ、その下端を発香本
体（１）内孔底部に固着し、上端部をコイル中心部に向
け曲げ加工し、蓋（８）のコイル止め穴（イ）に差込み
接続する。インナーチューブ（５）の下端に香料瓶（２
０）の底まで届く香料の吸引チューブ（１７）を取り付
け、アウターチューブ（３）の下端に加圧チューブ（１
８）を吸引チューブ（１７）を通して２重チューブとな
るようにして取り付け、その下端を香料瓶（２０）に装
着する。本発明は、以上の構成よりなる自給機能付き香
料発香装置である。

【０００５】

【作用】本発明を使用するとき、ペルチェ素子（１０）
へ通電する電流方向を発香スイッチ（１４）のＯＮ−Ｏ
ＦＦ切替によって正方向または、逆方向を選択して発香
本体（１）を加熱または冷却することが出来る。ペルチ
ェ素子（１０）による発香本体（１）の加熱によって形
状記憶合金コイル（２）へ熱伝導し、温度上昇時の変態
温度を越えると形状記憶合金コイル（２）が形状復帰動
作により、高さ方向に伸び始め、蓋（８）を押し上げて
いく、バネ（７）を介してピストン（６）に上昇力が加
わり、ピストンの上昇抵抗として香料瓶（２０）内空間
部の減圧力がかかり、バネ（７）が縮められ、ピストン
の圧抜き穴（ニ）が解放される。圧抜き穴（ニ）の解放
により、香料瓶（２０）内空間部の減圧力による上昇抵
抗がなくなりピストン（６）が上昇し、再び圧抜き穴
（ニ）が封止され、蓋（８）の上昇限移動まで圧力バラ
ンスによる圧抜き穴（ニ）の開閉が繰り返されながら、
ピストン（６）も上限まで引き上げられる。次に、ペル
チェ素子（１０）による発香本体（１）の冷却によって
形状記憶合金コイル（２）へ熱伝導し、温度下降時の変
態温度以下になると形状記憶合金コイル（２）が形状復
帰動作により、高さ方向に縮み、蓋（８）を下降させ、
蓋（８）を介してピストン（６）を下降させる。ピスト
ン（６）の下降時に、インナーチューブ（５）の外側の
アウターチューブ（３）内空間の気体が圧縮され、風道
（ト）を経て、香料瓶（２０）の内圧を高め、香料（１
９）が、吸引チューブ（１７）、インナーチューブ
（５）を経て、蓋のブロー室（ロ）に押し出される。ブ
ロー室（ロ）内の香料は、蓋窓（ハ）やピストン窓
（ヘ）から蓋のブロー室側壁外側へ流出し、（ロ）発香
本体（１）内孔部へ流入滞留する。再び、ペルチェ素子
（１０）による発香本体（１）の加熱によって形状記憶
合金コイル（２）が伸び、蓋（８）を押し上げ、ピスト
ン（６）を上限に引き上げたとき、発香用香料は、発香
本体（１）内孔部のアウターチューブ（３）外側の形状
記憶合金コイル装着部間に留まり、余剰香料が、ピスト
ンのリターン孔（ホ）からアウターチューブ（３）内に
流出し、風道（ト）、加圧チューブ（１８）を経て香料
瓶（２０）へ戻る。よって、加熱、冷却を繰り返し作動
するとき発香用香料の定量補充がなされ、余剰香料が香
料瓶にリターンされる。発香用香料は、発香本体（１）
の加熱により、蓋を解放し、香りを加熱拡散し、冷却に
より、蓋を閉じ、香りの発生を停止する。人の臭覚は香
りに慣れやすく、短時間で香りを判別できなくなってし
まう特性があり、香りの発生と停止を断続的に繰り返す
ことによって、香りのゆらぎを用い香りの効果を持続す
ることが出来る。

【０００６】

【実施例】ペルチェ素子（１０）の一面にヒートシンク
（１１）を固着し、ペルチェ素子の他の一面に発香本体
（１）を固着して、制御部（１２）よりペルチェ素子へ
通電する電流方向を司令部（１３）の発香スイッチ（１
４）により切替可能にして、且つ、司令部の温度設定器
（１５）で発香本体（１）の温度を設定し、温度センサ
ー（１６）で検知しつつ設定温度に制御する。発香本体
（１）の内孔部にアウターチューブ（３）を固着し、ア
ウターチューブ（３）内の下端にチューブホルダー
（４）を介してインナーチューブ（５）を固定する。チ
ューブホルダー（４）には、空気流通用の溝を設け風道
（ト）とする。アウターチューブ（３）上端部内径とイ
ンナーチューブ（５）外形に沿って作動することの出来
る段付き円筒状のピストン（６）を設ける。ピストン
（６）の上端部の外形を広げバネ受け座とし、蓋（８）
のブロー室（ロ）内でバネ（７）を介して連結し、蓋
（８）の開閉作動に伴ってにバネ（７）を介してピスト
ン（６）が上下駆動されるようにする。段付き円筒状の
ピストン（６）の上部にピストン窓（ヘ）を設け、中間
段部の平面部に圧抜き穴（ニ）を設け、下部端面付近に
リターン孔（ホ）を切り欠き設け、ピストンが上昇限で
リターン孔（ホ）がアウターチューブ（３）の上端面よ
り若干上方に重なり位置するようにする。蓋（８）の下
側中心部にブロー室（ロ）を設け、ブロー室（ロ）の側
壁上部外周にパッキン（９）を取り付け、その下方に蓋
窓（ハ）を設け、下部にコイル止め穴（イ）を設ける。
蓋（８）の下端面は、ピストン（６）の圧抜き穴（ニ）
をバネ（７）の取り付け荷重で封止する。形状記憶合金
コイル（２）をアウターチューブ（３）の外側と発香本
体（１）内孔部間に入れ、その下端を発香本体（１）内
孔底部に固着し、上端部をコイル中心部に向け曲げ加工
し、蓋（８）のコイル止め穴（イ）に差込み接続する。
インナーチューブ（５）の下端に香料瓶（２０）の底ま
で届く香料の吸引チューブ（１７）を取り付け、アウタ
ーチューブ（３）の下端に加圧チューブ（１８）を吸引
チューブ（１７）を通して２重チューブとなるようにし
て取り付け、その下端を香料瓶（２０）に装着する。ペ
ルチェ素子（１０）による発香本体（１）の加熱・冷却
によって形状記憶合金コイル（２）が伸縮し、蓋（８）
を開閉し、ピストン（６）を往復駆動し、発香用香料
を、発香本体（１）内孔部のアウターチューブ（３）外
側の形状記憶合金コイル装着部間に定量補充し、余剰香
料が香料瓶（２０）にリターンされる。発香用香料は、
発香本体（１）の加熱により、蓋を解放し、香りを加熱
拡散し、冷却により、蓋を閉じ、香りの発生を停止す
る。香りの発生・停止をサイクル制御することによっ
て、人の香りの感知能力を持続することが出来る。

【０００７】

【発明の効果】本発明を使用することによって、香りを
発生する発香本体の、加熱と冷却が、ペルチェ素子へ通
電する電流方向の切替のみによって行え、蓋の開閉と同
時にピストンを動作させ、香料を自給し、定量に補充す
ることができる。ピストン作動により、比較的粘度の高
い香料の自給が可能となり、香料の使用範囲が広がる。
香料の加熱により、拡散力が強まり、広域へ香りを提供
することができる。香りの発生・停止を断続的繰り返し
制御でき、香りのゆらぎ効果が活用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の一例を示す要部断面図で香り
の発香状態を示す。

【図２】 本発明の実施の一例を示す要部断面図で香り
の停止状態を示す。

【図３】 蓋部の要部断面図を示す。

【図４】 ピストン断面図を示す。

【図５】 図４ピストンのＢ−Ｂ矢視断面図を示す。

【図６】 図１のＡ−Ａ矢視断面図を示す。

【符号の説明】

１ 発香本体 ２ 形状記憶合金コ
イル ３ アウターチューブ ４ チューブホルダ
ー ５ インナーチューブ ６ ピストン ７ バネ ８ 蓋 ９ パッキン １０ ペルチェ素子 １１ ヒートシンク １２ 制御部 １３ 司令部 １４ 発香スイッチ １５ 温度設定器 １６ 温度センサー １７ 吸引チューブ １８ 加圧チューブ １９ 香料 ２０ 香料瓶 イ コイル止め穴 ロ ブロー室 ハ 蓋窓 ニ 圧抜き穴 ホ リターン孔 ヘ ピストン窓 ト 風道

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ペルチェ素子の一面にヒートシンクを固着
   し、ペルチェ素子の他の一面に発香本体を固着して、制
   御部よりペルチェ素子へ通電する電流方向を司令部の発
   香スイッチにより切替可能にして、発香本体の内孔部に
   アウターチューブを固着し、アウターチューブ内にチュ
   ーブホルダーを介してインナーチューブを固定して、ア
   ウターチューブとインナーチューブに沿って移動するピ
   ストンを設け、その上端を蓋に連結し、発香本体内孔部
   に形状記憶合金コイルを入れ、下端を発香本体内孔底部
   に固着し、上端を蓋部に接続し、インナーチューブと香
   料の吸引チューブを接続し、アウターチューブと加圧チ
   ューブを接続し、香料瓶に接続して、ペルチェ素子によ
   る発香本体の加熱又は冷却により、形状記憶合金コイル
   を伸縮せしめ、蓋の開閉とピストンの昇降を行うことに
   よって香料の自給と香りの発香・停止の制御を行うこと
   を特徴とする自給機能付き香料発香装置。