JPH09267279A - マイクロマニピュレータ - Google Patents

マイクロマニピュレータ

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JPH09267279A
JPH09267279A JP8079018A JP7901896A JPH09267279A JP H09267279 A JPH09267279 A JP H09267279A JP 8079018 A JP8079018 A JP 8079018A JP 7901896 A JP7901896 A JP 7901896A JP H09267279 A JPH09267279 A JP H09267279A
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JP
Japan
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actuator
micromanipulator
joint
piezoelectric
communication hole
Prior art date
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Application number
JP8079018A
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English (en)
Inventor
Sunao Tsurusawa
直 鶴澤
Hitoshi Kanayama
斎 金山
Koji Idogaki
孝治 井戸垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗動と微動とのいずれも可能で、物体を把持
したまま所定の距離を移送することができ、いっそう小
型・軽量・低廉なマイクロマニピュレータを提供するこ
と。 【解決手段】 軸心に沿う連通孔をもち印荷電圧により
前後左右に曲げ変形する第1アクチュエータ1と、第1
アクチュエータ1の上端を曲げ変位可能に支持している
関節3と、第1アクチュエータ1の下端に固定されてい
る中間部材4と、中間部材4に上端が支持され曲げ変形
する三本の第2アクチュエータと、各第2アクチュエー
タの下端にそれぞれ接合されている指先部材5と、連通
孔内に配設され第2アクチュエータに印荷電圧を伝達す
る配線とを備える。第1アクチュエータ1により縦横上
下の微動と前後の粗動とができ、三本の指先部材5によ
り確実に物体9を把持して、粗動により前後に移動でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体を挟持して移
動したり、何らかの操作を物体に及ぼすマニピュレータ
の技術分野に属し、特にマイクロメートルやナノメート
ルのオーダにまで至る微細な作業を行うマイクロマニピ
ュレータの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】アクチュエータの急激な作動により慣性
力が支配的である運動と、アクチュエータの緩慢な作動
により摩擦力が支配的である運動とを、交互に繰り返す
ことによって所定の方向への移動もしくは運動を行う駆
動方法を、本明細書中ではインパクト駆動と呼ぶことに
する。
【0003】所定の摩擦モーメントで支持されている関
節を有し、インパクト駆動によってアーム(腕状部材)
の軸方向を変え、軸回りに所定の回転変位を与えること
ができる装置が、特公平6−43040号公報(従来技
術1)に開示されている。同装置は、腕部材が関節で所
定の摩擦モーメントで支持されており、この腕部材には
圧電アクチュエータを介して複数の質量体が接合されて
いる。同装置は、圧電アクチュエータの伸縮で質量体を
移動させ、その反力として得られる慣性力と関節の摩擦
力とを利用してインパクト駆動を行い、腕部を粗動させ
ることができる。
【0004】しかし、同装置は、腕部とは別個に圧電ア
クチュエータおよび質量体とを有する構成であるから、
小型化・軽量化・低廉化のいずれも困難である。それだ
けではなく、腕部の全体の質量に比べてアクチュエータ
の先端の質量が小さいので、高速で傾動したり回動する
ことが困難であり、操作速度が遅いという問題も抱えて
いた。また、操作対象である物体を把持する機能も、従
来技術1には開示されていなかった。
【0005】一方、特公平6−43040号公報(従来
技術2)には、圧電素子からなるパラレルリンク機構に
よって一対の針状の指先部材を操作し、その先端で物体
を把持したり、把持した物体を圧電素子の変形範囲で移
動させたりすることができるマイクロマニピュレータが
開示されている。しかし、同マイクロマニピュレータで
は、圧電素子の可動範囲でしか指先部材が移動しないの
で、物体を把持したまま微小区間を越える長い区間を移
送する機能はなかった。ここで、仮に指先部材がそれぞ
れ関節によって傾動可能に支持されており、一対の指先
部材を同期振動させて先端で挟持している物体を移動さ
せるとしても、同期が微妙にずれたり振幅が同一でなか
ったりして、物体を取り落としやすいという短所が生じ
る。したがって、従来技術2のマイクロマニピュレータ
も、やはり物体の移送には不適当であろうと推測され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記問題に鑑み、本願
発明者らは、二重の関節機構をもつマイクロマニピュレ
ータを発明し、特願平7−121365号(先願技術)
として出願した。同先願には、曲げ変形する第1圧電ア
クチュエータと、その一端を摩擦モーメントで支持して
いる第1関節と、第1圧電アクチュエータの他端に固定
されている複数の第2関節と、各第2関節に一端が支持
されている第2圧電アクチュエータと、その他端に接合
されている指先部材とからなるマイクロマニピュレータ
が記載されている。先願技術のマイクロマニピュレータ
によれば、インパクト駆動により関節を摺動させて十分
に大きな粗動が可能であり、各圧電アクチュエータの曲
げ変形により微動が可能である。それゆえ、従来技術2
と異なり、先願技術によれば物体を把持して所望の距離
を移送できるようになっている。また、従来技術1に比
べれば、先願技術のマイクロマニピュレータは、小型・
軽量・低廉であると言える。
【0007】しかしながら、先願技術では、複数の第2
関節を有しており、構成が十分に簡素とは言いがたい点
もあって、小型化・軽量化・低廉化の点ではなお改善の
余地があった。そこで本発明は、粗動と微動とのいずれ
も可能で、物体を把持したまま所定の距離を移送するこ
とができ、いっそう小型・軽量・低廉なマイクロマニピ
ュレータを提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明
した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載のマイ
クロマニピュレータである。本手段では、第1アクチュ
エータおよび第2アクチュエータは曲げ変形するので、
第1アクチュエータによっても、第2アクチュエータに
よっても、少なくとも一つの曲げ方向への微動が可能で
ある。また、第1アクチュエータのインパクト駆動によ
っても、第2アクチュエータのインパクト駆動によって
も、関節での曲げ変位を生じて粗動を行うことが可能で
ある。
【0009】特に、複数の指先部材をそれぞれに支持し
ている第2アクチュエータを装備しているので、複数の
第2アクチュエータで曲げ変形を行い、指先部材の先端
を互いに近接させて作業対象の物体を挟持(把持)する
ことができる。このように物体を把持している場合、同
物体を把持している(第2アクチュエータの曲げ変形)
状態のまま、第1アクチュエータの曲げ変形によるイン
パクト駆動を行えば、同物体を取り落とす恐れ無しに、
確実に同物体を所望の位置へ移送することが可能であ
る。
【0010】また、先端に固定されている慣性モーメン
トが大きいので、第1アクチュエータの曲げ変形により
粗動(関節の角度変位を伴う移動)を行う方が、第2ア
クチュエータにより粗動を行うよりも、より速く粗動を
行うことができる。もちろん、第1アクチュエータおよ
び第2アクチュエータを互いに同期させて曲げ変形した
場合には、さらに速い粗動の平均角速度が得られる。
【0011】また、本手段は、関節が一か所であるから
構成も簡素で故障がしにくく、小型化が可能で、比較的
軽量かつ低廉でもある。さらに、各第2アクチュエータ
への配線が、第1アクチュエータの軸心の連通孔内を通
っているので、第1アクチュエータの外を通っている場
合に比べ、粗動に伴って配線が絡むことがない。また、
同様の理由で、粗動や微動に伴い、配線の一部の被覆が
破れて短絡したり信号が漏洩したりすることが防止さ
れ、かつ、断線も防止される。あわせて、配線が連通孔
に内蔵されているので、作業者が不用意に配線を引っか
ける事故の可能性も減少し、外見の美観も向上する。
【0012】なお、信号を伝達する配線としてはリード
線(導線または被覆導線)が一般的であるが、リード線
に代えて光ファイバを構成要素とした場合にも、同様の
効果が得られる。したがって、本手段によれば、粗動と
微動とのいずれも可能で、確実に物体を把持したまま所
定の距離を移送することができる、いっそう小型・軽量
・低廉なマイクロマニピュレータを提供することができ
るという効果がある。
【0013】(第2手段)本発明の第2手段は、請求項
2記載のマイクロマニピュレータである。本手段では、
すでに多くの技術が確立している圧電素子の応用である
圧電アクチュエータで、各アクチュエータが構成されて
いる。したがって本手段によれば、前述の第1手段の効
果に加えて、マイクロマニピュレータの開発が比較的容
易になるとともに、高い信頼性を保ちながら、価格を安
価に抑えることができるという効果がある。
【0014】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載のマイクロマニピュレータである。本手段では、
中間部材にも中間連通孔が形成されているので、第1ア
クチュエータの連通孔から連続する配線は、第2アクチ
ュエータの基部付近まで中間部材に覆われている。それ
ゆえ、第2アクチュエータへの配線が、中間部材の外を
通っている場合に比べ、粗動に伴って配線が絡むことが
ない。また、粗動や微動に伴い、配線の一部の被覆が破
れて短絡したり信号が漏洩したりすることがいっそう少
なくなり、断線の心配もより少なくなる。あわせて、配
線が露出する部分が減少するので、作業者が不用意に配
線を引っかける事故の可能性もさらに減少し、外見の美
観もなお向上する。
【0015】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、配線に関連する信頼性や安全性、美
観が一層向上するという効果がある。 (第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載のマイ
クロマニピュレータである。本手段では、調整ウエイト
の着脱または位置調整により、中間部材の質量または関
節を中心とする中間部材の慣性モーメントを調整するこ
とができる。それゆえ、指先部材(エンドエフェクタ)
が交換されて質量や慣性モーメントが変わった場合や、
関節の摩擦モーメントが変化した場合、その他調整を要
する場合に、部品交換などの面倒な作業無しに粗動特性
を調整することができる。
【0016】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、マイクロマニピュレータの粗動特性
の調整が容易になるという効果がある。 (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載のマイ
クロマニピュレータである。本手段では、保持部材と摺
動部材との間の摺動により、関節が一方向へのみ角度変
位(回動または傾動)する。また、関節の構成が極めて
簡素であり、安価に提供することができるうえに、堅牢
で信頼性が高い。
【0017】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、関節がいっそう簡素で安価かつ堅牢
であり、かつ、マイクロマニピュレータの粗動による傾
動方向を一方向に限定することができるという効果があ
る。 (第6手段)本発明の第6手段は、請求項6記載のマイ
クロマニピュレータである。
【0018】本手段では、固定電極と摺接電極とが互い
に導通しているので、外部回路から保持部材までの配線
と、摺動部材から各圧電アクチュエータに導通している
配線とは、粗動すなわち関節の角度変位にともなって屈
伸することがない。したがって本手段によれば、前述の
第5手段の効果に加えて、繰り返しの粗動動作による関
節付近での配線の断線がなくなり、信頼性がさらに向上
するという効果がある。
【0019】(第7手段)本発明の第7手段は、請求項
7記載のマイクロマニピュレータである。本手段では、
関節の要部がボールとソケットとから構成されているの
で、縦横への傾動(2自由度)と軸心回りの回動(1自
由度)との3自由度の角度変位が可能である。また、関
節の構成も簡素で製造しやすく、信頼性も高い。
【0020】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、安価で信頼性の高い関節ながら、縦
横への傾動と軸心回りの回動との3自由度の角度変位が
可能になるという効果がある。 (第8手段)本発明の第8手段は、請求項8記載のマイ
クロマニピュレータである。
【0021】本手段では、第2アクチュエータの軸心に
沿って配線を通すことが可能になる。その結果、第2ア
クチュエータがその先端までの各所への配線を要する場
合には、作業対象と近い第2アクチュエータの外側に配
線を露出させることがなく、配線は第2アクチュエータ
の連通孔内で保護される。また、指先部材(エンドエフ
ェクタ)に信号線等の配線が必要な場合にも、指先部材
が接合されている第2アクチュエータの先端付近まで同
配線は同様に保護される。
【0022】ここで、本手段と前述の第3手段とが組み
合わされた構成を取るならば、配線は、第1アクチュエ
ータ、中間部材、第2アクチュエータの各連通孔内に順
に配設されて保護される。そして、配線は、その導通す
べき対象(圧電素子の電極やセンサ端子、光線照射対象
など)に最も近い位置の連通孔から接続されるので、配
線の露出を最低限に抑えることができる。
【0023】その結果、本手段でも第3手段と同じく、
粗動に伴って配線が絡むことがなく、配線の一部の被覆
が破れて短絡したり信号が漏洩したりすることがいっそ
う少なくなり、断線の心配もより少なくなる。あわせ
て、配線が露出する部分が減少するので、作業者が不用
意に配線を引っかける事故の可能性もさらに減少し、外
見の美観もなお向上する。
【0024】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、配線に関連する信頼性や安全性、美
観が一層向上するという効果がある。 (第9手段)本発明の第9手段は、請求項9記載のマイ
クロマニピュレータである。本手段では、第2アクチュ
エータとその先端に固定されている指先部材とが、3組
備わっており、略正三角形状に配設されている。それゆ
え、同正三角形の中央部に作業対象の物体が占位するよ
うに、粗動で指先部材の先端位置を調整し、しかるのち
各指先部材の先端を互いに寄せ合っていけば、物体を各
指先部材で三方から挟持し、確実に把持することができ
る。物体に当接する指先部材の先端部が、物体のやや下
方から当接する角度に配設されていれば、重力下での作
業では把持機能がより確実になる(物体を取り落とすこ
とがない)。
【0025】ここで、第2アクチュエータと指先部材と
の数が3組以外でも把持機能は成り立つ場合が多いが、
確実に物体を把持している能力と、コスト(装置の価
格)との両面から評価して、本手段のように3組とする
のが、通常は最適である。仮に第2アクチュエータおよ
び指先部材を2組とした構成では、お箸で豆をつかむの
と同じことで、物体を把持するのに精密な操作を要する
上に、移送するあいだに粗動の振動がかかるので物体を
取り落としやすい。仮に4組とした構成では、前後左右
から物体を把持することができるので、把持機能の確実
性が改善される度合いに比べて、3組から4組に増やし
たことによる価格の増加などのペナルティの方が大きい
場合が多い。したがって、コスト/パフォーマンスの観
点から考えて、本手段の構成が通常の用途では最良であ
る。
【0026】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、作業対象である物体の把持と、粗動
による把持した物体の移送とを確実に行える構成の中
で、最も簡素・安価・堅牢な構成のマイクロマニピュレ
ータを提供することができるという効果がある。 (第10手段)本発明の第10手段は、請求項10記載
のマイクロマニピュレータである。
【0027】本手段では、圧電バイモルフまたは圧電ユ
ニモルフ(以下「平面変形素子」と総称)において、複
数の区画に分割された電極に異なる電圧の印加電圧を与
えると、一部の区画と他の区画との伸縮量が異なる性質
を利用している。すなわち、積層された平面変形素子の
一方の側面だけを縮め、他方の側面を伸ばせば、積層型
圧電アクチュエータは一方に曲げ変形して傾く。区画の
数を3区画以上にしておけば、角度等間隔で配設されて
いる区画と同数の電極への印加電圧をそれぞれ制御する
ことにより、積層型圧電アクチュエータは全周囲への曲
げ変形が可能である。
【0028】また、全区画の電極に同等の印加電圧を加
えれば、積層型圧電アクチュエータは曲げ変形せずに伸
縮変形する。それゆえ、印加電圧を適正に制御すること
により、積層型圧電アクチュエータは、所定の範囲で伸
縮変形と任意の方向の曲げ変形とを重畳して行うことが
できる。なお、かような積層型圧電アクチュエータにつ
いては、特願平7−121365号に詳しく記載されて
いる。
【0029】本手段では、複数の平面変形素子が積層さ
れている積層型圧電アクチュエータの特性として、大き
な曲げ変位および伸縮変位が得られるので、第1アクチ
ュエータおよび第2アクチュエータによる微動の範囲が
大きく拡がる。また、各アクチュエータの(特に第1ア
クチュエータの)曲げ変形が大きくとれるので、関節で
角度変位を生じる粗動も、素早く行うことが可能にな
る。その際、物体を把持していて大きな振動(加速度お
よびその微分値)を嫌う状態でも、第1アクチュエータ
の曲げ変形が大きいので、大きなストロークで比較的長
い周期の振動が加わり、高速の振動は加わらないので物
体を取り落とす心配が少ない。
【0030】したがって本手段によれば、前述の第2手
段の効果に加えて、伸縮も含めて微動の守備範囲が広
く、粗動も高速で行うことができ、さらに物体を把持し
て粗動で移送する際に物体の把持がより確実になるとい
う効果がある。 (第11手段)本発明の第11手段は、請求項11記載
のマイクロマニピュレータである。
【0031】本手段では、柱状圧電アクチュエータを採
用しており、それゆえに種々の特性を有する。第1に、
柱状圧電アクチュエータは、部品を組み立てる構成では
なく、ソリッドステートともいうべき簡素な構成をして
いる。それゆえ、極めて小型のものを製造することが可
能であり、マイクロマニピュレータの小型化に大きく貢
献することができる。具体的には、圧電ユニモルフや圧
電バイモルフは、最も小さいものでも直径が1cm程度
であるが、柱状圧電アクチュエータであれば、直径(差
し渡し)がmmオーダになる程度に小型化することは困
難ではない。
【0032】マイクロマニピュレータの小型化に伴い、
軽量かつ安価になるという効果も付随して生ずる。ま
た、構成が簡素で組み立てに伴う接合部が少ないので、
堅牢さも増し、同様の理由で信頼性もよりいっそう向上
するという効果もある。第2に、柱状圧電アクチュエー
タであれば、曲げ変形の他に、捩じり変形と伸縮変形が
可能である。例えば、三角柱の柱状部材の各側面に二枚
ずつに区画された圧電素子が形成されている構成では、
三角の各頂点を挟んで斜めに対向している二つの圧電素
子に、逆符号の印加電圧をかけると柱状圧電アクチュエ
ータは捩じれ変形をする。また、柱状圧電アクチュエー
タは、すべての圧電素子に同一の印加電圧が加えられる
と伸縮変形し、各側面の圧電素子の均一でない印加電圧
が加えられると曲げ変形する。
【0033】それゆえ、本手段では、第1アクチュエー
タが柱状圧電アクチュエータである場合には、その捩じ
り変形により、指先部材が物体に接近していく角度(ま
たは物体に周囲から当接する角度)をいくらか調整する
ことが可能である。また、第2アクチュエータが柱状圧
電アクチュエータである場合には、その捩じり変位によ
り、各指先部材の先端を個別にいくらか回転させるマニ
ピュレーション作業が可能になる。
【0034】第3に、前述の第10手段の積層型圧電ア
クチュエータと比較して、本手段の柱状圧電アクチュエ
ータは印加電圧の割に変位が小さい、換言すれば、印加
電圧の精度が粗くても十分に高い変位精度が得られると
いう特徴もある。それゆえ、所定の分解能の印加電圧を
もって、指先部材の先端の位置制御精度を極めて高く設
定することができる。これは、たとえば印加電圧の調整
精度(分解能)が粗い場合や、特に小さな物体を精密に
扱いたい場合などには、たいへん都合がよい特性であ
る。
【0035】したがって本手段によれば、前述の第2手
段の効果に加えて、圧電アクチュエータの構成が簡素で
小型化が容易であり、軽量かつ安価になるという効果
と、堅牢で信頼性が向上するという効果もある。また、
柱状圧電アクチュエータは、曲げ変形と捩じり変形と伸
縮変形とができるから、捩じり動作も加えてマニピュレ
ーション作業を行うことができるという効果もある。さ
らに、柱状圧電アクチュエータは印加電圧の割に変位が
小さいので、指先部材の先端の位置制御精度が極めて高
くなるという効果もある。
【0036】
〔実施例1〕
(実施例1としてのマイクロマニピュレータの構成)本
発明の実施例1としてのマイクロマニピュレータは、図
1に示すように、マイクロマニピュレータ本体Mと、マ
ニピュレーション対象物体9上に同本体Mを支持する支
持台8と、制御装置7とから構成されている。
【0037】支持台8は、物体9を置く安定した基部8
0と、基部に支持されて上方へ延びている支柱81と、
肱関節部82を介して支柱81に支持されている支持腕
83とからなる。支持腕83の先端には、マイクロマニ
ピュレータ本体Mの上端部の関節3の保持部材33が接
合固定されており、マイクロマニピュレータ本体Mは、
物体9の直上に、前後(図中左方を前方とする)に傾動
可能に関節3で支持されている。
【0038】制御装置7は、マイクロマニピュレータ本
体Mに供給する印加電圧の信号波形を生成する電子装置
であり、外部配線70を介してマイクロマニピュレータ
本体Mの関節3に接続されている。マイクロマニピュレ
ータ本体M(以下、単にマイクロマニピュレータと呼
ぶ)は、上方から順に大きく分けて、関節3、第1アク
チュエータ1、中間部材4、三本の第2アクチュエータ
2および指先部材5から構成されている。
【0039】ここで、関節3は、第1アクチュエータ1
の上端を曲げ変位(前後の傾動)可能に支持している。
第1アクチュエータ1には、軸心に沿って連通孔10が
形成されており、その中をリード線(配線)6が通して
ある。第1アクチュエータ1は、対向して積層された多
数の圧電ユニモルフ組体17と、上下両端部の端末部材
(接続用の強度部材)18とから構成されている。第1
アクチュエータ1は、後述するように、区画された圧電
素子の電極に印加される信号電圧により、曲げ変形およ
び伸縮変形をする。
【0040】第1アクチュエータ1の下端には、中間部
材4が接合固定されている。中間部材4は、上端が第1
アクチュエータ1に接合され外周に雄ねじが形成されて
いる雄ねじ部41と、その雄ねじに内周面に形成されて
いる雌ねじで螺合している調整ウエイト42と、雄ねじ
部41の下端から周囲にフランジ状に拡がっているフラ
ンジ部43とからなる。したがって、調整ウエイト42
の位置を上下に調整することにより、本マイクロマニピ
ュレータの関節3から下の部分の慣性モーメントを微調
整することができる。
【0041】なお、中間部材4にも中心軸に沿って上下
に連通している中間連通孔40が形成されている。リー
ド線6は、第1アクチュエータ1の連通孔10から連続
して中間連通孔40内に配設され、中間部材4下端から
各第2アクチュエータ2に接続している。フランジ部4
3の下面には、三本の第2アクチュエータ2の上端部が
接合されて並列に配設されている。三本の第2アクチュ
エータ2は、フランジ部43の下面の正三角形の各頂点
にあたる位置に接合されており、印加電圧が無い状態で
三本の中心軸線をそれぞれ互いに平行である。三本の第
2アクチュエータ2は、第1アクチュエータ1にかかる
印加電圧とは独立した印加電圧(信号電圧)により、上
記正三角形の中心方向へ同時に曲げ変形することができ
る。
【0042】各第2アクチュエータ2の下端には、針状
の先端部51をもつ指先部材5が、その上端の接合部5
0でそれぞれ接合されて、下方に置かれた物体9に向か
って延びている。印加電圧の無い状態では、各先端部5
1の先端も、水平面上で正三角形の各頂点にあたる位置
を占位している。本実施例のマイクロマニピュレータに
おいては、主要な配線はリード線6によっている。リー
ド線6は、第1アクチュエータ1の印加電圧用に三本、
第2アクチュエータ2の印加電圧用に一本の計四本であ
る。(その他に、図示しない接地線があり、これを電位
ゼロとして上記四本のリード線6は電位をもつ。)第2
アクチュエータ2用のリード線6の両端部を除く大部分
は、前述のように第1アクチュエータ1の連通孔10と
中間部材4の中間連通孔40との中に配設され、保護さ
れている。
【0043】(実施例1の第1アクチュエータの構成お
よび作用)第1アクチュエータ1および第2アクチュエ
ータ2は、大きさ(図1参照)は異なるが基本構造は共
通の積層型圧電アクチュエータである。第1アクチュエ
ータ1では、図2に示すように、対向して重ねられた二
つの圧電ユニモルフ16で構成されている圧電素子組体
17を単位要素として、圧電素子組体17が中心軸に沿
って同軸に五個積層されている。第1アクチュエータ1
は、上記五個の圧電素子組体17と、その両端部に接合
されている端部部材18(図1参照)とからなる。端部
部材18には、中心に上下に連通する連通孔が形成され
ている。
【0044】圧電素子組体17は、薄膜電極13を互い
に対向させて重ねられた一対の圧電ユニモルフ16と、
両者の間を連結する外周連結部材14と、隣接する他の
圧電素子組体17との間を連結する組体連結部材15と
から構成されている。外周連結部材14および組体連結
部材15は、ともに導電性のステンレス鋼からなり、両
者14,15の数は、一つの圧電素子組体17あたり各
々3である。圧電ユニモルフ16の中心には連通孔10
が貫通しており、第1アクチュエータ1の両端の端部部
材18の連通孔をも通じて上下に連通している。
【0045】ここで、外周連結部材14は、圧電ユニモ
ルフ16の全外周縁に配設されていても良く、あるい
は、隣接する外周連結部材14と適当な間隙を空けて部
分的に配設されていてもよい。圧電ユニモルフ16は、
図3(a)〜(b)に示すように、ステンレス鋼製の金
属円盤11と、金属円盤11の一側面に接合定着してい
る圧電材料(PZT)12と、圧電材料12の表面に形
成されている薄膜電極13とから構成されている。金属
円盤11は、圧電材料12を挟んで薄膜電極13と反対
側にあり、圧電ユニモルフ16の一方の電極としても作
用する。
【0046】薄膜電極13は、銀ペーストから形成され
た導電性の薄膜で、図示しない導線から印加電圧を受け
る。一つの圧電ユニモルフ16について、薄膜電極13
は分割されて三つあり、図3(a)に示すように、三つ
の薄膜電極13は、扇状に区画されて中心から120°
ずつ角度等間隔に配設されている。それゆえ、図4
(a)に示すように、三つの薄膜電極13のうち一つに
印加電圧Eが加えられると、圧電材料12の圧電作用に
より、図4(b)に示すように、電圧印加のある薄膜電
極13の部分は弾性変形して曲率をもつ。
【0047】したがって、印加電圧の無い状態では、図
5(a)に示すように、第1アクチュエータ1の要部は
直立しており、変形はない。しかし、各圧電ユニモルフ
16において前述のように三つの薄膜電極13のうち一
つに印加電圧がかかると、図4(b)に示した圧電ユニ
モルフ16の部分的な変形が、組体連結部材15により
隣接する圧電素子組体17に伝達される。
【0048】ここで、三つに区画されている薄膜電極1
3は、全ての圧電ユニモルフ16を通じて方位が合わせ
てあり、同一方位の薄膜電極13は互いに導通していて
同一の印加電圧が加えられるように、第1アクチュエー
タ1内の回路は構成されている。一方、全ての金属円盤
11は、外周連結部材14および組体連結部材15を介
して互いに導通している。それゆえ、全ての圧電ユニモ
ルフ16は、同一の方位で同一の変位だけ変形するの
で、第1アクチュエータ1は、これらの変位の総和とし
ての変位を生じる。
【0049】したがって、図5(b)に示すように、一
方位(図中右側)の薄膜電極13に印加電圧があると、
第1アクチュエータ1はXの方向(図中左方)に曲げ変
形する。薄膜電極13の選択を変えることにより、12
0°ずつ離れた三つの方向へ第1アクチュエータ1を曲
げ変形させることが可能である。さらに、上記三つの方
向への変位を重畳することで、第1アクチュエータ1を
任意の方向へ曲げ変形させることができる。
【0050】また、図5(c)に示すように、三つの方
位の薄膜電極13の全てに同一の印加電圧をかければ、
軸長方向(図中Z方向または上下方向)に伸縮変形を生
じる。この伸縮変形と前述の曲げ変形とは概ね線型結合
することが可能であるから、第1アクチュエータ1は、
捩じれ変形を除く全ての変形(縦および横の曲げ変形と
伸縮変形)をすることが、所定範囲で可能である。
【0051】(実施例1の第2アクチュエータ2の構成
および作用)三本の第2アクチュエータ2の構成は、第
1アクチュエータ1の構成と概ね同様であるが、各圧電
ユニモルフで三つに区画されている薄膜電極のうち、指
先部材5が中央に寄る方向に傾く方向の一区画の薄膜電
極にのみ配線されている。したがって、作用において
は、変形が一方向への曲げ変形のみに限定されているの
で、各第2アクチュエータ2の先端に装着されているそ
れぞれの指先部材5で物体9をつかむことに、第2アク
チュエータ2の機能は限定されている。すなわち、第2
アクチュエータ2および指先部材5の機能は、マニピュ
レーション対象の物体9を掴み、所望の時間把持したま
まの状態に保ち、所望に時刻に物体9を放すことに限定
されている。
【0052】それゆえ、第2アクチュエータ2にも連通
孔が形成されているが、同連通孔の中に配設されている
リード線は一本だけであり、その分シンプルで断線の心
配が少ない。なお、第2アクチュエータ2の圧電ユニモ
ルフの金属円盤については、全ての金属円盤が各連結部
材を通して導通しており、中間部材4を介して第1アク
チュエータ1の各金属円盤11にも導通して共通電極を
形成している。
【0053】(実施例1の関節の構成および作用)本実
施例のマイクロマニピュレータの関節3は、再び図1に
示すように、接続部材31と摺動部材32と保持部材3
3と、バネ34およびネジ35とから構成され、保持部
材33の側面で支持腕83の先端に固定されている。接
続部材31は、図1および図6に示すように、下端にフ
ランジ部をもつパイプ状のステンレス鋼製の部材であ
り、上端部では摺動部材32に接合され、下端で第1ア
クチュエータ1の上端(端部部材18)に接合してい
る。接続部材31の軸心部には、連通孔30が上下に貫
通して形成されており、上方で摺動部材32の内部空間
300に連通し、下方では第1アクチュエータ1の連通
孔10に連通している。
【0054】摺動部材32は、全体の形状が中空円筒体
をしており、中心軸線が水平かつ前後への傾動方向(図
1中の左右方向)に直交するよう、中心軸線を左右方向
(図1中の前後方向)へ向けて保持部材33内に保持さ
れている。摺動部材32は、図6に示すように、四つの
円盤状の絶縁体325と、これらにより互いに絶縁され
ている中空円筒状でステンレス鋼製の摺接電極320〜
324とから構成されている。接続部材31および摺接
電極320には、水平な軸心に沿って連通孔状の内部空
間300が形成されている。中央の摺接電極320の外
周部の一方には、接続部材31の上端部が接合してお
り、接続部材31の連通孔30は、摺接電極320内で
摺動部材32の内部空間300と連通している。
【0055】各アクチュエータ1,2からのリード線6
は、接続部材31の連通孔30から内部空間300に延
びて、各摺接電極320〜324の内周面にそれぞれ接
続されている。摺接電極320〜324のうち、中央の
摺接電極320は、リード線6を介することなく、接続
部材31を介してアクチュエータ1,2の共通電極(金
属円盤11等)に導通している。一方、摺接電極321
〜323は、三本のリード線6を通じ、それぞれ第1ア
クチュエータ1の各区画の薄膜電極13に導通してい
る。また、摺接電極324は、第1アクチュエータ1の
連通孔10を通る一本のリード線6により、第2アクチ
ュエータ2の単一の区画の薄膜電極に導通している。
【0056】保持部材33は、図7に示すように、摺動
部材32を収容する溝ないし孔が形成されているブロッ
ク状の絶縁部材であり、その下端部では、対向する内側
面が円筒面に形成されて、前述の摺動部材32の円筒状
の外周面としている。摺動部材32は保持部材33に挟
持されているとともに、上方からネジ35により押圧力
調整可能なバネ34によって、下方に押圧されている。
バネ34は、その下端に接合されている絶縁性の当接部
材36を介して、摺動部材32の上端部に当接している
ので、バネ34による短絡の心配はない。
【0057】したがって、保持部材33およびバネ34
等により、摺動部材32は所定の範囲で前後に回動可能
に支持されており、摺動部材32の回動には、調整可能
なバネ34により適当な摩擦力(摩擦モーメント)も与
えられている。すなわち、摺動部材32および接続部材
31以下の各アクチュエータ1,2、中間部材4および
指先部材5は、関節3で前後に傾動することができる。
【0058】また、保持部材33の下端部には、外側面
からリベット状で銅製の固定電極330〜334が五
本、並んで挿置されている。固定電極330〜334の
先端は、保持部材33の一方の内側面にわずかに突出し
て、摺接電極320〜324の外周面にそれぞれ接触し
て導通している。したがって、制御装置7からの印加電
圧は、五本の外部配線70を通じて各固定電極330〜
334に伝導され、それぞれ摺接電極320〜324を
通じて四本のリード線6および接続部材31に導通して
いる。
【0059】(実施例1としてのマイクロマニピュレー
タの作用効果)本実施例のマイクロマニピュレータは、
以上のように構成されているので、以下の作用効果を生
じる。第1に、第1アクチュエータ1は、印加電圧によ
り縦方向および横方向に曲げ変形するので、第1アクチ
ュエータ1によって縦横への微動が可能である。また、
第1アクチュエータ1のインパクト駆動によって、関節
3での曲げ変位を生じて前後方向に粗動を行うことが可
能である。
【0060】第2に、三つの指先部材5をそれぞれに支
持している第2アクチュエータ2を装備しているので、
全ての第2アクチュエータ2で曲げ変形を行い、指先部
材5の先端を互いに近接させて、物体9を把持すること
ができる。そして、第2アクチュエータ2の曲げ変形に
より物体9を把持した状態のまま、第1アクチュエータ
1の前後の曲げ変形によるインパクト駆動を行えば、物
体9を取り落とす恐れ無しに、確実に同物体を所望の位
置へ移送することが可能である。
【0061】その際、指先部材5および第2アクチュエ
ータ2は先端に近く、慣性モーメントが大きいので、第
1アクチュエータ1の曲げ変形による粗動(関節の角度
変位を伴う移動)が、速やかになるという効果がある。
また、指先部材5が三方向から均等な動作で物体9を把
持するので、把持動作が確実になり、かつ、構成も最も
簡素・安価・堅牢であるという効果もある。
【0062】第3に、本実施例の関節3は一か所にしか
なく、その構成も簡素で堅牢であり、他に摺動する部分
がないので、高信頼性・小型・軽量・低廉でもある。ま
た、マイクロマニピュレータの粗動による傾動方向を、
前後方向のみに限定することができるという効果もあ
る。さらに、固定電極330〜334と摺接電極320
〜324とが導通しており、リード線6は粗動にともな
って屈伸することがないので、関節3付近での配線の断
線がなくなり、信頼性がさらに向上するという効果もあ
る。
【0063】第4に、関節3から各アクチュエータ1,
2に至るまで、配線としての複数のリード線6が、接続
部材31の連通孔30や第1アクチュエータ1の連通孔
10の中をを通っているので、粗動に伴ってリード線6
が絡むことがない。また、同様の理由で、粗動や微動に
伴い、リード線6の被覆が破れて短絡したり漏電したり
断線したりすることも防止される。あわせて、リード線
6の全長の大部分が連通孔30,10,40内にあるの
で、作業者が不用意にリード線6を引っかける事故の可
能性も減少し、外見の美観も向上する。
【0064】第5に、中間部材4の調整ウエイト42の
位置調整により、関節3まわりの慣性モーメントを微調
整することができるので、部品交換などの面倒な作業無
しに粗動特性を調整することができるという効果があ
る。第6に、第1アクチュエータ1は積層型圧電アクチ
ュエータであり、大きな曲げ変位および伸縮変位が得ら
れるので、第1アクチュエータによる微動の範囲が大き
い。また、第1アクチュエータ1の曲げ変形が大きくと
れるので、関節3で角度変位を生じる粗動も、素早く行
うことが可能になる。その際、物体9を把持していて加
速度の急激な変化を嫌う状態でも、第1アクチュエータ
1の曲げ変形が大きいので、大きなストロークで加速度
の変動の周期が比較的長いので、物体9を取り落とす心
配が少ない。
【0065】したがって本手段によれば、前述の第2手
段の効果に加えて、伸縮も含めて微動の守備範囲が広
く、粗動も高速で行うことができ、さらに物体を把持し
て粗動で移送する際に物体の把持がより確実になるとい
う効果がある。以上を総括すると、次のようになる。す
なわち、本実施例のマイクロマニピュレータによれば、
粗動と微動とのいずれも可能で、確実に物体を把持した
まま所定の距離を移送することができる。つまり、伸縮
も含めて微動の守備範囲が広くなり、粗動も高速で行う
ことができ、さらに物体9を把持して粗動で移送する際
に物体の把持がより確実になるという効果がある。ま
た、従来技術に比べて、いっそう小型・軽量・低廉なマ
イクロマニピュレータを提供することができるという効
果がある。
【0066】(実施例1の変形態様1)前述の関節3の
接続部材31および摺動部材32に代えて、図8に示す
ように、接続部材31に相当する部分31’と摺動部材
32に相当する部分32’とが絶縁性の樹脂で一体に成
形されている一体部材37を用いる変形態様が可能であ
る。一体部材37の円筒状部32’の外周面には、摺接
電極320〜324に相当する位置にプリント配線6’
で摺接電極部分61が形成され、摺接電極320〜32
4と同様の作用をしている。プリント配線6’は、摺接
電極部分61から延びて配線部分62を形成し、一体部
材37の下端にまで達しており、下端付近で第1アクチ
ュエータ1の連通孔10から延びているリード線6等に
接続している。
【0067】本変形態様によれば、リード線6の全長が
短くなり、かつ、露出する部分も減るので、マイクロマ
ニピュレータにリード線6が絡むことがより確実に防止
され、信頼性が高まるという効果がある。また、樹脂の
一体部材37の表面にプリント配線6’が形成されてい
るであるから、大量生産に好適で安価に製造できるとい
う利点もある。
【0068】(実施例1の変形態様2)実施例のマイク
ロマニピュレータにおいて、各第2アクチュエータ2の
三方位の薄膜電極13に導通するリード線6の数を増や
し、三本ある第2アクチュエータ2を各々独立して縦横
の曲げ変形および伸縮変形が可能とした変形態様もあり
うる。
【0069】本変形態様では、第2アクチュエータ2も
それぞれに微動が可能であるほか、粗動を行う際も第1
アクチュエータ1と同期して曲げ変形すれば、より大き
な慣性力を生じて粗動速度を向上することができる。 (実施例1の変形態様3)実施例1の第1アクチュエー
タ1を構成する圧電ユニモルフ16の薄膜電極13は、
三つの区画に分割されていたが、関節3の曲げ方向と異
なる方向には微動も行わないとすれば、薄膜電極13の
区画を180°ずつの二つ割りにした変形態様も可能で
ある。本変形態様によれば、マイクロマニピュレータの
価格がより安価になるという効果がある。
【0070】また、同様に第2アクチュエータ2の圧電
ユニモルフの薄膜電極の区画を二つ割りにして、物体9
をつかむ動作と物体9を放して開く動作との一自由度の
みに第2アクチュエータ2の機能を絞ってもよい。薄膜
電極13の二つの区画にそれぞれ正負の電圧を印加すれ
ば、実施例1よりも指先部材5の動く範囲が拡がり、か
つ、コストダウンにもなるという効果がある。
【0071】(実施例1の変形態様4)実施例1の第2
アクチュエータ2に、積層型圧電アクチュエータに代え
て、金属板の表裏両面(片面でもよい)に薄膜電極付き
の圧電材料の層が形成されている板状圧電素子を用いた
変形態様も可能である。三枚の板状圧電素子は、把持動
作をすべき中心に向けて配設されていので、本変形態様
によれば、より長いストロークで指先部材5の先端を動
かすことができる。また、本変形態様にはコストダウン
の効果もある。
【0072】(実施例1の変形態様5)以上の実施例1
およびその変形態様1〜4では、アクチュエータの構成
を二段にしていたが、三段以上の構成の変形態様も可能
である。その一例としては、実施例1の第1アクチュエ
ータ1を、上半部の上腕アクチュエータと下半分の下腕
アクチュエータとに分けて、独立して制御することがで
きるようにしたマイクロマニピュレータがあり得る。本
変形態様によれば、肱(上腕と下腕とを接続する関節)
を曲げることにより、指先部材5が物体9に接近する角
度を調整することも可能になる。
【0073】(実施例1の変形態様6)前述の実施例1
の摺動部材32において、接続部材31の連通孔30を
通って配置されていたリード線6は、内部空間30を通
って外部に配設し、外部配線70に接続している構成の
変形態様を取ってもよい。本変形態様では、摺動部材3
2は単なる円筒材として形成され、さらに摺動部材32
および当接部材36などの材料が絶縁材料に限定されず
に済む。したがって本変形態様によれば、関節3の構成
が簡素であり、関節3を構成する各部材の材料の選定も
より広範な範囲から選定することが可能になるので、関
節3をより安価かつ堅牢に構成することができるという
効果がある。
【0074】また、本変形態様の上記リード線6に、前
述の共通電極に導通している接地線をも加えると、いっ
そう簡素な構成になり、関節3の材料の選択肢も拡がる
ので、いっそう安価かつ堅牢な関節3を構成することが
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としてのマイクロマニピュレータの
構成を示す側面図
【図2】 実施例1の第1アクチュエータの積層単位の
構成を示す断面図
【図3】 実施例1の圧電ユニモルフの印加電圧のない
状態を示す組図 (a)平面図 (b)側断面図
【図4】 実施例1の圧電ユニモルフの印加電圧のある
状態を示す組図 (a)平面図 (b)側断面図
【図5】 実施例1の第1アクチュエータの変位作用を
示す組図 (a)変形のない状態を示す側端面図 (b)曲げ変形状態を示す側端面図 (c)伸縮変形状態を示す側端面図
【図6】 実施例1の関節の摺動部材および接続部材の
構成を示す断面図
【図7】 実施例1の関節の構成を示す断面図
【図8】 実施例1の変形態様1の関節の一体部材の構
成を示す背面図
【符号の説明】
1:第1アクチュエータ(積層型圧電アクチュエータ)
10:連通孔 11:金属円盤 12:圧電材料(PZT) 1
3:薄膜電極(銀) 14:外周連結部材 15:組体連結部材 16:
圧電ユニモルフ 17:圧電素子組体 18:端部部材 2:第2アクチュエータ(積層型圧電アクチュエータ)
20:連通孔 3:関節(円筒型ジョイント) 30:連通孔 3
00:内部空間 31:接続部材 32:摺動部材(円筒形状) 320〜324:摺接電
極 325:絶縁部材 33:保持部材 330〜333:固定電極 34:バネ 35:ネジ 36:当接部材 3
7:一体部材 4:中間部材 40:中間連通孔 41:雄ねじ部 42:調整ウエイト 43:フランジ部 5:指先部材(エンドエフェクタ) 51:先端部
50:接合部 6:リード線(配線) 6’:プリント配線 7:制御装置(外部回路) 70:外部配線 8:支持台 80:基部 81:支柱 82:肱関節
部 83:支持腕 9:物体(把持すべきマニピュレーション作業の対象
物) M:マイクロマニピュレータ本体 X,Y:縦横の曲げ変位 Z:伸縮変位

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸心に沿って連通孔が形成されており、信
    号により曲げ変形する第1アクチュエータと、 該第1アクチュエータの一端を曲げ変位可能に支持して
    いる関節と、 該第1アクチュエータの他端に固定されている中間部材
    と、 該中間部材に一端が支持され、別の信号により曲げ変形
    する複数の第2アクチュエータと、 各該第2アクチュエータの他端にそれぞれ接合されてい
    る指先部材と、 少なくとも一部は該連通孔内に配設され、各該第2アク
    チュエータに信号を伝達する配線と、を備えていること
    を特徴とするマイクロマニピュレータ
  2. 【請求項2】前記第1アクチュエータおよび前記第2ア
    クチュエータは、前記信号としての印加電圧による圧電
    材料の変形で作動する圧電アクチュエータであり、 前記配線は、導電性のリード線である請求項1記載のマ
    イクロマニピュレータ。
  3. 【請求項3】前記中間部材には、前記第1アクチュエー
    タの前記連通孔と連通し、一端から他端へ連通している
    連通孔である中間連通孔が形成されており、 前記配線は、該第1アクチュエータの該連通孔から連続
    して該中間連通孔内にも配設されている請求項1記載の
    マイクロマニピュレータ。
  4. 【請求項4】前記中間部材および指先部材のうち少なく
    とも一方は、着脱および位置調整のいずれかが可能であ
    る所定の質量の調整ウエイトを有する請求項1記載のマ
    イクロマニピュレータ。
  5. 【請求項5】前記関節は、 一端で前記第1アクチュエータの前記一端に接合してい
    る接続部材と、 該接続部材の他端に接合されており、外周面のうち少な
    くとも一部は略円筒面である摺動部材と、 該摺動部材の該外周面の一部に当接し、所定の摩擦力で
    保持する保持部材と、を有し、 該保持部材により、該摺動部材は所定の範囲で回動可能
    に支持されている請求項1記載のマイクロマニピュレー
    タ。
  6. 【請求項6】前記関節において、 前記保持部材は、内周面に表出している少なくとも一つ
    の固定電極を有し、 前記摺動部材は、外周面に表出して該固定電極にそれぞ
    れ摺接して導通している摺接電極を有しており、 各該固定電極は、前記印加電圧を与える外部回路に接続
    され、各該摺接電極は、前記配線と導通している請求項
    5記載のマイクロマニピュレータ。
  7. 【請求項7】前記関節は、 一端で前記第1アクチュエータの前記一端に接合してい
    る接続部材と、 該接続部材の他端に接合されており、外周面のうち少な
    くとも一部は略球面であるボールと、 該ボールの該外周面の一部に当接し、所定の摩擦力で保
    持するソケットと、を有し、 該ソケットにより、該ボールは所定の範囲で縦横に傾動
    可能かつ軸心回りに回動可能に支持されている請求項1
    記載のマイクロマニピュレータ。
  8. 【請求項8】前記第2アクチュエータには、軸心に沿っ
    て連通孔が形成されている請求項1記載のマイクロマニ
    ピュレータ。
  9. 【請求項9】前記第2アクチュエータは3本あり、前記
    中間部材に接合されている前記一端と前記指先部材の先
    端部とのうち、少なくとも一方が略正三角形状に配設さ
    れている請求項1記載のマイクロマニピュレータ。
  10. 【請求項10】前記第1アクチュエータおよび前記第2
    アクチュエータのうち少なくとも一方は、複数の区画に
    分割されている電極をもつ圧電バイモルフおよび圧電ユ
    ニモルフのうち、いずれかが複数個積層され、伸縮変形
    と曲げ変形とが可能な積層型圧電アクチュエータである
    請求項2記載のマイクロマニピュレータ。
  11. 【請求項11】前記第1アクチュエータおよび前記第2
    アクチュエータのうち少なくとも一方は、バネ弾性をも
    つ柱状部材と、該柱状部材の側面に形成されている複数
    の圧電素子とからなる柱状圧電アクチュエータである請
    求項2記載のマイクロマニピュレータ。
JP8079018A 1996-04-01 1996-04-01 マイクロマニピュレータ Pending JPH09267279A (ja)

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