JPH09265054A - 車両用ヘッドアップ型表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 〔課題〕 ドライバーの顔面の高さの変動に伴う表示の
効果の低下を防止できる車両用ヘッドアップ型表示装置
を提供する。 〔解決手段〕 車両前方の車体又は車体に付加した物体
の輪郭線の一部を画像情報の一つとして車両前方の情景
に重ね合わせて表示する表示手段(1,3) と、この表示さ
れた輪郭線の一部の表示位置を実際の輪郭線に重なるよ
うにドライバーの指令に応じて変更する表示位置変更手
段（1,6,8)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、乗用車やトラックなど
の各種の車両に搭載される車両用ヘッドアップ型表示装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】乗用車やトラックなどの各種の車両につ
いては、特開昭63ー243816号公報や特開昭64ー83424 号
公報などに開示されたように、車速や演算によって求め
た予測走行軌跡などの表示データを文字、記号、図形な
どで構成される画像情報としてフロントガラスの前方に
虚像として表示するヘッドアップ型表示装置が知られて
いる。このヘッドアップ型の表示装置では、ドライバー
が前方の情景に重ね合わせた状態で表示データを目視す
ることができるため、従来のように速度計やナビゲーシ
ョン装置の案内画面などを読み取るために視線の一部を
前方の情景からそらす必要がなくなり、運転の安全性と
快適性が向上する。

【０００３】上記ヘッドアップ型表示装置としては、特
開平 6ー215300号公報に記載されているように、レーダ
ーを利用して車両前方の障害物を検出し、車両前方の情
景中に存在する対応の障害物を囲む枠組をヘッドアップ
表示することによってドライバーに警告を発する装置も
知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記特開平 6ー215300
号公報に記載されたような応用例では、ドライバーが見
る情景中の物体とヘッドアップ表示対象の画像情報とが
ほぼ重なって見える必要がある。しかしながら、ドライ
バーからの情景中の物体への距離とヘッドアップ表示が
結像する面（虚像面）への距離とは同じであるとは限ら
ないため、両者の重なり方はドライバーの顔面（正確に
は両眼）の位置に応じて異なることになる。顔面の位置
のうち左右の位置は運転席によって固定されるため変動
しないが、顔面の高さはドライバーの座高などに応じて
変動する。このように、ドライバーの顔面の高さの変動
に伴って表示画像情報と情景との重なりにずれが生じ、
ヘッドアップ表示の効果が低下するという問題がある。
従って、本発明の目的は、ドライバーの顔面の高さの変
動に伴う表示の効果の低下を防止できる車両用ヘッドア
ップ型表示装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係わる車両用ヘ
ッドアップ型表示装置は、車両前方の車体又は車体に付
加した物体の輪郭線の一部を画像情報の一つとして車両
前方の情景に重ね合わせて表示する手段と、この表示さ
れた車体の輪郭線の一部の表示位置をドライバーの指令
に応じて変更する手段とを備えている。

【０００６】車両前方の車種に応じた車体などの輪郭線
の一部を表す座標データが保存され、これがヘッドアッ
プ表示される。ドライバーは、ヘッドアップ表示された
車両前方の車体などの輪郭線の一部が実際の車両前方の
車体などの輪郭線に一致するように、ヘッドアップ表示
装置を調整する。この調整によって、ドライバーの座高
の違いに基づく顔面の高さ方向のバラツキがほぼ吸収さ
れ、実際の情景中の物体とこの物体に対応してヘッドア
ップ表示される画像情報とをほぼ重ね合わせることがで
きる。以下、本発明を実施例と共に更に詳細に説明す
る。

【０００７】

【実施例】図１は、本発明の一実施例の車両用ヘッドア
ップ型表示装置の構成を例示するブロック図であり、１
はＣＰＵ、２はデータメモリ、３はヘッドアップ表示
部、４は障害物検出部、５，６は入出力インタフェース
部、７はキーボード、８はスライドスイッチ、９はスピ
ーカである。ヘッドアップ表示部３は、描画プロセッサ
３ａ、フレームメモリ３ｂ、表示制御部３ｃ、液晶表示
パネル３ｄ及びフロントガラスを利用したコンバイナ３
ｅを備えている。

【０００８】ＣＰＵ１は、車両内の各部に配置された各
種のセンサから入出力インタフェース部５を介して車
速、加速度、ヨーレイトなど車両の走行状態を示す情報
を読取り、これらの情報を用いて予測走行軌跡など表示
対象画像の算定を行う。また、ＣＰＵ１は、レーダーな
どで構成される障害物検出部４から入出力インタフェー
ス部５を介して障害物に関する情報を読取り、上記表示
対象の予測走行軌跡などに照らしてその危険度を判定す
る。ＣＰＵ１は、必要な場合、スピーカ９を鳴動させる
ことによりドライバーに対し警告を発する。ＣＰＵ１は
上記算定した予測走行軌跡をヘッドアップ表示させ、あ
るいは検出した危険な障害物などを囲む枠組をヘッドア
ップ表示させるために、ヘッドアップ型表示部３に表示
指令を発する。

【０００９】ＣＰＵ１は、ヘッドアップ表示対象の文
字、記号、図形などの画像の描画を、描画プロセッサ３
ａに通知する。この通知を受けた描画プロセッサ３ａ
は、ＣＰＵ１の指令に従って種々の画像を作成し、これ
をフレームメモリ３ｂに書込む。フレームメモリ３ｂ内
に書込まれた画像は、表示制御部３ｃによってフレーム
メモリ３ｂからその書込みアドレス順に一定周期で読出
され、バックライト型の液晶表示パネル３ｄ上に表示さ
れる。液晶表示パネル３ｄ上に表示された画像は、フロ
ントガラスを利用したコンバイナ３ｅで反射され、ドラ
イバーの目に入射する。

【００１０】ドライバーは、その目に入射する反射光線
をあたかもその延長線上に存在する虚像から発せられた
光線であるかのように目視によって感得する。すなわ
ち、コンバイナ３ｅの前方の所定の位置に液晶表示パネ
ル３ｄの虚像３ｆがほぼ垂直に結像され、ドライバーは
この液晶表示パネルの虚像３ｆを車両前方の情景と重ね
合わせた状態で感得する。

【００１１】ドライバーは、必要に応じて車両の走行開
始前などの適宜な機会に、ヘッドアップ表示部３による
表示データの表示位置の調整を行う。ＣＰＵ１は、ドラ
イバーがキーボード７と入出力インタフェース部６とを
介して入力する表示位置の調整の指令を受け取ると、デ
ータメモリ２に予め登録済みの車両前方の車体の輪郭線
の一部及びドライバーの目の位置の３次元座標データを
読出し、輪郭線上の点とドライバーの目を結ぶ直線が液
晶表示パネルの虚像３ｆを含む面（ヘッドアップ表示の
結像面）と交わる点を算出する。虚像３ｆを含む面は、
光学系部品の配置より既知であり、この面上の点は、液
晶表示パネル３ｄ上の画素に対応している。ＣＰＵ１
は、この画素の位置を描画プロセッサ３ａに転送し、描
画を指令する。ドライバーの目の位置のデータは、所定
の標準値あるいは前回の調整時に得られたデータであ
る。座標系は車体に対し固定されているものとする。

【００１２】図２に側面図で例示するように、実際の車
両前方の車体の輪郭線の位置はＣｖであり、これに対し
て、液晶表示パネルの虚像３ｆ内の車両前方の輪郭線の
表示位置がＣａ又はＣｂであるとする。ドライバーの左
右の目がＥａの高さにありしかも輪郭線の表示位置がＣ
ａであれば、ドライバーから見た表示中の輪郭線と実際
の輪郭線とが一致する。ドライバーの左右の目がＥｂの
高さに変化した後も輪郭線の表示位置が依然としてＣａ
であれば、ドライバーから見た表示中の輪郭線と実際の
輪郭線とは一致しない。この場合、ドライバーの目の位
置のデータをＥａからＥｂの高さに近づけていくことに
より、輪郭線の表示位置をＣａからＣｂに近づけてい
き、ドライバーから見た表示中の輪郭線と実際の輪郭線
とが一致せしめられる。すなわち、両輪郭線が一致した
とき、ドライバーの目の高さデータが得られたことにな
る。

【００１３】上記の目の高さデータの変更による表示位
置の変更は、ドライバーが実際の輪郭線とヘッドアップ
表示中の輪郭線とを目視によって照合しながら目の高さ
データを指定するためのスライドスイッチ８を操作する
ことによって実現される。ＣＰＵ１は、表示位置の調整
が終了すると、得られた目の高さデータをデータメモリ
２に書込む。ＣＰＵ１は、得られた目の位置と表示を重
ね合わせたい前方情景中の物体とを結ぶ線が虚像３ｆを
含む面と交わる点の付近に所望の表示をするよう、描画
プロセッサ３ａに指令を行う。すると、前方のどのよう
な物体に対してもドライバーから見て重合した表示がで
きる。

【００１４】車体の輪郭線としては、乗用車の場合には
曲線状のボンネットの輪郭線などが利用でき、トラック
などではバンパーなどに立てたアンテナなどが利用でき
る。あるいは、本発明のために、輪郭線を調整するため
の適宜な物体を車体の前方に付加することもできる。

【００１５】上記調整は、目の位置の高さに関するもの
のみを示したが、より正確に行うために、目の前後方向
の位置をも考慮した調整を行うこともできる。この場合
は、運転座席の前後方向のスライド位置から運転者の目
の前後方向の位置をおおよそ知ることができ、それに加
えて上記の高さ方向の調整を行えばよい。

【００１６】また、液晶表示パネルの虚像を車両の前方
にほぼ直立させて結像する構成を例示した。しかしなが
ら、この直立の構成に代えて液晶表示パネルの虚像を高
い部分ほど車両から遠方に位置するように斜めの状態で
車両の前方に結像させる構成を採用することもできる。

【００１７】さらに、ヘッドアップ表示装置を予測走行
軌跡算定機能や障害物検出機能と組合せる構成を例示し
た。しかしながら、このような機能に加えて、地図デー
タと車両の現在位置検出手段とを備えヘッドアップ表示
対象の道案内用の道路標識などの作成を描画プロセッサ
３ａに指令するナビゲーション機能など他の適宜な機能
を追加したりすることもできる。

【００１８】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
車両前方の車体などの輪郭線の一部を画像情報の一つと
して車両前方の情景に重ね合わせてヘッドアップ表示
し、ドライバーの指令に応じて変更することによって表
示位置を調整する構成であるからドライバーの座高の違
いに基づく顔面の高さ方向のバラツキがほぼ吸収され
る。この結果、実際の情景中の物体とヘッドアップ表示
される画像情報とをほぼ重ね合わせることができ、ヘッ
ドアップ表示の効果を保つことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の車両用ヘッドアップ表示装
置の構成を示すブロック図である。

【図２】本発明の作用を説明するための側面図である。

【符号の説明】

１ ＣＰＵ ２ 車両前方の車体の輪郭線データを登録しておくデー
タメモリ ３ ヘッドアップ表示部 3a 描画プロセッサ 3b フレームメモリ 3c 表示制御部 3d 液晶表示パネル 3e フロントガラスを兼ねるコンバイナ 3f 車両の前方に結像された液晶表示パネルの虚像 ４ 障害物検出部 5,6 入出力インタフェース部 ７ キーボード ８ 表示位置の変更を指令するためのスライドスイッチ ９ スピーカ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】文字、記号又は図形の少なくとも一つを含
   む画像情報を車両前方の情景に重ね合わせて表示する車
   両用ヘッドアップ型表示装置において、 車両前方の車体又は車体に付加した物体の輪郭線の一部
   を前記画像情報の一つとして車両前方の情景に重ね合わ
   せて表示する表示手段と、 この表示された輪郭線が実際の輪郭線と重なり合うよう
   に、その表示位置をドライバーの指令に応じて変更する
   表示位置変更手段とを備えたことを特徴とする車両用ヘ
   ッドアップ型表示装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記表示位置変更手段による表示位置の変更により車体
   に対するドライバーの目の位置を取得し、その位置にか
   かわらず画像情報を車両前方の情景に重ね合わせて表示
   可能にしたことを特徴とする車両用ヘッドアップ型表示
   装置。
3. 【請求項３】 請求項１又は２において、 前記表示手段は、前記車両内で検出された車両前方の障
   害物を囲むための枠組又は障害物を指し示す表示を車両
   前方の情景中の対応の物体とほぼ重ね合わせてヘッドア
   ップ表示する手段を備えたことを特徴とする車両用ヘッ
   ドアップ型表示装置。