JPH09264893A - 乾式分析素子の測定値校正方法 - Google Patents

乾式分析素子の測定値校正方法

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JPH09264893A
JPH09264893A JP9742396A JP9742396A JPH09264893A JP H09264893 A JPH09264893 A JP H09264893A JP 9742396 A JP9742396 A JP 9742396A JP 9742396 A JP9742396 A JP 9742396A JP H09264893 A JPH09264893 A JP H09264893A
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lot
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Hajime Makiuchi
肇 牧内
Masaaki Terajima
正明 寺嶋
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾式分析素子により得られる被検物の測定値
を、複数の校正液の表示値とその測定値とから求めた校
正曲線を用いて校正する方法において、カットオフ値近
傍の測定値をより高精度に校正する。 【解決手段】 複数の校正液のうち特定濃度範囲の表
示値とその測定値に対して重み付けを行って校正曲線を
求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式分析素子の測定値
の校正方法に関するものである。詳しくは、乾式分析素
子を用いて測定した血液、尿などの液体成分に含まれる
生化学物質の測定値(濃度値または活性値)を校正曲線
を用いて校正する際に、校正曲線を作成するための校正
液の測定データのうち特定レベルのデータを重み付けし
て校正曲線を作成し、これを用いて測定値を校正する校
正方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】試料液中の特定の化学成分を定性的もし
くは定量的に分析することは様々な産業分野において一
般的に行われている。特に血液や尿など、生物体液中の
生体成分、薬物などの化学成分や有形成分を定量分析す
ることは、病気の診断や治療経過の判定に非常に有用で
あり、臨床検査の分野においてきわめて重要な役割を果
たしている。
【0003】近年、微量の試料液を滴下付着させて供給
する(この操作を点着(Spotting)という)だけで試料
液中に含まれている特定の化学成分を定量分析すること
ができる乾式分析素子が開発され、その実用化も行われ
ている(例えば、特公昭53-21677(対応米国特許 3,99
2,158)、特開昭55-164356(対応米国特許 4,292,27
2))。この乾式分析素子は、一層又は複数の機能層か
らなる分析素子であって、その少なくとも一層(又は複
数の層にわたって)に分析試薬を含有させ、層内での反
応により生じた生成色素を要素の外から透過光あるいは
反射光により比色定量するものである。分析を行うまで
は乾燥状態で保存・保管されるため試薬を用時調製する
必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が
高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならない
湿式法より簡便性・迅速性に優れている。このように乾
式分析素子を用いる乾式法は、多数の検体試料を取り扱
う臨床検査の分野で自動操作化が容易な分析方法として
急速に普及してきている。
【0004】定量分析に際しては、被検成分(アナライ
ト)を含有する液体試料を乾式分析素子に点着し、反応
後の分析素子の透過光又は反射光の光学濃度を測定して
いる。通常は、濃度既知の標準試料とその光学濃度(透
過光学濃度又は反射光学濃度)との対応関係をプロット
して標準曲線(検量線)を作成しておき、この標準曲線
を使って被検成分の濃度を求めている。
【0005】しかし標準曲線を作成するには多数の標準
試料が必要であり、アッセイ毎に調製するのは煩雑であ
る。特に臨床検査などのように全血、血漿、血清などの
生体体液を試料とする場合には、濃度既知の標準試料
(生体体液)を随時準備してアッセイ毎に調製するのは
困難である。そこで乾式分析素子を用いる自動分析装置
では、予め作成した標準曲線(検量線)を分析装置のメ
モリに記憶させている。この記憶させた標準曲線(基本
検量線又は内蔵検量線と称する)に従って、液体試料中
の被検成分の濃度を求めている。
【0006】この内蔵検量線は、乾式分析素子の多数の
製造ロットの中から基準となるロットを選択して、この
ロットの乾式分析素子と既知濃度の標準試料を用いて標
準曲線(検量線)を作成したものである。高度の品質管
理のもと等しい条件下で製造される乾式分析素子は製造
ロット毎の特性・性能の差は比較的少ないものである
が、高精度の定量分析を行う場合にはそれでも製造ロッ
ト間差に基づく分析値の変動が問題になる場合もある。
【0007】そこでこの内蔵検量線により得られる測定
値(濃度値)を校正するための校正曲線が用いられる。
例えば、複数の所定表示値(濃度:通常3〜4レベル)
の標準液を、1レベルあたり5から10枚の当該分析素
子に点着し、得られた光学濃度から内蔵標準曲線に基づ
き測定値(濃度値)を求め、表示値と測定値とをプロッ
トし校正曲線を得る。この校正曲線を用いて被検試料の
測定値(濃度)を校正するものである。具体的には、各
標準液のデータからこの曲線の関数(通常は2次関数;
例えば、Y=α+βX+γX2)を最小二乗法で求め、
この補正式により測定値の校正を行う。この関数を求め
る操作を自動的に行う分析装置もある。
【0008】特開平5-264535にはこの校正曲線もメモリ
に記憶させておいて、内蔵した基本検量線により求めた
測定値(濃度)をさらに校正してロット間格差を是正す
る自動分析装置が記載されている。すなわち、各製造ロ
ットの乾式分析素子について校正曲線(又は校正曲線の
関数)を予め製造工場で求めておき、この校正曲線の関
数あるいは補正式の補正係数などの校正情報を磁気カー
ドなどの記録媒体に記録し、これを工場から出荷される
各製造ロットの製品と一緒にユーザーに渡す。基準とな
る製造ロットについて作成された標準曲線を既に基本検
量線としてメモリする分析装置に、ユーザーは受け取っ
た記録媒体に記録された校正情報を読み取らせる。分析
装置内では、この校正情報に基づき、当該製造ロットに
対応する校正曲線を作成、あるいは内蔵した基本検量線
を当該ロットに応じた検量線に補正する。分析装置内で
作成された校正曲線によって、製造ロット間格差が解消
された分析値を得ることができる。
【0009】ところで、疾患の種類によっては例えば、
ガンマーカーや特異抗体などの特定の生体成分がある一
定量以上存在するか否かあるいは一定量以下であるか否
かなどにより、当該疾患に罹患しているかを判定する場
合がある。このような判定の基準となるカットオフ値は
医学的有用値とも呼ばれ、このカットオフ値付近の分析
は、他の濃度範囲に比べ高精度であることが望まれる。
従って、医学的有用値を持つような生体成分を分析対象
とする乾式分析素子では、その測定値を校正する際に
も、このようなカットオフ値付近の測定値について、ロ
ット間差のない精度のよい校正を行うことが望ましい。
【0010】
【発明の目的】本発明は、以上のような事情に鑑みなさ
れたものであり、乾式分析素子により得られる被検物の
測定値を校正する際に、カットオフ値近傍の測定値をよ
り高精度に校正することができる乾式分析素子の測定値
の校正方法を提供することを目的とする。
【0011】
【発明の構成】このような本発明の目的は、乾式分析素
子により得られる被検物の測定値を、複数の校正液の表
示値とその測定値とから求めた校正曲線を用いて校正す
る方法において、前記複数の校正液のうち特定濃度範囲
の表示値とその測定値に対して重み付けを行って校正曲
線を求めることを特徴とする乾式分析素子の測定値校正
方法により達成される。
【0012】すなわち本発明は、特定濃度(例えば医学
的有用値)付近のデータに重み付けを行うので、この特
定濃度付近の濃度を持つ試料の測定濃度をより高精度に
校正することができる。
【0013】重み付けに用いる特定濃度範囲のデータ
(表示値、測定値)は、この濃度範囲内の校正液の測定
回数を増やすことにより、他の濃度におけるデータ数よ
りも多くすることができる。これらのデータから回帰関
数を求め校正曲線を作成することができる。必要に応じ
て最小二乗法などを使用することができる。なお校正液
とは校正曲線作成のために使用される濃度既知の標準溶
液である。表示値とは、校正液の既知濃度であり、別の
アッセイ方法などによって求めた値でもよい。また基準
ロットの乾式分析素子を用いてアッセイし得られた光学
濃度を分析装置に内蔵された基本検量線を参照して得た
測定値でもよい。
【0014】重み付けに用いる特定濃度範囲のデータ
(表示値、測定値)は、データ処理の際に当該データの
数のみを複数倍に増やすことにより、他の濃度における
データ数よりも多くしてもよい。この場合には、校正液
の測定を多重回行う必要がないので、校正曲線作成に要
する時間とコストは削減できる。
【0015】
【実施態様の説明】まず、乾式分析素子製造メーカー側
において、測定対象である被検成分の既知で異なる濃度
値(標準濃度値又は表示値)を有する複数の標準液(例
えば人血清試料)について、選択された基準ロットの乾
式分析素子を用いて、被検成分の定量分析を行うのと同
様の操作で反射光学濃度(ODR)を測定する。標準液
中の被検成分の濃度と反射光学濃度(ODR)とをプロ
ットして図1に示すような標準曲線(検量線)を得る。
この検量線は基本検量線として、生化学分析装置に格納
されたメモリに記憶される。このメモリとしては、磁気
ディスク、MO(光磁気ディスク)、CD−ROM、I
Cカード、ROMなどが使用できる。この基本検量線は
測定項目(測定対象成分;アナライト)別に各々作成さ
れ、分析装置に記憶される。
【0016】次に同じ分析装置を用いて、前述の基準ロ
ットとは異なる製造ロットの乾式分析素子についての校
正曲線を求める。少なくとも3レベルの表示値(既知濃
度;a、b、c)を有する標準液(校正液として使用)
を、複数の乾式分析素子(例えば1レベルあたり5〜1
0枚)に点着し、同一アッセイを行い反射光学濃度(O
R)を測定する。求められた反射光学濃度はこの分析
装置内に内蔵記憶された前述の基本検量線と参照され、
各校正液中の被検成分の測定値(濃度:A,B,C)が
求められる。校正液中の被検成分の既知濃度(表示値
a,b,c)と当該製造ロットの分析素子による測定値
とをプロットして図2に示すような校正曲線が得られ
る。
【0017】基準ロットの乾式分析素子を用いてアッセ
イし基本検量線で求めた測定値を表示値(既知濃度)と
した場合には、対象ロットの測定値を校正曲線で校正し
た値は、基準ロットであれば示すはずの値(すなわち基
準値)となる。図2はこのように表示値として基準値を
採用した場合を示す。
【0018】このとき、医学的有用値付近に最も近い濃
度値のレベルの校正液のデータを重み付けする。重み付
けは、当該レベルの校正液についてのみアッセイ回数を
増やして測定データを他の濃度レベルのものより増やす
か、あるいは当該レベルの測定データの数を複数倍に増
やすことにより、他の濃度におけるデータ数よりも多く
してもよい。
【0019】得られた各データを用いて、校正曲線の回
帰関数を求める。校正曲線が2次関数である場合には、
以下のように求めることができる。各データ(X1,Y1)、
(X2,Y2)・・・(XN,YN)について最小二乗法で得られる
2次関数をY= c+dX+eX2(ただし、Y: 測定
値、X:表示値、Nはデータ数であり、重み付けにより
増やされたデータも含む)とすると以下の関係式が成り
立つ。このN+1元の連立1次方程式を解けば、その解
である係数c、d、eが求められる。
【0020】
【数1】
【0021】得られた各係数c、d、eは、校正曲線の
情報として、磁気カードに記録され、当該製造ロットの
乾式分析素子と共にユーザー(医療機関、研究所などで
生化学分析装置を操作する人)に供給される。なお磁気
カードの代わりに、バーコード、光学的読み取り用文字
・数字(Optical Character)又は光学的マークなどの
光学的可読コードとして記録されている光学的可読カー
ドや、不揮発性の電気的コードとして記録保持されてい
るICカードなどの機械可読媒体を用いてもよい。
【0022】ユーザーは、渡された磁気カードに記録さ
れた校正曲線の情報を磁気カードリーダで読み取り、生
化学分析装置のメモリに取り込む。これによりユーザー
が使用する生化学分析装置には、予め内蔵されていた基
本検量線に加えて、これから使用する乾式分析素子の当
該ロット用の校正曲線が用意されることになる。従って
ユーザーは、異なる製造ロットの乾式分析素子を使う場
合でも、そのロットともに供給される磁気カードに記録
された校正曲線の情報を分析装置に入力すれば、測定値
を高精度に校正することができる。校正用の標準液を用
意する必要がないので、ユーザーの負担はきわめて少な
い。しかも医学的有用値をカットオフ値とするような測
定では、きわめて高精度の分析が可能となる。
【0023】
【実施例1】BUN(血中尿素窒素)分析用乾式分析素
子を用いて、校正曲線の重み付けの効果を調べた。自動
分析装置として、富士写真フイルム(株)製の富士ドラ
イケムアナライザー5500を使用した。BUN分析用
乾式分析素子は、特開平7-43359の実施例1に記載され
ているものを用いた。この分析素子は、透光性支持体
(PETフイルム)上に、ゼラチンからなる指示薬層、
メンブレンフィルタからなる液体遮断層、編物生地から
なる試薬層兼展開層を順次積層したものである。試薬層
に含有されたウレアーゼにより血液試料中の尿素を分解
してガス状アンモニアを生成させ、これを液体遮断層を
介して指示薬層に移行させ、指示薬層に含有させたpH
指示薬ブロムクレゾールグリーンを呈色させるものであ
る。
【0024】対象ロットの乾式分析素子から製造初期の
もの5個と最後に製造されたもの5個を選び、これら計
10個の分析素子を用いて、標準溶液をアッセイした。
測定値はこれら10点の平均値を使用する。標準溶液
は、蒸留水(レベル0: 0 mg/dL BUN)と3つの管理血
清(レベルL(7.3mg/dL BUN);レベルM(51.9mg/d
L);及びレベルH(104.8mg/dL))を使用した。なお
ここで使用した各標準溶液の既知濃度すなわち表示値
は、基準となる製造ロットの分析素子を用いてアッセイ
して得られた光学濃度から基本検量線より読み取った値
(濃度)である。基準ロットの分析素子を使用すれば基
本検量線から得られるはずの濃度値であるので、以下基
準値と称する。
【0025】これら各標準液(ここでは校正曲線を求め
るための校正液として使用)10μLを分析素子の展開
層に点着し37℃でインキュベート6分後の発色を、中
心波長625nmの可視光を用いて支持体側から反射光
学濃度として測定した。自動分析装置に内蔵された基本
検量線により測定値(濃度値)を得、これを各濃度レベ
ル毎に平均した。このような測定を異なる3つの製造ロ
ットA、B、Cについて行った。下記の表1に示すよう
に、ロットにより得られる測定値には差が認められる。
【0026】
【表1】 レベル 0 L M H 基準値(mg/dL) 0 7.3 51.9 104.3 測定値(mg/dL) ロットA 0.42 7.18 50.32 100.03 ロットB 0.38 7.17 50.00 100.79 ロットC 0.25 7.23 50.10 101.16
【0027】次に、各標準液の既知濃度値を基準値(表
示値)とし、この基準値と、各標準液レベル毎の測定値
との校正曲線の2次回帰式Y=c+dX+eX2を前述
のようにして最小二乗法により求めた。重み付けをしな
いで、すべての測定データを等価に取扱った場合には、
各ロットにおける校正曲線の係数c、d、eは表2の左
側部分に示すようになった。レベルLのデータの数のみ
を100個にして、重み付けを行った場合に得られた校
正曲線の各係数を同じく表2の右側部分に示した。この
求められた係数に従った校正曲線で校正した各標準溶液
の計測値の校正値は表3のようになった。
【0028】
【表2】 重み付けなし 重み付けあり 係数 c d e c d e Lot A -0.271 1.025 0.251 x10-3 -0.053 1.021 0.264 x10-3 Lot B -0.316 1.048 -0.053 x10-3 -0.202 1.046 -0.046 x10-3 Lot C -0.250 1.043 -0.042 x10-3 -0.235 1.042 -0.041 x10-3
【0029】
【表3】 重み付けなし 重み付けあり レベル 0 L M H 0 L M H 基準値 0 7.3 51.9 104.3 0 7.3 51.9 104.3 (mg/dL) 校正値 (mg/dL) Lot A 0.16 7.10 51.94 104.78 0.52 7.29 51.99 104.72 Lot B 0.08 7.20 51.90 104.78 0.20 7.30 51.95 104.76 Lot C 0.02 7.23 51.95 104.83 0.03 7.30 51.90 104.76
【0030】重み付けを行った場合には、重み付けを行
った濃度レベルLにおいて、いずれの製造ロットでも校
正値は基準値に近いものとなった。また上記管理血清と
は別の濃度(基準値)の管理血清(レベル1;14.2mg/d
L BUN、レベル2;47.8mg/dLBUN)を用いて、各ロット
の乾式分析素子でアッセイを行いその測定値を表2の係
数を有する校正曲線で校正したものを表4に示す。
【0031】
【表4】 重み付けなし 重み付けあり レベル 1 2 1 2 基準値(mg/dL) 14.2 47.8 14.2 47.8 校正値(mg/dL) ロットA 13.99 48.67 14.15 48.73 ロットB 14.11 48.39 14.20 48.42 ロットC 14.24 48.58 14.24 48.33
【0032】表4から分かるように、重み付けを行った
場合には、重み付けを行った濃度レベルL(7.3mg/dL)
に近接する管理血清レベル1は、いずれのロットでも基
準値に近い値に校正されていることが示された。このこ
とは、レベル1の管理血清の校正値をグラフに示した図
3によってもより明らかである。
【0033】
【実施例2】GGT(γ−グルタミルトランスフェラー
ゼ)活性測定用乾式分析素子を用いて、校正曲線の重み
付けの効果を調べた。自動分析装置として、富士写真フ
イルム(株)製の富士ドライケムアナライザー5500
を使用した。GGT分析用乾式分析素子は、特公平4-81
440の実施例1に準じて製造されたものを用いた。この
分析素子は、透光性支持体(PETフイルム)上に、ゼ
ラチンからなる吸水層、編物布地からなる基質層兼展開
層を順次積層したものである。展開層にはγ−グルタミ
ルトランスフェラーゼと反応して自己顕色性を示す基質
γ−グルタミル−p−ニトロアニリドが含有されてい
る。展開層中の試薬組成物の含有量は以下の通りであ
る。
【0034】展開層の試薬組成物の成分被覆量: γ-グルタミル-p-ニトラニリド 0.50 g/m2 グリシルグリシン 1.64 g/m2 セチルトリメチルアンモニウム ブロミド 1.25 g/m2 トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン 7.55 g/m2 ポリアクリルアミド (10重量%水溶液25℃での粘度2500cps) 25.8 g/m2
【0035】対象ロットの乾式分析素子から製造初期の
もの5個と最後に製造されたもの5個を選び、これら計
10個の分析素子を用いて、標準溶液をアッセイした。
測定値はこれら10点の平均値を使用する。標準溶液
は、生理食塩水(レベル0: -1.5 units/L)と3つの管
理血清(レベルL(41.6 units/L);レベルM(427.1u
nits/L);及びレベルH(901.9 units/L))を使用し
た。ここで使用した各標準溶液の既知濃度すなわち表示
値は、基準となる製造ロットの分析素子を用いてアッセ
イして得られた光学濃度から基本検量線より読み取った
値(活性値)である。基準ロットの分析素子を使用すれ
ば基本検量線から得られるはずの活性値であるので、以
下基準値と称する。
【0036】これら各標準液(ここでは校正曲線を求め
るための校正液として使用)を分析素子の展開層に点着
し、37℃でインキュベートした。点着後2分及び5分
後の反射光学濃度を中心波長400nmで測定し、その
差ΔOD5-2を求めた。このΔOD5-2を、特開昭62-323
44に記載されている方法に従い、自動分析装置に内蔵さ
れた基本検量線より測定値(活性値)を得、これを各活
性値レベル毎に平均した。このような測定を異なる3つ
の製造ロットA,B、Cについて行った。下記の表5に
示すように、ロットにより得られる測定値(活性値)に
は差が認められる。
【0037】
【表5】 レベル 0 L M H 基準値(U/L) -1.5 41.6 427.1 901.9 測定値(U/L) ロットA 0.45 45.4 458.0 932.2 ロットB -0.60 45.2 454.6 904.4 ロットC -0.95 44.8 456.7 929.9
【0038】次に、各標準液の既知濃度値を基準値(表
示値)とし、この基準値と、各標準液レベル毎の測定値
との校正曲線の2次回帰式Y=c+dX+eX2を前述
のようにして最小二乗法により求めた。重み付けをしな
いで、すべての測定データを等価に取扱った場合には、
各ロットにおける校正曲線の係数c、d、eは表6の左
側部分に示すようになった。レベルLのデータの数のみ
を10個にして、重み付けを行った場合に得られた校正
曲線の各係数を同じく表6の右側部分に示した。この求
められた係数に従った校正曲線で校正した各標準溶液の
計測値の校正値は表7のようになった。
【0039】
【表6】 重み付けなし 重み付けあり 係数 c d e c d e Lot A -0.847 0.903 0.071 x10-3 0.248 0.900 0.072 x10-3 Lot B 0.453 0.882 0.127 x10-3 1.92 0.878 0.129 x10-3 Lot C -0.086 0.903 0.072 x10-3 0.491 0.901 0.073 x10-3
【0040】
【表7】 重み付けなし 重み付けあり レベル 0 L M H 0 L M H 基準値 -1.5 41.6 427.1 901.9 -1.5 41.6 427.1 901.9 (U/L) 校正値 (U/L) Lot A -0.5 40.4 427.5 902.3 0.65 41.6 427.6 901.8 Lot B -0.1 40.0 427.4 901.7 1.4 41.3 427.8 901.8 Lot C -0.9 41.0 427.2 901.4 -0.4 41.5 427.3 901.7
【0041】重み付けを行った場合には、重み付けを行
った濃度レベルLにおいて、いずれの製造ロットでも校
正値は基準値に近いものとなった。また上記管理血清と
は別の活性値(基準値)の管理血清(レベル1;51 U/
L、レベル2;440 U/L)を用いて、各ロットの乾式分析
素子でアッセイを行いその測定値を表6の係数を有する
校正曲線で校正したものを表8に示す。
【0042】
【表8】 重み付けなし 重み付けあり レベル 1 2 1 2 基準値(U/L) 51 440 51 440 校正値(U/L) ロットA 50.3 448.9 50.6 448.8 ロットB 49.4 452.9 50.6 453.2 ロットC 50.4 449.2 50.9 449.3
【0043】表8から分かるように、重み付けを行った
場合には、重み付けを行った濃度レベルL(41.6 U/L)
に近接する管理血清レベル1は、いずれのロットでも基
準値に近い値に校正されていることが示された。このこ
とは、レベル1の管理血清の校正値をグラフに示した図
4によってもより明らかである。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明では、複数の校正液
のうち特定濃度範囲の表示値とその測定値に対して重み
付けを行って校正曲線を求める。このため、乾式分析素
子により得られる被検物の測定値を校正する際に、カッ
トオフ値近傍の測定値をより高精度に校正することがで
きる。重み付けに用いる特定濃度範囲のデータ(表示
値、測定値)は、データ処理により当該データの数のみ
を複数倍に増やすことにより、他の濃度におけるデータ
数よりも多くしてもよい。この場合には、校正液の測定
を多重回行う必要がないので、校正曲線作成に要する時
間とコストが削減できる。
【0045】本発明の好ましい実施態様をまとめると以
下の通りである。
【0046】(1) 乾式分析素子により得られる被検物
の測定値を、複数の校正液の表示値とその測定値とから
求めた校正曲線を用いて校正する方法において、前記複
数の校正液のうち特定濃度範囲の表示値とその測定値に
対して重み付けを行って校正曲線を求めることを特徴と
する乾式分析素子の測定値校正方法。
【0047】(2) 前記重み付けに用いる特定濃度範囲
の表示値と測定値は、この濃度範囲内の校正液の測定回
数を増やすか、或いはデータ処理によりデータ数のみを
複数倍に増やすことにより、他の濃度におけるデータ数
よりも多くして行うものである(1)記載の測定値校正方
法。
【0048】(3) 前記測定値は、被検物を点着した乾
式分析素子の光学濃度を分析装置に記憶された基本検量
線に参照して求める(1)記載の測定値校正方法。
【0049】(4) 前記基本検量線は基準製造ロットの
乾式分析素子を用いて求められたものであり、前記校正
曲線は前記基準ロットとは異なる対象ロットの乾式分析
素子で得られる測定値を前記基準ロットの乾式分析素子
を用いて得られる測定値に一致させるものであることを
特徴とする(3)記載の測定値校正方法。
【0050】(5) 前記校正曲線又はこの校正曲線を導
出するための係数が記録媒体に記録されていることを特
徴とする(1)記載の測定値校正方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾式分析素子の基本検量線を示す図である。
【図2】校正曲線の概念図である。
【図3】実施例1(BUN分析用乾式分析素子)におけ
る、校正曲線に重み付けを行った場合の効果を示す図で
ある。
【図4】実施例2(GGT活性測定用乾式分析素子)に
おける、校正曲線に重み付けを行った場合の効果を示す
図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾式分析素子により得られる被検物の測
    定値を、複数の校正液の表示値とその測定値とから求め
    た校正曲線を用いて校正する方法において、 前記複数の校正液のうち特定濃度範囲の表示値とその測
    定値に対して重み付けを行って校正曲線を求めることを
    特徴とする乾式分析素子の測定値校正方法。
  2. 【請求項2】 前記重み付けに用いる特定濃度範囲の表
    示値と測定値は、この濃度範囲内の校正液の測定回数を
    増やすか、或いはデータ処理によりデータ数のみを複数
    倍に増やすことにより、他の濃度におけるデータ数より
    も多くして行うものである請求項1記載の測定値校正方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016527485A (ja) * 2013-06-12 2016-09-08 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft 測光のための較正方法
JP2018179688A (ja) * 2017-04-10 2018-11-15 シスメックス株式会社 測定方法、測定装置、プログラム、演算式の取得方法および定性判定結果の表示方法

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