JPH09263650A - スチレン系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
スチレン系樹脂発泡体及びその製造方法Info
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- JPH09263650A JPH09263650A JP7783396A JP7783396A JPH09263650A JP H09263650 A JPH09263650 A JP H09263650A JP 7783396 A JP7783396 A JP 7783396A JP 7783396 A JP7783396 A JP 7783396A JP H09263650 A JPH09263650 A JP H09263650A
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Abstract
良されたスチレン系樹脂から成る高発泡でかつ独立気泡
率の高い発泡体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 (A)シンジオタクチックポリスチレン
1〜49重量%と(B)アタクチックポリスチレン99
〜51重量%とから成り、かつ非晶固定比が0.4以上
で、非線形パラメーター(λ)が10以上のスチレン系
樹脂組成物を発泡剤の存在下、ガラス転移温度以上かつ
融点より20℃高い温度以下、あるいはガラス転移温度
以上かつ冷結晶化温度以下の温度において加熱発泡成形
することにより、発泡倍率2〜100倍、独立気泡率7
0%以上をもつスチレン系樹脂発泡体とする。
Description
樹脂発泡体及びその製造方法に関し、さらに詳しくいえ
ば、伸長粘度特性に優れ、低温発泡性が著しく改善され
たスチレン系樹脂組成物から成る、発泡体性能の優れた
高発泡でかつ独立気泡率の高い発泡体及びその製造方法
に関するものである。
合体や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィ
ン系重合体の発泡体は広く知られている。特にアタクチ
ック構造のスチレン系重合体は、非晶性であるために優
れた発泡加工性を有することから、発泡スチロールとし
て各種分野において幅広く利用されている。しかしなが
ら、このものはガラス転移温度である100℃を越える
と熱変形するという欠点があった。
ンジオタクチックポリスチレンを用いた発泡体が提案さ
れているが(特公平7−119306号公報、特公平7
−119307号公報)、このシンジオタクチックポリ
スチレンは発泡加工温度が融点以上で高く、低温での発
泡加工性については十分ではなく、かつ高発泡で独立気
泡率の高いものは得られていない。
加熱溶融後、急冷操作により得たペレットを用い、低温
での成形加工を可能にすることは知られている(特公平
7−112699号公報)。しかしながら、この場合、
シンジオタクチックポリスチレンを主成分としたもので
あるが、発泡体ではなく、しかも成形温度はせいぜい2
00℃程度であり、さらに低い温度における低温加工性
は不十分である。
巻,第13ページ(1983年)や「日本レオロジー学
会誌」,第13巻,第93ページ(1985年)など
に、伸長粘度特性に優れたポリスチレンやポリエチレン
などが記載されているが、いずれも分岐型ポリマーや超
高分子量成分含有ポリマーであり、少量のシンジオタク
チックポリスチレン添加によるアタクチックポリスチレ
ンの伸長粘度特性の付与については、記載されていな
い。
の種類、発泡倍率及び気泡構造に大きく支配されること
が知られている。そして、発泡体の気泡構造、特に独立
気泡率を高めることは、発泡体の優れた物性、例えば弾
性率、衝撃吸収性、耐吸水性、気体透過性などを向上さ
せることから、極めて重要である。
情のもとで、伸長粘度特性に優れ、低温発泡性が著しく
改善されたスチレン系樹脂から成る、発泡体性能の優れ
た高発泡でかつ独立気泡率の高い発泡体を提供すること
を目的としてなされたものである。
ましい性質を有するスチレン系樹脂発泡体を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、特定の割合のシンジオタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体とアタクチック構造を
有するスチレン系重合体から成り、かつ特定の式で規定
される非晶固定比及び非線形パラメーターが、それぞれ
所定の値以上であるスチレン系樹脂組成物を用いること
により、その目的を達成しうることを見出し、この知見
に基づいて本発明を完成するに至った。
チック構造を有するスチレン系重合体1〜49重量%及
び(B)アタクチック構造を有するスチレン系重合体9
9〜51重量%の組成を有し、かつ(1)示差走査型熱
量計(DSC)で測定された冷結晶化エンタルピーΔH
cc(J/g)と結晶の融解エンタルピーΔHm(J/
g)との比、ΔHcc/ΔHmが0.4以上で、(2)
温度130℃、一定ひずみ速度0.02/秒の条件にお
いて、一軸伸長粘度測定により求められた時間−伸長粘
度曲線(対数プロット)における非線形領域の一次近似
直線の傾きm1と上記曲線における線形領域の一次近似
直線の傾きm2との比m1/m2で表わされる非線形パラ
メーター(λ)が10以上のスチレン系樹脂組成物から
成り、発泡倍率2〜100倍及び独立気泡率70%以上
をもつスチレン系樹脂発泡体を提供するものである。
系樹脂発泡体は、上記スチレン系樹脂組成物を、発泡剤
の存在下、ガラス転移温度以上かつ融点より20℃高い
温度以下の範囲の温度、あるいはガラス転移温度以上か
つ冷結晶化温度以下の範囲の温度において、加熱発泡成
形することにより、製造することができる。
基材樹脂として、(A)シンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体と(B)アタクチック構造を有する
スチレン系重合体とから成るスチレン系樹脂組成物が用
いられる。この樹脂組成物において、(A)成分として
用いられるシンジオタクチック構造を有するスチレン系
重合体とは、立体構造が主としてシンジオタクチック構
造、すなわち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対し
て側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対
方向に位置する立体構造を有することを意味し、そのタ
クティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C
−NMR法)により定量される。この13C−NMR法に
より測定されるタクティシティーは、連続する複数個の
構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、
3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによ
って示すことができる。本発明にいうシンジオタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体とは、通常はダイアッ
ドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはペン
タッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオ
タクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキ
ルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ア
ルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸)及びこれ
らの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を
意味する。また、ポリ(アルキルスチレン)としては、
ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポ
リ(イソプロピルスチレン)、ポリ(t‐ブチルスチレ
ン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)として
は、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレ
ン)、ポリ(フルオロスチレン)などがある。また、ポ
リ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシス
チレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。これ
らの中で特に好ましいものは、ポリスチレン、ポリ(p
‐メチルスチレン)、ポリ(m‐メチルスチレン)、ポ
リ(p‐t‐ブチルスチレン)、ポリ(p‐クロロスチ
レン)、ポリ(m‐クロロスチレン)、ポリ(p‐フル
オロスチレン)、さらにはスチレンとp‐メチルスチレ
ンとの共重合体を挙げることができる。
レン系重合体としては、一般に重量平均分子量5,00
0以上、好ましくは10,000〜20,000,000
であって、数平均分子量2,500以上、好ましくは5,
000〜10,000,000のものが用いられる。この
ものは、重合後、必要に応じて酸又はアルカリの洗浄液
で脱灰処理し、さらに洗浄、乾燥処理することにより、
極めてシンジオタクティシティーの大きいスチレン系重
合体が得られる。
チレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中又は溶
媒の不存在下に、チタン化合物及びアルキルアルミノキ
サンから成る触媒の存在下、スチレンモノマーや置換ス
チレンモノマーを重合することにより製造することがで
きる。
しては様々なものがあるが、好ましくは、一般式 TiR1 aR2 bR3 cX1 4-(a+b+c) (I) 及び TiR1 dR2 eX1 3-(d+e) (II) (式中R1,R2及びR3はそれぞれ水素原子、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、
炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、ア
リールアルキル基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、
シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基
又はインデニル基、X1はハロゲン原子、a,b及びc
はそれぞれ0又は1〜4の整数、d及びeはそれぞれ0
又は1〜3の整数である)で表わされるチタン化合物や
チタンキレート化合物の中から選ばれた少なくとも1種
の化合物を挙げることができる。また、このチタン化合
物は、エステルやエーテルなどとの錯体の形で用いても
よい。
分を構成するアルキルアルミノキサンは、各種の有機ア
ルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることにより得
られるものである。該有機アルミニウム化合物としては
各種のものが使用可能であるが、通常は、トリアルキル
アルミニウムが用いられる。このトリアルキルアルミニ
ウムとしては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエ
チルアルミニウム、トリt‐ブチルアルミニウムなどが
挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
げられるが、このほかに有機アルミニウム化合物が縮合
反応するいかなるものを用いてもよい。有機アルミニウ
ム化合物と水との反応については特に制限はなく、公知
の方法に準じて反応させればよい。トリアルキルアルミ
ニウムと水との反応で得られるアルキルアルミノキサン
の代表例としては、鎖状アルキルアルミノキサンや環状
アルキルアルミノキサンが挙げられるが、その他に未反
応のトリアルキルアルミニウム、各種の縮合生成物の混
合物、さらにはこれらが複雑に会合した分子があり、こ
れらはトリアルキルアルミニウムと水との接触条件によ
って様々な生成物となる。
成分として用いる際は、1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよく、また有機アルミニウム化
合物を併用してもよい。さらには、他の有機金属化合物
と組み合わせて用いてもよいし、アルキルアルミノキサ
ンを無機物へ吸着又は担持させた形態で用いることもで
きる。
ンとの使用割合は、各成分の種類、原料モノマーの種
類、その他の条件により異なり、一概に定めることはで
きないが、通常は、アルキルアルミノキサン中のアルミ
ニウムとチタン化合物中のチタンとの比、すなわちアル
ミニウム/チタン原子比として1〜106、好ましくは
10〜104である。
有するスチレン系重合体は、前記触媒の存在下、スチレ
ンやスチレン誘導体を重合させることにより得られる
が、重合方法としては、塊状重合法を用いてもよいし、
溶媒中で重合する方法を用いてもよい。溶媒中で重合を
行う場合、溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンな
どの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンな
どの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で用
いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。ま
た、重合温度は特に制限はないが通常0〜120℃の範
囲である。
チック構造を有するスチレン系重合体とは、工業的には
塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの方法に
よるラジカル重合によって得られるスチレン系重合体で
ある。このようなラジカル重合で得られたスチレン系重
合体は通常アタクチック構造のもので、立体規則性を有
していない。また、ここでいうアタクチック構造を有す
るスチレン系重合体は、1種以上の芳香族ビニル化合物
から成る重合体、あるいは1種以上の芳香族ビニル化合
物と共重合可能な1種以上の他のビニル単量体との共重
合体、これらの重合体の水素化物、及びこれらの混合物
であってもよい。
合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、
メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレ
ン、t‐ブチルスチレン、フェニルスチレン、ビニルス
チレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロス
チレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、エ
トキシスチレンなどが挙げられ、これらは単独で用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これ
らの中で、特にスチレン、p‐メチルスチレン、m‐メ
チルスチレン、p‐t‐ブチルスチレン、p‐クロロス
チレン、m‐クロロスチレン及びp‐フルオロスチレン
が好ましい。
ては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルな
どのビニルシアン化合物、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレ
ート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オ
クチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレー
ト、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレー
ト、オクタデシルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエ
ステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘ
キシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2‐
エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタク
リレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタ
クリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタク
リレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、マレイ
ミド、N‐メチルマレイミド、N‐エチルマレイミド、
N‐ブチルマレイミド、N‐ラウリルマレイミド、N‐
シクロヘキシルマレイミド、N‐フェニルマレイミド、
N‐(p‐ブロモフェニル)マレイミドなどのマレイミ
ド系化合物などが挙げられる。
重合体は、その分子量については特に制限はないが、一
般に、重量平均分子量が10万以上、好ましくは25万
〜35万である。この重量平均分子量が10万未満のも
のでは得られる成形品の熱的性質や機械的性質が不十分
で好ましくない。また、重量平均分子量が25万より小
さいと高発泡は可能であるが、独立気泡率が低下する傾
向にあり、35万を超えると高発泡しにくく、また発泡
温度を上げて高発泡にしても独立気泡率がやはり低下す
る傾向にある。さらに、分子量分布についても広狭の制
限はなく、様々なものを充当することができる。
組成物における両成分の配分割合は、(A)成分のシン
ジオタクチック構造を有するスチレン系重合体が1〜4
9重量%で、(B)成分のアタクチック構造を有するス
チレン系重合体が99〜51重量%の範囲で選ばれる。
(A)成分の量が1重量%未満では伸長粘度特性が十分
に発現せず、発泡セルが連通化しやすく、独立気泡率が
低下するし、49重量%を超えると冷結晶化温度が低く
なり、低温加工時に結晶化が進行しやすくなり、低温で
の高発泡体が得られない。伸長粘度特性及び冷結晶化温
度などの点から、(A)成分と(B)成分の割合は、
(A)成分が3〜45重量%で、(B)成分が97〜5
5重量%の範囲が好ましく、特に(A)成分が5〜30
重量%で、(B)成分が95〜70重量%の範囲が好適
である。
は、示差走査型熱量計(DSC)で測定された冷結晶化
エンタルピーΔHcc(J/g)と結晶の融解エンタル
ピーΔHm(J/g)との比、ΔHcc/ΔHm(以下
非晶固定比という)が0.4以上であることが必要であ
る。この非晶固定比が0.4未満では低温(融点より低
い温度)での流動性が低く、高い発泡倍率が得られず、
かつ発泡体の表面外観も不良となる。低温での流動性、
発泡倍率及び発泡体の表面外観などの点から、この非晶
固定比は特に0.5以上であるのが好ましい。さらに、
温度130℃、一定ひずみ速度0.02/秒の条件にお
いて、一軸伸長粘度測定により求められた時間−伸長粘
度曲線(対数プロット)における非線形領域の一次近似
直線の傾きm1と上記曲線における線形領域の一次近似
直線の傾きm2との比m1/m2で表わされる非線形パラ
メーター(λ)が10以上であることが必要である。こ
の非線形パラメーター(λ)が10未満では低温での発
泡時に伸長粘度特性が発現されず、発泡不良や発泡倍率
低下の原因となる。低温での発泡時により十分な伸長粘
度特性を発現させるには、この非線形パラメーター
(λ)は30以上が好ましく、特に50以上が好適であ
る。
成物には、本発明の目的がそこなわれない範囲で、必要
に応じ各種添加成分、例えば無機充てん材などの補強
材、酸化防止剤、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、顔
料、カーボンブラック、帯電防止剤など、さらには他の
熱可塑性樹脂を配合することができる。
ついては特に制限はなく、例えば(A)成分のシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体と(B)成分
のアタクチック構造を有するスチレン系重合体を溶融混
練する方法、あるいは溶媒に溶解後混練する方法など、
種々の方法を用いることができる。溶融混練する場合、
単軸押出機や二軸押出機などの公知の溶融混練装置を用
いることができるが、特にベント付二軸押出機を用いる
のが好ましい。各成分を溶融混練する際の溶融混練温度
は、通常270〜370℃、好ましくは280〜330
℃の範囲で選ばれる。この溶融混練温度が270℃未満
では原料の溶融が不十分となるため、均一な組成物が得
られにくいし、370℃を超えると原料の分解が起こる
おそれがある。溶媒に溶解後混合する方法としては、例
えばシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
とアタクチック構造を有するスチレン系重合体を共に溶
媒に溶解させ、その後に溶媒を留去させる方法などを用
いることができる。
製されたスチレン系樹脂組成物を280〜330℃で溶
融したのち、−10〜100℃程度、好ましくは5〜9
0℃の媒体で急冷するのが、前記性状を有する組成物を
得るために有利である。なお、溶融混練法により組成物
を調製する場合は、各成分を280〜330℃で溶融混
練したものを、上記のように急冷してもよい。この媒体
の種類については特に制限はないが、通常水が用いられ
る。この際冷却速度が遅いと結晶化が進行し、低温発泡
での発泡倍率が大きくならない。
記スチレン系樹脂組成物から成る基材樹脂を、発泡剤の
存在下に加熱発泡成形すればよい。ここで、発泡剤は加
熱発泡成形するに先立って、基材樹脂と混合しておいて
もよいし、加熱発泡成形時に混合してもよい。加熱発泡
成形に先立って発泡剤を混合させる方法としては、例え
ばペレットに含浸させる方法、あるいはドライブレンド
する方法などが挙げられる。また、加熱発泡成形時に発
泡剤を混合させる方法としては、ペレットとドライブレ
ンドする方法以外に、例えば成形機の押し出しスクリュ
ーの途中から、プロピレン、塩化メチレン、フレオンガ
スなどの常温気体発泡剤を吹き込む方法など、種々の方
法が挙げられる。
一般の揮発性発泡剤や分解性発泡剤の中から、適宜1種
選び用いてもよいし、2種以上を選び組み合わせて用い
てもよいが、低温(100〜200℃)にて発泡する場
合、揮発性発泡剤であれば、その温度範囲に沸点を有す
るものが好ましく、そして分解性発泡剤であれば、その
温度範囲に分解温度を有するものが好ましい。また、発
泡剤を用いるに当っては、公知の発泡促進剤、発泡遅延
剤、発泡核剤などの発泡助剤を併用することができる。
度以上かつ融点より20℃高い温度以下の範囲、すなわ
ち通常100〜290℃の範囲、あるいはガラス転移温
度以上かつ冷結晶化温度以下の範囲で選ばれるが、基材
樹脂にはアタクチック構造を有するスチレン系重合体が
多く含まれており、かつ前記したように急冷されている
ため、100〜200℃程度の温度でも発泡が可能であ
り、さらに100〜150℃程度の温度でも発泡可能で
ある。発泡温度が融点より20℃高い温度を超えると発
泡セルが破泡するおそれがあるし、ガラス転移温度未満
では流動性が低く、発泡が十分に起こらない。
おいては、発泡倍率は2〜100倍の範囲で選ばれる。
この発泡倍率が2倍未満では軽量化、断熱性、緩衝性な
どの発泡体の性能が十分に発揮されず、かつコスト的に
も不利であるし、100倍を超えると発泡セルが破泡す
るなど、不都合が生じる。発泡体の性能、コスト及び発
泡セルの破泡抑制などの面から、好ましい発泡倍率は5
〜95倍の範囲であり、特に20〜60倍の範囲が好適
である。また、独立気泡率は70%以上、好ましくは8
0%以上である。この独立気泡率が70%未満では発泡
体としての性能が十分に発揮されず、吸水率などの発泡
体の物性が低下する。
タクチック構造を有するスチレン系重合体とアタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体から成り、かつ伸長粘
度特性に優れ、低温発泡性が大きく改良されたスチレン
系樹脂組成物を用いて発泡させることにより、発泡体と
しての性能に優れた高発泡で、独立気泡率の高い発泡体
が得られる。このような特性を有する本発明のスチレン
系樹脂発泡体は、例えば断熱材や緩衝材などとして、あ
るいは種々の高発泡用途に好適に用いられる。
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、例中の各物性は以下に示す方
法に従って求めた。
℃/分の昇温速度で測定し、以下の式にて定義した。 非晶固定比=ΔHcc/ΔHm ΔHcc:冷結晶化エンタルピー(J/g) ΔHm:結晶の融解エンタルピー(J/g)
(λ) Meissner型一軸伸長粘度装置(東洋精機(株)製
メルテンレオメーター)を用い、温度:130℃、一定
ひずみ速度:0.02/秒の条件下で測定し、非線形パ
ラメーターを以下の式にて定義した。 非線形パラメーター(λ)=m1/m2 m1:一定ひずみ速度0.02/秒の条件下における測
定により、求められた時間−伸長粘度曲線(対数プロッ
ト)において、非線形領域の一次近似直線の傾き m2:m1と同様の曲線(対数プロット)において、線形
領域の一次近似直線の傾き すなわち、λは時間−伸長粘度カーブの切断間際の立ち
上がりの度合いを示しており、大きいほど伸長粘度特性
が優れている。なお、図1、図2に測定例を示す。
(SPS)の製造 反応器として栗本鉄工所製KRC(内容積8.6リット
ル、ブレード径100mm、シリンダー有効長1000
mm、パドル数44組、シリンダー内壁とパドルとのク
リアランス1mm)を用い、これを5度傾斜させ、内部
温度を80℃に制御し、回転数を毎分60rpmとし
た。この反応器にスチレンモノマーを毎時1リットルの
割合で供給するとともに、触媒としてメチルアルミノキ
サンを毎時75ミリモル、ペンタメチルシクロペンタジ
エニルチタニウムトリメトキシドを毎時0.15ミリモ
ルの割合で供給しながら5時間重合を実施した。得られ
たシンジオタクチックポリスチレンは2950gであり
反応率は65.6%であった。また、重合体のラセミペ
ンタッドでのシンジオタクティシティーは97%であっ
た。
PS)5重量部とアタクチックポリスチレン(APS)
[重量平均分子量(Mw)27万]95重量部とをドラ
イブレンドしたのち、これを、ベント付き同方向回転二
軸押し出し機(内径40mm、L/D=46)を用い
て、バレル設定温度300℃にて溶融混練し、ペレット
を作成した。なお、溶融混練の際、酸化防止剤として
(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペン
タエリスリトールジホスファイト0.1重量部及びテト
ラキス[メチレン‐3‐(3′,5′‐ジ‐t‐ブチル
‐4′‐ヒドロキシフェニル)]0.1重量部を添加し
た。
るために、このペレットを用いキャピラリー式溶融粘度
測定装置[東洋精機(株)製キャピログラフ]を使用し
て、バレル設定温度280℃、ピストン降下速度50m
m/分にて、オリフィス径2mmから出てきた溶融樹脂
を直ちに50〜80℃の水にて急冷することで、径2m
m、長さ20cmのストランドを調製した。このサンプ
ルについて、130℃にて伸長粘度測定を行うととも
に、DSC測定により、非晶固定比を求めた。
レット状に切り出し、内容積300ml耐圧オートクレ
ーブ中に入れ、フレオン22ガスを用い、43kg/c
m2G、65℃の条件で3日間含浸させた。次いで、ス
チーム圧1.0kg/cm2G、発泡昇圧20秒間、発
泡保圧30秒間、温度120℃の条件にて発泡処理し
た。得られた発泡体の密度を水置換法によって求め、式 発泡倍率=発泡前の密度/発泡後の密度 により発泡倍率を算出し、さらに発泡性を評価するとと
もに、独立気泡率を測定した。結果を表1に示す。
施例1と同様にして実施した。結果を表1に示す。ま
た、図1は実施例3における130℃で測定した時間−
伸長粘度曲線図であり、これに基づいて非線形パラメー
ター(λ)を算出すると、m1=3.733E+8(非
線形領域)、m2=2.065E+6(線形領域)であ
るからλ=m1/m2=180となる。
理におけるスチーム圧を0.8kg/cm2G、温度を
117℃にした以外は、実施例1と同様にして実施し
た。結果を表1に示す。
理におけるスチーム圧を0.6kg/cm2G、温度を
113℃にした以外は、実施例1と同様にして実施し
た。結果を表2に示す。
重量平均分子量(Mw)が20万のものを用いた以外
は、実施例3と同様にして実施した。結果を表2に示
す。
量平均分子量(Mw)が40万のものを用い、かつ発泡
処理におけるスチーム圧を1.5kg/cm2G、温度
を130℃とした以外は、実施例3と同様にして実施し
た。結果を表2に示す。
施例1と同様にして実施した。結果を表3に示す。
度測定と発泡のためのサンプルの処理を急冷せずに、放
冷して徐冷した以外は、実施例1と同様にして実施し
た。結果を表3に示す。また、図2は、比較例4におけ
る130℃で測定した時間−伸長粘度曲線図であり、こ
れに基づいて非線形パラメーター(λ)を算出すると、
m1=3.930E+5(非線形領域)、m2=1.63
0E+7(線形領域)であるからλ=m1/m2=0.0
2となる。
した。結果を表3に示す。
なかった。
数プロット)。
数プロット)。
Claims (5)
- 【請求項1】 (A)シンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体1〜49重量%及び(B)アタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体99〜51重量%の組
成を有し、かつ(1)示差走査型熱量計(DSC)で測
定された冷結晶化エンタルピーΔHcc(J/g)と、
結晶の融解エンタルピーΔHm(J/g)との比、ΔH
cc/ΔHmが0.4以上で、(2)温度130℃、一
定ひずみ速度0.02/秒の条件において、一軸伸長粘
度測定により求められた時間−伸長粘度曲線(対数プロ
ット)における非線形領域の一次近似直線の傾きm1と
上記曲線における線形領域の一次近似直線の傾きm2と
の比m1/m2で表わされる非線形パラメーター(λ)が
10以上のスチレン系樹脂組成物から成り、発泡倍率2
〜100倍及び独立気泡率70%以上をもつスチレン系
樹脂発泡体。 - 【請求項2】 (B)成分のアタクチック構造を有する
スチレン系重合体が重量平均分子量25万〜35万であ
る請求項1記載のスチレン系樹脂発泡体。 - 【請求項3】 発泡倍率が15〜100倍である請求項
1又は2記載のスチレン系樹脂発泡体。 - 【請求項4】 (A)シンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体1〜49重量%及び(B)アタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体99〜51重量%の組
成を有し、かつ(1)示差走査型熱量計(DSC)で測
定された冷結晶化エンタルピーΔHcc(J/g)と結
晶の融解エンタルピーΔHm(J/g)との比、ΔHc
c/ΔHmが0.4以上で、(2)温度130℃、一定
ひずみ速度0.02/秒の条件において、一軸伸長粘度
測定により求められた時間−伸長粘度曲線(対数プロッ
ト)における非線形領域の一次近似直線の傾きm1と上
記曲線における線形領域の一次近似直線の傾きm2との
比m1/m2で表わされる非線形パラメーター(λ)が1
0以上のスチレン系樹脂組成物を、発泡剤の存在下、ガ
ラス転移温度以上かつ融点より20℃高い温度以下の範
囲の温度において加熱発泡成形することを特徴とする請
求項1記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。 - 【請求項5】 (A)シンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体1〜49重量%及び(B)アタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体99〜51重量%の組
成を有し、かつ(1)示差走査型熱量計(DSC)で測
定された冷結晶化エンタルピーΔHcc(J/g)と結
晶の融解エンタルピーΔHm(J/g)の比、ΔHcc
/ΔHmが0.4以上で、(2)温度130℃、一定ひ
ずみ速度0.02/秒の条件において、一軸伸長粘度測
定により求められた時間−伸長粘度曲線(対数プロッ
ト)における非線形領域の一次近似直線の傾きm1と上
記曲線における線形領域の一次近似直線の傾きm2との
比m1/m2で表わされる非線形パラメーター(λ)が1
0以上のスチレン系樹脂組成物を、発泡剤の存在下、ガ
ラス転移温度以上かつ冷結晶化温度以下の範囲の温度に
おいて加熱発泡成形することを特徴とする請求項1記載
のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7783396A JPH09263650A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | スチレン系樹脂発泡体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7783396A JPH09263650A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | スチレン系樹脂発泡体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263650A true JPH09263650A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=13645052
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7783396A Pending JPH09263650A (ja) | 1996-03-29 | 1996-03-29 | スチレン系樹脂発泡体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09263650A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005112882A (ja) * | 2003-10-02 | 2005-04-28 | Jsp Corp | 発泡性スチレン系重合体粒子、スチレン系重合体発泡粒子、スチレン系重合体発泡粒子成形体及びスチレン系重合体発泡粒子の製造方法 |
JP2012207172A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Sekisui Plastics Co Ltd | ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP7783396A patent/JPH09263650A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005112882A (ja) * | 2003-10-02 | 2005-04-28 | Jsp Corp | 発泡性スチレン系重合体粒子、スチレン系重合体発泡粒子、スチレン系重合体発泡粒子成形体及びスチレン系重合体発泡粒子の製造方法 |
JP2012207172A (ja) * | 2011-03-30 | 2012-10-25 | Sekisui Plastics Co Ltd | ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20050502 |
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051124 |