JPH0926286A - 熱交換器用表面処理フィン材とその製造方法 - Google Patents

熱交換器用表面処理フィン材とその製造方法

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JPH0926286A
JPH0926286A JP7196198A JP19619895A JPH0926286A JP H0926286 A JPH0926286 A JP H0926286A JP 7196198 A JP7196198 A JP 7196198A JP 19619895 A JP19619895 A JP 19619895A JP H0926286 A JPH0926286 A JP H0926286A
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JP
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coating
water
coating film
epoxy
weight
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JP7196198A
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English (en)
Inventor
Yoshikazu Mukai
良和 向井
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
Yosuke Ota
陽介 太田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 水滴の落下性と製造時無臭性及び工具耐久性
に優れた熱交換器用表面処理フィン材とその製造方法を
提供する。 【解決手段】 熱交換器用表面処理フィン材3は、アル
ミニウム板又はアルミニウム合金板の表面にエポキシ系
架橋材及びポリビニル系樹脂の混合物からなる第一皮膜
が形成され、前記第一皮膜の上に撥水性の第二皮膜が形
成されており、前記エポキシ系架橋材は重合体と2基の
エポキシ基を有するものであり、前記エポキシ系架橋材
に前記ポリビニル基が混合されている。又、熱交換器用
表面処理フィン材3の製造方法は、重合体と2基のエポ
キシ基を有する分子量が500以上のエポキシ系架橋材
と、重合度が50以上のポリビニル系樹脂とを、一定の
割合で混合し、これを第一皮膜としてアルミニウム板又
はアルミニウム合金板の表面に形成し、この上に撥水性
の第二皮膜を形成することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は家庭用空調機等に使用さ
れ、水滴の落下性が優れ、その製造時において無臭性及
び工具耐久性が優れた高性能の熱交換器用表面処理フィ
ン材に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に家庭用空調機等の熱交換器用フ
ィン材にはアルミニウム又はアルミニウム合金が使用さ
れている。以下、アルミニウム及びアルミニウム合金を
総称してアルミニウムという。この熱交換器用フィン材
は腐食を防止するための防食処理及び冷房運転時の凝縮
水の水滴を効率よく落下させるための表面処理が実施さ
れている。
【0003】図1には一般的に使用されている熱交換器
の模式図を示す。フィン3を貫くように通っている銅管
4の中を、図1において矢印で示す方向に冷媒が流れる
ため、フィン3の表面に水滴が結露する。
【0004】水滴を落下させる方法には、フィンの表面
を水膜状に水が落下するような水濡れ性がよい親水性の
表面処理及び水滴状に水が落下するような撥水処理があ
る。
【0005】図2には、親水性の表面処理又は撥水処理
によるフィン表面の水滴付着状態を示す。図2におい
て、下向きの矢印の長さは一定時間に水滴が落下する距
離に比例する。図2(a)は、表面処理により親水性が
優れたフィン5の表面における水6の付着状況を示す。
図2(a)に示すように、フィン5の表面の親水性が優
れているので、水膜状に水6が落下しやすく、フィン間
における送風抵抗も小さい。また、接触角が小さくなる
ほど水膜は落下しやすくなる。
【0006】図2(b)は、親水性の表面処理が不十分
であるフィン7の表面における水滴8の付着状況を示
す。図2(b)に示すように、親水性が不十分であるの
で、水滴8が落下しにくくなり、水滴8が大きくなるこ
とにより接触角が大きくなる。その結果、フィン間にお
ける送風抵抗が大きくなる。これらのことから、親水性
が優れているほど熱交換器の効率が良いことを示してい
る。
【0007】図2(c)は、従来の撥水処理を施したフ
ィン9、10の表面における水滴11の付着状態を示
す。図2(c)に示すように、従来の撥水処理では撥水
性が不十分であり、フィン9とその隣接するフィン10
との間で水滴11が大きくなることにより接触角が大き
くなり、更に、水滴11がフィン9とフィン10とに接
触して留まることがある。これにより、フィン間におけ
る送風抵抗が大きくなる。
【0008】図2(d)は、優れた撥水処理が行われた
場合のフィン12の表面における水滴13の付着状態を
示す。図2(d)に示すように、撥水性が優れていると
水滴13が落下しやすくなるため、フィン間における送
風抵抗が小さくなる。また、撥水性が優れているほど接
触角が大きくなり、小さな水滴で落下する。
【0009】図3は、平面上の水滴の接触角を親水性の
表面及び撥水性の表面の場合について示す模式図であ
る。図3(a)に示すように、接触角θとは水滴2の表
面における平面1から立ち上がった点における接線22
と平面1とがなす角度をいう。この場合に、図3(b)
に示すように、親水性が良好である平面1b上の水滴2
bにおいては、接線22と平面1bとがなす接触角θは
小さく、鋭角である。一方、図3(c)に示すように、
撥水性が良好な平面1c上の水滴2cにおいては、接触
角θは鈍角であり、180度に近くなる。
【0010】このような親水性の処理方法としては、ケ
イ酸塩を使用した処理方法若しくは熱硬化性の樹脂にシ
リカ微粒子を分散させた皮膜を平面に形成する処理方法
(特許1769978号)、セルロース樹脂及びアクリ
ル樹脂耐食皮膜を平面に形成する処理方法(特公平4−
23632号)又は親水性有機化合物にメラミン樹脂、
尿素樹脂若しくはベンゾグアナミン樹脂等のような有機
硬化剤を添加した樹脂系の親水皮膜を平面に設ける処理
方法(特公平5−15176号)等が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらケイ酸塩
を含む処理方法を行うと、親水性は良好となるものの、
硬質のシリカを含むためプレス加工時において工具摩耗
が大きく、冷房開始時においては水ガラス特有の微弱な
異臭がするという問題点がある。シリカ微粒子を含む樹
脂による処理を行うと、臭気発生は少なくなるものの、
プレス加工時において工具摩耗が大きく、この処理が行
われた平面は親水性が不十分であり、接触角が高くなる
傾向がある。また、有機硬化剤を添加した親水性有機化
合物を使用する方法では、工具摩耗及び臭気発生の問題
はほとんどないが、冷房運転及び送風運転等の乾湿の繰
り返しにより親水性の劣化が起こり、水滴の落下性が低
下するという問題点がある。
【0012】一方、現在の撥水処理では、通常、アルミ
ニウムに樹脂系の処理を行っているため工具摩耗及び臭
気発生の問題点はないが、表面に凹凸が少ないことから
その撥水効果は不十分であり親水性の処理に比べて水滴
の落下性が劣る。その結果、フィン間隔が比較的大きい
熱交換器においては使用できるが、フィン間隔が小さい
家庭用の熱交換器では、送風抵抗が大きくなることより
使用できないという問題点もある。
【0013】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、工具摩耗、水滴の落下性及び臭気の全ての
問題点を解決できるような処理方法を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
表面処理フィン材は、アルミニウム板又はアルミニウム
合金板の表面に分子量が500以上のエポキシ系架橋剤
及び重合度が50以上のポリビニル系樹脂の混合物から
なる第一皮膜が形成され、前記第一皮膜の上に撥水性の
第二皮膜が形成されており、前記エポキシ系架橋剤は1
分子内に(−CH2−CH2−O−又は−CH(CH3
−CH2−O−)を構成単位とする重合体と2基のエポ
キシ基を有するものであり、前記第一皮膜は前記エポキ
シ系架橋剤の1重量部に対して前記ポリビニル系樹脂が
0.2乃至4.0重量部の割合で混合されたものである
ことを特徴とする。
【0015】本発明に係る熱交換器用表面処理フィン材
の製造方法は、1分子内に(−CH2−CH2−O−又は
−CH(CH3)−CH2−O−)を構成単位とする重合
体と2基のエポキシ基を有する分子量が500以上のエ
ポキシ系架橋剤と、重合度が50以上のポリビニル系樹
脂とを、前記エポキシ系架橋剤の1重量部に対して前記
ポリビニル系樹脂を0.2乃至4.0重量部の割合で混
合し、これを第一皮膜としてアルミニウム板又はアルミ
ニウム合金板の表面に形成する工程と、前記第一皮膜の
上に撥水性の第二皮膜を形成する工程とを有することを
特徴とする。
【0016】
【作用】本願発明者等は、従来の熱交換器用表面処理フ
ィン材の問題点である水ガラス系の処理剤を使用するこ
とによる工具摩耗並びに臭気及び樹脂系処理による親水
性の劣化等の問題点を解決するか、又は撥水処理におけ
る撥水性の向上を開発すべく鋭意実験研究を行った。そ
の結果、特定樹脂により、フィン剤の表面に凹凸を付与
し、その上に撥水処理を施すことにより、樹脂系処理剤
の長所である工具耐久性及び無臭性を維持しつつ水滴の
落下性を向上させることができることを見い出した。
【0017】本発明においては、第二皮膜を形成する処
理浴として分子量が500以上のエポキシ系架橋剤及び
重合度が50以上のポリビニル系樹脂を使用するが、エ
ポキシ系架橋剤は、1分子内に(−CH2−CH2−O−
又は−CH(CH3)−CH2−O−)を構成単位とする
重合体と下記化1に示すようなエポキシ基を2基有する
ことが必要である。これは、3基以上の官能基を有する
エポキシ系架橋剤か又は分子量が500未満で1分子内
に(−CH2−CH2−O−又は−CH(CH3)−CH2
−O−)を構成単位とする重合体を有さないエポキシ系
架橋剤を使用すると、第一皮膜を形成した後の接触角が
大きくなり、第二皮膜を設けるときにその塗装液を第一
皮膜が弾いてしまい、良好な塗装性が得られないためで
ある。第二皮膜の塗装液を第一皮膜が弾いてしまう理由
は架橋剤の架橋密度が高くなるためであると推定され
る。このエポキシ系架橋剤の構成単位は、(−CH2
O−CH2−又は−CH(CH3)−O−CH2−)で表
されるエーテル基に書き換えることができる。
【0018】
【化1】
【0019】また、このエポキシ系架橋剤の分子量は大
きくなるほど第一皮膜の親水性が良好となる傾向にあ
り、塗装性が向上するため第二皮膜の形成が容易にな
る。しかし、分子量が1500を超える場合はこの架橋
剤の融点が高くなり、通常作業温度(室温:約20℃)
において固体となるために、処理浴を作成するときに加
熱及び溶解の工程が必要となることから、分子量は15
00以下にするのが好ましい。 このようなエポキシ系
架橋剤には、エチレンポリエチレングリコールジグリシ
ジルエーテル及びプロピレンポリプロピレングリコール
ジグリシジルエーテル等があり、その分子量は500乃
至1500のものが使用できる。
【0020】本発明においてエポキシ系架橋剤と共に第
一皮膜を形成する処理浴に使用するポリビニル系樹脂
は、前記エポキシ系架橋剤1重量部に対して0.2乃至
4.0重量部の割合で混合する必要があり、その構造
は、下記化2に示すように、1基の置換基Yを有するエ
チレン基を構成単位とする重合体である。但し、置換基
YはOH、NH2 、1価の原子若しくは基Zを含むCO
OZ又はこれらの混合物であり、ZはH、Na、K、N
4 又はLiのいずれでも良い。つまり、ポリビニルア
ルコール、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸又はポリア
クリル酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム
塩、リチウム塩又はこれらの混合物等である。
【0021】
【化2】
【0022】これらのポリビニル系樹脂は、前記エポキ
シ系架橋剤と混合した皮膜を形成したときに、表面に微
細な小穴が形成され、磨りガラスのような粗面化した外
観とする効果がある。この微細な小穴は、第一皮膜への
第二皮膜の塗装性を向上させ、更に、第二皮膜の塗装後
においても小穴が残存して、微細な凹凸がある撥水性の
表面となるために、その表面形態の効果により見かけの
接触角が向上し、水滴落下性が優れるという効果を有す
るものである。この小穴の穴径は特に制限しないが、穴
径が0.1乃至5μm程度の場合に第二皮膜の塗装性が
良好となり、塗装後の表面は高接触角で優れた水滴落下
性が得られる。更に、この小穴の生成密度は、平面部1
0μm当たり5個以上必要である。これは、5個以下で
は第二皮膜の塗装後の表面における接触角が小さくな
り、水滴の落下性が低下するからである。また、水滴の
落下性が低下するのは、表面の平坦部が多くなるためと
考えられる。
【0023】ポリビニル系樹脂を単独でフィン表面に塗
装した場合、塗装後の表面は平滑で良好な親水性を示す
が、ポリビニル系樹脂自体は水溶性の樹脂であるので容
易に流出する。また、ポリビニル系樹脂の吸湿性が高い
ことより、コイル塗装においてコイル状に巻きとった後
に板同士が接着するブロッキング又は加工時における加
工不良が生じる傾向がある。そこで、本発明において
は、ポリビニル系樹脂にエポキシ系架橋剤を添加するこ
とにより吸湿性が低下し、ブロッキング又は加工不良が
抑制される。更に第二皮膜の形成後において、水滴の落
下性が向上する。
【0024】このエポキシ系架橋剤1.0に対するポリ
ビニル系樹脂の混合比は、0.2未満か又は4.0を超
えると、第一皮膜の形成後に目視外観が透明となり、電
子顕微鏡による表面の形態観察においても微細な小穴が
ほとんど確認されないため、第二皮膜の形成後において
も接触角が低く、水滴の転落性が不十分となる。
【0025】また、ポリビニル系樹脂の重合度nは50
未満では表面に微細な小穴を形成できないため第一皮膜
の親水性が不十分になり、第二皮膜の塗装性が低下す
る。一方、上限は特に制限しないが、nが10000を
超えると処理浴の粘度が大きくなることにより、第一皮
膜及び第二皮膜の塗装性が低下する。従って、重合度n
は50以上で、好ましくは10000以下である。
【0026】本発明において、先ず第一皮膜を設けて、
次に第二皮膜を塗布する。この第二皮膜は平坦部に塗装
した場合に接触角が90度以上になるような撥水性の樹
脂皮膜を選択する。例えば、市販のフッソ系若しくはシ
リコン系の撥水性塗料又は繊維及び皮革の防水加工に使
用するフッソ系の撥水化剤などが使用できる。また、塗
装法としては、第一皮膜、第二皮膜共にロールコート法
又は浸漬処理法等を使用することができる。
【0027】皮膜の厚さは特に制限しないが、第一皮膜
は1乃至2μmとし、第二皮膜は0.1乃至1μmとす
ると加工性及び経済性の点から適当である。第二皮膜の
厚さを厚くすると、第一皮膜の形成時に生成した微細な
小穴の効果が低下し、水滴の落下性も低下するため、第
一皮膜よりも薄く形成するほうが好ましい。
【0028】また、長時間又は250℃の温度を超えて
皮膜の焼き付け条件を設定すると、アルミニウム素材の
材料特性に悪影響を及ぼすことより、皮膜の焼き付け時
間は1分以下で、焼き付け温度は250℃以下とするこ
とが望ましい。
【0029】本発明にかかる皮膜は、単独で使用すると
耐食性が不十分であるので、クロム酸クロメート処理、
リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理又は耐食
性樹脂プライマー塗装等の防食処理を下地処理に実施す
ると良い。
【0030】
【実施例】以下、本発明に係る熱交換器用表面処理フィ
ン材の実施例についてその比較例と比較して具体的に説
明する。先ず、熱交換器用フィン材の材料に板厚が0.
11mmであるJIS A1100 H22のアルミニ
ウム板材を使用し、このアルミニウム板材の表面に、防
食処理のためにリン酸4%及びクロム酸0.4%からな
るリン酸クロメート処理(日本ペイント製アルサーフ4
01/45)を行った(Cr含有量15mg/m2 )。
【0031】前記アルミニウム板材の表面に下記表1に
示すエポキシ系架橋剤と下記表1に示す置換基により置
換されたポリビニル系樹脂とを下記表1に示す割合で混
合したものからなる第一皮膜を、皮膜の厚さが1μmと
なるようにバーコーターにより形成した。
【0032】次に、第二皮膜として、下記表2に示す市
販のフッソ系撥水化剤を第一皮膜と同様にバーコーター
により塗布した。この第二皮膜の皮膜の厚さについても
表2に併せて示す。このようにして製作した試料を実施
例とする。ここで、実施例においてエポキシ系架橋剤と
して使用したプロピレンポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテルを下記化3に、エチレンポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテルを下記化4に示す。但
し、重合度m及びkは夫々異なるため、同一の名称であ
っても分子量が異なる。この重合度m及びkは表1に併
せて示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】 また、前記アルミニウム板材に従来技術と同様に下記表
3に示す樹脂系の処理を行い、これらの試料を比較例1
乃至4とする。
【0037】
【表3】
【0038】更に、実施例と同様に、リン酸クロメート
処理を施したアルミニウム板材の表面に、第一皮膜とし
て下記表4に示すエポキシ系架橋剤と下記表4に示す置
換基により置換されたポリビニル系樹脂とを下記表4に
示す割合で混合したものからなる皮膜を、その厚さが1
μmとなるようにバーコーターにより形成し、第二皮膜
として、下記表5に示すフッソ系撥水化剤を第一皮膜と
同じようにバーコーターにより塗布した。これらの試料
を比較例5乃至10とする。ここで、比較例5乃至10
においてエポキシ系架橋剤として使用するグリセロール
ポリグリシジルエーテルを下記化5に、1,6−ヘキサ
ンジオールジグリシジルエーテルを下記化6に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】上記各実施例及び比較例について第一皮膜
の形成後及び樹脂系の処理後の試料の表面を日本電子製
電子顕微鏡JSM6300Fにより加速電圧を5kVと
して2000倍(比較例3のみ10000倍)の倍率に
て顕微鏡写真を撮影した。実施例及び比較例における第
一皮膜の形成後及び樹脂系の処理後の試料の表面の電子
顕微鏡写真による観察の結果、本実施例1乃至5におけ
る第一皮膜の形成後の表面には微細な小穴が存在した。
一方、比較例2及び比較例3については表面に凹凸が存
在したが、比較例1及び4乃至10については小穴又は
凹凸がほとんど存在せず、平坦な表面となっている。こ
れらの顕微鏡写真において無作為に5カ所の10μm角
部分を抽出し、その部分内に存在する小穴の個数を測定
することにより小穴密度を評価した。その結果を下記表
6に示す。但し、小穴の個数は5カ所の平均値をとっ
た。
【0044】これらの第一皮膜及び第二皮膜の皮膜の焼
き付けは200℃の温度で30秒間実施した。これらの
試料について撥水性の評価として乾湿を繰り返した後の
接触角及び水滴落下性を測定した。但し、乾湿を繰り返
すサイクルは試料を水道水に8時間浸漬した後、80℃
の温度により16時間の乾燥を行う試験を1サイクルと
し、合計7サイクル繰り返した。また、水滴落下性の評
価は、図4に示すように、垂直に立てた試料30の表面
を0.01mlの水滴31が3秒間に落下する距離hを
示す。
【0045】更に、100時間水道水に浸漬した後の試
料に呼気を吹きかけ、匂いをかぐ方法により臭気の評価
を行った。表6における臭気評価欄において1は臭気が
なし、2はやや臭気があり、3は臭気があり、4はやや
臭気が強く、5は異臭が強いことを示す。
【0046】また、各試料について工具摩耗の評価を行
った。先ず、試料を日高精機製のドローレス金型により
実機プレスして、第2アイアニングしごき率が50%の
条件でしごきポンチの摩耗状況及び焼きつけ状況を観察
した。プレスの条件については出光興産製のプレス油A
F2Cを使用し、250spmの加工速度で10万パン
チとした。但し、工具摩耗の評価欄において、○は焼き
付き又は傷付き等の異常がないこと、△は軽微な焼き付
きがあることを示す。撥水性、臭気及び工具摩耗評価の
結果を下記表6に併せて示す。
【0047】
【表6】
【0048】上記表6に示すように、実施例1乃至5は
本発明方法によりアルミニウム板材に表面処理を施した
ものであり、いずれの試験材についても小穴が存在する
ために、乾湿の繰り返し試験の後においても試験材の表
面の劣化が発生せず、150度程度の接触角となり、良
好な撥水性を示した。その結果、水滴落下性は従来法で
ある親水性の処理を施したものよりも向上した。
【0049】また、臭気及び工具摩耗については、樹脂
系処理剤を使用した比較例1と同様に優れた評価が得ら
れた。
【0050】一方、比較例1乃至4は従来技術により表
面処理を行った試験材であり、比較例1は樹脂系の親水
性処理を行っているので臭気評価は良好であるが、親水
性が不十分であり、接触角が高くなっている。比較例2
はコロイダルシリカを含有した親水性塗料を塗布してお
り、その表面には小穴が存在するが、若干の臭気及び工
具摩耗が発生し、親水性も十分ではない。また、比較例
3についても表面において多数の小穴が存在するが、水
ガラス系の処理を施しているため、乾湿の繰り返し試験
の後でも接触角が低く、親水性は良好であるものの、臭
気がやや強く、若干の工具摩耗も発生した。比較例4は
アクリル系の撥水性プライマーを使用しており、臭気及
び工具摩耗の点では良好であるが、既に述べたように、
従来法では撥水性が不十分であり接触角が向上しない。
【0051】また、比較例5乃至10は本発明方法の範
囲を外れて表面処理を行った試験材である。比較例5は
第一皮膜の材料であるエポキシ系架橋剤の1分子内に3
基のエポキシ基が存在し、比較例6は分子量が500未
満で1分子内の構成単位に(−CH2−CH2−O−又は
−CH(CH3)−CH2−O−)が存在しないエポキシ
系架橋剤を使用している。比較例7及び8はエポキシ系
架橋剤1に対するポリビニル系樹脂の混合比が0.2乃
至4の範囲を外れて混合しており、比較例9はポリビニ
ル系樹脂が有する置換基Yが本発明の範囲以外の場合で
あり、比較例10はポリビニル系樹脂の重合度が50未
満の場合である。比較例5乃至10のいずれの場合にお
いても、第一皮膜の形成後に試験材の表面に微細な小穴
が生成せず、ほぼ平滑であるため、第二皮膜の形成後に
おいて試験材表面の接触角が100度以下にとどまり、
水滴の撥水性が劣ったものとなっている。
【0052】なお、小穴密度が大きい値である比較例3
の試料の表面に撥水性の処理を行い、撥水性の評価を行
ったところ、接触角は120度程度であり、水滴は落下
せず、本実施例よりも撥水性が劣ったものとなった。こ
れは、水ガラス系の処理が行われた試験材の表面に存在
する官能基(−OH基)の密度が高いことにより、第二
皮膜である撥水性の処理を施した後においても親水性の
性質が残存するために、接触角が向上しないことが理由
であると推定される。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、ア
ルミニウムの表面に、先ず親水性の処理として第一皮膜
が形成され、第一皮膜の上に撥水性の第二皮膜が設けら
れているので、水滴の落下性が優れた、高性能の熱交換
器用表面処理フィン材を得ることができる。また、第二
皮膜にポリビニル系樹脂を使用するので、その製造時に
おける無臭性及び工具耐久性が優れた熱交換器用表面処
理フィン材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱交換器を示す模式図である
【図2】フィン表面の水滴付着状況を示す模式図であ
る。
【図3】平面上の水滴における接触角を示す模式図であ
【図4】水滴落下性の評価方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1、1b、1c;平面 2、2b、2c、6、8、11、13、31;水滴 3、5、7、9、10、12;フィン 4;銅管 22;接線 30;試料 h;水滴が落下する距離

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板又はアルミニウム合金板
    の表面に分子量が500以上のエポキシ系架橋剤及び重
    合度が50以上のポリビニル系樹脂の混合物からなる第
    一皮膜が形成され、前記第一皮膜の上に撥水性の第二皮
    膜が形成されており、前記エポキシ系架橋剤は1分子内
    に(−CH2−CH2−O−又は−CH(CH3)−CH2
    −O−)を構成単位とする重合体と2基のエポキシ基を
    有するものであり、前記第一皮膜は前記エポキシ系架橋
    剤の1重量部に対して前記ポリビニル系樹脂が0.2乃
    至4.0重量部の割合で混合されたものであることを特
    徴とする熱交換器用表面処理フィン材。
  2. 【請求項2】 1分子内に(−CH2−CH2−O−又は
    −CH(CH3)−CH2−O−)を構成単位とする重合
    体と2基のエポキシ基を有する分子量が500以上のエ
    ポキシ系架橋剤と、重合度が50以上のポリビニル系樹
    脂とを、前記エポキシ系架橋剤の1重量部に対して前記
    ポリビニル系樹脂を0.2乃至4.0重量部の割合で混
    合し、これを第一皮膜としてアルミニウム板又はアルミ
    ニウム合金板の表面に形成する工程と、前記第一皮膜の
    上に撥水性の第二皮膜を形成する工程とを有することを
    特徴とする熱交換器用表面処理フィン材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH11201674A (ja) * 1998-01-14 1999-07-30 Denki Kagaku Kogyo Kk 熱交換器用フィン材およびその表面処理剤

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