JPH09256993A - ウォータポンプ用メカニカルシール - Google Patents

ウォータポンプ用メカニカルシール

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JPH09256993A
JPH09256993A JP8064380A JP6438096A JPH09256993A JP H09256993 A JPH09256993 A JP H09256993A JP 8064380 A JP8064380 A JP 8064380A JP 6438096 A JP6438096 A JP 6438096A JP H09256993 A JPH09256993 A JP H09256993A
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JP
Japan
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sliding member
peripheral side
mechanical seal
water pump
inner peripheral
Prior art date
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Application number
JP8064380A
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English (en)
Inventor
Minako Ozawa
美奈子 小澤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Publication of JPH09256993A publication Critical patent/JPH09256993A/ja
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  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Mechanical Sealing (AREA)
  • Sealing Of Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は回転側摺動部材と固定側摺動部材との
摺接部でシール面を形成するウォータポンプ用メカニカ
ルシールに関し、摺動部材に偏摩耗が発生することを防
止することを目的とする。 【解決手段】ウォータポンプ1の回転軸5に設けられた
回転側摺動部材15と、ポンプハウジング3に固定され
た固定側摺動部材16と、固定側摺動部材16を回転側
摺動部材15に押圧せしめるコイルスプリング17とを
有し、各摺動部材15,16の摺接面15a,16aに
て冷却水のシール面22を形成したウォータポンプ用メ
カニカルシールにおいて、回転側摺動部材15の内周側
の肉厚W1を外周側の肉厚W2に比べて薄く構成するこ
とにより、回転側摺動部材15の内周側における放熱性
が外周側における放熱性に比べて高くなるよう構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はウォータポンプ用メ
カニカルシールに係り、特に回転側摺動部材と固定側摺
動部材との摺接部でシール面を形成するウォータポンプ
用メカニカルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンの冷却系には冷却水を循環させ
るためのウォータポンプが配設されている。このウォー
タポンプは、ポンプハウジングと、このポンプハウジン
グに配設されたベアリングに軸承された回転軸と、この
回転軸の一端に配設されエンジンの回転が伝達されるプ
ーリと、回転軸の他端に配設され回転軸の回転により冷
却水を圧送する回転羽と、冷却水がベアリングに侵入す
るのを防止するメカニカルシール等により構成されてい
る。
【0003】このメカニカルシールが配設されたウォー
タポンプとしては、例えば特開昭64−53097号公
報に開示されたものが知られている。同公報に開示され
たウォータポンプは、ポンプハウジング内にベアリング
に軸承された回転軸が配設されており、その一端にはエ
ンジンの回転が伝達されるプーリが配設されると共に、
他端には冷却水を循環付勢する回転羽が配設されてい
る。
【0004】また、メカニカルシールは冷却水がベアリ
ングに侵入するのを防止するために配設されており、耐
久性を向上させる面から耐摩耗性に優れたメカニカルシ
ール構造が採用されている。このメカニカルシールは、
大略すると回転羽に一体的に配設されたセラミック製の
回転側摺動部材と、ポンプハウジングに固定されたカー
ボン製の固定側摺動部材と、固定側摺動部材を回転側摺
動部材に押圧付勢するコイルスプリング等により構成さ
れている。
【0005】固定側摺動部材はコイルスプリングに配設
されたベローズゴムの先端部に設けられており、よって
固定側摺動部材はコイルスプリング及びベローズゴムが
発生する弾性力により回転側摺動部材に圧接される。こ
れにより、固定側摺動部材と回転側摺動部材との間にシ
ール面が形成され、冷却水がベアリングに侵入するのを
防止する構成とされていた。
【0006】従来、上記した回転側摺動部材及び固定側
摺動部材は、共に略均一な肉厚とされたリング状部材と
されており、よって各摺動部材が摺接するシール面も環
状平面とされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に冷却水を循環させるために回転羽が回転すると、回転
側摺動部材はこれに伴い回転し、よって回転側摺動部材
と固定側摺動部材とが摺接するシール面には摩擦による
熱が発生する。そして、この摩擦熱は各摺動部材に夫々
熱伝導し、この熱により各摺動部材には熱膨張が発生す
る。
【0008】この際、回転側摺動部材はセラミック製で
あるため熱膨張は小さいが、固定側摺動部材はカーボン
製であるため熱膨張は大きくなる。このため、固定側摺
動部材の熱膨張は、シール面におけるシール性に影響を
及ぼすこととなる。一方、上記のようにメカニカルシー
ルは冷却水をシールするものであるため、固定側摺動部
材の外周側(冷却水側)は冷却水と接し、内周側(回転
羽の回転軸側)は空気と接した構成となっている。従っ
て、固定側摺動部材の外周側では放熱効率がよく、逆に
内周側では放熱効率が良くない。
【0009】従って、上記のようにシール面に摩擦熱が
発生すると、内周側と外周側の放熱効率の差に起因して
固定側摺動部材には内周側と外周側との間で温度差が発
生する。具体的には、外周側に比べて放熱効率の低い内
周側(大気側)の方が温度が高くなり、これに伴い熱膨
張も大きくなる。
【0010】このように、固定側摺動部材の内周側と外
周側とで熱膨張差が発生すると、外周側に比べて熱膨張
が大きく発生する内周側においては摩擦力が大きくなり
これに伴い摩耗量も増大する。よって、固定側摺動部材
には、外周側に比べて内周側の方がより多く摩耗する偏
摩耗が発生する。このように偏摩耗が発生すると、ウォ
ータポンプが停止した常温時において内周部におけるシ
ール幅が減少し、よってシール性が低下してしまうとい
う問題点が生じる。
【0011】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、回転側の摺動部材の放熱特性を外周側対して内周
側を高く設定することにより、摺動部材に偏摩耗が発生
することを防止することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、下記の手
段を講じることにより解決することができる。請求項1
記載の発明では、ウォータポンプの回転軸に設けられた
第1の摺動部材と、前記ウォータポンプの固定本体側に
設けられた第2の摺動部材と、前記第1及び第2の摺動
部材の一方を他方に押圧せしめる付勢手段とを有し、上
記第1及び第2の摺動部材の摺接面にて冷却水のシール
面を形成するウォータポンプ用メカニカルシールにおい
て、前記第1の摺動部材の内周側における放熱性が外周
側における放熱性に比べて高くなるよう構成したことを
特徴とするものである。
【0013】また、請求項2記載の発明では、前記請求
項1記載のウォータポンプ用メカニカルシールにおい
て、前記第1の摺動部材の内周側の肉厚を外周側に比べ
て薄く構成することにより、前記第1の摺動部材の内周
側における放熱性が外周側における放熱性に比べて高く
なるよう構成したことを特徴とするものである。
【0014】更に、請求項3記載の発明では、前記請求
項1または2記載のウォータポンプ用メカニカルシール
において、前記シール面が前記回転軸の軸方向に対して
斜めに延在する構成としたことを特徴とするものであ
る。
【0015】上記の各手段は、次のように作用する。請
求項1記載の発明によれば、ウォータポンプの回転軸に
設けられた第1の摺動部材と、固定本体側に設けられた
第2の摺動部材は付勢手段により押圧され、その摺接面
にて冷却水のシール面を形成し、これにより冷却水の漏
洩は防止される。
【0016】また、シール面においては、第1及び第2
の摺動部材が摺接するため、摩擦熱が発生する。この
際、第2の摺動部材側に発生した摩擦熱は、主に第1の
摺動部材を熱伝導して冷却水に放熱される。ここで、本
請求項に係るウォータポンプ用メカニカルシールは、第
1の摺動部材の内周側における放熱性が外周側における
放熱性に比べて高くなるよう構成されている。このた
め、第2の摺動部材の内周側において発生した熱は、第
1の摺動部材の内周側は放熱性が高いため効率よく冷却
水に放熱されていく。これに対し、第1の摺動部材の外
周側は放熱性が低いため、第2の摺動部材の外周側にお
いて発生した熱は内周側ほど放熱されない。
【0017】よって、大気側となり放熱性の低い第2の
摺動部材の内周側に発生した熱は、第1の摺動部材を介
して効率的に冷却水に放熱されるため、第2の摺動部材
の内周側及び外周側の温度を均一化することが可能とな
る。このため、内周側と外周側との温度差に起因して、
特に内周側に発生していた偏摩耗の発生を抑制すること
ができ、従ってウォータポンプが停止した常温時におけ
るシール性の低下を防止することができる。
【0018】また、請求項2記載の発明によれば、第1
の摺動部材の内周側の肉厚を外周側に比べて薄く構成
し、第1の摺動部材の内周側における放熱性を外周側に
おける放熱性に比べて高くすることにより、単に第1の
摺動部材の形状を変更するのみで偏摩耗の発生を抑制し
シール性の低下を防止することができる。
【0019】更に、請求項3記載の発明によれば、シー
ル面が回転軸の軸方向に対して斜めに延在する構成とし
たことにより、シール面の面積を広くすることができ
る。よって、仮に内周側に偏摩耗が発生したとしても、
シール面が広い面積を有することによりシール性は維持
され冷却水の漏洩を確実に防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面と共に説明する。図1は本発明の一実施例であるウ
ォータポンプ用メカニカルシール1(以下、メカニカル
シールという)を示しており、また図2はメカニカルシ
ール1が配設されるウォータポンプ2を示している。先
ず、メカニカルシール1が配設されるウォータポンプ2
の構造について図2を用いて説明する。
【0021】ウォータポンプ2は遠心式のポンプ構造と
されており、ポンプハウジング3にベアリング4,回転
軸5,ロータ(回転羽)6,及びメカニカルシール1等
を内設した構成とされている。ポンプハウジング3は、
ハウジング本体部7と蓋体部8とにより構成されてい
る。このハウジング本体部7にはベアリング4が配設さ
れており、回転軸5はベアリング4に回転自在に軸承さ
れている。
【0022】この回転軸5の図中左端はハウジング本体
部7より外部に延出しており、この延出部分にはエンジ
ンの回転が伝達されるプーリ9が配設されてる。このプ
ーリ9とエンジンのクランクシャフトとの間にはVベル
ト(図示せず)が配設されており、これによりエンジン
の回転がプーリ9に伝達され、よって回転軸5はエンジ
ンにより回転駆動される構成となっている。
【0023】また、回転軸5の図中右端にはロータ6が
固定されている。このロータ6は、ポンプハウジング3
内に形成されたポンプ室10内に収納されている。ま
た、蓋体部8においてポンプ室10の回転軸5と対向す
る位置には冷却水が導入される導入口11が形成される
と共に、ロータ6の外周位置には冷却水が圧送される吐
出口12が形成されている。
【0024】上記構成において、回転軸5の回転に伴い
ロータ6が回転駆動すると、ロータ6の回転による遠心
力により導入口11より導入された冷却水は吐出口12
から吐出され、冷却水はエンジンの冷却系(図示せず)
に圧送される。これにより、冷却水はウォータポンプ2
により強制的に循環されることとなる。
【0025】続いて、図1を用いてメカニカルシール1
の構成について説明する。メカニカルシール1は、冷却
水がポンプ室10からベアリング4に侵入するのを防止
するために配設されており、耐久性を向上させる面から
耐摩耗性に優れたメカニカルシール構造が採用されてい
る。
【0026】このメカニカルシール1は、大略すると回
転軸5に配設され一体的に回転する回転側摺動部材15
(前記した第1の摺動部材に相当する)と、ポンプハウ
ジング3(前記した固定本体に相当する)に固定された
固定側摺動部材16(前記した第2の摺動部材に相当す
る)と、固定側摺動部材16を回転側摺動部材15に向
け押圧付勢するコイルスプリング17(前記した付勢手
段に相当する)等により構成されている。
【0027】回転側摺動部材15は耐摩耗性に優れたセ
ラミックにより形成されており、図示されるように回転
軸5から斜めに延出した袴状の形状を有している。この
回転側摺動部材15の内側面は回転軸5の軸方向に対し
斜めに延出した摺接面15aを構成し、後述する固定側
摺動部材16と摺接する構成とされている。また、上記
のように回転側摺動部材15はセラミックにより形成さ
れているため熱膨張率は小さく、よって印加される熱変
化により発生する熱膨張差は小さい。
【0028】更に、回転側摺動部材15の熱伝導率は、
後述する固定側摺動部材16(後述するように、カーボ
ンよりなる)に比べて高い値を有している。この回転側
摺動部材15は、保持用ゴム18により回転軸5に配設
された回転側ホルダ19に固定されている。
【0029】ここで、回転側摺動部材15の肉厚に注目
すると、本実施例に係る回転側摺動部材15では、内周
側の肉厚(図中、矢印W1で示す)は外周側の肉厚(図
中、矢印W2で示す)に比べて薄くなるよう構成されて
いる(W1<W2)。尚、本実施例では、回転軸5に近
い部位を内周側といい、ポンプハウジング3に近い部位
を外周側というものとする。
【0030】上記のように回転側摺動部材15の構成を
外周側の肉厚W2に比べて内周側の肉厚W1が薄くなる
よう構成することにより、外周側に比べて内周側の放熱
性を向上させることができる。これについて図3を用い
て説明する。周知のように、図3に示すような部材Aを
想定し、部材Aの一方の面の温度をθ1,他方の面の温
度をθ2(θ1>θ2)とすると、熱は温度θ1の面か
ら温度θ2の面に向かって流れる。いま、部材Aの面積
をS,部材Aの厚さをL,時間をt,熱伝導率をλとす
ると、温度θ1の面から温度θ2の面に時間tの間に流
れる熱量Qは下式により表させる。
【0031】 Q=λ・t・S・(θ1−θ2)/L …(1) 従って、上記の(1)式より、部材Aの厚さLを小さく
することにより温度θ1の面から温度θ2の面に流れる
熱量Qを多くすることができ、放熱特性を向上させるこ
とが判る。
【0032】よって、上記のように回転側摺動部材15
を外周側の肉厚W2に比べて内周側の肉厚W1が薄くな
るよう構成することにより、外周側に比べて内周側の放
熱性を向上できることができる。また、図2に示される
ように、回転側摺動部材15はその外周の大部分が冷却
液と接した構成となっている。また、本実施例の構成で
は、回転側摺動部材15が回転軸5より斜めに延出した
形状を有している。
【0033】このため、回転側摺動部材15の外周面積
は従来に比べて広く、これに伴い冷却水との接液面積も
広くなっている。よって、回転側摺動部材15は高い放
熱効率を有した構成となり、かつ、摺接面15aの面積
も従来に比べて広くなっている。
【0034】続いて、固定側摺動部材16について説明
する。固定側摺動部材16は、カーボンにより構成され
た中空状の円錐台形状を有している。具体的には、固定
側摺動部材16は摺接面16a,外周面16b,内周面
16c,底面16d等を有した構成とされている。この
固定側摺動部材16は、前記したようにカーボンにより
形成されており、よってその放熱特性はセラミック製の
回転側摺動部材15に比べて低くなっている。
【0035】摺接面16aは、前記した回転側摺動部材
15に形成された摺接面15aと対応した形状を有して
おり、回転軸5の軸方向に対し斜めに延出した構成とさ
れている。また、外周面16bは冷却水と接する面であ
り、よってこの外周面16b近傍における放熱特性は回
転側摺動部材15の他の部位に比べて良好となってい
る。
【0036】また、内周面16cは回転軸5と対向する
面であり、この内周面16cと回転軸5とが対向する空
間は後述するように冷却水がシールされることにより大
気(空気)が存在する空間となっている。周知のように
水に比べて空気は熱伝導率が低いため、よって内周面1
6c近傍における放熱特性は回転側摺動部材15の他の
部位に比べて低くなっている。尚、底面16dは後述す
るコイルスプリング17が当接される面である。
【0037】上記構成とされた固定側摺動部材16は、
コイルスプリング17により回転側摺動部材15に向け
押圧付勢される構成とされている。また、コイルスプリ
ング17の内周位置にはベローズゴム20が配設されて
いる。このベローズゴム20は天然ゴム或いは人造ゴム
により形成されており、弾性変形性を向上させるために
中間部分に湾曲部20aが形成されている。
【0038】このコイルスプリング17及びベローズゴ
ム20は、ポンプハウジング3に配設された固定側ホル
ダ21の底部21aと固定側摺動部材16の底面16d
との間に介装されており、よってコイルスプリング17
及びベローズゴム20の発生する弾性力により固定側摺
動部材16は回転側摺動部材15に向け押圧される構成
とされている。
【0039】これにより、固定側摺動部材16に形成さ
れた摺接面16aは回転側摺動部材15に形成された摺
接面15aに液密に摺接し、よって各摺接面15a,1
6aが摺接する部位でシール面22が形成されメカニカ
ルシールが構成される。従って、冷却水がポンプ室10
からベアリング4に向け漏洩することを防止することが
できる。
【0040】続いて、上記構成とされたメカニカルシー
ル1の作用について説明する。前記したように、回転軸
5はクランクシャフトにより回転駆動され、これに伴い
回転軸5に固定されている回転側摺動部材15も一体的
に回転する。これに対し、固定側摺動部材16はポンプ
ハウジング3に固定されているため、回転側摺動部材1
5に形成された摺接面15aと固定側摺動部材16に形
成された摺接面16aとの間には摩擦熱が発生する。
【0041】この際、回転側摺動部材15に発生した摩
擦熱は、前記したように回転側摺動部材15は熱伝導性
が良好で、かつ冷却水との接液面積が広いため、冷却水
により効率的に放熱される。このため、摩擦熱による回
転側摺動部材15の熱膨張は殆ど発生しない。
【0042】これに対し、固定側摺動部材16は、冷却
水と接するのは外周面16bのみであり、またその接液
面積は小さいため冷却効率は悪い。このため、固定側摺
動部材16に発生した摩擦熱は、主に摺接している回転
側摺動部材15を介して(熱伝導して)冷却水に放熱さ
れる。
【0043】また、固定側摺動部材16の内周側と外周
側とにおける放熱特性差に注目すると、前記したように
固定側摺動部材16の外周面16bは冷却水と接してい
るため、外周面16b近傍における放熱特性は回転側摺
動部材15の他の部位に比べて良好となっている。
【0044】これに対し、内周面16cは大気(空気)
と接した面であるため、内周面16c近傍における放熱
特性は回転側摺動部材15の他の部位に比べて低くなっ
ている。従って、上記のように摩擦熱が発生した場合、
固定側摺動部材16には内周側が高温となり外周側が低
温となる温度差が発生する。従来構成のメカニカルシー
ルでは、この温度差に起因して固定側摺動部材の内周側
と外周側との間に熱膨張差が発生し、これにより偏摩耗
が発生していたことは前述した通りである。
【0045】しかるに、本実施例に係るメカニカルシー
ル1では、回転側摺動部材15の内周側の肉厚W1を外
周側の肉厚W2に比べて薄く構成することにより、回転
側摺動部材15の内周側における放熱性が外周側におけ
る放熱性に比べて高くなるよう構成している。
【0046】回転側摺動部材15を上記構成とすること
により、回転側摺動部材15の内周側は放熱性が高いた
め、固定側摺動部材16の内周側において発生した熱は
効率よく冷却水に放熱されていく。これに対し、回転側
摺動部材15の外周側は放熱性が低いため、固定側摺動
部材16の外周側において発生した熱は内周側ほど放熱
されない。
【0047】このように、放熱性の低い固定側摺動部材
16の内周側に発生した熱は、回転側摺動部材15を介
して冷却水に効率良く放熱されるため、固定側摺動部材
16の内周側及び外周側の温度を均一化することが可能
となる。これにより、内周側と外周側との温度差に起因
して固定側摺動部材16の内周側に発生していた偏摩耗
の発生を抑制することができ、従ってウォータポンプ1
が停止した場合であっても高いシール性を維持すること
ができる。
【0048】また、本実施例の構成では、単に回転側摺
動部材15の形状を変更するのみで偏摩耗の無い高いシ
ール性を有したメカニカルシール1を実現できるため、
簡単な構成でかつ低コストで信頼性の高いメカニカルシ
ール1を実現することができる。
【0049】更に、本実施例に係るメカニカルシール1
は、前記したようにシール面22が回転軸5の軸方向に
対して斜めに延在する構成とされている。この構成とす
ることにより、従来のようにシール面が回転軸の軸方向
に対し垂直に延在する構成に比べ、メカニカルシール1
の小型化を図りつつシール面22の面積を広くすること
ができる。
【0050】よって、仮に固定側摺動部材16に形成さ
れた摺接面16aの内周側に偏摩耗が発生したとして
も、シール面22が広い面積を有することにより、偏摩
耗発生部位以外の部分でシール性は維持され、よって冷
却水の漏洩を防止することができる。
【0051】ところで、上記した実施例では、上記した
(1)式に示される部材Aの厚さLに注目し、この部材
Aに相当する回転側摺動部材15の内周側の板厚W1を
薄くすることにより、内周側における放熱特性を向上さ
せた構成とした。ここで、放熱性を向上させることは、
(1)式における熱量Qを多く設定することと等価であ
る。
【0052】そこで、再び(1)式を注目すると、同式
における面積Sを大きく設定することによっても熱量Q
を多く設定することが可能であることが判る。これを図
1に示されるメカニカルシール1に具現化するには、回
転側摺動部材15の内周側位置の面積を広く設定すれば
よい。
【0053】具体的には、回転側摺動部材15の内周側
位置に放熱用フィン等を設けることにより、回転側摺動
部材15の内周側における面積を増大し放熱性を向上さ
せることができる。よって、回転側摺動部材15の内周
側位置に放熱用フィン等を設け放熱面積を広げることに
よっても偏摩耗の発生を抑制することができ、高いシー
ル性を有したメカニカルシールを実現することができ
る。
【0054】更に、(1)式より熱伝導率λを小さくす
ることによっても熱量Qを多くすることが可能であるこ
とが判る。従って、回転側摺動部材15を異なる熱伝導
率を有する複数の材料を接合した構成とし、内周側に位
置する材料の熱伝導率λ1が外周側に位置する材料の熱
伝導率λ2に対して小さく(λ1<λ2)なるよう構成
することによっても、偏摩耗の発生を抑制することがで
き、よって高いシール性を有したメカニカルシールを実
現することができる。
【0055】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、次に述べる
種々の効果を実現することができる。請求項1記載の発
明によれば、第2の摺動部材に偏摩耗が発生することを
抑制することができるため、ウォータポンプが停止した
常温時においても高いシール性を維持することができ
る。
【0056】また、請求項2記載の発明によれば、第1
の摺動部材の形状を変更するのみで偏摩耗の発生を抑制
しシール性の低下を防止することが可能となるため、簡
単かつ低コストで信頼性の高いメカニカルシールを実現
することができる。更に、請求項3記載の発明によれ
ば、シール面の面積が広くなるため、仮に内周側に偏摩
耗が発生したとしてもシール性は維持され冷却水の漏洩
を防止でき、よってメカニカルシールの信頼性を向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるメカニカルシールの断
面図である。
【図2】本発明の一実施例であるメカニカルシールを設
けたウォータポンプを示す断面図である。
【図3】放熱特性を説明するための図である。
【符号の説明】
1 メカニカルシール 2 ウォータポンプ 3 ポンプハウジング 4 ベアリング 5 回転軸 6 ロータ 10 ポンプ室 15 回転側摺動部材 15a,16a 摺接面 16 固定側摺動部材 16b 外周面 16c 内周面 17 コイルスプリング 19 回転側ホルダ 20 ベローズゴム 21 固定側ホルダ 22 シール面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウォータポンプの回転軸に設けられた第
    1の摺動部材と、 前記ウォータポンプの固定本体側に設けられた第2の摺
    動部材と、 前記第1及び第2の摺動部材の一方を他方に押圧せしめ
    る付勢手段とを有し、 上記第1及び第2の摺動部材の摺接面にて冷却水のシー
    ル面を形成するウォータポンプ用メカニカルシールにお
    いて、 前記第1の摺動部材の内周側における放熱性が外周側に
    おける放熱性に比べて高くなるよう構成したことを特徴
    とするウォータポンプ用メカニカルシール。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のウォータポンプ用メカニ
    カルシールにおいて、 前記第1の摺動部材の内周側の肉厚を外周側に比べて薄
    く構成することにより、前記第1の摺動部材の内周側に
    おける放熱性が外周側における放熱性に比べて高くなる
    よう構成したことを特徴とするウォータポンプ用メカニ
    カルシール。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のウォータポンプ
    用メカニカルシールにおいて、 前記シール面が前記回転軸の軸方向に対して斜めに延在
    する構成としたことを特徴とするウォータポンプ用メカ
    ニカルシール。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016166624A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 日本ピラー工業株式会社 遊動環型メカニカルシール
JP2016166628A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 日本ピラー工業株式会社 ダブルメカニカルシール
JP2016166630A (ja) * 2015-03-09 2016-09-15 日本ピラー工業株式会社 ドライコンタクトシール

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